平成 21 年度アジア産業基盤強化等事業 インドシナ地域の ... - 経済産業省
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<strong>平成</strong> <strong>21</strong> <strong>年度アジア産業基盤強化等事業</strong><br />
<strong>インドシナ地域の</strong>鉱業における<br />
人材育成に関する調査<br />
報 告 書<br />
<strong>平成</strong> 22 年 2 月<br />
財団法人 国際鉱物資源開発協力協会
は じ め に<br />
本事業はアジアにおける開発途上国のうち、鉱物資源ポテンシャルが見込まれながら十<br />
分開発に至っていない国について、前年度<strong>平成</strong> 20 年度までは一貫して、鉱業関連法制度<br />
の現状の調査・分析を行い、それらの鉱業振興に当たっての問題点を明確にし、持続的な<br />
鉱物資源開発に必要な投資環境整備についての方向性を示すことにより、当該国の鉱物資<br />
源開発を促進させ、もって当該国の更なる経済発展に寄与することを目的として実施して<br />
きた。<br />
今年度<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年度は、従来と趣が変わり、単一の国対象でなくインドシナ地域三か国(ベ<br />
トナム、ラオス、カンボジア)の鉱業における人材育成について調査することとなり、その<br />
調査を当協会は<strong>経済産業省</strong>より受託した。<br />
本報告書は、<strong>平成</strong> <strong>21</strong> <strong>年度アジア産業基盤強化等事業</strong>として、インドシナ地域三か国(ベ<br />
トナム、ラオス、カンボジア) の鉱業における人材育成に関する調査の結果をまとめたも<br />
のである。<br />
調査の実施にあたっては、三か国の中央政府機関・鉱山地質関係教育機関・鉱業企業、<br />
<strong>経済産業省</strong>、在現地日本国大使館、国際協力機構(JICA)現地事務所、商社現地事務所およ<br />
び日本の鉱業関係企業各位はじめその他関係各位からご指導とご便宜を賜った。ここに深<br />
く謝意を表するものである。<br />
<strong>平成</strong> 22 年 2 月<br />
財団法人 国際鉱物資源開発協力協会<br />
理 事 長 髙 木 俊 毅
要 約<br />
本調査は、当協会が<strong>経済産業省</strong>より受託した<strong>平成</strong> <strong>21</strong> <strong>年度アジア産業基盤強化等事業</strong>と<br />
して、インドシナ地域三か国(ベトナム、ラオス、カンボジア:以下「三か国」という。) の<br />
鉱業における人材育成に関する調査の結果をとりまとめたものである。<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年 10 月<br />
30 日~<strong>平成</strong> 22 年 2 月 26 日まで、国内アンケート調査およびヒアリング調査、現地機関<br />
に対するアンケート調査、および現地調査からなる諸調査を実施した。<br />
国内調査では、金属鉱物資源関連の主要鉱山会社、メタルコンサルタント企業および商<br />
社を対象として、三か国における鉱物資源ポテンシャルについての見解、鉱業投資への関<br />
心度および阻害要因といった従前年度の投資環境整備調査の質問項目に加え、三か国を対<br />
象に鉱業関係政府機関のサービスや人材の技術レベル、人材育成支援策の在り方、企業サ<br />
イドでの人材育成支援策の可能性等についても質問項目に増やした形として、アンケート<br />
調査を実施した。さらに各種文献調査・Web サイト検索調査、関連セミナーに参加するな<br />
どの調査を通じて、鉱業関係事情、鉱業人材について関連の情報収集を行った。<br />
海外調査では、出発前に、現地政府関係機関、鉱山地質関係教育機関、代表的鉱業企業<br />
に、あらかじめ、組織人員の概要・技術スキルの評価・外国や日本に対する人材育成や鉱<br />
業活動促進のために期待したい援助等を質問内容とするアンケート調査を発送し、現地調<br />
査中あるいはその前後を通じて、協力いただけた機関について回収し、内容を分析した。<br />
現地調査は、下記の機関をそれぞれ訪問調査した。<br />
・ベトナムについては首都ハノイにおいて、天然資源環境省(MONRE)、商工省(MOIT)、<br />
天然資源環境省(MONRE)の地質鉱物総局(DGMV)、ベトナム国営鉱物鉱山公社<br />
(VIMICO)、ハノイ鉱山地質大学(HUMG)、在カンボジアベトナム日本国大使館、JICA<br />
カンボジア事務所、日本商社事務所を訪問した。<br />
・ラオスについては首都ビエンチャンにおいて、エネルギー鉱山省(MEM)の地質局<br />
(DGEO)、鉱山局(DOM)、ラオス国立大学本部と工学部(NUOL)、ポリテクニック・<br />
カレッジ、主要外資系鉱業企業 2 社ビエンチャン事務所(MMG LXML, Phubia Mining)、<br />
在ラオス日本国大使館、JICA ラオス事務所、日本商社事務所を訪問した。<br />
・カンボジアについては首都プノンペンにおいて、工鉱業・エネルギー省(MIME)の鉱<br />
物資源総局(GDMR)、教育青少年スポーツ省、環境省、カンボジア工科大学(ITC)、在<br />
カンボジア日本国大使館、JICA カンボジア事務所、日本商社事務所を訪問した。<br />
調査の結果、以下のことが明らかになった。<br />
1. ベトナムの概況と要望<br />
ベトナムの有望鉱種としては、現地関係者は、以下をあげていた:チタンージルコン、<br />
ボーキサイト、レアアース、鉄鉱石、銅。<br />
ベトナムには鉱山地質大学があり、鉱山・地質の一般的学問は、その実務経験も含めて<br />
高い。また DGMV が約 2500 名、VIMICO が約 6500 名という巨大組織で仕事をしている。<br />
ベトナムで不足しているのは従来経験が少ないレアアースの精製や環境対策等の分野<br />
での技術である。ベトナム側の要望は、レアアースの製錬・精製(高純度等)、鉱山地域の
環境対策、行政官向けの鉱業管理能力(環境管理と復旧、坑内採掘での保安、鉱業セクタ<br />
ーの戦略やマスタープランづくり等)の向上など日本の技術力が高く、貢献できると考え<br />
られる分野での技術協力をお願いしたいということである。<br />
2. ラオスの概況と要望<br />
ラオスの有望鉱種としては、現地関係者は、以下をあげていた:金、銅、ボーキサイト、<br />
鉄鉱石、錫、石炭。<br />
ラオスでは近年急速に外資系企業による探鉱が進み、鉱山開発(銅・金)が進んだ結果、<br />
輸出に占める鉱産物の割合が 50%以上となり、鉱業企業の先行きが明るくまた給与水準が<br />
高いということから、社会の鉱業に対する関心が高まっている。また鉱業に係る行政組織<br />
も、近年エネルギー鉱山省 MEM が設置され、その中に鉱山局 DOM と地質局 DGEO があ<br />
る体制に強化されている。<br />
(政府:鉱山局 DOM では)<br />
鉱業が発達しつつある同国で、鉱山による環境インパクトの評価、鉱山の後処理等につ<br />
いて、経験が浅く、こうした分野について行政人材の育成支援について、ラオス側の意向<br />
が示された。とくに休廃止鉱山の管理などを重視しているとの発言があった。そのほか以<br />
下の事項についての希望があった。<br />
・海外留学制度<br />
・最新技術の導入のための日本での短期講習<br />
・鉱区や環境変化を管理するための技術(衛星画像を含む)<br />
・GIS 関連技術で鉱区と水力発電との重複などをチェックする機能<br />
・鉱山評価・F/S 評価できる能力や労働衛生管理能力<br />
・トレーニングセンターの設置(職員だけでなく、民間も利用できるような)<br />
(政府:地質局 DGEO では)<br />
また地質局 DGEO では、下記を要望している。<br />
・JICA のマスタープランでは,2 地区の 1/20 万地質図を作成したが,同じ内容では,追<br />
加申請されても却下されてしまったが、そのような調査は、DGEO 職員の OJT にもなる。<br />
・地質データのデータベース化と分析機器の充実を図りたいのとそれらを使いこなせる人<br />
材育成を行いたい。<br />
・これらから DGEO は、能力開発に力点を置いた第 2 次地質図作成プロジェクト(注:<br />
第 1 次は JICA「ラオス国鉱業分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備計画調査」<br />
2006-2008 年)を要望している。<br />
・下記の学校教育への支援の際に、行政側(DOM、DGEO)のこうしたニーズに対しても<br />
応えていく体制が必要となるであろう。ことに将来的に、DOM が言っているようなトレ<br />
ーニングセンターの設置(職員だけでなく、民間も利用できるような)への協力も面白い<br />
のではないかと考えられる。もっともこのセンター構想については、すでに進出している<br />
外資系の鉱業企業の活躍に期待するところが大きいだろう。<br />
(教育機関では)
社会の鉱山に対する関心の高まりから、資源地質関係の学校への生徒殺到、その関係の<br />
学科新設の方向などが顕著であるが、教師や、施設機材は不足している。<br />
従来からこの分野での教育を担当してきた「ポリテクニック・カレッジ」では、調査探<br />
査コース、鉱山・鉱物処理コースが高校卒業生を対象に教育をしている。この学校自体は、<br />
ワーカーレベルの人材の供給源。DGEO や DOM の職員の多くもここの卒業生で、入省後<br />
にソ連東欧に留学して学位を取ったケースが多く、現在でも政府当局はデータや古い機材<br />
を与え、その充実に協力している。このポリテクニックの在学生の 1/3 以上が地質鉱山コ<br />
ース。ことに 2009 年入学生は、40 人クラスで 10 クラスあって、400 人の多数を擁してい<br />
る。<br />
一方でラオスの最高学府である国立ラオス大学工学部(NUOL)では、資源関連学科は、<br />
土木工学科の中に、3 コースの中の一つとしてあって、土木、環境、鉱山コースという位<br />
置づけ。ただし鉱山コースは 2 年前に設置したばかりで、現在 1・2 学年とも 130 人が在学。<br />
会社や政府幹部候補生となる人材供給を目指すもの。13 人の教授陣を擁しているが、その<br />
うち 4 人は JICA の提唱で始まった AUN/SEED-net 機構を活用して海外留学(インドネシ<br />
ア 3、マレーシア 1)中で今年帰国する。教官のリストも入手したが、資源工学が中心で、<br />
地質は兼務で学科長 1 名という状況で、地質分野の教授陣強化が不可欠のように考えられ<br />
る。<br />
両校ともその拡充に熱心で、日本の支援への期待感が高い。有効な支援策の在り方につ<br />
いて、さらに検討が必要。どちらの学校または政府当局を支援する場合にも、他校や政府<br />
当局も利用可能な形で制度設計することが必要。<br />
3. カンボジアの概況と要望<br />
カンボジアの有望鉱種としては、現地関係者は、以下をあげていた:金と金を伴うベー<br />
スメタル、ボーキサイト、鉄鉱石。<br />
カンボジアでは金属鉱業がまだ成立していない。そういう中でも隣国ラオスに代表され<br />
るように新規鉱業開発の成果が大きいということで、同国においても探査活動が盛んにな<br />
っている。<br />
(政府:鉱物資源総局 GDMR では)<br />
GDMR の地質局(DoG)には顕微鏡なども、他の国際機関で使用した古い機器を個人的<br />
に譲ってもらったものがある程度であり、分析・調査機器の充実につき要望あった。<br />
GDMR の職員の技術のレベルアップは、基本的に、OJT で企業探鉱や行政の調査監督<br />
に、同行等する中で、若いころに旧ソビエト等東側大学や、その協力でカンボジア国内に<br />
あった学校(下記 ITC の前身:現在は同様の形では無い。)等で地質鉱山学等を学んだ先<br />
輩職員から若手職員に移転させることをねらいとしている。年配職員の退職などを考える<br />
と、数年先を見越した手を打つ必要があると切迫した危機感を持っている。<br />
(教育機関では)<br />
ITC(カンボジア工科大学)は、昔は鉱山・地質学部があったが、卒業生の働くところ<br />
がないなどの理由で 90 年代に消滅し、その後は Rural Engineering 学部の 4・5 年次(同<br />
国でもベトナム・ラオスと同様大学は 5 年制)に選択コースとして Geotechnical コース<br />
を設置。地質を含む資源工学を教えており、卒業生は建設会社。セメント会社などへ就職
している。ここでも分析・調査機器は非力。岩石力学関係の試験装置はあった。<br />
同大学の Geotechnical コースの学生4人が、当初 JICA が提唱実施した AUN/SEED-Net<br />
プログラムで日本で留学中(博士コース:北大2、京大1、九大1)であり、同プログラ<br />
ムの有効性を感じた。<br />
分析・研究センターの必要性や GDMR もしくは ITC のいずれかに設置し、双方の職員・<br />
教官・学生が使用できる等の利用方法などの調査・検討が今後必要となる。また単に実験<br />
室での技術だけでなく、野外での地質調査等地質図を書ける能力のような現場での技術を<br />
身につけさせる勉強(これに対応する専門家と機材)も必要。<br />
資源国としては鉱山生産が始まっておらず、就職先が問題となるが、このような鉱物分<br />
析+地質図能力は、将来にわたって同国の地質鉱山関係の基盤力を高めるものであり、こ<br />
れを育成支援する JICA 技術協力プロジェクトやそれに準ずる専門家派遣などが、検討さ<br />
れる必要がある。<br />
すでに鉱物資源分野では、2009 年夏から、JICA 専門家が、同国に派遣されており、今<br />
後のプロジェクト立ち上げにも有機的に活動してもらうことが考えられる。<br />
また、GDMR そのものへの機能強化等の支援の面では、JICA により「カンボジア国鉱<br />
業振興マスタープラン調査」(2008-10 年度)が実施中で調査完成が待たれるところである。<br />
この調査とも連携を取りながら、カンボジア国全体での、鉱業(資源)地質の面でのレベ<br />
ルアップと行政能力・サービスの向上が必要である。<br />
今回の 3 カ国の調査は短期間に多岐にわたる分野で調査を行った。現状調査に基づく人<br />
材育成の方向性という観点で、「<strong>インドシナ地域の</strong>鉱業人材の育成支援策」について、順不<br />
同であるが、下記にいくつかの要素に分けて、複数の方向性として整理したものを提言す<br />
る。
「<strong>インドシナ地域の</strong>鉱業人材の育成支援策」の方向性<br />
1.国別アプローチの必要性<br />
インドシナ 3 カ国はそれぞれ、鉱業の発達度合い、鉱業関係の教育システムは、それぞ<br />
れ異なる。このため、その国にあった支援の仕方を考案し、その具体策を先方と協議しつ<br />
つ、効果的に進めることが必要である。<br />
2.技術協力主体にメリットが必要<br />
国の法制度や監督制度など一部を除けば、技術・学識やそれを担う人材はほとんどが、<br />
日本の民間企業や大学や公的研究機関に存在するので、技術協力事業に参加することが、<br />
その企業あるいは大学等にとって、何らかのメリットを生むということが不可欠である。<br />
3.HSE 面での協力の重要性<br />
ただし、各国とも共通に、日本のような環境・安全・衛生重視(HSE:Health, Safety and<br />
Environment)型の鉱業関連産業(上流-鉱山・選鉱場、中流-製錬、下流-金属精製・加<br />
工等)のオペレーションの経験から学びたいということがある。<br />
4.HSE 専門技術研修の重要性<br />
HSE の中のラインアイテム(鉱山操業の環境対策、休廃止鉱山対策、鉱山地域の環境復<br />
旧、製錬所の環境対策、坑内採掘の保安対策、石灰石露天採掘の安全効率操業技術等)の<br />
研修を、JICA 等の枠組みで、設営することは有効である。これは日本で実施するコース。<br />
5.専門研修の出前サービスの有効性<br />
日本国内では金属鉱山の現場がほとんど無い。HSE 関連のテーマの場合あるいは、それ<br />
以外でも、相手国または第三国へ出向いての、「専門研修の出前サービス」が、研修を受け<br />
る側の参加の容易さ、費用の低廉さ等から、より有効である。<br />
6.JICA 集団研修の効率的活用<br />
JICA 集団研修「資源開発グループ研修」(Sustainable Mining Course)は(財)国際資<br />
源大学校(MINETEC)において実施中で、「環境に配慮した効率的資源開発・利用」の研修<br />
は有効性がある。実施期間につき、より短期のコースと現在のコースと 2 本立てとするこ<br />
とが参加をより促進する可能性がある。<br />
7.レアアース協力における日本企業の支援体制確立<br />
ベトナム側で要望の強かったレアアースの製錬・精製(高純度など)分野の技術協力を<br />
どのように進めるかは、関係する企業の協力が得られるか否かがポイントである。日本側<br />
で企業と出来ることを相談調整したうえで提案する必要がある。<br />
8.鉱業関係教育機関の整備促進支援<br />
ラオス、カンボジアにおいては、鉱業関係教育機関の整備が不十分で、日本として協力
可能な技術・人材・機器等で、相手国の学生や政府機関関係者の教育・技術レベルの向<br />
上を図ることが有益である。支援プロジェクトの在り方の検討を深める必要がある。<br />
9.地質図鉱床図の整備と作成基本能力の向上の重要性<br />
ことにラオス、カンボジアにおいて、自国の地質・資源を調査し、これを地質図・鉱床<br />
図にして外部に提供していくことが、鉱業活性化の基盤を形成する。この経験、技術能力<br />
を高めるために、これまでも支援してきているが、さらに機会を与えることを検討する。<br />
10.人材育成重視型の現代版国際協力基礎調査の必要性<br />
JOGMEC はかつて JICA-MMAJ 時代に、資源開発協力基礎調査(G-G 調査)を行っていたが、<br />
相手国職員にとり現場での生きた技術移転であり、同時に日本企業にとっても世代間での<br />
技術移転の良い機会であった。人材育成重視型の共同 G-G 探鉱調査を再開する意味がある。<br />
11.日本国内における資源開発人材育成プログラムとの連携の重要性<br />
近年日本で資源開発の重要性が認識され、人材育成の各種プログラムやテキスト作成が<br />
行われている。こうした鉱物資源開発関連の技術について、専門家派遣の際等に利用出来<br />
るよう和文・英文でのテキスト、教材等を収集、整理および作成しておく「鉱業関連技術<br />
知的ストック・クリアリング・センター」が有効であり、その構想を検討する。<br />
12.日本の大学との協力連携が必要<br />
資源開発人材の教育は、日本の大学で行われており、海外留学生を受け入れたり、海外<br />
への協力活動を始めているところもある。今回調査では時間的余裕がなく、国内のこうし<br />
た内容を把握できなかったが、今後調査していく必要がある。<br />
13.持続可能な鉱業に係る人材育成計画の提唱<br />
上記3,4,5,6の項目とも関係するが、持続可能な鉱業に係る人材育成計画を提唱<br />
する。<br />
資源保有途上国では、法律の不備、技術・知見・経験等の不足、保安・環境保全対策が<br />
不十分で、違法・無秩序な開発が行われ、鉱害問題が発生し、鉱山における労働者は不安<br />
全な状況にさらされている。これらは農業、漁業等他産業へ損害を与えるとともに地元住<br />
民との軋轢を生じさせ、各地で鉱業に対する地域住民の反対活動が生じ、円滑な鉱業活動<br />
が阻害される恐れがあり、資源保有途上国では、持続的資源開発に対するニーズが高まっ<br />
ている。<br />
日本は、古くは足尾鉱毒事件(足尾銅山)、三大鉱害病の一つであるイタイイタイ病(神<br />
岡鉱山)等の鉱害問題を経験しており、環境保全対策等の豊富な経験・技術を有している。<br />
我が国は資源国が求めるこうしたニーズに適切に対応できる能力がある。<br />
途上国のニーズに合わせ我が国の知見・技術を元に持続的資源開発を実現する制度を途<br />
上国に構築し、もって鉱物資源の需給の安定化を図ることを実現する。<br />
-構築する制度に盛り込むべき要素の例
①閉山・鉱害対策準備金・基金(日本の特定災害防止準備金制度、金属鉱業等鉱害防止準<br />
備金制度、金属鉱業等鉱害防止事業基金制度に相当)<br />
閉山時に必要な原状回復や鉱害防止措置に必要な資金を操業時から鉱山に積み立てさ<br />
せる。<br />
②鉱山保安巡回<br />
保安、鉱害管理が適正になされているかを検査する。<br />
③鉱害防止管理者<br />
鉱山において、鉱山鉱害防止管理者を選任させ、操業に伴う日常の検査を行わす。<br />
④情報公開<br />
地元との信頼関係を醸成するため、一定の頻度で情報公開を行うことを義務づける。<br />
⑤安全・衛生教育<br />
鉱山から鉱員に対し安全・衛生教育を実施させる。<br />
-具体的なプロジェクト<br />
①持続可能なレアメタル鉱山開発支援プロジェクト(ベトナム)<br />
ベトナムは我が国企業参加による鉱山開発が進展しているところ。当該鉱山をモデル<br />
とし、日常の鉱山管理、レアアース選鉱・抽出残渣の処分等に係る管理制度を構築する。<br />
本プロジェクトの知見は同様の鉱山を有するインドネシア、マレーシア等に移転できる。<br />
②持続可能なベースメタル鉱山開発支援プロジェクト(ラオス)<br />
ラオスでは鉱山開発が緒についたばかりであり、今後、様々な問題が発生してくるお<br />
それがある。これら諸問題の発生を未然に防ぐため、日常の鉱山管理、鉱廃水処理等に<br />
係る管理制度を構築する。本プロジェクトの知見は標準的なであり、あらゆる国々へ移<br />
転できる。<br />
③持続可能な鉱山開発のための法制研究プロジェクト(カンボジア)<br />
国内に稼働鉱山がなく、鉱業法、鉱山保安法等の制度が未整備であるカンボジアに対<br />
し、我が国の制度をベースにカンボジアの国内事情を考慮した鉱山開発制度を構築する。<br />
本プロジェクトの知見は、これから鉱山開発を行うあらゆる国へ移転できる。<br />
(5)プロジェクト推進のためのスケジュール<br />
プロジェクトは5年程度を見込む。<br />
①1~2年目は、我が国の鉱山行政を元に、当該国において必要な制度、の抽出及び<br />
当該国に適合した制度改良に係る研究<br />
②3年目は必要とされる行政措置の研究<br />
③4年目は試行期間及び行政並びに鉱山に対するトレーニング<br />
④5年目は正式な制度導入開始<br />
必要なツールとしては、中短期専門家派遣、本邦及び海外における研修、セミナー、制<br />
度調査等が考えられる。
目次<br />
Ⅰ 鉱業事情 ····································································1<br />
1.1 インドシナ 3 国における鉱業の現状 ···········································1<br />
1.1.1 <strong>インドシナ地域の</strong>鉱業の現状 ···············································1<br />
1.1.2 ベトナム鉱業の現状 ·······················································1<br />
1.1.3 ラオス鉱業の現状 ·························································4<br />
1.1.3.1 ラオスの鉱業活動の変遷 ·················································5<br />
1.1.3.2 ラオスの最近の鉱山開発状況 ·············································7<br />
1.1.4 カンボジア鉱業の現状 ····················································11<br />
1.2 鉱物資源ポテンシャル ······················································13<br />
1.2.1 <strong>インドシナ地域の</strong>地質構造 ················································13<br />
1.2.2 ベトナムの鉱床 ··························································19<br />
1.2.3 ラオスの鉱床 ····························································22<br />
1.2.4 カンボジアの鉱床 ························································26<br />
Ⅱ 国内調査 ···································································33<br />
2.1 アンケート調査 ····························································33<br />
2.1.1 アンケート調査の概要 ····················································33<br />
2.1.2 ベトナム・アンケート調査の結果 ··········································34<br />
2.1.3 ラオス・アンケート調査の結果 ············································42<br />
2.1.4 カンボジア・アンケート調査の結果········································49<br />
2.1.5 過去の・アンケート調査の結果との比較····································55<br />
2.1.6 アンケート調査の結果のまとめ ············································56<br />
2.1.6.1 ベトナム調査結果のまとめ ··············································56<br />
2.1.6.2 ラオス調査結果のまとめ ················································60<br />
2.1.6.3 カンボジア調査結果のまとめ ············································64<br />
2.2 企業ヒアリングの概要 ······················································67<br />
2.2.1 鉱山会社Aヒアリングメモ ················································67<br />
2.2.2 鉱山会社Bヒアリングメモ ················································69<br />
2.2.3 商社Aヒアリングメモ ····················································72<br />
2.2.4 商社Bヒアリングメモ ····················································74<br />
2.2.5 商社Cヒアリングメモ ····················································76<br />
2.2.6 メタコンAヒアリングメモ ················································78<br />
2.2.7 メタコンBヒアリングメモ ················································80<br />
Ⅲ ベトナム現地調査 ···························································83
3.1 現地出張 ··································································83<br />
3.1.1 調査期間 ································································83<br />
3.1.2 調査団構成 ······························································83<br />
3.1.3 調査内容 ································································83<br />
3.1.4 調査日程と面談主要相手方 ················································83<br />
3.1.5 調査結果 ································································83<br />
3.1.6 総括 ····································································84<br />
3.1.7 日本の民官の動き ························································84<br />
3.2 ベトナム鉱業国家機関 ······················································93<br />
3.2.1 商工省 MOIT ·····························································93<br />
3.2.1.1 商工省 MOIT 今回出張時面談内容 ·········································94<br />
3.2.1.2 MOIT アンケートへの回答 ···············································95<br />
3.2.2 天然資源環境省 MONRE ···················································104<br />
3.2.2.1 MONRE 今回出張時面談内容 ·············································104<br />
3.2.3 ベトナム地質鉱物総局 DGMV ··············································106<br />
3.2.3.1 DGMV 今回出張時面談内容 ··············································106<br />
3.2.3.2 DGMV アンケートへの回答 ··············································110<br />
3.2.4 建設省 MOC ·····························································116<br />
3.2.5 計画投資省 MPI ·························································116<br />
3.2.6 地方省(人民委員会) ···················································116<br />
3.3 その他の公的機関 ·························································117<br />
3.3.1 ベ ト ナ ム 国 営 石 炭 ・ 鉱 物 産 業 グ ル ー プ 企 業 (Vietnam National Coal-Mineral<br />
Industries Group:略称 VINACOMIN) ····································117<br />
3.3.2 ベトナム国営鉱物鉱山公社(VINACOMIN 鉱物ホールディング会社)(VINACOMIN-<br />
Minerals Holding Corporation:略称 VIMICO) ··························118<br />
3.3.2.1 VIMICO 今回出張時面談内容 ············································118<br />
3.3.2.2 VIMICO アンケートの回答 ··············································120<br />
3.4 鉱山地質系教育機関:ハノイ鉱山地質大学 HUMG(Hanoi University of Mining and<br />
Geology) ·······························································130<br />
3.4.1 概要 ···································································130<br />
3.4.2 鉱山学部 ·······························································130<br />
3.4.3 地質学部 ·······························································131<br />
3.4.4 出張時面談内容 ·························································132<br />
3.5 ベトナムその他の訪問先 ···················································134<br />
3.5.1 JICA ··································································134<br />
3.5.2 伊藤忠 ·································································134
3.5.3 丸紅 ···································································135<br />
3.5.4 大使館 ·································································136<br />
3.5.5 双日 ···································································137<br />
Ⅳ ラオス現地調査 ···························································144<br />
4.1 ラオス現地出張 ···························································144<br />
4.1.1 調査期間 ·······························································144<br />
4.1.2 調査団構成 ·····························································144<br />
4.1.3 調査内容 ·······························································144<br />
4.1.4 調査日程と面談主要相手方 ···············································144<br />
4.1.5 調査結果 ·······························································145<br />
4.1.6 総括 ···································································145<br />
4.1.7 鉱物研究センター(中国系企業と地質局との合弁企業)設立について及び他国の動き<br />
·············································································147<br />
4.1.7.1 鉱物研究センターの経緯 ···············································147<br />
4.1.7.2 鉱物研究センターとは ·················································147<br />
4.1.7.3 鉱業権益への影響 ·····················································148<br />
4.1.7.4 中国からの投資 ·······················································149<br />
4.1.7.5 韓国の動向 ···························································152<br />
4.1.7.6 ベトナムの動向 ·······················································152<br />
4.1.7.7 ロシア ·······························································152<br />
4.1.7.8 日本民官の動向 ·······················································153<br />
4.1.8 ラオスへの支援策のオプション ···········································157<br />
4.1.9 支援の具体的イメージ ···················································158<br />
4.2 ラオス鉱業国家機関 ·······················································161<br />
4.2.1 エネルギー・鉱山省(MEM: Ministry of Energy and Mines)················161<br />
4.2.2 地質局 (DGEO: Department of Geology)···································161<br />
4.2.2.1 DGEO 今回出張時面談内容 ··············································162<br />
4.2.2.2 DGEO アンケート回答 ··················································165<br />
4.2.3 鉱山局 (DOM: Department of Mines) ······································169<br />
4.2.3.1 DOM 今回出張時面談内容 ···············································169<br />
4.2.4 外国投資を管理する組織:投資奨励管理委員会(CPMI: Committee of Promotion and<br />
Management of Investment) ·············································172<br />
4.2.5 水資源環境庁(首相府) (WREA: Water Resources and Environment Agency)····176<br />
4.2.6 労働・社会福祉省 (MOLSW: Ministry of Labor and Social Welfare)··········176<br />
4.2.7 財務省 (MOF: Ministry of Finance) ······································176<br />
4.2.8 商務省 (MOC: Ministry of Commerce)·····································176<br />
4.2.9 ラオス人民民主共和国国立銀行 (The State Bank of the Lao PDR)···········176
4.3 鉱業政策概要 ·····························································177<br />
4.3.1 制度概要 ·······························································178<br />
4.3.2 現状と鉱産物の評価・経済効果 ···········································181<br />
4.3.3 鈴木基義教授(広島大)の論文よりラオス鉱山の経済効果紹介···············185<br />
4.3.3.1 忘れられた国の巨万の富 ···············································185<br />
4.3.3.2 初の貿易黒字 ·························································186<br />
4.3.3.3 三井物産が探査契約 ···················································186<br />
4.4 鉱山地質系教育機関 ······················································187<br />
4.4.1ラオス技術専門学校(Polytechnic College)·······························187<br />
4.4.1.1 パンフレットから ·····················································187<br />
4.4.1.2 鉱山地質関係の履修内容 ···············································188<br />
4.4.1.3 今回出張時面談内容 ···················································190<br />
4.4.2.国立ラオス大学工学部(FE: Faculty of Engineering, NUOL: National University<br />
of Laos) ·····························································192<br />
4.4.2.1 パンフレットから ·····················································192<br />
4.4.2.2 今回出張時面談内容 ···················································192<br />
4.4.2.3 鉱山コースについて入手資料より·······································194<br />
4.5 その他訪問先 ·····························································199<br />
4.5.1 ラオス国立大学本部国際協力部 ···········································199<br />
4.5.2 Minerals and Metals Group (MMG LXML)···································200<br />
4.5.3 Phu Bia Mining ·························································205<br />
4.5.4 JICA ラオス事務所 ······················································<strong>21</strong>5<br />
4.5.5 ビエンチャン日本商工会会長 ·············································<strong>21</strong>6<br />
4.5.6 在ラオス日本大使館 ·····················································<strong>21</strong>6<br />
Ⅴ カンボジア現地調査 ························································<strong>21</strong>8<br />
5.1 現地出張 ·································································<strong>21</strong>8<br />
5.1.1 調査期間 ·······························································<strong>21</strong>8<br />
5.1.2 調査団構成 ·····························································<strong>21</strong>8<br />
5.1.3 調査内容 ·······························································<strong>21</strong>8<br />
5.1.4 調査日程と面談主要相手方 ···············································<strong>21</strong>8<br />
5.1.5 調査結果 ·······························································<strong>21</strong>9<br />
5.1.6 総括 ···································································<strong>21</strong>9<br />
5.1.7 中国の動き ·····························································220<br />
5.1.8 韓国の動き ·····························································2<strong>21</strong><br />
5.1.8 日本の民官の動き ·······················································2<strong>21</strong><br />
5.2 鉱業国家機関 ·····························································225<br />
5.2.1 工鉱業エネルギー省 (MIME: Ministry of Industry, Mine and Energy)·······225
5.2.2 鉱物資源総局(GDMR: General Department of Mineral Resources)············226<br />
5.2.2.1 GDMR 今回出張時面談内容 ··············································229<br />
5.2.2.2 GDMR アンケート回答 ··················································233<br />
5.2.3 カンボジア開発評議会(CDC: Council for the Development of Cambodia)·····241<br />
5.2.3.1 鉱石の輸出禁止規定 ···················································242<br />
5.2.3.2 カンボジアへの投資概況 ··············································243<br />
5.2.4 環境省(MOE: Ministry of Environment)···································244<br />
5.2.4.1 環境省今回訪問時面談内容 ·············································245<br />
5.2.5 労働職業訓練省 (MOLAVT: Ministry of Labor and Vocational Training)·····246<br />
5.2.6 経済財政省 (MOEAF: Ministry of Economy and Finance)····················247<br />
5.2.7 商務省 (MOC: Ministry of Commerce)·····································247<br />
5.3 鉱山地質系教育機関:カンボジア工科大学(ITC: Institute of Technology of<br />
Cambodia) ·······························································248<br />
5.3.1 パンフレットから ·······················································248<br />
5.3.2 出張時面談内容 ·························································248<br />
5.3.3 ITCジオテクニカルのコースの内容 ········································251<br />
5.3.4 ITC ジオテクニカル教授陣との面談 ·······································251<br />
5.3.5 ITC アンケート回答 ·····················································252<br />
5.4 その他訪問先 ····························································258<br />
5.4.1 教育省 ·································································258<br />
5.4.2 三井物産プノンペン事務所 ···············································260<br />
5.4.3 JICA カンボジア事務所 ··················································268<br />
5.4.4 日本大使館 ·····························································269<br />
Ⅵ 考察と提言 ································································271<br />
6.1 ベトナムへの支援の在り方 ·················································271<br />
6.1.1 ベトナム要望 ···························································271<br />
6.1.2 ベトナムへの支援の在り方 ···············································276<br />
6.2 ラオスへの支援の在り方 ···················································277<br />
6.2.1 ラオス要望 ·····························································277<br />
6.2.2 ラオスへの支援の在り方 ·················································280<br />
6.2.3 ラオスへの支援策のオプション ···········································281<br />
6.2.4 支援の具体的イメージ ···················································283<br />
6.3 カンボジアへの支援の在り方 ···············································287<br />
6.3.1 カンボジア要望 ·························································287<br />
6.3.2 カンボジアへの支援策の在り方 ···········································290
6.4 全体として ·······························································292<br />
参考資料 ·····································································299<br />
巻末資料 ·····································································302
図一覧<br />
第Ⅰ-1 図 インドシナ東部の地質構造区区分 ··································· 17<br />
第Ⅰ-2 図 インドシナ 3 国の金属鉱床・鉱徴分布図 ····························· 18<br />
第Ⅰ-3 図 ベトナム北部のレアアース鉱床・鉱徴位置図 ························· 22<br />
第Ⅲ-1 図 商工省の組織図 ·················································· 138<br />
第Ⅲ-2 図 天然資源環境省の組織図 ·········································· 139<br />
第Ⅲ-3 図 地質鉱物総局の組織図 ············································ 140<br />
第Ⅲ-4 図 地方省の組織図(Lao Cai 省) ···································· 141<br />
第Ⅲ-5 図 VINACOMIN の組織図 ··············································· 142<br />
第Ⅲ-6 図 VIMICO の組織図 ·················································· 143<br />
第Ⅴ-1 図 カンボジア工鉱業エネルギー省組織図 ······························ 226<br />
表一覧<br />
第Ⅰ-1表 ベトナム社会主義共和国の主要非鉄金属の生産量(2008年)···············2<br />
第Ⅰ-2表 日本のベトナム社会主義共和国からの主要非鉄金属輸入実績(2008年)·····2<br />
第Ⅰ-3表 Sepon鉱山の金生産概況 ··············································8<br />
第Ⅰ-4表 Sepon鉱山の銅生産概況 ··············································8<br />
第Ⅰ-5表 Phu Bia Heap Leach 金鉱山の金生産概況······························9<br />
第Ⅰ-6表 ラオス人民民主共和国の主要非鉄金属の生産量(2008年)················10<br />
第Ⅰ-7表 インドシナ3国における新規開発鉱山及び本邦法人関係プロジェクト·····12<br />
第Ⅰ-8表 主要非鉄金属の生産量推移 ··········································12<br />
第Ⅰ-9表 我が国の主要非鉄金属輸入実績 ·····································13<br />
第Ⅰ-10 表 Battambang ボーキサイト鉱床の成分分析··························· 31<br />
第Ⅲ-1表 ベトナム現地調査日程 ··············································83<br />
第Ⅳ-1表 ラオス現地調査日程 ··············································144<br />
第Ⅳ-2表 ラオス大学工学部土木工学科鉱山工学コース教官名簿·················196<br />
第Ⅳ-3表 ラオス大学工学部土木工学科鉱山工学コース必要資機材・図書·········197<br />
第Ⅴ-1表 カンボジア現地調査日程 ···········································<strong>21</strong>8<br />
第Ⅴ-2表 GDMRの組織 ·····················································227
参考引用一覧<br />
第Ⅲ-1 参考引用:ベトナム政府、日本にレアアースを安定供給の方針 読売新聞 ·····85<br />
第Ⅲ-2 参考引用:「ベトナム・ドンパオレアアース鉱山開発プロジェクト」「ドンパオ区<br />
域希土類鉱山開発周辺インフラ整備調査」<strong>経済産業省</strong>資料······86<br />
第Ⅲ-3 参考引用:「PPP を活用した取り組み」<strong>経済産業省</strong>資料から··················87<br />
第Ⅲ-4 参考引用:「希土類ベトナムで開発」政府系と豊田通商 新鉱床の権益獲得<br />
日本経済新聞 ··············································87<br />
第Ⅲ-5 参考引用:「ベトナムにレアアース磁石用合金の原料製造会社を設立」<br />
昭和電工ニュースリリース ·································88<br />
第Ⅲ-6 参考引用: 資源案件に係る円借款案件形成等調査及び民活インフラ案件形成等<br />
調査 JOGMEC ···············································90<br />
第Ⅲ-7 参考引用:JOGMEC ベトナムで銅・レアアースの共同資源開発基礎調査を開始··91<br />
第Ⅲ-8参考引用:ボーキサイト泥の海洋投棄中止=来春めどに精製打ち切り········136<br />
第Ⅳ-1 参考引用:鉱物研究センター設立合意で署名:ラオスのビジネスを読む。 ···148<br />
第Ⅳ-2 参考引用:鉱物調査・分析センターの建設が開始:<br />
ラオスのビジネスを読む。 ··································149<br />
第Ⅳ-3 参考引用:中国からの投資:ラオスのビジネスを読む。 ···················149<br />
第Ⅳ-4 参考引用:3 カ国によるボーキサイトと精錬工場投資:<br />
ラオスのビジネスを読む。 ···································151<br />
第Ⅳ-5 参考引用:ラオス・韓国 エネルギー・鉱物部門で協力:<br />
ラオスのビジネスを読む ·····································152<br />
第Ⅳ-6 参考引用:セポン郡で鉄鉱物調査:ラオスのビジネスを読む。 ··············152<br />
第Ⅳ-7 参考引用:ロシア、アタプーで亜鉛調査を開始:ラオスのビジネスを読む ···152<br />
第Ⅳ-8参考引用:《日系進出》三井物産、ラオスでボーキサイト探鉱社設立ヘ······153<br />
第Ⅳ-9 参考引用:双日、日鉄鉱業と共同でラオスに銅鉱床の探鉱権を取得 ·········154<br />
第Ⅳ-10 参考引用:JOGMEC、ラオス人民民主共和国で初の共同探鉱契約を締結 ······155<br />
第Ⅳ-11 参考引用:ラオス向け投資が急拡大 資源開発やサービス、09 年は 3.5 倍に<br />
日経ネット ·················································172<br />
第Ⅳ-12 参考引用:世界金融危機の中、サワンナケート県への投資が増加:ラオスのビジ<br />
ネスを読む。 ···············································173<br />
第Ⅳ-13 参考飲用:中国からの投資:ラオスのビジネスを読む。 ·····················173<br />
第Ⅳ-14 参考引用:上半期、ベトナムからの投資が 10 億ドル以上に:ラオスのビジネス<br />
を読む ···················································175<br />
第Ⅳ-15 参考引用:国家主席 3 法の施行に関する主席令を公布:<br />
ラオスのビジネスを読む ·····································178<br />
第Ⅳ-16 参考引用:採鉱 30 事業取消し:ラオスのビジネスを読む。 ···············180<br />
第Ⅳ-17 参考引用:輸出入統計:ラオスのビジネスを読む。 ······················182<br />
第Ⅳ-18 参考引用:銅線を生産:ラオスのビジネスを読む。 ······················182<br />
第Ⅳ-19 参考引用:ラオス・ベトナム 送電線生産を開始:ラオスのビジネスを読む 183
第Ⅳ-20 参考引用:セポン金山、第四四半期税を納税:ラオスのビジネスを読む ····183<br />
第Ⅳ-<strong>21</strong> 参考引用:オキシアナ金銅、ラオス輸出の 50%超:ラオスのビジネスを読む183<br />
第Ⅳ-22 参考引用:第四の銅鉱山開発が近く開始:ラオスのビジネスを読む。 ······184<br />
第Ⅳ-23 参考引用:「地下に眠る鉱物資源と無尽蔵の水力資源」鈴木基義広島大学大学院<br />
国際協力研究科教授:「国際開発ジャーナル」誌短期集中連載「ラオ<br />
スの開発ポテンシャル」第 2 回:2009 年 5 月号より抜粋 ······185<br />
第Ⅳ-24 参考引用:MMG LXML 目標を達成:ラオスのビジネスを読む。··············202<br />
第Ⅳ-25 参考引用:価格上昇で生産も増加:ラオスのビジネスを読む。 ············202<br />
第Ⅳ-26 参考引用:MMG LXML、第 2 四半期資源税を納税:ラオスのビジネスを読む ··203<br />
第Ⅳ-27 参考引用:MMG 社の 4 半期報告 MMG December Quarter Report 2009 から····203<br />
第Ⅳ-28 参考引用:LXML67 名を追加解雇:ラオスのビジネスを読む。··············204<br />
第Ⅳ-29 参考引用:Phu Bia 社、拡大を計画:ラオスのビジネスを読む。···········207<br />
第Ⅳ-30 参考引用:プービアマイニング社、財政立て直し後に金の採掘を増強:ラオスの<br />
ビジネスを読む。 ···········································207<br />
第Ⅳ-31 参考引用:プービアマイニングからの政府歳入は年 5000 万ドル以上:ラオスの<br />
ビジネスを読む。 ···········································207<br />
第Ⅳ-32 参考引用:Panaust 社 web サイトから Phu Kham 銅金鉱山の概況について····208<br />
第Ⅳ-33 参考引用:2009 年の Phu kham 鉱山操業概況:December Quarter 2009 Activities<br />
and Cash Flow Report ·······································<strong>21</strong>1<br />
第Ⅴ-1 参考引用:カンボジア・中国は鉱物資源開発で協力へ:JOGMEC Virtual 金属情報<br />
センター ニュース・フラッシュ ·····························220<br />
第Ⅴ-2 参考引用:カンボジアへ韓国 180 億円支援:日本経済新聞 ·················2<strong>21</strong><br />
第Ⅴ-3 参考引用:カンボジアで初の銅・亜鉛等の共同探鉱を開始 ·················2<strong>21</strong><br />
第Ⅴ-4 参考引用:【躍動メコン】カンボジア編 豊富な地下資源に期待 SankeBiz ···223<br />
第Ⅴ-5 参考引用:カンボジアの現状:ラオスのビジネスを読む。 ·················243<br />
第Ⅴ-6 参考引用:AUN/SEED-Netアセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクトにつ いて ·······················································250<br />
第Ⅴ-7 参考引用:カンボジア鉱石がベトナム企業の利益を上げる<br />
THE PHNOM PENH POST ········································261<br />
第Ⅴ-8 参考引用:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global witness:ラオスのビジネスを読<br />
む。 ·······················································261<br />
第Ⅴ-9 参考引用:Ly Yong Phat 氏:ラオスのビジネスを読む。···················262<br />
第Ⅴ-10 参考引用:鉱業活動地図:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global witness ···264<br />
第Ⅴ-11 参考引用:目次:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global witness ···········265<br />
第Ⅴ-12 参考引用:鉱業権はいくらかかるか?:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global<br />
witness ····················································266
Ⅰ 鉱業事情<br />
1.1 インドシナ 3 国における鉱業の現状<br />
1.1.1 <strong>インドシナ地域の</strong>鉱業<br />
<strong>インドシナ地域の</strong>鉱業は、歴史的にベトナムでの無煙炭開発に始まる。<br />
近代の鉱物資源開発は、フランス統治時代にフランス・インドシナ地質局(French Geol.<br />
Service of Indochina)により 1900 年から 1940 年の間にインドシナ 3 国全域で実施され<br />
た地質予察調査に始まる。<br />
その後、金属鉱物資源の調査が広く行われていたが、特筆すべき成果は得られていない。<br />
1950 年代以降は第 2 次インドシナ戦争などの戦乱により、地表調査は実施不可能とな<br />
った。この間にも、ソ連の援助やフランス BRGM との共同調査が行われている。<br />
インドシナ 3 国は長く続いた戦争など政治的不安定な状況を脱し、それぞれ、外資に解<br />
放された経済改革を推進している。<br />
第 1 次、第 2 次インドシナ戦争や内戦の間、地表調査は、困難であり、調査・探鉱活動<br />
は停滞していた。その後、ベトナムのドイモイ政策など、各国が外資に開放された経済政<br />
策を行うことで、インドシナ地域では金属鉱物資源の開発・生産が開始され、鉱業の発展<br />
途上段階に至った。<br />
下表に主要非鉄金属の生産量推移を示す。ラオスでは外資による本格的な銅生産が始ま<br />
っている。<br />
我が国はベトナムからチタン鉱石、ボーキサイトなどを輸入しており、また、銅・レア<br />
アース等の共同開発を始めている。<br />
1.1.2 ベトナム鉱業の現状<br />
ベトナムは歴史的に石炭採掘を行ってきた。他に地元民による金の地表採取が広く行わ<br />
れていた。金属鉱物としては、クロム鉱石、イルメナイト、ボーキサイトなどを採掘し輸<br />
出している。亜鉛の小規模鉱山も操業している。最近では中国等外資の進出があり、小規<br />
模であるが亜鉛製錬、銅の採掘、製錬が始まっている。ベトナムはレアメタルの賦存ポテ<br />
ンシャルが高いことでも知られ、JOGMEC は地質鉱物資源局と共同で、<strong>平成</strong> 19 年度から<br />
ラオカイ地域においてレアアースの探査を開始した。また、ボーキサイト及びレアアース<br />
開発プロジェクトのインフラ整備に係る調査を実施している。<br />
ベトナムでは、中央政府の関連部局と地方政府(人民委員会)が鉱業行政を行っている。<br />
また、石炭鉱物産業グループ(Vinacomin)を中心とする公社が、主に探鉱・開発を実施し<br />
ている。資源の輸出入に関し、ベトナムでは付加価値をつけるため、原則鉱石の輸出は禁<br />
止となっている。<br />
- 1 -
第Ⅰ-1表 ベトナム社会主義共和国の主要非鉄金属の生産量(2008 年)<br />
鉱種 生産量(A) 世界(B) (A)/(B)(%) ランク<br />
クロム鉱石(千 t) 55.9 23,865.0 0.2% 14<br />
スズ鉱石(千 t) 5.4 312.4 1.7% 7<br />
スズ地金(千 t) 3.9 334.0 1.2% 9<br />
ボーキサイト(千 t) 95.0 209,098.7 0.0% 24<br />
亜鉛鉱石(千 t) 45.6 12,168.3 0.4% <strong>21</strong><br />
亜鉛地金(千 t) 12.0 11,542.7 0.1% 32<br />
鉛鉱石(千 t) 25.2 3,891.7 0.6% 17<br />
銅鉱石(千 t) 5.8 15,555.9 0.0% 41<br />
出典:World Metal Statistics Yearbook 2009<br />
第Ⅰ-2 表 日本のベトナム社会主義共和国からの主要非鉄金属輸入実績(2008 年)<br />
鉱種 輸入量(A) 世界(B) (A)/(B)(%) ランク<br />
APT(t) 37 2,427 1.50% 2<br />
アンチモン地金(t) 554 6,740 8.22% 2<br />
スズ地金(千t) 1 31 3.17% 5<br />
チタン鉱石(千t) 146 415 35.07% 1<br />
ボーキサイト(千t) 65 2,073 3.14% 4<br />
マンガン鉱石(t) 1,300 1,106,196 0.12% 4<br />
モリブデン鉱石(t) 162 37,642 0.43% 10<br />
金地金(kg) 82 35,100 0.23% <strong>21</strong><br />
出典:日本貿易月表 2008<br />
ベトナムの最近の鉱山・製錬所状況を次に示す。<br />
① Sin Quyen 銅・鉄・レアアース(REE)鉱山開発プロジェクト<br />
本プロジェクトは、LaoCai 省Muong Do とBan Vuc の中間地点でHanoi の北西330km、<br />
Lao Cai 市の北西20km に位置する。原生界の変成岩類中に貫入する白亜紀~古第三紀の花<br />
崗岩の活動により形成されたIOCG 鉱床とされている。主要鉱石鉱物は、黄鉄鉱、硫砒鉄鉱、<br />
黄銅鉱、磁鉄鉱及びオーサイトであり、レアアースは主としてオーサイトに含まれている。<br />
ベトナム国営鉱物公社(VIMICO)が操業する。鉱山と選鉱場はLao Cai 市から北西25km の<br />
Hong 河の西岸に位置し、東岸は中国領である。同鉱床は1961 年に発見され調査されたが<br />
1979 年の中越戦争で中断し、その後豪州企業2社が追加調査を行い、銅56 万t の資源量を<br />
- 2 -
確認したが銅価格の低迷により撤退し、その後、VIMICO が調査を継続し17 鉱体を確認し<br />
て、ベトナム初の銅鉱山として開発された。本施設は中国の専門家が設計・建設を行った。<br />
投資額全体の約60%は中国からの借款である。鉱石生産量は年産120 万t、精鉱生産量4 万<br />
1,700t、地金1 万t を生産する計画である。埋蔵鉱量は、60 万t、銅品位0.98%、金品位<br />
0.44g/t、磁鉄鉱5.4%、REE 0.7%と推定される。本施設の建設は計画より1 年以上遅れ、<br />
2006年4 月14 日に浮遊選鉱施設が開業した。浮遊選鉱施設は100t/日の銅精鉱を生産でき<br />
る。製錬所はLao Cai 市の南東30km、Tang Loong市の工業団地に建設され、生産開始は2008<br />
年上期になる見込みである。現在、Sin Quyen 銅山の南、Ta Phoi 地域で、INTERGEO 部門<br />
(DGMV の事業部)が探鉱を行っている。2005 年、5 本(合計640m)の試掘が行われ5本すべて<br />
で銅を補足。さらに2006 年3~5 月にかけて10 本(合計1,200m)の試掘が行われ10 本すべ<br />
てで銅が発見された。鉱体の厚さは100m 以上と推定される。ベトナム国内では、極めてポ<br />
テンシャルの高い銅鉱山として注目されている。埋蔵量の評価はINTERGEO 部門が担当して<br />
いる。<br />
② Thai Nguyen 鉛・亜鉛製錬所<br />
Bac Kan 省Cho Dien 地区に拠点を置き、硫化物浮遊選鉱場2 工場を有する。同製錬所<br />
にはBacKan 県の地方企業が経営し、小規模鉱山から鉱石を受け入れて処理を行っている浮<br />
遊選鉱場2工場もあり、4 工場をあわせて全体では18,000~20,000t の精鉱(亜鉛品位50%)<br />
を加工・生産している。<br />
③ 電気亜鉛精錬所:<br />
Thai Nguyen 省Song Cong 地区Song Cong 工業団地に立地する亜鉛地金・生産能力<br />
10,000tの電解精錬所で、ハノイの北方50km(ThaiNguyen 市から南約10km)に位置する。<br />
Vinacomin傘下のThai Nguyen Nonferrous Metal Companyが操業する。総工費1,240 万US$を<br />
投じ建設され、2006 年12 月20 日から操業を開始した。ベトナムの亜鉛輸入依存度を低下<br />
させ、国内市場へ亜鉛地金を供給する。製品ブランドは、ZincNo.1( 亜鉛純度99.995 % ) 、<br />
Zinc No.2( 同99.95%)、硫酸(SO4 98%)の3 品目である。ThaiNguyen Nonferrous Metal<br />
Company は、亜鉛のほか、錫、鉛、タングステン、銅の加工なども行っている。硫酸は主に<br />
海外へ輸出されている。<br />
④ Thai Nguyen 製鉄所・銑鉄工場<br />
Thai Nguyen 省Thai Nguyen 市Gam Gia Wardに位置する。同工場の生産能力は銑鉄1 万<br />
5,000t/年である。<br />
⑤ Nui Phao 鉱山<br />
Nui Phao 鉱山は、Hanoi 市北西約80km、ThaiNguyen 県Dai Tu 地区のNui Phao に位置<br />
するタングステン鉱山である。鉱床タイプは、スカルン鉱床で白亜紀の両雲母花崗岩がグ<br />
ライゼン化し、生産鉱物は灰重石を主体として蛍石、銅、ビスマスを随伴する。鉱床が鉄<br />
道の直下に胚胎し鉱区内に民家が点在するため、鉄道の移設、住民の立ち退き交渉等、地<br />
域・社会問題が顕在化、長期化し開発が遅延している。同鉱山の最終FS 調査は2005年7月<br />
に完了し、年産量は、タングステン精鉱(WO₃)4,689t、銅精鉱5,537t、ビスマス(粗金<br />
属)1,991t、蛍石精鉱<strong>21</strong> 万3,739t規模を予定している。鉱石埋蔵量は鉱量5,571万t、WO3 品<br />
位0.207%、CaF₂ 品位8.13%、銅品位0.185%、金品位0.206g/t、ビスマス品位0.093%と<br />
なっている。鉱山ライフは16.3 年である。2006年9月、FS 調査の見直しが実施された。同<br />
- 3 -
鉱山は、Tiberon 社が1997年後半に探鉱を開始し、2002年4月にプレFS に着手し、2004年2<br />
年にベトナム政府より投資許可を、2005年3月に環境影響評価認可を、2005年6月に鉱山開<br />
発許可を得て開発が進められていた。カナダ企業によるベトナム最大の投資案件で投資額<br />
は2億2,980万US$である。2004年11月、ビスマスの世界的生産者であるSidech SA と、同鉱<br />
山から生産されるビスマス精鉱を全量、5 年間、納入する契約で合意に達している。タン<br />
グステン精鉱は、Osram Sylbania 社(本社:デンバー)が全量、5 年間の引取権を有し、さ<br />
らに5 年間延長できる。2006年2月には、Osram Sylvania社がNui-Phao で生産される精鉱<br />
の全量を引き取るオフテイク契約オプションを行使、これに伴い鉱石の取り扱い権は、同<br />
社が独占することになった。<br />
⑥ Ban Phuc ニッケル・銅プロジェクト<br />
同プロジェクトは、Hanoi 市西方160km に位置し、Asian Mineral Resources 社は、完全<br />
子会社AMR Nickel Limited 社を通じBan PhucNickel JV の権益90%を保有する。残り権益<br />
はSon La 省が保有する。外国投資ライセンス(~2013)で交付された面積は150km2 である。<br />
2007年12 月17 日、採掘権(Mining License)を取得した。建設工事は、2007 年第3 四半期<br />
に開始し、ニッケル銅精鉱の生産開始は2008 年後半を目指している。2007 年は、Ban Phuc<br />
DISS、MSV(塊状硫化鉱脈)の両地区と150km2 の全域で探鉱を継続する。<br />
FS 調査(2007 年4 月現在)によれば、投資額は3,310 万US$。粗鉱処理量20 万t の坑内<br />
掘鉱山でバルク浮遊選鉱によりニッケル銅精鉱を生産する。ニッケルの回収率は85.6%、<br />
精鉱中のニッケル品位は9.5%である。生産量は、金属量ベースでニッケル4,000t/年、銅<br />
2,000t/年である。鉱山建設は1 年で、5 年の操業を見込んでいる。<br />
確定鉱物埋蔵量は47 万t、ニッケル品位2.60%、銅品位1.0%、コバルト0.1%。推定鉱<br />
物埋蔵量は55 万t、ニッケル品位2.20%、銅品位0.9%、コバルト0.1%が見込まれている。<br />
金属量ベースでは、ニッケル2 万4,130t、銅1 万70t となっている。<br />
精鉱は、Hai-Phong 港へトラック輸送され、<br />
電力は、Son La 省電力局により供給される<br />
(7) Bac Kan 鉛亜鉛プロジェクト<br />
Bac Kan 省Na Tum に位置し、Bac Kan Mineral社が鉛・亜鉛の探鉱を行っている。同社<br />
は、2005年6 月8 日付けNo.1205/GP-BTNMT にてMONREより鉱業権を取得した。<br />
1.1.3 ラオス鉱業の現状<br />
ラオスでは、錫、鉄、金、アンチモンなどが小規模に採掘されたといわれている。1994<br />
年の改正ラオス外国投資奨励法施行以来外国企業の探査が始まり、2003 年にオーストラリ<br />
ア資本により Sepon 金鉱山が生産開始し、2005 年末には Sepon 銅鉱山(年生産能力銅量6<br />
万トン)の生産が開始された。また、2008 年には Phu Kham 銅鉱山(年生産能力銅量 6.5<br />
万トン)が操業開始した。<br />
ラオス政府は、我が国の提言等に基づき、鉱業法の改正、諸規則の制定など法規の整備<br />
に取り組んでいる。また、2007 年 1 月に鉱業権の見直しを実施している。この時点での<br />
鉱業権の発行数は 169 件で、海外企業が 69 件であった。<br />
我が国企業も首都ビエンチャンの西約 100km に位置する Moune 地域でラオス政府より<br />
- 4 -
約 226 ㎢の範囲の探鉱権を取得し、銅探鉱に着手した。<br />
また、三井物産は英豪資源大手リオ・ティント社と組み、ボーキサイトの探査を 2009<br />
年 11 月に開始すると報道されている。<br />
ラオスは、2003 年1 月、豪Oxiana Resources/LaneXang Minerals(合弁事業会社)によ<br />
るSepon 金鉱山の金生産により、インドシナ半島最大の金生産国となり、2005 年3 月、同<br />
金鉱山に隣接するKhanong 銅鉱床の開発(SXEW)によって、同国初の銅カソードを生産し、<br />
資源国の仲間入りを果した。また、ラオスは、豪Pan Australian Resources 社によるPhu Bia<br />
金鉱山の開山により、2006 年の金の生産量は6.07t を記録し、2008 年にはPhu Kham 銅鉱<br />
山の生産開始によって、銅精鉱生産が予定されるなど、アジア域内で最も注目される国で<br />
ある。<br />
1.1.3.1 ラオスの鉱業活動の変遷<br />
2004 年~2006 年の間に、鉱業関連の投資プロジェクトは、2004 年が 58 件であったも<br />
のが、118 件まで増加し、2.03 倍の伸びを見せた。また外資が関連する鉱業プロジェクト<br />
は、2004 年は 27 件であったものが、33 件(1.22 倍)に増加した。外資は、豪州・カナダ・<br />
中国・韓国・ロシア・タイでそのほとんどを占める。2007 年の鉱業セクターにおける投資<br />
件数は 118 件であり、そのうち外資によるものが 33 件(28.0%)であり、全 118 件中、55<br />
件(46.6%)が探鉱プロジェクト、36 件(30.5%)が採掘プロジェクト、27 件(22.9%)が一般的<br />
な地質調査プロジェクトとなっている。<br />
ラオスの鉱業は、4 つの銅・金・鉛・銀を採掘する大~中規模鉱山(Sepon 鉱山、Phu<br />
Bia-Phu Kham 鉱山、Phu Luang 鉱山、Kaiso 鉱山)と外資合弁企業からなる 8 つの石膏・<br />
宝石・石灰石・錫・亜鉛・セメントを採掘する鉱山、いくつかの政府と民間企業の合弁企<br />
業である小規模鉱山からなる。地質鉱山局(改組以前)によれば、ラオスでは 2006 年に操業<br />
されている鉱山数は 35 であり、そのうち 23 鉱山が産業用鉱物(非金属鉱物等)、9 鉱山が<br />
金属鉱物、3 鉱山が宝石(サファイヤ)を採掘している。<br />
鉱業セクターは、外貨獲得と GDP に対する鉱業部門の寄与を考慮すると、ラオス国内<br />
経済の重要な部門となりつつある。最新の IMF(国際通貨基金)の統計によれば、鉱業セク<br />
ターは、2006 年にはラオス全体の GDP のなかで 5.3 %を占めるに至った(2005 年:3.1%、<br />
2004 年:1.5%、1998 年:0.42%)。<br />
ラオスにおける鉱業活動の変遷について記すと、ラオスの 1990 年代以降の鉱業活動史<br />
は、以下の 3 時期に分けられる。<br />
(1) 1992 年~1998 年:Rio Tinto 社、Newmont 社及び Anglo America 社などの関連<br />
現地会社の探鉱活動及び改訂鉱業法制定とアジア通貨危機<br />
(2) 1999 年~2005 年:Oxiana 社・PAR 社などの新規参入及び鉱山開発ラッシュ<br />
(3) 2006 年~2007 年(現在):鉱山開発後の操業及び探鉱活動の更なる活発化、鉱業<br />
セクターによる GDP の押し上げ<br />
① 1992 年~1998 年<br />
- 5 -
Rio Tinto 社は、現在の Sepon 鉱山地区の探鉱を 1992 年から行っていた。また、Phu Bia<br />
Mining.社(Normandy Mining 社と Anglo America 社の 50%-50%の共同企業体)は、1992<br />
年から、現在の Phu Kham-Phu Bia 地区の権益を保持していた。Newmont 社は、1993<br />
年~1996 年の間に Xaignabouli 県と Vientiane 県において、6,500km2 に及ぶ範囲で銅・<br />
金をターゲットにして、探鉱活動を行っている。このような状況の中、1997 年にラオス政<br />
府が、世界銀行の協力を得て、改訂鉱業法を策定し、外国企業の投資誘致を画策していた<br />
時期に、同年のアジア通貨危機の影響を受け、ラオス経済は、年間 GDP 成長率が 4.0%(前<br />
年比-2.9%減)に低下した時期となった。1996 年当時のラオス全体では、商業用鉱業活動<br />
は、錫・石膏・石炭に限られ、小規模な鉱業として、サファイヤ・金・岩塩・石灰石・粘<br />
土・骨材などが見られるに過ぎなかった。<br />
② 1999 年~2005 年<br />
1999 年以降、鉱山開発に結びつくような鉱業活動が見られるようになる。<br />
1999 年に、Oxiana 社は、Rio Tinto 社が Sepon 鉱山周辺に保持していた権益の 80%を<br />
2,200 万ドル( 約 22 億円、1 ドル=100 円として計算、以下同じ) と Net Revenue<br />
Royalty:1.5%を対価として、その権益を取得した。その後、Oxiana 社は、2000 年 5 月よ<br />
り、バンカブル F/S を実施し、2001 年にバンカブル F/S を終了後、2002 年には、4,500<br />
万ドル(45 億円)を投じて、鉱山・プラント建設工事に着手し、権益取得から 4 年後の 2003<br />
年 2 月に Sepon 金鉱山を開山させている。尚、Sepon 金鉱山は、2003 年 2 月の開山以来、<br />
2007 年末までに金 24.4 トン、銀 20.8 トンを生産した。これと並行して、Sepon-Khanong<br />
銅鉱山の開発に着手し、2002 年にバンカブル F/S を終了後、2.35 億ドル(約 235 億円)を<br />
投じて、2004 年から銅鉱山建設工事を実施し、2005 年には、Sepon-Khanong 銅鉱山を開<br />
山するに至った。同鉱山では、2006 年~2007 年にかけて、年間約 6 万トンの銅カソード<br />
の生産を行っている。<br />
Pan Australia Resources 社(豪州、以下 PAR 社と省略)は、2000 年に Phu Bia Mining<br />
社から、その権益の 80%を取得した。その後、2002 年に Pre-F/S(230 万ドル、約 2.3 億<br />
円)に着手、2003 年からはバンカブル F/S(700 万ドル、約 7 億円)に移行し、2004 年にバ<br />
ンカブル F/S 終了及び建設工事の着手を経て、2005 年 11 月に Phu Kham 金鉱山を開山<br />
するに至った。<br />
Padaeng Industry Public 社(タイ、以下 PIP 社と省略)は、1997 年より、Vientiane<br />
県の Kaiso 地区で鉱業権を申請し、2000 年から建設工事を開始し、2001 年に Kaiso 鉛-<br />
亜鉛鉱山を開山した。<br />
First Pacific Mining 社(中国、以下 FPM 社と省略)は、2003 年にラオス政府と投資協定<br />
を締結し、2005 年初頭に Phu Luang 鉛-亜鉛鉱山を開山した。しかしながら、2005 年に<br />
なり、Rox Resources 社(豪州、以下 Rox 社と省略)が、銅鉱山の権益の 60%を取得し、残<br />
りの権益は、FPM 社が 23%、Triple Nine Mining 社(タイ)が 17%の権益を保有すること<br />
となった。<br />
③ 2006 年~2007 年(現在)<br />
2005 年以降の鉱山開発は、PAR 社により、Phu Kham 鉱山において、2.3 億ドル(約 230<br />
億円)を投じて、銅鉱山開発が開始され、2008 年 3 月に Phu Kham 銅鉱山が開山に至って<br />
いる。ラオスではそれ以降の大規模な新規鉱山の開発案件はない。しかしながら、ラオス<br />
- 6 -
南部での中国-豪州合弁企業によるボーキサイト探鉱案件、雲南銅業集団によるヴィエンチ<br />
ャン周辺での岩塩探鉱案件など、アルミナや非金属鉱物の探鉱・開発も行われつつある。<br />
GDP と鉱山開発の関係を見ると、Sepon 金鉱山が開発された 2003 年には、GDP 成長<br />
率は 5.8%であったものが、2004 年には 6.9%、2005 年には 7.3%、さらに Khanong 鉱山・<br />
Phu Kham 鉱山等の開山後の 2006 年には 8.3%を記録した。IMF によれば、ラオスの GDP<br />
