JAEA-Review-2010-065.pdf:15.99MB - 日本原子力研究開発機構
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4-31<br />
Stabilization of Measurement System of the Heavy Ion<br />
Beam Pulse Radiolysis Using Scintillator<br />
T. Kondoh a) , J. Yang a) , K. Kan a) , Y. Yoshida a) , H. Shibata b) ,<br />
S. Kurashima c) and M. Taguchi d)<br />
a) ISIR, Osaka University, b) Faculty of Engineering, Kyoto University,<br />
c) Department of Advanced Radiation Technology, TARRI, <strong>JAEA</strong>,<br />
d) Eenvironment and Industrial Materials Research Division, QuBS, <strong>JAEA</strong><br />
An ion-beam pulse radiolysis system with scintillators is being developed at TIARA facility to measure the initial process<br />
of ion-beam induced reactions in the microscopic tracks. This ion pulse radiolysis system had some problems that the<br />
measured light intensity was very unstable and the fluctuation could not be compensated by the reference. Therefore, the<br />
intensity of signal light was stabilized and the optimization of measuring the reference was carried out in last year.<br />
イオンビームを用いたがん治療など応用技術が、近<br />
年発展し、注目されている。これらは、高LET放射線<br />
である重イオンビームが、物質に入射した時の局所的<br />
高密度励起の効果を応用したものであり、今後の発展<br />
には、局所的高密度励起と後続の反応過程を解明する<br />
必要がある。パルスラジオリシスは、パルス的に照射<br />
した放射線により物質中に生成した活性種を光吸収な<br />
どで観測する手法であるが、イオンビームの場合、エ<br />
ネルギー付与の空間構造の特異性などから測定システ<br />
ムの構築は非常に困難である。さらに、高密度励起に<br />
より生成した活性種は、高速に反応するため、これを<br />
解明するにはナノ秒程度の時間分解能が必要である。<br />
我々は、シンチレータをビーム軸上の試料直前に置き、<br />
イオンビームによるシンチレータの発光を分析光とし<br />
て、試料中の高密度励起による活性種の光吸収を測定<br />
する方法を開発している。この手法では、分析光源と<br />
励起場所がイオンビームの飛跡上なので、トラック内<br />
の活性種測定と高時間分解能を同時に実現できる。サ<br />
イクロトロンの重イオンビームは、通常数10ナノ秒の<br />
パルス間隔のため化学反応の観測は困難であるが、P<br />
チョッパーとSチョッパーを同時に高度に制御するこ<br />
とにより、220 MeV C 5+ イオンビームのシングルパル<br />
ス化に成功した。<br />
HYポートに輸送されたビームは、サンプルセル上<br />
に設置されたシンチレータを通過した後、試料に入射<br />
して停止する。シンチレータ発光のうち試料を通過し<br />
た光がフィルターで分光され光電子増倍管で検出され<br />
る。光吸収測定には、それぞれの試料について光源光<br />
強度、照射時信号光強度、ビームノイズ、バックグラ<br />
ウンドの四つのデータが必要である。これまで、試料<br />
Fig. 1 New stabilized measurement system of the<br />
heavy ion beam pulse radiolysis using scintillator<br />
with reference measurement.<br />
<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-065<br />
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を変更する毎、更に一つのデータ取得中でも信号光強<br />
度が変動する問題があった。平均強度と位置の安定性<br />
が高いサイクロトロンのビームであるが、シングルパ<br />
ルス切り出し条件下では、ビーム強度や位置の変動が<br />
信号光に影響していると考え、試料を通過しないシン<br />
チレータ発光を測定し、光源光強度のリファレンスと<br />
して補正を試みたが、成功しなかった。この原因は、<br />
試料液面、サンプルセル、シンチレータの配置に独立<br />
性と再現性が低く、リファレンスが光源変動を反映し<br />
ていない事が原因と考えられる。<br />
この問題を解決するために、今年度は測定体系の安<br />
定化対策を行った。改良した測定装置体系をFig. 1に示<br />
した。従来の体系における測定の再現性の欠如は、縦<br />
型セルとシンチレータの非独立積層型配置が原因と考<br />
えられる。各素子の直線的配置はそのままに、石英サ<br />
ンプルセルを横向きに使用し、フリッパーマウントに<br />
固定することにより光路長は正確に一定となり、独立<br />
かつ再現性の高い配置に変更した。また、シンチレー<br />
タはコリメーター下に固定し、フリッパーマウントに<br />
より独立かつ再現性高く設置した。コリメーター下流<br />
に設置することによりコリメーターを通過したイオン<br />
ビームのみがシンチレータを発光させるのでリファレ<br />
ンスは正確に信号光を反映する。安定化対策の後、光<br />
源変動補正のために、リファレンス測定配置の最適化<br />
を行った。CaF 2(Eu)シンチレータを用い、信号光強<br />
度とリファレンス光強度の間の相関をFig. 2に示した。<br />
信号光強度とリファレンス光強度には比例関係があり、<br />
最適化した配置ではリファレンスによる光源光強度の<br />
補正が可能となった。<br />
Fig. 2 Correlation between the signal (vertical axis)<br />
and the reference (horizontal axis).