JAEA-Review-2010-065.pdf:15.99MB - 日本原子力研究開発機構

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Ion Beam Breeding of Sugarcane Cultivar "Ni17"
Y. Takenoshita a) , J. Nagai b) , T. Nagatani a) , M. Ooe a) ,
Y. Hase c) , A. Tanaka c) and I. Narumi c)
a) Kagoshima Biotechnology Institute, b) Kagoshima Prefectural Institute for Agricultural
Development Tokunoshima Branch, c) Radiation-Applied Biology Division, QuBS, JAEA
Sugarcane cultivar "Ni17" has hard hairs on its leaf sheath. We have intended to induce hairless or few hair mutants
using ion beam irradiation to cultured tissue of leaf explants. As a result of nursery selection, individual selection, and line
selection, we have selected one line ("KaB07-22") among the 10,410 regenerated plants. This line has a few hairs on its
leaf sheath, and its growth and yield is higher than "Ni17" by spring planting. We are planning to investigate further detail
characteristics of "KaB07-22" by ratooning planting.
さとうきび品種「Ni17」は、株出萌芽性、風折抵抗
性に優れ 1) 、本県では「NiF8」に次いで栽培されてい
るが、葉鞘部に着生する粗剛な毛群が収穫や採苗時に
手に刺さる等の問題があり改良の必要がある。そこで、
我々は2003年度からイオンビームを利用した変異誘発
によって毛群の少ない「Ni17」優良系統の育成に取り
組んでいる。これまで我々は、個体再生率並びに圃場
生育からみたイオンビームの適正吸収線量を明らかに
した 2–3) 。また、2004年度に選抜した「KB04-25」は、
「Ni17」に比べ毛群が少なく、収量は19%~21%増加
4)
した系統であったが 、「Ni17」に比べ茎が細く、ま
た本県主力品種である「NiF8」に比べ収量が劣ったた
め品種化までには至っていない。今回、新たに2006年
度に変異誘発を行った個体群から「Ni17」に比べ毛群
が少なく、収量性でも有望と考えられる系統が得られ
たので、その選抜経過と特性について報告する。
「Ni17」の茎頂付近の幼葉切片に、日本原子力研究
開発機構高崎量子応用研究所のAVFサイクロトロンに
より発生させたイオンビーム(320 MeV・ 12 C 6+ )を
0 Gy(無照射)及び1~4 Gy照射し、カルスから不定
胚を経由し10、410個体の再生植物体を育成した。再
生植物体はガラスハウス内においてポリポットで育苗
し、2007年5月に幼苗時の毛群の発生程度を調査し、
2007年6月に毛群の発生程度が無~極少であった351個
体を圃場に定植して個体選抜試験に供試した。2007年
10月に毛群の発生程度と茎長、茎数、茎径を調査して
24個体を選抜し、2007年11月から南西諸島の徳之島支
場において系統選抜試験に供試した。2009年2月に毛
群の発生程度、茎長、茎数、茎径を調査して5系統を
選抜した。2009年3月から選抜した5系統について、さ
らに徳之島支場において、さとうきび栽培における一
般的な作型である春植え栽培試験に供試し、2010年3
月に毛群の発生程度と併せて詳細な特性並びに収量調
査を行った。春植え栽培における特性調査の結果、供
試した5系統から1系統(系統名「KaB07-22」)を選抜
した。
「KaB07-22」は、1 Gy照射した個体群から得られた
(Table 1)。「KaB07-22」は春植え栽培において
「Ni17」に比べ毛群が少なかった(Table 1)。また、
「KaB07-22」は「Ni17」に比べ茎数が約15%少ないも
のの、茎径が「Ni17」並であり、茎長が25 cm長く
なったことから1茎重は29%増加した。その結果、茎
数×1茎重である収量は「Ni17」に比べ10%増加し、ま
た「NiF8」と比較しても4%増加した(Table 1)。
以上の結果から、今回選抜した「KaB07-22」は、以
前の選抜系統「KB04-25」で問題となった細茎化が認
められず、また収量は元品種「Ni17」並びに本県主力
品種「NiF8」以上であったことから有望と考えられた。
今後は、株出し栽培に供試し、毛群の発生程度のほか、
他品種との収量性比較など更に詳細な特性調査を行う
計画である。
References
1) 竹牟ら、鹿児島県農業試験場研究報告 32 (2004) 81.
2) F. Tohjima et al., JAEA Takasaki Ann. Rep. 2005
(2007) 83.
3) F. Tohjima et al., JAEA Takasaki Ann. Rep. 2006
(2008) 73.
4) Y. Takenoshita et al., JAEA Takasaki Ann. Rep. 2007
(2008) 66.
Table 1 Characteristics Table 1 Characteristics of the selected of the selected line 「KaB07-22」 line 「KaB07-22」 by spring by planting(2009)
spring planting (2009).
Line
Cultivar
JAEA-Review 2010-065
Dose Hair Number of Millable stalk
millable stalks length
Stalk
diameter
Weight
per stalk
Weight of
millable stalks
(Gy) (number/a) (cm) (mm) (g/number) (kg/a)
KaB07-22 1 few 800 150 23.0 641 513
Ni17(control) - many 942 125 22.8 496 468
NiF8(comparison) - - 858 149 23.3 576 494
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