成長率は、2008 年 7.9%、2009 年 8.2%と予想され、鉱業活動がラオス経済全体に大きく<br />
寄与していることがうかがえる。<br />
1990 年代から現在までのラオスでの鉱業活動を概観した結果、鉱業活動の変遷から、<br />
Oxiana 社・PAR 社の例を見ると、いずれも大手非鉄メジャーと呼ばれる企業が数年間探<br />
鉱活動を実施してきた権益に参入し、権益取得から、バンカブル F/S を経て、4~5 年程度<br />
で開山に至っており、銅鉱山建設のための投資金額は 2.3 億ドル(230 億円)程度であったこ<br />
とが分かる。<br />
1.1.3.2 ラオスの最近の鉱山開発状況<br />
ラオスの最近の鉱山開発状況を次に示す。<br />
① Sepon 鉱山(Oxiana Resources Ltd)Sepon 鉱山は首都Vientiane の南東700km にある<br />
Savanakhet 県Vilabouly 管区Sepon に位置する露天掘り鉱山で、金鉱、銅鉱開発からな<br />
る。操業は、鉱山コントラクターのRoche Mining社とLotus Hall Mining 社の2 社が行な<br />
っている。2006年、生産、探鉱、建設に約3,500 人が従事し、このうち90 % 以上がラオ<br />
ス人で、Vilabouly 出身の従業員は全体の60%を占めている。外国人は10%弱である。<br />
製品は、GMS(メコン川流域開発計画)で整備された東西回廊を利用し、タイ、マレイシア、<br />
ベトナム、台湾、中国等の周辺国に供給されている。<br />
1) Sepon 金鉱開発<br />
① 埋蔵量(2007 年6 月30 日時点):確定鉱石埋蔵量(鉱床)100 万t 金 1.25g/t 銀 .38g/t、<br />
確定鉱石埋蔵量(貯鉱)87 万t 金 1.46g/t 銀 4.80g/t推定鉱石埋蔵量(鉱床)204 万t金<br />
0.76g/t 、銀 2.56g/t、金量で19万7,000oz 銀量で34万6,000oz<br />
② 採掘法/加工法:露天掘り/カーボン・イン・リーチ法(CIL)法<br />
③ 鉱石処理能力:220 万t/年<br />
④ 投資額:2002 年に4500 万US$を、2004年の2 期拡張工事に3,200 万US$を投資<br />
⑤ 生産開始:2002 年12 月。5 年間で延べ金80 万oz を生産した。2005 年から拡張<br />
工事を実施した。<br />
⑥ マインライフ 2年以上<br />
⑦ 探鉱活動:2007年は、Phavat North、Dankoy、Houay Yeng の3 鉱床においてボーリン<br />
グ調査を実施し、Phavat North 鉱床では金16 万1,000oz の賦存を確認した。同時に、金<br />
の初生鉱床を発見した。2008年にから採掘を開始する予定である。また、Dankoy、Houay Yeng<br />
の両鉱床合わせて、資源量で金37 万1,000oz の賦存を確認した。そのほか、現在の露天採<br />
掘場から西12kmにあるBai Mai Gold 鉱床においても地質調査を行った。<br />
⑧ その他: 産出物の販売先:金銀ドーレを精練所に運び、金塊(gold bullion)にする。<br />
その後、宝石商、製造業者、銀行に売却している。<br />
- 7 -
第Ⅰ-3表 Sepon鉱山の金生産概況<br />
金生産 2006年 2007年 増減(%)<br />
粗鉱生産量 2,909,000 2,161,000 -25.71<br />
品位(g/t) 2.3 1.8 -<strong>21</strong>.74<br />
回収率(%) 83.7 81 .5 -2.63<br />
生産量(oz) 173,500 102,400 -40.98<br />
生産量(kg) 5,396 3,185 -40.97<br />
キャシュコスト<br />
(US$/oz )<br />
330 445 34.85<br />
生産コスト(US$/oz) 480 685 42.71<br />
2) Kanong 銅鉱開発<br />
① 埋蔵鉱量(2007 年6 月30 日時点):確定鉱石埋蔵量(鉱床)1026 万t 銅 4.48%確定鉱石<br />
埋蔵量(貯鉱)234 万t 銅 2.47%推定鉱物埋蔵量(鉱床)454 万t 銅 5.89%銅量で78 万<br />
6,000t。<br />
② 目標年間生産量: 銅カソード6 万t 2010年までに8 万t へ拡張する。<br />
③ 採掘法/加工法:露天掘り/溶媒抽出-電解採取(SX-EW)法<br />
④ 鉱石処理能力:130 万t/年<br />
⑤ 投資額:2 億4,000 万US$<br />
⑥ 生産開始:2005 年年末(130 万t/年体制)2005 年3 月14 日 銅カソード初出荷<br />
⑦ その他:Oxiana 社は、金と銅の増産を計画しているため、Sepon 地区の最終的<br />
な生産量は、現在の規模を大幅に上回ると期待されている。Sepon 鉱山の鉱業面<br />
積は1,250km2 であり、金・銅の鉱化地域は400 km2 に及ぶ。現在採掘が行われている<br />
Khanong 鉱床の探鉱に加え、Khanongの西7km にあるThengkham 地区でも探鉱が行われてい<br />
る。Sepon の銅の主な市場は、タイ、ベトナム、マレイシア、中国などである。<br />
第Ⅰ-4表 Sepon鉱山の銅生産概況<br />
銅 2006年 2007年 増減(%)<br />
粗鉱生産量 1,230,000 1,225,000 -0.41<br />
品位(%) 5.6 5.7 1.79<br />
回収率(%) 89.5 91.2 1.90<br />
生産量(t) 60,803 62,541 2.86<br />
現金コスト( US$/lb ) 73 76 4.11<br />
生産コスト(US$/lb) 88 93 5.68<br />
② Phu Bia Heap Leach 金鉱山/Phu Kham 銅・金鉱山(Pan Australian Resources 社)<br />
両鉱山は、Vientiane 北約150km に位置する。Phu Kham 銅金鉱開発は、Pan Australian<br />
Resources 社がPhu BiaHeap Leach 金鉱開発に続きラオスで手掛ける大型開発案件となっ<br />
ている。<br />
- 8 -
Phu Kham鉱山は初期投資額2 億4,100 万US$、剥土比1:1、銅生産コストは80c/lb、金<br />
価格が100US$/oz 上昇すると銅の生産コストは4c/lb低下する。フェーズ1 は、年間の精鉱<br />
生産量は200,000t以上、銅60,000t、金47,000oz を生産する計画である。フェーズ2 は、<br />
出鉱量を33%増加して、2009 年後半から年間で銅75,000t、金65,000oz、銀60,000oz を生<br />
産する計画である。2008 年3月、初めての精鉱生産開始を目指す。<br />
Phu Kham 選鉱場のコンクリート打ちは2006年12 月から始まり、2007 年3 月には配筋<br />
工事が開始され6 月に工事を完了した。2007 年9 月、主要な選鉱設備の現地搬入を完了し、<br />
2008 年3月に試験運転開始を予定している。同鉱山の銅精鉱はBHP Billiton が販売権を所<br />
有し、契約は、4 ヶ月の銅価格をベースにTC/RC は銅1lb 当たり0.03US$以下で、銅価格の<br />
変動に応じて補正を行うPP (Price Participation)は付与されない条件となっている。<br />
1) Phu Bia Heap Leach 金鉱山<br />
① 埋蔵量:鉱石埋蔵量 金量64,000oz鉱物資源量 金量76,000oz<br />
② 鉱山ライフ:数年<br />
③ 目標年間生産量:金5 万oz(目標)<br />
④ 採掘法/加工法:露天掘り(剥土比 0.6:1)/ヒープリーチ<br />
⑤ 生産開始:2005 年11 月1 日、ヒープリーチから初めてとなる金を採取<br />
第Ⅰ-5表 Phu Bia Heap Leach 金鉱山の金生産概況<br />
金 2006年 2007年 増減(%)<br />
生産量(oz) <strong>21</strong>,557 31,380 45.57<br />
生産量(kg) 670 976 45.67<br />
2) Phu Kham 銅・金鉱山<br />
① 埋蔵量 鉱石埋蔵量 銅量1,020,000t、金量1,320,000oz、銀量10,400,000oz<br />
鉱物資源量 銅量1,299,000t、金量1,580,000oz、銀量13,000,000oz<br />
② 鉱山ライフ:12 年<br />
③ 目標精鉱生産量 第1 フェーズ(2008~09):200,000dmt(銅60,000t、金60,000oz、<br />
銀600,000oz) 第2 フェーズ(2010~):309,000dmt(銅75,000t、金65,000oz、銀600,000oz)<br />
④ 採掘法:露天掘り<br />
⑤ 選鉱法:浮遊選鉱<br />
⑥ 鉱石処理能力:1,200 万t/年 2009 年末までには1,600 万t/年<br />
⑦ 投資額:2 億4,100 万US$(建設費) 総額 2 億9,500 万US$<br />
⑧ 生産開始: 2008 年3 月、給鉱開始。初精鉱の出荷は2008 年第3 四半期を予定。<br />
同鉱山の銅精鉱は、BHP Billiton が管理する。採鉱は鉱石運搬車両CAT 777D トラック<br />
18 台で、自動制御、GPS 監視(Leica社製)のもと、ジグソウ(Jigsaw)プロダクション法に<br />
より採掘を行っている。⑨ 探鉱結果:GDD99:地表下8m から322m区間、銅品位1.1%、金品<br />
位0.2g/t(34m区間、銅品位4.6%、金品位0.7g/t を含む)。GDD223:地表下70m から172m 区<br />
間、銅品位1.0%、金品位0.6g/t(32m 区間、銅品位1.5%、金品位0.8g/t を含む)。GDD228:<br />
地表下6m から278m 区間、銅品位0.6%、金品位0.4g/t(20m 区間、銅品位2.3%、金品位<br />
- 9 -
0.5g/t を含む)。GDD231:地表下8m から44m 区間、銅品位2.7%、金品位1.1g/t(24m 区間、<br />
銅品位4.4%、金品位1.7g/t、93m 区間、銅品位0.5%、金品位0.1g/t を含む)。GDD251:<br />
地表下340m から192m 区間、銅品位1.3%、金品位0.5g/t(40m 区間、銅品位3.4%、金品<br />
位0.4g/t を含む)。<br />
⑩ その他:2007 年12 月末現在のリーチパット面積は60,500m2、洗浄装置が付帯されてい<br />
る。350,000t の鉱石が貯鉱されている。鉱山に電力を供給する高圧送電線115kv の敷設工<br />
事は2006 年11 月に完了し、変圧器、電気回路、モーター制御盤のチェックを開始した。<br />
粉砕設備は10月、鉄骨の組み立て工事をほぼ終了しSAG ミル・ボールミルの設置を完了。<br />
ライニングの取り付けは2008 年1 月を予定。進捗度は75%である。浮選設備はフロー<br />
テーションセル、沈降槽、フィルター、精鉱貯蔵庫の機械の設置をほほ終了した。プラン<br />
トの電気配線、配管工事に着手。2007 年12 月末までの投資金額は、初期投資額の88%に<br />
あたる2 億1,100 万US$を支出した。そのうち現金による支払いは1 億9,400 万US$である。<br />
第3 四半期終了時点では1 億7,400 万US$であった。銅精鉱は、買鉱製錬所(カスタムスメ<br />
ルター)向けに25t-コンテナートラックによりBangkok の南120km に位置する<br />
Sri Ratcha 港まで陸上輸送され。復路は、鉱山の操業に必要な資材、石灰石、爆薬などを<br />
港から運搬することになっている。ラオスのDeuan Sawanh Group 社が銅精鉱、資材の輸送<br />
を担当する。尾鉱堆積場(TSF:Tailing Storage Facility)と鉱山を結ぶ建設道路も完成し<br />
鉱山の建設現場から発生する廃土はTSF の建設資材として利用されている。2008 年6 月ま<br />
でにCAT 777D トラック3 台、40t ダンプトラック3 台、D10 CATブルドーザ1 台を追加す<br />
る。2007 年1 月1 日、鉱石運搬車両CAT 777D トラック8台、O&K RH40 掘削機2 台、D10 CAT<br />
ブルドーザ2 台、CAT 16H グレーダー2 台、ローダー1 台、サービストラック1 台が導入<br />
された。<br />
第Ⅰ-6表 ラオス人民民主共和国の主要非鉄金属の生産量(2008年)<br />
鉱種 生産量(A) 世界(B) (A)/(B)(%) ランク<br />
スズ鉱石(千 t) 0.7 312.4 0.2% 14<br />
亜鉛鉱石(千 t) 2.2 12,168.3 0.0% 37<br />
金鉱石(t) 4.3 2,161.5 0.2% 39<br />
銅鉱石(千 t) 89.0 15,555.9 0.6% 23<br />
銅地金(千 t) 64.1 18,475.4 0.3% 29<br />
出典:World Metal Statistics Yearbook 2009<br />
1.1.4 カンボジア鉱業の現状<br />
カンボジアでは、建材など非金属資源の国内向け採取が知られているのみで、金属鉱物<br />
資源の生産はまだ行われていない。金採取については、農民などによる無許可の零細規模<br />
の採掘が相当数あるといわれている。<br />
隣接するベトナム、ラオス、タイとの地質・鉱床学的連続性から、金属鉱物資源の賦存<br />
- 10 -
ポテンシャルが注目されていた。<br />
カンボジア政府は、我が国の提言等に基づき、鉱業関係法規の整備や、行政組織の整備<br />
を行い、外資による鉱区申請や探鉱が活発になっている。<br />
金属鉱物資源では、鉄、マンガン、ボーキサイトの鉱徴・鉱床が見つかっており、探鉱活<br />
動が活発に行われている。2009年1月現在で、約100鉱区が約50社により、探鉱<br />
されている。中国、韓国、豪州、タイなどの企業が探鉱鉱区を取得しており、これらの会<br />
社の活動は大きく3つのグループに分けられる。<br />
1.積極的に探鉱をし、探鉱結果次第で鉱山建設する意向の大小鉱山グループ(BHP、Sino<br />
Sun、VINACOMIN 他)。<br />
2.探鉱を行うが、多額の投資を必要とする鉱山開発までは視野に入れていない、主とし<br />
てジュニア会社グループ(Kingdom Resources 他)。<br />
3.自力で探鉱する技術力を有しておらず、ジュニア会社に権利を譲渡するか、協力して<br />
一緒に探鉱しようとするグループ。<br />
非合法の零細金採掘活動については、1980 年代後半から金の鉱徴地が 10 以上発見され、<br />
荒廃した農耕地に代わって現金収入として、農民が金採掘に従事し、カンボジア各地でゴ<br />
ールドラッシュの現象が起きた。採掘する技術も鉱石の処理技術も鉱山技術としては初歩<br />
的なものであった。砂鉱床の金品位が低下して、通常のパンニングでは金回収量が少なく、<br />
次第に採算が取れなくなったため、ベトナム国境から水銀アマルガメーションが持ち込ま<br />
れた。さらに、後年になり、シアン青化法が導入され、低品位の金鉱石からも金が回収で<br />
きるようになった。これに伴い、地表の砂鉱床だけでなく、地下 30-40m 程度までの坑内<br />
掘りが行われるようになった。しかし、作業は組織化、機械化されず、個人レベルの近代<br />
的技術からは程遠いものであった。これらの零細金採掘地域では、廃さい堆積場は建設さ<br />
れず、水銀やシアンなどが正しく使用されなかったため、周囲の環境に大きな影響を与え、<br />
鉱山労働者のみならず一般住民の健康問題が危惧されている。<br />
- 11 -
第Ⅰ-7 表 インドシナ 3 国における新規開発鉱山及び本邦法人関係プロジェクト<br />
鉱山、プロジェクト名<br />
■ベトナム<br />
鉱種 会社 生産開始年 生産量 備考<br />
Sin Quyen 鉱山、製錬所 銅、鉄、レアアース ベトナム国営鉱物公社 2006年銅選鉱開始 設計は中国専門家<br />
(VIMICO) 2008年銅製錬開始 銅地金 10,000t/年計画<br />
Thai Nguyen亜鉛 製錬所 亜鉛 Thai Nguyen Nonferrous<br />
Metal (Vinacomin子会社)<br />
2006年12月生産開始 亜鉛地金 10,000t/年計画<br />
Nui Phao タングステン Tiberon (カナダ) 建設中 タングステン精鉱 4,689t/年計画<br />
ビスマス粗金 1,991t/年計画<br />
Ban Phuc ニッケル、銅 Asian Mineral (ニュージーラン 2008年後半予定 ニッケル 4,000t/年計画<br />
ド、カナダ上場)<br />
銅 2,000t/年計画<br />
Bong Mieu 金 Olympus Pacific (カナダ) 2006年10月生産開始 金 9,737oz/年 (2007年)<br />
ボーキサイト・プロジェクト<br />
■ラオス<br />
アルミニウム 本邦商社<br />
Sepon鉱山 銅、金 MMG LXML* Sepon(旧 2005年銅生産開始 銅 62,541t (2007年) 2009年中国五鉱集団が買収 SXEW法<br />
豪州OZ Minerals子会社現<br />
ラオスの輸出額の約6割を占める-2006年<br />
中国Minmetals豪州法人子<br />
ラオス政府は鉱山会社の10%の株式保有<br />
会社)<br />
2002年末金生産開始 金 3,185kg (2007年) カーボンインリーチ法<br />
Phu Bia 金 Pan Australian (豪州) 2005年11月生産開始 金 976kg (2007年) ヒープリーチング法 Phu Bia金山は現在<br />
下記Phu Kham銅金鉱山に名称変更。<br />
Phu Kham 銅、金 Pan Australian (豪州) 2008年4月生産開始 銅 60,000t/年計画 2009年中国広東省投資会社GRAMが豪<br />
2005年11月生産開始 金 47,000oz/年計画 州親会社の19.9%株式取得 ラオス政府は<br />
現地鉱山会社の10%株式保有 浮選精鉱<br />
Pha Louang 鉛、亜鉛 First Pacific 酸化鉱採掘<br />
硫化鉱探査中<br />
中国向け<br />
Moune District 銅 双日、日鉄鉱業<br />
探鉱権取得 (2009年<br />
JMEC2008年度鉱物資源広域調査で実施<br />
10月1日発表)<br />
したバンビィエン地域中のNam Khong地区<br />
で地化学異常やスカルン露頭の存在等に<br />
より未発見の銅-金鉱化作用の存在が期<br />
待された地区<br />
サンサイ高原(セコン・アタ アルミニウム 三井物産・リオ・ティント 2009年11月から探査<br />
5年間の探査権取得済 三井物産30%・リ<br />
プ県)ボーキサイト・プロジェクト<br />
開始予定<br />
オ・ティント70%の合弁の探査会社設立予<br />
■カンボジア<br />
定<br />
ブノンバセット 銅、モリブデン 本邦鉱山会社 鉱区取得申請中<br />
モンドリキリ ボーキサイト<br />
(アルミニウム)<br />
本邦商社 開発計画F/S作成中<br />
*MMG LXML Sepon: Minerals and Metals Group Lane Xane Metal Limited Sepon<br />
ベトナム<br />
第Ⅰ-8 表 主要非鉄金属の生産量推移<br />
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年<br />
銅鉱石(千トン) 1.6 1.1 1.2 2 3.1 11.4 12.5 5.8<br />
鉛鉱石(千トン) 0 0 5.3 10.1 7.7 14.9 19.2 20<br />
亜鉛鉱石(千トン) 43 44 50 40 48 45 45.6 45.6<br />
亜鉛地金(千トン) 4.1 10 10 12<br />
ボーキサイト(千トン) 20 20 20 20 35 55 80 95<br />
錫鉱石(千トン) 1.7 1.7 2.1 3.5 5.4 5.4 5.4 5.4<br />
錫地金(千トン) 1.7 1.6 1.9 2.4 1.8 2.7 2.9 3.9<br />
ラオス<br />
銅鉱石(千トン) 1.7 30.5 60.8 62.5 89<br />
銅地金(千トン) 30.5 60.8 62.5 64.1<br />
亜鉛鉱石(千トン) 10.6 0.5 1.2 1 0.5 4 3 2.2<br />
金鉱石(トン) - 5.1 4.4 6.3 6.1 4.2 4.3<br />
錫鉱石(千トン) 0.8 1.1 0.4 0.4 0.6 0.6 0.7 0.7<br />
*2005年Sepon銅鉱山生産開始<br />
2008年Phu Kham銅鉱山生産開始<br />
カンボジア なし<br />
出典:World Metal Statistics<br />
- 12 -
ベトナム<br />
第Ⅰ-9 表 我が国の主要非鉄金属輸入実績<br />
- 13 -<br />
2006年 2007年 2008年<br />
金地金(Kg) 85 72 82<br />
チタン鉱石(千トン) 148 106 146<br />
ボーキサイト(千トン) 54 79 65<br />
錫地金(千トン) 0 1 1<br />
アンチモン地金(トン) 379 637 554<br />
ラオス、カンボジア:実績なし<br />
出典:日本貿易月表<br />
1.2 鉱物資源ポテンシャル<br />
1.2.1 <strong>インドシナ地域の</strong>地質構造<br />
アジア大陸南~南西部は、大小の先カンブリアクラトンがあり、それらの間やそれらを<br />
取り巻くように顕生代の造山帯が形成されている。インドシナ半島でも、南中国クラトン、<br />
インドクラトン及びインドシナクラトンの衝突と合体の歴史の中で複雑な構造が出来上が<br />
っている。また、これに伴い火成作用も様々な時期に多様な活動が認められ、関係して生<br />
成する鉱物資源も多種類多様な展開を示している。<br />
インドシナ半島東部の地質構造区分図とインドシナ半島の地質概略図を示す。ベトナム、<br />
カンボジア、ラオスのインドシナ三国は、一連の地質構造からなる。インドシナ南部の先<br />
カンブリア界に先カンブリア紀末期ごろからカンブリア紀初期ごろに亘る Baicalian 造山<br />
運動、これを取り囲むように、カンブリア紀からデボン紀に亘る Hercynian 造山運動、二<br />
畳紀~ジュラ紀の Indosinian 山運動、白亜紀~第四紀の Himalayan 造山運動などの影響を<br />
ほぼ同様に受けており、地質構造的視点から 8 地質区に区分されている。<br />
①Littoral Bacbo 区<br />
主としてシルル紀後期以降の地層からなり、ジュラ紀後期から暁新世までの地層は欠如<br />
している。上部シルル系は、頁岩、シルト岩からなり、下部デボン系は礫岩を主とする。<br />
中部デボン系分布域は狭く、上部デボン系最上部には珪質石灰岩がある。<br />
石炭紀から三畳紀中期までの分布域は狭く、二畳紀後期から三畳紀後期にかけては、礫<br />
岩、頁岩、珪質砂岩、石灰岩、シルト岩、砂岩などが主要構成岩類となっている。早~中<br />
期のジュラ系は、上記地層とまったく異なり、主として赤色の礫岩、砂岩、およびシルト<br />
岩からなり、炭質頁岩と石炭層が狭在する。新生界の地層は、始新統と漸新統の陸成の礫<br />
岩、砂岩、シルト岩などである。<br />
②Vietbac 区<br />
Littoral Bacbo 区の北西部に位置する。Littoral Bacbo 区と同様、大部分が古生界と中生界<br />
によって構成されているが、構成岩層の時代と分布は異なっている。本地質区で最も古い<br />
岩層は原生界の石墨片岩、珪岩、角閃岩などで、下部カンブリア系の結晶片岩類、珪岩、<br />
角閃岩、大理石、ドロマイト、千枚岩などがこれに続く。この大理石とドロマイトは、ベ
トナムで最も古期の岩層である。カンブリア紀からデボン紀中期までの地層は、古期のも<br />
のから順に、絹雲母片岩・緑色片岩・珪質片岩・珪質砂岩・石灰岩・砂岩とシルト岩を挟<br />
む頁岩を主とする地層、頁岩・シルト岩・礫岩・陸成の赤色砕屑岩類の互層・石灰岩を主<br />
としてマール・頁岩・チャートを挟む岩層などで構成されている。本区内でのデボン紀後<br />
期から二畳紀中期にわたる地層の分布は乏しい。二畳紀後期から三畳紀後期までの地層は、<br />
主として、礫岩・頁岩・珪質砂岩・石灰岩・シルト岩・砂岩などで構成されており、上部<br />
二畳紀の基底礫岩にはボーキサイトの薄層があり、三畳系の主として上部には陸成の砕屑<br />
岩類が見出されている。下~中部ジュラ系は赤色のシルト岩と頁岩の互層からなる。上部<br />
白亜系~下部中新統はほとんど分布していない。<br />
本区には大規模な断層が北西―南東、北東―南西および南北方向など多数あり、これら<br />
の断層は地層の分布を改変しているだけでなく、火成活動とも深く関係している。超苦鉄<br />
質岩体がこれらの両側に形成されている断層の方向に調和的に北東―南西方向に貫入して<br />
いるのは、その例証の一つである。本地区内では、鉱化作用と直接に関係する花崗岩体も<br />
ある。<br />
Vietbac 区と西側の West Bacbo 区の境界付近は、特殊な構造帯になっている。この地帯<br />
は、Baicalian 造山帯と Caledonian 造山帯との境界に当り、この境界を流れる Hong 河の名<br />
に因んで Hong River Suture という構造区名が付されている。この地帯は、カンブリア時代<br />
に発生した北西―南東方向の地部断層に囲まれたホルスト状の地帯で、ホルストは原生代<br />
の変成岩類で構成されている。<br />
③West Bacbo 区<br />
主として、カンブリア紀以降の岩層によって構成されており、中部オルドビス系~中部<br />
シルル系、上部デボン系~中部二畳系および下~中部ジュラ系の分布域は狭い。本区で最<br />
古期の下部カンブリア系~中部デボン系の構成岩類は Vietbac 区とほとんど同様であるが、<br />
中部オルドビス系~中部シルル系の分布域は乏しい。本区では、上部シルル系~下部デボ<br />
ン系中にも石灰岩があり、この点で Vietbac 区の上部シルル系~下部デボン系とはやや異<br />
なる。上部二畳系はこれ以前の構成岩類とは全く異なり、厚さおよそ 1,000m の玄武岩、<br />
同質火砕岩類で特徴付けられている。<br />
三畳系は、下部が安山岩~玄武岩・同質火砕岩類、中部は石灰岩が主で、中~上部はシ<br />
ルト岩、頁岩、砂岩などで構成され、石炭の薄層を挟む。上部は典型的な挟炭層で特徴付<br />
けられている。上部ジュラ系~上部白亜系は、主として流紋岩と石英安山岩および同質火<br />
山屑砕岩類、粗面岩、凝灰質砂岩、礫岩、石炭層からなる。新生界暁新世~漸新世の主要<br />
構成岩類は粗面岩と同質凝灰岩である。本区は、構造区分上、Da River 区に属し、北東部<br />
は Baicalian 造山帯、南西部は Indosinian 造山帯の一部をなす。この両造山帯は Hong River<br />
Suture と全く同じく北東―南西方向に伸長する。本区は、ベトナムで最大の断層密集地域<br />
として知られ、Hong 河にほとんど平行に、北西―南東方向の断層が発達し、一部にこれら<br />
の断層を切断する東西性の断層も形成されている。これら北西―南東方向の断層や破砕帯<br />
は、鉱脈型熱水鉱床の生成との関係でも注目される。<br />
④North West Laos 区<br />
カンブリア紀以降の地質が分布しているが、オルドビス系~シルル系、上部デボン系~<br />
中部二畳系および、下部ジュラ系~新生界の分布域はせまい。カンブリア系~下部オルド<br />
- 14 -
ビス系、上部シルル系~下部デボン系の構成岩類は West Bacbo 区のそれとほとんど同じで<br />
ある。下部~中部デボン系は、頁岩と砂岩を主とし、石灰岩を挟在する。上部二畳系は頁<br />
岩が卓越し、三畳系はシルト岩や砂岩などで構成されている。<br />
この地質区は Indosinian 造山運動を受け、一般に、南北性の軸をもつ褶曲や陥没構造な<br />
どによって特徴付けられており、北西―南東方向の平行断層が多数形成されていて、地質<br />
構造を複雑化している。<br />
⑤Truongson 区<br />
主として、カンブリア紀以前の岩層によって構成されており、シルル紀後期のデボン紀<br />
前期、およびジュラ紀以降の地層の分布域は広くない。<br />
下部カンブリア系は、主に地区北部に分布しており、結晶片岩類、珪岩、角閃岩、石灰<br />
岩、ドロマイトなどで構成されている。これからオルドビス紀前期にわたる地層は、緑色<br />
片岩、絹雲母片岩、珪質砂岩、石灰岩などからなり、南部地区に広く分布している。オル<br />
ドビス紀からシルル紀の地層は、基底礫岩、砂岩、頁岩、シルト岩などからなり、本地質<br />
区のほぼ全域にわたって分布している。上部シルル系は、石灰岩層が卓越している。デボ<br />
ン系は、下~中部が頁岩と砂岩を主として石灰岩を狭在し、上部は石灰岩、マール、粘土<br />
質頁岩などからなり、石炭層を狭む。石炭紀から二畳紀中期にわたる地層は、石炭層によ<br />
って特徴付けられており、石炭系下部は礫岩および砂岩、中部に石炭層があり、中部二畳<br />
系には炭質頁岩と石炭層の互層が発達している。二畳紀後期から三畳紀にわたる地層のう<br />
ち下~中部三畳系は、本区内にはほとんど分布していない。一般に、上部二畳系は礫岩、<br />
珪質砂岩、頁岩および石灰岩などで構成されているが、本区内では頁岩が大部分を占めて<br />
いる。三畳系下部は分布しているが、中部から上部の地層はあまり分布していない。下部<br />
は基底礫岩、頁岩、石灰岩、流紋岩、デイサイト、凝灰岩などで構成されている。<br />
本区は、北西―南東方向へ伸長する Hercynian 造山帯と南東隅が Caledonian 造山帯に含<br />
まれ、構造区分上は Viet-Laos 区に属する。古生代以降は安定化した地帯で、主として北部<br />
に北東―南西方向の断層があるが、これら以外に地層の分布などを大規模に改変するよう<br />
な大規模な断層はあまり無い。<br />
⑥Kontum Savanakhet 区<br />
最も古い岩層は、南シナ海に面する Quang Ngai と Cui Nhon のほぼ中間地区に分布する<br />
始生界である。この地層は、厚さ約 4,000m に及び、下部は輝岩―柘榴石グラニュライト、<br />
上部はコンドライトなどからなる。花崗岩化作用やミグマタイト化作用を受けている部分<br />
が少なくない。原生代からカンブリア紀前期にわたる地層は、主として原生界の石墨片岩、<br />
角閃岩および珪岩と、下部カンブリア系の結晶片岩類、珪岩、角閃岩、石灰岩(大理石)、<br />
ドロマイトなどによって構成されている。これからオルドビス紀前期までの地層は絹雲母<br />
片岩、緑色片岩、珪質片岩、アルコース質砂岩、石灰岩などによって構成されているが、<br />
これ以降のシルル紀から二畳紀中期にわたる地層の分布は乏しい。三畳紀は、主として、<br />
下部が玄武岩―安山岩と同質火砕岩類、中部が石灰岩、中部から上部にかけては頁岩、砂<br />
岩、シルト岩などからなり、石炭の薄層が挟在する。ジュラ紀から白亜紀の地層には陸成<br />
層が比較的多い。一般に、下~中部ジュラ系は礫岩、砂岩、シルト岩、石炭層などからな<br />
り、本区ではほぼ同様の地質構成をもっている Littoral Bacbo 区や Truongson 区などに比べ<br />
て礫岩の発達が良好である。本区南部に分布しているジュラ紀後期から白亜紀後期にわた<br />
- 15 -
る地層は、部分的に薄い石炭層や礫岩層を狭在する流紋岩―デイサイト、同質火砕岩類、<br />
粗面岩、凝灰質砂岩などからなり、海盆で堆積した火山性堆積物の特徴を示す。本区を含<br />
む南部の地質的特との一つは、第四紀に活動した台地玄武岩に広く覆われていることであ<br />
り、これは北部には分布しない。<br />
本区は、Baicalian 期と Indosinian 期の造山帯に含まれる。いわゆる Kontum 地塊と呼ば<br />
れる地帯の周辺に分布している中生層は、これらの造山帯を覆うプラットフォーム堆積物<br />
である。本区に見られる断層の多くは、最北部地域に見られる北西―南東方向の断層とは<br />
異なって、主として南北方向と、南部地区では北東―南西方向の断層が卓越する。<br />
⑦Dalat Strungtreng 区<br />
ほとんど台地玄武岩と第四紀のデルタ堆積物からなる。広大な面積を占めているメコン<br />
デルタの堆積物の下には、先カンブリア代の基盤岩類が広く分布していると見なされてい<br />
る。<br />
本区は、構造区分上 Dalat Campuchea 区に含まれ、Indosinian 期の造山帯が北東側と南西<br />
側の二帯に形成されている。本区の南シナ海沿岸地帯は、ジュラ紀から白亜紀にかけて活<br />
発な火成岩の活動や火山活動が生じた所である。<br />
⑧West Cambodia 区<br />
カンボジアの南西地域を占め、インドシナ期の褶曲帯に属する。中生代の砂岩、泥岩を<br />
主とし、三畳紀以降の花崗閃緑岩の貫入を受けている。火成岩と関係する鉱脈・鉱染状鉱<br />
床、陸成砂岩中のウラン鉱床、海岸沿いの堆積性鉱床が期待される。<br />
⑨貫入岩類<br />
インドシナ地域における火成活動は 5 ステージが認められ、それらは始生代、原生代、<br />
前期~中期古生代、後期古生代~前期中生代および後期中生代~前期新生代に生じた。古<br />
生代の岩体は中北部に点在し、中生代の岩体は南部に卓越するとともに、北部にも分布し<br />
ている。<br />
前期~中期古生代の貫入岩類は、超苦鉄質から珪長質とアルカリ組成までにわたり、カ<br />
ンブリア紀とオルドビス紀~シルル紀の火山活動に関係している。貫入活動に関係すると<br />
考えられる Mo、Fe、レアアース、放射性元素、燐灰石、コランダムなどの鉱化作用が認<br />
められる。<br />
後期古生代~前期中生代の貫入岩類は、リフト帯に沿って分布しており、組成は超苦鉄<br />
質、苦鉄質から中性および珪長質まで変化する。Cu-Ni の鉱化作用と密接な関係にある。<br />
中性ないし珪長質岩類はバソリスを形成し、Cu-Ni や Ti の鉱化作用と関連がある。<br />
後期中生代~前期新生代の貫入岩類は、超苦鉄質から珪長質とアルカリ質まで変化する。<br />
蛍石、Sn、W、U、Au、その他のべースメタルの鉱化作用は、これらの貫入岩類と密接に<br />
関係している。アルカリ貫入岩類は、北東部に分布する珪長質~アルカリ火山岩類と関連<br />
があると考えられている。それらはアルカリ花崗岩、閃長岩、含白榴石・霞石閃長岩、閃<br />
長斑岩などによって代表される。この種の貫入岩類は、レアアース、Pb、Zn、Mo、放射<br />
性元素の鉱化作用と関係がある。<br />
インドシナ地域では、多様な地史を反映して、多様な鉱物資源の鉱徴・鉱床が認められ<br />
る。インドシナ 3 国の主な金属資源の鉱床・鉱徴を図に示す。<br />
- 16 -
97 97<br />
99 99<br />
101 101<br />
103 103<br />
24 24<br />
22 22<br />
NORTHWEST<br />
LAO<br />
20 20<br />
18 18<br />
16 16<br />
14 14<br />
12 12<br />
WEST<br />
CAMBODIA<br />
10 10<br />
8 8<br />
- 17 -<br />
105 105<br />
WEST BACBO<br />
TRUONGSON<br />
107 107<br />
VIETBAC<br />
LITTORAL<br />
BACBO<br />
KONTUM SAVANAKHET<br />
DALAT STRUNGTRENG<br />
第Ⅰ-1 図 インドシナ東部の地質構造区分図<br />
109 109<br />
110 110
Legend<br />
Al<br />
Au<br />
Cr<br />
Cu<br />
Fe<br />
Mn<br />
Mo<br />
Pb,Zn<br />
REE<br />
RM<br />
Sb<br />
Sn<br />
Ti<br />
97 97<br />
99 99<br />
101 101<br />
- 18 -<br />
103 103<br />
24 24<br />
22 22<br />
NORTHWEST<br />
LAO<br />
20 20<br />
18 18<br />
16 16<br />
14 14<br />
12 12<br />
WEST<br />
CAMBODIA<br />
10 10<br />
8 8<br />
105 105<br />
WEST BACBO<br />
TRUONGSON<br />
107 107<br />
VIETBAC<br />
LITTORAL<br />
BACBO<br />
KONTUM SAVANAKHET<br />
DALAT STRUNGTRENG<br />
第Ⅰ-2 図 インドシナ 3 国の金属鉱床・鉱徴分布図<br />
109 109<br />
110 110
1.2.2 ベトナムの鉱床<br />
①銅・鉛・亜鉛<br />
ベトナム北部ではマグマ起源、熱水起源および堆積(含銅砂岩)起源である鉱床・鉱徴<br />
地が確認されている。マグマ起源の鉱床は Ta Khoa および Van Yen 地域の鉱床に見られ、<br />
ニッケル含有量が高い。熱水起源の最も重要な鉱床は、Sin Quyen 鉱床で、銅鉱床として<br />
唯一採掘されている鉱山である。551 千トンの銅、334 千トンのレアアース(R2O3)およ<br />
び 35 トンの金の資源量を有している。<br />
ベトナムの鉛-亜鉛は、400 以上の非常に多くの鉱床・鉱徴地があり、特にベトナム北<br />
部に存在し採掘されている。これらの多くはスカルンタイプおよび風化起源で、炭酸塩-<br />
陸成層中のスカルンタイプがよく知られ、代表的な鉱山は Bac Kan 省の Cho Don および<br />
Cho Dien 鉱山である。資源量は鉛および亜鉛合わせて 5 百万トンに達する。風化起源の鉱<br />
床は、初生鉱体の同位置での酸化によって形成されたものである。約百万トンの鉛-亜鉛<br />
資源量を有し、Phia Khao および Cho Dien 鉱山でほぼ 80%を占めている。<br />
②レアメタル<br />
ベトナムではタングステンは、Thai Nguyen 省、Cao Bang 省、Thanh Hoa 省、Quang Nam<br />
省などの地域に分布する白亜紀-古第三紀の花崗岩類に関係する石英-鉄マンガン重石-<br />
錫石タイプと灰重石とビスマスからなるスカルンタイプがある。前者は全般的に規模が小<br />
さく、スカルンタイプでは Thai Nguyen 省の Nui Phao タングステン鉱床が大規模で現在開<br />
発中である。<br />
ニッケルとコバルトについてはマグマ起源、熱水起源および風化起源のものがある。マ<br />
グマ起源のニッケルとコバルトは、Son La 省、Cao Bang 省および Thai Nguyen 省に分布し、<br />
超塩基性岩類の貫入と関係がある。Son La 省 Ta Khoa 地域の Ban Phuc 鉱床は、ニッケル-<br />
銅量で約 193 千トンの鉱量を有しており、ニッケル 119 千トンおよびコバルト約 3.5 千ト<br />
ンが含まれている。また、前述した Co Dinh 鉱山では予想資源量約 3 百万トン(Ni 品位 0.51<br />
~0.64 %)および約 271 千トン(Co 品位 0.05~0.12 %)を伴う。<br />
モリブデンは、2 つの主要な地域、すなわち、Lao Cai 省の Sa Pa および An Giang 省の<br />
Nui Sam に鉱床・鉱徴地で確認されている。それらは熱水起源で、45 千トン以上のモリブ<br />
デン資源量を有する。<br />
アンチモンと水銀は、約 50 の鉱床・鉱徴地があり、アンチモン金の鉱化作用を伴う熱<br />
水起源で、ベトナム北部に多く分布する。この中で Tuyen Quang 省の Lang Vai 鉱床は、98<br />
千トンのアンチモン資源量および 200 千トンの砒素資源量を有している。その他、35 千ト<br />
ンのアンチモン資源量を有する Quang Ninh 省の Khe Chim 鉱床および Ha Giang 省の Mau<br />
Due 鉱床が知られている。アンチモン-水銀鉱床は Ban Cam および Yen Ve に見られる。水<br />
銀鉱床のほとんどはベトナム北部に分布している。<br />
ビスマスは、スカルンタイプの錫、鉛-亜鉛および鉄マンガン重石の鉱床中に通常見ら<br />
れる。スカルンタイプの灰重石-ビスマスの鉱化作用では、Thai Nguyen 省の Nui Phao 鉱<br />
床が有名である。<br />
錫は、ペグマタイト、スカルン、熱水、砂鉱タイプの 100 以上の鉱床・鉱徴地が知られ<br />
ている。熱水および砂鉱タイプが稼行対象になっている。熱水タイプでは、約 130 千トン<br />
- 19 -
の錫石資源量を有し、Tam Dao、Quy Hop、Quang Nam および Lam Dong 地域に見られる錫<br />
石-ケイ酸塩-硫化鉱が主なものである。砂鉱の錫鉱床は、最近の数十年間、の錫採掘業<br />
の対象となっており、その資源量は錫石で 135 千トンに達する。<br />
③レアアース<br />
レアアースの既知鉱床・鉱徴地は、北部ベトナム、West Bacbo 構造区で知られている(図)。<br />
それらは、レアアース鉱床・鉱徴地の Nam Xe, Muong Hum, Don Pao, Yen Phu, Khe Bun と<br />
IOCG(酸化鉄型銅金鉱床)とされレアアースを伴う Sin Quyen 鉱床からなる。<br />
Nam Xe 鉱徴地は、軽レアアースが主体であり、バストネサイト(Ce)、パリサイト(Ce)<br />
からなり重晶石を含む。北部鉱体の総レアアース品位は 4~5%、初生鉱石は平均 1.4%とさ<br />
れる。南部鉱体の総レアアース品位は 0.8~36.2%とされる。予想鉱量は計 700 万 t とされ、<br />
0.02~0.03%のウランと 0.01~0.06%のトリウムを伴う。<br />
Muong Hum 鉱徴地は、風化帯の 9 鉱体からなり、総レアアース品位は 0.78~3.02%とさ<br />
れる。<br />
Dong Pao 鉱床は、古第三紀閃長岩体の縁辺部の剪断帯に沿ってバストネサイト(Ce)の<br />
鉱体がある。2000~2001 年に資源開発協力基礎調査が実施され(JICA/MMAJ, 2002)、ボ<br />
ーリング 23 孔、計 2,300m の結果、総レアアース品位は 7.06%で鉱量 317 万 t とされる。<br />
最大の第 3 鉱体を対象とした鉱量計算では総レアアース品位 6.96%、鉱量 98 万 t を計上し、<br />
選鉱試験では実収率 60%、鉱山開発計画では露天掘りで生産 7.5 万/t、マインライフ 13.1<br />
年の値を得ている。なお、当時の財務分析では IRR16%とされ生産性ありと判定されてい<br />
る。現在、VIMICO 社と英国の Triple Plate Junction 社が探鉱権を申請中であり、第 3 鉱体<br />
については、VIMICO 社が採掘権を申請中である。<br />
Yen Phu 鉱徴地は、結晶片岩中のレンズ状の 2 鉱体からなり、フェログソナイト(Y)、<br />
ゼノタイム(Y)、磁鉄鉱などを含む。総レアアース品位は 0.1~7.0%とされる。<br />
Khe Bun 鉱徴地は、グライゼン化により錫、タンタル、ニオブの鉱化作用があり、品位<br />
は 0.1~3% Sn, 31~239g/t Ta, 18~159g/t Nb とされ、レアアースの鉱化作用も期待されてい<br />
る。<br />
Sin Quyen 鉱床は、原生界の変成岩類中に貫入する白亜紀~古第三紀の花崗岩の活動に<br />
より形成され、IOCG とされる銅鉱床であり、金およびレアアースを伴うことを特徴とす<br />
る。粗鉱量 7,300 万 t、平均品位 0.698% Cu、0.38g/t Au である。Ce-La 酸化物を 10%含む褐<br />
簾石を 0.63%含むがレアアースについて生産性はない。また、ウラン鉱物を伴う。<br />
- 20 -
第Ⅰ-3 図 ベトナム北部のレアアース鉱床・鉱徴位置図<br />
④ボーキサイト<br />
ベトナムのボーキサイトには堆積起源と風化起源の2タイプがある。堆積起源のボーキ<br />
サイトは二畳紀後期で、Ha Giang 省、Cao Bang 省、Lang Son 省、Hai Duong 省などのベト<br />
ナム北部に集中している。Al2O3 の総資源量は約 2 億トンである。新第三紀-第四紀玄武<br />
岩の風化皮殻中にあるボーキサイトは主としてベトナム南部に集中しており、そのラテラ<br />
イト・ボーキサイトの総資源量は 67.5 億トンに達する。<br />
チタニウムは 66 の鉱床・鉱徴地があり、その大部分はベトナム北東部およびベトナム<br />
中央部の沿岸砂鉱に含まれ、資源量はチタン鉄鉱で約 15 百万トンである。また、小規模な<br />
マグマ起源の鉱床がある。<br />
⑤貴金属<br />
ベトナムの金は砂金と熱水起源の2タイプがある。砂金は多くの場所に分布し、今日ま<br />
で約 150 の砂金鉱徴地が全国至る所で発見されている。熱水性金に関しては、様々な鉱化<br />
- <strong>21</strong> -
タイプがあって広範囲に分布している。すなわち、Thai Nguyen 省および Thanh Hoa 省の石<br />
英-金、Phu Tho 地域の石英-金-電気石、多くの場所での石英-金-硫化鉱、べトナム<br />
中央部の金−銀、Tuyen Quang 省および Quang Binh 省の金−アンチモンおよび Sinh Quyen<br />
鉱床の多金属鉱と共生する金である。<br />
銀は、通常、亜鉛、銅、銀、コバルト、ニッケルおよび錫の鉱床中の他の鉱石に伴って<br />
いる。銀の資源量は少なく、20 千トン程度である。<br />
プラチナは、超苦鉄質貫入岩類中のプラチナグループで Ban Phuc 鉱山、Nui Nua 鉱山地<br />
域の銅−ニッケルの鉱化作用に伴っている。<br />
1.2.3 ラオスの鉱床<br />
ラオスの鉱床・鉱徴地の分布記載は最初フランス植民地時代にラオスの鉱床目録<br />
"Repectoire"として作成されたが、近年では ESCAP (1990)及び英国地質調査所(BGS,<br />
1990)の両者が DGM と共にラオスの鉱物資源見直しを実施して鉱物徴候地と鉱床目録(後<br />
者はアジア開発銀行資金で調査)を完成させた。<br />
①銅・鉛・亜鉛<br />
銅<br />
Phu Bia および Phu Kham 銅プロジェクト<br />
1992 から 1998 年にかけて Normandy(現 Newmont)と Anglo American がサイソンブン<br />
(Xaisomboun)県で探鉱を実施し, 2 年間の地化学探査の結果, 2 つの銅金斑岩と多くの浅熱<br />
水性金鉱化帯を発見した。その後, Pan Australia resources 社(豪)に権益を譲渡し, 同社が<br />
探鉱を実施してきた。2005 年 5 月から金を対象(プビアプロジェクト)として採掘を開始し,<br />
銅(プーカムプロジェクト)についてはF/S 中のプロジェクトである。対象は広大な鉱区<br />
(2,600km2)の南部に E-W 方向で並ぶ 3 つの鉱床である。東からプーカム銅金鉱床, ロンチ<br />
エントラック(Long Chieng Track)鉱床, バンフアイサイ(Ban Houayxai)鉱床と呼ばれる。<br />
Phu Kham 鉱床は、古生代の堆積岩類、凝灰岩類及び火山砕屑岩類にペルム紀~トリ<br />
アス紀の斑岩が貫入して鉱化作用をもたらしたとされている。初生の銅・金鉱化作用は、<br />
石英-硫化物ストックワーク脈、スラスト帯の鉱染状硫化物、ブロック帯の縞状-塊状硫化<br />
物からなる。黄鉄鉱が卓越し、黄銅鉱、斑銅鉱及びコベリンを伴う。鉱染状硫化物は破砕<br />
面に沿って濃集する傾向がある。石英-硫化物ストックワーク脈は、かなりの鉱化帯で卓越<br />
する。縞状と塊状黄鉄鉱-磁鉄鉱鉱化作用が探鉱ボーリングで頻繁に見られ、スカルン変質<br />
を伴う。酸化帯が顕著に発達し、酸化帯の下部では二次富化帯として輝銅鉱と自然銅が形<br />
成されている。また、酸化帯の最下底には赤鉄鉱が卓越している。ラオス中部で発見され<br />
た Sepon 鉱床と同様に、金と銅鉱との並行した開発が進められている。<br />
Sepon(Xepon)金銅鉱山<br />
本鉱山はラオス南東部のサワナケート県の東部に位置する。CRA が 1990 年に付近のコ<br />
ック川(Nam Kok)で, 石英脈が発達する堆積岩中で 3.56g/t~55.9g/t の金品位を有する岩<br />
- 22 -
石チップを発見したことから当該地域が注目された。1992 年に Rio Tinto が探鉱を開始し,<br />
1998 年にカノン(Khanong)鉱体を対象とした試錐を行い, 輝銅鉱粘土中で厚さ 35.9m,<br />
8.28%の Cu と 19.3m, 14.3%の Cu 鉱体を把握した。その後, 豪州の Oxiana 社とラオスの<br />
Lane Xang Mineral 社に鉱業権が移譲され, 2005 年の秋の時点では金・銅の採掘・生産が<br />
行われている。<br />
鉱床は半地溝状盆地内にあり, デボン紀から石炭紀の陸成河川堆積物と浅海成ないし深<br />
海成の堆積物からなる。石灰質・炭酸塩岩質泥岩層が大部分の既知金鉱化作用の母岩とな<br />
っている。流紋デイサイト斑岩の貫入岩株とそれに関連し類似の組成をもつ岩脈やシルの<br />
複合岩体が集中して産し, しかもそれらに鉱化作用があるので重要である。<br />
金鉱化作用の産状は細粒鉱染であり, 脱方解石作用や構造あるいは岩石境界に沿って見<br />
られる石灰質岩類の多様な交代作用と密接に関係している。金鉱石の産出箇所は背斜構造<br />
や緩傾斜の地層あるいは局所構造や斑岩シルに規制されている。一方, 銅の鉱化作用では<br />
一次と二次の様式があり多様性に富んでいる。貫入岩株との境界部には Cu-Au スカルンが<br />
発達するが, スカルン前線を外側に向かうと炭酸塩岩類がより低温性のシリカ-硫化物に<br />
交代しているのが普通である。<br />
2005 年の時点における埋蔵量と品位は以下のようになっている。<br />
・金鉱床:78 百万トン, 1.46/t Au, 7.7g/t Ag<br />
・銅鉱床:96 百万トン, 2.10% Cu<br />
その他の銅鉱徴地<br />
(i) Xiangkhoang における斑岩銅型の鉱化作用<br />
(ii) Champasak 銅鉱徴<br />
(iii) Nam Phak 銅鉱床<br />
(iv) Luang Phabang 帯の銅鉱化作用<br />
鉛-亜鉛<br />
Xiangkhoang 県の Phou San-Pa Hia 地域では鉛・亜鉛の賦存が知られ、調査の結果 Pa<br />
Hia、Phou San 地方の硫化物に富む地層中で銀を伴う方鉛鉱と閃亜鉛鉱が発見されている。<br />
より重要と見られるのは Vientian 県 Pha Luang、Van Vieng の鉛-亜鉛鉱化で、比較的<br />
広い範囲に方鉛鉱、閃亜鉛鉱が広がり、方鉛鉱は硫酸鉛鉱(Adglesite, PbSO4)と少量の磁<br />
硫鉄鉱と共に産する。ベトナムとの Pha Luang 予察調査(1988-1989)では、方鉛鉱 50-60%<br />
と硫酸鉛鉱 17-22%の鉱化が発見され、その北西部では鉛は重晶石、蛍石に伴っている。<br />
鉛と亜鉛の賦存はラオス中央部での Savannakhet 県の Sepone 地域でも報告されている。<br />
Mouang Phine 地方の Nam Meng では方鉛鉱は閃亜鉛鉱および黄鉄鉱と共に産する。<br />
Champasak 県 Ban Na Lan と Na Kham でも鉛・亜鉛が見られるが精査されていない。<br />
②レアメタル<br />
1)錫<br />
ラオス鉱業でごく最近まで相当な規模で採掘されていた唯一の鉱物が錫であり、Nam<br />
- 23 -
Pathene 渓谷(Khammouane 県 Thakhek の北約 60km)からのものであった。その採掘対<br />
象は主に漂砂・残留鉱床で、殆どが表層部の採掘からもたらされている。<br />
錫の確認鉱量は約 65,000 トンとされているが実際の鉱量は遙かに多いと見込まれる。<br />
これまでごく僅かな探査しかなされていないが、低品位の大規模な錫鉱床の可能性が指摘<br />
されている。<br />
錫鉱山は 30 年間国営鉱山会社により稼行され、錫精鉱は旧ソ連邦に輸出されていたが、<br />
現在は合弁会社に移管され、精鉱はタイにも輸出されている。鉱山では、探査と鉱量獲得<br />
への投資が不十分で、設備老朽化や選鉱技術不足もあり操業が困難になってきている。<br />
(i) Nap Pathene 錫鉱床<br />
錫は中央ラオスの Nam Pathene で 30 年にわたって沖積層や残渣から採掘されてお<br />
り、選鉱技術の改良により錫による収入の大幅な増加が可能となった。今日までの採掘<br />
の殆どは表層鉱床で実施されてきたが、大規模操業のポテンシャルもある。<br />
(ii) その他の錫を含む花崗岩のポテンシャル<br />
ベトナム国境沿いの Annamite 山地では一部の花崗岩を起源として風化浸食による<br />
錫石の漂砂鉱床が形成されているが、経済的に引き合う鉱化は未発見である。<br />
2)アンチモン<br />
ラオスではアンチモンは経済的に低いポテンシャルしかない。採掘の労賃は安いものの、<br />
知られているアンチモン鉱床の多くは小規模で、その典型的な例では鉱量約 180 トンで鉱<br />
石の運搬でインフラ・コストをかろうじて償還できる程度(Cox と Singer, 1986)である。<br />
但し、同様に小さいアンチモン鉱床はタイでは採掘されており、またラオスでも Luang<br />
Namtha 県や隣接する Oudomxay でもポテンシャルがある。<br />
他に Houei Hoc は精査の結果ポテンシャルが低いと確認され、Luang Phabang 東部の<br />
古生代層中のアンチモンも賦存は興味あるが探査の優先度は低いとみられている。<br />
3)タングステン<br />
Louang Namtha 錫-タングステン-アンチモン鉱化帯がラオスの北西部、Louang Namtha<br />
近傍(Shan-Thai 大陸地塊の東南の端)にある。この鉱化帯はタイの Chaing Mai-Chiang<br />
Rai 錫-タングステン鉱化帯からの連続で、Sanjiang 断層帯として北は中国へと延びてい<br />
る。<br />
Louang Namtha には灰重石が産するがその外側には Houaphan 県と Xiangkhoang 県<br />
に層準規制の錫石を伴うポテンシャル地域があり、灰重石も確認されている。<br />
その他のタングステン鉱徴地として、Houaphan と Xiangkhoang でも重鉱物精鉱中で<br />
発見された灰重石のアノマリが存在する。<br />
4)モリブデン<br />
ラオスではモリブデンの賦存の記録は僅かしか無く、これらの殆どは銅-モリブデン斑岩<br />
鉱化作用よりも、むしろ花崗岩質のグライゼン(気成岩)に関係している模様である。<br />
5)白金族金属とクロム鉄鉱<br />
超塩基性岩が Thai Nan-Uttradit 縫合線の北向きの延長に沿ってラオスまで続いており、<br />
この地域は白金族金属の探査候補地となり得る。Oudomxai 県で見られる破砕されたクロ<br />
- 24 -
ム鉱石はこれらの超塩基性岩からもたらされたと考えられ、さらに、その地域は白金、ク<br />
ロム鉄鉱および金の探査候補地となり得る。<br />
砂白金の可能性についても、ラオス国境から遠くないタイ北東部でこの型の鉱床が発見<br />
されているので注意を払う必要がある。実際、白金族の賦存ポテンシャルが指摘されてい<br />
るメコン川流域の Chambasak 県で白金族の報告がある。<br />
③レアアース<br />
中国南部の花崗岩類の風化作用に伴うイオン吸着型レアアース鉱床はレアアース資源<br />
の重要な供給源である。ラオス中南部の花崗岩類は、未風化の花崗岩で平均約 160ppm の<br />
レアアースを含有することが報告されており、中南部地域は花崗岩類の風化作用が発達し<br />
ていることも確認されているため、イオン吸着型レアアース鉱床が賦存する可能性がある。<br />
また、ラオス中央部では、高含有量(約 1,900ppm)のレアアースに富む風化露頭が確認され<br />
ており、風化作用と関連するレアアース鉱床の存在が注目されている。(実松建造、村上浩<br />
康、渡辺寧(2008) 「ラオス中南部における花崗岩風化殻の希土類資源ポテンシャル」:資<br />
源地質学会第 58 回講演会要旨より)<br />
④ボーキサイト<br />
南部ラオスの Bolobens 玄武岩台地ではボーキサイトの鉱量が 20 億トンと推測されてい<br />
るが、この数字を裏付ける地質的な証拠は殆どない。しかし、ラオスにおける水力発電・<br />
電気資源は豊富であり、もしも市場価値が認められればアルミ精錬操業の機会があり得る。<br />
⑤貴金属<br />
金の賦存はラオスで一般的であり、広く見られる。特に沖積層中の砂金は国内の多くの<br />
河川沿いで椀がけ採取されてきた。主に村人個人レベルの砂金椀掛け採取は、非常に零細・<br />
小規模ながら地域の経済に一定の地位を占めてきたが、詳しい調査は稀であった。<br />
1975 年の新生ラオス創建後に金に関してもようやく系統的な調査が開始され、1980 年<br />
代のベトナムによる主要な調査や、旧ソ連からの支援派遣団、及びチェコスロバキアやブ<br />
ルガリアにより、他の鉱物と同様に金鉱床の地質調査計画に従い実施された。<br />
砂金については Pak Beng(Sayaboury)(Oudom Xai 県)から Muong Tha Deua までのチ<br />
ェコによる調査事例や、ブルガリアによるラオス東部中央での砂金賦存の確認、Sam Neua,<br />
Khang Khay 及び Vientiane の 3 カ所におけるベトナムによる調査(1:20 万縮尺の地質図<br />
作成調査)、旧ソ連の支援調査での国内 4 カ所の金の調査での地質図作成(1:25 万縮尺)と砂<br />
金鉱床 69 カ所の詳細調査(1985 年)などがなされ、また、Phonesavan(Xiangkhoang 県)<br />
地域の中国人採掘者による開発も知られている。<br />
一方、初生の金鉱化作用に関しては相対的に調査量が少ないが、幾つかの有望な地域で<br />
は二畳紀~三畳紀の中性~酸性火山岩中に金鉱化作用の高い可能性が示されている。<br />
これら一連の金鉱化作用精査の面積は総計 42,000km2 で、対象域は全土の 18%に及ぶ。<br />
それら金鉱化作用が賦存する可能性が高い主な地域は次とおりである。<br />
(i) Sanakham-Pak Lay 火山帯<br />
(ii) Xiangkhoang 火山地域<br />
- 25 -
(iii) Champasak の三畳紀流紋岩中の浅熱水性金<br />
(iv) Luang Phabang - Nam Ou 金地帯<br />
(v) Annamite 山地の金探鉱地域<br />
1.2.4 カンボジアの鉱床<br />
19 世紀後半以降のフランスと中国の地質学者による地質調査、鉱物資源調査の結果、サ<br />
ファイア、ルビー、金、錫石、珪砂、ボーキサイト、マンガン、カオリン鉱物、石炭、泥炭、石灰<br />
岩各種、燐、建設材その他の重要な鉱物ポテンシャルの存在が示された。<br />
この地域の鉱物資源はインドシナ半島全域の地質史の中で各種造山運動、火成活動など<br />
を通じて初生鉱床が形成され、更にその風化・濃集・堆積作用などにより漂砂残留鉱床も形<br />
成されてきたが、カンボジアでは4つの主要な鉱床時代が認められている。<br />
1)デボン紀-石炭紀-ヘルシニア<br />
この時代の鉱床は Anlog Chey, Kompong Putrea, Tapok TangDong, Phnom Rumdey の鉄<br />
鉱床と、Tram Khna の碧玉と珪質頁岩(phthanite)、金鉱床の小脈であり、それらは<br />
Bokham の花崗岩と関連付けられ、地域的な金の河成鉱床起源と考えられる。斑レイ岩質<br />
脈に生じる輝安鉱堆積物を含むクロム鉄鉱と亜鉛もまた、この鉱床時代に属する。<br />
2)石炭紀-ペルム紀<br />
この時代に関連がある鉱床及び鉱徴地は、Battambang と Kampot の純粋な石灰岩、<br />
Battambang のボーキサイト、Chvang の石灰岩とドロマイトに挟まれている Kampot の<br />
褐炭を含む。<br />
3)後期ジュラ紀-白亜紀<br />
この時代の鉱化作用活動は、花崗岩及び花崗閃緑岩が中生代の累層へ貫入したことに伴<br />
う熱反応と熱水活動の結果である。この時代に関連した主要な産出物は、金(Phnom Lung,<br />
Phnom Chi, Phnom thmar Meas, Memot, O Chhung, Memang…)とこれらの貫入に伴う<br />
接触変成作用により生じた鉄(Phnom Deck, Stung Treng)と、Chhep のマンガン、 錫、<br />
タングステン、鉛、亜鉛、銅、Ba Phnom と Baset の花崗岩中にある石英脈に報告されて<br />
いる輝水鉛鉱と蛍石、Phnom Chi と Kon Mum のアメジストと無色石英、上部砂岩に<br />
intersatisfied されている褐炭と jet、Voen Nhung と Talat の石炭、そして Kampong<br />
Chhnang にある Kchol タイプ花崗岩の風化により生じるカオリン鉱床と Phnom Krom の<br />
耐火粘土を含む。<br />
4)新生代<br />
この時代の鉱物濃集は主として風化作用堆積(weathering accumulation)(砂鉱床 placer)<br />
と関連づけられ、ラテライト性ボーキサイト、玄武岩台地の風化作用起源のすべての鉱物、<br />
Bokham の砂金、Knong Ay と Kampot、Battambang の燐灰土を埋めている karstic cavity<br />
の錫石 placer、Kampot のセメント用粘土、Chhep のラテライト性マンガンクラスト、<br />
Chantrea の泥炭堆積物そしてカンボジア沿岸に沿って形成されている珪砂だけではなく、<br />
コランダム(ルビーとサファイア)及びジルコン堆積物を含む。<br />
①銅・鉛・亜鉛<br />
銅・鉛・亜鉛に関しては、カンボジアでは経済的に重要な大規模鉱床露頭はまだ報告さ<br />
- 26 -
れていない。以下の記載は可能性のある将来的な可能性を持つ地域として記す。<br />
銅<br />
(i)Kroch Chhma 銅鉱徴、Kratie 州<br />
(ii)Phnom Sekahom 銅鉱床、Preah Vihear 州<br />
(iii)Phnom Pel 銅鉱徴地、Preah Vihear 州<br />
(iv)Phnom Ke 銅鉱床、Preah Vihear 州<br />
(v)Lomphat 銅鉱床、Rattanakiri 州<br />
(vi)Phnom Chamkar keu 鉱床、Stung Treng 州<br />
銅・鉛・亜鉛<br />
(i)①Sam Rong 鉱床露頭、Kampong Speu 州<br />
(ii)Knong Ay 銅鉛亜鉛鉱床、西 Kampong Speu 州<br />
(iii)O Chhung-Richomme Trail 銅鉛亜鉛産地、Mondulkiri 州<br />
(iv)Phum Pring 銅鉛亜鉛産地、Preah Vihear 州<br />
(v)Ban Chai 銅鉛亜鉛鉱徴地、Rattanakiri 州<br />
銅鉱物(方鉛鉱を含む)の鉱徴が Rattanakiri 州、Tonle San 谷にある Ban Chai 地域<br />
に位置する古生代花崗岩地塊の南部周辺にある石英脈から報告されている。<br />
②レアメタル<br />
1)モリブデン<br />
モリブデン産地はカンボジアでは一般的に小規模で、数も稀である。モリブデン鉱物の<br />
露頭は通例、花崗岩体中及び周辺の鉱脈系に後期の晶出産物・輝水鉛鉱として賦存している。<br />
(i)Phnom Basset モリブデン鉱床 (D-038, UNIFC=334), Kandal 州<br />
Phnom Basset 鉱床は Phnom Penh の北西約 20km の 104°45’E, 11°41’N に位置する。<br />
初期ジュラ紀のモンゾナイト状花崗岩の二つの小さいインゼルベルグ(組織は細粒で部<br />
分的に斑状)が Mecong 中央平原から隆起している。モンゾナイトは石英脈中にモリブデ<br />
ンをもたらし、また石基中にも弱く鉱染している。<br />
個々の含モリブデン脈は走向 N80 ゚ W で傾斜 80 ゚ SW と急傾斜で、走向長は一般に 5-10m、<br />
脈幅は 2-10cm で、脈の胚胎頻度は走向と直角方向 1m 毎に 1 本、部分的には 5-8 本/m と<br />
なっている。脈群の方向は母岩の主節理の方向と一致している。モリブデンは脈際に濃集<br />
する傾向がある。鉱化帯は全体で幅約 80m、走向長は断続的に約 800m(東西系)に広がる。<br />
中国調査団による 1975 年の採取石英脈試料では 0.14%Mo が、又黒雲母花崗岩近くの試<br />
料からは 0.010%Mo の品位が確認されている。<br />
最近、Cambodian Institute of Tecnology の地質学者が鉱床を再調査した結果、平均品<br />
位 0.036%Mo、可採鉱量は約 10-20 百万トン(深さ 50m までと仮定)とされた。<br />
この鉱徴地は以前から様々なグループが調査してきたが、今までの処は鉱化作用が弱く、<br />
鉱化規模も限定的なため、経済価値がある採鉱有望地とはなっていない。<br />
(ii)Phnom Den モリブデン鉱床 (D-040, UNIFC=334), Takeo 州<br />
ベトナム国境に近いこの地域では、沖積低地から隆起して非常に粗い黒雲母カルク-ア<br />
ルカリ花崗岩により形成された小丘がいくつかある。Phnom Den の最東部ではモリブデ<br />
ンを伴う白色石英脈が賦存し、そのサイトは Takeo の町から南約 45km で、位置は 104°<br />
- 27 -
53’E, 10°36’N である。<br />
貫入花崗岩の岩株とプラグ(岩栓: plug)は後期白亜紀(79.3Ma)のもので、カンボジアでは<br />
他では知られていない岩石タイプで、近隣のベトナム側 Tri Ton 花崗岩と類似しているこ<br />
とから、おそらく発生的には関連があると考えられる。<br />
モリブデンは石英脈のネットワーク中に被覆状やシーム/薄層状の産状を呈する。しばし<br />
ば長いものもあるが全般に不連続である。この鉱床がより少量ではあるが、黄銅鉱<br />
(CuFeS2)や黄鉄鉱(FeS2)を伴うことは、今後の探鉱の観点から注目される。<br />
2)タングステン<br />
カンボジアではタングステンの鉱化作用は稀で規模的にも非常に限られる。調査された<br />
鉱物産地は Knong Ay 地区だけで、その位置は 104°06’E, 11°35’N である。<br />
この地区では微量の鉄マンガン重石が錫石に伴って産出するが、それらの鉱物露頭はこ<br />
れまでの調査の限りでは経済的価値は無い。<br />
3)アンチモン<br />
Sre Peang アンチモン鉱床 (Pursat 州)<br />
(鉱床・鉱徴リスト番号 D-002, 探査精度分類 UNIFC=334、以下同じ)<br />
アンチモンはカンボジアでは唯一 Sre Peang 村から南南西 3km(位置 103°15’E, 12°<br />
2’N)からの報告例がある。その鉱化作用は石英脈中に鉱染した含亜鉛輝安鉱であるが、分<br />
析結果からは品位は有望とは言えない。<br />
4)クロム<br />
Sre Peang クロム鉱床 (Pursat 州) (D-001, UNIFC=334)<br />
クロム鉄鉱の鉱石産地は Sre Peang 村から南南西 2km(103°14’E, 12°22’N)、上記アン<br />
チモン鉱床の近くに位置する。<br />
この地域ではクロム鉄鉱の残留ブロックと岩片が数十 km2 に亘り発見されている。この<br />
地区にある Pursat 川上流部の広大な盆地の基盤はデボン紀-初期石炭紀の砂岩と片岩な<br />
ど変堆積岩類からなるが、クロム鉄鉱はそれらに貫入したジュラ紀後(おそらく三畳紀)の<br />
斑レイ岩~花崗閃緑岩質の岩株や岩栓の地表露頭が風化された残留物である。<br />
源岩の岩株なども数は多いが小規模で、クロム鉄鉱も規模・品位的に優良なものは期待薄<br />
であるが、地元小規模採掘用に品位や広がりを追加調査すべきと考えられている。<br />
5)マンガン<br />
①Chhep-1 マンガン鉱床 (D-035, UNIFC=333), Preah Vihear 州<br />
この鉱石産地は Phum Troun の村南西で、Chhep の町から西約 6km にあり、その位置<br />
は 105°<strong>21</strong>’E, 13°46’N である。<br />
ここでは、硬マンガン鉱と軟マンガン鉱の層を含む含マンガン・ラテライトの鉱層が通常<br />
厚さ 1m 未満(部分的に 1.8m まで)で鉄鉱物と混ざり産している。その鉱量は 60,000t と見<br />
積もられ、品位は 11~26%Mn、部分的には約 40%Mn となる。<br />
他に、2 箇所の露頭 Chhep-2,-3 もこのサイトから各 1km, 3km 離れて知られている。<br />
6)錫<br />
- 28 -
(i)Knong Ay 錫産地 (D-004, UNIFC=334), Kampong Speu 州<br />
錫石は 1964 年カンボジア南西部の Cardamom 山地の東側地域で発見され、1964-1966<br />
年にはフランスの BRGM によりカンボジア政府のために徹底的な探鉱が行われた。結果<br />
は、錫石の開発可能な濃集は母岩にも沖積層にも発見されなかったが、この錫の鉱化作用<br />
の発見は、より広大で有望な鉱床がどこか他の地域で見つかる可能性を示唆している。<br />
錫の鉱化作用は Phnom Penh から 95km 西、Kampong Speu 州の Knong Ay 地区で観<br />
られ、その位置は 104°07’E, 11°33’N である。<br />
このサイトでの主要な鉱化作用は熱水タイプのもので、マイクロ花崗岩、アプライト、<br />
グライゼン、石英脈や岩脈のネットワーク中に産している。これらの脈や岩脈は Knong Ay<br />
の花崗岩地塊の境界域を横切っており、また接触変成作用により部分的に変質が進んだ三<br />
畳紀、デボン紀-石炭紀堆積岩を横切っているものもある。貫入と鉱化作用は三畳紀及び<br />
おそらく初期ジュラ紀の後であり、188Ma という年代を得ている。<br />
錫石はアプライトとグライゼンの脈の中に、直径 0.12-0.5mm のごく小さい粒状に鉱染<br />
する。石英脈の中には少量の方鉛鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱、重晶石、蛍石を含むものもある。<br />
錫石と関係して灰重石、鉄マンガン重石の露頭もある。グライゼン自身からは 0.02%の Sn<br />
含有量が報告されている。<br />
錫石を含む脈の露頭の途中に、不連続な錫石残留堆積物及び錫石漂砂鉱床がある。漂砂<br />
鉱床の錫石を調査した結果、賦存範囲が限られていて、且つ極端に細粒であることが明ら<br />
かになり、鉱床として開発可能性がないと評価された。残留鉱床の露頭及び初生露頭にお<br />
いても、グライゼンとアプライト脈自身がほとんど風化作用の影響を受けていないことか<br />
ら、同様に開発可能性は低いことが明らかになった。<br />
(ii)Angkor Borey 錫鉱床 (D-051, UNIFC=334), Takeo 州<br />
この錫鉱床は Takeo の町から 20km 南-南東、Angkor Borey 地区で発見されている。<br />
この地域は、おそらくジュラ紀白亜紀年代の、小さい花崗貫入岩で特徴付けられる。貫入<br />
岩は、径 0.1mm-1cm の錫石結晶が発見された厚い風化残留物と沖積層により覆われてい<br />
るが、鉱床の広がりや含有鉱物に関する有用なデータはこれまでの処知られていない。<br />
カンボジアと同様な地質環境のタイ国や周辺では経済的に重要な価値をもつ錫鉱床が発<br />
見されているので、Khnong Ay と Angkor Borei 錫鉱床でも更に詳細な調査が望まれる。<br />
③レアアース<br />
プノンペン市西方に産出する花崗岩類の研究では、Sam Rong 地区の花崗岩にレアアース<br />
の鉱化作用を伴うことが発見された。この地域はタイから連続するスコータイ構造帯に位<br />
置し、中生代の火成活動により、モリブデン鉱化作用やレアアース鉱化作用を生じたと考<br />
えられている。(田中隆之、崎元雄厚、石川信明(2008)カンボジア王国プノンペン市西<br />
方の花崗岩類の化学組成と鉱化作用、資源地質学会第 58 回講演会要旨による)<br />
④ボーキサイト<br />
カンボジアではボーキサイトは2つの成因環境が知られており、一つは、カンボジア西<br />
部、特に Battambang 州の産状で、ペルム紀の石灰岩の中に挟在している。他の一つは、<br />
- 29 -
Mondulkiri 州の Haut Chhlong 地区にある鮮新世-更新世の高い玄武岩台地の表面から<br />
の風化生成物として生じている。<br />
Kampong 州の北と西の地域にある低い玄武岩台地と Cardamon(Kravanh)Range(鮮新<br />
世-更新世)の狭い地域でもボーキサイトはみられるが、これまでの調査の限りでは商業的<br />
な価値はない。カンボジアのボーキサイトには、デボン-石炭紀、三畳紀の基底海成堆積<br />
物の上に小規模・部分的な堆積物として発達するものもあるが、これらも商業価値はない。<br />
(i)Battambang ボーキサイト鉱床 (D-052, UNIFC=333), Battambang 州<br />
Batttambang-Sisophon 地域で発見されたペルム紀の石灰岩中に珪質ボーキサイトの薄<br />
層が挟まれている。最も調査が進んでいる地域は Phnom Sampeou と Phnom Thmei にあ<br />
る Battambang の町の西約 20km にあり、その位置は 103°02’E, 13°04’N である。<br />
カンボジア北西部の大部分は Tonle Sap 海盆の沖積層により覆われている。この沖積層<br />
は場所によりかなり薄いため下の基盤が所々露出する。他の累層より多く露出している累<br />
層はペルム紀の石灰岩類で、特に Battambang と Sisophon 地域ではこれは数多くの丘を<br />
形成している。ボーキサイト層は典型的なものとは異なり赤色マールや粘土状を呈して、<br />
石灰岩中のマール層準に見いだされている。<br />
1960 年代初期に、この鉱床は詳しく調査され、その報告では一部試料は珪質ボーキサイ<br />
ト(下表参照)と確認されたが、他の分析結果は幾分成分幅がばらつく結果となった。<br />
第Ⅰ-10 表 Battambang ボーキサイト鉱床の成分分析<br />
Sample Al2O3 SiO2 Fe2O3 Ignition loss<br />
Number (%) (%) (%) (%)<br />
1 61 11 14 13<br />
2 56 16 8 15<br />
この地域の試料は全体としては良い品質のアルミニウム鉱石とは考えられなかった。つ<br />
まり、良質ボーキサイトとして特に重要な基準は低シリカ含有量(7%以下)であるが、試<br />
料では一般にシリカ含有量か鉄含有量の何れか一方、又は両方が高くなっている。<br />
また、石灰岩中のマール層準の全てが必ずしもボーキサイトというわけではない。<br />
鉱物学的な調査からは、豊富なダイアスポア(Al2O3・H2O)の存在が示唆されたが、一方<br />
石英が単体では殆ど存在しないでカオリナイトなど粘土鉱物の存在も示唆されたため、試<br />
料はアルミ原料としては経済的に利用出来ないと考えられた。<br />
フィールド調査は、Battambang の南西地域で 1965 年に実施され、沖積層下の石灰岩<br />
の連続とボーキサイト層胚胎を確認するための試錐(12 本、各 40~50m)と地質調査マッピ<br />
ングが石灰岩の露頭の近くでなされた。その結果、露天掘り対象となり得るボーキサイト<br />
金属の埋蔵量を 300 万トンと推定したが、これは起業には十分とは言えず、地下のボーキ<br />
サイトは例え高品質でも規模的に小さくこれまでの処経済的開発は無理と考えられている。<br />
即ち、Battambang ボーキサイト鉱床の評価に関して次の点が指摘された。<br />
(a) 鉱石の質が不均質であること<br />
(b) シリカもしくは酸化第二鉄、もしくはその両方の含有量が過剰である事<br />
(c) 幾つかの鉱石はダイアスポへ変成するような、明白な変成作用を受けていること<br />
- 30 -
(d) 特にカオリナイトの様な他の不純物が明らかに存在すること<br />
(e) 埋蔵量が小さい事<br />
(f) ペルム紀層は急傾斜で構造も複雑なため、露天掘り操業コストが高くなること<br />
この鉱床地域の探査に関与したフランスの BRGM も同じ結論に至っている。<br />
(ii)Haut Chhlong 台地ボーキサイト鉱床 (D-053, UNIFC=334) Mondulkiri 州<br />
ボーキサイト質ラテライトはカンボジアの極東部(Mondulkiri 州)にある Haut Chhlong<br />
台地で発見されている。台地は中央平野の高度(海抜約 200m)より高く、500-1000m ま<br />
での高さに隆起した不規則な中山形を形成しており、カンボジア領内で約 4500km2 に亘り<br />
覆う。この台地はベトナムにまで延びており、おそらく主に更新世の玄武岩質溶岩と火山<br />
灰の厚い層からなっている。塩基性岩からなる同様の高い台地は中央平野を越えてベトナ<br />
ム南部(Plei Ku, Buon Me Thuot, Di Linh)とラオス南部に延びている。<br />
Haut Chhlong 台地の調査は O Rang と Mondulkiri 市(他の地図では Sen Monorom)の<br />
間の地域、おおよそ 107°12’E, 12°23’N に集中して実施された。<br />
この Haut Chhlong 台地のボーキサイト質ラテライトの発見でカンボジアの完新統(第<br />
四紀)にボーキサイト累層の賦存が初めて明らかになった。この発見は露天採掘を行う上<br />
で重要であるが、他の不安定要因で、調査は中断されている。<br />
1992 年までの ESCAP による調査では、カンボジアにおけるラテライト調査はラテライ<br />
ト台地の全 850km2 の内、500-600km2 が探査され、ボーキサイトの埋蔵量は 50 億トンを<br />
越すと見積もられている。Dac Nong 台地(Haut Chhlong 台地のベトナム側)ではラテ<br />
ライト化した 12 地域でその賦存が確認され COMECON 報告ではそのアルミナ含有量は、<br />
一般に全 Al2O3で 36-40%の品位幅にあるされていて、まだ採掘対象は発見されていない<br />
が、系統的な調査が必要とされると結論されている。<br />
⑤貴金属<br />
カンボジアにおける金の探鉱は歴史時代から始まり、組織的な採掘は 19 世紀後半から<br />
始まった。多くの金産地が知られており、それゆえ、将来の新発見の可能性や商業規模で<br />
の開発の可能性も高いと観られている。<br />
カンボジア国内ではこれまで主に3つの主要な金の採鉱有望地や沖積成の漂砂鉱床(砂<br />
金)採掘場が発見されていて、それらは、北西部(Oddar Meanchey 州/Siem Reap 州)、北<br />
部中心地域(特に Preah Vihear 州)、そして北東部(Rattanakiri 州)である。他に孤立<br />
した金産地も知られている。州毎に主な金産地、鉱徴地を以下に記載する。<br />
a) Battambang 州<br />
①Pailin 金産地(漂砂鉱床)<br />
②Phnom Thmar Meas 金産地<br />
b) Kompong Cham 州<br />
③Rumchek (Memut)金鉱床<br />
c)Kompong 州<br />
④Phnom Chi-South 金鉱床<br />
⑤Krava 金鉱床<br />
- 31 -
d)Kampot 州<br />
⑥Phnom Lok 金産地<br />
⑦Kep 金産地<br />
e) Mondolkiri 州<br />
⑧Memung 金鉱床<br />
⑨PuChu Leo 金鉱床<br />
f) Preah Vihear 州<br />
⑩Phnom Deck 漂砂鉱床<br />
- 32 -
Ⅱ 国内調査<br />
鉱業関連業界(鉱山企業、商社、メタルコンサルタント企業:メタコンと略す。)に対<br />
してアンケート形式による回答をお願いし、日本からのベトナム・ラオス・カンボジア三<br />
か国それぞれへの鉱物資源開発投資の可能性および投資上の問題点および各国の鉱業情勢<br />
や鉱業人材の現状や日本の協力の在り方等に関してアンケート調査を実施し、必要に応じ<br />
てヒアリング調査も行った。<br />
2.1 アンケート調査<br />
2.1.1 アンケート調査の概要<br />
アンケート調査の目的は、インドシナ三国に対する日本企業の鉱業投資の現状、各国の<br />
鉱業情勢や投資環境上の問題点を把握し、一方で鉱業人材の現状や日本の協力の在り方等<br />
にを明らかにすることで、内容は、主として鉱物資源ポテンシャルについての見解、鉱業<br />
投資に対する各社の現状と関心度、阻害要因の調査、鉱業関係政府機関の機能や人材につ<br />
いての見解、鉱業人材育成に対する日本の支援の在り方などである。<br />
アンケート発送先は、現在資源開発関係ビジネスに携わっていると見られる日本の主要<br />
な鉱山会社 9 社、主要商社 8 社、メタコン 2 社の計 19 社にお願いした。これに対して、会<br />
社によっては、<strong>インドシナ地域の</strong>資源の賦存が社の方針と異なる等から非該当であったり、<br />
一部形式的回答となったものを除いて、以下の分析は鉱山企業 7 社、商社 7 社(ただし、<br />
ベトナムは同一会社の異部門を 2 とカウントすると 8 社。カンボジアについては 6 社)、メ<br />
タコン 2 社の有効回答分計 16 社を対象とした。なお投資の意向などメタコンにふさわしく<br />
ない項目の回答は分析の対象にしていない。<br />
その有効回答企業は具体的には、鉱山会社 7 社は、DOWA メタルマイン㈱、古河メタル<br />
リソース、三菱マテリアル㈱、三井金属鉱業㈱、日鉱金属㈱、日鉄鉱業㈱、住友金属鉱山<br />
㈱の各社、商社 7 社は伊藤忠㈱、丸紅㈱、三菱商事㈱、三井物産㈱、双日㈱、住友商事㈱、<br />
豊田通商㈱の各社、メタコン 2 社は、三菱マテリアルテクノ、三井金属資源開発の各社で<br />
ある。(何れもアルファベット表記順)。今回対象とならなかった企業の方を含め、多数の<br />
関係各位に、ご多忙の中膨大なアンケートにご協力賜わり本報告書紙上をお借りして深謝<br />
申し上げます。<br />
アンケート回答については、各国ごとにまとめ、本報告書の巻末に収録した。またヒア<br />
リング内容については、その一部は伏せた形として紹介可能と考えられる範囲でこの章に<br />
収録した。<br />
まずアンケート結果とその後のヒアリングについて、以下文章で国ごとに述べる。章の<br />
中の構成は下記のとおり。<br />
2.1.2 ベトナム・アンケートの調査の結果<br />
2.1.3 ラオス・アンケートの調査の結果<br />
2.1.4 カンボジア・アンケートの調査の結果<br />
- 33 -
2.1.5 過去のアンケート調査結果との比較<br />
2.1.6 アンケート調査結果のまとめ<br />
2.2 企業ヒアリングの概要<br />
2.1.2 ベトナム・アンケート調査の結果<br />
Q1.鉱物資源ポテンシャルについて貴社はどうお考えですか?<br />
以下の選択肢から右回答欄に記入ください。その上で差し支えなければその理由をお聞か<br />
せください。<br />
(回 答)<br />
ポテンシャル 鉱 山 商 社 メタコン 合 計<br />
A:大いにある 0 5 5<br />
B:ある 3 3 2 8<br />
C:多少ある 2 0 2<br />
D:ほとんどない 1 0 1<br />
E:よく判らない 1 0 1<br />
・A(鉄鉱石・イルミナイト) [理由]①需要市場(東アジア;中国、日本、韓国)に近<br />
い点 ②政治安定<br />
・ボーキサイトについては世界有数の埋蔵量。ボーキサイト埋蔵量は一説には55億トンと<br />
言われており、そのポテンシャルは高い。<br />
・レアアースについても地質的に注目しており、JOGMEC主導の探査プロジェクトの動向<br />
について注視している。<br />
・既に、複数の開発案件を検討中。<br />
・銅・石炭に期待。<br />
- 34 -<br />
(以上、A「大いにある」との理由)<br />
・インフラ整備の遅れにより、非鉄金属資源ポテンシャルは未知な部分が多い。既知とし<br />
て、非鉄資源の存在は確認されているので、今後期待できる。<br />
・レアアース資源について関心がある。<br />
・ボーキサイトの良い資源が存在する可能性はあるのではないかと思います。<br />
・鉱徴地が多く、探査余地が多く残されている。<br />
・鉱種は多いが未開発・中小規模の鉱床が多い。<br />
(以上B「ある」との理由)<br />
・対象地域の地質等に関する一般情報より。<br />
(以上C「多少ある」との理由)
Q2. Q1でA.大いにある、B.ある、C.多少ある、を選択された方へお聞きします。ポテンシ<br />
ャルがあるとご判断される鉱種としては何をお考えでしょうか。Q1でA.B,Cを選択された<br />
方へ、とご判断の鉱種としては何をお考えでしょうか。<br />
(回 答)<br />
鉱 種 A 大いにある B ある C 多少ある<br />
銅 3 2<br />
鉛・亜鉛 4<br />
金 1 1<br />
ボーキサイト 2 3<br />
レアアース 3 3<br />
レアメタル 1 2<br />
チタン 1<br />
タングステン 1<br />
錫 1<br />
鉄鉱石 1 1<br />
石炭 1 1<br />
黒鉛 1<br />
珪石 1<br />
石灰石 1<br />
(コメント)<br />
・仏領時代に詳細調査が行われ主要鉱徴は全土に亘りほぼ確認済み。今後新規発見可能な<br />
有望ポテンシャル鉱種としては潜頭性・ミシシッピバレー型鉛・亜鉛鉱床(北部地域)。<br />
以上有望鉱種が多岐にわたる点がベトナムらしいところである。また昨今の動き出して<br />
いる探査プロジェクト等を反映して、レアアース・ボーキサイトに大きな期待が集まって<br />
いる。<br />
Q3. 貴社では現在、右各国へ鉱業投資をされておられますか?<br />
投 資 種 別 鉱 山 商 社 合計<br />
A:はい 1 1<br />
B:過去に投資したが現在は投資していない 0<br />
C:過去、現在ともに投資していない 8 3 11<br />
D:今後、投資予定である 4 4<br />
Q3-1.Q3でA,Bを選択された現在か過去に投資経験がおありか、Dを選択された今後投資<br />
予定の方へ質問致します。<br />
その鉱業投資は、次のいずれですか?<br />
- 35 -
また、その対象鉱種は何ですか? 併せてお差し支えなければ、同国の投資環境に対する<br />
評価、ご判断をお聞かせ下さい<br />
投 資 種 別 鉱 山 商 社<br />
a: 探鉱投資 4(ボーキサイト 1、レアアース 3)<br />
b: 開発投資 4(ボーキサイト 1、レアアース 3)<br />
c: 稼行鉱山への投資 2 石炭・珪石(投資検討)<br />
・投資環境に対する評価(デメリット):ボーキサイト・アルミナ開発に関しては、ベト<br />
ナム全体の80%以上の埋蔵量を誇る中央高原地帯の案件においては、外資企業に対し原<br />
則30%という厳しい出資規制が課せられている。<br />
・また、二次加工義務の付加等の急速な政策変換への懸念や、鉱業権の付与が先入れ先出<br />
しの原則を必ずしも従っていないと漏れ聞いており、安心して踏み込める環境は今後整<br />
備されていくものと期待。<br />
・資源管理政策が変更されるリスクがある。<br />
・権益取得や探鉱、開発、環境に関するルールが未整備。<br />
Q3-2.(人材)引き続きQ3でA,B,Dを選択された投資にご関心ある方へご質問致します。<br />
その鉱業投資検討・準備の際、鉱業関係政府機関の対応やサービス内容についていかなる<br />
感想を抱かれましたか?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足 商社2<br />
d:不満足 商社2<br />
この回答で、c:,d:と回答された方へ、どのような点に満足出来ませんでしたか?また、そ<br />
のことについて、政府機関はどのような改善をすべきとお考えですか?<br />
(c記載者コメント)<br />
・対応は非常に好意的だが、ボーキサイト探鉱・開発の経験がまだ浅い為、適切かつタイ<br />
ムリーなフィードバックが受けられない。政府機関においては、(既に石炭分野では実<br />
施されているが)非鉄分野に関しても技術移転の為の人的交流を活発化して頂きたい。<br />
・相手国の法規制、意思決定のメカニズムが不明瞭であり、属人的に物事が決められてい<br />
