JAEA-Review-2010-065.pdf:15.99MB - 日本原子力研究開発機構

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Analysis of Bystander Cell Signaling Pathway Activated
by Heavy Ion-Microbeam
M. Tomita a) , H. Matsumoto b) , K. Otsuka a) , M. Maeda a) , T. Funayama c) ,
Y. Yokota c) , Y. Mutou c) , T. Sakashita c) and Y. Kobayashi c)
a) Central Research Institute of Electric Power Industry, b) University of Fukui,
c) Radiation-Applied Biology Division, QuBS, JAEA
Radiation-induced bystander responses are defined as responses in cells that have not been directly targeted by radiation
but are in the neighborhood of cells that have been directly exposed. In our study we aim to clarify the cell signaling
pathway activated by high-LET radiation in the bystander cells. Normal human fibroblast WI-38 cells were cultured to
form 5 colonies on CR-39 based dish. One cell in the targeted colony was irradiated with 460 MeV 40 Ar beams. Focus
formation of DNA double-strand break (DSB) repair related proteins could be observed in the unirradiated cells in the
untargeted colonies. Our present results suggest that several kinds of DSB repair related proteins are colocalized in the
vicinity of DSBs induced in the bystander cells.
低線量放射線による生物影響は、高線量放射線の場
合とは大きく異なることが明らかになりつつある。近
年、低線量放射線のリスクを評価する上で注目されて
いるのが、DNA 初期損傷量に依存しない「非標的効果」
である。中でも、放射線誘発バイスタンダー応答は、
もっとも特徴的な非標的効果であり、放射線に直接曝
露された細胞の近傍に存在する全く放射線に曝露され
ていない細胞において観察される応答である 1) 。本研究
は、原子力機構の細胞局所照射装置を利用し、バイス
タンダー細胞に生じるシグナル伝達経路の変化を、ヒ
ト正常細胞を用いて明らかにすることを目的とする。
細胞をマイクロビームで照射するために、ディッシ
ュ中心部に直径 14 mm の穴があいている 35 mm ディッ
シュの内側に、20 mm 角にカットした CR-39 をパラフ
ィンで接着した。細胞試料として、ヒト胎児肺由来正
常線維芽細胞 WI-38 を用いた。WI-38 を CR-39 上で培
養するために、さまざまな試行を繰り返した結果、以
下の方法を確立した。まず、CR-39 を細胞接着因子で
あるファイブロネクチンでコーティングした後、一晩
紫外線下で乾燥させた。次に、5 × 10 5 cells/mL に調整し
た WI-38 細胞の懸濁液 5 μL を、CR-39 上に 5 箇所スポ
ットした後、周辺に 200 μL の培養液を入れ、一晩培養
した。翌日、細胞が接着していることを確認し、培養
液を加え、さらに 1 日培養したものを、照射試料とし
た。作成した試料を、クリスタルバイオレッドで染色
した写真を Fig. 1 に示す。
5 個のコロニーの内、中央にあるコロニー内の細胞 1
個にのみ、5 粒子の 460 MeV 40 Ar 13+ を、HZ1 ポートにお
いて照射した 2) 。照射 6 時間後に、細胞を 4%パラホル
ムアルデヒド/PBS 溶液を用いて固定した。0.1% Triton
Fig. 1 Colony formation of normal human fibroblast
WI-38 cells on CR-39 dish. Five colonies (center
and 4 satellites) were formed.
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X-100/PBS 溶液で処理した後、53BP1、リン酸化ヒスト
ン H2AX (γ-H2AX)、リン酸化 ATM、NBS1 などの抗体
を用いて免疫蛍光染色を行い、細胞核は DAPI で染色し
た。その後、ディッシュから CR-39 をはがし、スライ
ドグラスに細胞接着面を張り合わせた後、CR-39 をエ
ッチング処理した。
共焦点レーザー顕微鏡を用い、細胞に Ar イオンがヒ
ットしていることを確認した後、非照射の 4 個のコロ
ニー内にある細胞に生じたフォーカスを観察した。
Figure 2 に示すように、非照射細胞において、53BP1
のフォーカス形成が観察された。同様に、γ-H2AX、NBS1、
リン酸化 ATM のフォーカス形成も認められた。これら
の結果から、照射によって直接生じた DNA2 本鎖切断
と同様に、バイスタンダー細胞に生じた切断部位にも、
複数の修復タンパク質が集積していることが示唆され
た。現在、バイスタンダー細胞におけるフォーカス数
の増加について定量的な解析を進めている。
今後は、細胞周期チェックポイントや生存シグナル、
アポトーシス誘導等に関与するタンパク質について、
順次解析を進める。
Fig. 2 Foci formation of 53BP1 in the unirradiated
cells in the untargeted satellite colony.
References
1) H. Matsumoto et al., J. Radiat. Res. 50 (2009) A67.
2) T. Funayama et al., Radiat. Res. 163 (2005) 241.