JAEA-Review-2010-065.pdf:15.99MB - 日本原子力研究開発機構
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1-08<br />
Evaluation of Radiation Tolerance of<br />
General Electronic Devices<br />
N. Sasaki a) , Y. Kakimi a) , T. Nakao a) , K. Ogawa a) ,<br />
T. Ohshima b) , T. Hirao b) and S. Onoda b)<br />
a) Advanced Engineering Services Co.,Ltd.<br />
b) Environmental and Industrial Materials Research Division, QuBS, <strong>JAEA</strong><br />
We are developing a small-satellite that will be launched in several years, and small-satellite’s equipments for example<br />
“Power Control Unit”, “Gyro Unit”, etc. At these developments, using general electronic devices is very efficient to reduce<br />
the cost, to shorten the development period and to comply with a request of various missions. So, we have been evaluating<br />
general electronic devices about radiation tolerance related to single event since 2008. These results show a good<br />
possibility that they can be used on the space environment. This report shows a result of evaluation about FeRAM<br />
(Ferroelectric Random Access Memory) and MPU (Micro Processing Unit).<br />
我々は、数年後の打上げを目標に 50 cm 級小型衛星<br />
の開発を進めている。また、小型衛星搭載用電力制御<br />
装置をはじめ、様々な搭載機器の開発も行っている。<br />
小型衛星を利用することの利点は、短期間、低コスト<br />
で、様々な新しいミッションを実現できるということ<br />
である。しかし、宇宙用電子部品の多くは、入手性や<br />
価格、部品のバリエーションの面で、この利点に大き<br />
な制限をかけてしまう。従って、小型衛星の開発にお<br />
いて、民生電子部品を利用することは、開発期間の短<br />
縮、低コスト化や、多様なミッションへの対応等、小<br />
型衛星の利点を活かすのに必須となる。そこで、我々<br />
は 2008 年度より、小型衛星での使用を想定した、レギ<br />
ュレータや通信ドライバ等の民生電子部品の重粒子線<br />
照射試験を行い、シングルイベントに関し、宇宙環境<br />
への適合性評価を行ってきた。その結果、シングルイ<br />
ベントの発生頻度は、500 year/event 以上であり、民生<br />
電子部品の宇宙環境での使用の可能性について良い結<br />
果を得ることができた。本稿では、2009 年度に行った、<br />
FeRAM(強誘電体メモリ)、MPU(マイクロプロセッ<br />
サ)の試験結果について報告する。<br />
照射試験は、AVF サイクロトロン 散乱ビーム照射試<br />
験装置を用いて実施した。使用したイオン種を Table 1<br />
に示す。試料は、予めパッケージをデキャップしてお<br />
き、内部の半導体素子を露出した状態としている。<br />
FeRAM についての評価は、SEL(Single Event Latch-up)<br />
と RAM での SEU(Single Event Up-set)の発生頻度に<br />
関して、MPU についての評価は、SEL と内部レジスタ、<br />
FlashROM での SEU の発生頻度に関して行った。発生<br />
頻度の算出には、CREME96 を用いている。想定してい<br />
る軌道条件は、高度 700 km、衛星構体は 2 mm 厚アル<br />
ミニウム、運用期間 1 年である。<br />
Table 1 Particle Energy and LET.<br />
15 3+ 20 4+<br />
N Ne<br />
40 Ar 8+ 84 Kr 17+<br />
E [MeV] 56 75 150 322<br />
LET [MeV/mg/cm 2 ] 3.0 5.9 14.0 34.0<br />
<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-065<br />
FeRAM の試験では、同ロットの試料 3 つに対し同時<br />
に照射を行い、デバイスの消費電流より SEL を、SEU<br />
の発生は別途搭載した監視用マイコンにより監視した。<br />
また、SEU に関しては全ビットが 1 と 0 の 2 通りの状<br />
態について行った。以下に結果を示す。<br />
- 12 -<br />
① SEL 耐性<br />
SEL の発生は、Kr でのみ確認された。この時の有効<br />
総フルエンスは 10 5 count/cm 2 であるので、その発生<br />
頻度は概算として 3,000 year/event であると見積もら<br />
れ、SEL への耐性は非常に高い。<br />
② SEU 耐性<br />
本試験では、SEU の発生は確認されなかった。SEU<br />
への耐性は非常に高い。<br />
③ その他<br />
Ar、Kr において FeRAM と SEU 監視用マイコン間で<br />
通信異常を確認した。異常動作は電源のリセットに<br />
より正常復帰した。その発生頻度は 100 year/event で<br />
ある。<br />
上記の結果から、試験に用いた FeRAM は SEL、SEU<br />
に対し、高い耐性を持っていると考えられる。実際の<br />
使用においては、異常動作時の対策としてリセット回<br />
路の実装等の工夫が必要である。<br />
MPU の試験は、試料は1つとし、FeRAM と同様に消<br />
費電流により SEL の監視を行っている。SEU について<br />
は、MPU に実装したプログラムにより内部レジスタの<br />
状態を常時モニタ PC へ送信し、監視を行った。また、<br />
照射終了後、FlashROM の読み出しを行い、FlashROM<br />
での SEU の有無を確認した。レジスタ、FlashROM の<br />
空き領域にはそれぞれ、予め 0 と 1 が半分ずつ書き込<br />
まれている。現在までに取得できているデータは、N、<br />
Ne、Ar についてである。結果を Table 2 に示す。<br />
Table 2 MPU Result.<br />
Fluence Rate<br />
[count/cm 2 SEL SEU SEU<br />
/s] @Register @FlashROM<br />
15 3+<br />
N 1,449 0 3 0<br />
20 4+<br />
Ne 1,242 4 4 0<br />
40 8+<br />
Ar 2,329 4 ― 0<br />
FeRAM のシングルイベント発生頻度は 3,000<br />
year/event 以上であり、放射線への耐性は高いという結<br />
果を得ることができた。また、MPU については、さら<br />
に照射試験を実施し、評価を行う予定である。今後、<br />
現在使用を検討している民生電子部品について、さら<br />
に照射試験を実施し、小型衛星やその搭載機器の開発<br />
への利用を積極的に進めていきたい。