くようなリスクを感じております。<br />
(d記載者コメント)<br />
・対応のスピード、データの質<br />
・鉱業関連の法律や規制に関して問い合わせを行った際、対応が遅い。また、原則として<br />
ベトナム語の資料しか提示されず、翻訳は独自で行うか、法外な「翻訳料」を請求され<br />
る。<br />
- 36 -
また、問い合わせに対して、外国人には開示できないという回答が多々あった。<br />
(その他)<br />
・資源情報の開示・発信量<br />
Q3-3.(人材)上記Q3-2をご回答頂いた方にお訊ねします。政府機関の人材の技術レベル・<br />
鉱業や地質知識についてどのような感想を抱かれましたか?a:,b:と回答された方へ、どの<br />
ような点に満足しましたか?どの職階の方ですか?また、その相手方はどのような教育を<br />
受けた方かご存知ですか?(回答無し)<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足 商社2<br />
d:不満足 商社1<br />
・当部が関心を持っているのは珪石ですが、珪石自体は地球上でほぼ無尽蔵と言われる程<br />
に大量に埋蔵しているので、どの国であろうと珪石に関して十分な埋蔵量、品質などの<br />
調査データが無いのが実態です。<br />
これはベトナムに限った話ではありません。<br />
Q3-3-2.(人材)政府機関の人材の技術レベル・鉱業や地質知識について引き続きお尋ねし<br />
ます。上記Q3-3で、c:,d:と回答された方へ、どのような点に満足出来ませんでしたか? ど<br />
の職階の方ですか?人材育成の見地からどのような改善策があり得るとお考えですか?<br />
・鉱業法が施行され間もない、法律の解釈に長けている人物。鉱業情報の整備、海外投資<br />
促進。<br />
・特別にどの職階というより、全般的にそう感じる。現在のようなNEDO殿等が支援さ<br />
れている形を継続するのが効果があると考える。<br />
・不満点:現在ベトナムでは国内初のアルミナ精製所を建設中の段階であり、ボーキサイ<br />
ト開発並びにアルミナ精製分野に関しては試行錯誤の過程であり、経験が不十分。職階<br />
は副社長から担当レベルまで全般。<br />
・技術レベル・鉱業や地質に関する知識に就いては、旧ソ連のものがベース。知識レベル<br />
に就いては、当社では量れないが、外国企業に対しては、情報の開示を積極的に行おう<br />
という姿勢がない。DGMVの局長クラスから担当者まで。<br />
Q3-4.Q3で B又はCを選択された、現在は投資をされていない方へご質問致します。<br />
右各国への鉱業投資にご関心がおありですか?<br />
A: 関心があり、今後具体的投資予定がある<br />
B: 関心があり、条件次第で検討する 鉱山2社 商社3社<br />
C: 関心はあるが、投資までは考えていない 鉱山2社 商社2社<br />
D: 関心がない 鉱山3社<br />
Q3-5-1. Q3-4でA:,B:を選択された、投資予定や、投資の関心がおありの方へご質問致しま<br />
- 37 -
す。<br />
その鉱業投資は、次のいずれですか?また、その対象鉱種は何ですか?<br />
①探鉱投資 鉱山2社 商社1社(ボーキサイト・レアアース)<br />
②開発投資 商社1社(銅・金を含む非鉄金属・鉄鉱石)<br />
③稼行中の鉱山への投資 商社2社(銅・金、珪石)<br />
Q3-5-2.Q3-4でB:を選択された、条件次第で投資も可とお考えの方へご質問します。<br />
差し支えなければ鉱種や条件などをお聞かせ下さい<br />
・現在、レアアースについて抽出基礎試験を実施中(JOGMEC受託業務)。<br />
・レアアース、亜鉛<br />
・条件;鉱量ポテンシャルの確認、鉱業法制の整備、日本向けに適した品質<br />
・条件;案件の経済性<br />
・ベトナム国自身が鉄道等のインフラを整備して欲しいこと。<br />
・Vinacomin他国内企業がmajorityを取るとの方針では、なかなかうまく進まないであろう。<br />
Q3-5-3.Q3-4でC:,D:を選択された、投資までは考えておられない方、関心がない方へご質<br />
問いたします。関心が投資に結び付かない理由やご関心がおありでない理由は何ですか?<br />
①具体的な検討案件がない。 鉱山5社<br />
②検討案件はあるが投資に至らない。<br />
③投資環境の問題がある。 鉱山1社<br />
④その他(具体的に記載ください。) 鉱山2社<br />
・よりポテンシャルの大きい地域での探鉱に力を入れており、当地域に資源を投入する余<br />
裕がない。<br />
・探鉱権を申請した場合の実際の難易度が不明(日数・期間・必要要件・金額等)<br />
である。(申請しないと判らないことかも知れないが、ケーススタディがあれば参考に<br />
なると考えている)<br />
・資源投資先の優先順位として他の地域が先に来るケースが結果的に多くなっているよう<br />
な気がします。<br />
・資源の輸出規制が導入されるリスク。<br />
Q3-5-4.上記設問で③を選択された、投資環境の問題をお考えの方、あるいはそれ以外の<br />
Q3-2のDの今後投資予定の方を含めて、本項目にご関心の方にご質問致します。投資環<br />
境の問題点は何でしょうか。(複数回答可)その他以外は、まず項目でお答えください。<br />
a:鉱業関連法制度(運用含む) 鉱山2社 商社1社<br />
b:環境規制その他の制度 商社1社<br />
c:社会環境 鉱山1社<br />
- 38 -
d:その他(具体的お書きください) 商社1社<br />
・資源の輸出規制が導入されるリスク。<br />
Q3-5-5. 上記設問でa:鉱業関連法制度、あるいはb:環境規制その他の制度の問題を選択され<br />
た方へご質問致します。<br />
差し支えなければ、どのような問題かお聞かせ下さい。<br />
・過去に探鉱を実施しようとしたことがあるが、鉱区認可に時間がかかり過ぎて、途中で<br />
断念した。<br />
・生産物の加工度=輸出規制(亜鉛)<br />
・外資企業出資比率の制限(ボーキサイト開発の場合、原則上限30%)<br />
・鉱業権付与の透明性<br />
・当然様々な問題が潜在していることを想定しておりますが、具体的には特定出来る段階<br />
にありません。<br />
Q3-5-6. Q3-5-4でc:社会環境、あるいはd:その他の問題を選択された方へご質問致します。<br />
投資阻害要因の中に、法制度以外に行政、治安、保安、現地コミュニティーとの関係など<br />
がありますか?<br />
①含まれている 鉱山2社<br />
②含まれていない 商社1社<br />
①を回答された場合<br />
差し支えなければ、阻害要因としてどのような問題を懸念されているかお聞かせ下さい。<br />
・行政組織が複雑で、どこが担当官庁かがわかりにくいということがあった。<br />
Q4.その他鉱業を中心に、投資環境、ODAに対するご要望などについて、ご自由にご意見<br />
をお聞かせ下さい<br />
・資源外交の観点からは、全方位ではなく、戦略をもって地域・国を選定し、集中的かつ<br />
持続的に実施するべきと感じる。<br />
・ODA: 側面サポートとして引続き周辺インフラ(道路、鉄道、発電所、学校、病院等々)整備への<br />
無償・有償ODA支援を希望。<br />
・資源大学へのINVITATION<br />
・探査費用について政府支援が得られる等の施策は投資する側にとって有効な方策となり<br />
うる<br />
・輸送インフラが未発達ゆえODAによるサポートを期待する。アルミナ(水酸化アルミ)<br />
リファイナリーは山元に建設するが、本日現在まだ専用の輸出港が存在しない。また、<br />
輸送用道路の整備が不十分。港と道路に対するODAを期待したい。<br />
・レアアースの開発は、これまで日本の企業では実績がなく、技術面での蓄積がない。<br />
日本の政府機関には、技術面の研究に対する支援や資金供与に期待する。<br />
- 39 -
・ベトナムプロジェクトのインフラ整備ではODAにつなげて頂き感謝しています。しかし、<br />
JICAの貧困対策プログラムの一環ということで予算額が限られており、地方政府の期待<br />
に応えかねています。今後資金面での充実を期待します<br />
・資源開発が国家計画(5カ年計画)の中に組み込まれ硬直的、参入外資の探鉱・開発活<br />
動に自由度がなく閉鎖的。<br />
・中央政府vs地方政府(人民委員会)の対立、利権問題・ワイロの横行、鉱区許認可制度の<br />
不透明性等、西側鉱産国に比べ投資環境は劣る。<br />
・一昨年政令による「精鉱輸出禁止」措置によりベースメタル資源ソース国としての魅力<br />
低下。<br />
・資源ナショナリズムにはそれを支えるに見合った技術の内製化が必要だが、現状は政策<br />
ありきで技術は外資・中国に依存している。(1990年代南米の国営→民営化策が鉱業振<br />
興に及ぼしたメリットを学習すべし)<br />
Q5.(人材)インドシナ三カ国(ベトナム、ラオス、カンボジア)への日本政府及び関係<br />
機関からの鉱業支援として、どのような人材育成が適切とお考えですか?<br />
良いアイディアをお寄せください。共通でも各国個別でも結構です。<br />
・かつてのG―G調査のようなスキームを復活させ、一定期間(2~3ヶ月)に亘って、日<br />
本側と相手国側が共同で、地質あるいは鉱床調査を行うなかで、技術移転・技術交流・<br />
人脈形成を図ってはどうかと思う。<br />
・技術面に加え、プロジェクトマネジメント関連での広範な人材育成が適切と考える。<br />
また、反対派との調整や地元への還元といった持続的開発の観点に立って資源開発を考<br />
えられるような人材の育成が望まれる。<br />
・引続き国際資源大学等での研修制度活用が望ましいと思う。<br />
・外国企業を含む民間企業に対して、積極的な情報開示を行い、技術面、政策面で率直な<br />
協議ができる知識、人脈を持った人材。<br />
・当該国の鉱業開発に関する法律、規制等を熟知した人材。<br />
・技術面で言うと、選鉱、製錬関連の技術者の育成を望みます。鉱山関連科目を教える大<br />
学( Ha Noi鉱山大学等)や国立の研究機関もあるようですが、活動が低調な気がします。<br />
日本も同様に技術者が育っていませんが、共同で技術者を育成する機関を設立できない<br />
でしょうか。<br />
・資源評価の切口に社会主義時代の名残強く(含有金属量ベースの評価、コスト意識の欠<br />
如、政策先行、etc.)、収益を加味した鉱山操業管理意識・ノウハウに欠ける。<br />
地質鉱床の基礎レベルはソ連時代の留学経験者中心にある程度維持。しかしGIS・鉱床<br />
評価ソフトの技術はまだ緒についた段階、応用展開能力は無い。<br />
若手地質屋のフィールド能力はおしなべて低い。<br />
操業段階における現場(特に労務)管理は現地スタッフが行わざるを得ないため、(机<br />
上の理論ではなく)現場の操業・運営管理に必要な技術、生産管理の考え方をOJTの中<br />
- 40 -
できちんと仕込む必要がある。<br />
Q6.(人材)また、具体的案件で投資等を進めていく場合に、将来会社側で「人材育成」<br />
に資する支援策を実施することは可能でしょうか?その場合に考えられる支援策の内容を<br />
例示して下さい。<br />
・探鉱段階での政府技術職員の受け入れ<br />
・開発段階でのOJT<br />
・開発段階でのスカラシップ<br />
・鉱山開発/操業を通じて必然的に労働者に対する人材育成を行うことになるため、それ<br />
以上の支援策が必要とは感じられない。<br />
・具体策含め将来的に検討して行きたい。<br />
・日本側J/Vパートナーの国内工場における実務研修は可能<br />
・選鉱、製錬技術者育成センターの設立<br />
・操業段階における現場(特に労務)管理は現地スタッフが行わざるを得ないため、(机<br />
上の理論ではなく)現場の操業・運営管理に必要な技術、生産管理の考え方をOJTの中<br />
できちんと仕込む必要がある<br />
Q7.また、今回当協会が現地で鉱業関係分野の主として人材育成および投資環境調査を実<br />
施するにあたり、特に調査をご希望される項目、事項などおありでしたらお聞かせ下さ<br />
い。<br />
・実際に鉱区を獲得している企業に対する鉱業権申請・取得の経過や難易度<br />
・輸送インフラ整備方針<br />
・環境対策<br />
・鉱業実務教育の現行制度と将来計画。<br />
・鉱業活動自由化への見通し、基本姿勢。<br />
・鉱石(精鉱)輸出規制の見直しの可能性。<br />
- 41 -
2.1.3 ラオス・アンケート調査の結果<br />
Q1.鉱物資源ポテンシャルについて貴社はどうお考えですか?<br />
以下の選択肢から右回答欄に記入ください。その上で差し支えなければその理由をお聞か<br />
せください。<br />
(回 答)<br />
ポテンシャル 鉱 山 商 社 メタコン 合 計<br />
A:大いにある 1 1 2<br />
B:ある 3 2 2 7<br />
C:多少ある 2 3 5<br />
D:ほとんどない 1 1<br />
E:よく判らない 1 2 3<br />
・ タイ北部から連続する銅・金鉱徴地が多数分布する。<br />
・ 地質・鉱床学的に未知の部分が多く、未探鉱のエリアが広い。<br />
・ラオスには、金属鉱徴地を伴った構造帯が知られており、その構造体には既に開発され<br />
ている Sepon 銅金鉱山や Phu Kham 銅金鉱山がある。また、ラオスでは探鉱が後れてお<br />
り、未だ見つかっていない鉱床がこれらの構造帯に存在する可能性は大いにあると考え<br />
られる。<br />
(以上、A「大いにある」との理由)<br />
・SeponやPhuKhamを代表とする非鉄資源の存在は確認されている。今後鉱業投資が加速さ<br />
れると期待している。<br />
・2008 年12 月、ラオス政府との間でボーキサイトに関するExploration Agreement 締結<br />
済み。<br />
・鉱徴地が多く、探査余地が多く残されている<br />
・セポン鉱山、プーカン鉱山周辺にはポジティブな探鉱・開発余地があり、また探査が不<br />
十分な中・小規模の鉱床が多い。<br />
(以上B「ある」との理由)<br />
・対象地域の地質等に関する一般情報より。<br />
・既発見の鉱床はやや小規模であるが地質的に銅-金鉱床のポテンシャルはあると考えて<br />
いる。<br />
(以上C「多少ある」との理由)<br />
Q2. Q1でA.大いにある、B.ある、C.多少ある、を選択された方へお聞きします。ポテンシ<br />
ャルがあるとご判断される鉱種としては何をお考えでしょうか。Q1でA.B,Cを選択された<br />
方へ、とご判断の鉱種としては何をお考えでしょうか。<br />
- 42 -
(回 答)<br />
鉱 種 A 大いにある B ある C 多少ある<br />
銅 2 6 5<br />
鉛・亜鉛 3 1<br />
金 2 4 2<br />
ボーキサイト 3 1<br />
(複数の鉱種をあげているケースあり)<br />
(コメント)<br />
・既存鉱床と今までの探査結果から、斑岩銅・金鉱床、カーリン型金鉱床、スカルン型銅・<br />
亜鉛鉱床、含金石英脈鉱床、ミシシッピバレー型鉛・亜鉛鉱床、錫石英脈鉱床。<br />
Q3. 貴社では現在、右各国へ鉱業投資をされておられますか?<br />
投 資 種 別 鉱 山 商 社 合計<br />
A:はい 1 1<br />
B:過去に投資したが現在は投資していない<br />
C:過去、現在ともに投資していない 5 4 9<br />
D:今後、投資予定である 1 1 2<br />
Q3-1.Q3でA,Bを選択された現在か過去に投資経験がおありか、Dを選択された今後投資<br />
予定の方へ質問致します。<br />
その鉱業投資は、次のいずれですか?<br />
また、その対象鉱種は何ですか? 併せてお差し支えなければ、同国の投資環境に対する<br />
評価、ご判断をお聞かせ下さい<br />
投 資 種 別 鉱 山 商 社<br />
a: 探鉱投資 1(銅:) 2(ボーキサイト 1、銅 1)<br />
b: 開発投資<br />
c: 稼行鉱山への投資<br />
・探鉱権を取得済みで、近々探鉱を開始する予定。<br />
・ボーキサイト探査実施の為の現地会社設立を予定している。<br />
・ 投資環境については、日ラオス投資協定が発効しており、且つ新Mining Lawの制定の動<br />
きもあり、改善しつつある。<br />
・ボーキサイト探査実施の為の現地会社設立を予定している。<br />
・ 対象鉱種は銅です。ラオスは、積極的に海外からの投資を受け入れており、周辺諸国に<br />
比べて鉱業関係への参入が難しくない。周囲に海がないこと(locked country)がデメリ<br />
ットではあったが東西回路が開通し、また鉄道も開通したことによってインフラも整備<br />
されつつある。ODAについては日本が一番多く、日本に対しては好意的である。投資環<br />
境については、日ラオス投資協定が発効しており、且つ新Mining Lawの制定の動きもあ<br />
- 43 -
り、改善しつつある。<br />
Q3-2.(人材)引き続きQ3でA,B,Dを選択された投資にご関心ある方へご質問致します。<br />
その鉱業投資検討・準備の際、鉱業関係政府機関の対応やサービス内容についていかなる<br />
感想を抱かれましたか?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足 鉱山1社 商社1社<br />
c:やや不満足 商社1社<br />
d:不満足<br />
(bのコメント)<br />
・探鉱権申請段階では、現地代表事務所の設置で可能(運用上)であり、この点では探鉱<br />
権申請要件のハードルが低い。<br />
(cのコメント)<br />
・やや対応が遅く、時間がかかる。<br />
(その他のコメント)<br />
・資源情報の開示・発信量<br />
Q3-3.(人材)上記Q3-2をご回答頂いた方にお訊ねします。政府機関の人材の技術レベル・<br />
鉱業や地質知識についてどのような感想を抱かれましたか?a:,b:と回答された方へ、どの<br />
ような点に満足しましたか?どの職階の方ですか?また、その相手方はどのような教育を<br />
受けた方かご存知ですか?(回答無し)<br />
a:非常に満足<br />
b:満足 鉱山1社、商社1社<br />
c:やや不満足 商社1社<br />
d:不満足<br />
(bのコメント)<br />
・相手方は幹部(副局長~局長)レベルであり、海外留学経験もある。また、探鉱権申請<br />
段階では深い専門的な鉱業・地質知識は必要ないことから大きなレベル差を感じること<br />
はない。人材層の厚さに懸念がある。<br />
・上は大臣・局長クラスから、下は担当者まで。大臣・局長クラスは、旧ソ連東欧諸国や、<br />
西側諸国に留学した人が多く、英語も話し、特に問題はない。担当者クラスは、英語を<br />
充分話せない人が多く、communicationにやや困難が伴う。<br />
(cのコメント)<br />
・ラオスにはNational Polytechnic Institutionがありそこで教育を受けているようである。ま<br />
た、幹部候補生は、ロシア、中国、ベトナムで研修を受けているようです。<br />
- 44 -
Q3-3-2.(人材)政府機関の人材の技術レベル・鉱業や地質知識について引き続きお尋ねし<br />
ます。上記Q3-3で、c:,d:と回答された方へ、どのような点に満足出来ませんでしたか? ど<br />
の職階の方ですか?人材育成の見地からどのような改善策があり得るとお考えですか?<br />
・鉱業情報の整備、海外投資促進。<br />
・全員ではないが(その人の能力によると考えられますが)、案件の計画説明の際に地質<br />
学的な基本的な質問を問われることがあった。ラオス側の要望としては講師などを招い<br />
て全体に講義を行ってほしいとの話をよく聞いています。<br />
Q3-4.Q3で B又はCを選択された、現在は投資をされていない方へご質問致します。<br />
右各国への鉱業投資にご関心がおありですか?<br />
A: 関心があり、今後具体的投資予定がある<br />
B: 関心があり、条件次第で検討する 鉱山2社 商社2社<br />
C: 関心はあるが、投資までは考えていない 鉱山1社 商社3社<br />
D: 関心がない 鉱山3社<br />
(Bのコメント)<br />
・なお、全く知識がなく判断できないという意見もある。<br />
Q3-5-1. Q3-4でA:,B:を選択された、投資予定や、投資の関心がおありの方へご質問致しま<br />
す。その鉱業投資は、次のいずれですか?また、その対象鉱種は何ですか?<br />
①探鉱投資 鉱山2社(銅・金、亜鉛) 商社1社(銅・レアメタル(レアアース))<br />
②開発投資 商社1社(銅)<br />
③稼行中の鉱山への投資 商社1社(銅・金)<br />
Q3-5-2.Q3-4でB:を選択された、条件次第で投資も可とお考えの方へご質問します。<br />
差し支えなければ鉱種や条件などをお聞かせ下さい<br />
・銅・金<br />
・亜鉛<br />
・条件;鉱量ポテンシャルの確認、鉱業法制の整備、日本向けに適した品質<br />
・銅・レアメタル(レアアース)<br />
Q3-5-3.Q3-4でC:,D:を選択された、投資までは考えておられない方、関心がない方へご質<br />
問いたします。関心が投資に結び付かない理由やご関心がおありでない理由は何ですか?<br />
①具体的な検討案件がない。 鉱山4社 商社3社<br />
②検討案件はあるが投資に至らない。 商社1社<br />
③投資環境の問題がある。 鉱山1社 商社1社<br />
④その他(具体的に記載ください。) 鉱山1社 商社1社<br />
- 45 -
(①のコメント)<br />
・当該市場に関する情報、知識の蓄積がない。<br />
(④のコメント)<br />
・よりポテンシャルの大きい地域での探鉱に力を入れており、当地域に資源を投入する余<br />
裕がない。<br />
・資源投資先の優先順位として他の地域が先に来るケースが結果的に多くなっているよう<br />
な気がします。<br />
Q3-5-4.上記設問で③を選択された、投資環境の問題をお考えの方、あるいはそれ以外の<br />
Q3-2のDの今後投資予定の方を含めて、本項目にご関心の方にご質問致します。投資環<br />
境の問題点は何でしょうか。(複数回答可)その他以外は、まず項目でお答えください。<br />
a:鉱業関連法制度(運用含む) 鉱山1社<br />
b:環境規制その他の制度<br />
c:社会環境 鉱山1社<br />
d:その他(具体的お書きください) 鉱山1社 商社1社<br />
(dのコメント)<br />
・正式な調査を行ったわけでなく、国民感情や民度等に関する一般的な印象<br />
・輸送インフラが未整備。未開発地域での安全性リスク(地雷等)。<br />
Q3-5-5. 上記設問でa:鉱業関連法制度、あるいはb:環境規制その他の制度の問題を選択され<br />
た方へご質問致します。<br />
差し支えなければ、どのような問題かお聞かせ下さい。<br />
・該当する回答なし。<br />
Q3-5-6. Q3-5-4でc:社会環境、あるいはd:その他の問題を選択された方へご質問致します。<br />
投資阻害要因の中に、法制度以外に行政、治安、保安、現地コミュニティーとの関係など<br />
がありますか? ①含まれている 鉱山3社 ②含まれていない 商社2社<br />
①を回答された場合<br />
差し支えなければ、阻害要因としてどのような問題を懸念されているかお聞かせ下さい。<br />
・政情・治安の安定度<br />
・ベトナム戦争時の不発弾の存在<br />
・外貨送金の自由度<br />
・不発弾、地雷源<br />
・資源ナショナリズム<br />
Q4.その他鉱業を中心に、投資環境、ODAに対するご要望などについて、ご自由にご意見<br />
をお聞かせ下さい<br />
- 46 -
・国が保有する地質鉱床データ(地質図、鉱徴地分布図等)の公表が可能となるデータベ<br />
ースの構築や公開制度創設への支援などは有効<br />
・全国の地質図に加えて、地化探図、重力図などの整備が必要<br />
・資源外交の観点からは、全方位ではなく、戦略をもって地域・国を選定し、集中的かつ<br />
持続的に実施するべきと感じる。<br />
・ODA: 側面サポートとして引続き周辺インフラ(道路、鉄道、発電所、学校、病院等々)<br />
整備への無償・有償ODA支援を希望。<br />
・探査費用について政府支援が得られる等の施策は投資する側にとって有効な方策となり<br />
うる<br />
・現在は探鉱活動が中心ではあるが、今後開発を行っていく中で、インフラが整っている<br />
とはいえないためODAなどでカバーしてもらいたい。<br />
・豪州企業のみならず隣国の中国・ベオナム・タイ企業の探査・鉱山開発に開放的な鉱業<br />
政策。<br />
・鉱業権取得に透明性はやや劣るが、投資環境はインドシナ3国では比較的良く、地方へ<br />
の権益の分配が比較的スムーズ。<br />
Q5.(人材)インドシナ三カ国(ベトナム、ラオス、カンボジア)への日本政府及び関係<br />
機関からの鉱業支援として、どのような人材育成が適切とお考えですか?<br />
良いアイディアをお寄せください。共通でも各国個別でも結構です。<br />
・地質学、鉱床学の知識、技術を修めるための教育機関設立支援<br />
・民間企業へのOJT派遣<br />
・かつてのG―G調査のようなスキームを復活させ、一定期間(2~3ヶ月)に亘って、日<br />
本側と相手国側が共同で、地質あるいは鉱床調査を行うなかで、技術移転・技術交流・<br />
人脈形成を図ってはどうかと思う。<br />
・全国図の整備、鉱業法規、環境影響調査<br />
・技術面に加え、プロジェクトマネジメント関連での広範な人材育成が適切と考える。<br />
また、反対派との調整や地元への還元といった持続的開発の観点に立って資源開発を考<br />
えられるような人材の育成が望まれる。<br />
・引続き国際資源大学等での研修制度活用が望ましいと思う。<br />
・資源大学へのINVITATION<br />
・まずはラオスが要望しているように日本からの技術者を派遣し、講義中心(場合によっ<br />
ては巡検程度の実地訓練)を行うことが必要と考えます。<br />
・地質局、鉱山局のどの部門においても人材が不足している。また技術レベルの向上も必<br />
要である。<br />
・2010年からラオス大学に地質・資源のコースが設置されると聞いているが、まず大<br />
学で技術者を養成することが必要である。<br />
・3カ国の中で友好的な国民性であり、3カ国共通の公共の分析(岩石、鉱石、土壌)セ<br />
ンター、リモートセンシングセンターの設置と、各専門家の育成。<br />
- 47 -
Q6.(人材)また、具体的案件で投資等を進めていく場合に、将来会社側で「人材育成」<br />
に資する支援策を実施することは可能でしょうか?その場合に考えられる支援策の内容を<br />
例示して下さい。<br />
・投資等のステージに応じて、調査、開発、操業等の要員確保が必要であり、会社側ニー<br />
ズに応じた現地での教育が必要と思われる<br />
・探鉱段階での政府技術職員の受け入れ<br />
・開発段階でのOJT<br />
・開発段階でのスカラシップ<br />
・人材育成のための人材は日本の会社でも乏しく難しい<br />
・鉱山開発/操業を通じて必然的に労働者に対する人材育成を行うことになるため、それ<br />
以上の支援策が必要とは感じられない。<br />
・具体策含め将来的に検討して行きたい。<br />
・現在進めている案件の中で人材育成についてもラオス側からも求められているので、探<br />
鉱を行っていく中で人材を育成していく予定。<br />
・操業段階における現場(特に労務)管理は現地スタッフが行わざるを得ないため、(机<br />
上の理論ではなく)現場の操業・運営管理に必要な技術、生産管理の考え方をOJTの中<br />
できちんと仕込む必要がある<br />
Q7.また、今回当協会が現地で鉱業関係分野の主として人材育成および投資環境調査を実<br />
施するにあたり、特に調査をご希望される項目、事項などおありでしたらお聞かせ下さ<br />
い。<br />
・鉱業法改正や諸規則制定の状況(結果)<br />
・高専・大学での基盤教育の有無<br />
・国立機関の基礎的インフラや設備(スタッフ数、調査道具、分析機器等)<br />
・鉱徴・鉱床リストなどデータベースの存在の有無、公表の可否<br />
・輸送インフラ整備方針<br />
・鉱業税制(ロイヤリテイ、所得税等)の改革計画<br />
・地質・鉱業教育制度の計画と改革。<br />
・鉱区カダストラルシステムの現状<br />
- 48 -
2.1.4 カンボジア・アンケート調査の結果<br />
Q1.鉱物資源ポテンシャルについて貴社はどうお考えですか?<br />
以下の選択肢から右回答欄に記入ください。その上で差し支えなければその理由をお聞か<br />
せください。<br />
(回 答)<br />
ポテンシャル 鉱 山 商 社 メタコン 合 計<br />
A:大いにある 1 1<br />
B:ある 1 1 2 4<br />
C:多少ある 3 2 5<br />
D:ほとんどない 2 1 3<br />
E:よく判らない 3 3<br />
・ 地質・鉱床学的に未知の部分が多く、未探鉱のエリアが広い。<br />
(以上、A「大いにある」との理由)<br />
・非鉄金属資源ポテンシャルは未知な部分が多い。<br />
・金、ベースメタル、鉄の鉱徴地が多いが、充分な地質調査が実施されていない。<br />
(以上B「ある」との理由)<br />
・対象地域の地質等に関する一般情報より。<br />
・既発見の鉱床はやや小規模であるが地質的に銅-金鉱床のポテンシャルはあると考えて<br />
いる。<br />
(以上C「多少ある」との理由)<br />
Q2. Q1でA.大いにある、B.ある、C.多少ある、を選択された方へお聞きします。ポテンシ<br />
ャルがあるとご判断される鉱種としては何をお考えでしょうか。Q1でA.B,Cを選択された<br />
方へ、とご判断の鉱種としては何をお考えでしょうか。<br />
(回 答)<br />
鉱 種 A 大いにある B ある C 多少ある<br />
銅 1 3 5<br />
鉛・亜鉛 2 1<br />
金 1 1<br />
ボーキサイト 2 1<br />
鉄 1<br />
カリウム 1<br />
(複数の鉱種をあげているケースあり)<br />
(コメント)<br />
・既存資料から、銅・モリブデン鉱床、含金・鉛亜鉛鉱床。可能性のある鉱床として、ポ<br />
- 49 -
リメタル鉱脈鉱床、スカルン型銅・亜鉛鉱床、斑岩銅鉱床、ミシシッピバレー型鉛・亜<br />
鉛鉱床。<br />
Q3. 貴社では現在、右各国へ鉱業投資をされておられますか?<br />
A:はい<br />
投 資 種 別 鉱 山 商 社 合計<br />
B:過去に投資したが現在は投資していない<br />
C:過去、現在ともに投資していない 6 5 11<br />
D:今後、投資予定である 1 1<br />
Q3-1.Q3でA,Bを選択された現在か過去に投資経験がおありか、Dを選択された今後投資<br />
予定の方へ質問致します。<br />
その鉱業投資は、次のいずれですか?<br />
また、その対象鉱種は何ですか? 併せてお差し支えなければ、同国の投資環境に対する<br />
評価、ご判断をお聞かせ下さい<br />
投 資 種 別 鉱 山 商 社<br />
a: 探鉱投資 1(銅:)<br />
b: 開発投資<br />
c: 稼行鉱山への投資<br />
・100%子会社を設立し、探鉱権を申請中である(銅・金・鉄)<br />
Q3-2.(人材)引き続きQ3でA,B,Dを選択された投資にご関心ある方へご質問致します。<br />
その鉱業投資検討・準備の際、鉱業関係政府機関の対応やサービス内容についていかなる<br />
感想を抱かれましたか?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足 鉱山1社<br />
d:不満足<br />
(cのコメント)<br />
・探鉱権申請段階でも現地法人を設立し、それを維持しなければなければならないこと(現<br />
地代表事務所では不可)。<br />
(その他のコメント)<br />
・資源情報の開示・発信量<br />
Q3-3.(人材)上記Q3-2をご回答頂いた方にお訊ねします。政府機関の人材の技術レベル・<br />
- 50 -
鉱業や地質知識についてどのような感想を抱かれましたか?a:,b:と回答された方へ、どの<br />
ような点に満足しましたか?どの職階の方ですか?また、その相手方はどのような教育を<br />
受けた方かご存知ですか?(回答無し)<br />
a:非常に満足<br />
b:満足 鉱山1社<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
(bのコメント)<br />
・相手方は幹部(副局長~局長)レベルであり、海外留学経験もある。また、探鉱権申請<br />
段階では深い専門的な鉱業・地質知識は必要ないことから大きなレベル差を感じること<br />
はない。<br />
・しかし、カンボジアには近代鉱山がなく議論が時として理論・理論先行となる場合もあ<br />
る。<br />
・人材層の厚さに懸念がある。<br />
Q3-3-2.(人材)政府機関の人材の技術レベル・鉱業や地質知識について引き続きお尋ねし<br />
ます。上記Q3-3で、c:,d:と回答された方へ、どのような点に満足出来ませんでしたか? ど<br />
の職階の方ですか?人材育成の見地からどのような改善策があり得るとお考えですか?<br />
・鉱業情報の整備、海外投資促進。<br />
Q3-4.Q3で B又はCを選択された、現在は投資をされていない方へご質問致します。<br />
右各国への鉱業投資にご関心がおありですか?<br />
A: 関心があり、今後具体的投資予定がある<br />
B: 関心があり、条件次第で検討する 商社2社<br />
C: 関心はあるが、投資までは考えていない 鉱山3社 商社3社<br />
D: 関心がない 鉱山3社<br />
(Bのコメント)<br />
・なお、全く知識がなく判断できないという意見もある。<br />
Q3-5-1. Q3-4でA:,B:を選択された、投資予定や、投資の関心がおありの方へご質問致しま<br />
す。その鉱業投資は、次のいずれですか?また、その対象鉱種は何ですか?<br />
①探鉱投資 商社1社(ボーキサイト)<br />
②開発投資 商社1社(銅・金)<br />
③稼行中の鉱山への投資 商社1社(銅・金)<br />
Q3-5-2.Q3-4でB:を選択された、条件次第で投資も可とお考えの方へご質問します。<br />
差し支えなければ鉱種や条件などをお聞かせ下さい<br />
- 51 -
・銅・金<br />
・亜鉛<br />
・条件;鉱量ポテンシャルの確認、鉱業法制の整備、日本向けに適した品質<br />
・ターゲットの良し悪し次第(ボーキサイト)。<br />
Q3-5-3.Q3-4でC:,D:を選択された、投資までは考えておられない方、関心がない方へご質<br />
問いたします。関心が投資に結び付かない理由やご関心がおありでない理由は何ですか?<br />
①具体的な検討案件がない。 鉱山6社 商社4社<br />
②検討案件はあるが投資に至らない。 商社1社<br />
③投資環境の問題がある。 鉱山1社 商社1社<br />
④その他(具体的に記載ください。) 鉱山1社 商社1社<br />
(①のコメント)<br />
・当該市場に関する情報、知識の蓄積がない。<br />
(④のコメント)<br />
・よりポテンシャルの大きい地域での探鉱に力を入れており、当地域に資源を投入する余<br />
裕がない。<br />
・資源投資先の優先順位として他の地域が先に来るケースが結果的に多くなっているよう<br />
な気がします。<br />
Q3-5-4.上記設問で③を選択された、投資環境の問題をお考えの方、あるいはそれ以外の<br />
Q3-2のDの今後投資予定の方を含めて、本項目にご関心の方にご質問致します。投資環<br />
境の問題点は何でしょうか。(複数回答可)その他以外は、まず項目でお答えください。<br />
a:鉱業関連法制度(運用含む) 鉱山1社<br />
b:環境規制その他の制度<br />
c:社会環境 鉱山1社<br />
d:その他(具体的お書きください) 鉱山1社 商社1社<br />
(dのコメント)<br />
・正式な調査を行ったわけでなく、国民感情や民度等に関する一般的な印象<br />
・未開発地域での安全性リスク(地雷等)。<br />
Q3-5-5. 上記設問でa:鉱業関連法制度、あるいはb:環境規制その他の制度の問題を選択され<br />
た方へご質問致します。<br />
差し支えなければ、どのような問題かお聞かせ下さい。<br />
・該当する回答なし。<br />
Q3-5-6. Q3-5-4でc:社会環境、あるいはd:その他の問題を選択された方へご質問致します。<br />
投資阻害要因の中に、法制度以外に行政、治安、保安、現地コミュニティーとの関係など<br />
- 52 -
がありますか? ①含まれている 鉱山3社 ②含まれていない 商社2社<br />
①を回答された場合<br />
差し支えなければ、阻害要因としてどのような問題を懸念されているかお聞かせ下さい。<br />
・政情・治安の安定度<br />
・内戦時の地雷の存在<br />
・不発弾、地雷源<br />
・資源ナショナリズム<br />
Q4.その他鉱業を中心に、投資環境、ODAに対するご要望などについて、ご自由にご意見<br />
をお聞かせ下さい<br />
・全国の地質図に加えて、地化探図、重力図などの整備が必要<br />
・ODA: 側面サポートとして引続き周辺インフラ(道路、鉄道、発電所、学校、病院等々)<br />
整備への無償・有償ODA支援を希望。<br />
・探査費用について政府支援が得られる等の施策は投資する側にとって有効な方策となり<br />
うる<br />
・鉱業政策はドラフト段階で、政府の中で承認されていない。<br />
・法律、関連法案が未整備。<br />
・鉱業法は不完全で、進出企業は政府と鉱業協定を個別に取り交わし、探鉱を実施。<br />
・鉱業権取得や権利保障に透明性がなく、ガバナンスが低い。<br />
・鉱物資源ポテンシャル地域や既存鉱区が地雷・不発弾の可能性のある地区となっている<br />
ことが多く、探査・開発活動に支障があり、それらの探知・除去にコストが掛かる。ま<br />
た、森林や農業のコンセッションと重複があるも、政府機関に調整能力なし。<br />
Q5.(人材)インドシナ三カ国(ベトナム、ラオス、カンボジア)への日本政府及び関係<br />
機関からの鉱業支援として、どのような人材育成が適切とお考えですか?<br />
良いアイディアをお寄せください。共通でも各国個別でも結構です。<br />
・かつてのG―G調査のようなスキームを復活させ、一定期間(2~3ヶ月)に亘って、日<br />
本側と相手国側が共同で、地質あるいは鉱床調査を行うなかで、技術移転・技術交流・<br />
人脈形成を図ってはどうかと思う。<br />
・全国図の整備、鉱業法規、環境影響調査<br />
・引続き国際資源大学等での研修制度活用が望ましいと思う。<br />
・資源大学へのINVITATION<br />
・人材が質・量ともに不足している。政府の鉱業管轄機関の職員は、資源開発に関する基<br />
本的知識、技術を十分に理解していない。その背景には、国内の高等教育機関には、地<br />
質や鉱業に関する学部、学科がないためである。日本政府による、研修機関や高等教育<br />
施設の建設や、我が国や鉱業先進国からの講師の派遣によって、カンボジア人の鉱業専<br />
- 53 -
門家を育成する姿が望ましい。<br />
Q6.(人材)また、具体的案件で投資等を進めていく場合に、将来会社側で「人材育成」<br />
に資する支援策を実施することは可能でしょうか?その場合に考えられる支援策の内容を<br />
例示して下さい。<br />
・探鉱段階での政府技術職員の受け入れ<br />
・開発段階でのOJT<br />
・開発段階でのスカラシップ<br />
・人材育成のための人材は日本の会社でも乏しく難しい<br />
・具体策含め将来的に検討して行きたい。<br />
・鉱業協定の中でカンボジア人労働者の教育訓練が義務図けられており、外国企業はやむ<br />
なく政府職員を受け入れてOJT実施。但し、日当、滞在費、教育費は全て企業負担。<br />
Q7.また、今回当協会が現地で鉱業関係分野の主として人材育成および投資環境調査を実<br />
施するにあたり、特に調査をご希望される項目、事項などおありでしたらお聞かせ下さ<br />
い。<br />
・高専・大学での基盤教育の有無<br />
・国立機関の基礎的インフラや設備(スタッフ数、調査道具、分析機器等)<br />
・鉱徴・鉱床リストなどデータベースの存在の有無、公表の可否<br />
・輸送インフラ整備方針<br />
- 54 -
2.1.5 過去のアンケート調査結果との比較<br />
アジア産業基盤強化事業などの一環として過去に周辺国の鉱業ポテンシャルについて<br />
同様な調査を行っている。今回2009年度調査に先立って、ベトナムについては2007年に、<br />
ラオスについては2003年に、カンボジアについては2004年にもアンケート調査を実施して<br />
している。<br />
以下の二つの表を概観すると、東南アジアではインドネシアが最も鉱物資源のポテンシ<br />
ャルと鉱業投資が高い。その次にフィリピン、ベトナムが続く。次のレベルがラオス。カ<br />
ンボジア、ミャンマーはさらにそれらに続く位置づけである。<br />
各国の鉱物資源ポテンシャル<br />
ポテンシャル<br />
ベトナム<br />
2007年 2009年<br />
ラオス<br />
2003年 2009年<br />
カンボジア<br />
2004年 2009年<br />
ミャンマー<br />
2002年<br />
フィリピン<br />
2001年 2008年<br />
インドネシア<br />
2006年<br />
大いにある 3 5 1 2 1 1 2 4<br />
ある 5 8 5 7 3 4 6 9 12 7<br />
多少ある 4 2 1 5 2 5 2 1 2<br />
ほとんどない 1 1 1 1 3 1<br />
よく判らない 3 1 6 3 7 3 2 1 1 2<br />
今回の調査ではベトナム、ラオス、カンボジアについて、それぞれ「大いにある」「あ<br />
る」の回答数が過去調査より増加している。これは、最近、ベトナムでは、レアアース・<br />
ボーキサイト探鉱が盛んとなり、またラオスでは外国資本の開発により銅金鉱山が開発さ<br />
れたこと、カンボジアでもこれらの動向に触発されていること等から多くの鉱業開発関係<br />
者が注目してきていることによるものと考えられる。<br />
鉱業案件投資状況<br />
投資状況<br />
ベトナム ラオス<br />
2007年 2009年 2003年 2009年<br />
カンボジア<br />
2004年 2009年<br />
ミャンマー<br />
2002年<br />
フィリピン<br />
2008年<br />
インドネシア<br />
2008年<br />
現在投資 1 1 1 1 5 7<br />
過去に投資 1 2 6 1<br />
過去、現在とも<br />
投資なし<br />
14 11 12 9 13 11 8 5 6<br />
今後投資予定<br />
である<br />
1 4 1 2 1<br />
鉱業の投資状況でも、今回の調査では、ベトナム、ラオス、カンボジアについて、「現<br />
在投資」や「今後投資予定である」の回答数が過去調査より増加しており、最近多くの鉱業<br />
案件が浮上していることをうかがわせる。<br />
- 55 -
2.1.6 アンケート調査結果のまとめ<br />
アンケートによる調査結果を総合すると、各国ごとに以下のとおりである。<br />
2.1.6.1 ベトナム調査結果のまとめ<br />
ベトナムにおける鉱物資源ポテンシャルについては、17社(回答)中の15社(回答)が<br />
ポテンシャルはあると考えており、日本企業はベトナムの鉱物資源ポテンシャルを非常に<br />
高く評価しているといえる。ことに「大いにある」と評価しているのは商社5社であるこ<br />
とが特徴である。鉱種については、「ポテンシャルが大いにある」としているものは、レア<br />
アース、レアメタル、ボーキサイト、鉄鉱石、イルメナイト(チタン)、石炭、黒鉛が挙げ<br />
られており、多鉱種である。鉱山会社では、銅・金・鉛・亜鉛・スズ・タングステン、白<br />
色石灰石について、「ポテンシャルがある」と評価している。商社では、珪石について「ポ<br />
テンシャルがある」と見ている。<br />
・ボーキサイトについては世界有数の埋蔵量。ボーキサイト埋蔵量は一説には55億トンと<br />
言われており、そのポテンシャルは高い。<br />
・レアアースについても地質的に注目しており、JOGMEC主導の探査プロジェクトの動向<br />
について注視している。<br />
・既に、複数の開発案件を検討中。<br />
・銅・石炭に期待。<br />
・鉱徴地が多く、探査余地が多く残されている。<br />
投資経験に関するアンケート結果では、現在ベトナムに1社が投資しており、今後投資<br />
予定が4社を数え、活況を呈してきている。いずれも商社である。また投資の内容としては、<br />
探鉱投資が4件、開発投資4件、稼行中鉱山への投資が2件となっている。<br />
現在は投資していない11社のうち、5社(鉱山2社を含む)がベトナムの投資に関心があ<br />
り、条件次第では鉱業投資を検討するとしている。<br />
制度・社会面等の鉱業投資環境については下記のような懸念事項が指摘された。<br />
・外資企業に対し原則30%という厳しい出資規制が課せられている。<br />
・また、二次加工義務の付加等の急速な政策変換への懸念や、鉱業権の付与が先入れ先出<br />
しの原則を必ずしも従っていないと漏れ聞いており、安心して踏み込める環境は今後整<br />
備されていくものと期待。<br />
・資源管理政策が変更されるリスクがある。<br />
・権益取得や探鉱、開発、環境に関するルールが未整備。<br />
・探鉱権を申請した場合の実際の難易度が不明(日数・期間・必要要件・金額等)<br />
である。(申請しないと判らないことかも知れないが、ケーススタディがあれば参考に<br />
なると考えている)<br />
・資源の輸出規制が導入されるリスク。<br />
- 56 -
・過去に探鉱を実施しようとしたことがあるが、鉱区認可に時間がかかり過ぎて、途中で<br />
断念した。<br />
・生産物の加工度=輸出規制(亜鉛)<br />
・外資企業出資比率の制限(ボーキサイト開発の場合、原則上限30%)<br />
・鉱業権付与の透明性<br />
・資源開発が国家計画(5カ年計画)の中に組み込まれ硬直的、参入外資の探鉱・開発活<br />
動に自由度がなく閉鎖的。<br />
・中央政府vs地方政府(人民委員会)の対立、利権問題・ワイロの横行、鉱区許認可制度の<br />
不透明性等、西側鉱産国に比べ投資環境は劣る。<br />
・一昨年政令による「精鉱輸出禁止」措置によりベースメタル資源ソース国としての魅力<br />
低下。<br />
・資源ナショナリズムにはそれを支えるに見合った技術の内製化が必要だが、現状は政策<br />
ありきで技術は外資・中国に依存している。(1990年代南米の国営→民営化策が鉱業振<br />
興に及ぼしたメリットを学習すべし)<br />
ベトナムに対する投資環境やODAの要望事項として下記が寄せられた。<br />
・資源外交の観点からは、全方位ではなく、戦略をもって地域・国を選定し、集中的かつ<br />
持続的に実施するべきと感じる。<br />
・ODA: 側面サポートとして引続き周辺インフラ(道路、鉄道、発電所、学校、病院等々)<br />
整備への無償・有償ODA支援を希望。<br />
・資源大学へのINVITATION<br />
・探査費用について政府支援が得られる等の施策は投資する側にとって有効な方策となり<br />
うる<br />
・輸送インフラが未発達ゆえODAによるサポートを期待する。アルミナ(水酸化アルミ)<br />
リファイナリーは山元に建設するが、本日現在まだ専用の輸出港が存在しない。また、<br />
輸送用道路の整備が不十分。港と道路に対するODAを期待したい。<br />
・レアアースの開発は、これまで日本の企業では実績がなく、技術面での蓄積がない。<br />
日本の政府機関には、技術面の研究に対する支援や資金供与に期待する。<br />
・ベトナムプロジェクトのインフラ整備ではODAにつなげて頂き感謝しています。しかし、<br />
JICAの貧困対策プログラムの一環ということで予算額が限られており、地方政府の期待<br />
に応えかねています。今後資金面での充実を期待します<br />
次にベトナムにおける鉱業人材についてであるが、投資をしたり計画している商社では、<br />
ベトナム側の対応やサービス内容に、やや不満足2、不満足2というきびいしい評価となっ<br />
た。またそれを支える人材の技術レベル・鉱業や地質知識についてもいろいろな不満懸念<br />
事項の指摘があった。<br />
・対応は非常に好意的だが、ボーキサイト探鉱・開発の経験がまだ浅い為、適切かつタイ<br />
ムリーなフィードバックが受けられない。政府機関においては、(既に石炭分野では実<br />
- 57 -
施されているが)非鉄分野に関しても技術移転の為の人的交流を活発化して頂きたい。<br />
・相手国の法規制、意思決定のメカニズムが不明瞭であり、属人的に物事が決められてい<br />
くようなリスクを感じております。<br />
・対応のスピード、データの質<br />
・鉱業関連の法律や規制に関して問い合わせを行った際、対応が遅い。また、原則として<br />
ベトナム語の資料しか提示されず、翻訳は独自で行うか、法外な「翻訳料」を請求され<br />
る。また、問い合わせに対して、外国人には開示できないという回答が多々あった。<br />
・資源情報の開示・発信量<br />
・鉱業法が施行され間もない、法律の解釈に長けている人物。鉱業情報の整備、海外投資<br />
促進。<br />
・特別にどの職階というより、全般的にそう感じる。現在のようなNEDO殿等が支援さ<br />
れている形を継続するのが効果があると考える。<br />
・不満点:現在ベトナムでは国内初のアルミナ精製所を建設中の段階であり、ボーキサイ<br />
ト開発並びにアルミナ精製分野に関しては試行錯誤の過程であり、経験が不十分。職階<br />
は副社長から担当レベルまで全般。<br />
・技術レベル・鉱業や地質に関する知識に就いては、旧ソ連のものがベース。知識レベル<br />
に就いては、当社では量れないが、外国企業に対しては、情報の開示を積極的に行おう<br />
という姿勢がない。DGMVの局長クラスから担当者まで。<br />
こうした人材のレベルアップをはかるためにはどういう方策がよいかということに対して<br />
は、下記の指摘があった。<br />
・かつてのG―G調査のようなスキームを復活させ、一定期間(2~3ヶ月)に亘って、日<br />
本側と相手国側が共同で、地質あるいは鉱床調査を行うなかで、技術移転・技術交流・<br />
人脈形成を図ってはどうかと思う。<br />
・技術面に加え、プロジェクトマネジメント関連での広範な人材育成が適切と考える。<br />
また、反対派との調整や地元への還元といった持続的開発の観点に立って資源開発を考<br />
えられるような人材の育成が望まれる。<br />
・引続き国際資源大学等での研修制度活用が望ましいと思う。<br />
・外国企業を含む民間企業に対して、積極的な情報開示を行い、技術面、政策面で率直な<br />
協議ができる知識、人脈を持った人材。<br />
・当該国の鉱業開発に関する法律、規制等を熟知した人材。<br />
・技術面で言うと、選鉱、製錬関連の技術者の育成を望みます。鉱山関連科目を教える大<br />
学( Ha Noi鉱山大学等)や国立の研究機関もあるようですが、活動が低調な気がします。<br />
日本も同様に技術者が育っていませんが、共同で技術者を育成する機関を設立できない<br />
でしょうか。(レアアースを念頭に)<br />
・資源評価の切口に社会主義時代の名残強く(含有金属量ベースの評価、コスト意識の欠<br />
如、政策先行、etc.)、収益を加味した鉱山操業管理意識・ノウハウに欠ける。地質鉱床<br />
の基礎レベルはソ連時代の留学経験者中心にある程度維持。しかしGIS・鉱床評価ソフ<br />
トの技術はまだ緒についた段階、応用展開能力は無い。若手地質屋のフィールド能力は<br />
おしなべて低い。<br />
- 58 -
さらに日本の会社側での人材育成支援策としては、下記が挙げられた。<br />
・探鉱段階での政府技術職員の受け入れ<br />
・開発段階でのOJT<br />
・開発段階でのスカラシップ<br />
・鉱山開発/操業を通じて必然的に労働者に対する人材育成を行うことになるため、それ<br />
以上の支援策が必要とは感じられない。<br />
・具体策含め将来的に検討して行きたい。<br />
・日本側J/Vパートナーの国内工場における実務研修は可能<br />
・上記の選鉱、製錬技術者育成センターの設立(上記下線部意見と同じ社から)<br />
・操業段階における現場(特に労務)管理は現地スタッフが行わざるを得ないため、(机<br />
上の理論ではなく)現場の操業・運営管理に必要な技術、生産管理の考え方をOJTの中<br />
できちんと仕込む必要がある。<br />
- 59 -
2.1.6.2 ラオス調査結果のまとめ<br />
ラオスにおける鉱物資源ポテンシャルについては、18社(回答)中の14社(回答)がポ<br />
テンシャルはあると考えており、日本企業はラオスの鉱物資源ポテンシャルを非常に高く<br />
評価しているといえる。ことに「大いにある」と評価しているのは鉱山1社商社1社計2社<br />
で、「ある」と評価しているのは鉱山3社、商社2社、メタコン2社であり、「多少ある」は<br />
鉱山2社、商社3社となっており、広いセクターからポテンシャルを評価されている。鉱種<br />
については、「大いにある」としているものは、銅・金である。「ある」評価では、この銅・<br />
金に加え、鉛・亜鉛、ボーキサイトを挙げている。<br />
・ タイ北部から連続する銅・金鉱徴地が多数分布する。<br />
・ 地質・鉱床学的に未知の部分が多く、未探鉱のエリアが広い。<br />
・ラオスには、金属鉱徴地を伴った構造帯が知られており、その構造体には既に開発され<br />
ている Sepon 銅金鉱山や Phu Kham 銅金鉱山がある。また、ラオスでは探鉱が後れてお<br />
り、未だ見つかっていない鉱床がこれらの構造帯に存在する可能性は大いにあると考え<br />
られる。<br />
・SeponやPhuKhamを代表とする非鉄資源の存在は確認されている。今後鉱業投資が加速さ<br />
れると期待している。<br />
・2008 年12 月、ラオス政府との間でボーキサイトに関するExploration Agreement 締結済<br />
み。<br />
・鉱徴地が多く、探査余地が多く残されている<br />
・セポン鉱山、プーカム鉱山周辺にはポジティブな探鉱・開発余地があり、また探査が不<br />
十分な中・小規模の鉱床が多い。<br />
投資経験に関するアンケート結果では、現在ラオスに1社が投資しており、今後投資予<br />
定が2社(鉱山1、商社1)を数え、活発化しつつある。また投資の内容としては、いずれも<br />
探鉱投資で計3件である。<br />
・探鉱権を取得済みで、近々探鉱を開始する予定。<br />
・ボーキサイト探査実施の為の現地会社設立を予定している。<br />
・ 投資環境については、日ラオス投資協定が発効しており、且つ新Mining Lawの制定の動<br />
きもあり、改善しつつある。<br />
・ボーキサイト探査実施の為の現地会社設立を予定している。<br />
・ 対象鉱種は銅です。ラオスは、積極的に海外からの投資を受け入れており、周辺諸国に<br />
比べて鉱業関係への参入が難しくない。周囲に海がないこと(locked country)がデメリ<br />
ットではあったが東西回路が開通し、また鉄道も開通したことによってインフラも整備<br />
されつつある。ODAについては日本が一番多く、日本に対しては好意的である。投資環<br />
境については、日ラオス投資協定が発効しており、且つ新Mining Lawの制定の動きもあ<br />
り、改善しつつある。<br />
・鉱業権取得に透明性はやや劣るが、投資環境はインドシナ3国では比較的良く、地方へ<br />
の権益の分配が比較的スムーズ。<br />
- 60 -
現在は投資していない9社のうち、4社(鉱山2社を含む)がラオスでの投資に関心があ<br />
り、条件次第では鉱業投資を検討するとしている。<br />
制度・社会面等の鉱業投資環境については下記のような懸念事項が指摘された。<br />
・輸送インフラが未整備。未開発地域での安全性リスク(地雷等)。<br />
・政情・治安の安定度<br />
・ベトナム戦争時の不発弾の存在<br />
・外貨送金の自由度<br />
・不発弾、地雷源<br />
・資源ナショナリズム<br />
ラオスに対する投資環境やODAの要望事項として下記が寄せられた。<br />
・国が保有する地質鉱床データ(地質図、鉱徴地分布図等)の公表が可能となるデータベ<br />
ースの構築や公開制度創設への支援などは有効<br />
・全国の地質図に加えて、地化探図、重力図などの整備が必要<br />
・資源外交の観点からは、全方位ではなく、戦略をもって地域・国を選定し、集中的かつ<br />
持続的に実施するべきと感じる。<br />
・ODA: 側面サポートとして引続き周辺インフラ(道路、鉄道、発電所、学校、病院等々)<br />
整備への無償・有償ODA支援を希望。<br />
・探査費用について政府支援が得られる等の施策は投資する側にとって有効な方策となり<br />
うる<br />
・現在は探鉱活動が中心ではあるが、今後開発を行っていく中で、インフラが整っている<br />
とはいえないためODAなどでカバーしてもらいたい。<br />
・豪州企業のみならず隣国の中国・ベオナム・タイ企業の探査・鉱山開発に開放的な鉱業<br />
政策。<br />
次にラオスにおける鉱業人材についてであるが、投資をしたり計画している鉱山1社商社<br />
1社計2社では、ラオス側の対応やサービス内容に、「満足」しており、商社1社が「やや不<br />
満足」という肯定的評価となった。同上サービス並びにまたそれを支える人材の技術レベ<br />
ル・鉱業や地質知識について以下の指摘があった。<br />
・探鉱権申請段階では、現地代表事務所の設置で可能(運用上)であり、この点では探鉱<br />
権申請要件のハードルが低い。<br />
・やや対応が遅く、時間がかかる。<br />
・資源情報の開示・発信量<br />
・相手方は幹部(副局長~局長)レベルであり、海外留学経験もある。また、探鉱権申請<br />
段階では深い専門的な鉱業・地質知識は必要ないことから大きなレベル差を感じること<br />
はない。人材層の厚さに懸念がある。<br />
- 61 -
・上は大臣・局長クラスから、下は担当者まで。大臣・局長クラスは、旧ソ連東欧諸国や、<br />
西側諸国に留学した人が多く、英語も話し、特に問題はない。担当者クラスは、英語を<br />
充分話せない人が多く、communicationにやや困難が伴う。<br />
・ラオスにはNational Polytechnic Institutionがありそこで教育を受けているようである。ま<br />
た、幹部候補生は、ロシア、中国、ベトナムで研修を受けているようです。<br />
・改善策としては、鉱業情報の整備、海外投資促進。<br />
・全員ではないが(その人の能力によると考えられますが)、案件の計画説明の際に地質学<br />
的な基本的な質問を問われることがあった。ラオス側の要望としては講師などを招いて全<br />
体に講義を行ってほしいとの話をよく聞いています。<br />
こうした人材のレベルアップをはかるためにはどういう方策がよいかということに対して<br />
は、下記の指摘があった。<br />
・地質学、鉱床学の知識、技術を修めるための教育機関設立支援<br />
・民間企業へのOJT派遣<br />
・かつてのG―G調査のようなスキームを復活させ、一定期間(2~3ヶ月)に亘って、日<br />
本側と相手国側が共同で、地質あるいは鉱床調査を行うなかで、技術移転・技術交流・<br />
人脈形成を図ってはどうかと思う。<br />
・全国図の整備、鉱業法規、環境影響調査<br />
・技術面に加え、プロジェクトマネジメント関連での広範な人材育成が適切と考える。<br />
また、反対派との調整や地元への還元といった持続的開発の観点に立って資源開発を考<br />
えられるような人材の育成が望まれる。<br />
・引続き国際資源大学等での研修制度活用が望ましいと思う。<br />
・資源大学へのINVITATION<br />
・まずはラオスが要望しているように日本からの技術者を派遣し、講義中心(場合によっ<br />
ては巡検程度の実地訓練)を行うことが必要と考えます。<br />
・地質局、鉱山局のどの部門においても人材が不足している。また技術レベルの向上も必<br />
要である。<br />
・2010年からラオス大学に地質・資源のコースが設置されると聞いているが、まず大<br />
学で技術者を養成することが必要である。<br />
・3カ国の中で友好的な国民性であり、3カ国共通の公共の分析(岩石、鉱石、土壌)セ<br />
ンター、リモートセンシングセンターの設置と、各専門家の育成。<br />
さらに日本の会社側での人材育成支援策としては、下記が挙げられた。<br />
・投資等のステージに応じて、調査、開発、操業等の要員確保が必要であり、会社側ニー<br />
ズに応じた現地での教育が必要と思われる<br />
・探鉱段階での政府技術職員の受け入れ<br />
・開発段階でのOJT<br />
・開発段階でのスカラシップ<br />
・人材育成のための人材は日本の会社でも乏しく難しい<br />
- 62 -
・鉱山開発/操業を通じて必然的に労働者に対する人材育成を行うことになるため、それ<br />
以上の支援策が必要とは感じられない。<br />
・具体策含め将来的に検討して行きたい。<br />
・現在進めている案件の中で人材育成についてもラオス側からも求められているので、探<br />
鉱を行っていく中で人材を育成していく予定。<br />
・操業段階における現場(特に労務)管理は現地スタッフが行わざるを得ないため、(机<br />
上の理論ではなく)現場の操業・運営管理に必要な技術、生産管理の考え方をOJTの中<br />
できちんと仕込む必要がある<br />
- 63 -
2.1.6.3 カンボジア調査結果のまとめ<br />
カンボジアにおける鉱物資源ポテンシャルについては、16社(回答)中の10社(回答)<br />
がポテンシャルはあると考えており、日本企業はラオスの鉱物資源ポテンシャルを比較的<br />
高く評価しているといえる。「大いにある」と評価しているのは鉱山1社で、「ある」と評<br />
価しているのは鉱山1社、商社1社、メタコン2社計4社であり、「多少ある」は鉱山3社、商<br />
社2社となっており、広いセクターからポテンシャルを評価されている。鉱種については、<br />
「大いにある」としているものは、銅・金・鉄である。「ある」評価では、この銅・金・鉄<br />
に加え、鉛・亜鉛、ボーキサイトを挙げている。<br />
・ 地質・鉱床学的に未知の部分が多く、未探鉱のエリアが広い。<br />
・非鉄金属資源ポテンシャルは未知な部分が多い。<br />
・金、ベースメタル、鉄の鉱徴地が多いが、充分な地質調査が実施されていない。<br />
・対象地域の地質等に関する一般情報より。<br />
・既発見の鉱床はやや小規模であるが地質的に銅-金鉱床のポテンシャルはあると考えて<br />
いる。<br />
投資経験に関するアンケート結果上では、現在・過去ともカンボジアに投資している会<br />
社は無く(新聞報道等では1商社が過去ボーキサイト探鉱に投資済み。)、今後投資予定が1<br />
社(鉱山1)である。投資の内容としては、探鉱投資で対象鉱種は銅である。<br />
・100%子会社を設立し、探鉱権を申請中である(銅・金・鉄)<br />
現在は投資していない11社のうち、2社(商社のみ)がラオスでの投資に関心があり、条<br />
件次第では鉱業投資を検討するとしている。この低い評価は同国で非鉄金属鉱山がまだ存<br />
在しないことを反映していると考えられる。<br />
制度・社会面等の鉱業投資環境については下記のような懸念事項が指摘された。<br />
・未開発地域での安全性リスク(地雷等)。<br />
・政情・治安の安定度<br />
・内戦時の地雷の存在<br />
・不発弾、地雷源<br />
・資源ナショナリズム<br />
・鉱業政策はドラフト段階で、政府の中で承認されていない。<br />
・法律、関連法案が未整備。<br />
・鉱業法は不完全で、進出企業は政府と鉱業協定を個別に取り交わし、探鉱を実施。<br />
・鉱業権取得や権利保障に透明性がなく、ガバナンスが低い。<br />
・鉱物資源ポテンシャル地域や既存鉱区が地雷・不発弾の可能性のある地区となっている<br />
ことが多く、探査・開発活動に支障があり、それらの探知・除去にコストが掛かる。ま<br />
- 64 -
た、森林や農業のコンセッションと重複があるも、政府機関に調整能力なし。<br />
カンボジアに対する投資環境やODAの要望事項として下記が寄せられた。<br />
・全国の地質図に加えて、地化探図、重力図などの整備が必要<br />
・ODA: 側面サポートとして引続き周辺インフラ(道路、鉄道、発電所、学校、病院等々)<br />
整備への無償・有償ODA支援を希望。<br />
・探査費用について政府支援が得られる等の施策は投資する側にとって有効な方策となり<br />
うる<br />
次にカンボジアにおける鉱業人材についてであるが、投資を計画している鉱山1社では、<br />
カンボジア側の対応やサービス内容に、「満足」しているという肯定的評価となった。同<br />
上サービス並びにまたそれを支える人材の技術レベル・鉱業や地質知識について以下の指<br />
摘があった。<br />
・相手方は幹部(副局長~局長)レベルであり、海外留学経験もある。また、探鉱権申請<br />
段階では深い専門的な鉱業・地質知識は必要ないことから大きなレベル差を感じること<br />
はない。<br />
・しかし、カンボジアには近代鉱山がなく議論が時として理論・理論先行となる場合もあ<br />
る。<br />
・人材層の厚さに懸念がある。<br />
・改善策としては、鉱業情報の整備、海外投資促進。<br />
こうした人材のレベルアップをはかるためにはどういう方策がよいかということに対して<br />
は、下記の指摘があった。<br />
・かつてのG―G調査のようなスキームを復活させ、一定期間(2~3ヶ月)に亘って、日<br />
本側と相手国側が共同で、地質あるいは鉱床調査を行うなかで、技術移転・技術交流・<br />
人脈形成を図ってはどうかと思う。<br />
・全国図の整備、鉱業法規、環境影響調査<br />
・引続き国際資源大学等での研修制度活用が望ましいと思う。<br />
・資源大学へのINVITATION<br />
・人材が質・量ともに不足している。政府の鉱業管轄機関の職員は、資源開発に関する基<br />
本的知識、技術を十分に理解していない。その背景には、国内の高等教育機関には、地<br />
質や鉱業に関する学部、学科がないためである。日本政府による、研修機関や高等教育<br />
施設の建設や、我が国や鉱業先進国からの講師の派遣によって、カンボジア人の鉱業専<br />
門家を育成する姿が望ましい。<br />
さらに日本の会社側での人材育成支援策としては、下記が挙げられた。<br />
・探鉱段階での政府技術職員の受け入れ<br />
- 65 -
・開発段階でのOJT<br />
・開発段階でのスカラシップ<br />
・人材育成のための人材は日本の会社でも乏しく難しい<br />
・具体策含め将来的に検討して行きたい。<br />
・鉱業協定の中でカンボジア人労働者の教育訓練が義務図けられており、外国企業はやむ<br />
なく政府職員を受け入れてOJT実施。但し、日当、滞在費、教育費は全て企業負担。<br />
- 66 -
2.2 企業ヒアリングの概要<br />
今回、アンケート内容の背景・詳細把握や、3カ国での調査経験聴取等を目的として鉱山企<br />
業3社、商社3社、メタコン2社に、対して、ヒアリングを実施した。その概要を以下紹介す<br />
る。<br />
2.2.1 鉱山会社Aヒアリングメモ<br />
―東南アジア戦略―<br />
(会社)<br />
・わが社の資源開発についての考え方の基本は、 資本体力が大きくないことを考慮し、<br />
①資源開発は、初期から入る。<br />
②探鉱は、出来るだけ自社で行う。一次探鉱から100%権益で入るのがベスト。<br />
・それとチリが主力だが、一国だけで良いのか。安定していた国でも政変等があった。わ<br />
が社でも以前コロンビア、その前にはイラン等検討したが、その後激動があった。<br />
・そういう観点でサブというか、次の芽を探しておきたい。<br />
・そういうことで、もう一度東南アジアに目をつけようとした。<br />
・フィリピンは、以前に石灰石で権益を取ろうと現地法人作って進めたが、政治情勢等も<br />
あり、5-6年たっても進まない。観光立国を目指しているようで、国立公園に指定され<br />
そうになったり、少数民族保護などあり、探鉱段階からそれらの問題との調整があり、献<br />
金のこともあり、断念した。こういう国では良いパートナーが必要かもしれない。また長<br />
らく銅鉱業があったので、権益とると、休廃止鉱山の対策も責任が発生するという問題も<br />
聞いた。ので今はやっていない。<br />
・カンボジアでは現地法人作って鉱区申請中。Repオフィスではだめで、現地法人設立。<br />
日系商社の隣に事務所を借りて、連絡等同社にお願いしている。<br />
・このカンボジアの案件は、地質局の職員が5年くらい前に、つないできた話が発端。<br />
・探鉱権がなくても可能な地上調査と、アノーマリーなど地質情報収集を1年した。その後<br />
JMECでの調査もお願いしている。<br />
・タイでは、プーロンの北部で銅に関心があり、タイ政府が6本ボーリングして、1.数%<br />
で5千万tといった期待のところであったが、政府がコロコロ変わり、一貫性がないので<br />
現地法人はあるが休止状態。<br />
・ラオスは、このタイのプーロンのメコン川はさんだ対岸で、地質構造上も期待される。<br />
JMEC調査でも2年ほどお願いした。いまある商社と組んで、JOGMECの海外地質構造調査<br />
で探査する。探鉱権は確保できた。<br />
・ベトナムでは、具体的な権益案件ない。ただ役務提供では、当社コンサル子会社が、<br />
JOGMECのラオカイ地区のレアアースの賦存量調査をしている。また受託事業で、高濃度<br />
の吸着型の研究開発をしている。こういったものの成果次第ではもう少し積極的なる可能<br />
性はある。<br />
(会社)<br />
・カンボジアでも局長級は留学組でロシア・東欧で大学教育を受けている。知識もそこそ<br />
こあり話していて困ることはない。ただし致命的な問題は近代的鉱山がない。そのため鉱<br />
公害についてひどいイメージを持っており、過大な抵抗がある。国内の小規模鉱山の水銀<br />
- 67 -
の垂れ流しや掘りっぱなしの採掘跡などが念頭にあるのだろう。<br />
・そういう状況だったので、5人ほど日本へ招待して石灰石鉱山を見てもらったことがある。<br />
・カンボジアで注意しないといけないのは、環境NGOや人権NGOの活動が盛んで、政府の<br />
やることに反対意見。政府はそのため許認可に慎重。<br />
・職員の絶対数が不足しているのではないか。また専門能力の面での問題。<br />
・ただし同国に地質の専門高等教育機関作ったらという考えもあるだろうが、教育プログ<br />
ラムがない、雇用の場がないということになってしまう。<br />
・鉱山局や地質局にハンマー、ルーペ、クリノメーター、GPSが何台あるのだろう。地質<br />
局にもきちんとしたラボが無い。このあたりはJICA専門家が見ているだろう。<br />
・ラオスは、セポン・プカム鉱山が大きく成長したが、許認可は同じレベル。今回の海外<br />
地質構造調査でC/Pから何人出してくださいと言っても、乾季が今で、各国からも調査が<br />
来ており、人繰りに苦労しているようだ。<br />
・今回12月にスタートする地質構造調査では、ビエンチャンにあるポリテクニック・カレ<br />
ッジの教員にも入ってもらうようである。<br />
―教育―<br />
(会社)<br />
・基礎的知識と現場に精通。この両面が必要。今の日本でも高校で「地学」教育がなくな<br />
って、大学でやっているような具合。マスター卒は昔の学士卒程度。先方の国の大学や専<br />
門学校に、冠講座を設置して、たとえば、JICA専門家を先生役に派遣するような形が良い<br />
のではないか。<br />
・実際に開発段階に移行してくれば、民間の会社としては、鉱山会社の幹部には、地質の<br />
基本を、オペレーターには、技能を、OJTやその他で教えていく。スカラシップを出して、<br />
豪州の大学へ送ったり、高校生にスカラシップを出して、カンボジア工科大学へ入れる等<br />
もしていくだろう。<br />
(会社)<br />
・ラオスから戻ってきたところだが、ラオスで偶然見かけた地質局の人3人は、これから<br />
JMEC調査の地化探に行くと言っていた。先生は?と聞いたら、JMEC某氏ということだった。<br />
(会社)<br />
・誤解されると困るが、敢えて言えば、昔のMMAJ・JICAとC/PとのG-G調査は、相手国<br />
のためにも、日本のためにも、海外で具体的な仕事をすることで、技術伝達の機会となり、<br />
C/Pと仲良くなり、いい関係を築けた。教育のツールとしては大変に良かった。<br />
・実際一緒に調査し、人脈、技能が出来る。10年後そういう担当者が、局長・副局長とな<br />
って話が来る。し易い。他社でもつながっていればありがたいということがある。<br />
・中国・韓国のように大きなお金でドンとくるようなことが、日本では出来ないのだから、<br />
個人の信頼関係、人脈を財産とする方式が必要ではないか。<br />
- 68 -
2.2.2 鉱山会社Bヒアリングメモ<br />
(会社)この三か国ではラオスに関心あるが他は不明。<br />
―アンケート最終ページの Q&A について―<br />
(JMEC) Q4 投資環境等要望で、A「国が保有する地質鉱床データ(地質図、鉱徴地分布図<br />
等)の公表が可能となるデータベースの構築や公開制度創設への支援などは有効」としてい<br />
ることについて、伺いたい。<br />
(会社)<br />
・ペルーでは鉱区保有状況がインターネットアクセスで若干の金額を払えば分かる仕組み<br />
になっている。豪州がこの面のサービスでは最も進んでいる。たとえば Queensland 州の<br />
鉱山担当部局や、連邦の担当部局等でいろいろなサービスが受けられる。CSIRO にも何か<br />
サービスがあるかもしれない。日本も必ずしもこの分野はそうなっていないが、ラオスの<br />
ように、外資にどんどん入ってきてもらいたい国では、行くことも容易でないので、イン<br />
ターネットアクセスで、こうした基礎となる情報を提供してほしい。<br />
・また現在保有している地質図などの情報も古いロシア調査や、ベトナム調査のものが多<br />
いのではないか。前に地質図を取り寄せてみようとしたが、ベトナム語で凡例が書いてあ<br />
って、留学生に翻訳させるなどやりにくかった。<br />
・JICA 専門家に地調(AIST)の人でも行ってもらって、こういう作業促進したらどうか。<br />
以前ラオスにそういう人行ってなかったか?アフリカで以前そういう例あった気がするが。<br />
(JMEC) Q5 日本からの鉱業支援としてどのような人材育成が適切か?で、A「・地質学、<br />
鉱床学の知識、技術を修めるための教育機関設立支援 ・民間企業への OJT 派遣」としてい<br />
ることについては?<br />
(会社)学校だけのペーパーだけの知識ではだめで、地質で言えば、実地の知識が必要だ。<br />
日本でも大学出て、会社でいろいろな仕事(プロジェクト)の調査員をして、下積みの経<br />
験をして実地能力、やった経験を重ねて一人前になる。途上国では学校だけ出て、偉いポ<br />
ストにつくので、実地の技術・知識は身に付かない。<br />
(JMEC)ラオスには国立ラオス大学に今後地質や資源関係作ろうという噂があるが今は、<br />
そもそもないようだ。ただしいくつかの会社で聞いたが、ビエンチャンのポリテクニクと<br />
いうところで地質的なことをしているという噂もある。今回確認したいと思っている。<br />
(会社)地質図を作る時でも実際に、チームで沢を歩き、見方・観察結果の判断を相互にチ<br />
ームで調整検討しながら作っていく。こういう実地の共同作業が大切。<br />
(JMEC)民間企業への OJT 派遣ということは、たとえば御社では、南米の関係鉱山に受け<br />
入れるということですか?<br />
(会社)それは将来そういうこともあるかもしれないけれどもそこまではとてもすぐには出<br />
来ないだろう。考えたのは、民間コンサルタント企業の資源地質調査の中に、海外の人を<br />
受け入れて、教育も兼ねて一緒に仕事するということ。この要員に対して日本人のような<br />
給料は払えないが、JICA の制度などで、その受け入れを優遇してみてくれるような制度<br />
に意味があろう。<br />
- 69 -
(会社)かつて G-G(MMAJ/JICA スキームの)で調査したインドネシアの鉱山・地質関係<br />
の省庁の高官の方が、昔G-G調査で勉強になったとのこと。<br />
(JMEC)そういう話は他社の方も言っておられた。昔の G-G で一緒に仕事した方が偉いポ<br />
ストになって、話をつなげてきたというような。<br />
先ほどの民間コンサル受け入れについて、半年―1年とかの期間になりますか?<br />
(会社)きちんとした調査するには現地で3-4か月、その解析に日本で3-4か月かかる。<br />
そういう意味ではそれくらいかかる。しかも0からの人でなく、大学など教育機関で地質<br />
を学んだ素養のある人を受け入れたい。作業・仕事を一緒にして OJT で覚えてもらう。<br />
(JMEC)Q6 将来の会社側での教育支援策で、「投資等のステージに応じて、調査、開発、操<br />
業等の要員確保が必要であり、会社側ニーズに応じた現地での教育が必要と思われる」と さ れ<br />
ていますが?<br />
(会社)開発案件になれば、人をいろいろのレベルで育てないといけないので、企業として<br />
手を打つ。マネジメントレベルもするし、技能オペレーターの面でもする。ラオスで、稼<br />
行している鉱山企業にどれくらい現地人がマネジメントで居るのか不明だが、外国人が多<br />
いのではないか?しかし外国人ばかりでマネジメントというわけにはいかないだろう。そう<br />
いう人を育てないといけない。<br />
(JMEC)数字上はどこかで見ましたが、鉱山からの銅・金が輸出の半分以上を占め、国家<br />
収入の 2 割以上というのがラオスの状況だそうですが、そういう優良産業が国に産業とし<br />
て根付くことが必要でしょうね。<br />
(会社)そのとおり。ラオス政府は産業をどう伸ばしていくか等どう考えているんだろう。<br />
(JMEC)Q7 で「鉱業法改正や諸規則制定の状況(結果)」でとありますが、議会はとおり、<br />
大統領の承認待ちということだそうです。<br />
(JMEC)先ほどの話でもあったが、昔の G-G 調査を教育効果に光を当てて復活したらとい<br />
う意見も一部あったが、どうですか?<br />
(会社)広域調査とか、ボワーとしたものになってしまう。また政府・公社・公団が持って<br />
いる鉱区減って、民間に譲ってしまっているのが大勢ではないか?ただし、日本のメタコ<br />
ン・金属鉱業会社の若い人や中堅の人にとっても勉強の機会ではあるという側面は確かに<br />
ある。教育に限定したそれなりのプログラム組むのが良いのではないか。<br />
それと今の JOGMEC の JV でも、公社公団もできるはずで、こういう中で政府の人も<br />
やったらどうか?<br />
(JMEC)日本の資源開発分野の教育についてはどうですか?<br />
(会社)日本の大学で資源工学とかあるところ秋田大学など数えるほどで、そこも環境とか<br />
地球とかの名前になってきているのではないか。現場は、各会社が、ワンサラ、ロス P、<br />
菱刈、ポゴ、アタカマとか数少ないが出来てきている。しかし大学そのものはない。地質<br />
という面でも、一般の地質はあるだろうが、金属鉱床地質の専門はほとんど少ない。石油<br />
地質や、地誌学的なこと多いのではないか。<br />
- 70 -
(JMEC)インドシナの人を教える教育、育成が今回の調査のテーマですが、今のようなお<br />
話を鑑みると、日本人のための教育も表裏一体のものという感じですね。何かたとえば、<br />
7 割ほど日本人教育。3 割ほど海外人教育といった(金属)資源地質の機関があると良い<br />
かもしれませんね。<br />
(会社)誰が旗振ってかつぐんだという問題ある。<br />
- 71 -
2.2.3 商社Aヒアリングメモ<br />
(会社)<br />
・ ラオスでリオティントと合弁で進めているサンサイ高原のボーキサイト探査プロ<br />
ジェクトについては、プレス発表したというわけではないが、10/10 の新聞記事<br />
にほとんどのことは出ている。このプロジェクト自体はかなり以前から仕込まれ<br />
ていた。2007 年以降急に動き出した。<br />
・ ラオスでは政府が探査権を出しすぎたからと言って、凍結したり、解禁というア<br />
ナウンスなく進めてみたりということがある。<br />
・ このプロジェクトは、もともとリオティントが、当初のセポンを探鉱していたり<br />
と、ラオスについて経験知見あった。近年(2007 年)同社がアルキャンを買収し<br />
て、ボーキサイトに力入れようとなったこともあろう。<br />
・ ラオス鉱業法は数年かけて改正手続き中。<br />
(JMEC)今年 6 月現在では、国会は通っているが大統領がサインしていない状況。<br />
(会社)<br />
・ 他に、アルミナをバーレ Vale と JV している。またアルミ地金はアルコアと JV<br />
している。世界的に原料があり、インフラが整い、安価な電力が得られ、人口が<br />
少ないところで、精錬を進める。商社なので、技術経験を持ったパートナーと組<br />
んで実施。<br />
・ 鉄鉱石では、リオティントと BHP とそれぞれ JV ある。ただしインドの権益バー<br />
レに売却。<br />
・ 石炭は、アングロアメリカ、バーレと JV。<br />
(JMEC)<br />
HP の記述に、バーレの親会社の権益の15%保有とあるが、どういう内容ですか?メジャ<br />
ーの事業単位のプロジェクト企業等に JV で入るということはあるが、こういうケースは<br />
珍しいのではないですか?<br />
(会社)<br />
・ そのとおり。2003 年に 15%権益を持った。当時金属価格も低迷する中、その後<br />
のインコ買い入れの資金などとしても先方でも役立ったと思料。コントロール株<br />
主である。<br />
・ いろいろな案件に権益を持っているが、優良なアセットにするべく、入れ替えた<br />
り、売却したり、交換したりしている。<br />
・ 鉱山は山命がポイントだし、入れ替えたり、仕込んだりしている。<br />
・ 鉱山の操業自体の技術経験の無い商社としては、資源開発が長期戦であることも<br />
あり、また機械設備、資金調達、役割分担等で参加している。<br />
・ 昨今では、日本の需要によるバーゲニングパワーは相対的に弱まった。中国の存<br />
在が大きい。また中国は資金で権益取得自体にも活発に参加している。<br />
(JMEC)ラオスの役人の資質等はどうですか?<br />
(会社)<br />
・ 行政に携わる人はある意味エリート。基礎は標準装備されている。上の人はずっ<br />
とやっているし、海外留学組も多い。ボーキサイトプロジェクトに関係する説明<br />
- 72 -
会でも英語で聞いていた。言葉の面でも専門用語の面でもレベルは高い。<br />
・ ただし実地の経験が少ない。<br />
・ 国際資源大学校にラオスからも 1-2 名来ているようである。<br />
・ ベトナムあたりでは、鉱山開発に鉄道・インフラが不足しているようだ。鉄道と<br />
言ったら、複線・高速鉄道と無理な要求が出がちである。<br />
・ 日本での研修については、数カ月の研修が必要ではないか。また日本(例:非鉄<br />
金属製錬会社、資源エネルギー庁)で働かせても良い。<br />
・ 相手国の私企業の人のレベルアップも必要。<br />
・ 日本では決定的に現場がない。その点カナダや豪州に行かざるを得ない。東大の<br />
山冨教授は、日本が資金を出して、そういうところの鉱山で実地経験させると良<br />
いと言っておられたが、これは日本の人を念頭に置いたこと。ただ政治的にグレ<br />
ーターメコンに5000億円出すというのなら、箱物ハードだけで無く 1 割でも<br />
人づくりに当てたらどうだろうか。<br />
- 73 -
2.2.4 商社Bヒアリングメモ<br />
(JMEC)貴社では、石炭での BHP ビリトンとの合弁が大きく収益に寄与していることが有<br />
名ですが、2000 年前後ですか?<br />
(会社)ビリトンと合併する直前で 2000 年。BMA と称しており、50:50である。世界<br />
で流通する原料炭が約 2 億 t ある中で、5-6 千万 t をこの会社が持っている。<br />
(JMEC)銅でもエスコンディーダが大きいですね。<br />
(会社)<br />
・ エスコンディーダの来歴概略紹介。もともとユタとゲッティが50:50。今は<br />
BHP57.5%、リオ 30%、日本 G10%、IFC2.5%。<br />
・ 山の競争力、収益、山命の面でも、このエスコンデーダ銅山と BMA が押さえる<br />
石炭の炭鉱は優秀で、山命は 40-50 年ある。<br />
(JMEC)カンボジアでのボーキサイト・プロジェクトについて質問。<br />
(会社) 回答。―――ただし本件はコンフィデンシャルマターにつき、報告書に掲載しない。<br />
・ アルミ関連なので言うと、BHP と会社が組んで実施しているモザンビークのアル<br />
ミナからのアルミニウム精錬は、西豪州からアルミナを入れ、南アから優遇され<br />
た安価な電力を入れ、関税(従来25%)がかからない欧州に輸出するというビ<br />
ジネス。<br />
(JMEC)世界全体での戦略は?<br />
(会社)<br />
・ 鉱物資源のコアビジネスは5つ。石炭(原料炭、一般炭)、鉄鋼、ニッケル・クロ<br />
ム等鉄鋼副原料、銅、アルミ。<br />
・ リーマンショック後、この中で鉄鋼副原料と、アルミは劣後してきている。アル<br />
ミは価格が安い。今だと銅の1/3以下。<br />
・ 非鉄は南米に注力。アルミは某案件。鉄鉱石は以前プレス発表した西豪州の鉄鉱<br />
山銀座地帯で鉱区をおさえ探鉱している。順調にいけば鉱山開発・鉄道港湾を含<br />
めた大規模プロジェクト。原料炭は BMA 豪州の周辺探鉱。ニッケルはインドネ<br />
シア。<br />
・ 貴金属もヘッジ等関係するほか興味がないわけでなく、南アでギルバートソン氏<br />
(BHP ビリトン合併し、ロシアのルサールを経て独立)の会社と一時期話があっ<br />
たが頓挫した。<br />
・ レアメタル、レアアースは、なかなか大きな金を突っ込むわけにはいかない。ボ<br />
リビアの件は、JOGMEC、他商社とともに関心を寄せている。水、レアメタル、<br />
リチウム、CO2 などには社内組織を立ち上げた。<br />
(JMEC)会社自体での人材育成は?<br />
(会社)<br />
・モザンビークのアルミ精錬に2人。銅はエスコンディーダに出して良いことになってい<br />
るが今は出していないが、チリのアンタミナの方へ1人。鉄鉱石は IOC に1人。カナダの<br />
リオティント系に1-2名。原料炭の BMA 保有炭鉱に1人。そのほかビジネスの OJT で<br />
は、BMA 自体やシドニー事務所に多数。それから豪 NSW 大学(資源ビジネススクール)<br />
の1年コースへ人を送って3人目。そのあと BMA の炭鉱で OJT している形。<br />
- 74 -
・このほかフェロクロームで南アのハーニックで会社がメジャーで経営している鉱山があ<br />
る。<br />
(JMEC)インドシナ鉱業人材育成で日本が活躍できることにつきコメントをください。<br />
(会社)<br />
・「提供できる鉱山」が日本にないことが痛いのではないか。昔なら海外でもマテリアルの<br />
マムート、日鉱金属のムソシ。今はそれぞれエスコンディーダやロスペランブレスか。<br />
・そのほか住友金属鉱山のアラスカ、日鉄鉱業のアタカマ。しかしインドシナの人を連れ<br />
ていくには困難。<br />
・机上の理論は、JOGMEC、国際資源大学校、JMEC などで出来るだろうが、現場体験<br />
出来るところがほしい。<br />
・アフリカのBHPのギニアのプロジェクトでは、豪州にたくさんの人を研修に送っている。<br />
- 75 -
2.2.5 商社Cヒアリングメモ<br />
(会社)<br />
・化学品・機能素材部門では、営業的には、中国からレアアースを入れている。このルー<br />
ト確保のために、中国鉱山元での磁石生産の計画にも適宜関与している。<br />
・ベトナムのドンパオ・プロジェクトの件では、VINACOMIN 傘下の VIMICO、ライキ<br />
ョウ省レアアース会社(VIMICO 資本も入っている)、他商社、当社の 4 者合弁(ベトナ<br />
ム51%:日本49%)で、レアアースの開発につき、今年度中に FS をして、2010 年に<br />
投資判断をしたい。<br />
・その上で順調にいけば、2012 年に生産にもっていきたい。<br />
・本プロジェクトは、2000-01 年度 MMAJ・JICA のベトナム側との G-G による調査が発<br />
端。この調査着手には、トヨタ自動車の強い意向があったと聞いている。<br />
・その後別商社・別鉱山会社系で検討したが、いったん沙汰やみになったようだ。<br />
・当社は、ホタル石を探していて、この案件に遭遇し、ホタル石資源はたいしたことない<br />
ということになったが、昨今のレアアースブームの中で、バストネサイトに注目して、同<br />
地区の権益を取れないか接触し始めた。<br />
・ちょうど同時期に他商社も動いており、最終的に共同して実施することとなった。<br />
・鉱区の中で、MMAJ 調査で100mのボーリングを 23 本して北半分をカバー。南は 80<br />
年代に旧東ドイツの援助でベトナムが実施。日本側では、追加探鉱必要という考え方であ<br />
るのに対し、ベトナム側はもう不要と。<br />
・FS では、掘った後の選鉱、分離、冶金も対象。どうしてもこの分野はオーダーメイド<br />
的になるので試験必要だが、ベトナム側は開発を急ぎたいという姿勢。<br />
・ドンパオのオペレーターは、VIMICO。JOGMEC の鉱山周辺インフラ整備 FS 調査でア<br />
クセス道路、給水システム調査応募し、実施中。<br />
・一方で、円借款の貧困対策でその内容が決定した。<br />
(会社)<br />
・化学部のプロジェクトで、水酸化アルミニウムをボーキサイトから作る案件で、応援に<br />
駆り出されて、現地に張り付いた。このときの相手方は VINACHEM 化学公社。<br />
・資源の存在は、70 年代に旧ソ連が調べた。<br />
・ベトナムにはベトナム流の鉱量計算の方法がある。我々は良く西側基準で豪州の JORC<br />
を我々は使うが、ベトナムは、さしずめ national の NORC というべきものをかざしてく<br />
る。これで行くと資源賦存量が大きく出てしまう。各鉱種毎にこの基準があるようだ。<br />
・公社や政府には硬い側面がある。許可等がなかなかとれない。<br />
・ボーリングなども15mくらい手掘りで掘る。その保安基準もあるそうだ。<br />
・上記の鉱量などの基準は公表されたものではないようだ。<br />
参考:http://www.jorc.org/<br />
The Australasian Code for Reporting of Exploration Results, Mineral Resources and Ore<br />
Reserves (the ‘JORC Code’ or ‘the Code’) sets out minimum standards, recommendations and<br />
guidelines for Public Reporting in Australasia of Exploration Results, Mineral Resources<br />
- 76 -
and Ore Reserves. The Joint Ore Reserves Committee (‘JORC’) was established in 1971 and<br />
published several reports containing recommendations on the classification and Public<br />
Reporting of Ore Reserves prior to the release of the first edition of the JORC Code in 1989.<br />
Revised and updated editions of the Code were issued in 1992, 1996 and<br />
(会社)<br />
・アンチモンについて、中越国境に近い最北部の省で省の保有する民間企業の案件に関心<br />
を持ったことがある。やはり鉱量計算などアバウト。鉱業廃棄物は、山間部で堆積場にダ<br />
ンプ。山の住民への補償や耕作地の補償。ということでそのうち生産量も減少して実現に<br />
至らず。<br />
(会社) ラオスについて、<br />
・ラオスでは、銅・鉛・亜鉛・金・銀・白金・スズ・アンチモン・アルミがあるとみてい<br />
る。が銅に注力している。<br />
・2005 年に豪資本 Pan Aust の Phu Kham 鉱山視察をした。当時すでに Phu Bia 金山の<br />
操業開始。ラオスは入りやすく親日的な印象。<br />
・そういうことで同国の銅資源に魅力を感じて、タイ・カンボジアに造詣のある鉱山企業<br />
に声をかけて、鉱業権(探査権)を4地域申請して、1つ取れた。以前取った会社は広大<br />
な鉱業権の面積だが、最近は政府は、規模を絞っているようだ。<br />
(会社)<br />
・2008 年 11 月に申請し、2009 年 9 月 15 日に許可が下りた。1 年以内で取れて早い方で<br />
あると言われた。<br />
・探査権の許可に先立ち、探査協定書(MEPA)は MPI(計画投資省)の副大臣と締結で、<br />
ウィットネスが鉱山局長。他の会社の実例を見せてくれてそれに準じて締結した。<br />
・ラオスの関係者の中には、同国のポリテクニック・インスティチュートで地質を学んだ<br />
という人がいるようだが、詳しいことは不明。<br />
・上級幹部は、中国・ベトナム・ロシアなどに留学している。<br />
(会社)<br />
・ラオスへは、ベトナムが熱心に援助してきた。広域地質図を作ったし、ベトナム企業と<br />
の合弁のライセンスも多いようだ。<br />
・ラオスでも、ベトナムでもだが、注意しないといけないのは、軍が自活しろということ<br />
のために、鉱山を操業していることがあり、その地域の探査は出来ない。<br />
・また不発弾の処理の問題もある。<br />
・まとめると、ベトナムは、世界と違い独特のモノがある。公社公団の固い態度というか、<br />
責任を回避する風潮がある。ラオスは鉱業がかなりステップアップしてきている。新鉱業<br />
法が大統領のサイン待ち。<br />
- 77 -
2.2.6 メタコンAヒアリングメモ<br />
(会社)ラオスへは,何日くらい滞在するか?<br />
(JMEC)一週間のみ。現在,ラオスの地質局(DGEO)・水資源環境行政局・教育省・ラオ<br />
ス国立大学等へ行く予定である。その他,日本大使館・JICA 事務所への訪問を予定<br />
している。<br />
(会社)<br />
・ Sepon 鉱山へは行っているが,Phu Kham 鉱山へは行っていない。日本大使館は,<br />
官民連携のモデル大使館になっているので,民間との協力を進めているようであ<br />
った。<br />
・ 鉱業マスタープランも一年延長しようとしていたが,ベトナムに権益が取られて<br />
しまい,延長することができなかった。<br />
・ アルミナ案件は,ベトナム企業とリオティントと半分の権益を分けるような形と<br />
なった。リオティントと日本商社は,11 月に探鉱のためのプレゼンテーションを<br />
行っているようなので,探鉱も始まるであろう。<br />
・ JICA は所長・次長は,鉱業関連分野の重要性を認識しているので,会われた方<br />
がよいと思う。鉱業分野の長期専門家、海外青年協力隊やシニアボランティアも<br />
いないので,要請を挙げたいが,要請がなかなか JICA 本部にまで上がらないよ<br />
うな状況だった。<br />
(JMEC)JICA 専門家が必要であるという認識はある。<br />
(会社)<br />
・ 九州大学が中心に行っている AUN/SEED-Net なども活用できるであろう。ラオ<br />
ス国立大学に地質学部ができるといいのだが。<br />
・ 以前は,ロシア・ベトナム・豪州などに留学して,地質学を学んでいたようだ。<br />
地質局長はロシア留学経験者である。<br />
・ 鉱区データなどは,地質局で一元化して管理している。地質局には 60 名・鉱山<br />
局にも 30 名程度のスタッフがいる。県政府にも鉱業・エネルギー部門があるが,<br />
中央政府とあまり連携しておらず,また技術者レベルも高くない。<br />
・ 世界銀行なども鉱業関連プロジェクトを行っているので,Chansavath 副局長に<br />
聞けば判るであろう。国際協力関係を担当している。<br />
・ 中国は,ビエンチャン近郊で 50 年の土地租借権利を取得し,中国人のコミュニ<br />
ティを建設するようだ。これは,東南アジア大会 SEAGAME のため,陸上競技<br />
場を中国が建設した見返りのようであるらしい。<br />
・ ラオス政府自体が,自分たちでポテンシャルを評価し,外国機関と共同調査して,<br />
将来的に有望地区は,国際テンダーかけるというような形を取ってくれると有難<br />
いが,現状では,そのような技術はない。<br />
(JMEC)地質図幅の整備状況はどのようになっているか?<br />
(会社)<br />
・ ラオス中部地域は,ベトナムの協力でかなり以前に作成している。調査の精度も良い。<br />
北部は,50 万分の 1 程度の精度でしかない。ラオス南部は,マスタープランで作成し<br />
たものがある(2 地域)。地質図幅の未整備地区としては,ラオス西部のタイ国境がある<br />
- 78 -
が,国境問題でなかなか調査に入れないようだ。調査地域は,比較的簡単に調査する<br />
側のリクエストベースで決められるであろう。<br />
(JMEC) そのような状況であれば,地質図幅の整備を通じての人材育成が考えられる。<br />
- 79 -
2.2.7 メタコンBヒアリングメモ<br />
―アンケート最終ページの Q&A について―<br />
(JMEC) 資源ポテンシャルについて伺いたい。<br />
(会社)過去の世銀、現在の JICA 受託調査及びこれまでの企業ベースの依頼調査で見てき<br />
た。世銀調査のころ Sepon やプーカムの周辺や、探鉱コアの倉庫を見たが、バックグラウ<br />
ンドで結構金属あるように見えた。<br />
ラオスで豪 Jr.が中央部で発見しているが、潜頭性・ミシシッピー型鉛・亜鉛鉱床がベト<br />
ナム・カンボジアにも続いているのではないか<br />
カンボジアは採石しかないので稼行金属鉱山はない。河川での小規模金採取しているの<br />
で、いずれ金鉱山は出るだろう。タイからカンボジア、ラオスに続く部分で探鉱されてい<br />
ないところ多い。<br />
(JMEC)アンケート最終ページに沢山記載いただいた。その辺から、まず Q4 投資環境 ODA<br />
等のお話を伺いたい。<br />
(会社)<br />
アンケート記載は以下のとおりだが、(以下アンケート引用)<br />
―ベトナムでは―<br />
・資源開発が国家計画(5カ年計画)の中に組み込まれ硬直的、参入外資の探鉱・開発活<br />
動に自由度がなく閉鎖的。<br />
・中央政府 vs. 地方政府(人民委員会)の対立、利権問題、鉱区許認可制度の不透明性等、<br />
西側鉱産国に比べ投資環境は劣る。<br />
・一昨年政令による「精鉱輸出禁止」措置によりベースメタル資源ソース国としての魅力<br />
低下。<br />
・資源ナショナリズムにはそれを支えるに見合った技術の内製化が必要だが、現状は政策<br />
ありきで技術は外資・中国に依存している。(1990 年代南米の国営→民営化策が鉱業振興<br />
に及ぼしたメリットを学習すべし)<br />
―ラオスでは―<br />
・豪州企業のみならず隣国の中国・ベオナム・タイ企業の探査・鉱山開発に開放的な鉱業<br />
政策。<br />
・鉱業権取得に透明性はやや劣るが、投資環境はインドシナ3国では比較的良く、地方へ<br />
の権益の分配が比較的スムーズ。<br />
―カンボジアでは―<br />
・鉱業政策はドラフト段階で、政府の中で承認されていない。<br />
・法律、関連法案が未整備。<br />
・鉱業法は不完全で、進出企業は政府と鉱業協定を個別に取り交わし、探鉱を実施。<br />
・鉱業権取得や権利保障に透明性がなく、ガバナンスが低い。<br />
・鉱物資源ポテンシャル地域や既存鉱区が地雷・不発弾の可能性のある地区となっている<br />
ことが多く、探査・開発活動に支障があり、それらの探知・除去にコストが掛かる。また、<br />
森林や農業のコンセッションと重複があるも、政府機関に調整能力なし。<br />
(会社)<br />
・ラオスでは、世銀調査の際に、鉱区の開示システムが不備で、個人個人がパソコンでや<br />
- 80 -
っていて、統合されていないので、簡単なシステムを置いてきたが運用されているのかど<br />
うか。<br />
・カンボジアでは、鉱業に関する国の計画が GDMR の段階で 5 カ年計画がドラフトとし<br />
てあるが、MIME 省としてあるいは、政府としての決定になっていない。もう 2-3 年経過<br />
してしまっている。<br />
・カンボジアは鉱業法あるが穴が多い。<br />
・探鉱進出企業とロイヤリティは MOU ベースで力関係で決まる。<br />
・ラオス・カンボジア共通だが、鉱区コンセッションも、森林や農業のコンセッションと<br />
重複し現地で問題となることある。土地は国家のもの。<br />
(JMEC)Q5 日本からの人材育成策については、<br />
(会社)以下アンケート引用<br />
―ベトナム―<br />
資源評価の切口に社会主義時代の名残強く(含有金属量ベースの評価、コスト意識の欠如、<br />
政策先行、etc.)、収益を加味した鉱山操業管理意識・ノウハウに欠ける。<br />
地質鉱床の基礎レベルはソ連時代の留学経験者中心にある程度維持。しかし GIS・鉱床評<br />
価ソフトの技術はまだ緒についた段階、応用展開能力は無い。<br />
若手地質屋のフィールド能力はおしなべて低い。<br />
―ラオス―<br />
3カ国の中で友好的な国民性であり、3カ国共通の公共の分析(岩石、鉱石、土壌)セン<br />
ター、リモートセンシングセンターの設置と、各専門家の育成。<br />
―カンボジア―<br />
人材が質・量ともに不足している。<br />
政府の鉱業管轄機関の職員は、資源開発に関する基本的知識、技術を十分に理解していな<br />
い。その背景には、国内の高等教育機関には、地質や鉱業に関する学部、学科がないため<br />
である。<br />
日本政府による、研修機関や高等教育施設の建設や、我が国や鉱業先進国からの講師の派<br />
遣によって、カンボジア人の鉱業専門家を育成する姿が望ましい。<br />
(会社)ベトナム方式の鉱量計算は、もとは旧ソ連方式。一度計上すると経済状況等変わっ<br />
ても変えない。能力ある人はコンピューターに飛びついて現場を見る能力低い。<br />
またカンボジアでは、地質局にほとんど使える分析機器がない。<br />
(JMEC)未確認情報だが、ラオスでは最近中国が鉱物分析センターをラオス政府と共同で<br />
設置するべく着工したようだが、日本としてどういう支援をしたらよいですか?<br />
(会社)ラオスには日本強いリモートセンシングのセンター等が良いのではないか。ボツワ<br />
ナに JOGMEC で設置している例があるのではないか。<br />
(JMEC)Q6 企業側での人材育成協力につてはどうですか?<br />
(会社)以下アンケートから<br />
- 81 -
―ベトナム―<br />
操業段階における現場(特に労務)管理は現地スタッフが行わざるを得ないため、(机上の<br />
理論ではなく)現場の操業・運営管理に必要な技術、生産管理の考え方を OJT の中できち<br />
んと仕込む必要がある。<br />
―ラオス―<br />
操業段階における現場(特に労務)管理は現地スタッフが行わざるを得ないため、(机上の<br />
理論ではなく)現場の操業・運営管理に必要な技術、生産管理の考え方を OJT の中できち<br />
んと仕込む必要がある。<br />
―カンボジア――<br />
鉱業協定の中でカンボジア人労働者の教育訓練が義務図けられており、外国企業は政府職<br />
員を受け入れて OJT 実施。但し、日当、滞在費、教育費は全て企業負担。<br />
・実際に投資することになれば、いろいろ指導しその国の人を育てる必要がある。それは、<br />
管理者とワーカーの間に立つ、フォアマン(監督者)を育てないといけないということで<br />
ある。<br />
・カンボジアでは、人材少ない。ポルポト時代に相当なことがあったのだろう。<br />
・カンボジアの探鉱現場での OJT は必要なのだろうが、日当が月給くらいになるため、出<br />
張ばかり出て実際はあまり身についていないということがある。<br />
(JMEC)Q7 聞いてもらいたい点は?<br />
(会社)<br />
―ベトナム―<br />
鉱業実務教育の現行制度と将来計画。<br />
鉱業活動自由化への見通し、基本姿勢。<br />
鉱石(精鉱)輸出規制の見直しの可能性。<br />
―ラオス―<br />
・鉱業税制(ロイヤリテイ、所得税等)の改革計画<br />
・地質・鉱業教育制度の計画と改革。<br />
・鉱区カダストラルシステムの現状<br />
投資経験に関するアンケート結果では、現在フィリピンに5社が投資しており、過去を含め<br />
るとフィリピンが一番多く、11社が鉱業投資<br />
- 82 -
Ⅲ ベトナム現地調査<br />
3.1 現地出張<br />
3.1.1 調査期間<br />
<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年 12 月 13 日(日)~<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年 12 月 19 日(土)<br />
3.1.2 調査団構成<br />
横山 勝雄 財団法人国際鉱物資源開発協力協会 特別顧問・上席調査主幹<br />
田島 俊雅 財団法人国際鉱物資源開発協力協会 上席調査主幹<br />
3.1.3 調査内容<br />
受託した首記調査について 11 月から実施してきた国内の主要鉱山会社及び商社へのアン<br />
ケート調査票の回収・面談、既存資料の分析などの結果に基づいて、ハノイにてベトナム<br />
の鉱業関係政府機関、鉱山会社、大学及び日本関係企業・機関などと面談し、ベトナム鉱<br />
業と鉱業に関する人材関係の現状を調査した。<br />
3.1.4 調査日程と面談主要相手方<br />
日程及び面談の主要相手方は下記の通りである。<br />
第Ⅲ-1 表 ベトナム現地調査日程<br />
AM PM 備考他<br />
12月13日 11:00 VN955 15:10 Hanoi到着 田島・横山<br />
12月14日<br />
12月15日<br />
12月16日<br />
12月17日<br />
12月18日<br />
9:00 天然資源環境省MONRE<br />
DGMV地質鉱物総局 次長 DR.<br />
Trinh Xuan Ben,<br />
国際室長 Mr. Dang Ngoc Tran,<br />
同エキスパート Ms. B. T. Huyenほか<br />
9:30 国営金属資源公社VIMICO<br />
副総裁 Mr. Nguyen Minh Duong<br />
国際関係局長 Mr. Ngo Manh Hung<br />
他<br />
*当初MONRE国際局・法律局・環境影<br />
響アセスメント評価局との合同会議予<br />
定が流れる。<br />
15:00商工省MOIT<br />
・重工業局長 Mr. Nguyen Manh Quan<br />
・科学技術局次長 Dr. Nguyen Huy<br />
Hoan<br />
10:30 天然資源環境省MONRE 14:00ハノイ鉱山地質大学HUMG 地<br />
国際協力局次長 Dr. Pham Phu Binh 質学部次長 兼地化学・鉱物学ヘッド<br />
同エキスパート Ms. Nguyen Kim Dr. Nguyen Khac Giang 準教授<br />
Quy<br />
9:30 JICA 長瀬 利雄 次長<br />
室岡 直道 所員<br />
10:00 大使館 藤井 亮輔 書記官<br />
(JICA室岡氏同行)<br />
12月19日 08:20 VN 841 11:50<br />
3.1.5 調査結果<br />
13:10 伊藤忠 矢代 博昭 所長、<br />
15:00 丸紅 南城 勉 所長<br />
14:30 双日 渡邉 理史 アジア・大洋<br />
州副総支配人<br />
下釜 敬明 所長<br />
- 83 -<br />
・JICAベトナムより、ナショナルスタッ<br />
フ Program Officer の Ms. Luong<br />
Quynh Huong*参加 12/15午前も<br />
参加<br />
・DGMVの公式回答(Dr. Nguyen Van<br />
Thuan局長名)は、メールで12/18入<br />
手済み<br />
・昼食AOTS近藤斉所長(12:00-<br />
13:30)と情報交換<br />
・VIMICOの質問状回答書は新年第2<br />
週以降に送られてくる見通し<br />
・商工省の幹部お二人の回答英文<br />
翻訳済み入手<br />
18:00意見交換夕食会(DGMV,<br />
VIMICO, MONRE, VINACOMIN,<br />
JMEC)<br />
田島帰国 18日夜00:10 VN954 19<br />
日 04:30 成田着<br />
横山 Phnom Penh到着 同調査継<br />
続
面談者に、METI の環境調和型の資源開発のアジア展開ロードマップの英文版と、JMEC<br />
作成の鉱業技術の体系マトリックスの英文版を配布し、本調査の趣旨を説明し、ベトナム<br />
鉱業と同人材の現状・問題点、人材育成の要望など幅広い情報を、質問状(事前に届けて<br />
おいた Questionnaire)の回答を含め、収集することが出来た。<br />
今回の面談では地質鉱物総局 DGMV をはじめ関係各機関の面々は非常に協力的で予定<br />
通り面談が進んだ。ただし、その上部省庁である天然資源環境省 MONRE では、当初計画<br />
していた 3 局の合同会議が国際協力局長の COP15出席不在で、次長が引き継いだが、法<br />
律局は多忙、環境影響アセスメント評価局との面談は実現しなかった。情報が欲しければ、<br />
具体的な協力プロジェクトを提案してくださいという発言であった。VIMICO では、副総<br />
裁が質問状への回答を逐一精力的に答えてくれた。また夕食会では、その上部会社である<br />
VINACOMIN の国際協力課長も参加してくれた。石炭関係のプロジェクトで大変日本<br />
(METI、NEDO、JCOAL)にお世話になっていると発言あった。<br />
ベトナムについての総括を以下に簡単に述べ、その後に、個別の面談内容概要を含めた<br />
ベトナム鉱業関係機関情報を記載する。<br />
3.1.6 総括<br />
・先方の要望は、日本が強く、貢献できる技術分野でお願いしたいということ。具体的は、<br />
レアアースの製錬・精製、鉱山地域の環境対策、行政官向けの鉱業管理能力(環境管理と<br />
復旧、坑内採掘での保安、鉱業セクターの戦略やマスタープランづくり等)の向上などで<br />
ある。また不十分な技術として、Vimico が鉱物処理(mineral processing)をあげている。<br />
・採鉱や探鉱は、ベトナム側で技術を保有している。<br />
・日本が何か支援するとすれば、上流分野では、衛星画像解析技術(ボツワナのような)。<br />
下流部門では、レアアースの製錬・精製、鉱山地域の環境対策。<br />
・レアアースの製錬・精製については、VIMICO は中国の技術を入れようかと考えている<br />
という発言もあり、これを超える精製(高純度とか)技術について、日本企業の協力が得<br />
られないと空振り。<br />
・人材育成支援は総論的に賛成・期待するが、個別の具体プロジェクトを提案して下さい<br />
というスタンス。DGMV も同じようなスタンスであるし、上部の MONRE の国際局は、さ<br />
らに厳しく、具体的プロジェクト提案なければ情報も出しませんというスタンス。<br />
・非鉄 8 社とか従来の鉱業企業ではないレアアース担当等の企業がノウハウ的に有する技<br />
術を民間ベースで出せないのを、公的に出すのはもっと困難。日本側でそうした会社(例<br />
えば、ベトナムへの進出を決めた合金鉄の昭和電工、中電レアアースやまだ決めてはいな<br />
いが、三徳、信越化学、TDK、日立金属等の磁石メーカーのうち進出や協力に意向を持つ<br />
企業から)が出来ることを決めないと支援・協力を提案出来ない。すなわち技術協力(JICA<br />
専門家を出すにしても)を提案していくための日本国内での仕込み・調整が肝心であると<br />
考える。<br />
・双日・豊田通商のドンパオのレアアース案件など個別具体玉がある案件で、その計画内<br />
容に沿った範囲での、技術・人材育成協力を考案する線が一つ:うまく大きく出来れば JICA<br />
技術協力プロジェクトに仕立てる等<br />
- 84 -
・あまり話題にならなかったが、以前の調査で要望があった衛星画像解析技術(PALSAR<br />
の画像解析など)について、衛星画像解析センター(アフリカ)的手法が一つ。ただし今<br />
回はそのようなことは話題にも、アンケートにもなかったので、先方要望にミートしない<br />
可能性が高い。<br />
・ベトナムには鉱山地質大学があり、鉱山・地質の一般的学問は、その実務経験も含めて<br />
高い。また DGMV が約 2500 名、VIMICO が約 6500 名という巨大組織で仕事をしている。<br />
・不足しているのは上述したようなベトナムが従来経験が少ない分野での技術である。<br />
3.1.7 日本の民官の動き<br />
ベトナムにおいて、民間で複数の動き、これをバックアップする官の動きがある。<br />
前者(民間)は、双日・豊田通商が、VIMICO と組み、Dong Pao で、レアアースの開発<br />
に向けた探鉱実施中であり、その結果をまとめて、近々開発への意思決定をする。開発の<br />
場合は 2012 年に生産開始予定。<br />
後者(官)では、JOGMEC が共同探査契約を結んで探査実施して来た。以下に順に紹介す<br />
る。まず民間の動きから紹介するが、政府の「資源外交」の成果という側面も含まれる。<br />
第Ⅲ-1 参考引用:ベトナム政府、日本にレアアースを安定供給の方針<br />
2009 年 1 月 26 日 読売新聞<br />
ハイテク機器の製造に不可欠なレアメタル(希少金属)の中でも特に希少性の高いレア<br />
アース(希土類)について、ベトナム政府が日本へ安定的に供給する方針を日本政府に伝<br />
えてきたことが25日、分かった。<br />
近く豊田通商と双日の2商社がベトナム国営資源会社と合弁会社を設立し、2009年<br />
度から大型鉱床の開発に乗り出す。レアアース輸入量の9割を中国に依存する日本にとっ<br />
て、資源の安定確保につながる。<br />
両国で共同開発するのは、ベトナムの首都ハノイの北西280キロにあるドンパオ鉱床。<br />
早ければ11年から生産を始め、約20年間にわたり、日本の消費量の約4分の1に当た<br />
る年5000トンを供給する計画だ。日本側は2社で49%の権益を求める予定だが、「生<br />
産されるレアアースの大半は日本向けとなる可能性が高い」(<strong>経済産業省</strong>幹部)という。<br />
レアアースは、ハイブリッド車のモーターやパソコン用のハードディスクなどに必要な<br />
小型で強力な永久磁石の製造に欠かせない材料で、将来の需要増大が見込まれている。<br />
ベトナム政府の方針は今月中旬、ベトナム北部・ハロン市で開かれた両国間の政策対話<br />
で吉川貴盛経産副大臣らに伝えられた。日本政府は今後、石油天然ガス・金属鉱物資源機<br />
構(JOGMEC)による地質調査や、政府開発援助(ODA)などを活用した周辺の道<br />
路や橋などの整備を通じて資源開発を後押しする予定だ。<br />
- 85 -
この事業を支援するために、JOGMEC の鉱山開発周辺インフラ整備調査が実施されている。<br />
第Ⅲ-2 参考引用:「ベトナム・ドンパオレアアース鉱山開発プロジェクト」「ドンパオ区<br />
域希土類鉱山開発周辺インフラ整備調査」<strong>経済産業省</strong>資料より 2010 年 1 月<br />
- 86 -
また官民協調(PPP: private public partnership)を活用した一貫した取り組みという側<br />
面がある。<br />
第Ⅲ-3 参考引用:「PPP を活用した取り組み」<strong>経済産業省</strong>資料から<br />
このほかにも、2010 年 1 月に、新鉱床の権益を、豊田通商が獲得するに際し、日本政<br />
府も支援をしている。<br />
第Ⅲ-4 参考引用:「希土類ベトナムで開発」政府系と豊田通商 新鉱床の権益獲得<br />
日本経済新聞 2010 年 1 月 8 日より<br />
http://www.neomag.jp/newtopics/pdfs/100108-01RMNEWS.pdf?PHPSESSID=346359b2<br />
3a76a971b0e0a22d149b8855 より<br />
[日本経済新聞 2010 年 1 月 8 日号第 4 面抜粋]<br />
希土類 ベトナムで開発 政府系と豊田通商<br />
新鉱床の権益獲得<br />
- 87 -
ハイブリッド車など次世代自動車の生産に不可欠な希土類(レアアース)について、日<br />
本の官民がベトナムでの開発に参入する。政府系機関と豊田通商が新鉱床の権益を獲得す<br />
る。道路や給水システムなど鉱山周辺のインフラ整備も支援するほか、ベトナム国内での<br />
レアアースの製品化にも協力する。<br />
ベトナムにはレアアースの大量の埋蔵が見込まれ、継続的な権益確保につなげる考えだ。<br />
レアアースは希少金属の一種で、ハイブリッド車やエアコン、液晶テレビなどの生産に不<br />
可欠な材料。中国が世界全体の約 97%を生産しており、日本は新たな調達先を探す必要が<br />
ある。中国と地続きのベトナムは有望な鉱床が期待されていた。<br />
今回開発で合意するのは、<strong>経済産業省</strong>所管の独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資<br />
源機構(JOGMEC)が探査したハノイの北西約100キロに位置する鉱区。豊田通商<br />
がベトナムの現地企業と合弁企業を立ち上げ、2012 年にも生産を始める。金額や出資比率<br />
は今後詰める。<br />
鉱区には次世代車を数十万~百数十万台程度生産できるレアアースのディスプロシウ<br />
ムが含まれるという。8日に経産省の高橋千秋政務官や豊通の担当者らがハノイでベトナ<br />
ム側と合意する。<br />
政府は今後のベトナムでの継続的な権益確保を目指し、鉱山周辺のインフラ整備も政府<br />
開発援助(ODA)で支援する。<br />
今回は8億円を上限にした円借款を供与、給水システムや道路整備に充てる。日本企業<br />
が進出・開発しやすい環境を整えるとともに、ベトナム側から権益を確保しやすくする狙<br />
いだ。<br />
さらに、ベトナム国内でレアアース関連の産業化も支援する。住友金属工業系の中電レア<br />
アースや、昭和電工がそれぞれ現地にレアアースのリサイクルや合金などを手掛ける工場<br />
を建設する。ベトナム国内での雇用確保や技術移転を進める。政府も金融支援などを検討<br />
する。<br />
次に、上記記事にも紹介あるように、昭和電工では、レアアースの磁石用合金などを手<br />
掛ける工場を建設する。<br />
第Ⅲ-5 参考引用:「ベトナムにレアアース磁石用合金の原料製造会社を設立」昭和電工ニ<br />
ュースリリースより<br />
http://www.sdk.co.jp/aa/news/2008/aanw_08_0957.html 2008 年 10 月 8 日<br />
ベトナムにレアアース磁石用合金の原料製造会社を設立<br />
-高性能ネオジム系磁石用合金の原料調達体制を強化-<br />
昭和電工株式会社(社長:高橋 恭平)は、ベトナム社会主義共和国ハーナム省に、当社<br />
90%出資の子会社「昭和電工レアアースベトナム有限会社」(以下、新会社)を 10 月に設<br />
立いたしました。新会社では、11 月より生産設備の建設工事に着手し、2010 年 4 月から<br />
高性能ネオジム系磁石合金の原料であるジジムメタル(ネオジム (*1)とプラセオジム (*2)を主<br />
成分とする合金)ならびにジスプロシウムメタル (*2)、あわせて年 800 トンの生産を開始い<br />
- 88 -
たします。<br />
高性能ネオジム系磁石は自動車向けやエレクトロニクス向けに使用されており、近い将来<br />
には風力発電向けの需要拡大も予想されるなど地球環境維持関連材料として注目を集めて<br />
います。これらの拡大する用途に対応して、ネオジム系磁石の高温下での磁力特性を確保<br />
するために少量添加する必要があるジスプロシウム系の希少元素の需要も増加しています。<br />
世界のジスプロシウムの供給は、現状、江西省等の中国南部で産出されるイオン吸着鉱 (*3)<br />
からの精製に主に頼っており、その安定調達と資源リサイクルは大きな課題となっていま<br />
す。<br />
当社は、ベトナム国内外のレアアース混合原料やレアアース酸化物など複数種類の原料<br />
に対応可能な分離精製工程と、ジジムメタルやジスプロシウムメタル生産のための電解工<br />
程から構成される工場を建設し稼動させることにより、高性能ネオジム系磁石合金用主原<br />
料の安定調達を図ります。新会社は、2010 年に売上高 20 億円を目指します。<br />
当社は、すでに当社秩父事業所ならびに中国内モンゴル自治区包頭(パオトウ)市と中国<br />
江西省贛州(ガンシュウ)市の各々の生産子会社をあわせた3拠点で年間 8,000 トンのレ<br />
アアース磁石用合金設備を有しており、今般の新会社を、原料供給の拠点として新たに加<br />
えることにより、当社の戦略事業であるレアアース事業の一層の強化を図ります。<br />
以上<br />
(*1) ネオジム(元素記号 Nd):レアアースの一種。強力な磁力を持つネオジム系磁石の主<br />
要元素。<br />
(*2) プラセオジム(元素記号 Pr)やジスプロシウム(同 Dy):レアアースの一種。ネオジ<br />
ム系磁石に添加される。<br />
(*3) イオン吸着鉱:蛍光体用のイットリウム、ユウロピウム(元素記号 Eu)や磁石用の<br />
ネオジム、ジスプロシウム等を含有する鉱石であり、中国江西省を中心とした南部地域に<br />
分布する。<br />
【ご参考】<br />
1.新会社 概要<br />
(1)社 名 昭和電工レアアースベトナム有限会社<br />
(2)所 在 地 ベトナム社会主義共和国 ハーナム省 ドンバン 2 工業団地<br />
(首都ハノイより南方約 40 キロで国道一号線沿い)<br />
(3)資 本 金 6,360 千米ドル(約 7 億円)<br />
(4)設 立 2008 年 10 月 1 日<br />
(5)出資比率 昭和電工株式会社 90%<br />
東海貿易株式会社 10%<br />
(6)事業内容 ジジムメタル、ジスプロシウムメタル等レアアース磁石用合金原料の製<br />
造販売<br />
- 89 -
(7)社 員 数 約 130 名<br />
(8)代 表 者 会長 海老沼 彰(昭和電工株式会社レアアース事業部長)<br />
2.東海貿易株式会社 概要<br />
社長 村上 大憲(昭和電工株式会社レアアース事業部)<br />
(1)社 名 東海貿易株式会社<br />
(2)本 社 所 在 地 東京都港区赤坂二丁目 16 番 13 号<br />
(3)資 本 金 10 百万円<br />
(4)設 立 2005 年 4 月<br />
(5)業 種 貿易<br />
(6)代表取締役社長 三井 元<br />
3.当社のレアアース事業<br />
合金事業 日本 昭和電工秩父事業所 年間生産能力 5,000 トン<br />
合金原料事業<br />
中国 包頭昭和稀土高科新材料有限公司 同 1,000 トン<br />
贛州昭日稀土新材料有限公司 同 2,000 トン<br />
合計 同 8,000 トン<br />
ベトナム 昭和電工レアアースベトナム有限会社 同 800 トン<br />
このほか、伊藤忠商事が、ベトナムラムドン省において、水酸化アルミニウムの生産を<br />
ねらいとして、ボー紀里の探鉱を行っているが、それに関連して下記のインフラ調査も実<br />
施している。<br />
第Ⅲ-6 参考引用 資源案件に係る円借款案件形成等調査及び民活インフラ案件形成等調<br />
査 JOGMEC<br />
<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年度地球環境適応型・本邦技術活用型産業物流インフラ整備等事業<br />
(資源案件に係る円借款案件形成等調査及び民活インフラ案件形成等調査)<br />
第 1 回公募提案 採択案件として、JOGMEC から<strong>平成</strong><strong>21</strong>年6月29日に発表されてい<br />
る。<br />
http://www.jogmec.go.jp/news/bid/news/docs/2009/koubo_kekka_090424.pdf<br />
案件名:ベトナム・Lam Dong 省道路整備事業調査<br />
提案法人名:伊藤忠商事(株)、(株)オリエンタルコンサルタンツ<br />
案件概要:伊藤忠商事(株)が事業化調査を実施している Lam Dong 省ボーキサイト・水<br />
酸化アルミ開発事業に関し、鉱山周辺に建設する水酸化アルミ精製所から Binh<br />
- 90 -
Thuan 省に新設される輸出港までの効率的・安定的な製品輸送に関する調査。<br />
後者(官)については、JOGMEC が共同探鉱契約を結んで、レアアースを探査してきた。<br />
以下 JOGMEC の NEWS RELEASE から引用紹介する。<br />
第Ⅲ-7 参考引用:JOGMEC ベトナムで銅・レアアースの共同資源開発基礎調査を開始 JOGMEC<br />
<strong>平成</strong> 19 年 10 月 26 日<br />
http://www.jogmec.go.jp/news/release/docs/2007/pressrelease_071026.pdf<br />
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC 理事長:掛札勲)は、<br />
<strong>平成</strong> 19 年 10 月 25 日付にて、ベトナム天然資源環境省地質鉱物資源局(Department of<br />
Geology and Minerals of Vietnam)と銅・レアアースに関する共同地質調査の覚書<br />
(Memorandum of Understanding)に署名し、共同資源開発基礎調査を開始することとした。<br />
調査地域は、ベトナム社会主義共和国北部のラオカイ省からイェンバイ省に跨る約<br />
6,000km2 の範囲(調査地域の名称は「ラオカイ地域」)。地域内には、これまでにベトナム<br />
地質鉱物資源局が実施した調査により、複数のレアアース鉱徴地が確認されており、鉱床<br />
賦存の可能性が期待される。また、銅鉱山であるシンクエン鉱床が地域内北部にあり、シ<br />
ンクエン鉱床に似た鉱徴地が地域内に認められることから、銅鉱床の存在が期待される。<br />
さらに、調査地域の西側にはレアアースが発見されているドンパオ鉱床が存在する。<br />
調査期間は、2010 年 3 月末までの 3 年間を予定しており、日本が打上げた衛星「だいち」<br />
データによる衛星画像解析及び地質鉱物資源局と共同で地質調査、物理探査等を実施し、<br />
基礎的な地質情報を入手することにより鉱床賦存の可能性を評価する。<br />
■プロジェクトの概要<br />
1)調査地域<br />
ラオカイ地域はベトナム社会主義共和国北部の紅河沿いに位置する。地形は紅河沿いで<br />
は平坦だが、北西部では山岳地帯(標高 3,000m 程度)となる。気候は亜熱帯気候で雨季は<br />
5月~9月。<br />
2)調査内容<br />
これまでにベトナム地質鉱物資源局が実施した調査により、調査地域内にはレアアース<br />
鉱徴地や酸化鉄銅金型の鉱徴地が確認されており、まずは地質調査、地化学探査、物理探<br />
査等を実施し、基礎的な情報を入手することにより、新たな銅・レアアース鉱床の発見を<br />
目指す。調査期間は 3 年間を予定し、この 11 月から現地調査を開始する。<br />
(参考)<br />
■ベトナム地質鉱物資源局(Department of Geology and Minerals of Vietnam)概要<br />
天然資源環境省(Ministry of Natural Resources and Environment)の下部組織で、<br />
ベトナム国内での基礎的な地質調査、鉱物資源調査等を実施している。<br />
- 91 -
■レアアース<br />
レアアースとは希土類元素のことで、元素周期律表第Ⅲ族に属する 15 元素(La, Ce, Pr,<br />
Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu)に Sc と Y の 2 元素を加えた 17 元素<br />
の総称。用途は、永久磁石、ガラス研磨剤・添加剤、触媒、蛍光体等と幅広く、ハイテク<br />
産業分野で用途が拡大している。<br />
■シンクエン鉱床<br />
ハノイの北西 290km(ラオカイ省)に位置する銅鉱山で、ベトナム国営鉱物公社が所管<br />
する。2006 年 4 月から銅精鉱の生産が開始され、鉱量 5,500 万トン(銅品位 1.07%、金品<br />
位 0.55g/t、 酸化レアアース品位 0.67%)が見積もられている。<br />
■ドンパオ鉱床<br />
ハノイの北西 280km(ライチャウ省)に位置するレアアース鉱床。2000~2001 年度にか<br />
けて、JOGMEC(当時金属鉱業事業団)とベトナム国営鉱物公社が資源開発協力調査を実施<br />
し、ボーリング調査等により、鉱量 317 万トン(酸化レアアース品位 7.06%)が見積もら<br />
れており、開発が検討されている。<br />
調査地域位置図<br />
- 92 -
3.2 ベトナム鉱業国家機関<br />
国家は、鉱物資源を統一的に管理する。鉱業を管轄する中央組織には商工省(MOIT:<br />
Ministry of Industry and Trade)、天然資源環境省(MONRE:Ministry of Natural Resource and<br />
Environment)、地質鉱物総局(DGMV:Department of Geology and Minerals of Vietnam)、建<br />
設省(MOC:Ministry of Construction)、鉱物埋蔵量評価評議会がある。また、地方省(人<br />
民委員会)は地元の鉱物の管理を行う。法律 No.46/2005/QH11 改正鉱物法、政令<br />
No.160/2005/ND-CP 改正鉱物法実施細則によれば、各省の主な役割は以下のようにまとめ<br />
られる。<br />
(a) 商工省:採掘、鉱物加工業の国家管理を行う。また、輸出可能な鉱物と輸出制限され<br />
ている鉱物の条件・基準リストを発布する。<br />
(b) 天然資源環境省:政府のもとで、責任をもって全国の鉱物の国家管理を行う。法律で<br />
規定された機能と権限に加え、MONRE は地質・鉱床、埋蔵量の評価、鉱業ライセンスの<br />
発行などを行う。地方政府が発行する権利は除く。<br />
(c) 建設省:建設資材、セメント用原材料となる鉱物の採掘、鉱物加工の国家管理を行う。<br />
(d) 鉱物埋蔵量評価評議会:探鉱報告書の埋蔵量の評価・査定に関して、政府を支援する。<br />
(e) 地方省(人民委員会):地元の鉱物の管理を行う。<br />
1) 閉山・清算が決まった鉱山の残鉱および廃石・尾鉱の零細鉱業者に対する採掘権<br />
(Artisanal Mining License)の発行<br />
2) 一般建設材料・ピートとして使う鉱物の概査・探査・採掘・鉱物加工権の発行<br />
3) 調査・査定済み地域、または概査が終わりすでに埋蔵量が承認された地域の鉱物の採<br />
掘、加工権の発行<br />
ただし、国の採掘・鉱物加工の承認されたマスタープランの地域に含まれていないこと、<br />
国の保護埋蔵鉱物に含まれていないことが条件となる。<br />
地方省と地域の民間企業によって運営されている鉱業はその規模・財政能力共に小さく、<br />
主に建設石材の採掘が中心である。<br />
各省庁及び次項のその他の公的機関の組織図は本章の末尾にまとめるが、第Ⅲ-1~第<br />
Ⅲ-6 図に示すとおりである。<br />
3.2.1 商工省 MOIT(第Ⅲ-1 図)<br />
2007 年 8 月に工業省と貿易省が合併して商工省に統合された。現在、政策部局として<br />
は、30 局・機関、管理部局として 5 局、多数の地方局、多数の海外貿易事務所から構成<br />
されている。機械、冶金、化学、エネルギー、消費、食品などに関係する企業の管理責<br />
任がある。保安、給与や競争政策などもみている。鉱業政策・法律の作成は MOIT の管<br />
轄で、鉱山開発の申請があると MONRE は、MOIT が作成したマスタープランに適合し<br />
ているかどうかを審査する。商工省は以下の公社を傘下に治めている。<br />
・ベトナム石炭鉱物公社(VINACOMIN)<br />
・ベトナム鉱物公社(VIMICO)<br />
・ベトナム化学公社(VINACHEM)<br />
・ベトナム鋼鉄公社(VSC)<br />
・鉱業協会(Vietnam Mining Association)<br />
鉱業協会は NPO 法人で 1964 年から活動し、VINACOMIN の総裁が鉱業協会の会長を<br />
- 93 -
務めている。会員数は約 25,000 人で全国の 30 箇所に事務所があり、VINACOMIN の職員<br />
が協会の会員になっている。主な活動は鉱業雑誌の発行、学会の開催、海外との交流など<br />
である。<br />
3.2.1.1 商工省 MOIT 今回出張時面談内容<br />
12/15 15:00~16:30 MOIT(商工省)<br />
出席者:重工業局長 Mr. Nguyen Nanh Quan<br />
科学技術副局長 Nguyen Huy Hoan<br />
DGMV Mrs.Huyen<br />
当方:横山、田島<br />
(重工業局長)<br />
重工業局は工業の製造、製錬に関わる政策、科学技術局は研究開発や技術移転、保安局は<br />
環境問題や工業の安全、国際協力局は海外の窓口です。鉱業産業は重工業局が所轄してお<br />
り、石油(エネルギー資源)以外の鉱物資源を管理している。石油関係は別の局(エネル<br />
ギー・石油局)が所轄。別の省になるが、石灰石、採石など建設材料は建設省が所管して<br />
いる。私は 16:00 時までで失礼します。<br />
(横山)JMEC の紹介、日本の鉱業ロードマップ、レアアース、今回の調査の趣旨を説明。<br />
(重工業局長)すでにアンケートには書面にて回答しているので、それを参照していただ<br />
きたい。記載に足りないところがあれば、それにお答えします。省全体では 20 の局があり、<br />
全体で約 700 名である。<br />
質問 19<br />
人材育成では、省としては政策関連が主な業務なので、管理職の短期教育、政策の教育、<br />
鉱業の政策、また対策についても教育している。重工業局では鉱産物から来ている人はい<br />
る(地質・鉱山専門?)が政策については経験ないのでそれの教育を受けられればと思っ<br />
ている。期間は実務に支障をきたさないように、最大で 1 ヶ月、分野別には 1 週間程度で<br />
十分と考えている。(団長:JICA の研修は現在 2 ヶ月のパッケージなので MOIT にとって<br />
はちょっと長過ぎることがわかりました)。若い職員の場合、例外的に多少長くても良いが、<br />
基本的には短い方が業務に支障がないのでそのほうが良い。<br />
質問 20<br />
JICA の支援で VINACOMIN のトレーニング(石炭採掘)を 5 年間行ってもらった。(団長:<br />
それは JCOL のプロジェクト)現在、首相の指示で新しい技術の開発、人材育成プログラ<br />
ムを検討しており、それには省及び鉱物関係会社(VINACOMIN?)も参加する予定である。<br />
まだ準備段階にあるがまず必要な人材育成項目を整理し 2010 年までに計画を提出する。そ<br />
の後、講師としては大学の教授、海外にもお願いすることになると思う。(団長:JICA の<br />
専門家派遣制度を利用できる)。費用についてはベトナムの予算は限られているので、援助<br />
頂ければありがたい。<br />
鉱物法などは MONRE が作成し政府に提出する。担当者は MONRE、MOIT など関係者が<br />
参加して作成している。外国人が直接加わることはない。もちろん海外に行って鉱業法も<br />
参考にすることはある。<br />
- 94 -
質問 25-3<br />
法律では鉱石の輸出禁止はないが、輸出できるものとできないものの条件があり、政令で<br />
輸出制限の条件と規則を決めている。MOIT の 2008 年 6 月の省令に記載されている。例え<br />
ば鉄鉱石は 52-54%であれば鉱石の輸出は可能である。地域によって輸出できるできないこ<br />
とがある(団長:国内で製錬・精製できるものは輸出制限、そうでないものは鉱石で輸出<br />
可能ということですか)。その通りで省令に記載されている。<br />
質問 26-2<br />
紅河の下の石炭開発などアンケートに記載したとおりだが、銅や亜鉛については従来から<br />
やってきたし、生産量も小さいので特に要望はない。<br />
質問 27<br />
レアアースの精製技術はないので、現在考えている段階ですが、中国はレアアースの生産<br />
が多いので、中国からの技術移転がいいのではと考えている。技術移転を決める場合は、<br />
中国でも日本でもその会社の内容が重要である。<br />
VINACOMIN と連携しながらやっていく予定である。VINACOMIN は MOIT の傘下にある<br />
が活動は独自で行っている。メンバーは MOIT から来ているとは限らず、VINACOMIN の<br />
会社の人が上に来る場合が多い。ただし、現在 VINACOMIN の会長は MOIT の出身である。<br />
ボードメンバーについて私はよく判らないが中には MOIT の出身者がいると思う。逆はな<br />
いと思う。<br />
質問 23<br />
石炭は紅河デルタの下にかなりの埋蔵量があるが、開発するのが困難なので、どのように<br />
開発するかは VINACOMIN で調査している。(団長:ガス化するプロジェクトがあるよう<br />
であるが?具体的なことは知らない模様?通訳が旨く伝わっていない?)チタンはベトナ<br />
ムの海岸沿いにある。ビンミン省にもチタンがあり MONRE(DGMV)が調査している。<br />
(団長:首相の指示で動いている人材育成プロジェクトは他にどのようなものがあります<br />
か?)<br />
鉱業関係以外には良くわからない、鉱業開発計画の中の一つに人材育成のプログラムがあ<br />
り、大学と連携しながら行っていくことになる。ハノイ鉱山地質大学は MOIT の管轄にな<br />
っている。<br />
質問 24<br />
(鉱業関係で MOIT と MONRE の統一の可能性は?)<br />
両省の管轄のオーバラップの件ですが、基本的には MOIT は開発、MONRE は調査ですが、<br />
現在国会に提出しているので許可関係は今後 MOIT に統一することになる可能性はある、<br />
しかし建設省は扱う鉱物が違うので建設省は別だと思う。(鉱業調査は DGMV が実質部隊<br />
なので MONRE から鉱業開発関連をなくし、MONRE は環境、水資源、国土管理などの省<br />
になる?DGMV はかつては MOIT の傘下にあった)<br />
3.2.1.2 MOIT アンケートへの回答<br />
ベトナム商工省 MOIT (Ministry of Industry and Trade)<br />
この質問票記入責任者の氏名と職名:Mr. Nguyen Manh Quan, 重工業局長<br />
Mr. Nguyen Huy Hoan, 科学技術局次長<br />
- 95 -
1. あなたの職場(organization)の組織はどうなっていますか?小単位ごとの名称と機能は<br />
いかがですか?<br />
・重工業局(DHI)は、商工省に所属する。主たる機能は、機械工業、冶金工業、金属鉱<br />
業と製錬等の産業の国家管理について商工大臣を補佐することと、商工省の国防に関する<br />
任務を管理することである。<br />
・2003 年以前科学技術局(DST)は、工業省で技術管理・製品品質局と呼ばれていた。<br />
2. 職場の歴史:かつて職場はどこに属していましたか?<br />
・2004 年以前は、現在の重工業局の機能は、当時の企画投資局に属していた。2004 年に、<br />
重工業局、軽工業局、エネルギー局などたくさんの局がそれぞれの産業を管轄するために<br />
創設された。<br />
・2003-2007 年科学技術局は工業省に属し、2007 年 12 月以降は商工省に属している。(工<br />
業省と貿易省の統合に伴い)<br />
3. 職場の就業人数は?<br />
・DHI 19 人、<br />
・DST 37 人。<br />
4-1. 職場における博士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・DHI 1 人 鉱山分野<br />
・DST 8 人 鉱物、化学、電気、食料品(栄養)、繊維<br />
4-2. 職場における修士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・DHI 1 人 経営<br />
・DST 7 人 繊維、電気、化学、機械工学、鉱物<br />
4-3. 職場における学士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・DHI 16 人<br />
・DST 22 人<br />
5. 職場における年齢構成/分布はどのような傾向と配置になっていますか<br />
DHI DST<br />
・55 歳超 3 3<br />
・50-55 歳 4 5<br />
・40-50 歳 8 10<br />
・40 歳未満 4 19<br />
6. 最近と過去における職員の新規採用はどんな状況ですか?<br />
・最近 1 人採用(DHI)。<br />
- 96 -
・1 人採用したところ(DST)<br />
7. 職場での定年退職年齢は?<br />
・男性は 60 歳、女性は 55 歳<br />
8. 政府に勤務していた人(あなたの職場で)が自発的に早期に退職した後、鉱山関係企業<br />
に就職する例はありますか?<br />
・なし。<br />
9. 鉱山関係企業に勤務していた人が自発的に早期に退職した後、政府(あなたの職場に)<br />
に就職する例はありますか?<br />
・なし。<br />
10. あなたの職場の予算規模と小項目ごとの配分や構造はどうなっていますか?予算は十<br />
分と言えますか?<br />
・不十分。<br />
11. 職員の技術スキルについてどう評価していますか?<br />
(a)すべての分野で十分<br />
(b) ある分野では十分、しかしある分野では不十分<br />
(c) ある分野で不十分<br />
(d)すべての分野で不十分<br />
・ほとんどすべての分野で十分な経験と技術を有している。しかしながら、鉱山、機械、<br />
冶金の分野でより多くの人を必要としている。この分野のことが出来る人を 3 名採用する<br />
ことを要求中である。(DHI)<br />
・鉱山、タバコ、プラスチック、靴履物、皮革の分野で技術職員が不足している。(DST)<br />
11-1. 職員が十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・全部の分野で十分な技術的スキルがある。しかし英語力が十分でなく、わずか 1 名が英<br />
語でコミュニケーションできる。(DHI)<br />
・一般に全部の分野で十分な技術的スキルがある。しかし鉱山、タバコ、プラスチック、<br />
靴履物、皮革の分野で技術職員が不足している。(DST)<br />
11-2. 職員はその能力をどこでどのようにして身につけましたか?現在でもその方法は可<br />
能ですか?<br />
・ベトナム国内の大学と外国で学んでいる。それと実際の仕事を通じて技術を向上させて<br />
いる。<br />
11-3 職員が不十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・ほとんどの職員はよく訓練されており、資格があり、省に勤務する以前ほかの機関で数<br />
年以上その働いた経験を有している。このためプロフェッショナルである。しかし鉱山、<br />
- 97 -
タバコ、プラスチック、靴履物、皮革の分野で技術職員が不足している。(DST)<br />
11-4. どのような手段で、またどのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれ<br />
ばよいとお考えですか?<br />
・仕事を実行するスキルが不十分な職員を測定する良い方法は、実際の管理の仕事を通じ<br />
て自己トレーニングさせることである。(DHI)<br />
・職員は、実際の仕事を通じて自己トレーニングにより、知識を蓄積することが必要であ<br />
る。(DST)<br />
12. あなたの職場で職員の典型的な教育や職業のバックグラウンドやキャリア(政府に<br />
入・る前/と入った後で)はどうなっていますか?<br />
・職員は省に雇用される前に、ベトナム国内や海外の大学で、主として、鉱山、機械工学、<br />
冶金、経営、経済などについて、トレーニングされる。入省後は管理、経営、環境などに<br />
ついて短期のトレーニングを受ける。(DHI)<br />
・職員は省に雇用される前に、ベトナム国内や海外の大学で、異なる専門領域についてト<br />
レーニングされる。入省後は管理、省エネルギー、環境保護、クリーンな製造などについ<br />
て短期のトレーニングを受ける。(DST)<br />
13. 職場の職員に対する人材育成や教育の基本方針はどのようなものですか?<br />
・局の職員の HRD/教育の基本方針は、省の方針に従っている。一般にそれは、資格(修<br />
士号や博士号をとったり)や外国語を向上することを、エンカレッジすることである。<br />
14. 職場内と外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースについてお尋ねします。<br />
-どれくらいの頻度で?<br />
-どのようなコースが(内部/外部)?<br />
-何人が参加可能ですか?<br />
・数多くの短期トレーニング・コースが設営されている。毎年主として管理、環境、経営<br />
に関して 2-3 件。局からは 1-2 名参加。(DHI)<br />
・毎年局職員のいくらかは、ベトナム国内または海外の、省エネルギー、環境保護、クリ<br />
ーナー製造といった分野の短期研修に参加する。(DST)<br />
14-1. 日々の業務の中でどのような OJT 訓練が実施されていますか?あるいはどのような<br />
仕事が職員の技術能力の向上に良いですか?<br />
・機械工業、冶金工業、鉱山製錬業の国家管理に関連することを含む日々の業務を実行す<br />
る中でのオン・ザ・ジョブ・トレーニング。より経験を増やし、知識を向上させるに好適<br />
であると考えられる仕事は、戦略の明確化を示すことや、ある分野のマスタープランを作<br />
ることや、局所管の産業分野の開発のための政策やメカニズムの提案を作ることなどであ<br />
る。(DHI)<br />
14-2. 職場では、通常業務を離れての海外における訓練コースや教育機会を有しています<br />
- 98 -
か?<br />
・ある。しかし職員の英語力が限られるため、海外でのトレーニングの機会を多くは出来<br />
ない。(DHI)<br />
・ある。職員は海外のトレーニング・コースやスタディ・ツワー、国際会議などに参加す<br />
る。(DST)<br />
15. 海外の技術専門家が職場に滞在して(過去の滞在した)、何かを教えたことがあります<br />
か?どの国からでしたか?どれくらいの期間?どのような分野でしたか?<br />
・なし<br />
16. 大学や教育機関や研究機関または鉱業企業と鉱山学や地質学の分野で協力関係を構築<br />
していますか?(この質問は国内と海外両方についてお答えください。)<br />
・国内外の大学、研究機関、鉱業企業と協力している。(DHI)<br />
・職務の遂行にベストを図るために、局では、いつも鉱業分野を含む国内外の大学、研究<br />
機関、会社と協力している。(DST)<br />
17. 鉱山学・地質学での貴国の大学や教育機関や研究機関について、どのように評価され<br />
ていますか?<br />
・私見だが、鉱山地質関係の大学や教育機関は多くの学生に多くのトレーニング・コース<br />
を実施しているが、トレーニングの質は限られている。コースは理論中心で、実際の実習<br />
や経験に乏しい。(DHI)<br />
・鉱山地質の大学や研究機関は規模は適切だが、質の面では満足できない。(DST)<br />
18. もしこの分野での大学、教育機関、研究機関が貴国にない場合には、そのようなコー<br />
ス(鉱山学や地質学)を設けることについての意見や希望をお聞かせください。<br />
あなたはそのようなことは必要とお考えですか?<br />
・もしベトナムにそういうコースが実施されるとしたら、トレーニング・コースを開設す<br />
ることは必要で、財政的にはより経済的に、知識の伝達の面ではより成果があがるようで<br />
なくてはいけない。にもかかわらず、実際の練習(factual practice)の面では効果が少な<br />
い。(DHI)<br />
・ベトナムには学生にトレーニング・コースを授ける沢山の大学や機関がある。にもかか<br />
わらず、いくらかの家庭では、国際的に認められた(海外の)大学や機関に子弟を教育さ<br />
せることを好む。(DST)<br />
19. 鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
・省庁の鉱業関係の職員レベルの能力を増強する鉱物管理の研修を提供することについて、<br />
外国の支援を是非受けたいと思います。(DHI)<br />
・もし可能なら職員を短期研修でトレーニングさせたい。(DST)<br />
20. 同じ質問ですが、特に日本に期待したいことについて<br />
- 99 -
・日本政府が JICA を通じて、坑内採掘の保安につて VINACOMIN 職員の研修を支援する<br />
ことを継続してもらいたいし、また、環境管理と復旧、坑内採掘での保安、鉱業セクター<br />
の戦略やマスタープランづくりといった鉱業分野の管理能力の増強についても研修を継<br />
続してもらいたい。(DHI)<br />
・JICA を通じて日本政府は、職員の能力強化の研修を支援して欲しい。(DST)<br />
<strong>21</strong>. 貴国の鉱業活動についての評価<br />
-経済的に:GDP の 20%(石油ガスを含めて)<br />
-地域的に:地域での職の創出、地方財政(地方政府はロイヤリティ、法人税を徴収)とい<br />
う点で、社会-経済開発に貢献している。一方で鉱業開発は環境に有害な影響/汚染をも<br />
たらす。<br />
-輸出の観点から:全輸出額の 25%を占める。(石油ガスを含めて)<br />
22. 鉱業関係産業について開発の目標がありますか?<br />
・鉱業産業セクターは、安定的に、サステイナブルに、コスト効率的に、環境にフレンド<br />
リーな新技術を用いて、開発するべき。<br />
・鉱業関係産業の開発のターゲット/目標は、鉱物資源を経済的に開発し、国内ユーザー<br />
への供給を最大化し、ダウンストリームの処理(processing)を加速し、環境保護とこれ<br />
らの活動を調和させ、地域と国全体の社会-経済開発に貢献することである。(以上 DHI)<br />
・鉱物資源は、鉱物資源のロスが最小限になるように、経済的に、合理的に開発されなけ<br />
ればならない。その上で、国内ユーザーにこの鉱物資源の供給を最大化し、鉱物採鉱は環<br />
境保護と対応して実施されなければならない。(DST)<br />
23. 金属鉱山では貴国では将来どのような鉱種が繁栄するとお考えですか?ベスト3を上<br />
げてください。<br />
・ボーキサイト<br />
・チタニウム<br />
・鉄鉱石<br />
24. 鉱業法や鉱業に関係する政府規則で何か欠点や、改善や改訂を要する事項をご存じで<br />
はありませんか?<br />
・商工省と天然資源環境省の間で、国家管理に関していくつかの機能の重複がある。商工<br />
省は、鉱山業や製錬業を管理し、天然資源環境省は鉱山や製錬のライセンスを与える。こ<br />
の点が最も非合理的なポイントであり、鉱物法(改訂法)の中で改訂されるべきである。<br />
24-2. こうした事項について、何か改善が進行しているということはご存じありません<br />
か?<br />
・現在政府から天然資源環境省が指名されて、2010 年の国会会期中にも承認を得られるよ<br />
う鉱物法(改定案会議には、関係省庁やセクターの代表から構成される。)の改定案の作<br />
業をリードしている。(DHI)<br />
- 100 -
25-1. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 探鉱や採鉱の権利を持たないで実施される小規模の鉱業活動<br />
・原則的に、鉱業活動は規模の大小を問わず、非合法の採掘を除き、鉱業ライセンスを付<br />
与されなければならない。<br />
25-2. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 環境問題を起こさないための対策の強化<br />
・いいえそう思いません。外国ではベトナムのそれより、環境管理はより厳格でしっかり<br />
している。鉱業は環境保護に沿って実施されないといけない。<br />
25-3. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか? (ベトナム/<br />
カンボジアにつき)<br />
鉱石の原則輸出禁止:この原則は継続されますか?どのような場合において例外措置が<br />
ありますか?<br />
・はい。そう思います。鉱物商品(mineral commodities)の輸出禁止措置は外国投資 FDI<br />
に影響しているが、しかしそれほど大きくはない。鉱物商品の輸出禁止規制があるのでは<br />
なく、鉱物商品の輸出について、地域、品質、条件についての規制がある。これらの規制<br />
は応用可能である。<br />
・例外措置は、中国に対する鉄鉱石の輸出と、この国からの原料炭(coking coal)の輸入<br />
の二重の取引一件だけある。(中国が原料炭の輸出割当規制をしているため)(以上 DHI)<br />
・一般に、ベトナムの政策は、ダウンストリームの処理(processing)を奨励して、原鉱石<br />
での輸出を最小限にしようとしている。(DST)<br />
25-4. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?- (ラオスに<br />
つき)<br />
MEPA (Mineral Exploration and Production Agreement)は秘密事項と理解していますが、こ<br />
の MEPA を鉱業法体系に規定して公開とすることは出来ませんか?<br />
・MEPA は鉱物法に規定できると思いませんし、こうした協定はコンフィデンシャルにす<br />
べきで公開すべきと思いません。(DHI)<br />
26-1. 鉱業活動促進のための政策や改善措置<br />
-もし貴国の鉱業活動の促進するような措置やアイディアを思いつかれましたら、そのベス<br />
ト3を教えてください。<br />
・鉱物資源の調査や探査を加速する、Red River 石炭堆積盆のような複雑な地質的状況の<br />
大深度の石炭を開発する採掘技術の技術移転、鉱物資源の採掘の権利の入札。(DHI)<br />
・鉱物資源の調査や探査を加速する、鉱山技術の刷新と技術移転、鉱物資源の採掘の権利<br />
の入札。(DST)<br />
26-2. 鉱業活動の促進のために外国に期待したい援助について<br />
- 101 -
・鉱業活動を促進するために、以下の分野の鉱業技術移転を受けたい。<br />
-Red River 堆積盆の石炭を開発する鉱業技術<br />
-ボーキサイトとチタンのダウンストリーム処理<br />
-省庁レベルの職員の管理能力の強化<br />
・ボーキサイトや石炭を採掘し処理するプロジェクトに投資される借款<br />
・鉱業分野での技術インフラを建設するために投資される借款(以上 DHI)<br />
・鉱業活動を促進するために、Red River 堆積盆の石炭を開発する鉱業技術や、レアアース<br />
やチタンなどの採掘とダウンストリーム処理を実施するための鉱業技術の技術移転を受<br />
けたい。(DST)<br />
26-3.同じ質問です、特に日本に期待したい援助について<br />
・VINACOMIN に対して、協力、投資、坑内採掘の保安の管理の研修の継続<br />
・商工省と天然資源環境省の管理職に対して、鉱物管理の能力を増進する研修コースを提<br />
供すること<br />
・鉱山地域での環境復旧と Quang Ninh 省炭鉱地域での技術インフラ建設のための ODA ロ<br />
ーン(円借款)の提供<br />
・ボーキサイト・プロジェクトに資するため Tay Nguyen 高原と、日本企業がベトナム側と<br />
開発するために協力しているレアアース・プロジェクトに資するため Lai Chau 省とにお<br />
いて、技術インフラを建設するために協力し、投資し、ローンを供与すること。(以上 DHI)<br />
・Red River 堆積盆の石炭を開発する鉱業技術や、レア・アースやチタンなどの採掘とダウ<br />
ンストリーム処理を実施するための鉱業技術の技術移転を受けたい。職員研修。(DST)<br />
27.レアアース資源についてお尋ねします。<br />
27-1. 貴国のレアアースの資源ポテンシャルについてどう認識していますか?<br />
・ベトナムのレアアース埋蔵と資源は世界レベル(REO で 11 百万 t)。<br />
・ベトナムの資源は軽希土が多い。<br />
27-2. 自らがレアアースを探鉱した経験はありますか?<br />
27-3. レアアースの探鉱技術についてどのように自己評価しますか?<br />
27-4. 貴国でのレアアースの開発状況はいかがですか?<br />
・レアアースの探査は、ベトナムの地質のユニットに寄って行うことが可能。<br />
・レアアースは Lai Chau 省で探査されてきた。<br />
27-5. レアアースのマイニング技術についてどのように自己評価しますか?<br />
27-7. レアアースの分離・精製技術(separation/ refining)についてどのように自己評価し<br />
ますか?また技術移転の希望がありますか?<br />
・ベトナムはレアアースの分離/精製の技術を有していない。技術移転が必要。<br />
・過去にベトナムでレアアースの分離の研究をしたことがあるが、鉱山運転をすることに<br />
- 102 -
乗り出すときは、現代的鉱業(mining)技術と処理(processing)技術が移転されるべき<br />
である。<br />
27-8. 副産物の放射性鉱物(モナザイト:トリウムを含む)の取り扱いについて、法規制<br />
はどうなっていますか?<br />
・天然資源環境省 MONRE マター。<br />
27-9. レアアース開発について、外国に期待することは?<br />
・レアアースの鉱業(mining)技術の移転<br />
・レアアースの処理と市場に出すことについて外国企業と協力が必要。<br />
・レアアースの鉱業技術がないので、中国からから輸入することが計画されている。(DHI)<br />
27-10 レアアース開発について、特に日本に期待することは?<br />
・日本の双日、豊田通商は、Lai Chau 省の Dong Pao レアアース鉱山を採掘し、処理し、<br />
輸出することにベトナムのパートナーと協力している。このため、このレア・アースプロ<br />
ジェクトの助けとなるよう、ODA の資金プロジェクトを通じて、Lai Chau 省に技術イン<br />
フラを建設することを支援することを日本政府に強く要求する。(DHI)<br />
・近い将来、日本政府はレアアースの採掘と処理の可能性を評価することを助け、その上<br />
で、レアアースの採掘と処理に財政的にまた技術的に投資することが可能なパートナーを<br />
探してくれることを期待する。(DST)<br />
その他<br />
・レアアースの鉱山の操業には、私見だが出来るだけ早急に、鉱山操業を展開し、処理し、<br />
レアアース酸化物を輸出することが市場に適う。<br />
- 103 -
3.2.2 天然資源環境省 MONRE(第Ⅲ-2 図)<br />
MONRE は 1993 年に設立された科学技術環境省(MOSTE)を母体に、MOSTE の環境関<br />
連部局、土地管理部、気象水文部、農業農村開発省の水資源管理局、工業省の DGMV など<br />
を取り込んで改組された省である。職員数は 2008 年調査時点では、約 8,000 人で、そのう<br />
ち DGMV が約 4,000 人(ただし現在は、2452 人)、気象部門が 3,000 人、環境部門は 300<br />
人を占める。MONRE は上述したように概査権、探査権、採掘権、鉱物加工権を発行する。<br />
ただし、手続きは DGMV が行い、MONRE の鉱業活動は DGMV に集約されていると考え<br />
られる。<br />
・地質鉱物資源化学研究院(Science Institute of Geology and Mineral Resources)<br />
が参加にあるほか、<br />
・ハノイ天然資源環境短期大学(College for Natural Resources and Environment)<br />
・ホーチミン天然資源環境大学<br />
・中部地区天然環境資源短期大学<br />
も運営している。<br />
3.2.2.1 MONRE 今回出張時面談内容<br />
12/16 11:00~12:00 MONRE(天然資源環境省)<br />
出席者:国際協力局副局長 Dr. Phan Phu Binh<br />
専門家 Mrs. Nguyen Kim Quy<br />
当方:横山、田島<br />
(副局長)<br />
局長は COP15 で海外出張中なので、私が今回の訪問にご協力いたします。11 月 20 日に<br />
いただいた手紙の返答はすでに出しているので新たな質問があればどうぞ。<br />
(横山)JMEC の紹介、日本の鉱業ロードマップ、レアアース、今回の調査の趣旨を説明。<br />
(副局長)質問は大きくは人材育成、技術、レアアースの 3 つに分かれているが、今回の<br />
訪問はどれをターゲットにしたものか<br />
(横山)<br />
できれば 3 つともお聞きしたいのですが<br />
(副局長)<br />
レアアースの埋蔵量は大きいので政府は力を入れている。鉱山開発、環境管理で日本の協<br />
力を得たいと思っている。現在は、ヨーロッパ、オーストラリアの協力を得ている。ご依<br />
頼の調査内容については両国にとって利益になることだと思うので、3 つについて日本の<br />
協力をお願いしたい。<br />
そちらの調査の進み具合を教えていただければありがたいのだが<br />
(横山)<br />
日本としてはどのようなプロジェクトにするかまだ決まってない。今回の調査結果をまと<br />
め、日本政府に提言して、来年に繋げるステップを踏まなければならない。法制度などに<br />
も関心があるので今後メールなどでお聞きしたい。<br />
(副局長)<br />
- 104 -
レアースの開発・調査、人材育成などのプロジェクトのアウトラインなどもっと具体的な<br />
ことがわかれば協力し易い。目標を立てて質問されれば協力できる。<br />
(横山)<br />
今後、環境課や法制課と情報交換できれば当方としては都合いいのだが。<br />
(副局長)<br />
国際課が海外の窓口になっているので、法律など個別に知りたいことがあればこちらに連<br />
絡頂ければ担当局に連絡します。人材育成のプログラムがあれば、プロジェクトのメンバ<br />
ーになってやっていきたい。ヨーロッパ、オーストラリアのプロジェクトは、鉱山監督の<br />
能力を高めるプロジェクトで、ベトナムの鉱山技術のレベルが低いので、プロジェクトが<br />
あれば協力できます。<br />
相手が希望する面談と当方の希望が食い違い十分な回答が得られなかった。具体的なプ<br />
ロジェクトを示さなければ、なかなか対応してくれないことが判った。<br />
- 105 -
3.2.3 ベトナム地質鉱物総局 DGMV(第Ⅲ-3 図)<br />
DGMV は省と同格の機関であったが、2002 年以降 MONRE の傘下となった。<br />
DGMV は次の2つの機能を有する。<br />
(a) 概査、探査、採掘、処理許可ライセンスの手続き<br />
(b) 資源・鉱床の基礎的調査<br />
資源・鉱床の基礎的調査については、下記の調査を段階的に行っている。<br />
a) 地質図作成(100 万分の1、50 万分の1(1986 年完成)、20 万分の1は作成中)<br />
b) 鉱床評価(5万分の1以上の精度)<br />
c) 探査(概査→精査→開発のための探査)<br />
DGMV は、参加に 15 の小機関を有する。5 つのテーマごとの部局、4 つの地方部局、1<br />
国際協力部局、3 センター(地質に関する分析実験センター、地質情報とアーカイブセン<br />
ター、地質技術センター)がある。DGMV はその前身から数えて創立 65 周年(1945-2010)<br />
である。<br />
その創立は、ホーチミン国家主席令により、1945 年に国家経済省に「鉱物と産業局」が<br />
置かれ、そのもとに、General Inspectorate of Minerals and the Service が置かれたのが淵源で、<br />
その後名称・所属省庁の変更はあったが一貫して地質セクターは存在。<br />
直接政府に所属した期間も長かったが、近年では、GSV または DGMV は、重工業省(後<br />
に工業省)に属し、2002 年以降は天然資源環境省 MONRE(Ministry of Natural Resources and<br />
Environment)に所属している。<br />
現在の職場の就業人数は、2,452 人(内 499 人は女性)であり、博士号の保持者は、31<br />
人で、地質と鉱物分野。修士号の保持者は、74 人で、地質、鉱物と経済であり、学士号の<br />
保持者は、876 人を数え地質、鉱物、建設、経済、ファイナンスとヘルスケア分野等であ<br />
る。<br />
3.2.3.1 DGMV 今回出張時面談内容<br />
12/14DGMV<br />
先方:Dr. Trinh Xuan Ben 副局長、Mr. Dang Ngoc Tran 国際協力課長、Ms. BTHuyen 国際協<br />
力課エキスパート、ほか法制課、鉱産物、地質課(Mr.Nguyen Anh Tuan)、人事課(Mr.Dang<br />
Huu Doan)の責任者<br />
当方:JMEC 横山、田島<br />
JICA:Ms. Luong Quynh Huong プログラム・オフィサー<br />
(横山)年末の多忙な時期に訪問を受け入れて会議を設営いただき多謝。JMEC は経済産<br />
業省の所管団体で、地質調査や鉱業関係調査を実施する団体。長年にわたりベトナムと良<br />
い関係を築いてきた。今回の訪問の目的は、環境配慮型の金属鉱山の開発に日本政府が協<br />
力をして行こうとの計画を持っており、そのためにインドシナ三カ国の鉱業人材に関して<br />
現状がどうで、レアアースを含めどのようなニーズがあるかという調査を JMEC に命じ<br />
たもの。いろいろ話を伺いたい。<strong>経済産業省</strong>の環境調和型の鉱業ロードマップ、鉱山発展<br />
- 106 -
の技術体系資料の説明を行った。<br />
(Ben 副局長)JMEC の皆さんようこそ。90年代から MMAJ との共同地質調査事業をし<br />
てきており、良い関係にある。技術人材を育成していくことは重要であり、当時も JICA<br />
にいろいろな計画で要請(日本の地質調査所に支援を依頼するような内容)したが、JICA<br />
でのプライオリティ(JICA の Huong 氏はのちに計画投資省 MPI のプライオリティが低<br />
かったのではと指摘)が低く、実現に至らなかった。人材育成の着想は結局レアアース調<br />
査で切り返された格好。JICA あるいは日本政府で今後ますます人材教育に力を貸してほ<br />
しい。<br />
(横山)質問状を書いていただき多謝。これにそって質問していいですか。<br />
今日お渡した資料はあくまで参考資料なので、これについては回答はいりません。<br />
(Ben 副局長)本日同席しているのは、法制、鉱産物、地質、人事、国際協力担当です。<br />
質問状は、各部局でそれぞれ記入したが、局長にも見てもらっているので最終的に DGMV<br />
として出す。ですから個別の質問は、後にこれを見てください。アンケートの回答は今週<br />
中にはできると思います。<br />
たとえば、質問23では、どのような鉱種の金属鉱山が繁栄するかだが、鉛亜鉛・銅と記<br />
入した部局があるが、私は、ボーキサイト、レアアース、チタン(そのほかに鉄(但し2<br />
6万t?と小規模))と考える。従業員などの構成もすべて記入してあります。<br />
(Ben 副局長)逆に日本政府は人材育成でどんな支援ができるか?局長の話だが中国がレ<br />
アアースの大供給国(14 万 t 生産し、4 万 t 輸出。鉱種によっては 97-98%)なのにどうし<br />
てベトナムに興味があるのか?ベトナムに協力をしたいということなのか?ウェブサイ<br />
トで見ると、日本(民間か)はレアアースでカナダ(サスカチワン地域)に投資している<br />
というが、どうか。アメリカはマウンテンクック鉱山を再開したりしている。そういう中<br />
で日本は、カナダ、豪州、ベトナム等に投資しようとしているのか?<br />
(横山)私の考えだが、中国に供給を過度に依存している状態は好ましくないと考え、官<br />
民で多角的な活動をしている。<br />
(横山)現在、日本に期待したい援助は?<br />
(Ben 副局長)日本に協力をお願いする場合にはどのような方法でやればよいのか?<br />
(横山)今回の調査内容は<strong>経済産業省</strong>に報告書として提出するので、その結果で今後どの<br />
ようにするかがきまる。また要望する内容を JICA、日本大使館に出す(ODA)のが一般<br />
的。<br />
(Ben 副局長)レア・アース以外の再度有望鉱種を説明する。まずチタン。最近も鉱床が<br />
発見された。ベトナムでは需要小さく日本では大きい。ボーキサイトは世界で一番の潜在<br />
的埋蔵量(79億 t)があり、今のところ小規模な二つのサイトしかないが、日本(双日:<br />
- 107 -
確かにこう発言。これもあるが実際には、伊藤忠の案件も on the way)との合弁を含め(6<br />
0万トン)、いろいろ進めている。環境に影響を及ぼさないような、持続的発展型の鉱山<br />
にする必要がある。<br />
(Ben 副局長)ベトナムは以前は社会主義各国(ソ連、チェコ、ドイツ、ハンガリー、ポ<br />
ーランドなど)に留学して地質その他を勉強してきた。そういう職員は、この中でも国際<br />
課長もそうだが、もうすぐ定年退職となる。もちろん国内でも鉱山地質大学もあるし、養<br />
成してきているが、多様化してきている。次の世代の養成が重要。<br />
(横山)ベトナムには、鉱石をそのまま輸出しないで加工・処理をして行く政府の方針が<br />
あるようだが、これは緩和されないだろうか?<br />
(Ben 副局長)基本的には鉱石の輸出は奨励しない。税率を高くしている。チタンも鉱石<br />
として輸出するのは今年いっぱい。今後は加工を主体にするのが国策で、例えばボーキサ<br />
イトはアルミナに加工する。双日と化学公社とのプロジェクトはその一例である。<br />
(Ben 副局長)REE は4か所で民間の組織が調査している。ドンパオ(700万トン)、ナ<br />
ムセ、エンフー(1万1千トン)は小さい、他1箇所。ドンパオはライチャウ鉱山会社が<br />
51%の権益、ナムセはハイフーン鉱山会社が権益を持っている。その他シンクエン鉱山<br />
(銅―鉄)がある。<br />
(Ben 副局長)DGMV の前身 GSV 時代80-90年代に、「24C」という名前の科学研<br />
究・地質調査のプログラムがあったが、」地質調査、開発全般の研究段階で終始した。海<br />
外にも行って(ソ連、ポーランド、東ドイツ、フランス)勉強した。<br />
(横山)出席のほかのメンバーからも話があればどうぞ。<br />
(――)JMEC は METI 直轄ですか。<br />
(横山)組織としては直轄ではないけど、今回の調査は METI から直接委託されたもので<br />
す。<br />
(――)日本で REE の技術について、どこがやっていますか?<br />
(横山)REE のメーカー製造業の会社が、ノウハウを持っていて、関係する大学の教授と<br />
も、共同しながら技術を高めているようだ。日本の大学に、REE の学部や学科があるわ<br />
けではないが、材料工学・金属工学の一部で取り上げている。あまりオープンにはなって<br />
いない。一部の技術移転は可能だと思うが、企業としてはすべての技術を出す訳にはいか<br />
ないだろう。<br />
- 108 -
(国際協力課)具体的にどういう要請をすれば、支援が可能か教えてほしい。案はないで<br />
すか?<br />
(横山)ニーズがあれば、これを JICA や大使館へ出していくのが基本。この調査を依頼<br />
してきた<strong>経済産業省</strong>資源エネルギー庁鉱物資源課では、REE の分野に関心を有している<br />
ので、これにかかわる何らかのプロジェクトを構築していくのが良いのではないか。基本<br />
的には日本に来て頂くことになる。JICA の集団研修で対応できるものか、検討する必要<br />
がある。<br />
(国際協力課)具体的に教えてほしい。<br />
(横山)支援してもらいたい内容にもよるが、もっともオーソドックスな手法は、JICA の<br />
「技術協力プロジェクト」で、日本人の専門家派遣やベトナム人のカウンターパートの日<br />
本研修などがあるテーマで数年パッケージでできる(あえて機材供与は触れず)。これに<br />
ついては、今日参加の JICA の Huong さんが詳しいでしょう。また、日越石炭・鉱物政策<br />
対話の場を通じ、<strong>経済産業省</strong>資源エネルギー庁鉱物資源課に要請するのが一番早いと考え<br />
る。<br />
アセアンプラス3を利用して人材育成することも考えられる。JICA の技術協力プロジェク<br />
トで REE を取り上げていく方法もある。<br />
(JICA)JICA では環境プロジェクトを優先している。他の分野は予算が削減されている。<br />
(副局長)質問状の「26-3」日本に対する人材育成の要望は重要。今日出た内容も盛<br />
り込むように事務方調整してほしい。人材育成は大事業である。REE、ボーキサイト開発<br />
は日本企業も参加している。この面での人材の能力向上はひいては、日本企業のためにも<br />
なる。また鉱山開発に当たっては、持続的発展が必要であり、環境保護管理という面でも<br />
日本に期待したい。<br />
(横山)実りある会議を持てて幸い。12/16夕刻6時から日本食レストランに皆さん<br />
をご招待申しあげさらに親交を深めたい。多謝。<br />
- 109 -
3.2.3.2 DGMV アンケートへの回答<br />
地質鉱物総局 DGMV (Department of Geology and Minerals of Vietnam)<br />
この質問票記入責任者の氏名と職名:Dr. Nguyenvan Thuan, Director General<br />
1. あなたの職場(organization)の組織はどうなっていますか?小単位ごとの名称と機能は<br />
いかがですか?<br />
・DGMV は、ベトナム国土の地質鉱物にに関する活動を管理する。<br />
・15 の小機関を有する。5 つのテーマごとの部局、4 つの地方部局、1 国際協力部局、3 セ<br />
ンター(地質に関する分析実験センター、地質情報とアーカイブセンター、地質技術セン<br />
ター)<br />
2. 職場の歴史:かつて職場はどこに属していましたか?<br />
・DGMV はその前身から数えて創立 65 周年(1945-2010)。<br />
・その創立は、ホー・チ・ミン国家主席令により、1945 年に国家経済省に「鉱物と産業局」<br />
が置かれ、そのもとに、General Inspectorate of Minerals and the Service が置かれたのが淵<br />
源で、その後名称・所属省庁の変更はあったが一貫して地質セクターは存在。<br />
・(翻訳省略するが、)直接政府に所属した期間も長かったが、近年では、GSV または DGMV<br />
は、重工業省(後に工業省)に属し、2002 年以降は天然資源環境省 MONRE(Ministry of<br />
Natural Resources and Environment)に所属している。<br />
3. 職場の就業人数は?<br />
・2,452 人(内 499 人は女性)<br />
4-1. 職場における博士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・31 人。地質と鉱物。<br />
4-2. 職場における修士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・74 人。地質、鉱物と経済<br />
4-3. 職場における学士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・876 人。地質、鉱物、建設、経済、ファイナンスとヘルスケア。<br />
5. 職場における年齢構成/分布はどのような傾向と配置になっていますか<br />
・通常の労働人口の分布に同じ。<br />
6. 最近と過去における職員の新規採用はどんな状況ですか?<br />
・統計的記録がない。DGMV に雇用される職員数は仕事の実行上十分である。<br />
7. 職場での定年退職年齢は?<br />
・男性は 60 歳(ただし重労働や毒性地域では 55 歳)<br />
- 110 -
・女性は 55 歳(ただし重労働や毒性地域では 50 歳)<br />
8. 政府に勤務していた人(あなたの職場で)が自発的に早期に退職した後、鉱山関係企業<br />
に就職する例はありますか?<br />
・あるがごく少数。<br />
9. 鉱山関係企業に勤務していた人が自発的に早期に退職した後、政府(あなたの職場に)<br />
に就職する例はありますか?<br />
・あるがごく少数。<br />
10. あなたの職場の予算規模と小項目ごとの配分や構造はどうなっていますか?予算は十<br />
分と言えますか?<br />
・補助される予算は鉱物資源の地質調査に不十分。<br />
11. 職員の技術スキルについてどう評価していますか?<br />
(a)すべての分野で十分<br />
(b) ある分野では十分、しかしある分野では不十分<br />
(c) ある分野で不十分<br />
(d)すべての分野で不十分<br />
・ある分野では十分、しかしある分野では不十分。<br />
11-1. 職員が十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・地質と鉱物分野<br />
11-2. 職員はその能力をどこでどのようにして身につけましたか?現在でもその方法は可<br />
能ですか?<br />
・DGMV の技術職員は、国内ではハノイ鉱山地質大学(HUMG)、ホー・チ・ミン大学や<br />
その他の短期大学(カレッジ)、職業訓練学校で教育を受ける。また海外ではロシア、チ<br />
ェコ、豪州で教育を受ける。<br />
11-3 職員が不十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・職員はあらゆる分野で普通の能力を有する。<br />
11-4. どのような手段で、またどのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれ<br />
ばよいとお考えですか?<br />
・よりシステマティックなトレーニングに DGMV が投資するか<br />
・職員が自主トレーニングによって知識を蓄積するか<br />
・自らトレーニング費用を出す<br />
12. あなたの職場で職員の典型的な教育や職業のバックグラウンドやキャリア(政府に<br />
入・る前/と入った後で)はどうなっていますか?<br />
- 111 -
・DGMV 職員主として地質・鉱物の分野で訓練(いろいろなレベルの教育的、職業的トレ<br />
ーニング)を受ける。<br />
13. 職場の職員に対する人材育成や教育の基本方針はどのようなものですか?<br />
・HRD の基本方針は、基礎的トレーニングを受けたものを採用して、採用後こういう職員<br />
を、その仕事がよりプロフェッショナルに出来るようレベルアップするために、集中的に<br />
訓練する。<br />
14. 職場内と外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースについてお尋ねします。<br />
-どれくらいの頻度で?<br />
-どのようなコースが(内部/外部)?<br />
-何人が参加可能ですか?<br />
・職員の特定分野の知識を向上させる地質、ステート・マネジメント(国土管理?)、コン<br />
ピューターサイエンスのトレーニング・コースは毎年実施される。<br />
14-1. 日々の業務の中でどのような OJT 訓練が実施されていますか?あるいはどのような<br />
仕事が職員の技術能力の向上に良いですか?<br />
・地質や DGMV の仕事に関係する短期の OJT 訓練は、ときどき実施している。<br />
14-2. 職場では、通常業務を離れての海外における訓練コースや教育機会を有しています<br />
か?<br />
・職員を海外でトレーニングする機会を有しています。こうしたトレーニングの予算は、<br />
海外機関、海外企業、海外大学からくるか、またはベトナム政府の配分によるもの。<br />
15. 海外の技術専門家が職場に滞在して(過去の滞在した)、何かを教えたことがあります<br />
か?どの国からでしたか?どれくらいの期間?どのような分野でしたか?<br />
・以前は大勢の技術専門家(主として、東欧からの)がいた。現在では、DGMV で働いた<br />
り、講義をする専門家は誰もいない。<br />
16. 大学や教育機関や研究機関または鉱業企業と鉱山学や地質学の分野で協力関係を構築<br />
していますか?(この質問は国内と海外両方についてお答えください。)<br />
・DGMV では、国内外の大学や研究機関と密接に協力している。<br />
17. 鉱山学・地質学での貴国の大学や教育機関や研究機関について、どのように評価され<br />
ていますか?<br />
・地質・資源分野の大学や研究機関は、地質や鉱物資源分野の教育と研究に、多大の貢献<br />
をしています。<br />
18. もしこの分野での大学、教育機関、研究機関が貴国にない場合には、そのようなコー<br />
ス(鉱山学や地質学)を設けることについての意見や希望をお聞かせください。<br />
- 112 -
あなたはそのようなことは必要とお考えですか?<br />
・トレーニング・コースは、基礎的に、システマティックに、安定的に実施されるべきで<br />
しょう。こういうためには、大学は大変に重要です。トレーニングは、コースそれ自体に<br />
限定せず、集中的にシステマティックにするべきでしょう。<br />
19. 鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
・鉱物活動のキャパシティを強化する HRD のために、トレーニング・コース実施のため<br />
に投資がなされるべきであることは、極めて重要(本質的)なことでしょう。<br />
20. 同じ質問ですが、特に日本に期待したいことについて<br />
・日本政府が、DGMV はとりわけ、ほかの組織機関は一般的にだが、調査(investigation)、<br />
アセスメント、探査、マイニング(採鉱)、鉱物活動の管理についての技術職員の能力を<br />
強化するトレーニングを支援することを強く要望する。<br />
<strong>21</strong>. 貴国の鉱業活動についての評価<br />
-経済的に<br />
-地域的に<br />
-輸出の観点から<br />
・一般的に、ベトナムの鉱業活動は、経済的に、地域的に、輸出の面からみて、ふつうの<br />
水準である。<br />
22. 鉱業関係産業について開発の目標がありますか?<br />
・国の鉱物資源は、効果的に、比例的に(つり合って)開発されなければならない。また<br />
その活動は、サステイナブル・デベロップメントに関連して実施されなければならない。<br />
23. 金属鉱山では貴国では将来どのような鉱種が繁栄するとお考えですか?ベスト3を上<br />
げてください。<br />
・チタニウム-ジルコン<br />
・ボーキサイト<br />
・レアアース<br />
24. 鉱業法や鉱業に関係する政府規則で何か欠点や、改善や改訂を要する事項をご存じで<br />
はありませんか?<br />
・いくつか存在。鉱物法と関係下部規定の欠点については、改訂作業中。<br />
24-2. こうした事項について、何か改善が進行しているということはご存じありません<br />
か?<br />
・遺憾ですが不明です。数多くの機関や省庁部局が関係しています。<br />
25-1. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 113 -
- 探鉱や採鉱の権利を持たないで実施される小規模の鉱業活動<br />
・小規模採掘や家業的採掘は、鉱業への外国投資に影響があると思います。<br />
25-2. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 環境問題を起こさないための対策の強化<br />
・環境問題を起こさないための対策の強化は、鉱業への外国投資に影響あると思いません。<br />
25-3. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか? (ベトナム/<br />
カンボジアにつき)<br />
鉱石の原則輸出禁止:この原則は継続されますか?どのような場合において例外措置が<br />
ありますか?<br />
・各国は鉱物商品の輸出について独自の戦略と規制を有している。このため原鉱石の輸出<br />
禁止が、鉱業への外国投資に影響があるとは思いません。<br />
25-4. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?- (ラオスに<br />
つき)<br />
MEPA (Mineral Exploration and Production Agreement)は秘密事項と理解していますが、こ<br />
の MEPA を鉱業法体系に規定して公開とすることは出来ませんか?<br />
・ベトナムでは、MEPA は関心あるすべての人に公開すべきものと思います。<br />
26-1. 鉱業活動促進のための政策や改善措置<br />
-もし貴国の鉱業活動の促進するような措置やアイディアを思いつかれましたら、そのベス<br />
ト3を教えてください。<br />
・私の考えでは、鉱業活動は、促進しない方がよいと思います。われわれはサステイナブ<br />
ルな開発を考えるべきです。<br />
26-2. 鉱業活動の促進のために外国に期待したい援助について<br />
・ベトナムは鉱業活動促進のために下記に掲げる項目について外国から支援を必要として<br />
いる。<br />
・マネジメント能力(managerial capability)増大のための支援<br />
・関係法制の組織化のための支援<br />
・環境保護のための支援<br />
26-3.同じ質問です、特に日本に期待したい援助について<br />
・ベトナムは下記に掲げる項目について日本政府からの支援を要請したい。<br />
・地質と鉱物資源分野の人材育成<br />
・マイニング技術の移転、とりわけレアアースの精製(processing)技術<br />
・鉱山地域の環境汚染の管理・コントロール支援<br />
27.レアアース資源についてお尋ねします。<br />
- 114 -
27-1. 貴国のレアアースの資源ポテンシャルについてどう認識していますか?<br />
・ベトナムはレアアースに関して大きなポテンシャルを有している。しかしながら、分布<br />
特性?(distribution characteristic)や、利用分野についての研究者はまだ不足している。<br />
27-2. 自らがレアアースを探鉱した経験はありますか?<br />
・ベトナムは、レアアースに大きなポテンシャルを有しているにもかかわらず、探査の経<br />
験は期待していたほどには高まっていない。<br />
27-3. レアアースの探鉱技術についてどのように自己評価しますか?<br />
・レアアース探査の経験は多くないにもかかわらず、マスタープランに連動して、このタ<br />
イプの鉱物の探査は実施されてきた。<br />
27-4. 貴国でのレアアースの開発状況はいかがですか?<br />
・ベトナムではまだレアアース鉱山がないので答えられない。<br />
27-5. レアアースのマイニング技術についてどのように自己評価しますか?<br />
・レアアース精製(processing)の技術移転を外国から必要としている。<br />
27-6. 重希土(Y, Ho, Tm, Yb, Lu, Sc)・中希土(Sm, Eu, Gd, Tb, Dy)・軽希土(La, Pr, Nd)・<br />
の中でどの鉱種に関心が高いですか?<br />
・ベトナムは、3 つのすべてのタイプに興味を持っている。<br />
27-7. レアアースの分離・精製技術(separation/ refining)についてどのように自己評価し<br />
ますか?また技術移転の希望がありますか?<br />
・われわれは、レアアースの分離・精製にほとんど経験がない。このためこの分野の技術<br />
移転を希望する。<br />
27-8. 副産物の放射性鉱物(モナザイト:トリウムを含む)の取り扱いについて、法規制<br />
はどうなっていますか?<br />
・ベトナムでは、副産物で出てくる放射性鉱物について、厳格な規制がある。<br />
27-9. レアアース開発について、外国に期待することは?<br />
・処理(processing)技術の移転<br />
27-10 レアアース開発について、特に日本に期待することは?<br />
・日本はレアアースの処理(processing)技術にたいへん強い国。このためレアアースの精<br />
製と効果的利用についての技術移転に対して、日本からの支援を強く必要とする。<br />
- 115 -
3.2.4 建設省 MOC<br />
建設省は石灰岩の採石場を操業しているセメント会社を監督する。<br />
3.2.5 計画投資省 MPI<br />
計画投資省は、海外投資に関わるすべての問題に対する権限がある。MPI は、海外投資<br />
活動を管理する法律を作成し、海外投資問題に関して、国家機関や地方自治体を指導し、<br />
投資免許を発行し、海外投資の活動を点検・監察し、問題があれば指示してすべての問題<br />
を調整する。<br />
3.2.6 地方省(人民委員会:第Ⅲ-4 図)<br />
地方における国家機関をみると、議会の役割を担う人民評議会、行政機関である人民委<br />
員会、司法機関である人民裁判所と人民検察院が設置されている。人民評議会議員は地方<br />
選挙によって選出される。人民委員会は、地方における国家行政機関および人民評議会の<br />
執行機関として位置づけられており、人民評議会によって選出され、主席、副主席、委員<br />
から構成される。省-県-社の 3 レベル(第Ⅲ-4 図)においてそれぞれ人民評議会、人民<br />
委員会および司法が設置されている。つまり地方省も国家機関であり、規模は違うが組織<br />
形態は中央と酷似している。人民委員会の下には中央と同様に多くの局が存在する(第<br />
Ⅲ-11 図)。ただ、局の職員は地方で採用された地方公務員であることが中央と大きく異な<br />
る。地方省で鉱業に直接関係する局は DONRE( Department of Natural Resources and<br />
Environment)であり多くの省では数十名で構成されている。彼らは人民委員会の下で採掘<br />
許可などの鉱業権の発行、環境に関しては環境影響評価の検査・査定、環境保護に対する<br />
違反の取締りなどを行っている。ちなみに Thai Nguyen 省の DONRE は 52 名、Lai Chau 省<br />
と Lao Cai 省は各 40 名で構成されており、一般に 7 つの課からなる。<br />
- 116 -
3.3 その他の公的機関<br />
上述したように鉱業に携わる国有企業として、ベトナム国営石炭・鉱物産業グループ会<br />
社 (Vietnam Coal-Minerals Industry Group)、またその金属部門会社としてのベトナム国営鉱<br />
物鉱山公社(VINACOMIN 鉱物ホールディング会社)(VINACOMIN- Minerals Holding<br />
Corporation:略称 VIMICO)、ベトナム化学公社(Vietnam Chemicals Corporation)、ベトナム<br />
鋼鉄公社(Vietnam Steel Corporation)がある。また、MITRACO Ha Tinh(Ha Tinh 省の鉱物・<br />
貿易会社)も国有企業であり、鉄鉱山を経営している。<br />
3.3.1 ベ ト ナ ム 国 営 石 炭 ・ 鉱 物 産 業 グ ル ー プ 会 社 (Vietnam National Coal-Minerals<br />
Industries Group:略称 VINACOMIN:第Ⅲ-5 図)<br />
VINACOMIN は 2006 年 1 月に石炭公社(VINACOAL)と鉱物公社(VIMICO)が合併して設<br />
立されたベトナム最大の鉱山関連グループである。石炭産業が事業の主体であるが、金属<br />
資源ではボーキサイトを優先しており、そのほかに銅、鉛・亜鉛、錫なども事業対象とし<br />
ている。鉱山運営の他、発電、トラック組立、製錬なども手掛けており、従業員は約 10<br />
万人、グループ会社は 70 数社に及ぶ。2005 年の売上は約 14 億 US$でそのうち石炭が売り<br />
上げの 66%を占める。VINACOMIN の 2006 年の年間無煙炭生産量見込みは約 3,700 万 t に<br />
達し、そのうち 300 万 t 強を日本へ輸出している(住友商事が代理店)。これは、日本の無<br />
煙炭年間輸入量の約半分を占める。金属資源では 2006 年 4 月に AWAC (Alcoa World Alumina<br />
and Chemicals)と Dak Nong 省 Gia Nghia でのボーキサイトの採掘(100~150 万 t/年)とア<br />
ルミナ精錬所の建設・操業に関する F/S の覚書を締結した。権益は、VINACOMIN 51%、<br />
AWAC 49%となっている。また、世界第 2 位のアルミナ生産者である中国 Aluminum Corp.<br />
社は 2006 年 12 月、VINACOMIN と共同で Dak Nong 省におけるボーキサイト資源の開発<br />
に 13 億 US$を投じることを明らかにした。2007 年 8 月までに F/S を行い、2007 年末まで<br />
に建設に着手したいとしている。本投資には鉱山から港湾までの資材運搬用鉄道の建設も<br />
含まれている。本計画はその後地元問題等で着手が遅れているようである。VINACOMIN<br />
は、Lam Dong 省 Tan Rai(ホーチミン市の北東 300km)でボーキサイト鉱山・アルミナ工場(生<br />
産能力 60 万 t/年)の開発を進めている。アルミナの生産開始は 2009 年第 4 四半期を目指し、<br />
Tan Rai 鉱山のボーキサイト生産量は、170~180 万 t/年が計画されている。<br />
- 117 -
3.3.2 ベトナム国営鉱物鉱山公社(VINACOMIN 鉱物ホールディング会社)(VINACOMIN-<br />
Minerals Holding Corporation:略称 VIMICO)第Ⅲ-6 図)<br />
ベトナム商工省所管の鉱業機関で 1995 年 10 月、ベトナムレアアース公社(Vietnam Rare<br />
and Precious Minerals Corporation)と鉱物開発公社(Minerals Development Corporation)とが統<br />
合され、2003 年 2 月、ベトナム貴石金公社(Vietnam Gem and Gold Corporation)を吸収し現<br />
在に至る。現在 VINACOMIN に属し、従業員は約 6438 人である。天然ガス・石油・石炭<br />
を除く探鉱と、非鉄金属資源の選鉱、製錬事業、非鉄金属製品の輸出入、鉱山開発と建設、<br />
コンサルテーション、国際協力などの事業を行っている。現在、同社は Thai Nguyen 亜鉛<br />
製錬所、Sin Quyen 銅鉱山(2006 年 4 月精鉱生産開始)、銅製錬所建設(2008 年生産開始)、<br />
Lam Dong Alumina 精錬所などのプロジェクトを実施中である。また、豊田通商㈱双日㈱と<br />
の合弁事業で Dong Pao レアアース鉱床の開発を目指して採掘権の申請を行っている。<br />
職場における博士号の保持者は無しで、修士号の保持者は、9 名で鉱石処理(選鉱:<br />
dressing)、経営、経済分野、学士号の保持者は 936 人である。<br />
3.3.2.1 VIMICO 今回出張時面談内容<br />
12/15 10:00~12:00 VIMICO<br />
出席者:副総裁 Mr. Nguyen Minh Duong<br />
国際協力課 Mr. Ngo Manh Hung<br />
Mr. Quang<br />
人材課長 Mr. フエン<br />
当方:横山、田島、JICA Ms. Luong Quynh Huong プログラム・オフィサー<br />
DGMV:Mrs. Huyen<br />
(横山)JMEC の紹介、JMEC と JOGMEC の関係、今回の調査の趣旨を説明。DGMV での<br />
議事録参照。<br />
(副総裁)前もって貰ったアンケートについて現在答えられる範囲でお答えします。最終<br />
的にはアンケートに記載して後ほどお渡しします。<br />
質問 1,2,3,4,5<br />
VIMICO の歴史については 1995 年 10 月にベトナムレアアース公社と鉱物開発公社が統合<br />
され、その後 2003 年にベトナム貴石金公社と合併。2005 年の終わりに VINACOMIN に吸<br />
収された。従業員は 2009 年 9 月で約 6,440 人。6 つのホールディング会社からなり、地方<br />
にあり、ひとつはラオカイ省、タイグエン省、ダクノン省、他の省にもある。有限会社が<br />
一つあり、それは国営である。その下に 13 の株式会社があり、10 の連結会社を有してい<br />
る。VINACOMIN 全体では従業員は約 12 万人で石炭関係が多い。VINICO は 30 歳以下が<br />
1,971 人、45 歳までが 3,238 人、55 歳までが 1,242 人、55 歳以上が 87 人。博士号はいない。<br />
修士が 9 名、学士が 936 名。修士は採掘、処理、経済関係。<br />
質問 6,7<br />
1年に若手を約 40 名採用している。主に技術者で、管理者は2年間で 12 名採用。ただし<br />
地方の職人(多分鉱山労働者?)は別に採用している。定年は法律で決められており、男<br />
性が 60 歳、女性が 55 歳。ただ坑内労働者はそれより5年早くなる(日本と同様)。定年後<br />
- 118 -
は補充している。<br />
質問 8,9<br />
原則いないけど、鉄のベテラン専門職が政府の方と一緒に働くことはある。鉄の生産の専<br />
門家。<br />
質問 10<br />
政府からの援助はない(独立採算制?)。売り上げ比率は、銅、亜鉛、錫、金など(以前の<br />
アサン強で聞いた時は 2005 年の売り上げは 4,000 万 US$で赤字とのことだった)。<br />
(現在はシンクエン鉱山から年 1 万トンの銅を生産、亜鉛もタイグエンで 1 万トン生産し<br />
ているので売り上げはもっと大きいはず)<br />
質問 11<br />
人材のスキルは大体は足りていると思うが、遠くの地方省では不足気味である。有色金属<br />
分野では問題ないし、管理・経営でも人材は問題ないと考えている。<br />
ほとんどはベトナムの大学で技術を身につけており、必要ならば再度大学で勉強すること<br />
もある。<br />
スキルが足りないとすれば新しい技術(何を指すか不明?)と語学力(英語力と推定)。<br />
そのためには外部(海外のこと?)での勉強と熟練者が指導するのがいいと思う。<br />
質問 12<br />
優秀な大学生を採用している。外国で教育を受けた人材を採用することもある。海外に送<br />
る場合はマスターの人で、オーストラリアで実習させたことはあり、日本では JICA の環<br />
境分野のプロジェクトに参加したことはある。熟練者を途中採用することもある。VIMICO<br />
独自の予算で外部教育を受けさせたこともあり、中国に送ったことはある。その場合、10<br />
年間は VIMICO で働くことが条件になる。<br />
質問 13<br />
基本的には大学生を採用し、地方では若い人を(高卒?)採用して教育する(私見:地方<br />
には大学が少ないので当然そうなる?)。<br />
質問 14<br />
VINACOMIN が人材育成を行っているので基本的にはそれに参加させることになる。管理<br />
者のスキルアップには大学など専門技術者を招聘して教育してもらう場合がある。教育の<br />
期間は数日から数週間で、分野別に毎月行っている。<br />
質問 15<br />
現在はいない<br />
質問 16<br />
技術の交流は国内外ともにある。海外では中国の大学で勉強させたりしている(銅、亜鉛<br />
の製錬所は中国の技術で導入されたので中国とのつながりは強いと考えられる)。<br />
質問 17<br />
国内ではハノイ鉱山地質大学、VINACOMIN の科学鉱山局がある。MONRE にも鉱山開発<br />
局がある。このような研究機関はかなり前からあるので貢献しているといえる。<br />
質問 18,19,20<br />
実際に教育を受けている人がいる。民間とオーストラリア政府から招へいされたことがあ<br />
る。私の場合はインドで教育を受けたことがある。日本でも教育の機会を作っていただけ<br />
- 119 -
ればいいのだが。例えば外国語の習得、鉱業開発、探査、採掘の指導を期待したい。日本<br />
の研修についてはよく判らないので教えてほしい。JICA の集団研修があり持続的鉱業開発<br />
コースがある。鉱山の現場が少ないので日本の得意分野は製錬などの処理が中心になる。<br />
質問 <strong>21</strong><br />
鉱業はもちろん経済的に役立ち、石油、VINACOMIN(石炭)はベトナム経済に大きな役<br />
割を果たしている。ただ、資源は地方にあるので、交通などの問題で開発は大変である。<br />
質問 22、23<br />
各鉱山についての目標は埋蔵量が大きなものは鉱石を輸出しないで、新しい技術で国内処<br />
理する。そのためには海外からの技術を導入する。タイグエン?のボーキサイト、ハーテ<br />
ィンの鉄、ラオカイの銅。鉱石は原則としては輸出させない方向にあり、製錬した銅や亜<br />
鉛は問題ない。亜鉛の 99%は韓国に輸出している。<br />
質問 24<br />
鉱物法は 1996 年に制定、2005 年に改正され、法律的にはまだ不十分なところはある。<br />
質問 25<br />
小規模鉱業は外国投資でもできる。鉱業には環境問題は起こっている(外国投資との関係<br />
は不明?)。どのようなプロジェクトも環境問題は考慮している。<br />
質問 26<br />
個人的な意見としてお互い競争することにより鉱業が発展、改善すると考える。外国の新<br />
しい技術の援助・導入が必要。日本の最新の技術の情報がないので逆に教えていただけれ<br />
ばありがたい。先ほど申したように、日本では製錬技術が優れているので、レア・アース<br />
の純度、金属の純度を高めるなどで援助できると思います。(もっと具体的な技術を知りた<br />
い様子)<br />
質問 27<br />
レアアースは沢山あり、Lai Chau 省の Dong Pao、Nam Xe、Lao Cai 省の MungHum、Yen Bai<br />
省には Yen Phu がある。調査は色々しているが開発段階はドンパオ Dong Pao(軽希土類)<br />
だけである。探鉱技術は持っていると思うし、開発にはいい時期だと考えている。ただ、<br />
生産技術はまだ十分でないので色々な技術を導入すべきである。特に分離・製錬技術はな<br />
いので技術の導入を希望する。副産物とか放射性鉱物の取り扱いの規則はある(1996 年の<br />
安全管理法)。インターネットで閲覧できる。現在、日本からでは双日と豊田通商と協力し<br />
て研究している。<br />
後になりましたが、METI 作成の人材育成のロードマップ、鉱山開発に関する技術、社会<br />
的要素の全体マトリックスをおいて置きますので、鉱山を開発する場合の参考にしてくだ<br />
さい。<br />
3.3.2.2 VIMICO アンケートへの回答<br />
金属鉱物公社 VIMICO(VINACOMIN-Minerals Holding Corporation)<br />
この質問票記入責任者の氏名と職名:Mr. Nguyen Minh Duong, Deputy Director General/ Mr.<br />
Ngo Manh Hung, Director of International Relation Department<br />
- 120 -
1. あなたの職場(organization)の組織はどうなっていますか?小単位ごとの名称と機能は<br />
いかがですか?<br />
(構造)<br />
・ホールディング・カンパニーとしての VIMICO には、下記が含まれる。VIMICO 本社、<br />
Sin Quyen 銅鉱山選鉱会社、Lao Cai 銅製錬会社、19.5 メカニカル・エンジニアリング・プ<br />
ラント、VINACOMIN ミネラルズ Lao Cai 省支社、VINACOMIN ミネラルズ Dak Lak 省支<br />
社<br />
・100%政府保有会社(独立会計)の Thai Nguyen 非鉄金属 Sole Member State Company<br />
・VIMICO が 51%以上株式保有会社(独立会計)は、下記 13 単位。Nghe Tinh Metal Joint Stock<br />
Company, Metal Development Joint Stock Company N 0 4, Metal Joint Stock Company N 0 3, Cao<br />
Bang Mineral and Smelting Joint Stock Company, Cao Bang Cast Iron and Steel Joint Stock<br />
Company, Bang Giang- Cao Bang Tourist and Trade Joint Stock Company, Lao Cai Cast Iron and<br />
Steel Investment Joint Stock Company, Lao Cai Gold J.S Company, Lai Chau-Vimico Rare-earth<br />
J.S. Company, Mining and Geological Materials J.S Company, Lien Viet Transportation and<br />
Trading J.S. Company, Vinacomin-Mineral Real Estate J.S Company, Tuyen Quang Non-ferrous<br />
Metal J.S Company<br />
・このほか関係企業が 10 社ある。<br />
(機能と規模)<br />
・VIMICO は、執行役員会、取締役会、プロフェッショナルな各部局が共同して、すべて<br />
の部門を計画し指示し VINACOMIN に結果報告するために、技術、企画、雇用と給与、人<br />
事とトレーニング、財務、投資と開発などすべてにわたって管理運営する管理運営体であ<br />
る。<br />
・直接生産、採鉱、処理、サービス部門がある。<br />
・生産部門は、Nghe Tinh Non-ferrous Metal J.S. Company, Mineral Development JS Company<br />
N 0 4, Mineral JS Company N 0 3, Cao Bang Mineral and Smelting JS Company, Tuyen Quang<br />
Non-ferrous Metal JS Company, Thai Nguyen Non-ferrous Metal Sole Member State Company<br />
Ltd., Sin Quyen Copper Mining and Dressing Company, Lao Cai Copper Smelting Company, 19.5<br />
Mechanical Engineering Plant, Mining and Geological Materials J.S Company.<br />
・ベーシック投資と資本財建設部門は、Cao Bang Cast iron and Steel J.S. Company, Lao Cai<br />
Cast Iron and Steel Investment J.S. Company, Lai Chau - Vimico Rare earth J.S Company.<br />
・サービス供給部門は、Bang Giang-Cao Bang Tourist and Trading J.S. Company, Lien Viet<br />
Transportation and Trading J.S. Company, VINACOMIN- Mineral Real Estate J.S. Company.<br />
・VIMICO の子会社は、ベトナム北西部、中部、ハノイ、Lao Cai、Cao Bang 等北部国境地<br />
帯に分布している。<br />
2. 職場の歴史:かつて職場はどこに属していましたか?<br />
・VINACOMIN-Minerals Holding Corporation (VIMICO)(その前身はベトナム国営鉱物会社<br />
(Vietnam National Minerals Corporation))は国営企業体ですが、1995 年 10 月 27 日に重工<br />
業省(当時の:現在は商工省)N0. 1118/QD/TCCBDT 決定により、それまでのベトナムレ<br />
ア・貴鉱物公社(Vietnam Rare and Precious Minerals Corporation)と鉱物開発公社(Minerals<br />
- 1<strong>21</strong> -
Development Corporation)が合併して発足した。2003 年 2 月 18 日に、商工省の決定により、<br />
ベトナム金貴石公社(Vietnam Gold and Gemstone Corporation)を統合した。2005 年 12 月<br />
26 日の首相決定 N0.345/2005/QD-TT-g に沿って、Vietnam Coal - Minerals Industries Group<br />
(VINACOMIN)が設立され、ベトナム国営鉱物会社は、VINACOMIN- Minerals Holding<br />
Corporation(VINACOMIN 金属ホールディング会社)という、VINACOMIN グループの子<br />
会社となった。<br />
・2006 年 11 月 18 日に、VINACOMIN の取締役会決定 N 0 : 2449/QD-HDQT により、ベトナ<br />
ム国営鉱物会社は、VINACOMIN- Minerals Holding Corporation となった。<br />
・2006 年 4 月 27 日の決定 N 0 : 12/2006/QD-BCN に基づき、ベトナム国営鉱物会社は、親会<br />
社-子会社モデルによって運営する変更をした。VIMICO の管理を再編して親会社が創設<br />
された。VIMICO の従属ユニットとしては、Sin Quyen Mining and Dressing Company, Tang<br />
Loong Copper Smelting Company。親会社は政府保有会社で、法人格・独自の商標やロゴと<br />
組織・運営綱領を有しており、法に基づき国営銀行その他銀行に口座を開設出来、独立し<br />
て貿易が出来、ベトナム国営鉱物会社の権利と責任を引き継ぐ。親会社は VINACOMIN の<br />
構造のもとにある。<br />
3. 職場の就業人数は?<br />
・6438 人(2009 年 9 月現在)<br />
4-1. 職場における博士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・無し<br />
4-2. 職場における修士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・9 名。鉱石処理(選鉱:dressing)、経営、経済。<br />
4-3. 職場における学士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・936 人。<br />
5. 職場における年齢構成/分布はどのような傾向と配置になっていますか<br />
(人数分布)<br />
・31 歳未満 1971 人<br />
・31-45 歳 3138 人<br />
・46-55 歳 1242 人<br />
・55 歳超 87 人<br />
(傾向)<br />
・VIMICO は現在熟年労働者数の減少と、若年労働者数の増加の傾向に沿って、仕事と労<br />
働力の配分と、再構成を実施中である。<br />
6. 最近と過去における職員の新規採用はどんな状況ですか?<br />
- 122 -
・近年 VIMICO は人材開発 HRD に注力しており、従業員、ことに若い人の採用について、<br />
多くのブレークスルーをしてきています(下記人数は一年あたり)。<br />
・本部部局や、役員レベルでは、12 人<br />
・子会社レベルでは、39 人<br />
7. 職場での定年退職年齢は?<br />
・本部部局では、労働法に基づき、男性 60 歳、女性 55 歳。<br />
・子会社でも、労働法に基づき、男性 60 歳、女性 55 歳。ただし従業員は、その仕事の性<br />
格(一般に、健康に悪い要素や重労働の直接労働)から、通常早期退職を提案する。<br />
8. 政府に勤務していた人(あなたの職場で)が自発的に早期に退職した後、鉱山関係企業<br />
に就職する例はありますか?<br />
・大変少ない人数。<br />
・退職後や、会社の再編・合理化で、いくらかの従業員(プロフェッショナル・スキルを<br />
持つ)は、ほかの会社(主として私企業)で働く。<br />
9. 鉱山関係企業に勤務していた人が自発的に早期に退職した後、政府(あなたの職場に)<br />
に就職する例はありますか?<br />
・大変少ない人数で、通常ある分野の「エキスパート」や「アドバイザー」として働く。<br />
10. あなたの職場の予算規模と小項目ごとの配分や構造はどうなっていますか?予算は十<br />
分と言えますか?<br />
・答え無し<br />
11. 職員の技術スキルについてどう評価していますか?<br />
(a)すべての分野で十分<br />
(b) ある分野では十分、しかしある分野では不十分<br />
(c) ある分野で不十分<br />
(d)すべての分野で不十分<br />
・ある分野ではスキル・テクニシャンの数は十分だが、別の分野では不十分である。<br />
11-1. 職員が十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・技術分野(ただしすべての分野ではない)と財務管理<br />
11-2. 職員はその能力をどこでどのようにして身につけましたか?現在でもその方法は可<br />
能ですか?<br />
・VIMICO 職員は技術能力(スキル)を、大学(基礎知識)で学び、会社の職場やトレー<br />
ニング・コースで訓練される。<br />
11-3 職員が不十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
- 123 -
・マイニングや鉱物処理(mineral processing)の新技術へのアクセスや、外国語の問題<br />
11-4. どのような手段で、またどのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれ<br />
ばよいとお考えですか?<br />
・我々はより、新規採用者個人、処遇政策、トレーニング・プロセス、プロフェッショナ<br />
ルによるトレーニングの質(知識と学習容量)について注意を払うべきだろう。<br />
12. あなたの職場で職員の典型的な教育や職業のバックグラウンドやキャリア(政府に入<br />
る前/と入った後で)はどうなっていますか?<br />
・従業員には、以下の二つの典型的な教育と職業的バックグラウンドがある(VIMICO 入<br />
社以前と採用後につき)<br />
・大学の訓練ソースから(学生が卒業後、VIMICO は彼らの専門によって採用し、VIMICO<br />
の開発オリエンテーション実施);VIMICO で働いている間に、トレーニング・コースに送<br />
られる。トレーニングは二つの方向がある。すなわち子会社におけるオン・ザ・ジョブ訓<br />
練 OJT と、海外(VINACOMIN と協力している国や先進鉱業技術を有する国)におけるオ<br />
フ・ザ・ジョブ訓練 OFJ である。<br />
・子会社で OJT 訓練を受けた沢山の従業員が、VIMICO の本社事務所で働く。このほかに<br />
少数の人が他の機関から VIMICO にリクルートされる。<br />
13. 職場の職員に対する人材育成や教育の基本方針はどのようなものですか?<br />
・主として山岳地帯での操業が多いという VIMICO の特殊なオペレーションによって、わ<br />
れわれの方針とメカニズムは、地域の労働者を採用することに特定のプライオリティがあ<br />
る。<br />
・VIMICO は、能力があり、技術スキルを持った若い従業員を優先していくことにより、<br />
職員の若返りに注力している。若い従業員はベトナムあるいは海外でトレーニングされる。<br />
14. 職場内と外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースについてお尋ねします。<br />
-どれくらいの頻度で?<br />
-どのようなコースが(内部/外部)?<br />
-何人が参加可能ですか?<br />
・VINACOMIN は、人材育成のためのトレーニング・センターを有している。職業訓練や<br />
産業開発のためのトレーニング以外に、スペシャリスト・トレーニング(多くの専門分野、<br />
学問が含まれる)も提供される。<br />
・人材開発の実際のトレーニングには、以下が含まれる。人材戦略と人材計画、ジョブ分<br />
析とジョブ・ディスクリプション、採用計画と人材配置、労務政策・給与・社会保健・健<br />
康保険などのコース、労使関係の紛争処理と雇用契約。<br />
・特定のトレーニング・コースへの参加人数は、それぞれのコースによって決まる。通常<br />
仕事に直接あるいは関連している者が受ける(VIMICO のサイズでは平均一つのコースは<br />
40-60 人)。<br />
- 124 -
14-1. 日々の業務の中でどのような OJT 訓練が実施されていますか?あるいはどのような<br />
仕事が職員の技術能力の向上に良いですか?<br />
・いくつかの OJT 訓練が日常の仕事の中で実施されているが、たとえば:鉱山地域、工場<br />
や子会社での同様の仕事におけるプラクティカルな仕事。<br />
・プロフェッショナルな質を向上させるベスト・ワークには以下がある。;練習、OJT、ス<br />
タディ・ツワー<br />
14-2. 職場では、通常業務を離れての海外における訓練コースや教育機会を有しています<br />
か?<br />
・職場を離れてのトレーニングは、それぞれのユニットの専門性のある操業により、それ<br />
ほど多くない。また人材の海外研修の機会は可能ではあるが、語学力の不足と年齢により<br />
通常限定される。<br />
15. 海外の技術専門家が職場に滞在して(過去の滞在した)、何かを教えたことがあります<br />
か?どの国からでしたか?どれくらいの期間?どのような分野でしたか?<br />
・現時点ではありません。<br />
16. 大学や教育機関や研究機関または鉱業企業と鉱山学や地質学の分野で協力関係を構築<br />
していますか?(この質問は国内と海外両方についてお答えください。)<br />
・いくつかの大学とトレーニングやトレーニーの受け入れで協力している。それらは、ハ<br />
ノイ工科大学、(ハノイ)鉱山地質大学、昆明ポリテクニック・スクール(中国)へのトレ<br />
ーニング派遣。<br />
17. 鉱山学・地質学での貴国の大学や教育機関や研究機関について、どのように評価され<br />
ていますか?<br />
・(ハノイ)鉱山地質大学やいくつかの鉱物に関する研究機関例えば、鉱山冶金科学技術研<br />
究所(商工省)、鉱山科学技術研究所(VINACOMIN)、地質鉱物研究所(天然資源環境省)<br />
は、古くから設置されている学校と研究所だが、地質・マイニング(採鉱)・鉱石処理の発<br />
展に多大の貢献をしてきている。<br />
18. もしこの分野での大学、教育機関、研究機関が貴国にない場合には、そのようなコー<br />
ス(鉱山学や地質学)を設けることについての意見や希望をお聞かせください。<br />
あなたはそのようなことは必要とお考えですか?<br />
・ベトナムには、鉱物産業において、沢山の職業訓練学校や研究所があるが、依然として、<br />
ベトナム人のエキスパートの知識を強化するコースを提供してくれる外国の学校や研究所<br />
が必要である。<br />
19. 鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
・我々はいつも外国の組織が、ベトナムの鉱物活動(mineral activities)の分野で人材育成<br />
トレーニングをすることにより、我々を支援することを期待している。<br />
- 125 -
20. 同じ質問ですが、特に日本に期待したいことについて<br />
・我々は、ベトナムのような国が鉱物分野(採鉱、鉱物品位向上(mineral enrichment)、金<br />
属製錬)の人材開発をしていくために、日本の人材トレーニング政策をより理解したいと<br />
願っている。<br />
<strong>21</strong>. 貴国の鉱業活動についての評価<br />
-経済的に<br />
-地域的に<br />
-輸出の観点から<br />
・経済的に:鉱業活動はベトナム経済開発に明らかに貢献している。<br />
・地域的に:主として鉱物資源は、インフラが未発達な山岳地帯に集中している。<br />
・輸出面で:採鉱して処理されれば、多くのプロダクツは輸出可能。<br />
22. 鉱業関係産業について開発の目標がありますか?<br />
・ベトナムでは、それぞれの地域にとって、鉱物探査、採鉱、鉱物処理の長期計画をもた<br />
らすために鉱物開発のマスタープランを作成する。<br />
・大きな埋蔵量を持つ鉱物については、我々は原料のままの(raw materials)の輸出を限定<br />
し、結局はストップする。<br />
・マイニングと鉱物処理産業の分野で先進技術(技術移転)への投資<br />
23. 金属鉱山では貴国では将来どのような金属鉱山が繁栄するとお考えですか?ベスト3<br />
を上げてください。<br />
・Tay Nguyen ボーキサイト鉱山地帯<br />
・Thach Khe 鉄鉱山, Ha Tinh 省<br />
・Lao Cai 銅鉱山地帯<br />
24. 鉱業法や鉱業に関係する政府規則で何か欠点や、改善や改訂を要する事項をご存じで<br />
はありませんか?<br />
・ベトナムには鉱物法があり、鉱山法はない。鉱物法は 1996 年に制定された。実施されて<br />
いく中で、最初に 2005 年 10 月 1 日に当初の改正がなされた。我々はこの修正を継続して<br />
いる。一般に法には、より完全にするために改正すべきいくつかの欠陥はある。<br />
24-2. こうした事項について、何か改善が進行しているということはご存じありません<br />
か?<br />
・現在天然資源環境省はベトナムの国会に提出するために、それぞれの関係当局者の意見<br />
を集めている。<br />
25-1. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 探鉱や採鉱の権利を持たないで実施される小規模の鉱業活動<br />
- 126 -
・ベトナム鉱物法では鉱業の外国投資 FDI を妨げていない。<br />
25-2. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 環境問題を起こさないための対策の強化<br />
・鉱業において、環境保護の強化は必要である。<br />
25-3. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか? (ベトナム/<br />
カンボジアにつき)<br />
鉱石の原則輸出禁止:この原則は継続されますか?どのような場合において例外措置が<br />
ありますか?<br />
・原鉱石での輸出禁止措置は必要である。なぜなら鉱物資源は限られており、再生産不可<br />
能だからである。<br />
・埋蔵量が小さい鉱物や、インテンシブ・プロセシングが効果的でない場合、鉱石の輸出<br />
が例外的に可能となると我々は考える。しかしながら、輸出前には、その価値を高める予<br />
備的処理(濃縮)(preliminary processed: enriched)をしないといけない。<br />
25-4. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?- (ラオスに<br />
つき)<br />
MEPA (Mineral Exploration and Production Agreement)は秘密事項と理解していますが、こ<br />
の MEPA を鉱業法体系に規定して公開とすることは出来ませんか?<br />
・探査開発契約は、秘密契約ではありません。<br />
26-1. 鉱業活動促進のための政策や改善措置<br />
-もし貴国の鉱業活動の促進するような措置やアイディアを思いつかれましたら、そのベス<br />
ト3を教えてください。<br />
・マイニング投資を実施する前に、リスクを避けるために、探査活動に投資しなければな<br />
らない。<br />
・鉱山アクセスの入札<br />
・インテンシブな鉱物処理プラントは、集約され、大規模にするべきである。各省が鉱物<br />
処理プラントをそれぞれ投資するような状況を避けるべきである。<br />
26-2. 鉱業活動の促進のために外国に期待したい援助について<br />
・鉱業活動を向上させるため、我々は海外からの支援を必要としている。<br />
・しかしながら、これら海外の国がどのような鉱業技術を開発しているかをスタディしな<br />
ければならない。<br />
26-3.同じ質問です、特に日本に期待したい援助について<br />
・日本側はこの分野でのアドバンテージを紹介すべきである。<br />
27.レアアース資源についてお尋ねします。<br />
- 127 -
27-1. 貴国のレアアースの資源ポテンシャルについてどう認識していますか?<br />
・ベトナムは主として下記の地域でレアアース資源の比較的大きな埋蔵がある。Lai Chau<br />
(Dong Pao, Nam Xe); Lao Cai (Muong Hum); Yen Bai (Phu Yen)。<br />
27-2. 自らがレアアースを探鉱した経験はありますか?<br />
・レアアースの採鉱技術は、他の鉱種の採鉱技術と比較して、複雑ではない。レアアース<br />
鉱石の主たる問題は、鉱石に高い価値を加えるためにレアアース元素の処理(processing)<br />
に投資することである。<br />
27-3. レアアースの探鉱技術についてどのように自己評価しますか?<br />
・ベトナムのレアアース資源は、いわば栓を開けていない、処理されていない状態だ。<br />
・なぜなら、過去にはその市場が存在せず、価格が安く、非効率的鉱業だったからである。<br />
27-4. 貴国でのレアアースの開発状況はいかがですか?<br />
・現時点では、ベトナムは、合理的なスケールで、レアアースの採鉱と処理に投資をする<br />
べきである。<br />
27-5. レアアースの採掘技術についてどのように自己評価しますか?<br />
・今日レアアースの採鉱と処理は、以前にましてたいへん(more and more)面白くなって<br />
来ている。<br />
・なぜなら、レアアースは、ある種の戦略的鉱物であり、ハイ・テクノロジー応用の面で<br />
多くの産業にとって必須のものとなっているからである。<br />
27-6. 重希土(Y, Ho, Tm, Yb, Lu, Sc)・中希土(Sm, Eu, Gd, Tb, Dy)・軽希土(La, Pr, Nd)の中<br />
でどの鉱種に関心が高いですか?<br />
・さまざまなレアアース元素のマーケットについて関心がある。そしてマーケットの要求<br />
にこたえる能力を有している。<br />
・Dong Pao レアアースは軽希土なので、我々は、軽希土に興味を持ってそして生産しなく<br />
てはならない。<br />
27-7. レアアースの分離・精製技術についてどのように自己評価しますか?また技術移転<br />
の希望がありますか?<br />
・レアアースのの分離・精製技術は、エッセンシャルであり、我々は技術移転を受けたい。<br />
27-8. 副産物の放射性鉱物(モナザイト:トリウムを含む)の取り扱いについて、法規制<br />
はどうなっていますか?<br />
・ベトナムは鉱物採鉱と処理において、環境保護が重要であると考えており、放射性元素<br />
を含む副産物のハンドリングは、ベトナムの規制に従わねばならない。<br />
27-9. レアアース開発について、外国に期待することは?<br />
- 128 -
・レアアースの処理について、外国の協力を期待している。ことにレアアースの開発され<br />
た処理産業(developed processing industry)を有する国を期待している。<br />
27-10 レアアース開発について、特に日本に期待することは?<br />
・日本側は、ベトナムを支援するために、レアアース処理技術の現在の開発内容とキャパ<br />
シティを紹介すべきである。<br />
・VIMCO は鉱体 F3 のレアアースを採鉱して処理するプロジェクトで、双日と豊田通商と<br />
協力している。<br />
- 129 -
3.4 鉱山地質系教育機関:ハノイ鉱山地質大学 HUMG(Hanoi University of Mining and<br />
Geology)<br />
3.4.1 概要<br />
ハノイ郊外にHUMGがある。他に石炭の産地Quangninhと、石油を産するVungtauにキャ<br />
ンパスを持っている。1966年に創設され、現在では、専門学部(パンフレット記載の)と<br />
しては鉱山学部、地質学部、石油ガス学部、調査作図学部、電子機械学部、経済経営学部、<br />
情報工学部という7つの学部(全体では11)を有している。近年では23,500人の学生が<br />
在学している。<br />
過去においては、教官は、旧ソビエトや東側陣営の大学で教育を受けて来たが、今日世<br />
界各国の大学と協力を深めていると、学長のメッセージに表現されている。以下大学のパ<br />
ンフレットから。<br />
3.4.2 鉱山学部<br />
HUMGの鉱山学部は、ベトナムにおいて鉱山技術分野で、エンジニア(学士号)と修士<br />
号以上(ポストグラデュエート)の学位を取れる教育プログラムを授ける唯一の機関であ<br />
る。主たる学問内容は、鉱山設計・建設、地下と産業プロジェクトの設計・建設、最適開<br />
発技術モデルの評価応用研究、調査と環境影響評価、鉱物資源の生産を向上させたり最大<br />
化する技術である。<br />
鉱山学部は大学で最も古い学部である。大学の創設と同じ1966年に創設され、当初ベト<br />
ナム戦争当時は、Ha bac省に置かれた。40年の歴史の中で11000人のエンジニアが学部を卒<br />
業した。その多くは鉱業で会社のリーダーとなったり、キーとなるポジションで働いてき<br />
た。<br />
現在鉱山学部の教官は80人、その中の4人が教授、4人の准教授、50人のシニア講師<br />
(lecturer)がいる。学部はベトナムの大変多くの鉱業企業、研究機関、教育機関と協力関<br />
係とパートナーシップを有している。また学部は国際的に多くの機関とパートナーシップ<br />
を築いてきている。それらは、モスクワ鉱山大学(ロシア)、Curtin大学・ニューサウスウェ<br />
ールズ大学(豪州)、TU Bergakademie Freberg(独)、AGH(ポーランド)、中国鉱山技術大<br />
学(中国)、チェンマイ大学・チュラロンコン大学(タイ)。<br />
■学科<br />
-露天掘り鉱山学科<br />
-坑内掘り鉱山学科<br />
-地下・鉱山建設学科<br />
-選鉱学科<br />
-材料強度学科<br />
■学部プログラム<br />
-露天掘り鉱山<br />
-坑内掘り鉱山<br />
- 130 -
-地下・鉱山建設<br />
-選鉱<br />
■修士プログラム<br />
-鉱山工学<br />
-鉱山建設<br />
-地下建設<br />
-選鉱<br />
■PhDプログラム<br />
-坑内掘り鉱山<br />
-露天掘り鉱山生産<br />
-選鉱<br />
-地下・鉱山建設<br />
3.4.3 地質学部<br />
現在のHUMG地質学部は、1977年に地質学部とエンジニアリング地質学部が統合して出<br />
来た。学部の学問的強さは、地質科学の多数の側面によって構成される。現在地質学部は、<br />
以下のような分野についてトレーニングと徹底的な研究を提供している。それらは、建設<br />
に対する地質工学・地質技術的調査、地下水資源の調査と探査、水質・土壌汚染のトリー<br />
トメント、天然資源の探査と評価、鉱物学と岩石の地球化学、地質図作成、地域地質とテ<br />
クトニクス。<br />
設置以来約9000人の学部卒業生と数百人のポストグラデュエートが地質学部で教育を<br />
受けた。卒業生はそのキャリアで大変成功している。もっとも祝福されるメンバーは、前<br />
ベトナム大統領(2001-2006)のMr. Tran Duc Luong氏である。現在地質学部は、1400人の<br />
学部学生、100人の修士コース、30人のPhDコースの学生がいる。<br />
教育・研究の新しい需要に追いつくため、地質学部は、急速に成長し、従来より強力に<br />
なっている。現在の学部の人員は100人以上になっており、約30人の教授陣と35人のシニア<br />
講師がいる。<br />
地質学部は、強い国際的コネクションを有している。現在学部は国際的に多くの機関と<br />
協力関係とパートナーシップを築いてきている。それらは、ITC(オランダ)、Curtin大学・<br />
タスマニア大学(豪州)、Leoben大学(オーストリア)、中国地質科学大学(北京・武漢)、<br />
中国鉱山技術大学、モスクワ地質調査大学(ロシア)、マイアミ大学(米)、地質調査所(日<br />
本)。<br />
■学科<br />
-地質学科<br />
-鉱物学・岩石記載学科<br />
-地球エコロジー・環境技術学科<br />
-地質工学科<br />
-水文地質学科<br />
- 131 -
-探査学科<br />
-鉱物資源学科<br />
-工業鉱物学科<br />
■学部プログラム<br />
-地質学<br />
-調査と探査<br />
-エンジニアリング・ジオロジーとジオテクニクス<br />
-地球エコロジー・環境技術<br />
-鉱物資源<br />
■修士プログラム<br />
-地質学<br />
-鉱物資源探査<br />
-調査と探査地質学<br />
-エンジニアリング・ジオロジー<br />
-水文地質学<br />
-岩石学、鉱物学、地化学<br />
■博士プログラム<br />
-エンジニアリング・ジオロジー<br />
-探査・調査地質学<br />
-水文地質学<br />
-第4紀地質学<br />
-テクトニクス<br />
-古生物学と層序学<br />
-鉱物学<br />
-地化学<br />
-鉱物資源<br />
3.4.4 出張時面談内容<br />
12/16 13:30~14:30 ハノイ鉱山地質大学<br />
出席者:地質学科化学鉱物助教授 Dr. Nguyen Khac Giang<br />
1966 年にハノイ大学から分離し、当初は 3 つの学部(鉱物、地質、調査)しかなかっ<br />
た。現在は 11 学部で計 18 教室がある(パンフに記載)。大学は 5 年である。<br />
卒業生の 6 割は鉱山地質の関係機関・会社、その他は 4 割である。民間への就職は 2/3、<br />
政府関係へは 1/3 程度である。地方省の天然資源環境局(MONRE)にも採用されている。<br />
- 132 -
海外とは50の大学と協力関係にある。<br />
学生数は一学年では 2008 年は正規学生約 2500 人、在職学生約 3000 人、2009 年は 1750<br />
人と 3600 人である。そのうち地質関係は 1/6、鉱山関係は 1/3。3 年間の短期大学もあり<br />
2008 年は 440 人、209 年は 500 人で、これは鉱山、地質、測量の 3 学科のみとなってい<br />
る。短期卒業後、大学に進学するものは 2008 年は 630 人、2009 年は 1000 人となってい<br />
る。<br />
在職学生も正規学生と同じく 5 年間コースで 1 回 2 ヶ月で年に2~3回の教育を受ける。<br />
地方には夜間コースもある。ハノイの他にクワンニン(Quangninh 省)、ブンタオ<br />
(Vungtau 省)にもキャンバスがある。在職学生には会社から給料と報奨金がでる。通信<br />
教育はない。在職学生の大部分は高校卒、短大卒で、他の大学でも在職学生は多い。<br />
大学の先生が鉱山会社に行くことはあるが逆は少ない。<br />
海外からの留学生は、カンボジアからはホーチミンの大学、ハノイへはラオスから来て<br />
いる。<br />
教育内容では、鉱山・地質の実習が卒業するまでに何回もあり、1回3ヶ月ほどである。<br />
学生の2割は女性である。この大学は文部教育省の所管であり、予算は少ない。<br />
金属のポテンシャルは、レアアース、アルミ、チタン、鉄、亜鉛・鉛、タングステンな<br />
どのポテンシャルが高い。レアアース(軽希土類)はチェコスロバキアが昔調査したが、<br />
データは未公開である。<br />
注:ベトナムには、以上紹介したハノイ鉱山地質大学 HUMG のほか、鉱業に関するカレッ<br />
ジ(College of Mining Engineering: Quang Ninh 省で、3 年間教育)も存在する。学科、教官<br />
数・学生数は下記のとおり。<br />
- Mine Exploitation<br />
- Mine Electro-mechanic, Mineral Selection<br />
- Mine Economics<br />
- Mine Survey<br />
- In-service Training<br />
The teaching staff of 86 includes 1 Doctor, 18 Masters, 61 Bachelors.<br />
Total student enrollment: 3,200<br />
- Full-time students: 2,300<br />
- Part-time students: 900<br />
参照 Web サイト:http://en.moet.gov.vn/?page=2.4&view=4370<br />
- 133 -
3.5 ベトナムその他の訪問先<br />
3.5.1 JICA<br />
12/17 9:30~11:00<br />
出席者:JICA ベトナム事務所 次長 長瀬 利雄<br />
室岡 直道<br />
当方:横山、田島<br />
(横山)JMEC の紹介、日本の鉱業ロードマップ、レアアース、今回の調査の趣旨を説明。<br />
(次長)ベトナムは政府、民間とも表向きは好意的だが、現実はなかなか厳しい。つまり<br />
日本が何をやってくれるのか天秤にかけてプライオリティを付けている。<br />
技術協力で鉱業では石炭は以前から輸出しているが、レアアースについては勉強不足で<br />
よく判らないが、例えば双日さんがどこまでやってくれるのかベトナム側は天秤にかけて<br />
いると思う。各国の戦略はすごく、例えばベトナムの関係者全員を自国に招いて洗脳する<br />
ようにして売り込む場合もある(欧米)。運輸セクター、ETC など高速道路関係。<br />
貧困対策は小回りの効く小さなプロジェクトに適用できる。円借款は国道、鉄道などの<br />
大きなプロジェクトを対象にしている。セクターローンは小さいプロジェクトでベトナム<br />
側でプライオリティを付け、計画投資省が窓口になって、地方省の人民委員会を説得する<br />
ことになる。日本からの個別専門家は各省に派遣されている。<br />
VIMICO からの要望は JICA で取り上げるのは厳しいと思う。<br />
3.5.2 伊藤忠<br />
12/17 13:30~14:30<br />
出席者:ベトナム支配人 矢代 博昭<br />
当方:横山、田島<br />
伊藤忠ベトナムでは現在、10のプロジェクトを行っている。1992 年から事務所を開設<br />
した。ベトナム南部のラクドン省とラムドン省が隣同士だが、このあたりにボーキサイト<br />
が賦存し、その中でラムドン省でのボーキサイトプロジェクトは VINACOMIN との共同事<br />
業である。ボーキサイトの埋蔵量は 50 億トンと言われており、巨大なものである。この水<br />
酸化アルミプロジェクトは 2006 年 6 月からスタートし、この国は外資導入に慎重でやっと<br />
2008 年 4 月首相の承認を得て、すでに 2009 年 12 月に F/S は終了した。2010 年 6 月くらい<br />
までには投資するかどうかの意思決定をする予定。2013 年中に生産設備を作り 2014 年か<br />
ら水酸化アルミニウムを最大で年約 60 万トン生産し、日本へ持ってくる予定で JOGMEC<br />
(インフラ整備調査)の補助金で 170km の道路整備の調査を行っている。VINACOMIN が<br />
100%単独で実施しているアルミナプロジェクトの隣である。この近辺では中国の Chinalco<br />
も進出しようと計画しているがまだ認められていない。Alcoa、BHP なども検討中。<br />
水酸化アルミニウムの単価は 1800-2000 ドル/トン。最大日本に年 60 万 t 持ってくる。金額<br />
換算では、したがって年商 120 百万ドル。これに対して、投資額は 5 億ドル、このほか 3<br />
億ドルが道路や港湾整備(出来ない間はホーチミンの港から)関係の ODA 期待事業があ<br />
る。鉱床は地表部にも出ている。600ha 程度。採掘は地表部 20m を掘り下げるが、採掘は<br />
VINACOMIN が実施する。赤土の処理など環境関係の対策はする。山元で水酸化アルミニ<br />
ウムを精製し、トラックで運び、日本へ持ってくる。需要としては結構あって液晶に入れ<br />
たり、身近なところでは歯磨き粉に入れたりする。私どもでは環境対策は日本の基準に合<br />
- 134 -
致できるように厳しく実施する。<br />
JOGMEC の ODA インフラ整備調査は、補助金で、伊藤忠とオリコン、現地の道路のコ<br />
ンサルタント企業が実施している。<br />
その他には鉄(以前検討したが亜鉛が多い等難点)、ニッケル、チタンにも注目しているが、<br />
概して規模が小さいし、所在地が山岳地帯や中国に近い少数民族地域で難しい。チタンに<br />
ついては現在中国の技術で純度 92%のチタンは精製できる。要求は日本の技術で 98%のチ<br />
タンを精製する案件もあったが、日本のメーカー3 社(石原産業、日本チタンほか)は技<br />
術移転を拒み、結果として頓挫した。<br />
水酸化アルミニウム関係では隣の省でその他、双日と日軽金で VINACHEM とプロジェ<br />
クトを実施しているが、日軽金が降りたので、現在どのようになっているのか定かでない<br />
があまり動いていないのではないか。<br />
資源ではその他、発電用の石炭(選炭して熱量調整して供給している。)がある。<br />
人材育成に関しては、工学的に大学のレベルが下がっていると思う。<br />
この国は探鉱・掘る方の技術は意外と持っている。その技術は意外とある。<br />
その他の商社の仕事としては、ODA 交通基盤関係円借案件などが多い。<br />
3.5.3 丸紅<br />
12/17 15:00~<br />
出席者:部長 南城 勉<br />
当方:横山、田島<br />
私は 2006 年からこちらに来ている。2007 年のアジア産業基盤の報告書を頂いて参考に<br />
なりました。こちらでは主に石炭関係のプロジェクト(Underground Coal Gasification)を<br />
行っている。具体的には紅河の地下に埋蔵する石炭を燃焼させ、ガスを抜く事業で、<br />
VINACOMIN、オーストラリアの LINC エナジーとの合弁である。その他にペトロベトナ<br />
ムがオーストラリアの 2 社とキーパーリソースとで行っている CBM 法があるが、これは<br />
石炭に付着したガスを取り出す手法である。UCG は電力マスタープランで VINACOMIN<br />
がアナウンスしたのでそれに乗った形で 2007 年からスタートした。関連部署は<br />
MOIT,MONRE,地方省の委員会で UCG に適合した法令がないので法的には鉱物法による。<br />
先ずは実証プラントを作り、実証試験を 2 年行う予定。UCG はウズベキスタンで行ってお<br />
り、取り出したガスは発電用あるいはジーゼルオイルなどの製品用途がある。環境の懸念<br />
としては、地盤沈下、地下水の汚染が考えられる。<br />
実は NEDO の石炭調査(2003 年)で紅河の地下の石炭採掘は困難との結論を得たので、<br />
このプロジェクトを開始した。当方では 1989 年からベトナムの無煙炭を輸出している。用<br />
途は高炉、インドでは合金用で使用している。<br />
アルミナについては 2 案件あったが VINACOMIN 独自で行うことになった。<br />
事務所は、ハノイ(北部)、ホーチミン(南部)、クワンガイ(中部)の 3 箇所にあり、日<br />
本人は総計 20 名ほどである。人材育成では VINACOMIN では専門会社をつくって、国際<br />
会議に出たりして勉強している。<br />
その他の資源では、タッケの鉄があり、JFE がベトナムに製鉄所を作る案件が動いてい<br />
る。金属チタン案件については VINACOMIN がオファーしているが相手先が見つからない<br />
ようである。タイグエン省に小さな転炉がある。高炉は小さい。<br />
- 135 -
3.5.4 大使館<br />
12/18 10:00~11:00<br />
出席者:二等書記官 藤井 亮輔<br />
当方:横山、田島<br />
(横山)<br />
各省庁を廻ったところ、逆に日本の得意な技術を求められ、日本では上流はリモセン、<br />
下流では製錬、リサイクル、上流―下流に渡っては環境と返答した。問題は日本の技術を<br />
どこまで出せるかで、これにはもっと日本企業各社の方針を知る必要がある。<br />
(藤井)<br />
ベトナムの高級官僚には鉱山・地質屋が多い。前ベトナム大統領(2001-2006)の Mr. Tran<br />
Duc Luong 氏は、確か HUMG 卒業の地質屋であったし、計画投資省の現大臣も地質屋であ<br />
る。鉱業に関してはベトナムは歴史があり、十分な教育体制を持っているようなので、人<br />
材育成を求められることは少ないが、上級の人材育成全般は必要だと考える。資源をカー<br />
ドとして議論する場合、何を持っていくか、どのような体制で行うかが重要である。レア<br />
アースに関しては中国と VIMICO がやっている。例えば環境技術をアピールするとか、放<br />
射性の問題を取り上げるとか、環境技術講座をつくるとか、合弁会社にして製錬技術を移<br />
転するとかしてベトナム側と交渉する必要がある。日本企業のベトナムでのアルミ事業進<br />
出は、愛媛の環境問題(下記 WEB 情報参照)が発端である。<br />
第Ⅲ-8 参考引用:ボーキサイト泥の海洋投棄中止=来春めどに精製打ち切り<br />
住友化学は15日、愛媛工場(愛媛県新居浜市)で行っているボーキサイトの精製を2<br />
010年4月をめどに打ち切り、精製時にかすとして出る赤泥(せきでい)の海洋投棄も<br />
取りやめると発表した。年間約50万トンの赤泥を高知県沖で投棄処分しているが、海洋<br />
汚染の防止に向けた国際条約で15年までにボーキサイト残渣(ざんさ)の海洋投入を禁<br />
止することが決まっているため、早期中止に踏み切る。<br />
ボーキサイトは、発光ダイオード(LED)基板や液晶ガラス基板の原料などに幅広く<br />
使われるアルミナ製品の原料。ボーキサイトを精製して中間原料の水酸化アルミニウムを<br />
造る過程で出る赤泥は、海外では陸地に埋めて処分している。しかし、日本では用地不足<br />
のため、政府も海洋投棄を容認してきた。<br />
住友化学は愛媛工場でボーキサイトを輸入し、アルミナ関連製品を生産している。今後<br />
は水酸化アルミニウムをオーストラリアから輸入して使い、赤泥発生を回避する。<br />
(2009/10/15-18:02)http://www.jiji.com/jc/zc?k=200910/2009101500776<br />
日本の炭鉱を活用した人材育成プログラムの延長問題については、<strong>経済産業省</strong>の石炭課<br />
長が来月 VINACOMIN と打ち合わせすることになっている。<br />
ベトナムは鉱業の先進国だと思うので、ハノイ大学でどのような講座を行っているかを整<br />
理するのも重要。<br />
ベトナム日本人商工会議所のデータではハノイには邦人企業が 327 社、4000 人、ホーチ<br />
ミンは 450 社、3000 人。2007 年はハノイでは 250 社だったので急激に増えている。金融危<br />
機の影響はほとんどなかった。且つての繊維から機械→自動車、サービス業も増えている。<br />
ベトナムでは生産物は国内で処理できる。製油所は出光、日揮。前の在ベトナム日本大使<br />
- 136 -
がおっしゃっていたが、ベトナムは日本に対しては親日以上に敬日である。共産党のトッ<br />
プの出身は北部、中部、南部と調和的である。対日感情は良く、“敬日の国”ともいえよう。<br />
ズン首相は主任直後に真っ先に日本を訪問していることから、日本を重要な国と位置づけ<br />
ている。戦後日本の発展の象徴の一つとの言える東名高速、新幹線、つくばになぞらえて、<br />
南北高速道路、南北新幹線、ハイテクパークを進めようとしている。2010 年は ASEAN 議<br />
長国。<br />
3.5.5 双日<br />
12/18 14:30~11:00<br />
出席者:執行役員 渡辺 理史<br />
部長 下釜 敬明<br />
当方:横山、田島<br />
双日ではシンガポールに総支配人がいるが、今後、ベトナムに移管する方向にある。イ<br />
ンドシナではラオスの銅、北ベトナムのレアアース(ドンパオ)を手掛けており、その他<br />
鉄鉱石があるが規模は小さい。ボーキサイトの開発はロシアのデータだけでは不十分で、<br />
1986 年に深さ 30m まで調査しているが商業化にはデータはまだ十分でない。ただ、ベト<br />
ナムにとっては 1986 年のデータは絶対的なものになっている。レアアースの場合、ロシア<br />
方式の埋蔵量は生産性までを考慮していない。<br />
ドンパオは MMAJ が調査したのは北部の鉱床で、双日が手掛けているのは南部の鉱床で<br />
そちらの方が埋蔵量が多い。現地でレアアースの酸化物にまで処理し、年間5~6千トン<br />
生産する。年間約5千万ドルの売り上げでプロジェクトとしては大きなものではない。資<br />
源を採掘する場合、現実的には 49%の外資規制はある。<br />
ベトナム南部のアルミプロジェクトはボーリング調査中である。中国のチャイナルコが<br />
ボーキサイト鉱石を乱掘して問題になった。<br />
(今回の面談では水酸化アルミニウム・プロジェクトの詳細には言及されなかったが、前<br />
回 2 年前の面談では、この事業はベトナムのパートナーは VINACHEM(元国営企業)と<br />
サウス・ベーシック・ケミカルで、現在この会社がすでに小さな水酸化アルミの工場を所<br />
有している。これをベースに新規に 60 万トン級の水酸化アルミの工場を作る。チャルコア、<br />
BHP、ロシア、中国など海外の会社が参入してきているが、水酸化アルミニウムは当時は<br />
同社だけであった。)<br />
双日では他にユーカリやアカシアからチップ生産、食料、肥料などのプロジェクトを行<br />
っている。<br />
- 137 -
大 臣 次 官<br />
6 人の Deputy Minister と 1 人の<br />
Permanent Deputy Minister がいる。<br />
a) 省ユニット(Ministrial Units)<br />
1. 企画局<br />
2. 財政局<br />
3. 組織人事局<br />
4. 法律局<br />
5. 国際協力局<br />
6. 検査局<br />
7. 大臣官房<br />
8. 科学技術局<br />
9. 重工業局(国防課を含む)<br />
10.エネルギー局<br />
11.軽工業局<br />
12.輸出輸入局<br />
13.国内市場局<br />
14.山岳貿易局<br />
15.アジア太平洋市場局<br />
16.欧州市場局<br />
17.米州市場局<br />
18.アフリカ西南アジア市場局<br />
19.多国間貿易政策局<br />
20.収入報酬局<br />
<strong>21</strong>.賃金報酬局<br />
22.ベトナム競争管理局<br />
23.市場管理局<br />
24.ベトナム貿易促進庁<br />
25.工業促進庁<br />
26.工業保安技術・環境庁<br />
27.ベトナム E-コマース IT 庁<br />
28.ベトナム化学品庁<br />
29.ホーチミン大臣室<br />
30.競争委員会事務局<br />
b) 管理ユニット(Administrative Units)<br />
・首相決定ほか 4 局<br />
c) 地方局(Local Departments)<br />
・An Giang ほか 63 事務所<br />
d) 海外貿易事務所(Foreign Trade Office)<br />
・Algeria ほか事務所<br />
第Ⅲ-1 図 商工省の組織図<br />
MOIT のホームページより<br />
- 138 -
大臣<br />
(Minister)<br />
副大臣<br />
(Vice-Minister)<br />
企業体<br />
ENTERPRISES<br />
協会と短期大学<br />
INSTITUTIONS and COLLEGES<br />
公共サービス提供体<br />
PUBLIC SERVICE DELIVERY<br />
UNITS<br />
国家管理局<br />
STATE ADMINISTRATIVE UNITS<br />
航空写真トポグラフィー会社<br />
天然資源環境戦略政策研究所<br />
国立水文気象サービス<br />
海洋島嶼管理総局<br />
国際協力局<br />
地籍情報(鉱区)エンジニアリン調<br />
査会社(Cadastre and<br />
Engineering Survey Company)<br />
水文気象・環境科学研究所<br />
水資源計画投資センター<br />
環境管理総局<br />
計画局<br />
天然資源環境コンサルタント・技<br />
術共同会社<br />
測量地図科学研究所<br />
国立リモートセンシングセンター<br />
国土管理総局<br />
科学技術局<br />
第Ⅲ-2 図 天然資源環境省の組織図<br />
出典:MONRE パンフレットより<br />
- 139 -<br />
地図出版会社(Cartographic<br />
Publishing House)<br />
地質鉱物資源科学研究所(Sience<br />
Institute of Geology and Mineral<br />
Resources)<br />
天然資源環境新聞<br />
地質鉱物局(Department<br />
of Geology and Mineral of<br />
Vietnam)<br />
法律局<br />
ベトナム環境水文気象機器共同<br />
会社<br />
ハノイ天然資源環境短期大学<br />
天然資源環境マガジン<br />
水資源局<br />
財政局<br />
ベトナム環境保護基金<br />
ホーチミン天然資源環境短期大学<br />
国立メコン委員会常設事務局<br />
情報技術局<br />
競争推奨局<br />
中部地区天然資源環境短期大学<br />
鉱物埋蔵量評価評議会事務局<br />
(Office of Council for Evaluation<br />
水文気象気候変動局<br />
組織人事局<br />
Mineral Reserves)<br />
ベトナム戦争時の米軍使用の有<br />
害ガスの影響克服国家常設委員<br />
測量地図局<br />
監察官<br />
会事務局<br />
サナトリウム・リハビリテーション・<br />
センター<br />
大臣官房<br />
ホーチミン事務所
管理部<br />
管理室<br />
組織人事部<br />
計画投資部<br />
国際協力部<br />
地質部<br />
鉱物部<br />
鉱物政策部<br />
中央ベトナム鉱物事務所<br />
南部ベトナム鉱物事務所<br />
地質情報文書センター<br />
地質博物館<br />
分析試験センター<br />
地質刊行物<br />
総局長<br />
- 140 -<br />
所属機関<br />
北東地質部<br />
北西地質部<br />
北中央地質部<br />
中央地質部<br />
北部地質作成部<br />
南部地質作成部<br />
北部水文地質エンジニアリング地質部<br />
中央部水文地質エンジニアリング地質部<br />
南部水文地質エンジニアリング地質部<br />
海洋地質部<br />
インタージオ部<br />
物理探査部<br />
測地地形部<br />
放射性レアアース地質部<br />
第Ⅲ-3 図 地質鉱物総局の組織図<br />
DGMV のホームページより
DEPARTMENT OF<br />
PLANNING AND<br />
INVESTMENT<br />
DEPARTMENT OF<br />
CULTURE AND<br />
INFORMATION<br />
DEPARTMENT OF<br />
TRAINING AND<br />
EDUCATION<br />
DEPARTMENT OF<br />
TOURISM<br />
DEPARTMENT OF<br />
CUSTOM<br />
DEPARTMENT OF<br />
STATISTIC<br />
DEPARTMENT OF<br />
SCIENCE AND<br />
TECHNOLOGY<br />
DEPARTMENT OF<br />
HEALTH<br />
DEPARTMENT OF<br />
AGRICULTURE AND<br />
RURAL<br />
DEVLOPMENT<br />
DEPARTMENT OF<br />
POLICE<br />
DEPARTMENT OF<br />
TRANSPORTATION<br />
DEPARTMENT OF<br />
NATURAL<br />
RESOURCES AND<br />
ENVIRONM ENT<br />
人 民 委 員 会<br />
DISTRICTS AND CITY<br />
OR CENTRAL TOWN<br />
PEOPLE’S COUNCIL<br />
AND OFFICES OF<br />
MEMBER ASSEMBLY<br />
ADMINISTRATIVE<br />
DEPARTMENT<br />
LAO CAI<br />
FATHERLAND<br />
FRONT<br />
PRIVATE COMPANIES<br />
STOCK COMPANIES<br />
- 141 -<br />
DEPARTMENT OF<br />
POST AND<br />
TELECOMMUNICATI<br />
ON<br />
DEPARTMENT OF<br />
INDUSTRY-TRADE<br />
DEPARTMENT OF<br />
CONSTRUCTION<br />
DEPARTMENT OF<br />
TAX<br />
DEPARTMENT OF<br />
SPORT<br />
MU OF BORDER<br />
GATE<br />
DEPARTMENT OF<br />
FINANCE<br />
DEPARTMENT OF<br />
FOREIN AFFAIR<br />
DEPARTMENT OF<br />
LEGISLATION<br />
DEPARTMENT OF<br />
LABOR AND SOCIETY<br />
PROVINCIAL BANK<br />
MU OF INDUSTRIAL<br />
ZONES<br />
第Ⅲ-4 図 地方省の組織図(Lao Cai 省)<br />
JMEC <strong>平成</strong> 19 年度「ベトナムの鉱業活性化を目指した投資環境整備調査」より
第Ⅲ-5 図 VINACOMIN の組織図<br />
JOGMEC(2006)ベトナムの投資環境調査より<br />
- 142 -
Subsidiary Companies<br />
子会社<br />
Thai Nguyen Non -Ferrous Metal Sole Member State<br />
Company<br />
Nghe Tinh Non-Ferrous Joint Stock Company<br />
Cao Bang Minerals and Smelting Joint Stock Company<br />
Mining and Geological Materals Joint Stock Company<br />
Mineral Development Joint Stock Company No4<br />
Mineral Joint Stock Company No3<br />
Cao bang Cast Iron and Steel Joint Stock Company<br />
Tuyen Quang Non-Ferrous Metal Joint Stock Company<br />
Lao Cai Gold Joint Stock Company<br />
Lai Chau Rare Earth Joint Stock Company<br />
VINACOMIN Mineral Real Estate Joint Stock Company<br />
Lien Viet Transportation and Trading Joint Stock<br />
Company<br />
Holding Company-VOMICO<br />
VIMICO持ち株会社<br />
Sin Quyen-Lao Cai Copper Mining and Dressing Company<br />
シンクェン銅採掘精鉱会社<br />
Lao Cai Copper Smelting Company<br />
ラオカイ銅製錬会社<br />
19.5 Mechanical Engineering Plant<br />
19.5 メカニカル・エンジニアリン・プラント<br />
VINACOMIN-Minerals Holding Corporation Branch in Lao Cai<br />
VIMICO ラオカイ支社<br />
VINACOMIN-Minerals Holding Corporation Branch in Buon Me<br />
Thot, Dak Lak VIMICOブオン ム サト支社<br />
第Ⅲ-6 図 VIMICO の組織図<br />
- 143 -<br />
Associated Companies<br />
関係会社<br />
Bac kan Non-Ferrous Metal Joint Stock Company<br />
VINACOMIN Tan Quang Cement Joint Stock Company<br />
Minerals and Mechnical Engineering Joint Stock<br />
Company (MIMECO)<br />
Minerals Export-Import Joint Stock Company<br />
(MIMEXCO)<br />
Hanoi Gem and Gold Joint Stock Company<br />
Mineral Development Joint Stock Company (MIDECO)<br />
Co Dinh-Thanh Hoa Chromite Joint Stock Company<br />
Dong Nai-Ha Tinh brick & Tile and Construction<br />
Materials Joint Stock Company<br />
Lam Dong Gem and Gold Joint Stock Company<br />
Bac Kan Mineral and Smelting Cooperation<br />
Uong Bi coal Industry and Mining Investment and<br />
Consulting Joint Stock Company<br />
PURSAT-CPC Mineral Mining Joint Stock Company<br />
Vietnam-Japan Gems Company (VIJAGEM)<br />
VIMICO 社パンフレットより
Ⅳ ラオス現地調査<br />
4.1 ラオス現地出張<br />
4.1.1 調査期間<br />
<strong>平成</strong> 22 年 1 月 10 日(日)~<strong>平成</strong> 22 年 1 月 17 日(日)<br />
4.1.2 調査団構成<br />
横山 勝雄 財団法人国際鉱物資源開発協力協会 上級参事<br />
田中 隆之 財団法人国際鉱物資源開発協力協会 調査員<br />
4.1.3 調査内容<br />
<strong>経済産業省</strong>から受託した首記調査について 11 月から実施してきた国内の主要鉱山会社<br />
及び商社へのアンケート調査票の回収・面談、既存資料の分析などの結果に基づいて、ビ<br />
エンチャンにてラオスの鉱業関係政府機関及び企業、大学等教育機関及び日本関係企業・<br />
機関などを訪問し、ラオスの鉱業人材関係の現状を調査した。<br />
4.1.4 調査日程と面談主要相手方<br />
日程及び面談の主要相手方は下記のとおり。<br />
第Ⅳ-1 表 ラオス現地調査日程<br />
1月 AM PM<br />
10日 田中、横山 バンコック経由ビエンチャン着 <strong>21</strong>:05<br />
11日<br />
12日<br />
13日<br />
14日<br />
エネルギー鉱山省MEM (Ministry of Energy and Mines)<br />
地質局DGEO (Department of Geology)<br />
局長 Mr. Chansone SENEBOUTTALATH<br />
次長 Ms. Chansavath BOUPHA<br />
ポリテクニック短大 Polytechnic College (PTC)<br />
副学長 Ms. Prakobkeo<br />
セポン鉱山操業会社:MMG LXML Sepon (Minerals<br />
and Metals Group Lane Xane Metal Limited Sepon)<br />
Vientiane office: Group Manager Corporate Affairs<br />
for Asia:Mr. Richard TAYLOR<br />
プカム鉱山操業会社:Phu Bia Mining Limited<br />
Vientiane office : VTE Senior Admnistration :<br />
Mr. Khammanh LASAVONG<br />
10:00 JICA 高島宏明所長・磯部良介所員<br />
11:30 Mountain Field Consutant 山田健一郎 氏<br />
15日 11:00 日本大使館 中村 建 氏<br />
- 144 -<br />
鉱山局DOM (Department of Mines)<br />
次長 Dr. Simon PHICHITH<br />
環境鉱山検査課長 Mr. Eravanh BOUNGNAPHALOM<br />
国立ラオス大学NUOL (National University of Laos)<br />
工学部(Engineering Faculty)<br />
学部長 Dr. Boualins SOYSOUVANH<br />
土木工学科長(Geotech-Geologist) Mr. Nhinxay<br />
VISANE<br />
国立ラオス大学NUOL 本部企画国際関係副学長<br />
Dr. Sengdeuane WAYAKONE<br />
18:30-20:30 意見交換夕食会(JMEC招宴):DGEO、<br />
DOM、ポリテクニック関係者とJMEC:ポリテクニック学長<br />
Mr. Phongsavath OUANPOMANY 及び地質局次長<br />
Mr. Khampa PHOMMAKAYSONEも参加<br />
13:30 三井物産プノンペン事務所/ 日本商工会会長<br />
高沖 秀年 氏<br />
12:00-13:15 Lunch PTCからの招待昼食 (PTC、<br />
DGEO、DOM、JMEC)<br />
14:00 DGEO<br />
16日 ビエンチャン発<strong>21</strong>:50 TG575 バンコック着 22:55 バンコック発23:50-TG642-東京成田着07:30(17日)
4.1.5 調査結果<br />
面談者に、METI の環境調和型の資源開発のアジア展開ロードマップの英文版と、JMEC<br />
作成(中島国際協力部長)の鉱業技術の体系マトリックスの英文版を配布して、本調査の<br />
趣旨を説明し、ラオスの鉱業開発と同人材の現状・問題点、人材育成の要望など幅広い情<br />
報を、DGEO に関しては質問状(事前に届けておいた Questionnaire)への回答を含め、収<br />
集することが出来た。<br />
今回の面談では初日にエネルギー鉱山省 MEM の地質局 DGEO のチャンソネ局長・チャ<br />
ンサバ副局長(次長)及び鉱山局 DOM のシモン副局長(次長)と長時間の会議が持てた。<br />
2 日目午前は当初水資源環境庁と、教育省に行ったが、今回アレンジを依頼していたエー<br />
ジェントから、JMEC のアンケート記入と面談要請のレターが届いてはいたが、面談のア<br />
ポが取れておらず断念した。<br />
しかし前日の MEM での話で良く出てきたポリテクニックとソクルワン専門学校?に、<br />
突然であるが訪問して取材することとした。幸い前者では、副学長が懇切に説明案内して<br />
くれた。また後者ではその地区の学校ということで行ったところ、まさに国立ラオス大学<br />
の工学部であり、工学部長に会うことが出来、また土木工学科の中に置いている「鉱山工<br />
学コース」の概要についても資料とともにそのコースの代表者の方に話を聞くことが出来<br />
た。また大学本部の企画国際関係担当副学長にも話を聞けた。<br />
3 日目は、鉱山企業のビエンチャン事務所訪問だったが、アンケート記入担当者が豪州<br />
へ留学に出てしまっていたり、情報が流れていないなどで、受付で粘ることとなったが、<br />
幸い総務関係者に会って話を聞くことが出来た。4-5 日目は、JICA、日本人コンサルタン<br />
ト、日本商工会会長、大使館を回って今回調査で得た知見と話すとともに情報収集した。<br />
ラオスについての総括的な状況を以下にまず述べ、その後に、個別の面談内容概要やア<br />
ンケート回答等ラオス鉱業関係機関情報を記載する。<br />
4.1.6 総括<br />
・ラオスでは近年急速に外資系企業による探鉱が進み、鉱山開発が進んだ結果、鉱産物の<br />
輸出に占める割合が 50%以上を占め、鉱業企業の先行きが明るくまた給与水準が高いとい<br />
うことから、社会の鉱山に対する関心が高まっている。<br />
・鉱山の行政組織は、かつて工業手工芸省 MOIH(Ministry of Industry and Handicrafts)の中<br />
に、地質鉱山局 DGM が所属していたが、2006 年に、改組され、エネルギー鉱山省 MEM<br />
が出来、その中に、鉱山局 DOM と地質局 DGEO が置かれる体制に強化された。<br />
(鉱山局では)<br />
・ラオスの探鉱中の鉱区は 150。まだまだポテンシャルは高い。鉱種としては、銅、ボー<br />
キサイト、鉄鉱石、錫、石炭など。<br />
・また鉱業が発達しつつある同国で、鉱山による環境インパクトの評価、鉱山の後処理等<br />
について、経験が浅く、こうした分野について行政人材の育成支援について、ラオス側の<br />
意向が示された。とくに休廃止鉱山の管理などに興味があるとの発言があった。<br />
・このほか鉱山局行政側から期待があった点は、下記であり盛りだくさんである。<br />
-鉱山局 DOM 職員のレベルアップを行いたいと思っている。今まで海外留学制度がなか<br />
ったので,海外留学を経験させることが必要である。できれば,高校卒業程度で海外留学<br />
- 145 -
ができるとよい。また,奨学金制度の拡充なども考えられるであろう。<br />
-技術レベル向上の観点からは,最新技術の導入も必要である。これらを実現するために<br />
は,日本での短期講習なども受けたい。<br />
-鉱区を管理するための技術(衛星画像を含む),<br />
-GIS 関連技術で鉱区と水力発電との重複などをチェックする機能などが求められる。<br />
-鉱山評価・F/S 評価できる能力や労働衛生管理能力が必要とされる。<br />
-どうしてもラオス政府の人材だけでは限界があるので,トレーニングセンターの設置(職<br />
員だけでなく、民間も利用できるような)なども選択肢となる。<br />
(DGEO では)<br />
また地質局 DGEO では、下記を要望している。<br />
-JICA のマスタープランでは,2 地区の 1/20 万地質図を作成したが,同じ内容では,申<br />
請されても却下されてしまう。しかし,そのような調査の中で DGEO 職員の OJT にもな<br />
る。DGEO からの要望としては,地質データのデータベース化と分析機器の充実を図りた<br />
いのとそれらを使いこなせる人材育成を行いたい。<br />
-DGEO は能力開発に力点を置いた第 2 次地質図作成プロジェクト(注:第 1 次は JICA<br />
「ラオス国鉱業分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備計画調査」2006-2008 年と<br />
して、実施:三菱マテリアルテクノ・国際航業)を要望している。<br />
・下記の学校教育への支援の際に、行政側(DOM、DGEO)のこうしたニーズに対しても<br />
応えていく体制が必要となるであろう。ことに将来的に、DOM が言っているようなトレ<br />
ーニングセンターの設置(職員だけでなく、民間も利用できるような)への協力も面白い<br />
のではないかと考えられる。もっともこのセンター構想については、すでに進出している<br />
外資系の鉱業企業の活躍に期待するところが大きいだろう。<br />
(教育機関について)<br />
・社会の鉱山に対する関心の高まりから、資源地質関係の学校への生徒殺到、その関係の<br />
学科新設の方向などが顕著であるが、教師や、施設機材は不足している。<br />
・従来ラオスでの資源地質分野の教育の実情は知られておらず、ほとんどないという認識<br />
がであったが、今回調査で明らかになったことは、従来から、ポリテクニック・カレッジ<br />
(PCT と略す:以前の名称はラオスロシア友好ポリテクニック学校)で、調査探査コース、<br />
鉱山・鉱物処理コースが高校卒業生に 2 年教育で Diploma を出し、2003 年からは、プラス<br />
1.5 年で、High Diploma を出す教育をしてきており、さらにプラス 2 年で Bachelor を出す<br />
コースも 2009 年から始まっている。この学校自体は、ワーカーレベルの人材の供給源。<br />
DGEO や DOM の職員の多くもかってこの卒業生で、入省後にソ連東欧に留学して学位を<br />
取ったケースが多く、現在でもデータや古い機材を与えたり協力しており、その充実に政<br />
府当局としても心情的に肩入れしている様子。<br />
・この PCT の在学生は 2700 人だが、その中で 1000 人が地質鉱山コースにいるということ<br />
に驚かされた。ことに 2009 年入学生は、40 人クラスで 10 クラスあって、400 人の多数を<br />
擁しているとのこと。<br />
・次にラオスの最高学府である国立ラオス大学工学部での動きがある。土木工学科の中に、<br />
- 146 -
3 コースあって、土木、環境、鉱山コースがある。鉱山コースは 2 年前に設置し、現在 1・<br />
2 学年とも 130 人が在学。13 人の教授陣を擁しているが、そのうち 4 人は AUN/SEED-net<br />
機構を活用して海外留学(インドネシア 3、マレーシア 1)中で今年帰国する。そのリスト<br />
も入手したが、資源工学が中心で、地質は兼務で学科長 1 名という状況で、地質分野の教<br />
授陣強化が不可欠のように思えた。<br />
・このことを話してみると、日本からの支援は大歓迎。過去において同大学では、IT 分野<br />
の支援と鉱山学部創設支援の 2 件を JICA プロジェクトとして提案したが、1 件に絞るとい<br />
う中で、資源は落ちた経緯がある。IT 支援プロジェクトは 2013 年修了なので、この終了<br />
を待たず鉱山地質分野への支援プロジェクトを期待したい。とのこと。<br />
・中国の積極策(民間優良2鉱山の買収と親会社への資本参加、DGEO との鉱物調査分析<br />
センターの共同事業**次項にまとめて紹介)を考えるとき、同じ手法が資金等の面で使え<br />
ないと思料される。<br />
・上記のように学校教育における資源・地質教育に学生が殺到して、両学校側もその拡充<br />
に熱心な状況であり、日本からの支援への期待感も高い。今後の有効な支援策の在り方に<br />
ついて、さらに検討が必要である。どちらの学校または政府当局を支援する場合にも、他<br />
校や政府当局も利用可能な形で制度設計することが必要であろう。<br />
4.1.7 鉱物研究センター(中国系企業と地質局との合弁企業)設立について及び他国の動き<br />
4.1.7.1 鉱物研究センターの経緯<br />
インターネットなどを通じ,ラオス国において中国系企業による鉱物研究センター設立<br />
の情報を得たため,2010 年 1 月 12 日に JMEC 調査において,地質局長より最新情報を収<br />
集した結果とインターネット等での情報収集を総合して,建設中の鉱物研究センターの概<br />
要を取り纏めた。<br />
4.1.7.2 鉱物研究センターとは<br />
・ 中国系のシンフアングダオ・ヘヘルカー・ボーヘー社(Shin Houang Tao 社)という民<br />
間企業と政府の合弁会社であり,化学分析を商業用として行うこと,地質局と共同<br />
で資源探査を行うことを目的としている。<br />
・ シンフアングダオ・ヘヘルカー・ボーヘー社(Shin Houang Tao 社)は,中国の鉄鋼会<br />
社の現地(ラオス)子会社であり,商社のような機能を持っており,おもに中国への原<br />
料調達を行っている。<br />
・ この合弁会社の利益の分配に関しては借入金に対する 15~20%の利息を除いた後、<br />
40%をファンドとして残し、地質局が残りの 49%、中国側が 51%と配当を行うとさ<br />
れる、またライセンス期間は 15 年で 2 回の延長(各 10 年)が可能。また,投資総<br />
額は,2000 万米ドル(約 18 億円)である。<br />
・ すでにラオス政府と MOU を締結し,2009 年 10 月から,460 万米ドル(約 4 億円)を<br />
投じて鉱物研究センターをヴィエンチャン特別市サイタニー郡パカオ村の国道13<br />
号南に建設中である。2010 年中頃からの営業を開始予定である。<br />
・ この合弁会社が地質局と共同で資源調査を行う際の条件としては以下のようである。<br />
- 147 -
(2009 年 1 月 12 日の地質局長からの聴取内容)<br />
①地質局が調査地域を決定し,協同で調査を行うが,調査費用は中国系企業がすべて負担<br />
する。<br />
②調査データはすべて地質局の所有となるが,中国系企業は鉱区を取得せずに調<br />
査を実施できる。その合弁企業は,自ら鉱区を設定することもできる。<br />
③資源探査の結果,仮に探査有望地が発見された場合には,その地域を保護地域とし,鉱<br />
業権の認可を制限することもできる。鉱物研究センターがその地域の鉱業権を保有するこ<br />
ともでき,また,ラオス政府がその地域を国際入札にすることも可能とされる。しかし,<br />
鉱業権の認可の最終決定は,ラオス政府が行う。<br />
4.1.7.3 鉱業権益への影響<br />
・ 2010 年 1 月 15 日に地質局を訪れた際に,最新の鉱区図の購入したい旨を伝えたが,<br />
その際にカンパー地質局副局長の部屋には,保護地域入りの鉱区図が掲げられてい<br />
た。保護地域は,かなり広範囲に設定されており(森林保護区と同程度の面積ような<br />
印象)。これらの地域は,上記の鉱物研究センターにより,保護地域化されてしまっ<br />
た地域の可能性がある。<br />
・ 地質局情報課には,保護地域入りの鉱区図の作成を依頼したが,保護地域を記入し<br />
た鉱区図は,公開していない模様。その後,カンパー副局長からの指示のもと,地<br />
質局情報課職員が作成した保護地域記入なしの鉱区図のみが購入可能であった。<br />
・ この鉱物研究センター設立により,合弁の中国系企業は,鉱業権なしで資源調査が<br />
できるようになった。さらに,調査データを最も早く所有することにより,有望地<br />
域を保護地域化し,鉱業権益の独占を狙っているようだ。<br />
・ さらに,合弁会社の収益(借入金利子及びファンド分を除く)の約半分が地質局へ流れ<br />
ることから,中国系企業の探査活動によって,地質局へ利益が還流するような側面<br />
を持つ。<br />
第Ⅳ-1 参考引用:鉱物研究センター設立合意で署名:ラオスのビジネスを読む。―ブロ<br />
グ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 03 月 07 日<br />
エネルギー鉱物省地質局と中国のシンフアングダオシンフーレックカー・鉱物開発有限公<br />
司との共同で鉱物調査研究センターを設立することに関して、合意署名式典が 2 月 26 日<br />
行われた。<br />
ラオス側からはチャンソーン・センブッタラート地質局長、ブントゥン官房副長官、中国<br />
側からは会社代表取締役、中国大使らが参加した。<br />
鉱物調査研究センターは中国の民間企業とエネルギー鉱物省との共同で設立され、資源調<br />
査、情報収集、経済・技術的可能性調査等を行うもので、投資総額は 2000 万ドル、登録<br />
資本金は 600 万ドル。<br />
本センターは地質局へ採掘や資源開発の申請を行うことが可能で、また政府に対して事業<br />
売却の入札申請や、天然資源を資本化へ入札申請することが出来る。<br />
利益の分配に関しては借入金に対する 15-20%の利息を除いた後、40%をファンドとし<br />
- 148 -
て残し、地質局が残りの 49%、中国側が 51%と配当を行うとされる、またライセンス期<br />
間は 15 年で 2 回の延長(各 10 年)が可能。<br />
(2009/3/2 ヴィエンチャンマイ紙)<br />
--------<br />
このセンターの位置づけは政府と外資との合弁企業という感じでしょうか。<br />
少し気になるのは、このセンターが独占的な地位を占めて、鉱物認可にはこの会社に<br />
調査費等を支払わなければならなくなるのではないだろうかという点です。<br />
Tags:鉱物開発 中国南進<br />
by kenichiro_yamada | 2009-03-07 18:36 | 現地語新聞より | Trackback<br />
第Ⅳ-2 参考引用:鉱物調査・分析センターの建設が開始:ラオスのビジネスを読む。―<br />
ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 11 月 05 日<br />
2009 年 10 月 17 日、ヴィエンチャン特別市サイタニー郡パカオ村の国道13号南沿いに<br />
て、3959平米、3階建ての鉱物調査・分析センター建設式典が開催された。<br />
同センターは情報収集、鉱物調査、鉱物分析、鉱物混合率分析、技術・経済的可能性調査、<br />
加工等のサービスを提供し、460万ドルの投資にて建設される。<br />
本事業は鉱物エネルギー省の2006-2010年計画に基づくもので、地質局ならびに<br />
中国のシンフアングダオ・ヘヘルカー・ボーヘー社による協力で建設されるもの。<br />
同社は資本金2000万ドル、登録資本金600万ドルで15年間のライセンスを取得し<br />
ている。<br />
(2009/10/20 パテートラオ紙)<br />
--------<br />
これは政府と中国の民間企業の JV ということでしょうかね。<br />
Tags:鉱物開発 中国南進<br />
4.1.7.4 中国からの投資<br />
中国は目覚ましい投資活動を展開している。<br />
by kenichiro_yamada | 2009-11-05 19:26 | 現地語新聞より | Trackback<br />
第Ⅳ-3 参考引用:中国からの投資:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2008 年 08 月 23 日<br />
中国からの投資は 1990 年から 2007 年までにおいて 284 事業で、11 億ドル、12 セクタ<br />
ーに及んでいる。<br />
- 149 -
■鉱物資源開発<br />
2001 年から 2007 年までの鉱物事業認可は 109 社 171 事業(外国企業は 64 社 92 事業)<br />
で、うち掘削調査が 50 事業、鉱物調査が 72 事業(FS 段階は 3 事業)。<br />
64 社の外国企業のうち中国系は 37 社、ベトナム系 11 社、タイ 6 社、オーストラリア 4<br />
社、ロシア 2 社、韓国 1 社、ポーランド 1 社、シンガポール 1 社。<br />
(2008/5/12 パサソン社会経済紙)<br />
■鉱物開発 10 事業、水力発電開発 65 事業を認可<br />
ラオス政府は 2010 年までに鉱物開発を 10 事業認可する計画にしている。<br />
また外国からの投資に拠る水力発電ダム開発 65 事業に及んでいる。<br />
エネルギー鉱物省ボーサイカム大臣は、2010 年までに 10 採鉱事業を認可する予定であ<br />
ると認めている。2001 年より 2008 年 5 月までの鉱物開発認可状況は、118 社・181 事<br />
業(うち外国企業 72 社・101 事業)の調査認可が降りており、大きな事業としてはオー<br />
ストラリアによるセポンおよびプービア金・銅採掘事業が挙げられる。また将来的に大き<br />
な事業としてはラオス南部におけるボーキサイト・アルミニウム精錬事業で中国企業によ<br />
り 2 億ドル以上の投資で 2 年後から開始される予定となっている。<br />
いずれにせよ現在ラオスで認可されている鉱物開発および水力発電事業は総国土面積の 1<br />
0%に達しており、<strong>21</strong>0 万 ha に及ぶ。<br />
また、2001 年より 2008 年 5 月までにエネルギーおよび鉱物セクターへの中国からの投<br />
資は最大で 39 社、二番目はベトナム 16 社、タイ 6 社、その後オーストラリア、韓国、<br />
ロシアと続く。<br />
(2008/7/23 パサソン社会経済紙)<br />
■中国、10 億ドル以上をラオスに投資<br />
中国は 10 年来ラオスへの投資が多く 12 部門 284 プロジェクト、工業手工業セクターで<br />
- 150 -
は 68 プロジェクト、農林業セクターは 40 プロジェクト、鉱物開発 49 プロジェクト、サ<br />
ービスセクターでは 34 プロジェクトにおよぶ。<br />
工業セクターでは 2 億 9000 万ドル、鉱物資源開発では 1 億 5000 万ドル、農林業部門で<br />
は 5300 万ドル、サービスセクターでは 2 億 2400 万ドル、さらに重要なのは電力エネル<br />
ギーセクターで、ナムグム5、ナムリック、またナムハー2 箇所調査、ナムフアング調査、<br />
パークライ地域のメコン川調査、ペークベン調査など 3 億ドル。<br />
(2008/3/12 パテートラオ紙一面)<br />
エール大による一連の中国関連エッセー<br />
Tags:中国南進 鉱物開発 水力発電<br />
by kenichiro_yamada | 2008-08-23 22:31 | 現地語新聞より | Trackback<br />
第Ⅳ-4 参考引用:3 カ国によるボーキサイトと精錬工場投資:ラオスのビジネスを読む。<br />
―ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2008 年 09 月 29 日<br />
チャンパサック県パクソン郡におけるボーキサイト採鉱とアタプー県サナームサイ郡にお<br />
けるアルミ精錬工場建設に関するラオス政府と SLACO 社との MOU 締結式典が 9 月 22 日<br />
ドンチャンパレスホテルにて開催された。<br />
本式典ではラオス政府代表としてトングミー計画投資省副大臣、シーモーン鉱物局局長、<br />
また会社側からはペルミサイ会長、ならびにサイサナ社長、その他ソムサワート副首相が<br />
仲介人を務めた。<br />
SLACO 社はラオスサービス社が 10%、中国のフアイチャイ社 19.5%、イタリアンタイ社<br />
19.5%、中国の Chaico 社が 51%のシェアーを持つ。<br />
これまで資源調査が行われてきたがパクソン郡に十分な資源があることが判明しており、<br />
この度ラオス政府に対して採鉱事業と工場建設の認可を申請してきたもの。<br />
14500ha の土地をコンセッションしアルミナを年 100 万トン生産、アルミを 50 万トン生産<br />
する予定。事業は 29 年間で 40 億ドルの投資。<br />
(2008/9/24 ヴィエンチャンマイ紙)<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
ボーキサイトという言葉は原産地フランスのボーBaux に由来します。<br />
ということは、ラオス語のボー(鉱床)もフランス語由来なのでしょう。<br />
いよいよパクソン郡での開発が動き出しました。<br />
Chaico 社は中国最大のアルミニウム企業で、ベトナムのルムドング省でもアルミの開発を<br />
行うようです。<br />
Tags:鉱物開発 ボーキサイト コンセッション<br />
- 151 -
4.1.7.5 韓国の動向<br />
このほか、下記参考引用資料が示すように、韓国もラオスに支援協力の話し合いをして<br />
いるようである。<br />
第Ⅳ-5 参考引用:ラオス・韓国 エネルギー・鉱物部門で協力:ラオスのビジネスを読<br />
む。―ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 05 月 10 日<br />
エネルギー鉱物省と韓国政府は 5 月 6 日、Dr.スリヴォン・ダラヴォング エネルギー鉱<br />
物省大臣と韓国経済省キムチョングクワン副大臣と会談し、韓国の資源会社(コーヘス)<br />
や電力会社(ケプコー)らが参加した。<br />
今回の会議ではラオスにおけるエネルギー鉱物開発政策等について質疑がも行われ、持続<br />
的な天然資源利用について韓国政府とラオス政府による協力等が話し合われた。<br />
(2009/5/7 ヴィエンチャンマイ紙)<br />
Tags:鉱物開発 土地・資源開発 韓国<br />
4.1.7.6 ベトナムの動向<br />
by kenichiro_yamada | 2009-05-10 17:<strong>21</strong> | 現地語新聞より | Trackback<br />
歴史的に関係の深い隣国ベトナム政府や企業も、鉱物資源分野で進出をしている。従来<br />
から、DGMV は、1/20 万地質図作成に協力してきている。下記のような企業の動きもある。<br />
第Ⅳ-6 参考引用:セポン郡で鉄鉱物調査:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 05 月 06 日<br />
セポン郡ラートホー村にてベトナムのラオ・ベトナム鉄採掘国際投資社による鉱物調査が<br />
開始されている。<br />
本調査は 2 年の予定で、ラートホー地区 36km2 の範囲で 2009 年 3 月 16 日付けの投資<br />
許可により調査を行っている。<br />
(2009/5/4 パテートラオ紙)<br />
Tags:サワンナケート 鉱物開発 コンセッション<br />
by kenichiro_yamada | 2009-05-06 23:35 | 現地語新聞より | Trackback<br />
4.1.7.7 ロシア<br />
歴史的に関係の深いロシアも鉱物資源に関心があるようである。<br />
第Ⅳ-7 参考引用:ロシア、アタプーで亜鉛調査を開始:ラオスのビジネスを読む。―ブ<br />
ログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 05 月 06 日<br />
ラオス政府はロシアの Neyland Joint Stock Company に対して 500 万ドルの投資で、<br />
アタプー県サーンサイ郡、サイセター郡の 2 郡における亜鉛資源量調査の認可を行った。<br />
- 152 -
10 月 12 日 MOU の締結式が行われ、トングミー計画投資省副大臣が参加した。<br />
調査は 5 年間で、165 平方 KM の地域で実施される予定。<br />
(2009/10/14 パテートラオ紙)<br />
Tags:アタプー ロシア 鉱物開発<br />
4.1.7.8 日本民官の動向<br />
三つの探査プロジェクトが進行中である。<br />
by kenichiro_yamada | 2009-10-17 16:46 | 現地語新聞より | Trackback<br />
民間では二つ。ボーキサイトに関する三井物産・英豪資源大手リオティント社の合弁に<br />
よる探査プロジェクトと、双日・日鉄鉱業の合弁による銅の探査プロジェクトである。<br />
官では、JOGMEC が共同探査契約を結んで探査実施中である。以下に順に紹介する。<br />
三井物産のオリジナル記事は、日経新聞朝刊に、2009 年 10 月 10 日に掲載された。以下<br />
では、NNA 社のフリーの記事から、引用紹介する。<br />
第Ⅳ-8 参考引用:《日系進出》三井物産、ラオスでボーキサイト探鉱社設立ヘ<br />
http://nna.jp/free/news/20091014icn001A.html 2009 年 10 月 14 日]<br />
三井物産はラオスで、英豪系資源大手リオティントと共同でボーキサイトの探鉱会社を<br />
設立準備中だ。早ければ設立後の 11 月にも本格的な試掘を開始する。将来は豊富な電力<br />
を利用したアルミナ製錬もラオスで行い、輸出する可能性もあるようだ。<br />
ボーキサイト探鉱権は、リオティントとともに昨年 12 月 22 日、南部セコン県とアタプ<br />
ー県のボロベン高原に広がる 484 平方キロをラオス政府から取得した。探鉱新会社はリオ<br />
ティントが 70%、三井物産が 30%出資。5 年以内に商業採掘とアルミナ製錬の可否を検討<br />
する。アルミナ製錬を行う場合の一般的な投資額は約 1,800 億円。仮にアルミ地金製錬ま<br />
で行えば 3,500 億円が追加投資として必要だという。ラオスは国土の 8 割が山岳地帯で、<br />
製錬に必要な安価な電力の利用が可能だ。<br />
なお、三井物産は 2005 年にビエンチャン駐在員事務所を一時閉鎖したが、その後、政府開<br />
発援助(ODA)以外にも鉱産資源や電源開発で有望な案件があることから昨年 6 月に再び開<br />
設している。<br />
■鉱床は 3 カ国<br />
ボーキサイト鉱床はラオス南部、カンボジア北東部、ベトナム中部高原に広がっている。<br />
3 カ国の中でも内陸深く開発が遅れている「開発の三角地帯」と一致する。<br />
カンボジアのモンドキリ州では、三菱商事と豪資源大手 BHP ビリトンが共同探査中だ。ベ<br />
トナムでは来年から国営ベトナム石炭鉱産グループ(ビナコミン)による本格的な開発が<br />
予定されるが、中国企業が建設を受注し、中国人労働者がすでに従事していたことや環境<br />
- 153 -
面での不安から、今年 5~6 月の国会で問題となった。<br />
次に、双日・日鉄鉱業の合弁による銅の探査プロジェクトについては、双日のプレス発<br />
表そのものを以下引用する。<br />
第Ⅳ-9 参考引用:双日、日鉄鉱業と共同でラオスに銅鉱床の探鉱権を取得<br />
~東南アジア有望地区の探鉱権を取得し、日本・アジア向け需要拡大へ対応~:<br />
双日のニュースリリース http://www.sojitz.com/jp/news/2009/20091001.html<br />
2009 年 10 月 1 日<br />
双日株式会社は、日鉄鉱業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:松本六朗)と共同で、<br />
ラオス人民民主共和国政府と、ラオスの首都ビエンチャンの西約 100 キロメートルに位置<br />
するムン地区(Moune District: 約 226 平方キロメートル)における銅鉱床の探鉱権を取<br />
得する契約を締結しました。銅鉱山の開発を目指し探鉱に着手いたします。本邦企業が同<br />
国において銅鉱床の探鉱権を取得したのは初めてです。<br />
【 ラオス・ムン地区周辺図 】<br />
日本は、年間約 130 万トン(銅分ベース)の銅鉱石を輸入しており、中国に次ぐ世界第 2<br />
位の銅輸入国です。現在は、南米からの輸入が全体の 6 割ほどとなっており、供給源を多<br />
様化することにより、供給の安定化を図ることは重要な課題です。そのため、本案件は資<br />
源確保の観点より、探鉱・開発の段階から日本政府によるラオス向け投資環境整備や資金<br />
面での協力を受ける予定です。<br />
ラオスは、銅鉱石の資源量が 600 万トン以上あると言われておりアジアの有望な銅資源保<br />
有国ですが、今後探査が進むにつれ、確認できる埋蔵量は更に増加すると期待されていま<br />
す。また、中国やインドなど今後需要が拡大していくアジア市場に向けて地理的優位性が<br />
あり、アジア向けの供給地としても重要な位置を占めるとみられています。<br />
銅は、インフラ整備・自動車・耐久消費財などに不可欠な金属として、今後も新興国を中<br />
心として高い需要の伸びが見込まれており、世界の年間銅需要は現在の約 1800 万トンから<br />
- 154 -
2012 年には 2000 万トンを越えることが予測されていることから、本案件の重要性は更に<br />
高まります。<br />
双日は、今後もアジア、北米、南米、豪州など環太平洋において、銅鉱山への出資・参画<br />
を検討し、銅の安定供給に貢献していきます。<br />
官の面での代表例として、JOGMEC のラオスでの活動に関する NEWS RELEASE を以下に紹<br />
介する。<br />
第Ⅳ-10 参考引用:JOGMEC、ラオス人民民主共和国で初の共同探鉱契約を締結<br />
http://www.jogmec.go.jp/news/release/docs/2009/pressrelease_090507_02.pdf<br />
<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年 5 月 7 日<br />
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC 理事長:河野 博文)は、<br />
アマンタ・リソーシーズ社(カナダ)とラオス人民民主共和国のルアンナムタ地域におけ<br />
る銅の共同探鉱契約(JV 調査)を締結しました。<br />
探鉱地域は首都ビエンチャンの北約 380km、ラオス北部のルアンナムタ州に位置し、鉱<br />
区面積は約 200km2。ルアンナムタ地域は、銅、モリブデンなど多くの金属を含んだ鉱床(多<br />
金属鉱床)の地域に属しており、その中でも銅鉱床の存在が最も期待される地域です。<br />
調査期間は、今年4月から 3 年間を予定しており、JOGMEC は探鉱費として 3 百万米ド<br />
ル負担することによって、当該鉱区権益の 51%を取得する権利を得ることになります。<br />
今回の JOGMEC とアマンタ・リソーシーズ社との契約は、これまで十分な探査が行われ<br />
ておらず鉱物資源ポテンシャルの高さから近年日本企業等の関心が高まりつつあるラオス<br />
において JOGMEC が実施する初めての共同探鉱です。本探査の結果、有望な成果を確認し<br />
た場合は日本企業に権益が譲渡され、我が国の資源の安定供給が確保されることとなりま<br />
す。<br />
■ プロジェクトの概要<br />
1)ラオスの鉱業ポテンシャル<br />
ラオスには、セポン金鉱山(埋蔵鉱量 60 百万t、金品位 1.7 g/t、銀品位 6.4 g/t)、カ<br />
ノン銅鉱山(埋蔵鉱量 68 百万t、銅品位 2.3%、金品位 0.2 g/t、 銀品位 12 g/t)、プー<br />
カム銅金鉱山(埋蔵鉱量 200 百万 t、銅品位 0.65%、金品位 0.25 g/t、銀品位 0.25 g/t)<br />
などがあります。いずれも豪州企業により 2002 年以降開山された鉱山で、<br />
近年、ラオスの鉱物資源ポテンシャルが注目されています。<br />
2)ラオスの鉱業権交付の現状<br />
ラオスでは、2002 年以降、探鉱権の取得のみを行い所定の探鉱活動を行わない転売目的等<br />
の鉱業権者、環境や地域社会への影響を無視して鉱業活動を行う鉱業権者が増加したため、<br />
ラオス政府は、2007 年 1 月より新規のライセンス発給を停止(モラトリウム)、既存のラ<br />
- 155 -
イセンス保持者でも適正な鉱業活動を行っていない者に対してはライセンスを取消し、適<br />
格企業に対し新たに鉱業権を交付する措置を講じています。<br />
3)ルアンナムタ地域の付与された探鉱権<br />
ルアンナムタ地域の探鉱権は、モラトリウム以降、政府が外国企業に鉱業権を発行した第<br />
1 号案件です。<br />
アマンタ・リソーシーズ社は、2008 年 6 月、ラオス政府から 5 年間にわたる探鉱権を得<br />
て鉱山開発可能性調査を実施することになっています。JOGMEC は、これに参入し銅鉱床・<br />
多金属鉱床の賦存可能性を調査します。<br />
- 156 -
ラオス・ルアンナムタ位置図<br />
4.1.8 ラオスへの支援策のオプション<br />
・当面の目標を、「ラオス国立大学 NUOL 工学部資源工学科設立支援」JICA 技術協力プロ<br />
ジェクトの立ち上げに置く。これは、同大学で 13 名の教官(うち 4 名は留学中)を擁して<br />
2 学年生(各 130 人)を、土木工学科の中のコースとして発足させているが、2013 頃から<br />
の学科としての独立に向けた支援。<br />
・具体的には、資源 Mining に偏った教官配置となっており、地質学(特に鉱床地質学、岩<br />
- 157 -
石・鉱物学等)の面からの教官を日本から専門家(大学教官・地質鉱山コンサルタント企<br />
業・鉱山企業から選抜:現役と OB を含む)派遣する。教官及び同予備軍やあわせて学生<br />
にも講義して地質学を授ける。<br />
・教える内容の中には、実際にフィールドに出て、地質図を作るような演習も行う。<br />
・CP の日本での研修も関係大学や、地質鉱山コンサルタント企業で行う。<br />
・地質学の履修や研究に必要な機材を供与する。<br />
・一番早ければ 2012 年(または 2013 年)から 5 年計画で実施。<br />
・このプロジェクト立ち上げ推進にもつながるので、まず 2011 年頃から、JICA 個別長期<br />
専門家派遣を行う。この長期専門家は技術協力プロジェクト開始後にも延長してその要員<br />
(リーダーまたはそれに準ずる立場)となる。<br />
・なお従来ラオスにおいて、長年鉱山地質人材を輩出してきたポリテクニックカレッジ PTC<br />
の教官(一部の優秀な学生も)や政府の地質局 DGEO、鉱山局 DOM も要員に対しても、<br />
講義等希望があれば聴講参加を認めるスキームが必要。<br />
・上記スキームの確立は重要。従来鉱山地質分野を支えてきた DGEO、DOM では、人脈も<br />
面でも PTC に肩入れしたいとの気持ちが強く、ラオス国立大学 NUOL 何するものぞとい<br />
う感じであるが、中長期的にみれば、いずれ官であれ民間であれ、指導的立場に就職する<br />
のは、やはり同国の最高学府 NUOL 卒業生となるのであろう。このため鉱山・地質セクタ<br />
ー全体に対する教育機能をこの「ラオス国立大学 NUOL 工学部資源工学科設立支援」JICA<br />
技術協力プロジェクトは有するべきであり、そのような基盤環境醸成にも個別専門家は活<br />
動してもらう必要がある。この点は重要。なお機器設備を NUOL におけば、PTC とは近い<br />
距離(同じ Sokpaluang 地区)であり、PTC の授業でも利用することは容易。<br />
・なお中国の鉱物調査・分析センターの内容はまだ不明であるが、大学における教育・研<br />
究機能の面で、最小限の分析機材・機器は必要不可欠である。<br />
・JICA 予算が厳しいことは理解できるが、鉱物のアジアの宝庫ともいえるラオスにおいて、<br />
日本からの知的貢献を設備の面でも、支える投入が不可欠。<br />
・また行政側(鉱山局 DOM)のニーズにあるように、休廃止鉱山対策や、鉱山の環境イ<br />
ンパクトの評価についての専門家(長期 and/or 短期)もこのプロジェクトにパッケージし<br />
ていくことが重要。<br />
・なお中長期的には、DOM が言っているようなトレーニングセンターの設置(職員だけ<br />
でなく、民間も利用できるような)への協力も面白いのではないかと考えられ、その機能・<br />
内容・サービス等について、検討を相互に深めていくことが、今後の別の課題である。こ<br />
のセンター構想については、すでに進出している外資系の鉱業企業の活躍に期待するとこ<br />
ろが大きいだろう。<br />
4.1.9 支援の具体的イメージ<br />
上述したラオス国立大学への支援を、もう少し付言展開すると、<br />
■JICA 技術協力プロジェクトとして立ち上げを目指す内容<br />
以下に記す①・②・③のアイデアを複合したプログラムを JICA 技術協力プロジェクト<br />
- 158 -
としての立ち上げを目指す。本プロジェクトの概念図を添付図に示す。<br />
① OJT<br />
・ 地質技術者の育成には,現場での調査経験が必要であり,日本企業が当該国に進<br />
出する場合にも,現地技術者の育成が急務である。野外地質調査能力は,優秀で<br />
経験のある地質技術者と帯同して,調査を行うことが最も重要である。<br />
・ JICA からの技術協力プロジェクトの業務委託契約等により,総括的な委託先とし<br />
て,JOGMEC・資源素材学会・資源地質学会等を想定する。その後,細分化され<br />
たコースを日本の資源系企業が受注する形式を想定する。<br />
・ 探査部門の研修では,調査地域の地質調査を日本の民間技術者とともに現地技術者<br />
(学生を含む)が共同して行い,地質・鉱床調査を行い,ルートマップの作成・地化<br />
学探査及び解析手法についての技術移転を行う。(場合によっては,衛星画像解析<br />
も含まれる)<br />
・ 最終的には,地質図・鉱床図等(数 km×数 km~20km×20km 程度)の作成を行う。<br />
・ 採鉱・選鉱・製錬・鉱山の環境インパクト評価・休廃止鉱山対策部門は,日本・当<br />
該国での鉱山研修により,OJT を行う。<br />
・ 対象者は,当該国の政府職員・民間技術者及び大学・大学院生。地質学科が当該国<br />
になければ,地理学や土木工学で地質学関連の基礎がある学生でも可。<br />
② 基礎教育<br />
・ 地質技術者の基礎的な探査・採鉱・選鉱・製錬・鉱山の環境インパクト評価・休<br />
廃止鉱山対策部門等の資源工学に関する技術レベルの向上を目指して,当該国で<br />
の研修(座学)を行う。(海外資源塾のような形式を想定)。<br />
・ JICA からの技術協力プロジェクトの業務委託契約等により,総括的な委託先とし<br />
て,JOGMEC・資源素材学会・資源地質学会等を想定する。その後,細分化され<br />
たコースを日本の資源系企業・大学等が受注する形式を想定する。<br />
③ JICA 長期・短期専門家によるフォローアップ<br />
・ 研修後に生じる実行上の問題は,JICA 長期・短期専門家により,フォローアップを<br />
行う。<br />
■ポイント<br />
・ OJT と基礎教育を同時期に関連させて実施することにより,習得した基礎知識を実際<br />
の現場作業に生かして,習得技術を当該国で現地適用が可能な人材を育成することは<br />
非常に教育的効果があると考える。<br />
・ 実際には,研修後に様々な疑問やさらに知識や経験を掘り下げたい場合も多々出てく<br />
ることが予想される。これらの問題は,JICA 長期専門家により,フォローアップを行<br />
うことで一時的な知識・経験の習得にのみならず,中長期的に研修の効果の定着が図<br />
れる。<br />
■参考 JICA 技術協力プロジェクトとしての立ち上げを図るために<br />
① 技術協力プロジェクトの方式とは?<br />
- 159 -
技術協力プロジェクトは,JICA の専門家の派遣・研修の受入/実施・機材の供与と<br />
いう 3 つの協力手段(協力ツール)を組み合わせ,一つのプロジェクトとして一定の<br />
期間に実施される事業である。<br />
② 技術協力プロジェクトにおける人材育成<br />
国際協力機構国際協力総合研修所(2005)によれば,JICA がこれまで途上国を対<br />
象に実施してきた技術協力プロジェクト計 961 件のうち,「人材育成型」のプロジ<br />
ェクトは,278 件であり,全体の約 3 割を占める。産業人材育成という観点から<br />
は,ASEAN 諸国では,インドネシア 1 件,タイ 2 件,フィリピン 2 件,ベトナ<br />
ム 4 件,マレーシア 2 件,ラオス 1 件の合計 12 件であり,分野としては,人的資<br />
源分野 7 件,通信放送分野が 4 件,社会基盤分野が 1 件となっている。この中に<br />
は,タイのタマサート大学工学部拡充計画やラオス国立大学工学部情報化対応人<br />
材育成機能強化なども含まれており,大学等の学部拡充などのプロジェクトも含<br />
まれる。<br />
③ 鉱業人材育成プロジェクトを立ち上げる際のポイント<br />
・ 今回提案したプロジェクトのアイデアでは,OJT(調査能力の向上・野外実習)を最<br />
重要視する。つまり即戦力としての教育内容を施す。この点が,鉱業マスタープラ<br />
ンと差別化を図る大きなポイントである。<br />
・ 地質学その他専門の基礎知識の不足は,講義形式の研修を事前に行うことにより,<br />
知識の補強を事前に行う。<br />
・ 業務委託のメリットとして,OJT による教育研修時に現地調査を行い,地質・鉱床<br />
データの取得ができるメリットがある。<br />
・ 政府の鉱業関連職員を研修目的で日本へ招聘し,日本の鉱山現場(石灰石等)を見<br />
学させることによって,日本における最新の環境保全のための操業・技術をアピー<br />
ルできるメリットがある。(資源権益取得の際に,日本企業が中国企業との環境に<br />
対する技術的差別化を図るために重要)<br />
・ また行政側(鉱山局 DOM)のニーズにあるように、休廃止鉱山対策や、鉱山の環<br />
境インパクトの評価についても専門家(長期 and/or 短期)もこのプロジェクトにパ<br />
ッケージしていく。<br />
- 160 -
4.2 ラオス鉱業国家機関<br />
ラオスにおいて鉱業に直接関係する組織は地質局(DGEO:Department of Geology)と鉱<br />
山局(DOM: Department of Mines)であり、エネルギー鉱山省(MEM: Ministry of Energy and<br />
Mines)の傘下にある。この他に首相府・水資源環境庁も鉱業に関して密接な管理監督上の<br />
地位を占め、また、外資による鉱業活動では、計画協力委員会による許認可と契約締結が<br />
それら国内鉱業活動の前提となる。他に探査、採掘活動の段階では、労働・社会福祉省、商<br />
務省、財務省が関係することとなる。以下、それらの概要について記す。<br />
4.2.1 エネルギー・鉱山省(MEM: Ministry of Energy and Mines)<br />
エネルギー・鉱山省は、2006 年に、工業(・手工芸)省 (MOIH: Ministry of Industry and<br />
Handicrafts)から、電力局と地質鉱山局が分離独立して発足した新しい省である。水力資源<br />
が豊富で外貨の稼ぎ手である水力発電を含む電力・エネルギー部門と、急速に発展してこ<br />
れも外貨を稼ぐ鉱業部門の重要性を背景に省が出来たものと推察される。(現在この MEM<br />
と上記 2 局のもと組織であった DGM のサイトが以前閲覧可能であったが、現在閲覧不可<br />
能となっている。)<br />
4.2.2 地質局 (DGEO: Department of Geology)<br />
以下地質局と鉱山局2局分の情報は、”Mineral Development Opportunities in Lao PDR”:<br />
Department of Geology and Department of Mines, MEM、JMEC アンケート回答とヒアリング<br />
よる。なお一時アクセスできなかったので直接盛り込まなかったが、DGEO と DOM の以<br />
前の組織名の下記の DGM のサイトが 2010 年 2 月末時点ではまたアクセス可能になってお<br />
り、Mineral Potential, General Geology, Geoscientific Data, Policy and Legislation, Concessions,<br />
Dep. Of Geology and Mines 等について整理された情報が閲覧できる。<br />
http://www.dgm.gov.la/<br />
地質局は、その前身である地質鉱山局(DGM)が、2007 年 4 月に、鉱山局と地質局に<br />
分離して発足した。<br />
以下の 4 課 1 ユニットの組織となっている。<br />
・管理課<br />
・地質課<br />
・情報課(図書館、岩石鉱物博物館、GIS ユニット)<br />
・分析課<br />
・地質調査ユニット<br />
主たる機能は以下のとおりである。<br />
・戦略的鉱物開発計画の案や地質作業に関連する規制の案を作成する。<br />
- 161 -
・国土全域で異なる縮尺で地質図を作成し、鉱物調査を実施する。<br />
・ラオスの地質鉱物のデータバンクを維持管理する。<br />
・鉱物調査・探査、地質情報、鉱物分析といった地質サービスを提供する。<br />
・地質科学に関する研究実施。<br />
キャパシティ<br />
・人員 61 人(内修士号保持者 15 人:地質学、選鉱鉱山、石油ガス鉱山、応用地化学、<br />
鉱物学、化学、内学士号保持者 15 人:地質調査、化学、鉱山、選鉱、IT、地理学)<br />
・地質科学にかんする技術経験が限られる<br />
・機能実現のためには、道具・機器・予算が限られている。<br />
4.2.2.1 DGEO 今回出張時面談内容<br />
(地質局にて副局長)<br />
日時:2010 年 1 月 11 日 火曜日 9:00-9:30<br />
場所:ラオス国 エネルギー・鉱山省 地質局(DGEO) 会議室<br />
参加者:ラオス国 エネルギー・鉱山省 地質局<br />
Ms. Chansavath Boupha 副局長<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山特別顧問より,本調査の概要・調査目的の説明があった。<br />
(Chansavath 副局長)<br />
・JMEC 調査団が来たことに感謝している。<br />
・Polytechnic college にも鉱山学科が出来つつある。DGEO の働き掛けでやっと出来た。<br />
・来年には卒業生が出る見込みである。1.5 年程度で地質学の基礎のある学生を募集して<br />
いる。Polytechnic college は 5 年制である。4 年・5 年で資源工学を勉強する。<br />
・Polytechnic college の学生は日本でというと高等専門学校のようなもの。去年鉱山学科<br />
のカリキュラムができたばかりである。<br />
(横山上級参事)2009 年では,8 人程度採用しているが,これは鉱山開発が行われているの<br />
を反映しているのか?<br />
(Chansavath 副局長)(のちのチャンソネ局長との会議で明らかになったが、新規採用で<br />
なく現職員 61 人の中から選抜した若手が 8 人という意味)GIS に関しては,フィンラン<br />
ドの専門家(援助)により,研修を受ける。学校に通うのではなく,専門家が DGEO に教え<br />
に来る。<br />
(横山上級参事)世界銀行の支援は?<br />
(Chansavath 副局長)エネルギー・鉱山省に限って,世界銀行から支援を受けている。5 年<br />
計画であるが,現在 MOU を検討している段階である。MOU 締結は 2010 年中頃で行いた<br />
いと考えている。Capacity Building ということで、人材育成も含む。<br />
(横山上級参事)具体的に DGEO としてはどのような分野を強化していきたいか?<br />
(Chansavath 副局長)ラオスでは,今後 1/20 万地質図と 1/50 万地質図を自力で作成出来る<br />
- 162 -
ような技術力が必要である。また,外国企業の調査結果をチェックできるようになること<br />
も必要である。JICA のマスタープランでは,2 地区の 1/20 万地質図を作成したが,同じ<br />
内容では,申請されても却下されてしまう。しかし,そのような調査の中で DGEO 職員の<br />
OJT にもなる。DGEO からの要望としては,地質データのデータベース化と分析機器の充<br />
実を図りたいのとそれらを使いこなせる人材育成を行いたい。<br />
(横山上級参事)中国の鉱物分析センターの進捗は?<br />
(Chansavath 副局長)これは局長案件であるが,詳細は局長のみが知る。これは,探査も<br />
できるし,鉱区取得もできるものである。<br />
(地質局にて局長)<br />
日時:2010 年 1 月 11 日 火曜日 9:30-12:00<br />
場所:ラオス国 エネルギー・鉱山省 地質局長応接室<br />
参加者:ラオス国 エネルギー・鉱山省 地質局<br />
Mr. Chansone Senebouttalath 局長(チャンソネ局長)<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前にチャンサバ副局長との面談したことも報告された。<br />
(横山上級参事)DGEO は現在 61 人の職員がいるが,2009 年~2010 年にかけて 8 人採用す<br />
るとなっている。人材育成に関する DGEO 全体の方向性はどのように考えるか?<br />
(Chansone 局長)今までは人材育成の要望を毎年政府に上げていたが,受け入れられなかっ<br />
た。1986 年まではベトナムに,1996 年までは旧ソ連に留学生を送っていた。この場合,<br />
留学生費用はすべて,旧ソ連政府が支出していた。ベトナムへは,ラオスでの中等教育(高<br />
校卒業程度)の学生がベトナムに留学して,修士号を取得して戻ってきている。ラオス国内<br />
では,DGEO 職員は,Polytechnic college の卒業生に依存しているのが現状だ。ラオスで<br />
は鉱業が振興し,国家財政にも寄与しているが,鉱業関連の人材は少ないので,人材育成<br />
の重要性を認識している。Polytechnic college(同校については、翌日当方らが予定にな<br />
かったが訪問して副学長から内容を聞けた。)の卒業生は 200-300 人程度いるが,今まで<br />
は高等教育機関がなかったが,3 年前に出来た。<br />
採用は担当省庁から枠の割り当てがあり、取れたり取れなかったり。17の県あるが、<br />
以前 MEM 全体で 15 人採用の時でも、5 人だけ本省で、10 人は各県の省の出先機関配属。<br />
採用時期は年 2 回。2 月と 9 月。<br />
・チャンサバ副局長回答の 8 人採用というのは新規採用 8 人したのでなく、フィンランド<br />
の支援プログラムで、GIS や Data Base を勉強するプログラムに近年入局の若手を 8 人選<br />
抜して充てたということ。<br />
(横山上級参事) Polytechnic college に DGEO が協力していることは何か?<br />
(Chansone 局長)地質データなどを提供している。Polytechnic college では、従来の<br />
Diploma(高校卒で 2 年間)に加えて、社会の要望があって高度化したいということで、3<br />
年前から High Diploma(1.5 年間)が出来た。またさらに 2 年間プラスで大学卒業資格<br />
- 163 -
Bachelor を取れるようにする計画が始まったところ。この Polytechnic college には、<br />
DGEO として卒業生も多く、鉱山・地質分野での人材養成に歴史的に貢献してきている。<br />
・一方 NUOL 国立ラオス大学では、工学教育で鉱山地質分野しようとしているが、実績が<br />
ない。しかし工学部で何かし始めているらしい。<br />
・職員の研修では,JICA の研修コースで行っている。ベトナムの民間企業から奨学金を<br />
もらってベトナムに留学する制度もある。鉱業関連にはとらわれず,1 年間に 10 人程度行<br />
っている。採用人数は,政府の人事院で決められる。新規採用は,2007 年~2008 年で 8<br />
名・2008 年~2009 年では,5 名の新規採用枠がある。年に 2 回程度の採用を行い,試用<br />
期間は 1 年である。<br />
(Chansone 局長)鉱山地質関係の教育については、このほか、最近ラオス国立大学 NUOL<br />
での動きや、ソパルワン専門学校(翌日当方らが訪問したところ、NUOL の工学部そのも<br />
のであり、その中の土木工学科に鉱山コースが 2 年前から設置されていたもの。)での動<br />
きもある。<br />
(横山上級参事)中国企業による鉱物分析センターについてお聞きしたい。<br />
(Chansone 局長)これは,中国系の Shin Houang Tao 社という民間企業と政府の合弁会社<br />
であり,化学分析を商業用として行うこと,DGEO と共同で探査を行うことを目的として<br />
いる。この合弁会社の収益の 49%をラオス政府に,51%を中国系企業に分配することとな<br />
る。4 億円を投じて建設中である。この合弁会社は,調査段階で人材の育成もできると考<br />
えている。調査を行う際の条件としては以下のようである。<br />
・DGEO が調査地域を決定し,協同で調査を行うが,調査費用は中国系企業がすべて負担<br />
する。<br />
・調査データはすべて DGEO の所有となるが,中国系企業は鉱区を取得しなくても調査を<br />
実施できる。その合弁企業は,鉱区を設定することもできる。<br />
・しかし,鉱区の認可の最終決定は,ラオス政府が行う。<br />
(横山上級参事) 中国系の Shin Houang Tao 社は,どのような企業か?<br />
(Chansone 局長)中国第 2 位の鉄鋼会社の子会社であり,商社のような機能を持っており,<br />
おもに中国への原料調達を行っている。この案件は,すでに MOU を締結し,分析センタ<br />
ーを建設中である。2010 年中頃からの営業を開始したいと考えている。<br />
(横山上級参事)DGEO 内の OJT に関してはどのように考えるか?<br />
(田中調査員)DGEO 内でも 40 歳前後の職員の持っている技術を 20 歳代の若手に継承して<br />
いくことが最も重要と考えられるが,DGEO ではそのような機会があるか?また,どのよ<br />
うなスキームを用いて行っているか?<br />
(Chansone 局長)OJT によって行っている。Polytechnic college とも協同で調査を行って<br />
おり,その際に OJT を行っている。以前は,毎週 DGEO 内部で技術移転のミーティング<br />
を行っていたが,最近は人数が集まらず,行っていないのが現状だ。技術を勉強するにも<br />
基礎知識をまず固めておくことが重要であり,職員になってからは,教科書に載っていな<br />
い事柄を経験していくようになる。まだシステムは固めてないので,大学卒の人間を OJT<br />
で教育するシステムがないような状況である。インターンシップなどの制度もあるが,十<br />
分でない。以前 JICA には,ラオス国立大学において鉱山学科新設のプロジェクト要請を<br />
提出したが,JICA 内でどのような進捗になっているかを知りたいし,ラオス政府として<br />
- 164 -
は,鉱山学科を作りたいと思っている。<br />
(田中調査員)Chansavath 副局長の回答によると,地質図を作成するような調査を実施す<br />
るような要望があるので,一つのアイデアをご紹介したい。地質技術者の能力の向上には,<br />
経験のある技術者と協同調査を行うということが大変重要。地質調査を通じた技術協力と<br />
人材育成を目的としたプロジェクトであれば,JICA の技術協力プロジェクトとして立ち<br />
上がる可能性はある。<br />
(Chansone 局長)いいアイデアだ。このとき,日本の民間企業から技術者を派遣する際の費<br />
用はどこから出るか?<br />
(田中調査員)JICA の技術協力プロジェクトにしたいと考えている。<br />
(Chansone 局長)JICA から資金が出ると,JICA から条件が付く場合があるので,それは<br />
DGEO としては,難しいこともあるであろう。<br />
(田中調査員)マスタープランと同じような条件で行えば,可能と思われる。<br />
(Chansone 局長)JMEC にお願したいのは,人材育成プロジェクトのアイデアをいくつか<br />
作成して,DGEO に提示して欲しい。それをもとに DGEO から JICA に要請してみたい<br />
と思う。<br />
(田中調査員)了解した。このプロジェクトでは,講義コースも併設したいと思っている。<br />
(Chansone 局長)アイデアが作成された段階で DGEO も全面的に支援したいと思うので,<br />
是非アイデアを作成・提案して欲しい。<br />
4.2.2.2 DGEO アンケート回答<br />
ラオス地質局DGEO<br />
この質問票記入責任者の氏名と職名:Mrs. Chansavath BOUPHA, Deputy Director<br />
General 副局長<br />
1. あなたの職場(organization)の組織はどうなっていますか?小単位ごとの名称と機能<br />
はいかがですか?<br />
・管理課、地質課、鉱物分析課、地質情報課と2つの地質調査ユニット。それぞれの課ユ<br />
ニットは4-15名。<br />
2. 職場の歴史:かつて職場はどこに属していましたか?<br />
・2006年以前は工業手工芸省MIHに属していた。2007年以降はエネルギー鉱山省MEMに<br />
所属。<br />
3. 職場の就業人数は?<br />
・61人<br />
4-1. 職場における博士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・なし<br />
4-2. 職場における修士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
- 165 -
・15 人(地質学、選鉱鉱山、地球物理、石油ガス鉱山学、応用地化学、鉱物学、化学等)<br />
4-3. 職場における学士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・15 人(地質調査、化学、鉱山、選鉱、IT、地理学)<br />
5. 職場における年齢構成/分布はどのような傾向と配置になっていますか<br />
6. 最近と過去における職員の新規採用はどんな状況ですか?<br />
・2-5 人。ただし無い年もある。(2009 年フィンランドのプログラムに 61 人の中から 8 人<br />
選抜)<br />
7. 職場での定年退職年齢は?<br />
・60 歳<br />
8. 政府に勤務していた人(あなたの職場で)が自発的に早期に退職した後、鉱山関係企業<br />
に就職する例はありますか?<br />
・あり(2005、2006 年に各1名)<br />
9. 鉱山関係企業に勤務していた人が自発的に早期に退職した後、政府(あなたの職場に)<br />
に就職する例はありますか?<br />
・なし<br />
10. あなたの職場の予算規模と小項目ごとの配分や構造はどうなっていますか?予算は十<br />
分と言えますか?<br />
・年間 400,000-100,000US$<br />
11. 職員の技術スキルについてどう評価していますか?<br />
(a)すべての分野で十分<br />
(b) ある分野では十分、しかしある分野では不十分<br />
(c) ある分野で不十分<br />
(d)すべての分野で不十分<br />
・(d)すべての分野で不十分(ほんの少しの職員が十分な能力)<br />
11-1. 職員が十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・いくらかある(any)<br />
11-2. 職員はその能力をどこでどのようにして身につけましたか?現在でもその方法は可<br />
能ですか?<br />
・海外からの援助プログラムのオンザジョブトレーニング:例:JICA プロジェクト(鉱<br />
業促進のための地質図作成と鉱物情報サービス)、ベトナムからの援助による北部ラオスの<br />
- 166 -
20 万分の 1 地質図作成と鉱物調査、海外でのトレーニング(DGEO に与えられる枠は小<br />
さい)<br />
11-3 職員が不十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・地質図作成、鉱物調査と探査、鉱床評価(鉱量計算)、地化学探査、物理探査、リモート<br />
センシング、鉱物分析など<br />
11-4. どのような手段で、またどのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれ<br />
ば良いとお考えですか?<br />
・ラオスには、2009 開始のジオサイエンス地球科学の学士コースしかない。ジオサイエン<br />
ス地球科学のトレーニングセンターや研究機関。国際機関からのトレーニング支援。ラオ<br />
スに鉱業投資している民間企業は DGEO 職員の技術力の向上にとって大変力になってい<br />
る。<br />
12. あなたの職場で職員の典型的な教育や職業のバックグラウンドやキャリア(政府に入<br />
る前/と入った後で)はどうなっていますか?<br />
・シニアな職員は 2009 年までジオサイエンスで学位授与学校がなかったので海外留学し<br />
た。化学者は国立ラオス大学を卒業している。<br />
13. 職場の職員に対する人材育成や教育の基本方針はどのようなものですか?<br />
・DGEO の責務を実行し、鉱物資源開発、ひいては国の社会経済開発に貢献出するように、<br />
DGEO 職員のジオサイエンスの知識と経験を向上させること。<br />
14. 職場内と外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースについてお尋ねします。<br />
-どれくらいの頻度で?<br />
-どのようなコースが(内部/外部)?<br />
-何人が参加可能ですか?<br />
・ラオス-フィンランド・インスティチューション・キャパシティ・ビルディング・プロ<br />
ジェクト(2009-2011:組織能力開発プロジェクト)による:GIS コース<br />
・ラオス-ベトナムボーキサイト調査プロジェクト(2006-2009)による:鉱物調査・探<br />
査トレーニング<br />
・約 7-8 人<br />
14-1. 日々の業務の中でどのような OJT 訓練が実施されていますか?あるいはどのよう<br />
な仕事が職員の技術能力の向上に良いですか?<br />
・地質・鉱物図の作成、鉱物分析、GIS<br />
14-2. 職場では、通常業務を離れての海外における訓練コースや教育機会を有しています<br />
か?<br />
・数少ない。<br />
- 167 -
15. 海外の技術専門家が職場に滞在して(過去の滞在した)、何かを教えたことがあります<br />
か?どの国からでしたか?どれくらいの期間?どのような分野でしたか?<br />
・ラオス-フィンランド・プロジェクトにより、GIS とデータベースの専門家が来ている。<br />
16. 大学や教育機関や研究機関または鉱業企業と鉱山学や地質学の分野で協力関係を構築<br />
していますか?(この質問は国内と海外両方についてお答えください。)<br />
・DGEO はポリテクニック・カレッジと協力してきている。(DGEO は地質図作成につい<br />
てトレーニングを提供している)<br />
17. 鉱山学・地質学での貴国の大学や教育機関や研究機関について、どのように評価され<br />
ていますか?<br />
・(ラオス)国立大学とポリテクニック・カレッジは、外国の大学と協力してきている。<br />
18. もしこの分野での大学、教育機関、研究機関が貴国にない場合には、そのようなコー<br />
ス(鉱山学や地質学)を設けることについての意見や希望をお聞かせください。<br />
あなたはそのようなことは必要とお考えですか?<br />
・ジオサイエンティストが不足(公的にも民間でも高いニーズがある)しており、ジオサ<br />
イエンスの分野で学士号コースが、整備される必要がある。<br />
19. 鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
・エネルギー鉱山省 MEM は、現在世界銀行に、水力発電と鉱山分野についての、能力開<br />
発(Capacity Building)について、技術援助を要請している。<br />
20. 同じ質問ですが、特に日本に期待したいことについて<br />
・DGEO は能力開発に力点を置いた第 2 次地質図作成プロジェクト(注:第 1 次は JICA<br />
「ラオス国鉱業分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備計画調査」2006-2008 年と<br />
して、実施:三菱マテリアルテクノ・国際航業)を要望している。<br />
<strong>21</strong>. 貴国の鉱業活動についての評価<br />
-経済的に<br />
-地域的に<br />
-輸出の観点から<br />
・ラオスにおいて鉱業セクターは、2007-2008 年には鉱物生産物が全輸出額の約半分を占<br />
め、国家財政収入を生み出し、地域の人にとって何千人もの雇用を創出し、ひいては貧困<br />
の減少と国の社会-経済開発に寄与しているという点で、最も重要な経済セクターのひと<br />
つである。<br />
・2009 年 11 月現在では、154(36 がラオス企業で 118 が外国企業)の鉱業会社が 270 の<br />
プロジェクトに投資している。<br />
- 168 -
22. 鉱業関係産業について開発の目標がありますか?<br />
・2011-2015 年の鉱業の期待成長率は、13-15%。<br />
23. 金属鉱山では貴国では将来どのような鉱種が繁栄するとお考えですか?ベスト3を上<br />
げてください。<br />
・金、銅、アルミニウム<br />
4.2.3 鉱山局 (DOM: Department of Mines)<br />
地質鉱山局から分離独立した鉱山局には、5課があり、それぞれの事務内容は下記のと<br />
おり。<br />
・管理課:秘書・情報・職員の訓練計画、局財産管理、実施事務の要約<br />
・技術課:探査と開発について技術スタンダードの研究、探査実施と鉱業活動のモニター<br />
・鉱業権課:鉱物投資プロポーザルの研究と鉱業権システムの管理、鉱物統計の維持<br />
・環境・鉱山監督課:鉱業活動による環境・社会影響評価の研究、鉱山の環境保護と衛生・<br />
保安に関するルールと規制の案を作成すること<br />
・契約・法律課:鉱業法と、鉱山プロジェクトの鉱物探査生産契約(MEPA)のモニター、<br />
鉱業法と鉱業政策の改訂案の作成、マイニングライセンスの発給<br />
人員は、34名(内博士号2名、修士号 11 名、学士号 7 名、残りは High Diploma(短大)<br />
卒)<br />
4.2.3.1 DOM 今回出張時面談内容<br />
日時:2010 年 1 月 11 日 火曜日 13:30-15:00<br />
場所:ラオス国 エネルギー・鉱山省 鉱山局 副局長室<br />
参加者:ラオス国 エネルギー・鉱山省 鉱山局<br />
Dr.Simon Phichith 副局長<br />
Mr.Eravanh Boungnaphalom 環境/鉱山保安課長(Director of Environment and<br />
Mining Inspection Division)<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前に地質局長・副局長と面談したことも報告された。<br />
(横山上級参事) DOM の組織について,まずお聞きしたいと思う。<br />
(副局長)DOM は 5 つの課に分かれている。局長が 1 名,副局長が 2 名である。管理課・<br />
鉱区課・技術課・法律課・環境/鉱山保安課に分かれている。おもに DOM の役割としては,<br />
外国資本の投資の促進・投資企業の監督を行う。以前は,地質局と同じだったが,2007<br />
年 4 月に分離された。鉱山局の職員は,34 名であり,博士号取得者は 2 名,修士号が 11<br />
人程度,ほかは学士 7 名,残りは高等教育卒 19 名である。このうち 3 名は,学士号取得<br />
中である。おもな仕事としては,企業活動の監督・投資促進のための法整備等が多い。<br />
- 169 -
(横山上級参事)新人採用の状況は?<br />
(副局長)筆記試験を課し,鉱山にかかわるような分野の卒業生であれば優遇することもあ<br />
る。採用人数に関しては,政府全体で決められる。今年は,地方部局への割当人数が多く<br />
本省の採用が少ないと聞いている。最終的に採用人数は,2008 年~2009 年は 12 人程度<br />
であり,8 名を Polytechnic college から採用した。<br />
(横山上級参事) Polytechnic college のどのような学科を卒業しているのか?また教育省の<br />
所管であるか?<br />
(副局長) Polytechnic college では,地質及び鉱山学関連の学科である。教育省の所管であ<br />
る。<br />
(副局長)本省をリタイヤしたのちに民間企業の顧問になる場合はある。<br />
(横山上級参事)鉱山局の職員のキャリア・バックグランドはどのようになっているか?ロ<br />
シアなどへの海外留学等はしているか?<br />
(副局長)鉱山局の幹部はロシア留学経験がある。副局長もロシア留学している。チェコや<br />
ベトナム留学者もいる。東欧諸国やロシアが多い。2 名は現在,タイで修士号を取得する<br />
予定である。日本などへは短期留学を行うことが多い。若手は polytechnic college から採<br />
用している。ベテランは海外留学経験者が多い。以前は,中学校を卒業して,polytechnic<br />
college に入るケースが多かったが,現在は,ほとんどが高校を卒業して polytechnic<br />
college に入学する場合が多い。学生は多くは,ラオス国立大学に入りたかったが,入れな<br />
かったので,polytechnic college に入ってくる。<br />
(横山上級参事)polytechnic college は,中学卒業から入ると何年が修業年数か?<br />
(副局長)polytechnic college の中等が 3 年間は,高等が 4 年間,大学だと 5 年間である。<br />
(横山上級参事)そうすると,高校卒業生が polytech で 4 年間勉強しても,Bachelor が取れ<br />
ないが,さらに 2 年間勉強すると Bachelor が取れるということですね。<br />
(横山上級参事)鉱業法が 2009 年 12 月に施行されたというが,実際はどうか?<br />
(副局長)2008 年 12 月 8 日で鉱業法が国会で承認された。大統領(国家主席)の承認は,<br />
土地法などとの齟齬がないか検討していた。大統領の署名は,2009 年 12 月 18 日に行わ<br />
れた。鉱業法はその日から施行される。新しい鉱業法に合わせたいと考える企業は(探鉱契<br />
約を変更しない場合には不必要),122 日以内に申請を行う必要がある。MEPA の適用は現<br />
在は,セポンなどいくつかに限られ、ほとんどない。今まで世界銀行の協力のもとに新鉱<br />
業法を作成してきた。しかし,首相令で細則を定めるので,それが定まらないと実際的な<br />
運用はできないため,首相令が出てからの実際の運用となる。たとえば,更新に関しては,<br />
年数は決めてあるが,更新の条件は,定められていない。調査権は,更新は 2 年以内で,<br />
更新は 1 回できるが,その期間は 1 年間である。そのあとは,調査権を放棄するか,探鉱<br />
権に移行するようになる。<br />
(横山上級参事)鉱業の国家収入に占める割合はどのくらいか?<br />
(副局長) 2007 年の Sepon 鉱山の輸出額は,625 百万ドル,それによるラオス政府の収入<br />
は,140 百万ドルであった。政府の目標としては,単年度で考えるのではなく,鉱区が終<br />
わるまでは,輸出額の 40-45%程度がラオス政府の収入にしたいと思っている。Sepon 鉱<br />
山の場合は,金価格が 380 ドル/oz の時,40%程度であった。800 ドル/oz であれば,ラオ<br />
ス政府には 48%程度となる。その割合よりも小さいときは,あまり認可したくないと考え<br />
- 170 -
ている。<br />
(横山上級参事)国家計画としての鉱業開発計画のようなものはあるか?2015 年ごろまで<br />
を見据えたものはあるか?<br />
(副局長)一つは農業国家から鉱業国家に移行したいと考えている。有力な鉱種としては,<br />
銅・ボーキサイト・錫・鉄鉱石・石炭などを考えている。ボーキサイトは電力が不足して<br />
いるので開発まで至っていない。各企業の F/S などを考慮して今後の計画を作成すること<br />
としたい。<br />
(田中調査員)Salamandar 社が石油探鉱をしているとの報道があったが,現在はどうか?<br />
(副局長)近々にボーリング調査を開始する予定である。深さは 3900m 程度。Savanakhet<br />
県で行うこととなる。<br />
(環境・鉱山保安課長)DOM としては,日本を通じて,最新の情報を知りたいと思っている。<br />
先ほどの polytechnic college に関して,現在中等教育は 2 年,高校卒業してからの高等教<br />
育は 3 年である。高等教育を卒業した人間が学士号をとるためには,さらに 2 年かかる。<br />
日本の最新の技術には興味がある。とくに休廃止鉱山の管理などに興味がある。J-Coal の<br />
プログラムで日本へ行く予定である。<br />
(横山上級参事)それはどのようなプログラムか?研修の内容は?<br />
(環境・鉱山保安部長)クリーンコール技術に関するコース。座学・study tour のようなも<br />
のである。<br />
(横山上級参事)日本に対して期待する支援はどのようなものがあるか?<br />
(環境・鉱山保安部長)10 名程度の技術者がいるが,人材育成では,環境インパクトを評価<br />
出来る技術者が必要である。今まで他国で鉱山に関する環境問題で失敗した例があるので,<br />
その轍を踏まないようにしたい。<br />
(田中調査員)環境関連の技術者はどのような大学・学校を卒業しているか?<br />
(環境・鉱山保安課長)国内のラオス国立大学で環境学を学んでいる人がいる。Polytechnic<br />
college 出身者はいない。本当に経験のある技術者は 2 名しかいない。その他では,豪州・<br />
タイ・シンガポール・日本・スウェーデンなどでの研修を行っている。<br />
(横山上席参事)鉱山の環境問題としては,具体的にどのようなものがあるか?<br />
(環境・鉱山保安課長)国会では,他国の例を見ている。ラオスでは環境と開発を両立した<br />
いと考えている。中国企業の例などは,規模は小さいが,採掘跡処理対策などをせずに引<br />
き上げてしまう事例などがある。<br />
(横山上席参事)副局長の日本に期待する支援は何か?<br />
(副局長)まず DOM 職員のレベルアップを行いたいと思っている。今まで海外留学制度が<br />
なかったので,海外留学を経験させることが必要である。できれば,高校卒業程度で海外<br />
留学ができるとよい。また,奨学金制度の拡充なども考えられるであろう。技術レベル向<br />
上の観点からは,最新技術の導入も必要である。これらを実現するためには,日本での短<br />
期講習なども受けたい。具体的には,鉱区を管理するための技術(衛星画像を含む),GIS<br />
関連技術で鉱区と水力発電との重複などをチェックする機能などが求められる。さらには,<br />
鉱山評価・F/S 評価できる能力や労働衛生管理能力が必要とされる。どうしてもラオス政<br />
府の人材だけでは限界があるので,トレーニングセンターの設置(職員だけでなく、民間<br />
も利用できるような)なども選択肢となる。<br />
- 171 -
4.2.4 外国投資を管理する組織:投資奨励管理委員会(CPMI: Committee of Promotion and<br />
Management of Investment)<br />
改正外国投資奨励法(2004 年)により、国内外の投資を区別しないことを原則とするこ<br />
ととなったが、計画投資委員会(CPI: Committee of Planning and Investment)のもとに設置<br />
される投資奨励委員会 CPMI が、外国投資を監督する。CPMI は中央レベルと地方レベル<br />
の 2 つから構成される。<br />
中央レベルの投資奨励委員会 CPMI は、以下の権限を持つ。<br />
①第Ⅰ種(一般)、第Ⅱ種(条件付き)もしくは第Ⅲ種(免許権を必要とする:鉱業はこの<br />
範疇)の外国投資許可分野に属し、投資額 2,000 万ドル以下の投資案件の認可<br />
②第Ⅲ種外国投資許可分野に属し、投資額 2,000 万ドル以上の投資案件については、投資<br />
奨励委員会 CPMI は、投資許可申請書を提出し、閣僚会議の判断を仰がなければならない。<br />
③投資許可証への署名<br />
改正外国投資奨励法(2004 年)では、ラオスへの投資形態を以下の 3 形態に規定してい<br />
る。投資ライセンスの期間は、3 形態とも通常 50 年、最長 75 年である。<br />
・業務提携:新たな法人を設立せず、国内および外国法人とが互いに業務を提携すること。<br />
・合弁企業:登録資本は 10 万ドル以上で、外国企業は 30%以上の出資をする必要がある。<br />
・100%外資:ラオスに設立される 1 社のみによる外国投資企業のこと。<br />
内国外国投資振興局 (DDFI) は計画共同委員会の下で外資による投資の促進を図る観点か<br />
ら、その審査と許認可を行う窓口となっている。<br />
1994 年に成立した新外国投資法は、投資側の権利や資本を守る内容となっており、投資<br />
家の利益をラオスから自国へ持ち帰ることも認められている。ラオス政府との合弁や 100%<br />
外国企業による投資も認められている。投資に必要な機械の輸入関税は既に 1%と低率で<br />
あるが、今後更に改善して 0~1%に削減する方向で準備中との事である。また、鉱山開発<br />
にかかる利潤税は 20~30%、ロイヤルティは 2~5%とされている。<br />
ラオスのインセンティブは賃金が安いこと(最低賃金 10 ドル/月)と、鉱物資源を始めとする<br />
天然資源が豊富である点である。ラオス政府は、採掘だけでなく国内で製錬等の加工を行<br />
い、より付加価値の高い輸出の増加を推奨しており、その観点から外資による鉱業プロジ<br />
ェクトの招致を期待している。<br />
なお所轄官署は、ラオス投資奨励局(IPD:旧内国外国投資振興局 (DDFI: Department of<br />
Domestic And Foreign Investment))となり、これはは、ラオス計画投資省(MPI)のもとに<br />
設置されている部局であり、上述の投資奨励管理委員会(CPMI)は、MPI に設置された委<br />
員会である。<br />
*本項目は、「ラオス投資ガイド」ASEAN-Japan Center 2009 年版 鈴木基義著を参照した。<br />
第Ⅳ-11 参考引用:ラオス向け投資が急拡大 資源開発やサービス、09 年は 3.5 倍に<br />
日経ネット 2010 年 1 月 18 日<br />
- 172 -
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100118ATGM1100Z18012010.html<br />
【ハノイ=岩本陽一】東南アジア諸国連合(ASEAN)で国内総生産(GDP)の最も<br />
少ないラオスに、外資が積極的に進出し始めた。2009 年の同国向け海外直接投資(FDI、<br />
認可額ベース)は前年比約 3.5 倍の 43 億 1200 万ドル(約 3900 億円)に急増。成長が加速<br />
する首都ビエンチャンでは、富裕層や中間層を狙ったプロジェクトが相次ぐなど、潜在市<br />
場の開拓に向けた動きが本格化しつつある。<br />
ラオス向け直接投資は 06 年に 26 億ドルに拡大した後、伸び悩んでいたが、09 年に過去<br />
最高を更新した。規模は隣国のベトナムの5分の1にすぎないが、増勢は際立つ。09 年は<br />
経済成長のけん引役となる資源開発が急増、サービス、製造業も伸びた。(18 日 18:47)<br />
中国は目覚ましい投資活動を展開している。<br />
第Ⅳ-12 参考引用:世界金融危機の中、サワンナケート県への投資が増加:ラオスのビジ<br />
ネスを読む。―ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 05 月 18 日<br />
サワンナケート県計画投資事務所は第一から二四半期における内外からの投資が 23 事業<br />
1900 万ドルとなり中国からの投資が最大であると報告している。<br />
6 ヶ月間における外国投資は 9 事業で、総投資額が 1100 万ドルとなっており、うち中央<br />
政府認可が 6 事業 800 万ドルで、そのうち 500 万ドルは中国のラオカイユアン鉱物社、<br />
300 万ドルは DMC VTS 社による投資である。<br />
また県による認可は 6 事業 30 万ドル。<br />
いずれにせよ、現在までに 79 事業総額 9 億 8627 万ドルの投資が行われており、うち中<br />
国が第一投資国で 23 事業ベトナム 10 事業となっている。<br />
投資分野は農業が最も多く 27 社、5 億 3100 万ドル、工業 22 社 6000 万ドル、エネルギ<br />
ー鉱物 5 社 3350 万ドル、サービス 22 社 5800 万ドルとなっている。<br />
(2009/5/12 パサソン社会経済紙 2 面)<br />
Tags:サワンナケート 鉱物開発 中国南進<br />
by kenichiro_yamada | 2009-05-18 09:34 | 現地語新聞より | Trackback<br />
第Ⅳ-13 参考引用:中国からの投資:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2008 年 08 月 23 日 (参考再掲)4.1.7.4 中国からの投<br />
資)<br />
中国からの投資は 1990 年から 2007 年までにおいて 284 事業で、11 億ドル、12 セクタ<br />
ーに及んでいる。<br />
- 173 -
■鉱物資源開発<br />
2001 年から 2007 年までの鉱物事業認可は 109 社 171 事業(外国企業は 64 社 92 事業)<br />
で、うち掘削調査が 50 事業、鉱物調査が 72 事業(FS 段階は 3 事業)。<br />
64 社の外国企業のうち中国系は 37 社、ベトナム系 11 社、タイ 6 社、オーストラリア 4<br />
社、ロシア 2 社、韓国 1 社、ポーランド 1 社、シンガポール 1 社。<br />
(2008/5/12 パサソン社会経済紙)<br />
■鉱物開発 10 事業、水力発電開発 65 事業を認可<br />
ラオス政府は 2010 年までに鉱物開発を 10 事業認可する計画にしている。<br />
また外国からの投資に拠る水力発電ダム開発 65 事業に及んでいる。<br />
エネルギー鉱物省ボーサイカム大臣は、2010 年までに 10 採鉱事業を認可する予定であ<br />
ると認めている。2001 年より 2008 年 5 月までの鉱物開発認可状況は、118 社・181 事<br />
業(うち外国企業 72 社・101 事業)の調査認可が降りており、大きな事業としてはオー<br />
ストラリアによるセポンおよびプービア金・銅採掘事業が挙げられる。また将来的に大き<br />
な事業としてはラオス南部におけるボーキサイト・アルミニウム精錬事業で中国企業によ<br />
り 2 億ドル以上の投資で 2 年後から開始される予定となっている。<br />
いずれにせよ現在ラオスで認可されている鉱物開発および水力発電事業は総国土面積の 1<br />
0%に達しており、<strong>21</strong>0 万 ha に及ぶ。<br />
また、2001 年より 2008 年 5 月までにエネルギーおよび鉱物セクターへの中国からの投<br />
資は最大で 39 社、二番目はベトナム 16 社、タイ 6 社、その後オーストラリア、韓国、<br />
ロシアと続く。<br />
(2008/7/23 パサソン社会経済紙)<br />
- 174 -
■中国、10 億ドル以上をラオスに投資<br />
中国は 10 年来ラオスへの投資が多く 12 部門 284 プロジェクト、工業手工業セクターで<br />
は 68 プロジェクト、農林業セクターは 40 プロジェクト、鉱物開発 49 プロジェクト、サ<br />
ービスセクターでは 34 プロジェクトにおよぶ。<br />
工業セクターでは 2 億 9000 万ドル、鉱物資源開発では 1 億 5000 万ドル、農林業部門で<br />
は 5300 万ドル、サービスセクターでは 2 億 2400 万ドル、さらに重要なのは電力エネル<br />
ギーセクターで、ナムグム5、ナムリック、またナムハー2 箇所調査、ナムフアング調査、<br />
パークライ地域のメコン川調査、ペークベン調査など 3 億ドル。<br />
(2008/3/12 パテートラオ紙一面)<br />
ベトナムからの投資も急増している。<br />
- 175 -<br />
by kenichiro_yamada<br />
第Ⅳ-14 参考引用:上半期、ベトナムからの投資が 10 億ドル以上に:ラオスのビジネス<br />
を読む。―ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 05 月 19 日<br />
上半期におけるラオスへの内外の投資は 116 事業 33 億 6900 万ドルで、うちベトナムが<br />
最も多く 10 億ドルを超える。うち 5 星ホテル・ゴルフ場建設等のロングテンゴルフ社に<br />
よるサービスセクターへの投資が 10 億ドル以上で、その他ヴィエンチャン市内のカリウ<br />
ム採掘事業等が挙げられる。その他にもラオス政府による鉱物資源調査への認可としてベ<br />
トナムのイサコ社へのアタプー県サマキーサイ郡・サナームサイ郡への赤銅調査(396km<br />
2)、4 年間 700 万ドル。ホートファス森林鉱物社によるルアンナムター県での赤銅資源調<br />
査(68km2)、6 ヶ月 300 万ドル。カヴィコ社ヴィエンチャン県ホム郡における赤銅資源<br />
調査がある。<br />
(2009/5/15 パサソン社会経済紙) by kenichiro_yamada
4.2.5 水資源環境庁(首相府) (WREA: Water Resources and Environment Agency)<br />
水資源環境庁は、首相府の中に置かれ、環境保全と公害予防・除去に係る役割を担う。<br />
鉱業プロジェクトの許可については、外資の場合、先ずラオス国内での企業活動は DDFI<br />
による許可が必要とされ、次に鉱業活動に関しては DOM、DGEO が探査・採掘の各許可を<br />
検討することとなるが、この過程で更に WREA による環境影響評価など環境保全の面から<br />
の審査が行われ、これらすべてがクリアされて許可が出されない場合にはプロジェクトを<br />
開始することができない。<br />
4.2.6 労働・社会福祉省 (MOLSW: Ministry of Labor and Social Welfare)<br />
ラオスにおける外資の事業ではラオス人の優先的雇用が原則であり、採用後の職能訓練<br />
や研修が要求されており、外国人の雇用は国内技術者の不在などやむを得ない場合に限り<br />
例外的・過渡的措置として申請の上で認められる。これら外国人雇用についても、ラオス人<br />
技術者の教育と養成を続け、順次代替を行っていく必要がある。<br />
労働福祉省は、これら被雇用者の雇用・労働条件、福利厚生、年金基金積み立てなどでの<br />
管理・監督を行うこととなる。<br />
4.2.7 財務省 (MOF: Ministry of Finance)<br />
財務省では、金融監督局、国有財産管理局がラオス政府と外資との合弁事業に関して財<br />
務と資産状況の監督を実施する他、外資の活動に関しては関税局、税務局、地籍・住宅施設<br />
局などが輸出入、徴税、土地・資産貸借などの業務で管理監督を行うべく規定されている。<br />
また、具体的な手続きとして、外資はラオス国内での活動許可を取得した後に、財務省<br />
から直接投資許可と営業許可(両者の Tax Regulation 証明)を取得し、毎年更新することが要<br />
求される。<br />
4.2.8 商務省 (MOC: Ministry of Commerce)<br />
商務省では、外国貿易局が輸出入に係る業務全般を管理・監督することとなる。<br />
4.2.9 ラオス人民民主共和国国立銀行 (The State Bank of the Lao PDR)<br />
鉱山操業に当たっては、国立銀行により公布された規則に従い、事業の保証をする基金<br />
の設置が必要とされる。<br />
- 176 -
4.3 鉱業政策概要<br />
ラオス政府による市場経済への移行による経済構造改革の政策の中では、天然資源の探<br />
査・開発を含む鉱業分野に対する政策が重要な位置を占めている。中でも、ラオスへの海外<br />
投資呼び込みの増加を目指す分野として鉱物資源開発が政府から注目されている事は鉱物<br />
資源開発と海外投資家の役割がラオス経済開発に重要な役割を担うと認識されている事を<br />
よく示している。<br />
新たな海外投資と鉱業分野の振興を目指す政策の一環として、当局は経済振興関連立法<br />
や投資環境改善などを中心に広範な財政改革を開始している。<br />
他にも海外企業との JV 事業契約の条件緩和など対外関係の改善を目標とした政策の実<br />
行を通じて鉱業分野への民間投資促進の道が整備されつつある。これらの改革に沿って、<br />
ラオス政府は国際的に活動している鉱山会社などに新たな投資の機会を与えてきている。<br />
政府による鉱業の位置づけは、ラオス経済を成長させる原動力として鉱業分野の再活性<br />
化をめざし、かつての経済的停滞と政治的不安定によって生じた社会インフラの貧困と経<br />
営指導の衰退を回復することで、その実現を模索している。<br />
1986 年の初めに政府は中央集中の計画経済から、自由市場原理に裏打ちされた混合経済<br />
モデルへの切り換えを目指した政策改革のパッケージを明らかにしたが、その改革政策の<br />
最も重要な部分が新経済機構(New Economy Mechanism)である。<br />
同国の鉱業分野はこれらの改革により最も影響を受けるものの一つであり、それらの多<br />
くは海外投資家を念頭に置いた投資条件の改善と共に特別にデザインされてきている。<br />
この事実は、鉱業法やその施行令などでの外国投資に係る規定部分から明らかであり、<br />
それらにより、鉱業分野での事業において海外の民間部門が被ってきた手続きの困難さを<br />
合理化し、能率化することを目指している。<br />
新経済メカニズムにおいて、鉱業分野への海外投資招致を指向する手段としては、税法<br />
上の海外投資優遇の振興と管理に係る法律、財務規程、鉱業法及び、製造分野に対する輸<br />
出指向の経済政策が含まれる。<br />
これらの経済的、法的な改革を鉱業分野で進めるため次の政策が採用された。<br />
・ 商業探査と新鉱山開発における海外投資の促進<br />
・ 鉱業分野プロジェクトでの鉱物生産に対して、財政面で奨励策として、権利使用料の低<br />
率化や、所得税率の優先的交渉権などの改善措置<br />
・ 新鉱業法での鉱区保有保証により、探査での発見鉱物の開発権の自動的取得<br />
・ 小規模、大規模鉱業免許共に探査及び開発(生産)権の譲渡の確保<br />
全体的にみて、ラオスはその鉱物分野の制度拡充に関して評価は良いものと見られる。<br />
鉱業分野が拡大する可能性として有利な要素としては、東南アジア型の高度経済成長の<br />
入口にいること、経済が成長すれば、同国の鉱物産品需給・流通や海外資本・専門技術に対<br />
する各潜在的な市場を提供し得ることなどが挙げられる。<br />
- 177 -
第Ⅳ-15 参考引用:国家主席 3 法の施行に関する主席令を公布:ラオスのビジネスを読む。<br />
―ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 12 月 29 日<br />
国家主席は、鉱物法、ネオラオサンサート法、漁業法の施行に関する首相令を公布した。<br />
(2009/12/24 パテートラオ紙)<br />
----<br />
鉱物法は 2008 年 12 月の国会通過後実に 1 年を要して施行となりましたね。<br />
- 178 -<br />
by kenichiro_yamada<br />
注:新鉱物法は、施行されたばかりで、出張中入手しようとしたが、まだ英語版が無いと<br />
いう状況であった。<br />
4.3.1 制度概要<br />
以下は下 DGEO・DOM 資料—2008 年 3 月カナダ PDAC 総会発表用パンフレット-“Mineral<br />
Development Opportunities in Lao PDR”: Department of Geology and Department of Mines,<br />
MEM:2006-2008 年 JICA 調査「鉱物資源分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備<br />
計画調査」の担当企業「三菱マテリアルテクノ株式会社」より頂いたものに基づく。<br />
ラオス政府では、鉱業法と投資法のフレームワークのもと、国内海外の投資を鉱業分野<br />
に促進しようとしている。投資促進のゴールは、<br />
(a)原材料のステップ・バイ・ステップの輸入を減少させ、<br />
(b)国内市場と輸出に半製品または製品の形で工業的加工が出来るように、鉱物資源を採取<br />
する、<br />
ことである。<br />
さらに鉱物資源の採取は、環境保護、コミュニティ開発、地域経済および雇用開発に、<br />
調和を持って開発されなければならない。<br />
現在ラオス政府は、鉱業を国の社会―経済開発の優先セクターの一つと位置付けている。<br />
鉱業からの収入が、全国大での急速な貧困の撲滅とラオスが最少開発途上国のリストから<br />
卒業することに重要な貢献となるだろうということが期待されている。<br />
(別の資料や政府関係者の話によると、輸出額の約 5 割、国家収入の約 2 割、2010 年の GDP<br />
の約 10%が鉱業によるものという見方がある。参考となる資料は、次項「4.3.2 現状と鉱産<br />
物の評価・経済効果」末尾に収録する。)<br />
鉱業活動は、外国投資法、鉱業法、省庁規制の実施規程、関係する財政・税制の法律と規<br />
程によって、律せられる。<br />
鉱業への投資は以下のどれかの形態で行われる必要がある。
・国による単独投資<br />
・国と国内会社 and/or 外国企業による合弁投資<br />
・国内企業単独かグループでの投資<br />
鉱物探鉱生産契約(MEPA)は、ラオスで契約され、鉱物資源のオーナーシップは国であ<br />
ることと、これらの資源を、外国投資管理委員会(FIMC)と関係省庁と投資者との契約で<br />
開発することを規定する基本的な条項を通常含むものである。<br />
財政的スキーム<br />
鉱業法により、鉱業権者は的確にタイムリーに、関税、税、その他の財政制度が課される。<br />
MEPAにより鉱業を営む会社は以下のような課金に従う必要がある。<br />
(1)レンタル・フィー(鉱区税)<br />
異なる鉱種の一般調査と探査は、0.5-1 ドル/ha/年<br />
予備鉱業(FS と建設段階)と鉱山操業は、3-12 ドル/ha/年<br />
(2)ロイヤリティー(鉱産税:資源税)<br />
鉱物生産のロイヤリティーは、鉱物の販売金額を基礎として計算され課金される。ロイヤ<br />
リティーは 2-5%。<br />
それぞれの鉱種に対するロイヤリティーの例は、鉄 2%、銅 3%、鉛・亜鉛 3%、スズ 2%、<br />
金 5%、銀 4%、プラチナ 5%、サファイア・ルビー・エメラルド 5%、カリウム 2%、石膏<br />
2%である。<br />
(3)税<br />
外国投資促進管理法により、外国投資家は、利潤税(法人税)は年一律 20%を支払う。<br />
天然資源の開発と発電分野に対する外国投資家に対しては、特別の税やロイヤリティー<br />
が MEPA に規定できる。優遇された 20-35%のインカムタックスが利潤税の鉱業における<br />
標準となっている。<br />
配当や留保所得には 10%の課税がされる。ウィンドフォール(価格高騰等の棚ぼた)や、<br />
高収益の投資などに関しては同様や追加的課税はされない。<br />
(4)輸入と設備の再輸出<br />
外国投資家は、最高 1%の関税で、装置、生産設備、スペアパーツや他の物品を輸入で<br />
きる。<br />
輸入された装置、機械が、一般調査・探査・フィージビリティスタディ・建設・生産活<br />
動に、使用されなくなった時、適合する法律により、どのような性状であっても関税と制<br />
限の範囲で再輸出できるし、ラオス国内で適合する関税を付加することにより売却できる。<br />
(5)外国人従業員への所得税<br />
一般原則として、外国籍の従業員は国における滞在期間とラオスにおける労働に対して、<br />
- 179 -
個人所得税を支払わなければならないが、フラットレートで個人所得の 10%をラオス政府<br />
に支払う。<br />
(6)鉱業権申請手数料<br />
・調査ライセンス(発給と更新)15$<br />
・探査ライセンス(発給と更新)20$<br />
・鉱業ライセンス<br />
大規模(発給と更新)100$<br />
中規模(発給と更新)80$<br />
小規模(発給と更新)50$<br />
・小規模零細ライセンス(発給と更新)5$<br />
第Ⅳ-16 参考引用:採鉱 30 事業取消し:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2008 年 10 月 14 日<br />
政府は引き続き契約どおりに進展していない鉱物開発プロジェクトについて 11 事業から<br />
30 事業以上に拡大し事業認可取消しについて協議を進めている。<br />
第 6 期 5 回国民議会へのエネルギー鉱物省からの 10 社 11 事業についての事業取消し審議<br />
申請に基づき、これまでに 8 社の事業が取り消されてきた。<br />
さらにエネルギー鉱物省による最新の報告では、30 事業以上が審議対象となっている。<br />
政府との契約に基づき、資源調査や採掘事業が進められていない内外の民間企業が対象で、<br />
取消し処分となった事業については、各社はその権利を他社に譲渡することが可能とされ<br />
る。<br />
これまで政府は鉱物開発 190 事業を認可している。<br />
2001 年から 2008 年までに 16 種以上の鉱物で 118 社 181 事業を認可しており、うち資源調<br />
査 55 事業、探査 74 事業、採鉱 52 事業が進展している。うち大部分が外資によるもので<br />
70 社 101 事業となっている。また国別では中国が最も多く 40 社以上 60 事業以上、ベトナ<br />
ムは 16 社である。<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
(2008/10/1 パサソン社会経済紙 2 面)<br />
鉱物資源事業については、開発の意思の無い事業がその他にもあるかと思われます。<br />
30 事業といわず、今後の不況においてストップする事業も多々有るかと思います。<br />
- 180 -<br />
by kenichiro_yamada
4.3.2 現状と鉱産物の評価・経済効果<br />
以下は“Mining Policy in Lao PDR” by Dr. Simone Phichith and Mr. Eravanh Boungnaphalom<br />
(Aug. 2008):前出 JICA 調査「鉱物資源分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備計画<br />
調査」のラオス国内での関係者を集めた Work Shop でのラオス政府からの発表資料を、担<br />
当企業「三菱マテリアルテクノ株式会社」より頂いたものに基づく。<br />
・2001 年から 2007 年までの鉱業投資は、112 社の 167 件で、43 社の国内企業、69 社の海<br />
外企業(中国、ベトナム、タイ、豪州、ロシア、北朝鮮、韓国、カナダ、英国、ポーラン<br />
ド)。・・・今現在は約 150 の鉱区が現存ということだった。<br />
・鉱区の面積は、18,335 平方 km2 で国土全体の 7.75%。<br />
・鉱産物の価値は、2003 年の 143 百万$から、2006 年には 620 百万$に。<br />
・鉱業セクターからの GDP は、2000 年にはわずか 0.5%だったが、2005 年には、3.5%を占<br />
め、010 年には 10%に増大すると予測されている。<br />
鉱産可能な鉱物の評価<br />
・Viengphouka 石炭開発プロジェクト:採掘可能な埋蔵量 9 百万 t で、60 万 t 規模の生産が<br />
継続。<br />
・Sepon プロジェクト:埋蔵量 100 百万 t。電気銅換算 1 百万 t(毎年 10t の金と 6 万 t の電<br />
気銅生産)<br />
・Phubia 鉱山プロジェクト:採掘可能な銅量 80 万 t、6t の金。毎年 10 万 oz の金生産。<br />
・鉱産物の生産は伸びている。2006 年の鉱産物の輸出価額は 279 百万$で、全輸出価額の<br />
60%を占める。・・・・(参考:2008/09 年度推計では 55%:ラオスのビジネスを読む―ブロ<br />
グ版―・山田健一郎 2009/12/30)<br />
・2006 年の鉱産物によるラオスの収入は 74 百万$以上。<br />
鉱物セクターの開発について<br />
短期計画(2007-2010) 長期計画(2011-2020)<br />
アクションプランの実行<br />
・職員の確立計画の作成<br />
・組織構造の改善<br />
・投資プロジェクトの管理方法の改善<br />
・職員の確立<br />
・文書(鉱業法、鉱業政策、関係規則)のレビュ<br />
ーと改善<br />
・鉱物地帯のインフラ形成<br />
・鉱業投資の支援と拡大<br />
・政府職員の強化増大<br />
・技術トレーニングセンターの運営<br />
・このセクターへの投資増大<br />
- 181 -
第Ⅳ-17 参考引用:輸出入統計:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 12 月 30 日<br />
第三四半期までの輸出入統計を入手してきました。<br />
第四四半期については計画値で算出しています。<br />
金融危機の影響をあまり受けていないと言われてきましたが、輸出に関しては前年比 26%<br />
減。特に鉱物-32.2%、縫製-46.7%、木材-<strong>21</strong>.9%。<br />
第四四半期には鉱物価格が回復しているようですので、多少持ち直すでしょうか。<br />
銅線製造開始<br />
- 182 -<br />
by kenichiro_yamada<br />
すでに、同鉱山からの銅の原料提供を受けて、国内で電線製造が開始されている。経済<br />
的波及効果が見込まれる。以下に 2 件を紹介する。<br />
第Ⅳ-18 参考引用:銅線を生産:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 12 月 17 日<br />
12 月 7 日、MMG ランサンミネラル社からの原料提供を受け、ワッタナー電線生産社(Wa<br />
ttana Wire And Cable Company)はセポン鉱山の銅を使用して銅線の生産を開始した。<br />
同社はヴィエンチャン市サイセタ郡ナーサングパイ村に位置する。現在 LXML 社は年間 2<br />
00 トンの銅をラオス国内に供給しているが、将来は 12000 トンまで拡大する予定。<br />
(2009/12/11 パサソン紙)<br />
------<br />
同社はナークワイ村に行く途中にあります。<br />
LXML はその他にも2社への原料供給を協議中とのこと。<br />
Tags:鉱物開発 LXML ヴィエンチャン<br />
by kenichiro_yamada | 2009-12-17 18:52 | 現地語新聞より | Trackback
第Ⅳ-19 参考引用:ラオス・ベトナム 送電線生産を開始:ラオスのビジネスを読む。―<br />
ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 12 月 05 日<br />
サワンナケート県カイソーンポムヴィハーン郡クアカオカート村にてラオ・ベトナム送電<br />
線工場が 11 月 25 日、操業を開始した。<br />
同社は 550 万ドルの投資で、うちベトナム郵便社が 50%、ハノイ郵便機材社が 20%のシ<br />
ェアーを持つ。2007 年より 4680 平米の工場の建設を開始していた。<br />
同工場では一日 3 トンの送電線を製造し、原料はセポン鉱山から購入する。<br />
(2009/11/27 パテートラオ紙)<br />
Tags:鉱物開発 ベトナム サワンナケート<br />
by kenichiro_yamada | 2009-12-05 19:59 | 現地語新聞より | Trackback<br />
下記二つの参考引用は、セポン鉱山の経済効果について、まとまった記事となっている。<br />
現在のオーナー企業豪 MMG(中国 CHINA MINMETALS CORPORATION の 100%子会社)ではなく、<br />
旧オーナー、豪オキシアナの名前になっている。<br />
第Ⅳ-20 参考引用:セポン金山、第四四半期税を納税:ラオスのビジネスを読む。―ブロ<br />
グ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 03 月 22 日<br />
OZ LXML は 2 月、2008 年度第四四半期における総額 310 万ドルの税務(資源税)を納<br />
め、2008 年度においては 2<strong>21</strong>0 万ドルとなった。<br />
セポン金山からの税務支払いは 2 億 5000 万ドル以上にのぼり、法人税、資源税、コンセ<br />
ッション費、ならびに所得税。<br />
(2009/3/13 パテートラオ紙)<br />
-------<br />
資源税は輸出量から算出、コンセッション費は面積で算出するようです。<br />
Tags:コンセッション 鉱物開発 LXML<br />
by kenichiro_yamada | 2009-03-22 19:39 | 現地語新聞より | Trackback<br />
第Ⅳ-<strong>21</strong> 参考引用:オキシアナ金銅、ラオス輸出の 50%超:ラオスのビジネスを読む。―<br />
ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2008 年 07 月 02 日<br />
http://news.nna.jp/free/news/20080702icn001A.html<br />
豪オキシアナのラオス現地法人によるセポン鉱山・製錬所の金・銀・銅の輸出額が昨年は<br />
5 億 1,000 万米ドルと、ラオスの総輸出額の 50%以上を占めた。ラオスの貿易黒字化や<br />
財源に大きく貢献している。<br />
オキシアナの現地法人は、オキシアナが 90%、ラオス政府が 10%出資の形態をとるラン<br />
- 183 -
サンミネラル(LaneXangMineralsLtd、LXML)。ラオスにとって本格的な外資企業によ<br />
る鉱物資源開発だ。中部サワンナケート県のベトナム国境に近いセポン地区で、2003 年<br />
に金・銀の採掘・製錬を、05 年には銅の採掘・製錬を開始した。<br />
LXML の輸出額は◇05 年、2 億 5,000 万米ドル◇06 年、5 億 5,000 万米ドル◇07 年、5<br />
億 1,000 万米ドル──。一方、ラオスの統計は 10~9 月で計算するが、輸出総額は◇05<br />
年(04 年 10 月~05 年 9 月)、4 億 5,500 万米ドル◇06 年、8 億 7,800 万米ドル◇07<br />
年、9 億 2,500 万米ドル──。輸出総額の 50%以上を LXML が占め、初の貿易黒字化に<br />
貢献している。07 年の輸入額は 9 億 1,600 万米ドルだった。<br />
また、07 年のラオスの GDP は 39 億 8,400 万米ドル(1 人当たり 678 米ドル)で、LX<br />
ML は 10%以上も押し上げている。<br />
LXML の 07 年の輸出減は、金の生産量が 4 割減ったため。ただし、非鉄金属の国際価格<br />
上昇で今年の輸出額は前年並みの見込み。09 年には新たな鉱脈で金生産を開始する。<br />
ラオス政府の歳入は 05 年で約 3 億米ドル。同年の LXML の納税額は 1600 万米ドルだっ<br />
た。しかし、07 年の納税額は計 1 億 2,530 万米ドルにも達し納税額は増加している。内<br />
訳は◇鉱石ロイヤルティー、2,300 万米ドル◇事業利益税、9,000 万米ドル◇ラオス政府<br />
に対する配当(10%)、930 万米ドル◇従業員の個人所得税、300 万米ドル──。<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
ラオスの金の採掘がオーストラリアの株式市場平均値に影響をもたらすと言われるほどオ<br />
キシアナの存在は大きなものとなっています。<br />
Tags:鉱物開発 LXML<br />
by kenichiro_yamada | 2008-07-02 09:27 | 英字/日本語新聞より | Trackback<br />
第Ⅳ-22 参考引用:第四の銅鉱山開発が近く開始:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版<br />
― http://laotimes.exblog.jp/ 2008 年 12 月 08 日<br />
ラオスにおける第四の赤銅ならびに金鉱山開発の為の調査がルアンナムタ県の 12km2 の<br />
地域にて Amanta Resourced Ltd により行われている。<br />
2008 年 8 月カナダの AR 社により 200km2 の地域での赤銅の資源調査をローング郡にて開<br />
始した。<br />
AR 社社長 Gerald D Wright 氏によるとわずか 3 ヶ月の調査で AR 社はパーキアング地域の<br />
12km2 にて鉱床を発見したと公表した。その他にも銀、金、およびモリブデン等を発見し<br />
ている。<br />
AR 社は 2008 年 6 月 24 日にラオス政府との間で 5 年間の資源調査の MOU を締結している。<br />
- 184 -
調査で十分な経済的な資源を確認した後は第四番目の赤銅、銀、金鉱山となる。<br />
いずれにせよ、現在 AR 社から 1km2 あたりコンセッション費を 862,600 キープ徴収してお<br />
り、また調査税として 1,725,200 キープ/km2 を徴収、その他にも掘削税、調査管理税等で<br />
年間 400 万キープを得ている。<br />
これまで AR 社は 2 年の歳月を掛けて、ウドムサイ、ルアンナムタ県にてコンセッション<br />
の為の調査を行ってきた。その後コンセッション契約をおこなっている。<br />
現在赤銅採鉱事業は3事業あり、サワンナケート県ヴィラブリー郡でのランサンミネラル<br />
社でラオス政府とオーストラリアのオキシアナ社による合資で 2003 年より行われている。<br />
また、シェンクワン県プービアにおけるプービアマイニング社は 2005 年より採鉱が行われ<br />
ている、また同県のプーカム地域でも銅と金の採掘が近く行われる。<br />
(2008/11/27 パサソン社会経済紙 2 面)<br />
Tags:鉱物開発 ルアンナムター 銅<br />
by kenichiro_yamada | 2008-12-08 22:40 | 現地語新聞より | Trackback<br />
4.3.3 鈴木基義教授(広島大)の論文よりラオス鉱山の経済効果紹介<br />
次に、07 年から JICA 専門家で、ラオス計画投資省政策顧問を勤め、08 年より、広島大<br />
学大学院国際協力研究科の鈴木基義教授が「国際開発ジャーナル」誌に「ラオスの開発ポ<br />
テンシャル」を短期集中連載され、2009 年 5 月号の第 2 回の記事の前半部分が鉱業の動向<br />
や経済効果に触れているので、以下に引用させていただく。<br />
第Ⅳ-23 参考引用:「地下に眠る鉱物資源と無尽蔵の水力資源」鈴木基義広島大学大学院<br />
国際協力研究科教授:「国際開発ジャーナル」誌短期集中連載「ラオスの開発ポテンシャル」<br />
第 2 回:2009 年 5 月号より抜粋<br />
4.3.3.1 忘れられた国の巨万の富<br />
セポン鉱山は、日本の円借款で建設された第2メコン国際橋からベトナム方面へ向かう<br />
東西経済回廊(国道9号線)を当方へ 188km 走ったサワンナケート県の東部、セポンの町<br />
にある。<br />
セポン鉱山は、ランサン・ミネラルズ社によって開発されてきた。同社は 90%をオース<br />
トラリアの OZ ミネラル社、残りの 10%をラオス政府が保有する合弁事業形態を採るが、<br />
現在、中国のミンメタルズ社がランサン・ミネラルズ社を TOB(公開買い付け)で、100%<br />
買い付ける契約を進めている。OZ ミネラルによる今日までの総投資額は 6 億 5,500 万ドル<br />
に上る。金の生産は、2002 年 12 月より開始され、鉱石処理能力は年 250 万トン、金は伝<br />
統的な活性炭を用いたカーボン・イン・リーチ(CIL)法で回収されている。<br />
07 年の生産量は金が 3.28 トン、銀が 4.6 トン、銅が 6 万 2,847 トンであった。金の国際<br />
価格が 03 年の 1 オンス 364 ドルから 07 年には 699 ドルへと 1.9 倍も高騰したため、金の<br />
売り上げはおよそ 7,300 万ドルに達した。また 08 年第 1 四半期には、さらに 1 オンス 919<br />
ドルまで上昇。銀の価格は、同期間に 1 オンス 10 ドルから 13.29 ドルへ上昇し、売り上げ<br />
- 185 -
は、196 万ドルになった。銅の価格も 05 年の 1 トン 3,674 ドルから 6,936 ドルへ 1.9 倍上<br />
昇したため 4 億 3.589 万ドルの売り上げとなった。こうした資源価格の上昇は、ランサン・<br />
ミネラルズ社に巨額の利益をもたらしたことは確かだ。<br />
4.3.3.2 初の貿易黒字<br />
ランサン・ミネラルズ社の金と銅の輸出額は、03 年の 6,139 万ドルから 06 年には 5 億<br />
1,356 万ドルに達したため、ラオスは、06 年度(06 年 10 月~07 年 9 月)に 1,790 万ドル<br />
の貿易黒字を達成した。ラオスの輸出総額に占めるランサン・ミネラルズ社の比率は、同<br />
期間に 18.3%から 58.2%に達している。民間企業一社による輸出が、一国の輸出総額の 6<br />
割近くを占めたことは驚異的な状況と言わざるを得ない。<br />
同社は輸出だけでなく、07 年に天然資源約税 2,300 万ドル、法人税約 9,000 万ドル、所<br />
得税約 300 万ドル、借地料約 3 万ドル、配当金約 930 万ドルの計 1 億 2,533 万ドルを納税<br />
した。ラオスの歳入に占める同社の納税額の割合は、05 年の 5%から 07 年には 23.7%へ急<br />
増した。一企業の納税額が一国の歳入の 2 割以上を占める自体は他国ではあまり例を見な<br />
い。またセポン鉱山は 07 年には 5,020 人を雇用し、雇用創出にも大きく貢献している。<br />
4.3.3.3 三井物産が探査契約<br />
セポン鉱山以外にも、プー・カム鉱山では 08 年 5 月より 4 万 7,000 オンスの金、40 万<br />
オンスの銀、5 万 2,000 トンの銅が生産されてきた。銅鉱石の推定埋蔵量は 144 万トン(銅<br />
量:注 by 報告書作成者)また、金や銀、銅のほかにも、ラオスには豊富な鉱物資源が多く<br />
存在する。<br />
亜鉛は 01 年よりヴィエンチャン県ヴァンヴィアン郡のカイソ鉱山で採掘が始まってい<br />
る。石膏はサワンナケート県のドーン・ヘーン鉱山でラオス国営ジプサム・マイニング社<br />
が生産している。石炭の鉱床はラオス全土で賦存する。無煙炭はヴィエンチャン県のヴァ<br />
ンヴィアン第 2 セメント工場が生産しているといった具合である。<br />
また最近では、壺の遺跡で有名なジャール平原がある南部のボロベン高原で世界最大級<br />
のボーキサイト鉱床が発見され、内外 9 社がコンセッション(使用権)取得の入札があっ<br />
た。三井物産は Rio/Tinto 社との合弁でラオ・サンサイ・ミネラルズ社を設立し、ラオス政<br />
府との間で探査権契約を 09 年 1 月に締結。試験探査、本格探査、フィージビリティ・スタ<br />
ディーを経て本格的開発にも乗り出すことができれば、25 年間に 25 億トンものボーキサ<br />
イトの原石からアルミナを生産することになる。<br />
ラオス政府が 08 年 5 月までにコンセッションを与えた 237 鉱区のうち、概査フェーズ<br />
にあるのが 65 鉱区、探査フェーズに 103 鉱区、開発フェーズの段階にあるのが 69 鉱区あ<br />
る。これらの鉱区を取得した企業 100 社のうち、国内企業が 35 社で外国企業が 65 社であ<br />
った。外国企業の内訳は、中国 39 社、ベトナム 9 社、タイ 7 社、オーストラリア 6 社、韓<br />
国 2 社、ロシアとカナダがそれぞれ 1 社であった。<br />
- 186 -
4.4 鉱山地質系教育機関<br />
4.4.1ラオス技術専門学校(Polytecnhnic College)<br />
4.4.1.1 パンフレットから<br />
以下同校のパンフレットをまず訳す。<br />
ポリテクニック・カレッジは、技術専門学校(カレッジ)で、教育省高等技術・職業教<br />
育局に属している。同校は1986年にラオス政府と党と旧ソビエト連邦の支援と協力のもと<br />
「ラオス-ソビエト友好ポリテクニック・スクール」という名称で創設された。2000年に名<br />
称は「ポリテクニック・スクール」と短くなった。<br />
当初ポリテクニックは、測量、鉱山、電気工学の分野で、3年のディプロマ・プログラ<br />
ムを提供してきた。2003/2004の教育年度から、プログラムは2年に短縮された。<br />
2002年に、測量と土地管理プログラムに3年の高等ディプロマが開発され導入された。<br />
これは「ラオス土地所有者プロジェクト」と同プロジェクトへの技術支援チーム(AusAID)<br />
によって支援されている。<br />
2004年には、ベトナムのハノイ鉱山地質大学の協力により、鉱山と地質の二つの分野に<br />
ついて、高等ディプロマが開発され導入された。ポリテクニックは、電力変電所・送電網<br />
プログラムを開発することにラオス電力他産業界と協力した。このプログラムは、最近<br />
2005/2006教育年度から開始された。<br />
これに加えて、ポリテクニックでは、同様の技術分野において、ディプロマや高等ディ<br />
プロマ・コースにリンクして、社会人教育コース(continuing course)も開発した。<br />
-提供しているプログラム-<br />
ポリテクニックは、ディプロマ、高等ディプロマ、社会人コースと特別学生(費用負担)<br />
制度がある。<br />
■ディプロマ(Diploma)<br />
期間 2年間<br />
分野<br />
-測量と作図<br />
-電気工学<br />
-鉱山と選鉱<br />
-調査と探査<br />
■高等ディプロマ(High Diploma)<br />
期間 3年間<br />
分野<br />
-測量と土地管理<br />
-変電所と送電網<br />
-鉱山と選鉱<br />
-調査と探査<br />
- 187 -
■社会人コース(Continuing Course)<br />
社会人コースは、ディプロマ・コースの卒業生が、高等ディプロマを取ることを目的とす<br />
るもの。今のところ、測量と作図のディプロマの卒業生が、測量と土地管理の高等ディプ<br />
ロマを取るコース一つが最近開発された。他の分野のコースは今後開発され導入される。<br />
期間 1.5年間<br />
分野<br />
-測量と土地管理 2006/2007から<br />
-変電所と送電網 2007/2008から<br />
-鉱山と選鉱 同上<br />
-調査と探査 同上<br />
―入学―<br />
ポリテクニック・カレッジに入学したいと思うものは、下記でなければならない。<br />
・中等教育卒業者(secondary colledge)<br />
・他の技術専門学校卒業者<br />
・健康体で伝染病にり患していないこと<br />
普通の流れ(割り当て:推薦)<br />
・ディプロマ・プログラム:学生は、教育省高等技術・職業教育局によって割り当てられ<br />
る。<br />
・高等ディプロマ・プログラム:学生は、国立ラオス大学によって割り当てられる。<br />
特別の流れ(授業料負担)<br />
ポリテクニック・カレッジが準備する入学試験を受けて選抜される。入学試験はディプロ<br />
マ・コースについてのみ。ポリテクニック・カレッジがセットするある学業レベルに達し<br />
て卒業した学生については、それぞれの専門の社会人コースを履修することによって、高<br />
等ディプロマを得る可能性がある。<br />
その他:ポリテクニック・カレッジのディプロマの卒業生で、最低2年間の実務経験がある<br />
ものは、それぞれの社会人コースの応募が出来る。<br />
4.4.1.2 鉱山地質関係の履修内容<br />
同校から、標記について、資料(plan of the year study for systematic high diploma,<br />
plan of the year study for Bachelor Degree)を入手した。なお2009年から、学士号<br />
(Bachelor)コース2年間を開始しているとのことであった。以下紹介する。<br />
■高等ディプロマ-鉱山と鉱物処理<br />
Ⅰ基礎科学<br />
1政治 2数学 3物理 4化学 5応用化学 6英語 7国語 8統計 9ラオス社会<br />
- 188 -
10心理学<br />
Ⅱ技術<br />
11コンピュータ基礎 12 エンジニアリング・コンピュータ 13製図 14工作機<br />
械 15電子基礎 16測定基礎<br />
専門領域<br />
17 地質学基礎1,2,3 18選鉱 19鉱物と岩石学 20探査ドリリング1,2,3 <strong>21</strong><br />
採鉱 22機械 23ドリリング発破 24経済 25鉱物の法律 26調査と作図 2<br />
7物理探査 28運搬と貯蔵 29保安 30選択科目<br />
■高等ディプロマ-鉱物の調査と探査<br />
Ⅰ基礎科学<br />
1政治 2数学 3物理 4化学 5応用化学 6英語 7国語 8統計 9ラオス社会<br />
10心理学<br />
Ⅱ技術<br />
11コンピュータ基礎 12 エンジニアリング・コンピュータ 13製図 14工作機<br />
械 15電子基礎 16測定基礎<br />
専門領域<br />
17 地質学基礎1,2,3 18選鉱 19鉱物と岩石学 20探査ドリリング1,2,3 <strong>21</strong><br />
採鉱 22鉱山機械 23ドリリングと発破 24鉱山経済 25鉱業法 26調査と作<br />
図 27物理探査 28運搬と貯蔵 29保安 30特定科目<br />
■学士号コース-鉱物処理コース<br />
Ⅰ基礎科学<br />
1政治 2数学 3物理 4化学 5国語 6英語 7ラオス社会 8統計 9心理学<br />
10コンピュータ基礎 11技術課題 12政治<br />
Ⅱ技術<br />
13製図 14一般電気 15測定基礎 16エンジニアリング・コンピュータ 17工<br />
作機械 18プラントの電気システム 19プラントの自動システム 20プラントの保<br />
安 <strong>21</strong>地質学の基礎 22鉱物 23分析化学 24鉱物法 25組織企画と経済<br />
(organization planning economic?) 26運搬とプラントでの貯蔵 27水圧システム<br />
28環境 29鉱床 30重力選鉱 31浮遊選鉱 32磁力選鉱 33電解採取法<br />
(electrowinning) 34化学法 35製品から水抜きをする方法 36プラントの制御<br />
と製品サンプル 37特殊な選鉱<br />
■学士号コース-鉱物の調査と探査<br />
Ⅰ基礎科学<br />
1数学 2物理 3化学 4統計<br />
Ⅱ外国語<br />
5一般英語<br />
- 189 -
Ⅲ科学―社会<br />
6政治学 7哲学<br />
Ⅳ一般知識<br />
8歴史的地質学 9ラオスの歴史的地質学 10東南アジアの歴史的地質学 11鉱山の<br />
英語<br />
Ⅴ専門領域の一般基礎<br />
12化学分析<br />
Ⅵ専門領域の基礎<br />
13コンピューター工学 14航空写真分析 15保安 16地質学の環境 17鉱山経<br />
済<br />
Ⅶ特定専門科目<br />
18水文地質学とエンジニアリング・ジオロジー 19構造とマッピング 20テクトニ<br />
ック <strong>21</strong>地化学 22鉱物学と結晶 23岩石学 24地理地質学 25岩石学と化石<br />
26地球物理学 27調査と探査 28経済鉱物デポジット 29鉱床のタイプ<br />
Ⅷ選択科目<br />
30GISとGPS 31坑内採掘<br />
Ⅱ技術<br />
11コンピュータ基礎 12 エンジニアリング・コンピュータ 13製図 14テクニ<br />
ック機械 15電子基礎 16測定基礎<br />
専門領域<br />
17 地質学基礎1,2,3 18選鉱 19鉱物と岩石学 20探査ドリリング1,2,3 <strong>21</strong><br />
採鉱 22鉱山機械 23ドリリングと発破 24鉱山経済 25鉱業法 26調査と作<br />
図 27物理探査 28運搬と貯蔵 29保安 30特定科目<br />
4.4.1.3 今回出張時面談内容<br />
日時:2010年1月12日 火曜日 11:00-12:00<br />
場所:ラオス国 Polytechnic college 会議室<br />
参加者:ラオス国 Polytechnic college Mrs. Prakobkeo THOPRAKANE副学長<br />
(副学長)JMECに感謝の意を表します。こちらは1986年から開始された。当時は,ラオス全<br />
国でも最初の鉱山地質分野の教育機関であった。地質鉱山分野では,調査/探査分野と開発<br />
/鉱物処理分野に分かれている。1986~1990年まではあまり人気がなかったし、5年くらい<br />
前までもそれほど人気なかった。がしかし最近は,格段に学生が増えている。社会的な要<br />
望に応えるには,専門の教員数が不足している。最新の地質情報はDGEOから提供を受けて<br />
いる。また,こちらからもインターンシップをDGEOに受け入れてもらっている。高校卒業<br />
した人には,2年間で中等教育(Diploma)が取得できる。主に鉱山現場で働く人材が多く卒<br />
業している。2003年以降は,High diploma(高等教育)が開始された。2009年になって,<br />
Bachelor(学士)の学位が取れるようになった。<br />
(横山上級参事)High Diplomaは何年間か?<br />
- 190 -
(副学長)Diplomaを卒業した人がHigh diplomaを取得するためには,1.5年である。すなわ<br />
ち,Diplomaは2年,High diplomaが1.5年,Bachelorは2年である。いままでは,最初から,<br />
High diplomaを取る人がいたが,2009年からは,それは適用されなくなった。Bachelorを<br />
取るためには,5.5年かかることになる。将来的には,5年になる予定である。<br />
(横山上級参事)学生数はどのくらいか?<br />
(副学長)鉱山学科だけで1000人程度である。全体で2700名である。<br />
(横山上級参事)地質鉱山学科以外は?<br />
(副学長)電気工学・測量・土地管理などがある。電気はビルの配線、ダムや送電線に関す<br />
るものである。<br />
(横山上級参事) 土地管理が土木工学科のようなものか?<br />
(副学長)土木工学科である。地面・土地に関する分野がほとんどである。建設や化学工学<br />
科はない。もともと1986年の開始時はロシア・ラオス友好学校であった。Polytechnic<br />
collegeになったのは2006年(パフレット上では2000年と記載)である。90年ごろにロシア<br />
の教員は引き揚げた。それ以来はロシアの援助はない。<br />
(横山上級参事)現在の教員はどこで教育を受けたのか?<br />
(副学長)旧ソ連東欧で学んでいるものが多い。新学年は,1クラス40名で10クラスある。(合<br />
計400名)<br />
(横山上級参事)民間企業・政府などから派遣されている教員はどのくらいか?<br />
(副学長)全体の3割くらいである。一番問題なのは,優秀な教員がいないことである。また,<br />
学生の実験設備がない。日鉄鉱業の探鉱調査に参加している教員もいる。<br />
(横山上級参事)鉱山地質学科の教員数は?<br />
(副学長)ベトナムに留学する教員もいるが,これは学校自体が奨学金費用を負担している。<br />
探査/調査分野10名,開発/加工分野10名である。<br />
(横山上級参事)この学校のカリキュラムはあるか?<br />
(副学長)べトナムの大学とタイのチェンマイ大学と協力しており,参考にしている。カリ<br />
キュラムあるが,準備ができていないので,後日送付する。<br />
この会議の後,実験設備の調査を行った。<br />
- 191 -
4.4.2.国立ラオス大学工学部(FE: Faculty of Engineering, NUOL: National University<br />
of Laos)<br />
4.4.2.1 パンフレットから<br />
1995年に5つの高等技術学校を統合して、工学建築学部が出来た。その後2004年に建築<br />
学部は独立した。今や国立ラオス大学の中で最大の学部。2005年以降毎年450人のエンジニ<br />
ア(学士号)と550人の高等ディプロマを卒業させている。<br />
入学については、20%が教育省が割り当てる各省ごとの割り当てからの入学、80%が入<br />
学試験からの合格者である。学士号コースの人は1年の基礎コースの後、4年間の工学科学<br />
コースを受ける。高等ディプロマ・コースの人は3年である。<br />
工学部には、土木、機械工学、電気工学、電子通信工学、道路橋梁交通工学、ITコンピ<br />
ュータ工学、水資源工学の7つの学科がある。<br />
工学部は、世界の大学や機関と協力関係を構築維持している。それらは、フランス、ス<br />
イス、日本、ベトナム、カンボジア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ニュージ<br />
ーランド、カナダ、ドイツ、ポーランド、ベルギー、タイ。<br />
JICAは1997年以来支援している。東南アジアの工学教育の向上を目指すAUN/SEED-Net<br />
のフルメンバーである。<br />
(他は省略して、土木工学科について述べると)土木工学科の学部学生へのプログラム<br />
は以下の3つがある。<br />
・土木工学<br />
・環境工学<br />
・鉱山工学<br />
■参考追記:大学全体のパンフレットから日本関係記述<br />
・Lao-Japan Technical Training Center:JICA資金により工学部に設置。センターの主た<br />
る目的は、コンピューターエンジニアリングと関係デバイスについてトレーニングを供給<br />
すること。<br />
・Lao-Japan Center for Human Resource Cooperation (LJ Center):はJICA資金により設<br />
置され、大学とJICAの共同運営・監督下にある。センターの目的は、(1)日本語コースの<br />
提供、(2)ビジネスコースの提供、(3)ラオス日本の相互理解の増進である。<br />
4.4.2.2 今回出張時面談内容<br />
日時:2010 年 1 月 12 日 火曜日 13:30-15:00<br />
場所:ラオス国 ラオス国立大学工学部 工学部長室<br />
参加者:ラオス国 ラオス国立大学工学部 工学部長 Dr. Boualinh SOYSOUVANH<br />
同大工学部 准教授 (土木工学科長) Dr. Nhinxay VISANE<br />
(Geotech-Geologist)<br />
(工学部長)Civil engineering(土木工学科)の中に鉱山部門がある。まだ 3 年目で将来 5 年目<br />
- 192 -
で卒業生が出る予定である。ラオスでの社会的な要請に応えるために鉱山関係の教育を行<br />
っている。インドネシアのガジャマダ大学に留学した教員が教えている。もともとラオス<br />
にいる教員は 3 名で,合計 9 名の教員となる。またロシア留学した教員は 2 名である。実<br />
験等に関しては,エネルギー・鉱山省で行うこともあるが,独自の実験設備を持ちたいと<br />
考えているが政府予算がない。鉱山関係の教科書も不足している。また,タイのチュラロ<br />
ンコン大学とチェンマイ大学とも連携している。現在も 4 人の先生候補者が<br />
AUN/SEED-net で留学中(インドネシア3、マレーシア1)である。これらが帰国すれば<br />
教員は 13 名となる。<br />
(横山上級参事)鉱山部門は選択制か,それとも集中的に履修しているか?またその人数<br />
は?<br />
(工学部長)現在までには,土木工学科に鉱山関連科目を集中的に履修するグループがある。<br />
1 学年は 130 名である。土木工学科には,環境部門・土木部門・鉱山部門がある。2012<br />
年には,鉱山学科と環境学科を Faculty として独立させる予定だ。その場合学部数は 9 学<br />
部となる。これらの学部には,地質・探査関係も含まれる。JICA の技術協力プロジェク<br />
トで IT 技術者の人材育成を行っている。九州大学工学部の渡辺公一郎教授が鉱山部門に<br />
もその技術協力プロジェクトを開始しようとしたが,IT 関係のほうが先に始まった。JICA<br />
の SEED-net のスキームでインドネシアのガジャマダ大学に留学している教員もいる。<br />
(横山上級参事) 鉱山学科の教室の設備はどうなるか?今の土木工学科の一部を使用する<br />
のか?<br />
(工学部長)鉱山学科の建物がなかったので,土木工学科の教室をそのまま使っていた。実<br />
験設備などはまだない。<br />
(横山上級参事)これ以外の日本の政府機関・大学との関係は?<br />
(工学部長)ドイツの SIGEN 大学の環境管理学部と連携している。日本関係は,JICA の IT<br />
人材育成プロジェクトが 2013 年 11 月 30 日まで行う。2 名の日本人で IT 専門家とコーデ<br />
ィネーターが常駐している。この JICA プロジェクトが開始される前に、大学としては二<br />
つのテーマを提案していた。IT 教育と資源鉱山学科の設立である。結局前者が採択された。<br />
AUN/SEED-net では,マレーシアやタイのチュランロンコン大学やインドネシアのガジャ<br />
マダ大学と連携している。<br />
(田中調査員)AUN/SEED-net 関係で日本に留学している学生数は?<br />
(工学部長)今は,AUN/SEED-net 関係の日本への留学生はいない。<br />
(横山上級参事)Polytechnic college との協力関係は,今後発生することはあるか?<br />
(工学部長)Polytechnic college とラオス国立大学工学部は,コンペティターの関係になる。<br />
Polytechnic college には Bachelor(学士)を教育できる教員がいない。College(短期大学)で<br />
は University(大学)に匹敵する教育ができないであろう。College では地質局職員が教員<br />
をしているような状況だ。学術的なレベルが違うと考えている。現在は,10 名の留学した<br />
教員は,主に 4~5 年生の教育を行う。1~3 年生までは,土木工学科の教員でも対応でき<br />
ると考えている。<br />
(田中調査員)鉱山会社の探査では,野外調査ができる能力が最も重要であるが,地質調査<br />
の野外実習・地質図学演習などは行っているか?<br />
(工学部長)Study Tour はあるが地質図学演習はない。卒業論文のような Field practice と<br />
- 193 -
いうものはある。民間企業に生徒を派遣して,1 カ月ほど Phu Bia 社や MMG 社(Sepon<br />
鉱山)・民間のセメント工場などで研修させている。インターンシップのような形を予定し<br />
ている。<br />
(田中調査員)資源地質学や鉱床学の教員はいるか?<br />
(工学部長)1 人だけであるが,その教員はロシアに留学している。<br />
(横山上級参事)仮定の話になるが,JICA の IT 人材育成プロジェクトの次のプロジェクト<br />
として鉱山関係人材育成のプロジェクトを希望しますか?<br />
(工学部長)希望する。短期専門家によるラオス国立大学での教官の派遣に期待する。昨年<br />
は,短期の教員で九大の渡辺先生がきた。<br />
(横山上級参事)長期専門家として,ラオスに常駐するような形の派遣はどうか?<br />
(工学部長)IT 関係の人材育成では同様な形をとっている。鉱山関連も同じで,教員養成を<br />
することも考えられるし,実際には,直接学生に教えることもできるであろう。日本から<br />
教員は英語で授業を行い,ラオス人教員がラオス語で要点を通訳する形になるであろう。<br />
JICA の IT 人材育成が終了するのを待たずに,開始されるほうがよい。それは,2~3 年<br />
後に卒業生が出るので,そのまま修士課程に進学できる形が良いと思う。<br />
府である国立ラオス大学工学部での動きがある。土木工学科の中に、3 コースあって、土<br />
木、環境、鉱山コースがある。鉱山コースは2年前に設置し、現在1・2学年とも 130 人<br />
が在学。13 人の教授陣を擁しているが、そのうち 4 人は AUN/SEED-net 機構を活用して<br />
海外留学(インドネシア3、マレーシア1)中で今年帰国する。そのリストも入手したが、<br />
資源工学が中心で、地質は兼務で学科長 1 名という状況で、地質分野の教授陣強化が不可<br />
欠のように思えた。<br />
・このことを話してみると、日本からの支援は大歓迎。過去において同大学では、IT 分野<br />
の支援と鉱山学部創設支援の 2 件を JICA プロジェクトとして提案したが、1 件に絞ると<br />
いう中で、資源は落ちた経緯がある。IT 支援プロジェクトは 2013 年修了なので、この終<br />
了を待たず鉱山地質分野への支援プロジェクトを期待したい。とのこと。<br />
4.4.2.3 鉱山コースについて入手資料より<br />
工学部で計画している鉱山学科創設の青写真は下記のとおり。<br />
1.プログラムの名称: マイニング・プログラムのエンジニアリング学士号<br />
2.学位の名称:<br />
フル・ネーム:Bachelor of Engineering in Mining Engineering<br />
略称:B. Eng (Mining Engineering)<br />
3.学業カレンダー:9 月―7 月<br />
初年度から最終年まで工学部 Sokpalouang キャンパスで実施。<br />
4.学生数の予測:<br />
1 年次 30 名が毎年入学し、5 年次で計 150 人と予測。(**実際には、上述面談にある<br />
ように、人気が高く、1・2 年生は各 130 人を数えるほど多く入学在学している。)<br />
5.入学資格・選抜方法・教育システム:すべて大学のルールと決定に拠る<br />
- 194 -
6.教育期間:通常 5 年間(10 学期)で、6.5 年間(13 学期)を超えない。最初の 1 年は<br />
基礎科学。<br />
7.プログラム構成:学士号プログラムは最終年に提供される。<br />
概略下記のようである。<br />
5 年間で 176 単位。<br />
A 一般コース課題:生物学、化学、化学分析、環境科学、物理学など 41 単位<br />
B 基礎技術課題:化学Ⅱ、コンピュータ、保安入門、製図、機械、測量など 46 単位<br />
C 専門-コア課題:一般地質学、材料工学と鉱山機械、岩石学と鉱物学、同左実験、土壌<br />
メカニクス(土質工学)、同左実験、鉱物鉱床、鉱山測量、鉱山工学入門、鉱山環境、露天<br />
採掘、坑内採掘、冶金概論、選鉱Ⅰ・Ⅱ、岩石力学Ⅰ、同左実験、鉱山経済、鉱山計画設<br />
計・コンピュータ応用、鉱山マネジメント、鉱山工学プロジェクト、石炭鉱山技術、ドリ<br />
ル掘削と発破、鉱山衛生・保安工学、鉱山通気、セミナー。以上 69 単位<br />
D 専門-選択科目:選鉱技術、バルク・マテリアルとハンドリング、岩石力学Ⅱ、岩石切<br />
断技術、トンネル設計、岩石傾斜工学、鉱山通気、鉱山システム・アナリシス、鉱山設計<br />
と方法、採石場および岩石破砕プラントの設計、露天掘り鉱山設計、坑内掘り鉱山設計、<br />
鉱山機械Ⅱ。以上から選択して 3 単位<br />
E 最終学年プロジェクト:4 単位のプロジェクト<br />
F フィールドプラックティス:選択課題から、サイトツワー、軍事教練から 2-3 単位<br />
次に教官が 13 名いて、このうち 5 名が留学中とのことだが、その専門内容を下記資料で<br />
紹介する。その中で地質学の専門家は、筆頭教官の兼務ベースで一名のみで、マイニング<br />
に重点が置かれていることが分かる。<br />
さらに、教官の資料に引き続いて、2 枚の実験設備と図書等の必要資機材の表があったの<br />
でこれも収録掲載する。こうした資機材への支援もお願いしたいとのことであった。<br />
- 195 -
第Ⅳ-2 表 ラオス大学工学部土木工学科鉱山工学コース教官名簿<br />
- 196 -
第Ⅳ-3 表 ラオス大学工学部土木工学科鉱山工学コース必要資機材・図書<br />
(学科化に向けて)<br />
- 197 -
- 198 -
4.5 その他訪問先<br />
4.5.1 ラオス国立大学本部国際協力部<br />
日時:2010 年 1 月 12 日 火曜日 15:30-16:30<br />
場所:ラオス国 ラオス国立大学 国際協力部<br />
参加者:ラオス国 ラオス国立大学工学部 企画・国際協力部長<br />
Dr. Sengdeuane WAYAKONE 准教授<br />
JMEC 横山上席参事,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前に地質局・鉱山局・ラオス国立大学工学部・Polytechnic college と面談した<br />
ことも報告された。<br />
(国際協力部長)ラオス国立大学の概要としては,1996 年に設立され,11 学部を有している。<br />
ラオスでは最初の大学である。ビエンチャンには,5 つのキャンパスがある。国立大学と<br />
しては,ラオス国立大学・ルアンプラバン大学・チャンパサック大学・サバナケート大学・<br />
保健省の管轄では医科大学がある。学生数は,36000 名である。海外では,124 大学と連<br />
携しているが,実際には,30-35 大学と共同したプロジェクトが行われている。<br />
(横山上級参事)日本との関係は?<br />
(国際協力部長)JICA を中心に連携をしている。大学では東大・京大をはじめ,交換留学生・<br />
教員交換を行っている。鉱業関係は政府の予算にもよるが,JICA によるサポートは可能<br />
であろう。しかし,政府関係者・民間企業にしても技術レベルを向上させるには,大学教<br />
育が重要である。ラオス国立大学としても鉱業関係は,環境関連分野であるので,JICA<br />
のプロジェクトをサポートできると考えている。ラオス政府としても,水力発電・観光・<br />
鉱山業は重要な産業と考えている。これらの技術者はロシアなどへ留学しているが,優秀<br />
な技術者は,民間企業に就職してしまうので,大学としても教員のレベルアップや民間企<br />
業の優秀な技術者とのタイアップが必要である。また,海外の機関ともセミナーなどを実<br />
施することも必要であろう。<br />
(横山上級参事)こちらで卒業した学生の就職先はどのようなところがあるか?<br />
(国際協力部長)就職先調査は行っているが,まだ結果が出ていない。民間企業では,発展<br />
途上国であるので,就職先が見つからない場合もある。さらに海外企業への就職を考えた<br />
場合,英語が話せる人材の輩出も必要である。<br />
(横山上席参事)政府機関への就職が優先されるのか?<br />
(国際協力部長)政府からの割当もあるが,正確な数字は不明である。ただし,政府への就<br />
職よりも優秀な教員を輩出することが優先される。<br />
(横山上級参事)外国留学生は何人程度,ラオス国立大学に在籍するか?<br />
(国際協力部長)600 人程度であり,留学生の 50-60%はべトナムである。その他は,カンボ<br />
ジア・中国などである。ベトナム政府とは MOU を締結しており,交換留学生がある。ベ<br />
トナムからは,まずラオス語を 1 年間勉強するシステムである。<br />
(横山上級参事)工学部での学科新設のプロセスは?以前から大学全体としても鉱山学科新<br />
- 199 -
設を支持していたのか?<br />
(国際協力部長)以前から鉱山学科の新設が望まれていた。鉱山開発が社会の注目を集める<br />
ようになり,それまで人気のなかった学科が注目を集めるようになった。当初は政府主導<br />
で学科新設が行われた。<br />
(田中調査員)理学部では,現在のところ地質学科がないが,政府・大学ではその動きはあ<br />
るか?日本では理学部には,数学・物理学・化学・生物学・地質学から構成される場合が<br />
多い。<br />
(国際協力部長)私は初めてその話を聞いた。工学部に地質学科があるものだと思っていた。<br />
工学部の教員が,理学部の教員と共同で教育を行うこともできるであろう。日本の状況を<br />
知ることも新しい知見なので重要である。将来的には,地球物理学は物理学科のプログラ<br />
ムに含まれるものと考えている。<br />
(国際協力部長)ラオス国立大学は,ラオス内でただ一つの大学であり,資金は財務省から<br />
出ている。さらに国際協力プロジェクトの MOU が独自に締結できる権利があり,カリキ<br />
ュラム・シラバスを独自に決定できる。したがって,教育省からは独立した組織ではない<br />
ので教育省に報告義務があるが,大学として独立自治体(Autonomy として)して活動で<br />
きる。予算的には教育省から独立している。Polytechnic college は教育省(高等技術・職<br />
業教育局)管轄のもとにあることが大きく違う。<br />
(田中調査員)理学部などには分析設備はあるのか?<br />
(国際協力部長)分析設備はあるが,不足している。簡単な設備しかない。日本政府の援助<br />
があればありがたいと思う。<br />
4.5.2 Minerals and Metals Group (MMG LXML)<br />
日時:2010 年 1 月 13 日 水曜日 9:30-10:30<br />
場所: Minerals and Metals Group office in Vientiane<br />
参加者:Minerals and Metals Group Lane Xang Minerals Limited 社<br />
Mr. Richard Taylor アジア総務担当部長(Group Manager Corporate Affairs for Asia):<br />
注-同氏は地元新聞新聞では、MMG LXML 社代表取締役として紹介されている。(後出:「第<br />
Ⅳ-25 参考引用:価格上昇で生産も増加:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
MMG LXML は 2009 年のセポン鉱山における生産を確保できる見通し。(中略)これは金<br />
属価格の上昇によるもので、MMG 社は 10 万オンスの金を生産する予定だ。Richard<br />
Taylor 代表取締役」を参照)<br />
JMEC 横山上級参事,田中調査員<br />
Minerals and Metals Group(以下 MMG 社と省略)<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前に地質局・鉱山局・ラオス国立大学・Polytechnic college と面談したことも<br />
報告された。<br />
(Mr. Richard)MMG 社では,雇用者は 3500 人であり,92%はラオス人であり,8%が豪州<br />
人であり,2000 人が直轄,コントラクターとしては,1500 人である。<br />
(横山上級参事) 現地技術者のレベルはどうか?また,どのような人材育成方法を取ってい<br />
- 200 -
るか?<br />
(Mr. Richard)いくつかの異なった方法が採られている。奨学金制度もある。サバナケート<br />
県に対してトレーニングセンターを創設した。また,OJT も行っている。<br />
(横山上級参事) トレーニングセンターはどのようなものか?<br />
(Mr. Richard)豪州人により,機械・電気・溶接などの実践的な研修を行っている。基礎的<br />
な訓練を大卒までの人間に行っている。<br />
(横山上級参事)奨学金制度はどのような形であるか?<br />
(Mr. Richard)豪州政府及び MMG 社で拠出された奨学金制度で,6~8 名程度を豪州で学<br />
士号及びそれ以上を,採鉱・地質・経営管理などの分野で教育を行っている。<br />
(横山上級参事)中国系企業が株式のメインホルダーとなって,変化したことは?<br />
(Mr. Richard)中国系企業は,経営面だけに参入したので,実際の操業には変化が見られな<br />
い。人材育成制度も変化はない。<br />
(横山上級参事)ラオス国内の教育機関に奨学金は,提供しているか?<br />
(Mr. Richard)今のところはない。将来的にはあるかもしれない。<br />
(田中調査員)新規採用は,鉱山サイトも含めてどのくらいか?<br />
(Mr. Richard)おおよそ 300 人程度である。全体の 10%程度が入れ替わっていることにな<br />
る。<br />
(田中調査員)地質技術者は何人程度か?<br />
(Mr. Richard)詳しくは知らない。調べる必要がある。おそらく 50-100 人程度であろう。<br />
ロシアで教育を受けたものが大半である。バクー大学やアゼルバイジャンに留学していた<br />
ものが多い。<br />
(横山上級参事)MMG 社の売上高や納税額はどのくらいか?<br />
(Mr. Richard)その前に JMEC は民間企業か,もしくは政府機関か?<br />
(横山上級参事)JMEC は政府(METI)が指導・支援する公益民間機関で非営利団体であ<br />
る。JOGMEC 委託事業で海外での探鉱案件の発掘も行っている。<br />
(Mr. Richard)売上高は 500 millionUS$程度である。昨年度は 400 million で程度である。<br />
また,政府への税金・ローヤルティ等の合計は,120 million US$程度である。2010 年は<br />
もっと多くなるはずである。2009 年の正確な値はまだ出ていない。<br />
(横山上級参事)事業を拡大するためにどのような方策を考えているか,もしくは実行され<br />
ているか?<br />
(Mr. Richard)SX-EW 法などの設備よる増産を考えている。すでに 2010 年 12 月に設備は<br />
完成した。年産カソード 83,000 トンまでの設備増強を行う。<br />
(横山上級参事)鉱区状況はどうか?<br />
(Mr. Richard)以前は,5000 平方キロの面積があったが,探鉱により範囲を狭めてきた。<br />
現在は 1200 平方キロである。<br />
(横山上級参事)社員の給与はどのくらいか?給与体系はどのようなものか?<br />
(Mr. Richard)給与体系は 9 つのレベルに分かれている。<br />
(横山上級参事)8%が外国人雇用者であるが,どのような国籍か?<br />
(Mr. Richard)豪州人は管理部門が多く約5%。そのほかは,インドネシア・フィリピン、<br />
ガーナ、ドイツ、パプアなど多岐にわたっている。<br />
- 201 -
(田中調査員)Sepon 鉱山はラオスで初めての鉱山であり,現地の採鉱技術者はどのように<br />
教育したのか?<br />
(Mr. Richard)OJT が多いが,オーストラリア等にある自社鉱山に研修で派遣して養成した。<br />
(横山上級参事)OZ はラオスやカンボジアで探鉱活動を行っているのか?<br />
(Mr. Richard)行っている。日本企業も三井物産や JOGMEC もラオスで探鉱活動を行って<br />
いると聞いている。<br />
(横山上級参事)ラオス国内でも polytechnic college などと連携しているのか?<br />
(Mr. Richard) polytechnic college には、以前は社員を教員として派遣している例があった<br />
が、経営が苦しくなって要員を縮小してから無くなった。Sepon 鉱山では,地質分野も含<br />
めてポリテクニックからインターンシップを受け入れている。また,Royal Merborne<br />
Institute of Technology のハノイ分校にも派遣している。また,タイのコンケン大学と連<br />
携している。ラオス国立大学とはあまり関係がない。以前,話を持って行ったが,ラオス<br />
国立大学は反応がなかった。また,世界銀行が 17 million US$を投じて,資源工学分野の<br />
援助を検討しているらしい。<br />
(横山上級参事)MEM では,世界銀行の 5 年計画の人材育成プログラムの話を聞いた。<br />
(横山上級参事)失礼ですが Richard さんのご経歴は?<br />
(Mr. Richard)豪州の外交官経験者で弁護士資格を有している。<br />
(田中調査員)環境関係の技術者はどこの大学出身か?<br />
(Mr. Richard)多くのものは,豪州出身だが,現地技術者はよくわからない。<br />
(田中調査員)カソードはどこに輸出しているか?<br />
(Mr. Richard)バンコクとハノイ・サイゴンの双方に輸出している。<br />
(田中調査員)バンコクに輸出する場合は,9 号線を使用しているか?<br />
(Mr. Richard)9 号線と日本の援助で建設されたサバナケート橋を使用している。カソード<br />
は 30-40%がバンコク,同じく 30-40%がベトナム,残りはラオスもしくは中国向けに輸出<br />
している。<br />
第Ⅳ-24 参考引用:MMG LXML 目標を達成:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2010 年 02 月 15 日<br />
MMG LXML は 2009 年の銅の生産において 67500 トン、銀 33155 オンス、金 105036<br />
オンスを達成した。これは同社の努力とゼロハーム(安全)政策によるもの。<br />
同社の収入の 75%は銅によるもの。<br />
(2010/2/1 ヴィエンチャンマイ紙) by kenichiro_yamada<br />
第Ⅳ-25 参考引用:価格上昇で生産も増加:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 12 月 05 日<br />
MMG LXML は 2009 年のセポン鉱山における生産を確保できる見通し。<br />
これは金属価格の上昇によるもので、MMG 社は 10 万オンスの金を生産する予定だ。<br />
Richard Taylor 代表取締役は、現在 MMG 社は金の価格上昇を受け、Low Grade の金の<br />
加工や、より遠隔地の金の採掘が可能となり、利益を確保することができる。<br />
- 202 -
2009 年 9 月は 1 オンス 1000 ドルであった金市場が、先週には 1100 ドルとなっている。<br />
同社の報告によると 2009 年の生産量は<br />
第 1 四半期 26423 オンス<br />
第 2 四半期 29306 オンス<br />
第 3 四半期 19679 オンス<br />
10 月 6833 オンス<br />
合計 82241 オンスを生産しており、2009 年度としては 10 万オンスを達成する見込み。<br />
(2009/11/27 ヴィエンチャンマイ紙) by kenichiro_yamada<br />
第Ⅳ-26 参考引用:MMG LXML、第 2 四半期資源税を納税:ラオスのビジネスを読む。―ブ<br />
ログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 09 月 17 日<br />
8 月 28 日 MMG LXML は 445 万ドルの第 2 四半期の資源税の納税を財務省財産局に対し<br />
て行った。<br />
資源税は法人税、所得税、コンセッション費とは別に鉱物資源に対して徴収される税務の<br />
一つ。<br />
(2009/9/7 パテートラオ紙) by kenichiro_yamada<br />
第Ⅳ-27 参考引用:MMG 社の 4 半期報告 MMG December Quarter Report 2009 から:<br />
http://www.mmgroupltd.com/common/files/100128_MMG_Dec_Quarterly_Report_09.p<br />
df<br />
SEPON COPPER<br />
At Sepon copper production was 10% higher than the December 2008 quarter as a result of<br />
increased current efficiency from the previous quarter with more emphasis on hot spot<br />
detection. Full year results also demonstrated consistent growth in copper production meeting<br />
forecasts with total copper produced for the year 67,561 tonnes. This reflects the additional<br />
capacity in the copper plant delivered by the commissioning of the second autoclave in early<br />
2009. Annual ore mined was 35% higher than the previous at 2,418,409 tonnes.<br />
In late August the MMG Board approved recommencement of the project to bring a second<br />
powerline into the site to deliver cheaper unit power, reduce line losses and mitigate<br />
operational risk due to power supply failure. Work continued during the quarter with nearly half<br />
the transmission towers and a quarter of the conductors erected. Work commenced on the<br />
copper expansion project.<br />
Mining continued to optimise the Khanong North and South Ridges and copper sales were<br />
strong for the quarter.<br />
Production guidance for 2010 is 67,000-70,000 tonnes of copper cathode.<br />
- 203 -
CATHODES<br />
COPPER<br />
(STRIPPED<br />
TONNES)<br />
SEPON COPPER PRODUCTION STATISTICS<br />
OCT-DEC 09 OCT-DEC 08 JAN-DEC 09 JAN – DEC 08<br />
18,124<br />
16,156<br />
- 204 -<br />
67,561<br />
64,075<br />
SEPON GOLD<br />
Similar to Sepon copper, gold production was also higher at Sepon with a 7% increase on the<br />
December 2008 quarter. Higher head grade and steady recovery helped achieve this result.<br />
Annual gold production was 11% higher than the previous year at 105,036 ounces.<br />
Mining continued at Houay Yeng during the period with ore from the pit of a high grade. Mining<br />
at Dankoy commenced in Pit A and B.<br />
Production guidance for 2010 is 95,000-100,000 ounces of gold.<br />
~<br />
SEPON GOLD PRODUCTION STATISTICS<br />
POURED GOLD OCT-DEC 09 OCT-DEC 08 JAN-DEC 09 JAN – DEC 08<br />
GOLD (OUNCES) 29,629 29,629 105,036 93,072<br />
SILVER (OUNCES) 7,185 10,394 33,155 55,942<br />
DEVELOPMENT PROJECTS<br />
SEPON COPPER EXPANSION<br />
In late October the MMG Board approved the recommencement of the Sepon copper<br />
expansion project, a US$60.4 million project to expand production capacity to an annual<br />
nameplate capacity of 80,500 tonnes of copper cathode. Documentation deliverables and<br />
purchase orders are now complete and the team will be mobilised to site during January and<br />
February 2010.<br />
下記は旧経営会社時代の最終段階での合理化の一環の動き。<br />
第Ⅳ-28 参考引用:LXML67 名を追加解雇:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版―<br />
http://laotimes.exblog.jp/ 2009 年 02 月 07 日<br />
セポン鉱山を運営するランサンミネラル社は 67 名の従業員を 3 ヶ月内に追加解雇すると<br />
発表した。うち 40 名が外国人、27 名がラオス人スタッフで、銅と金の価格の下落を理由<br />
としている。<br />
同社はこれまで 2 億ドルの工場拡大計画の延期も発表している。
(2009/2/5 RFA)<br />
http://www.rfa.org/lao/khaolao/economy/Lane_Xang_mineral_Ltd-0205200910<br />
0735.html by kenichiro_yamada<br />
4.5.3 Phu Bia Mining<br />
日時:2010 年 1 月 13 日 水曜日 11:00-12:00<br />
場所: Phu Bia Mining office in Vientiane<br />
参加者:Phu Bia Mining Mr. Khammanh LASAVONG 管理部長?(VTE Senior<br />
Administration Office)<br />
JMEC 横山上級参事,田中調査員<br />
Phu Bia Mining (以下 Phu Bia 社と省略)<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前に地質局・鉱山局・ラオス国立大学・Polytechnic college・Mineral and Metals<br />
Group との面談したことも報告された。<br />
(Mr. Khammanh) Phu Bia 社の歴史を少し話すと,2003 年までは Normandy 社が探鉱を<br />
行っていた。そのあと PanAust 社が権益を獲得・継承した。その頃は,専門の技術者を含<br />
めて 50 名程度の社員であった。現在は探査・管理・採鉱・政府対応部署がある。全体で<br />
36 の部署があり,6 つのキャンプがある。2 つキャンプでは,金精鉱・銅精鉱を生産して<br />
いる。銅精鉱はタイへ輸出し,中国の製錬所へ輸出している。また,BanHouayxai プロ<br />
ジェクトは,2010 年 8 月から生産を始める。<br />
(Mr. Khammanh) パーマネントでは,1600 名である。これにはカジュアルレーバーは含<br />
まない。外国人は 200 名程度。出身国は多岐にわたる。豪州・NZ・インドネシア・フィ<br />
リピン・中国・パプア・アメリカ・イタリア・フランスなどである。<br />
(横山上級参事)雇用者数は増加しているか?<br />
(Mr. Khammanh)新しいファクトリーはかなり大きいので,常用雇用だけでも 3000 名程<br />
度は必要と考えている。<br />
(横山上級参事)環境対策については?<br />
(Mr. Khammanh) 環境に関しては,ラオス国の環境法に準拠している。環境調査には,コ<br />
ンサルタン会社と Phu Bia 社が共同でラオス政府に提出している。コンサルタント会社は<br />
Earth System 社である。<br />
給与は 6 つのレベル(のちに説明あった職階に相当するものと推察される。Manager,<br />
Superintendent, Supervisor, Advisor, Senior, Junior)に分かれており,最低賃金は,ラ<br />
オス国労働法を遵守している。<br />
(横山上級参事)採用はどのようにしているか?<br />
(Mr. Khammanh) 採用は最初にインターネットや電話でインタビューを行い,さらに専門<br />
の部署でインタビューを行い,採用を決定する。昇給は 1 年 1 回であるが,その他は自社<br />
株を持っている社員が多いので,配当などでボーナスを支払う。<br />
(横山上級参事)社内の人材育成はどのように行っているか?<br />
- 205 -
(Mr. Khammanh) OJT は行っている。すべての部門にトレーニングのための教師がいる。<br />
現場の教育はすべて OJT で対応している。鉱石の運搬は,請負業者が行っている。請負業<br />
者が現場の技術者が教育する場合もある。英語教育が重要であって,英語のスキルアップ<br />
は必要である。タイや豪州に留学させる制度がある。これは会計分野などである。タイに<br />
10 名(社員)を 2 年半くらいのスパンで派遣している。豪州へは,短期研修で 5~6 名程度<br />
である。<br />
(横山上級参事)売上高・税金はどのくらいか?<br />
(Mr. Khammanh) 詳しい数字はよくわからない。ローヤルティ及び税金で 60 万ドルをラ<br />
オス政府に支払っている。その他合計でラオス政府には 1.7 million US$程度を納めている。<br />
(横山上級参事)鉱区の合計面積はどのくらいか?<br />
(Mr. Khammanh) 2500 平方キロくらいである。<br />
(田中調査員)地質技術者は,どのくらいの人数がいるか?<br />
(Mr. Khammanh) 詳しくはわからない。地質技術者は 100 人以上いるが,ラオス人は留<br />
学生を採用している。豪州やドイツへの留学生(学士)が多い。マネージャークラスは最高<br />
の職階レベルの立場であり,豪州人で占められている。ラオス人は Superintendent 以上<br />
のエンジニアの立場になることは少ない。地質技術者は外国人が多いが,海外に留学した<br />
ラオス人を採用する場合もある。Polytechnic college 出身者では,エンジニアになる例は<br />
少なく,テクニシャンサポーターという立場になる。ラオス国内では,ラオス国立大学の<br />
出身者ではなく,海外留学経験が必要とされる。いったん,海外の大学や現場で働き,そ<br />
の後ラオスに戻ってきたような場合には,エンジニアになれる可能性もあるが,現状では,<br />
ラオス人エンジニアはいない。現在ラオス人エンジニアは 2 名である。これはチェコに留<br />
学経験のあるエンジニアである。そういうラオス人がいたらもっと採用したい。<br />
(田中調査員)採鉱技術者の教育についてはどうか?<br />
(Mr. Khammanh) 採鉱技術者は,エンジニアのもとで Polytechnic college 出身者の教育<br />
を行っている。また,Blasting のくり粉の採取を行うテクニシャンも Polytechnic college<br />
出身者である。これらの分析は Chemex へ送って分析している。分析データは直接エンジ<br />
ニアに送られる仕組みである。<br />
(横山上級参事)中国系企業が参入して変ったことはあるか?<br />
(Mr. Khammanh)特にない。マネージメントは,PanAust 社が行っているので変化はない。<br />
あくまでも株主としてだけである。<br />
(田中調査員)操業は 24 時間か?<br />
(Mr. Khammanh) 選鉱プラントだけは 24 時間操業を行っている。その他の操業は昼間だ<br />
けである。<br />
(田中調査員)大学と連携してインターンシップを受け入れている例はあるか?<br />
(Mr. Khammanh) インターンシップは大歓迎である。3 カ月おきに 10 名程度のインター<br />
ンシップを受け入れているが,それが限界である。学生は Polytechnic college から来てい<br />
る。<br />
(横山上級参事) Polytechnic college 出身者の占める割合は?<br />
(Mr. Khammanh) Polytechnic college 出身者の占める割合は,昨年は 13 名(英語が必須)<br />
である。今年の場合では,カジュアルレーバーを含めて 500 人程度を採用している。エン<br />
- 206 -
ジニアの採用は,各部門で 1~2 名のエンジニアを採用している。<br />
第Ⅳ-29 参考引用:Phu Bia 社、拡大を計画:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版― 2009<br />
年 10 月 09 日 http://laotimes.exblog.jp/<br />
豪の鉱山会社 Pan Aust は 1 億 5000 万ドルで、ラオスの金・銀採掘事業に投資を行う考<br />
え。<br />
金の値段が 1000 ドル/オンスを超える状況にある。<br />
同社は現在、ホエサイ村における金と銀の FS を実施している。<br />
同社は来年初めにも FS を完了し、2011 年から採掘を開始する計画。<br />
Huayxai Gold Silver プロジェクトは Phu Kham Heap Leach サイトの 5 倍の埋蔵量<br />
があると見込まれている。同サイトは来年には資源枯渇のため閉鎖される予定。<br />
金は 10-13 万オンス、銀は 70-80 万オンスの採掘が見込まれており、6 年間の採掘期間<br />
としている。<br />
同社は Huayxai では 500 名の従業員が必要になるとしており、Phu Kham では 50 名に<br />
過ぎない。<br />
2008 年には同社は 24929 トンの銅選鉱、25261 オンスの金選鉱、20961 オンスの金鉱<br />
石、159676 オンスの銀をし、従業員は 1500 名以上。<br />
(2009/10/12 VientianeTimes)<br />
- 207 -<br />
by kenichiro_yamada<br />
第Ⅳ-30 参考引用:プービアマイニング社、財政立て直し後に金の採掘を増強:ラオスの<br />
ビジネスを読む。―ブログ版― 2009 年 10 月 09 日<br />
プービアマイニングプービアマイニング社は銅、金、銀の生産を鉱物価格が回復した後に<br />
拡大する計画。<br />
昨年は銅の価格が 8000 ドル/トンから 3000 ドルまで下落し、プービアマイニング社や M<br />
MG LXML 社などは従業員カットなどを行ってきた。<br />
親会社の PanAust 社はプービアの採掘を、金 6 万オンス、銀 40 万オンス、銅を 7 万ト<br />
ンに拡大すると発表している。また同社は 2010 年までに 25km はなれたホアイサーイ村<br />
鉱山の可能性調査を完了させる予定で、2011 年第 2 四半期から採掘を開始する見込み。<br />
(2009/9/28 パサソン社会経済紙)<br />
by kenichiro_yamada<br />
第Ⅳ-31 参考引用:プービアマイニングからの政府歳入は年 5000 万ドル以上:ラオスの<br />
ビジネスを読む。―ブログ版― http://laotimes.exblog.jp/ 2008 年 12 月 22 日<br />
政府はプービアマイニング社からの歳入が年間 500 億ドル以上で、さらに地域開発基金に<br />
よる地域貢献が行われる。
2008 年 12 月 6 日、ラオス側代表者による説明によると本事業は 12 年間のコンセッショ<br />
ンで、コンセッション費、資源税 3-6%(1500-2600 万ドル)、法人税 25%(2000-240<br />
0 万ドル)、所得税(150-260 万ドル)の予定で、2007 年度は 20 万ドル、2008 年度は<br />
30 万ドルの歳入であった。<br />
Rob USHER 代表取締役はサイソンブン郡における金、銅、銀採掘事業は世界規模の事業<br />
で、最新式の機材と多くの専門家で構成される。プービアマイニング社は 1994 年 1 月 2<br />
6 日にラオス政府から資源調査権を得て、10 年間の調査の後 2005 年に工場が完成した。<br />
初期フェーズとしては年間 1200 万トンの採鉱を行い、銅 20 万トンを生産する。<br />
特に今年は 5 月 9 日から 11 月 30 日まででは、銅 92795 トンを採掘し、81795 トンは<br />
販売済みである。<br />
売上げは 8900 万ドルとなる見込みである。<br />
さらに 2010 年には現在の 1200 万トンの採掘能力を 1600 万トンへと強化し、銅 7500<br />
0 トン、金 65000 オンス、銀 60 万オンスの採掘を計画している。<br />
現在会社は 1700 人の従業員を雇用し、うち 90%がラオス人で、30%が女性である。<br />
(2008/12/17 パサソン社会経済紙 2 面)<br />
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<br />
500 億ではなく、5000 万ドルの間違いかと思います。(このコメントは信頼できるの<br />
で表題の表示を変更した。)<br />
Phu Kham 銅金鉱山の概況について、以下紹介する。<br />
- 208 -<br />
by kenichiro_yamada<br />
第Ⅳ-32 参考引用:Panaust 社 web サイトから Phu Kham 銅金鉱山の概況について<br />
http://www.panaust.com.au/PNA_ProjectsPhuKham.html<br />
Phu Kham Copper-Gold Operation (LAOS)<br />
Phu Kham Copper-Gold deposit is located approximately 120km north of the Lao capital Vientiane.<br />
The deposit lies beneath an oxide gold cap which is the ore source for the Heap Leach Gold<br />
operation.<br />
Production of copper-gold concentrate at Phu Kham commenced in April 2008, ahead of schedule<br />
and within 5% of the US$241M capital budget.<br />
The mine will initially process 12Mtpa of ore (in 2009) through a conventional flotation plant to<br />
produce approximately <strong>21</strong>5,000 dry metric tonnes (dmt) of concentrate, containing 53,000 tonnes of<br />
copper, between 50,000 ounces and 55,000 ounces of gold* and between 300,000 ounces and<br />
400,000 ounces of silver.
By 2012, PanAust plans to have completed implementation of an expansion to increase throughput<br />
from 12Mtpa to 16Mtpa. This would allow annual production to be maintained above 70,000 during<br />
periods of lower grade ore feed.<br />
The Phu Kham deposit is open at depth and to the north.<br />
Exploration drilling immediately to the north of the Phu Kham deposit has intersected copper-gold<br />
mineralisation, highlighting the potential for defining additional copper-gold resources close to the<br />
existing operation.<br />
Phu Kham concentrate is exported to custom smelters.<br />
Phu Kham Copper-Gold Operation<br />
Information<br />
PanAust 90%<br />
Open Pit Copper-Gold Bulk Flotation Operation:<br />
Commenced production in April 2008<br />
Nominal Ore Treatment Rate:<br />
Phase 1: 12 million tpa<br />
Phase 2: 16 million tpa<br />
Annual Production:<br />
Phase 1: 2010/2011<br />
Between 60,000 and 70,000 tonnes copper<br />
55,000 to 65,000 ounces gold<br />
600,000 to 700,000 ounces silver<br />
Phase 2:<br />
>70,000 tonnes copper<br />
65,000 ounces gold<br />
600,000 ounces silver<br />
Concentrate Product:<br />
Exported to third-party smelters<br />
Ore Reserves:<br />
(Summary as at 31 December 2008)<br />
0.96 million tonnes copper<br />
1.23 million ounces gold<br />
- 209 -
9.6 million ounces silver<br />
Mineral Resources:<br />
(Summary as at 31 December 2008)<br />
1.26 million tonnes copper<br />
1.53 million ounces gold<br />
Phu Kham Heap Leach Gold Operation (LAOS)<br />
(formerly called the Phu Bia Gold Mine)<br />
The Heap Leach operation entered production in November 2005. The operation leaches ore from<br />
the oxide gold cap deposit which overlays the Phu Kham copper-gold deposit. The mine is seasonal<br />
and produces gold during the dry months, from October to May. During the four-month wet season,<br />
the heap leach agglomerate is protected from rainfall by a low-density, plastic “sheeting”.<br />
Production is expected to conclude at the end of the 2009/10 dry season as the ore reserve is<br />
depleted.<br />
Phu Kham Heap Leach Gold<br />
Operation Information<br />
PanAust 90%<br />
Gold Heap Leach Facility<br />
Operational<br />
Nominal Treatment Rate:<br />
2 million tonnes per year<br />
Production Target:<br />
3,000 oz/month<br />
October-May inclusive<br />
Ore Reserves:<br />
(Summary as at 31 December 2007)<br />
16,000 ounces gold *<br />
Mineral Resources:<br />
(Summary as at 31 December 2007)<br />
33,000 ounces gold *<br />
* Includes stockpiles<br />
以下は、同社のサイトの 2009 年 12 月締めの四半期報告書からの引用である。より新し<br />
い 2009 年の概要が紹介されている。<br />
- <strong>21</strong>0 -
第Ⅳ-33 参考引用:2009 年の Phu kham 鉱山操業概況:December Quarter 2009 Activities<br />
and Cash Flow Report :<br />
http://www.panaust.com.au/upload/DecQtr2009_ActivitiesandCashFlowReport.pdf<br />
22 January 2010<br />
Quarterly Report for the three months ending 31 December 2009<br />
Phu Kham Copper‐Gold Operations, Laos<br />
• Record quarterly production of 16,854t copper, 19,283oz gold and 157,711oz silver<br />
at an average C1 cash cost of US$0.80/lb copper after precious metal credits on<br />
improved production performance combined with higher head grades<br />
• Total copper production for 2009 of over 54,000t at an average C1 cash cost of<br />
US$0.97/lb copper after precious metal credits; gold and silver production for the<br />
year of 56,759oz (in concentrate and doré) and 440,306oz respectively<br />
• Production for 2010 is expected to range between 60,000t and 63,000t copper in<br />
concentrate at an average C1 cash cost of between US$0.95/lb and US$1.05/lb<br />
copper after precious metal credits from over 43,000oz gold and 300,000oz silver<br />
Growth Projects<br />
Ban Houayxai Gold‐Silver Project, Laos<br />
• Major site works commenced including construction of the temporary<br />
accommodation camp, access roads and clearing of the process plant area<br />
• Feasibility study results scheduled to be announced during the March quarter 2010<br />
Exploration<br />
• Drilling commenced at high‐priority targets in Laos: Phonsavan Copper Project and<br />
Ban Phonxai copper‐gold prospect<br />
Corporate<br />
• At 31 December 2009, the Company had cash of US$88 million, project debt of<br />
US$63 million and a mobile equipment lease facility of US$39 million<br />
• Earnings before Interest, Tax, Depreciation and Amortisation (EBITDA) for the<br />
Decembe quarter were a record US$67.9 million2<br />
- <strong>21</strong>1 -
• For the 2009 year EBITDA was US$124.7 million2<br />
• EBITDA for the 2010 year is expected to be between US$165 million and US$225<br />
million, at copper prices of between US$2.50/lb and US$3.00/lb respectively<br />
Phu Kham Operations, Laos<br />
Introduction<br />
Phu Kham Operations achieved a significant improvement in operating performance<br />
in the December quarter, with record quarterly copper production of 16,854t in<br />
concentrate. Total copper in concentrate production for 2009 exceeded revised<br />
production guidance of 53,000t by more than 1,000t. Gold and silver production for<br />
the year also exceeded the revised guidance range at 56,759oz (in concentrate and<br />
doré) and 440,306oz respectively.<br />
The average C1 cash cost for the year of US$0.97/lb copper, after precious metal<br />
credits, was lower than revised guidance due to higher than anticipated production<br />
and prices for precious metals in the December quarter.<br />
Table 1: Production and cost summary<br />
Phu Kham Operations Units<br />
Production summary<br />
Copper in concentrate<br />
Gold in concentrate<br />
Silver in concentrate<br />
Gold in doré (Heap Leach)<br />
C1 cash cost after precious<br />
metal credits<br />
t<br />
oz<br />
oz<br />
oz<br />
US$/lb<br />
- <strong>21</strong>2 -<br />
3 months<br />
to<br />
31 Dec 2009<br />
16,854<br />
14,393<br />
157,711<br />
4,890<br />
0.80<br />
12 months<br />
to<br />
31 Dec 2009<br />
54,019<br />
43,099<br />
440,306<br />
13,660<br />
0.97<br />
Production Performance<br />
Higher ore head‐grades and improved operating performance resulted in record<br />
quarterly production of copper, gold and silver. There were no major shutdowns in<br />
the December quarter and accordingly there was increased process plant availability<br />
and utilisation with mill operating time of 92.9% in the December quarter compared<br />
to 86.5% in the September quarter and 79% in the first half of the year. Despite the<br />
high plant availability, process rates were often constrained to below design capacity<br />
of 1,500 tonnes per hour (the rate required to process 12 million tonnes per annum<br />
(Mtpa) of ore) during periods of high copper grades to avoid overloading of the<br />
flotation circuit. The average copper grade for the quarter was 0.85%.
Copper recovery, from predominantly transitional ore, continued to improve<br />
month‐on‐month: averaging over 70% for December and 69.3% for the quarter. Gold<br />
recovery to concentrate also rose to average 40.8% for the December quarter.<br />
The improved metallurgical recoveries largely reflect the result of a number of<br />
process optimisation projects implemented during the September 2009 quarter; an<br />
improved capacity to provide a blended ore product to the mill which reduced<br />
head‐grade variability; and the introduction of a small proportion (average 4%) of<br />
higher recovery primary ore as the open pit expanded.<br />
Ore‐type feed to the mill is scheduled to remain predominantly transitional through<br />
to 2012. Thereafter, primary ore should be the dominant ore‐type. Primary ore has<br />
superior metallurgical characteristics to transitional ores and is expected to support<br />
copper recoveries of around 80% at the average reserve grade of 0.65% copper. As<br />
mining progresses through the transition zone, the metallurgical characteristics of<br />
the ore feed should improve.<br />
Since operations commenced (to the end of December 2009), Ore Reserve to mill<br />
reconciliation results are +1.5% for ore tonnes, ‐2.7% for copper grade, +<strong>21</strong>.4% for<br />
gold grade and +49.2% for silver grade.<br />
During the quarter a further six 100‐tonne CAT777D dump trucks were added to the<br />
mining fleet to meet the needs of a scheduled increase in material movements during<br />
2010 as the open pit continues to expand and to meet future tailings storage facility<br />
construction rates. An additional mining shovel is also schedule to be added to the<br />
fleet during 2010.<br />
The oxide gold ore‐body at Phu Kham was depleted in late December resulting in the<br />
cessation of ore stacking operations at the gold heap leach operation. Irrigation of<br />
the heaps is scheduled to continue until March 2010, with final production of gold<br />
doré from this source expected the following month.<br />
Copper and gold paymetal in concentrate sales during the December quarter totalled<br />
17,604t of copper and 17,628oz of gold. The average copper and gold prices realised<br />
(after hedging) were US$2.97/lb and US$1,004/oz respectively.<br />
Cost Performance<br />
As foreshadowed in the September 2009 quarterly report, the average cash cost of<br />
production improved quarter on quarter, benefiting from higher copper production<br />
and increased precious metal credits following the resumption in mid‐October of<br />
- <strong>21</strong>3 -
heap leach gold production. The average C1 cash cost for the December quarter of<br />
US$0.80/lb copper also benefited from the high gold price.<br />
Production and cost guidance for 2010<br />
Concentrate production for the 2010 year is expected to range between 240,000 and<br />
260,000dmt containing between 60,000 and 63,000t copper, and more than 40,000oz<br />
gold and 300,000oz silver at an average C1 cash cost of between US$0.95/lb and<br />
US$1.05/lb copper after precious metal credits4. Residual oxide gold production from<br />
the Heap Leach Operation is expected to add more than 3,000oz most of which will<br />
be produced in the March 2010 quarter.<br />
Heap leach processing is scheduled to conclude in March 2010 as the stacked ore is<br />
depleted.<br />
Resource extension<br />
South pit area – During the quarter, an infill drilling program was completed over a<br />
strike length of 400m within the south pit area of the Phu Kham copper‐gold deposit.<br />
The program confirmed broad zones of copper‐gold mineralisation extending to a<br />
depth of up to 300m vertical, around 150m beneath the existing open pit design.<br />
Results from the program have been incorporated into a new geological model that is<br />
expected to be completed in January 2010 and will be used as the basis for the<br />
revised 2010 Phu Kham Mineral Resource estimate.<br />
North pit area ‐ Resource drilling within the north pit area of Phu Kham commenced<br />
during the December quarter. The 3,080m program will test the northern and<br />
north‐eastern limit of the Phu Kham copper‐gold deposit where mineralisation<br />
remains open both laterally and at depth.<br />
Initial drill results at the north‐east of the deposit have extended the interpreted<br />
limit of mineralisation.<br />
- <strong>21</strong>4 -
4.5.4 JICA ラオス事務所<br />
日時:2010 年 1 月 14 日 木曜日 10:00-11:00<br />
場所: JICA ラオス事務所<br />
参加者:JICA ラオス事務所 高島所長,磯部所員<br />
JMEC 横山上級参事,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前に地質局・鉱山局・ラオス国立大学・Polytechnic college・Mineral and Metals<br />
Group・Phu Bia Mining との面談したことも報告された。<br />
(横山上級参事)<br />
・地質局(DGEO)では,以前はロシアなどへの留学制度があったが,現在はないので,留<br />
学・奨学制度と職員のリカレント教育が求められるとのことであった。<br />
・Polytechnic college では,Bachelor(学士)まで取得できるようになり,1000 名程度の学<br />
生が鉱山関係学科で学んでいる。DGEO・DOM への人材を過去からも供給している。<br />
・ラオス国立大学工学部では,土木学科に鉱山部門が新たに出来,将来的には鉱山学科に<br />
したいとのことであった。1 学年で 130 名の学生が 2 学年まで在籍している。3 年後に卒<br />
業生が出る予定である。<br />
・ラオス国立大学とは,地質・鉱床学分野で協力できる可能性がある。また,分析設備の<br />
導入も望まれている。<br />
・ラオス国立大学では,IT 人材育成が行われているところであり,同時期に提案され,現<br />
在は,まだ実施されていない鉱山関連の人材育成プロジェクトは切望されている。<br />
・Mineral and Metals Group・Phu Bia Mining は,OJT 教育が主であるが,豪州等への<br />
留学制度がある。<br />
・DGEO は,Polytechnic college の拡充を要請している模様だが,ラオス国立大学は,最<br />
高学府としての援助を期待している。<br />
・中国系企業とラオス政府で鉱物分析センターが設立される予定である。<br />
(高島所長) Polytechnic college に鉱山学科があることは知らなかった。DGEO や DOM が<br />
今後どこから採用するかにかかっているであろう。予算が限られているので,鉱業分野で<br />
は,明確な方向性が見出せないでいる。具体的なプロジェクトを考えるか,もしくは,来<br />
年・再来年では,METI の予算を使って,開発調査の中の資源調査として立ち上げたほう<br />
がいいかもしれない。鉱業分野の優先順位は低いなかで,これから優先順位を上げるのは<br />
難しいと考えている。<br />
(横山上級参事)ラオスでは技術協力プロジェクトに関しては,いくつくらい動いている<br />
か?<br />
(高島所長)ラオスでは 20 件程度実施中である。ラオス国立大学の IT 人材育成もその一つ<br />
である。これは,現在では,実践的能力のある人材育成として,実施している。<br />
(横山上級参事)技術協力プロジェクトで長期専門家の派遣ができるのが最も良いと考えて<br />
いる。<br />
- <strong>21</strong>5 -
(高島所長)将来的に必要とされる人材数が見込めるような数字があるか?<br />
(横山上級参事)そのような調査は今までにないと思うが,ラオス国内の民間企業は数百人<br />
規模で新規採用をしているようである。<br />
(高島所長)将来的な人材市場を把握できる数字があるとよい。世界銀行は,ラオスの鉱物<br />
資源をうまく活用して,国の発展に寄与できるようなビジョンを考えているのだろう。ま<br />
た,ラオスは,国家財政における鉱業分野は重要な地位を占めているので,鉱業分野をど<br />
のように人材育成していくことが必要か,そのプラン・方向性を手助けすることは大きな<br />
意義があると考えられる。<br />
4.5.5 ビエンチャン日本商工会会長<br />
日時:2010 年 1 月 14 日 木曜日 13:30-14:30<br />
場所: 三井物産ビエンチャン事務所<br />
参加者:三井物産ビエンチャン事務所長 高沖 秀年<br />
JMEC 横山上級参事,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前に地質局・鉱山局・ラオス国立大学・Polytechnic college・Mineral and Metals<br />
Group・Phu Bia Mining・JICA ラオス事務所との面談したことも報告された。<br />
(高沖)<br />
・日本商工会は 2009 年 11 月 27 日に設立総会したところ。会員企業数 27 社。製造業では<br />
繊維と部品加工多い。巷間言われるようなタイの分工場はこれから先増えるだろうがまだ<br />
少ない。変わったところでは王子製紙の植林プロジェクトがある。従来大使館主導で来た<br />
日ラオス官民合同会議なども今後商工会としてもやっていくことになる。困っている現場<br />
密着型の要望を出して解決を要望するようなことを考えていきたい。<br />
・ビエンチャンで常駐している日本商社は三井物産だけ。<br />
・リオティントと共同しているサンサイ高原のボーキサイト探鉱プロジェクト(2008 年<br />
12 月に正式合意:5 年間で探査 4 年・FS1 年)は作業に入っている(2009 年は諸準備と<br />
雨季で昨秋から探査に入った。隣接鉱区を持っている中国・ベトナム企業ではまだ探鉱に<br />
入っていない。)。リオ社はラオスに拠点ないため、探査チームの入国やホテル移動等ロジ<br />
にかかわることを物産事務所で行っている。<br />
・リオティントの Alcan グループのボーキサイトの地質の権威者の人が来たとき、ラオス<br />
政府に連絡しておいて、DGEO で一日セミナーを実施してあげたこともある。ポリテクの<br />
教官や学生も聞きに来ていた。そういうことを含めて対策はしている。<br />
(横山上級参事)英語で実施ですか?<br />
(高沖)基本的に英語。逐語というわけでないが、まとめて少しラオス語で通訳入れるよ<br />
うな形式。<br />
4.5.6 在ラオス日本大使館<br />
- <strong>21</strong>6 -
日時:2010 年 1 月 15 日 金曜日 11:00-12:00<br />
場所: 在ラオス日本大使館<br />
参加者:在ラオス日本大使館 中村 健 一等書記官<br />
JMEC 横山上級参事,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山上級参事より,本調査の概要・調査目的の説明があった。また,<br />
この会議の前に地質局・鉱山局・ラオス国立大学・Polytechnic college・Mineral and Metals<br />
Group・Phu Bia Mining・JICA ラオス事務所との面談したことも報告された。<br />
(中村書記官)<br />
・環境と鉱山は関連性のある分野なので,環境関連人材育成ができると良いと思われる。<br />
大学教育はある程度自助努力が効くもののような印象がある。したがって,はじめは政府<br />
職員にテコ入れするほうがいいと思う。その反面職員のバックグランドがないと,難しい<br />
と思われる。そういう観点から言うと,職員を輩出する大学教育の充実も同時に必要であ<br />
る。<br />
・鉱業分野では,求人のニーズはあると思われる。中国のようにラオスに中国人を連れて<br />
きて,プロジェクトが終わると全員引き揚げてしまい,ラオスには,技術も資源も残らな<br />
いということでは,ダメなような気がする。<br />
・世界銀行のプロジェクトとも絡み,人材育成の方向性が出ている部分を行うことが重要<br />
と思われる。<br />
・ラオス政府の政策立案能力が,まず必要とされるであろう。乱開発を防ぐような計画的<br />
な開発が求められる。ラオス政府も採算性のある事業は少ないので,鉱業分野は重要なセ<br />
クターと考えている。<br />
・JICA などでもいくつかのスキームを組み合わせて行うような形ができると良い。<br />
(横山上級参事)<br />
・polytechnic college とラオス国立大学,DGEO・DOM がタイアップできるようなスキ<br />
ームを考案していくことも手である。ラオス国立大学とは,地質・鉱床学分野で協力でき<br />
る可能性があり、ここの機能を polytechnic college,DGEO・DOM も活用できるように<br />
していけば良い。こうした JICA の技術協力プロジェクトが立ち上がると良いと思う。<br />
- <strong>21</strong>7 -
Ⅴ カンボジア現地調査<br />
5.1 カンボジア現地出張<br />
5.1.1 調査期間<br />
<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年 12 月 19 日(土)~<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年 12 月 26 日(土)<br />
5.1.2 調査団構成<br />
横山 勝雄 財団法人国際鉱物資源開発協力協会 特別顧問・上席調査主幹<br />
田中 隆之 財団法人国際鉱物資源開発協力協会 調査員<br />
5.1.3 調査内容<br />
<strong>経済産業省</strong>から受託した首記調査について 11 月から実施してきた国内の主要鉱山会社<br />
及び商社へのアンケート調査票の回収・面談、既存資料の分析などの結果に基づいて、プ<br />
ノンペンにてカンボジアの鉱業関係政府機関、大学及び日本関係企業・機関などを訪問し、<br />
カンボジアの鉱業人材関係の現状を調査した。<br />
5.1.4 調査日程と面談主要相手方<br />
日程及び面談の主要相手方は下記のとおり。<br />
第Ⅴ-1 表 カンボジア現地調査日程<br />
AM PM 備考他<br />
19 08:20 VN 841 11:50 横山Phnom Penh到着ハノイから<br />
20 資料整理 資料整理<br />
<strong>21</strong> 視察 資料整理<br />
22<br />
23<br />
24<br />
25<br />
9:00 工鉱業エネルギー省MIME 鉱物資源総局GDMR H.E Mr. Sok Leng総局<br />
長,Mr. Peng Navuth副総局長,Mr. Sieng Sotham地質局長,Mr. Uch Bora副総<br />
局長,Mr. Mak So Pheaktra建設材料資源局長,Mr. Chuour Cheth Tyvoin副総局<br />
長,Mr. Chrea Vichett副局長<br />
鉱物資源総局アドバイザー 末岡慎也 JICA長期専門家<br />
8:30教育省 事務次官 Ms.PHOERNG<br />
Sackona<br />
10:30環境省 官房長Mr. Long Rithirak,<br />
環境アセスメント局次長Mr. Danh Serey<br />
環境汚染規制局長 Mr. Heng Nareth<br />
9:00 鉱物資源総局地質局(DOG)<br />
Mr. Sieng Sotham地質局長,<br />
Mr. Choup Sokunthera協力課長<br />
11:00 カンボジア工科大学 地質工学<br />
コースの教授陣<br />
10:00日本大使館 黒木雅文 大使<br />
横山 博之 一等書記官<br />
26 早朝成田着<br />
14:30 カンボジア工科大学ITC<br />
学長 Dr. OM Romny、<br />
企画・プロジェクト開発担当副学長 Phol<br />
Norith、<br />
協力・研究開発担当副学長 Dr.<br />
Chunhieng Thavarith、<br />
Rural Engineering(地域開発工学科)副<br />
学科長 Phat Bone<br />
14:30 日本商工会会長<br />
(三井物産 中原 憲一 支店長)<br />
16:00 JICA 鈴木 康二郎 所長<br />
篠田 孝信 所員<br />
- <strong>21</strong>8 -<br />
田中到着 20:10 TG584ラオス地質<br />
調査からバンコック乗継<br />
意見交換夕食会(GDMRのH.E Mr.<br />
Sok Leng総局長以下7人、ITC学<br />
長、JMEC、JICA長期専門家)<br />
横山 19:30 VN 9873 20:20 Ho<br />
Chi Minh 00:05 VN950 05:25<br />
田中<strong>21</strong>:10-TG585-22:15 Bang Kok<br />
23:50-TG642- 12/26-05:40Narita
5.1.5 調査結果<br />
面談者に、METI の環境調和型の資源開発のアジア展開ロードマップの英文版と、JMEC<br />
作成(中島国際協力部長)の鉱業技術の体系マトリックスの英文版を配布して、本調査の<br />
趣旨を説明し、カンボジアの将来の鉱業開発(現在の探鉱を含む)と同人材の現状・問題<br />
点、人材育成の要望など幅広い情報を、質問状(事前に届けておいた Questionnaire)の<br />
回答を含め、収集することが出来た。<br />
今回の面談では初日に鉱物資源総局 GDMR の H.E. Sok Leng 総局長はじめ関係主要当<br />
局者は非常に協力的で午前中いっぱい会議形式で情報交換が進んだ。また教育省では事務<br />
次官が、環境省では官房長という高い職階の者が面談に応じてくれた。カンボジア工科大<br />
学 ITC でも学長以下副学長と面談し、さらに翌日 Rural Engineering 学部の Geotechnical<br />
コースの教授陣との面談も出来た。GDMR 関係者と ITC 学長とは夕食意見交換会を持て<br />
た。<br />
カンボジアについての総括的事項を以下にまず述べ、その後に、個別の面談内容概要を<br />
記載する。<br />
5.1.6 総括<br />
・カンボジアでは金属鉱業がまだ成立していない。そういう中でもラオスに代表される新<br />
規鉱業開発の成果が大きいということで探査活動が盛んになりつつある。<br />
・GDMR の地質局(DoG)には顕微鏡なども、他の国際機関で使用した古い機器を個人的<br />
に譲ってもらったものがある程度であり、分析・調査機器の充実につき要望あった。<br />
・GDMR の職員の技術のレベルアップは、基本的に、OJT で企業探鉱や行政の調査監督<br />
に、同行等する中で、若いころに旧ソビエト等東側大学や、その協力でカンボジア国内に<br />
あった学校(現在は同様の形では無い。)等で地質鉱山学等を学んだ先輩職員から若手職員<br />
に移転させることをねらいとしている。年配職員の退職などを考えると、数年先を見越し<br />
た手を打つ必要があると切迫した危機感を持っている。<br />
・ITC(カンボジア工科大学)は、昔は地質資源学部あったが、卒業生が働くところがな<br />
いなどで90年代に消滅し、その後は Rural Engineering 学部の4・5年次(同国でもベ<br />
トナムと同様大学は5年制)に選択コースとして Geotechnical を設置。地質を含む資源工<br />
学を教えており、卒業生は建設会社。セメント会社などへ行っている。ここでも分析・調<br />
査機器は非力。岩石力学関係の試験装置はあった。<br />
・同大学の Geotechnical の学生4人が、AUN/SEED-Net プログラムで日本で留学中(博<br />
士コース:北大2、京大1、九大1)。同プログラムは当初 JICA が提案したもの(大使館<br />
も JICA も紹介しておいたが、このスキームで日本へ留学生行っていることはご存じなか<br />
った。)。同プログラムの有効性が現実的に証明されているように感じられた。日本国内で<br />
協力している大学には、今後カンボジアに限らずインドシナ鉱業支援に活躍いただける可<br />
能性があると期待される。<br />
・鉱物分析センターは、ラオスでは中国企業が支援して建設中(4億円:このほかに地質<br />
探査にも 20 億円かけるプロジェクト。中国の鉱業権益期待の先行投資といえよう。:ただ<br />
し政府機関や大学には無いので別途日本の支援は検討されるべきであるが。)ということだ<br />
- <strong>21</strong>9 -
が、この国ではまだない。これを GDMR に設置して、ITC 学生育成にも使用させる支援<br />
プロジェクトが考えられる(あるいは設置場所を ITC とする場合は、GDMR 職員も使用<br />
できるようにする。どちらがフィージブルかは、今後の更なる検討に委ねざるを得ない。)。<br />
・単に鉱物分析だけでなく、地質のフィールドを歩いて、地質図をかける能力を身につけ<br />
させる勉強(これに対応する専門家と機材)も必要。<br />
・資源国としては鉱山生産が始まっておらず、青田買いとなってしまうが、このような鉱<br />
物分析+地質図能力を育成支援する JICA 技術協力プロジェクトやそれに準ずる専門家派<br />
遣などが、検討される必要がある。<br />
・すでに鉱物資源分野では、2009 年夏から、JICA 専門家が、同国に派遣されており、今<br />
後のプロジェクト立ち上げにも有機的に活動してもらうことが考えられる。<br />
・また、GDMR そのものへの機能強化等の支援の面では、JICA「カンボジア国鉱業振興マ<br />
スタープラン調査」(2008-10 年度)を受託して、調査や支援を実施中の実施者の三井金属<br />
資源開発株式会社の調査完成が待たれるところである。この調査とも連携を取りながら、<br />
カンボジア国全体での、鉱業(資源)地質の面でのレベルアップと行政能力・サービスの<br />
向上が必要である。<br />
・カンボジアの鉱業関係の人材育成支援については、鉱物資源総局 GDMR の Sok Leng<br />
総局長はこういう発言をしていた。<br />
「専門の大学がないので,知識を持っているベテラン職員から学ぶようになるが,ベテラ<br />
ン職員も忙しいので人材育成に割ける時間も限られる。高卒程度の年代から人材を集めて<br />
技術者を養成することも必要と考えている。」<br />
「人材育成には,2 種類あると考える。一つは,現職員を短期研修に派遣する形のもの,<br />
もう一つは,高卒程度の年代の人材を大学教育により育成する形がある。しかしながら,<br />
短期研修は,現職がその仕事から外れるので,困難さを伴う。」<br />
「短期研修は,言葉の問題もあり,教育的効果が難しいこともある。さらに若年層の教育<br />
には,英語教育と専門教育がなされる必要があると感じている。政府としても,様々な留<br />
学生制度などにもアクセスしている。」<br />
「鉱物資源総局では,人材の育成には数年かかることを考えると,今後徐々に経験のある<br />
職員が退職してしまってくるので,OJT すらできない状況が懸念される。」<br />
「日本政府には,カンボジアでの短期(1 か月程度)研修コースの拡充や,平日にフィールド<br />
調査を行い,週末には,自宅に戻るというようなシステムの構築をお願いしたい。」<br />
「日本政府による人材育成プロジェクトを是非実現させてほしい。実現するのであ<br />
れば,鉱工業・エネルギー大臣やカンボジア工科大学と連携して雇用等を含めた体制作り<br />
を進めたい。<br />
人材不足が懸念される数年後を見通した教育を含め,日本政府の援助をお願いしたい。」<br />
5.1.7 中国の動き<br />
やや古い時期の報道であるが、JOGMEC の情報で下記がある。<br />
第Ⅴ-1 参考引用:カンボジア・中国は鉱物資源開発で協力へ:JOGMEC Virtual 金属情報<br />
センター ニュース・フラッシュ 2005 年 10 月 24 日<br />
- 220 -
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/news_flash/05-41.html#%E3 以下略<br />
地元紙等によればカンボジアの Hun Sen 首相がさる 9 月 27 日、中国の Sun Wensheng<br />
国土・天然資源大臣(Land and Natural Resources Minister)を団長する代表団が同国を訪<br />
問した際に会談、鉱物資源の探鉱開発で協力を強化する要請を行なった。<br />
同会談で、カンボジアには豊富な鉱物資源が埋蔵しており、探鉱開発でで中国の協力拡<br />
大を求めたもの。<br />
これに対して、中国側は、探鉱、鉱物資源のテスト施設、技術者養成などで協力を約束<br />
した。<br />
Sun Wensheng ミッションのカンボジア訪問は、同国の鉱山・エネルギー、都市・建設の<br />
両大臣と会談し、協力強化を進めるためである。<br />
Hun Sen 首相が、同国の経済発展、貧困解消で中国企業のカンボジアの鉱山開発投資を<br />
歓迎すると述べている。<br />
(2005. 10. 24 ジャカルタ 池田 肇)<br />
5.1.8 韓国の動き<br />
カンボジアの鉱業分野を含めた支援を韓国が最近行っているとの報道があった。<br />
第Ⅴ-2 参考引用:カンボジアへ韓国 180 億円支援:日本経済新聞 2009 年 10 月 23 日<br />
カンボジアへ韓国 180 億円支援―両国首脳が合意―<br />
【鳥谷英明】<br />
カンボジアを訪問した韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は 22 日、プノンペンでフ<br />
ン・セン首相と会談し、韓国のカンボジアに対する経済支援の拡大で合意した。韓国青瓦<br />
台(大統領府)によれば、計画を上積みし、2012 年度までに最大 2 億ドル(約 180 億円)<br />
を支援する。環境問題やカンボジアでの鉱物資源開発などにも両国が協力して取り組むこ<br />
とで合意した。<br />
5.1.9 日本の民官の動き<br />
カンボジアにおいて、民間で一つ、官で一つの探査活動がある。<br />
前者は、三菱商事が、BHP ビリトン社と組み、モンドリキリ高原のボーキサイトの探鉱<br />
をし、アルミナにまでしようということで、2006 年ころから着手している。<br />
後者については、JOGMEC が共同探鉱契約を結んで、銅・亜鉛を探査実施中である。以下<br />
JOGMEC の NEWS RELEASE から引用紹介する。<br />
第Ⅴ-3 参考引用:カンボジアで初の銅・亜鉛等の共同探鉱を開始 2008 年 3 月 27 日<br />
http://www.jogmec.go.jp/news/release/docs/2007/pressrelease_080327.pdf<br />
- 2<strong>21</strong> -
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC 理事長:掛札勲)は、カンボ<br />
ジア王国のクラチエ北部地域及びクラチエ南部地域において、豪・サザンゴールド社と銅・<br />
亜鉛等の共同探鉱を開始した。探鉱地域はカンボジア東部のクラチエ州とモンドゥルキリ<br />
州に位置し、首都プノンペンの北東約 200km にある。<br />
カンボジアではこれまで 1980 年代にフランス政府が広域的な調査を行ったのみで、組<br />
織的な探査はほとんど実施されていないが、両地域には花崗岩類に関連する金を伴う銅、<br />
亜鉛等の鉱化作用が確認されていることから、今後の探鉱により新鉱床の発見が期待され<br />
る。<br />
今回の共同探鉱では、探査地域全体の地質状況を把握するため、衛星画像解析、空中磁<br />
気探査及び土壌による地化学探査等を実施し、鉱化作用が期待される地区を抽出する計画<br />
である。<br />
■ プロジェクトの概要<br />
1)探鉱地域<br />
クラチエ北部(Kratie North)地域:クラチエ州からモンドゥルキリ州にかけて位置す<br />
る。1 つの探鉱鉱区からなり、面積は 234km2 である。<br />
クラチエ南部(Kratie South)地域:クラチエ北部地域の南方約 50km でモンドゥルキ<br />
リ州に位置する。2 つの探鉱鉱区からなり、面積は 545.5km2 である。<br />
2)契約内容<br />
共同探鉱のパートナーは、豪企業であるサザンゴールド社(本社、アデレード)及びそ<br />
のカンボジアの現地子会社である。JOGMEC は両地域において地化学探査等に 40 万米ドル<br />
を、その後クラチエ北部地域においては 3 年間で 135 万米ドルを、またクラチエ南部地域<br />
においては 3 年間で 275 万米ドルの探鉱費用を負担することにより、JOGMEC はそれぞれ<br />
の地域で 51%の権益を獲得できる。<br />
3)探鉱内容<br />
両地域とも既存鉱山はなく、これまでに組織的な探査もなされていない。サザンゴールド<br />
社が実施した調査によれば、金を伴う銅、鉛、亜鉛の鉱化作用が知られており、このほか<br />
周辺地域では金を伴うアンチモン鉱化作用もある。いずれも花崗岩類と密接に関連するこ<br />
とから、衛星画像解析及び空中磁気探査により貫入岩体等の存在を把握するとともに、土<br />
壌による地化学探査を実施し、銅、鉛、亜鉛、アンチモン等の元素の濃集分布を明らかに<br />
していく。その結果、鉱床賦存が期待される地区が抽出されればボーリング調査等により<br />
新たな鉱床の発見を目指す。なお、調査箇所での地雷調査は実施されており、安全確保が<br />
行われた上で探査活動がされている。<br />
(参考)<br />
■ サザンゴールド社(Southern Gold Ltd.)概要<br />
オーストラリア連邦アデレード市に本拠地を置く非鉄金属資源の探鉱ジュニア企業。2005<br />
年に豪州証券取引所に上場、豪州内に複数の探鉱案件を保有し、社長の Stephen Biggins 氏<br />
は BHP 社探鉱部門出身である。カンボジアでは 2006 年に鉱区を取得し、探鉱を開始した。<br />
- 222 -
まだ具体的な動きではないが、最近の新聞記事とその Web サイトで、カンボジアの鉱物<br />
資源にポイントを置いた紹介記事があったので収録しておく。<br />
第Ⅴ-4 参考引用:【躍動 メコン】カンボジア編 豊富な地下資源に期待 SankeiBiz<br />
2010.2.10 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100<strong>21</strong>0/mcb100<strong>21</strong>00505001-n1.htm<br />
【躍動 メコン】カンボジア編 豊富な地下資源に期待<br />
≪ビジネス≫<br />
カンボジアは地下資源にも恵まれており、主要な産業に育つ可能性がある。<br />
- 223 -
その一つが石油や天然ガスだ。カンボジアの南に位置するシャム湾の海底には、豊富な<br />
石油・天然ガス資源が眠っている。すでに周辺のタイ、ベトナム、マレーシアでは開発が<br />
始まっているが、カンボジアの領海では生産の準備に入った段階。 最も進んでいるのは、<br />
8つの鉱区のうちの「A鉱区」。メジャー(国際石油資本)の米シェブロンや、日本の三井<br />
石油開発などが権益を保有している。商業生産の開始は2013年以降になるものとみら<br />
れ、カンボジアに大きな利益をもたらすことが期待されている。<br />
また、タイとの間で領海問題が未解決の海域にも、有望な鉱区がある。同鉱区をめぐっ<br />
てはタイとカンボジアが共同開発などの協議を進めてきた。しかし、両国間の政治上の問<br />
題を背景に計画通りには進んでいない。<br />
一方、鉱物資源をみると、内陸部にアルミニウムの原料となるボーキサイト、金、銅な<br />
どの存在が確認されており、現在、国際協力機構(JICA)が、「カンボジア鉱業振興マ<br />
スタープラン調査」に乗り出している。今秋には調査の最終報告がまとまる予定。調査結<br />
果によっては、今後の経済発展に大きく寄与することになる。<br />
さらに、カンボジアでは宝石類も産出する。北東部のラタナキリ州や西部のパイリン州<br />
が産地として有名。ラタナキリ州の「ラタナ」は宝石、「キリ」は山を意味する。まさに“宝<br />
の山”になる可能性がある。<br />
また、世界的に需要が拡大しているレアアース(希少金属)に関しても調査が進められ<br />
ている。JICAの調査団関係者は「まだ十分な情報があるわけではないが、地質などの<br />
条件をみる限り、可能性はある」と話す。<br />
これらの有望な地下資源を求めて、主要各国の動きも活発になっている。石油・天然ガ<br />
スについては、8鉱区のうち2鉱区の権益を中国が取得。鉱物資源は、オーストラリア、<br />
中国、韓国などが開発の権利を得ている。日本もJICAの調査を足がかりに、参入を検<br />
討する動きが強まると予想される。(カンボジア総合研究所・BRIC)<br />
- 224 -
5.2 鉱業国家機関<br />
カンボジアにおいて鉱業に直接関係する組織は鉱物資源総局(GDMR: General Department<br />
of Mineral Resources)であり、工鉱業エネルギー省(MIME)の傘下にあるが、他に環境省<br />
も鉱業に関して密接な管理監督上の地位を占め、また、外資による鉱業活動では、カンボ<br />
ジア開発評議会(CDC: Council for the Development of Cambodia)による外資事業の許認可と<br />
契約締結がカンボジア国内での事業活動の前提となる。他に探査、採掘活動の段階では、<br />
雇用の関係から労働職業訓練省、税務の関係では商務省、経済財政省、さらに水資源・森林<br />
利用などの面では水資源気象省、農業林業漁業省などが関係することとなる。以下、それ<br />
らの内の主な関係先について記す。<br />
5.2.1 工鉱業エネルギー省 (MIME: Ministry of Industry, Mine and Energy)<br />
工鉱業エネルギー省は、大臣官房室、工業総局、鉱物資源総局、エネルギー総局、水供<br />
給局、監査総局、総務部、人事局部、財務部、法務部および地方支局から構成されている。<br />
鉱業に関しては、工鉱業エネルギー省は鉱物資源総局およびエネルギー総局の上位組織<br />
として、よりマクロに国内天然資源の管理と有効利用、環境整合的な開発などで政策的に<br />
地質・鉱業活動を広く管理・監督する。<br />
工鉱業エネルギー省の本省全体では約 700 名の成員であり、この他に各州、主要都市など<br />
の出先にもスタッフが駐在あるいは任命されている。<br />
工鉱業エネルギー省の任務に係る印刷情報は公表されているサイトでは入手できなかっ<br />
たが、鉱物資源総局の上位組織として、鉱業だけでなく工業的産業分野全般に亘り、政策<br />
策定からその施行、管理を広く行う行政機関として組織されている。<br />
鉱業分野に関しては、傘下の鉱物資源総局と連携して、マクロ政策面から鉱業活動を推<br />
進すると共に、関連工業分野に対してもその波及効果を及ぼすべく各種の政策の策定と運<br />
用を図っている。<br />
(同省の web サイト上では、現在「工業総局」の中小企業対策中心のサイトのみ、開示さ<br />
れており、組織詳細等は不明で、上記記述は、JMEC <strong>平成</strong> 17 年 2 月「カンボジアにおける<br />
鉱物資源開発分野の投資環境整備調査報告書」に拠った。ただし、「水供給局」を付加して<br />
みたのは、「JICA カンボジア鉱業セミナー」2010 年 1 月 22 日のカンボジア GDMR 副総局<br />
長 Peng Navuth 氏発表の“MINING SECTOR IN CAMBODIA”記載の情報―MIME の4主要<br />
所管として、Industry, Mines, Energy, Water Supply-が挙げられていることに拠る。ただし<br />
次ページの図には読みとれない。)<br />
- 225 -
第Ⅴ-1 図 カンボジア工鉱業エネルギー省組織図 今次出張で GDMR よりの入手資料<br />
5.2.2 鉱物資源総局(GDMR: General Department of Mineral Resources)<br />
鉱物資源総局 GDMR は工鉱業エネルギー省(下記)傘下で組織され、鉱物資源総局には鉱<br />
物資源局、地質局、鉱物資源開発局、建設材料資源局の 4 組織がある。総局の成員は下記<br />
のように併せて 102 名の人員構成である。GDMR 総局には 1 人の総局長と 3 人の副総局長<br />
がいる。このほか各 4 局には、局長と副局長がいる。<br />
GDMR の基本的な任務は下記のとおり。<br />
・地質と鉱物開発の実施と管理<br />
・地質鉱物情報の普及と拡大<br />
・鉱物資源、砂利、砂、その他建設材料の探査、ポテンシャル評価、開発の促進<br />
・地質調査の実施と増大<br />
なお、現時点では、閲覧不可能であるが、JICA「カンボジア国鉱業振興マスタープラン<br />
調査」受託実施者の三井金属資源開発株式会社に拠れば、この事業の支援により、2010 年<br />
- 226 -
2 月末ころからは、下記 GDMR の Web サイトが見れるようになるとのことである。<br />
http://www.gdmr.gov.kh<br />
局と人数 局内組織 任務<br />
鉱 物 資 源 局<br />
DMR<br />
26 人<br />
地質局 DoG<br />
27 人<br />
鉱物資源開発局<br />
DMRD<br />
28 人<br />
金属鉱物課<br />
非金属鉱物課<br />
貴石炭鉱課<br />
鉱山監督課<br />
地質調査課<br />
地図作成課<br />
環境地質課<br />
実験課<br />
鉱物資源開発課<br />
協力課<br />
データ管理課<br />
歳入課<br />
第Ⅴ-2 表 GDMR の組織<br />
・鉱物資源・砂利砂・建設材料の探査・評価・採掘・<br />
処理・抽出・販売について、技術・経済・労働安全<br />
と環境について効果的に管理する方法論と方策を準<br />
備する。<br />
・全国で鉱物資源・砂利砂・建設材料の探査・開発<br />
に関係する法、政令、命令、規則を実施する。<br />
・鉱物資源・砂利砂・建設材料を探査し、その量と<br />
品質を計算して評価する。<br />
・鉱物資源・砂利砂・建設材料の探査・開発投資プ<br />
ロジェクトを研究しコメントする。<br />
・法、政令、命令、規則と鉱物協定の実施について<br />
管理し制御しモニターする。<br />
・地質調査に関する法、政令、規則を実行する。<br />
・地質、地球物理、地化学の研究を実施する。<br />
・鉱物資源の評価とマッピング<br />
・石油ガス関係以外の地質データと情報を収集し、<br />
管理し、使用し、交換し、売る。<br />
・地質、観光、都市あるいは建設用地の利益のため<br />
にカンボジアの地域の地質情報を分析し、鉱物ポテ<br />
ンシャルのある地域を分析する。<br />
・地質や鉱物資源に関する地質調査やマッピングを<br />
普及させ増大する。<br />
・都市化、環境保護や自然災害保護に応用される地<br />
質情報を収集する。<br />
・カンボジアにおける地質と鉱物資源を開発する国<br />
の政策を立案する。<br />
・鉱物資源・砂利砂・建設材料の慨査・探査・開発<br />
に関係する法、政令、命令、規則、鉱物投資協定の<br />
案を作成する。<br />
・プロジェクトを作り、関係省庁や国際的に協力し<br />
て、鉱物資源・砂利砂・建設材料の内外のデーター<br />
を、収集分析する。そして、鉱物資源・砂利砂・建<br />
設材料のデータセンターを設置する。<br />
- 227 -
建設材料資源局<br />
DCMR<br />
15 人<br />
岩石開発課<br />
砂利砂開発課<br />
粘土土壌ラテラ<br />
イト開発課<br />
・関係局と協力して、人材開発のために、地質や鉱<br />
山の技術のトレーニングコースを組織する。<br />
・カッティングストーン・クラッシュドストーン、<br />
砂利・建設用砂・粘土・ラテライト・土といった建<br />
設材料の探査・開発に関する原則を規定する。<br />
・量・質・経済性に基づき、建設材料資源のポテン<br />
シャルを研究・分析・評価する。<br />
・建設材料資源の開発をコントロールし、監督し、<br />
管理する。<br />
・建設材料資源の生産―開発の統計を管理する。<br />
・建設材料資源の開発・採石の技術について、協力<br />
し、コントロールし、コメントをする。そして会社<br />
や鉱業権者から提出される技術報告書を評価する。<br />
・法律、政令、規則、命令について、管理し、アド<br />
バイスを与え、コントロールし、実施状況を記録す<br />
る。<br />
・国内外の機関と協力するプロジェクトを準備する。<br />
- 228 -
5.2.2.1 GDMR 今回出張時面談内容<br />
日時:2009 年 12 月 22 日 火曜日 9:00-11:00<br />
場所:カンボジア国 鉱工業・エネルギー省 鉱物資源総局(GDMR) 会議室<br />
参加者:カンボジア国 鉱工業・エネルギー省 鉱物資源総局<br />
H.E Mr. Sok Leng 総局長,Mr. Peng Navuth 副総局長,Mr. Sieng Sotham 地質<br />
局長,Mr. Uch Bora 副総局長,Mr. Mak So Pheaktra 建設材料資源局長,Mr.<br />
Chuour Cheth Tyvoin 副総局長,Mr. Chrea Vichett 副局長<br />
鉱物資源総局アドバイザー 末岡慎也 JICA 長期専門家<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山特別顧問より,本調査の概要・調査目的・進捗説明があった。<br />
(Sok Leng 総局長)<br />
・鉱物資源総局を代表して,日本政府及び JMEC 調査団に感謝したい。人材育成の重要性<br />
は認識している。鉱物資源総局には,4 つの局がある。地質局・鉱物資源局・鉱物資源開<br />
発局・建設材料資源局である。総局では,現在 102 名の人員を抱えている。博士号取得者<br />
は 1 名,修士号取得者は 6 人,学士 26 名,中等教育卒が 24 名,そのほか 42 名が学士(大<br />
卒)で総務・経理等を行っている。<br />
・鉱物資源総局では,250 名ほどの人員が必要と考えている。現在は,1 人で 2 人分の仕<br />
事を行わざるを得ない状況である。鉱区は,100 地区程度あり,民間企業が 60 社ほど参<br />
入している。<br />
・さらにフィールドワークができる人材がいないので,人材の不足が顕著となる。<br />
・人材育成分野では,現職員は短期(1 か月~3 か月)研修などでの人材育成が必要であると<br />
考えている。<br />
・専門の大学がないので,知識を持っているベテラン職員から学ぶようになるが,ベテラ<br />
ン職員も忙しいので人材育成に割ける時間も限られる。高卒程度の年代から人材を集めて<br />
技術者を養成することも必要と考えている。<br />
・人材育成には,2 種類あると考える。一つは,現職員を短期研修に派遣する形のもの,<br />
もう一つは,高卒程度の年代の人材を大学教育により育成する形がある。しかしながら,<br />
短期研修は,現職がその仕事から外れるので,困難さを伴う。<br />
・短期研修は,言葉の問題もあり,教育的効果が難しいこともある。さらに若年層の教育<br />
には,英語教育と専門教育がなされる必要があると感じている。政府としても,様々な留<br />
学生制度などにもアクセスしている。<br />
・鉱物資源総局では,人材の育成には数年かかることを考えると,今後徐々に経験のある<br />
職員が退職してしまってくるので,OJT すらできない状況が懸念される。<br />
・日本政府には,カンボジアでの短期(1 か月程度)研修コースの拡充や,平日にフィールド<br />
調査を行い,週末には,自宅に戻るというようなシステムの構築をお願いしたい。<br />
(横山特別顧問) 大学・中等教育の詳細は?<br />
(Sok Leng 総局長)先ほど言った中等教育 24 名は,2 年間の専門学校(College)で学んだも<br />
のであり,26 名の大卒は,4 年制大学を卒業している。<br />
- 229 -
(横山特別顧問)4 年制大学は,カンボジア国内か,海外留学か?<br />
(Sok Leng 総局長)国内でロシア人教授から学んだものが大半である。博士号・修士号取得<br />
者は海外,主としてロシアで取得している。ポーランドの例もある。国内でも夜間大学で<br />
中等教育を受けたものもいる(専門は地質ではない)。1992 年以降,地質学科はない。<br />
(横山特別顧問)短期研修は,現在も行っているのか?<br />
(Sok Leng 総局長)今まで行ったことはない。資金面と機会がなかったので実施できていな<br />
い。<br />
(横山特別顧問)政府の人材育成プログラムはあるのか?<br />
(Sok Leng 総局長)<br />
人材育成の基本方針はない。教育省でのプログラムがあるが,OJT は,民間企業と一緒に<br />
なってやっているのが現状である。<br />
(横山特別顧問)250 名とはどのような試算か?<br />
(Sok Leng 総局長)人数に関しては,投資件数や会社数から算出している。このくらいの人<br />
数がいないと投資案件に対応できない。鉱物資源総局には,民間企業の監視などの業務が<br />
あり,人材を増やすことが必要である。<br />
(横山特別顧問)OJT は,どのくらい行っているのか?<br />
(Sok Leng 総局長)1 つの会社(プロジェクト)に 2 人入れて半月ごとに交代している。ま<br />
た,全国を 4 つに分けて 1 地区を 10 人で対応している。このことにより,探査・採掘の<br />
技術を学んでいるという状況であり,それにより技術者のレベルアップを図っている。<br />
(横山特別顧問)民間企業関連の出張に行く職員の日当・旅費は民間企業負担かと思うが,<br />
フィールドでの調査費用は政府が支出する用意があるか?<br />
(Sok Leng 総局長)カンボジア政府では日当のような形で 5000 リエル/日を支給する。これ<br />
は,日当ではなく,医療費としてである。月 150 米ドルを出してほしいと考えている。フ<br />
ィールド調査で出た職員の 30%は,マラリアに罹患するので,医療費としての扱いをして<br />
いる。また,給与が低いため,優秀な職員は,民間企業に引き抜かれてしまう。GDMR 職<br />
員の給与は月額 100 米ドル程度である。<br />
(横山特別顧問)教育省などへの働き掛けはしているのか?<br />
(Sok Leng 総局長)豪州政府・韓国政府には働き掛けをしている。しかし,鉱業は,実際に<br />
山に分け入るような野外での作業が多く,希望する学生も少ない。さらにそのような仕事<br />
にお金を払ってまで従事しようと思う学生が少ないのが現状である。プノンペンのような<br />
都会で育った人間が,野外での仕事に従事しようとすることは少なく,地方在住の若者の<br />
モチベーションを生かすようになるのではないか?地質関連の学科へは,奨学金によって<br />
入学する学生も多い。<br />
(横山特別顧問)国家財政に対する鉱業の経済的効果は現在どのようになっているか?<br />
(Sok Leng 総局長)2007 年に sub-degree No.8 により,精鉱の輸出は禁止されている。稼<br />
働している大規模な金属鉱山はないので,国家財政に対する鉱業の経済的効果は試算され<br />
ていない。潜在的な鉱物資源ポテンシャルのみである。<br />
(横山特別顧問) sub-degree No.8 を変更してくれるように考えている企業は多いのではな<br />
いか?鉱石を輸出して,外貨を獲得するのが政策の基本になるべきと考える。そのほうが<br />
探鉱投資を促進するであろう。次に,鉄・金・ボーキサイトのほかに有望な鉱種としてど<br />
- 230 -
のようなものを考えているか?<br />
(Sok Leng 総局長) いまだ良く分からないのが現状である。<br />
(横山特別顧問)2008 年のリーマンショックによる外資の投資には影響が出ているか?<br />
(Sok Leng 総局長) 小規模な鉱山には影響が出ていない。モンドルキリのボーキサイト案<br />
件は,2010 年から探鉱を再開すると聞いている。<br />
(横山特別顧問)鉱業分野における中国のプレゼンスは,どのようになっているか?<br />
(Sok Leng 総局長)カンボジアは調査段階なので,目立った鉱山はない。Oz 社などは,カ<br />
ンボジアに探鉱を集中する意向のようだ。<br />
(横山特別顧問)ラオスでは,鉱山開発の場合,政府が 10%の権益を取得する権利があるが,<br />
カンボジア政府は権益について,どのように考えているか?<br />
(Sok Leng 総局長)カンボジアでは,ローヤルティとして権益を有すと考えている。<br />
(横山特別顧問)ローヤルティとしては,おおよそ何%か?<br />
(Sok Leng 総局長)鉱種によって異なる。パーセントによって規定しているものと Kg に対<br />
していくらという形で規定しているものもある。<br />
(横山特別顧問)日本政府に対する人材育成に対する要望はあるか?<br />
(Sok Leng 総局長)技術面で新しいテクノロジーに関しての支援が必要である。リモートセ<br />
ンシングの技術者は現在 3 名いる。JICA では,リモートセンシングに関するサテライト<br />
講座は始まる。研修は,短期研修という形がよいと思う。対象者としては,政府職員を考<br />
えているが,短期研修のほかに長期的な視野に立った人材育成も必要となろう。<br />
(横山特別顧問)学生としても,就職先がないと育成も難しいのではないか?<br />
(末岡 JICA 専門家)まずは,高等教育で英語教育も含めて行い,育った人材が海外で就職<br />
して,技術を習得し,カンボジアに戻ってくることも将来的には考えられるのではないか?<br />
したがって,高等教育も開始することが必要と考える。<br />
(Sieng Sotham 地質局長)カンボジア工科大学では,Rural Engineering 学科がある。これ<br />
は,工科大学(5 年制)の最後の 2 年間(4 年生・5 年生)で,水資源コースと鉱物資源コース<br />
がある。ここでは,地質学や地質学に関する工学的な教育を行っているが,地質学に関す<br />
る基礎知識がないので,OJT は必要と感じている。この部分で,学生教育を含めた日本政<br />
府の援助があればありがたいと思う。鉱物資源総局では,技術者の絶対数が足りないので,<br />
学生の就職先として考えることができる。鉱物資源総局で採用して,OJT で教育していき<br />
たい。<br />
(横山特別顧問)採用と卒業の時期はどのようになっているか?<br />
(Sok Leng 総局長)政府では,人事院で採用活動は行っているが,専門職に関しては,随時<br />
採用している。一般的には,卒業は 6 月,就職して働き始めるのは,9 月である。<br />
(Uch Bora 副総局長)技術者が不足しているので,鉱物分野に若者が入ってくることは歓迎<br />
する。同じようにフィールドワークを伴う森林局では,1000 人程度の職員がいるので,人<br />
材確保できるはずである。<br />
(Sieng Sotham 局長)学生の知識レベルは向上していると考えているが,将来的には英語文<br />
献を読める力がある人材が必要である。<br />
(Sok Leng 総局長)日本政府による人材育成プロジェクトを是非実現させてほしい。実現す<br />
るのであれば,鉱工業・エネルギー大臣やカンボジア工科大学と連携して雇用等を含めた<br />
- 231 -
体制作りを進めたい。人材不足が懸念される数年後を見通した教育を含め,日本政府の援<br />
助をお願いしたい。<br />
(横山特別顧問)今回の調査では,このような要望も踏まえて,日本の<strong>経済産業省</strong>へ提言を<br />
行っていく予定である。<br />
■参考:意見交換夕食会で Sok Leng 総局長から横山顧問にあった話<br />
日時:2009 年 12 月 23 日 水曜日 18:00-20:00<br />
場所:プノンペン市内日本料理店<br />
・本日 4 時に MIME 大臣に皆さんの訪問を伝えたところ、大切な客だからしっかり対応す<br />
るように命じられた。<br />
・次回は事前に行っていただければ私が良いクメール料理の店に招待しましょう。<br />
・先ほど携帯に電話入って中座したのは、JOGMEC とサザンゴールド社の調査区域で、<br />
金 30g/T が、2-3m の厚さで相当の長さで確認したとのニュースが入った。これを大臣に<br />
も報告した。大臣からはプレス等は時期を見て行えとの指示だった。<br />
・今の GDMR のビルは狭いし、数人規模の会議室しかない。職員 3 人で一つの机を使っ<br />
ているケースもある。DOG も離れていて都合が悪い。探査権コンセッションを求める民<br />
間企業はのびのびゆったりしたオフィスで仕事している。せめて DOG も一体化して、分<br />
析部門も整備し、会議室もあり、OA にも対応した庁舎を日本で寄贈してもらえるとあり<br />
がたい。<br />
・モリブデンリッチな鉄の良い鉱床を首都の近くでGDMRが抑えている。探査はどこにも<br />
認めていない。日本企業にとらせたいと思うのだが。<br />
- 232 -
5.2.2.2 GDMRアンケート回答<br />
カンボジア鉱物資源総局GDMR(General Department of Mineral Resources)<br />
この質問票記入責任者の氏名と職名:<br />
H.E. Sok Leng 総局長、Mr. Sieng Sotham 地質局長、Mr. Chrea Vichett 鉱物資源開発<br />
局副局長ほか計6名<br />
1. あなたの職場(organization)の組織はどうなっていますか?小単位ごとの名称と機能<br />
はいかがですか?<br />
・鉱物資源局:金属鉱物課、非金属鉱物課、宝石炭鉱課、鉱山監督課<br />
・地質局:地質調査課、作図課、環境地質課、ラボラトリ<br />
・鉱物資源開発局:鉱物資源開発課、協力課、データー管理課、歳入課<br />
・建設材料資源局:岩石開発課、砂利・砂開発課、粘土土壌ラテライト開発課<br />
2. 職場の歴史:かつて職場はどこに属していましたか?<br />
・鉱工業エネルギー省のみ<br />
3. 職場の就業人数は?<br />
・102人<br />
・このほかに地方24県にある工鉱業・エネルギー局の鉱物資源事務所に72人。<br />
4-1. 職場における博士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・ビジネス分野 1 名<br />
4-2. 職場における修士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・地質学とビジネスで 5 名<br />
4-3. 職場における学士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・95 人:地質学、IT、会計、マネジメント<br />
5. 職場における年齢構成/分布はどのような傾向と配置になっていますか<br />
・20~25 歳 40 名、25~44 歳 50 名、45~55 歳 10 名<br />
6. 最近と過去における職員の新規採用はどんな状況ですか?<br />
・現在の 2 倍の職員数が必要なので、できるだけの採用が必要(総局長)<br />
・学校を卒業したらテストを受けなければならないが、専門性を持った人材確保が困難(鉱<br />
物資源局副局長)<br />
・地質学と IT の専門知識を持った新しい人材が必要(建設材料資源局長)<br />
・専門性を有する人材確保が困難(炭鉱課長)<br />
- 233 -
7. 職場での定年退職年齢は?<br />
・58 歳 中等教育卒業者<br />
・60 歳 高等教育卒業者<br />
8. 政府に勤務していた人(あなたの職場で)が自発的に早期に退職した後、鉱山関係企業<br />
に就職する例はありますか?<br />
・いいえ<br />
9. 鉱山関係企業に勤務していた人が自発的に早期に退職した後、政府(あなたの職場に)<br />
に就職する例はありますか?<br />
・いいえ<br />
10. あなたの職場の予算規模と小項目ごとの配分や構造はどうなっていますか?予算は十<br />
分と言えますか?<br />
・十分ではない。<br />
11. 職員の技術スキルについてどう評価していますか?<br />
(a)すべての分野で十分<br />
(b) ある分野では十分、しかしある分野では不十分<br />
(c) ある分野で不十分<br />
(d)すべての分野で不十分<br />
・すべての分野で不十分(地質局長、鉱物資源局副局長)。<br />
・ある分野では十分ある分野(鉱物分析、鉱物鉱山経済、環境)では不十分(鉱物資源開<br />
発局副局長)<br />
11-1. 職員が十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・総務分野、IT 分野、地質工学、GIS と作図(mapping)<br />
11-2. 職員はその能力をどこでどのようにして身につけましたか?現在でもその方法は可<br />
能ですか?<br />
・カンボジアの私立職業訓練学校、予算があれば同様の方法は可能(鉱物資源開発局副局<br />
長)<br />
・国内でソ連の指導を受けた。<br />
・部署内での OJT、部署内での補完研修などが現在まで行われている。(以上、鉱物資源<br />
局副局長)<br />
・大学や国内の教育機関(炭鉱課長)<br />
11-3 職員が不十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・地質学、鉱物ラボラトリ、鉱山工学、法律(鉱物資源開発局副局長)<br />
・地質学、実験(ラボ)、鉱物ビジネス、実地調査(鉱物資源局副局長)<br />
- 234 -
・地質学、鉱物探査、鉱業ビジネス(炭鉱課長)<br />
・赤土、GIS、GPS、(商売)のノウハウ、開かれた現場(建設材料資源局長)<br />
11-4. どのような手段で、またどのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれ<br />
ばよいとお考えですか?<br />
・期間を決めて、頻繁に補修研修を行う(総局長)<br />
・トレーニングコース、第三国でのトレーニングコース(鉱物資源開発局副局長)<br />
・より多くのトレーニングを与え、フィールドでの仕事の機会を持たせる(地質局長)<br />
・専門技術の人材育成、鉱業の現場での OJT(炭鉱課長)<br />
・大学の鉱物学部を再開すべき(鉱物資源局副局長)<br />
・補完研修(建設材料資源局長)<br />
12. あなたの職場で職員の典型的な教育や職業のバックグラウンドやキャリア(政府に入<br />
る前/と入った後で)はどうなっていますか?<br />
・国内外の教育施設でのスキル取得、その他の学位等の取得(総局長)<br />
・経営学の学士・修士・博士、地質学、会計学、バンキング(鉱物資源開発局副局長)<br />
・ほとんどの技術者はプノンペン工科大学の地質学部の卒業、いくらかは旧ソ連の大学を<br />
卒業(地質局長)<br />
・<br />
13. 職場の職員に対する人材育成や教育の基本方針はどのようなものですか?<br />
・現職は最近の諸外国の新技術に関する補完研修を、新人職員に外国での専門学位取得を<br />
させる(総局長)<br />
・基本ポリシーは若い世代の知識を向上させること(鉱物資源開発局副局長)<br />
・インハウストレーニング、オンザジョブトレーニング OJT、国際的な研究機関との合同<br />
プロジェクトを通じて(地質局長)<br />
・私の組織での人材開発で重要なのは、給与のアップと補修コースの設置(鉱物資源局副<br />
局長)<br />
・十分な資料を有する短期、長期の講義と OJT を開く(建設材料資源局長)<br />
・部内でのルーチンワーク、現場での実際の業務、人材育成(炭鉱課長)<br />
14. 職場内と外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースについてお尋ねします。<br />
-どれくらいの頻度で?<br />
-どのようなコースが(内部/外部)?<br />
-何人が参加可能ですか?<br />
・外国での教育のほかに、専門性のない職員に対する補完研修。コースを開く予算がない(総<br />
局長)<br />
・露天掘り技術、GIS とマッピング、あまり頻度(2-3)は高くない、2-4 人が参加。(鉱<br />
物資源開発局副局長)<br />
・年 2 回約1/3のスタッフが受けられるような短期間のトレーニングやセミナー(地質<br />
局長)<br />
- 235 -
・OJT、部署内で(たまに)、地質学など、研究、環境保護について実施(鉱物資源局副局<br />
長)<br />
・採石と露天掘りコース:-2 コース、-1 コース目 4 人参加、-2 コース目 2 人参加<br />
(建設材料資源局長)<br />
・実際の人材育成は、部局内で(たまに):行政、地質学、鉱物調査、環境保護。部局外で:<br />
行政(1 名 1 年間)、GIS(1 名)、英語(2 名)を実施(炭鉱課長)<br />
14-1. 日々の業務の中でどのような OJT 訓練が実施されていますか?あるいはどのよう<br />
な仕事が職員の技術能力の向上に良いですか?<br />
・企業の監督派遣、企業が派遣された職員の教育を行い、職員は新しい知識を得ることが<br />
できる。(総局長)<br />
・OJT は、マッピングと鉱物分析についておこなわれている。鉱業企業の探査や調査に参<br />
加することは良い OJT である。(地質局長)<br />
・OJT については企業の協力により職員の研究や修学につなげている。(鉱物資源局副局<br />
長)<br />
・全国の建設資材(採石)現場、建設用砂採取現場、建設用の土と赤土(建設材料資源局<br />
長)<br />
・経験のある人と一緒に現場で(炭鉱課長)<br />
14-2. 職場では、通常業務を離れての海外における訓練コースや教育機会を有しています<br />
か?<br />
・従前はあったが、今は無い。(地質局長)<br />
・韓国(KOICA)の人材育成を受けたことがある:調査研究、鉱物資源開発など。(鉱物<br />
資源局副局長)<br />
・有り:日本で(建設材料資源局長)<br />
・韓国、中国での人材育成に参加したことがあります。鉱物調査と開発についてのテーマ。<br />
(炭鉱課長)<br />
15. 海外の技術専門家が職場に滞在して(過去の滞在した)、何かを教えたことがあります<br />
か?どの国からでしたか?どれくらいの期間?どのような分野でしたか?<br />
・まだ実施されていない。(総局長)<br />
・KIGAM 専門家が 2001 年に 3 カ月、JICA 専門家が 2 年間(2009-2011)(鉱物資源開発<br />
局副局長)<br />
・韓国の KIGAM 専門家が、2 年間滞在し、1-2 週間または 2-3 日。鉱山経済(Mining<br />
Economy)、危険地質(Geohazard)、物理探査と鉱山環境がテーマ。(地質局長)<br />
・外国の専門家が滞在したことはない。ベルギーからの専門家が、1週間のコースを行っ<br />
た。(鉱物資源局副局長)<br />
・最近になって、JICA や非政府組織等による 2 つのコースが行われた。<br />
-日本<br />
-採石と露天掘りコース(Quarries and Open Pits):5 日間/コース 2 コース実施<br />
- 236 -
(建設材料資源局長)<br />
16. 大学や教育機関や研究機関または鉱業企業と鉱山学や地質学の分野で協力関係を構築<br />
していますか?(この質問は国内と海外両方についてお答えください。)<br />
・DOG はかつて、金沢大学、KIGAM(韓国)、広州科学技術研究所、地質調査所(日本)<br />
と共同研究をしたことがある。(地質局長)<br />
・鉱業企業と協力をしている。(鉱物資源局副局長、炭鉱課長)<br />
・カンボジア工科大学 ITC と協力、地質局と協力、鉱物関連企業からの人材派遣及び国外<br />
への派遣(建設材料資源局長)<br />
17. 鉱山学・地質学での貴国の大学や教育機関や研究機関について、どのように評価され<br />
ていますか?<br />
・政府が大学と協力し、何らかのインセンティブを与えてこの分野に学生を取り込む必要<br />
がある。(総局長)<br />
・カンボジア工科大学 ITC では、地質学部は 1999 年に閉鎖された。再び開設すべきであ<br />
り、若いジオロジストを養成すべきである。(地質局長)<br />
・現在は大学機関がない。(鉱物資源局副局長)<br />
・国内でのこの分野の教育はまだレベルが達していない(建設材料資源局長)<br />
・鉱物分野の調査や開発のための教育機関、大学を設置して、この分野の発展に貢献でき<br />
る人材を育てるべき。(炭鉱課長)<br />
18. もしこの分野での大学、教育機関、研究機関が貴国にない場合には、そのようなコー<br />
ス(鉱山学や地質学)を設けることについての意見や希望をお聞かせください。<br />
あなたはそのようなことは必要とお考えですか?<br />
・研修やコース開設がなければ、将来の鉱物分野を引き継ぐ人材が育たない。将来、この<br />
分野の主導権を外国が握ることになる。(総局長)<br />
・われわれが欲するスピードで、大学に地質学部を再度開設することが、不可能ならば、<br />
職業訓練センターがベスト・チョイスかもしれない。(地質局長)<br />
・地質鉱山大学を創設する。また鉱物に関する短期コースのスカラシップを海外に要請す<br />
る(鉱物資源開発局副局長)<br />
・この問題については、政府に大学でのコースを開くよう要請をしている。現職の職員が<br />
定年等で去ったときの次の世代の要請のために必要。(鉱物資源局副局長)<br />
・国外での人材育成を要請したい。また国内での人材育成も良いと思う。(建設材料資源局<br />
長)<br />
・大学や教育施設は、鉱物調査や開発にとって必須です。大学や教育機関の設置は政府の<br />
任務であると思う。(炭鉱課長)<br />
19. 鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
・何度も話を上げたが、韓国が人材育成に関する MOU をようやくサインしたばかり。(総<br />
局長)<br />
- 237 -
・過去においてなされた。(地質局長)<br />
・ベトナム、日本、豪州。(鉱物資源開発局副局長)<br />
・総局から、これまでに何度か、人材育成について要請を行ってきた。(鉱物資源局副局長)<br />
・鉱物活動促進のために、これまでにも他国に要請をしてきた。(炭鉱課長)<br />
20. 同じ質問ですが、特に日本に期待したいことについて<br />
・日本がこの分野に対して協力をしてくれることを期待する。(総局長)<br />
・日本の支援を歓迎&大いに期待。(鉱物資源局副局長)<br />
・日本政府が JICA 等を通じて鉱物分野の人材育成をしてくれることを期待している。(炭<br />
鉱課長)<br />
<strong>21</strong>. 貴国の鉱業活動についての評価<br />
-経済的に<br />
-地域的に<br />
-輸出の観点から<br />
・現在のところなし(鉱物資源開発局副局長)<br />
・これまでに外国企業の参入や調査はあるが、まだ調査段階である。(鉱物資源局副局長)<br />
・明確な評価は行われていない。モンドルキリ、ラタナキリ、プレァヴィヒァ。原材料の<br />
輸出制限(建設材料資源局長)<br />
22. 鉱業関係産業について開発の目標がありますか?<br />
・セメント・プラント(地質局長)<br />
・外国投資を向上させる。投資家をエンカレッジする。(鉱物資源開発局副局長)<br />
・国内の重要な産業としていく。(鉱物資源局副局長)<br />
・産業化をしていくことが最大の目的(炭鉱課長)<br />
23. 金属鉱山では貴国では将来どのような鉱種が繁栄するとお考えですか?ベスト3を上<br />
げてください。<br />
・鉄、金(総局長)<br />
・ボーキサイト、金とこれに伴うベースメタル(地質局長)<br />
・金、ボーキサイト、鉄(鉱物資源局副局長、炭鉱課長)<br />
24. 鉱業法や鉱業に関係する政府規則で何か欠点や、改善や改訂を要する事項をご存じで<br />
はありませんか?<br />
・他の国に従って改善をするべき。(総局長)<br />
・多数の点がある。(地質局長)<br />
・現行鉱業法の下で鉱物管理と開発に関する規定を作成する必要がある。(鉱物資源開発局<br />
副局長)<br />
・Sub degree やその他 Prakas を発行し、不足を補う活動をしている。(鉱物資源局副局<br />
長)<br />
- 238 -
24-2. こうした事項について、何か改善が進行しているということはご存じありません<br />
か?<br />
25-1. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 探鉱や採鉱の権利を持たないで実施される小規模の鉱業活動<br />
・探鉱や採鉱の権利を持たない小規模の鉱業活動について、外国からの直接投資はないと<br />
思います。(炭鉱課長)<br />
25-2. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 環境問題を起こさないための対策の強化<br />
・そうは思いません。また投資家は環境保護に配慮をし、取り組みをする必要があると思<br />
う。(鉱物資源局副局長)<br />
・環境に配慮した外国からの直接投資は好ましい。投資企業は環境を保護し、自然資源を<br />
保護すべき(炭鉱課長)<br />
25-3. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか? (ベトナム<br />
/カンボジアにつき)<br />
鉱石の原則輸出禁止:この原則は継続されますか?どのような場合において例外措置が<br />
ありますか?<br />
25-4. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?- (ラオスに<br />
つき)<br />
MEPA (Mineral Exploration and Production Agreement)は秘密事項と理解していますが、<br />
この MEPA を鉱業法体系に規定して公開とすることは出来ませんか?<br />
・鉱物探査開発契約はコンフィデンシャルである。(鉱物資源開発局副局長)<br />
・MEPA を法律に取り入れることもできないし、公開することもできない。(鉱物資源局<br />
副局長、炭鉱課長)<br />
26-1. 鉱業活動促進のための政策や改善措置<br />
-もし貴国の鉱業活動の促進するような措置やアイディアを思いつかれましたら、そのベス<br />
ト3を教えてください。<br />
・人材育成をすればこの分野からの歳入確保につながる、また歳入の損失を防ぐ。(総局長)<br />
・鉱物契約の条項や条件の強化、鉱業企業への支援をしたり容易にする。(地質局長)<br />
・鉱業活動の改善措置は MIME のサインを得て合意されるところ、MIME や関係機関に<br />
提出する鉱山計画、MIME によって承認される最終フィージビリティ・スタディ FS(鉱<br />
物資源開発局副局長)<br />
・鉱業ビジネスマネージメントに関する法の執行強化、鉱業活動における環境や近隣への<br />
影響への配慮を強化、管理強化、民間セクター参入インセンティブ(鉱物資源局副局長)<br />
・鉱物資源開発とマネジメントの強化、鉱物資源の開発とマネジメントの開発強化に民間<br />
- 239 -
セクターを参入させるためのインセンティブ、環境保護の実施強化(炭鉱課長)<br />
26-2. 鉱業活動の促進のために外国に期待したい援助について<br />
・特別なトレーニング、修士号(post graduated)トレーニング、設備と機械装置、技術<br />
指導(technical assistance)(地質局長)<br />
・鉱山管理(鉱物資源開発局副局長)<br />
・鉱物分野の活動活性化のための外国からの支援が必要である。(鉱物資源局副局長)<br />
・外国からの支援、とくに投資を必要としています。とくに資金不足と専門家の不足によ<br />
り、この分野の開発が滞っています。(炭鉱課長)<br />
26-3.同じ質問です、特に日本に期待したい援助について<br />
・専門家、技術指導(地質局長)<br />
・日本からの技術援助を歓迎します。(鉱物資源局副局長)<br />
・26-2に書いた通り、日本からの支援が必要です。(炭鉱課長)<br />
- 240 -
5.2.3 カンボジア開発評議会(CDC: Council for the Development of Cambodia)<br />
カンボジア開発評議会は首相直属の機関で、カンボジアの復興開発に係る国際支援や<br />
外国・内国投資の促進を図る観点からそれらの調整、審査と許認可などを一括して管轄する<br />
責務を担っている機関である。<br />
組織としては、CIB(カンボジア投資委員会)と CRDB(カンボジア復興開発/協力事業委員<br />
会)の 2 委員会と事務局から構成される。<br />
投資委員会は外国企業およびカンボジア国内企業が投資を実施する際のワンストップサ<br />
ービスを行い、投資に関係した情報提供、分析・評価、認可手続き、関税・内国諸税の減免<br />
措置、外国人労働者のビザ・労働許可業務、事業所登録などを一括して実施する機関と位置<br />
づけられている。<br />
カンボジア復興開発/協力事業委員会は、カンボジアに対する 2 国間もしくは多国間の支<br />
援事業を調整、統括する機能を有する。<br />
これら組織の内、投資に係るカンボジア投資委員会(CIB)に係る法律としては、1996 年<br />
に成立し、2003 年に改正された改正投資法があり、それは投資側の権利や資本を守る内容<br />
となっており、外国投資家が利益をカンボジアから自国へ持ち帰ることも認められている。<br />
カンボジア政府との合弁や 100%外国企業による投資も認められている。投資に必要な機<br />
械の輸入関税に係る減税措置などの優遇税制を投資インセンティブとして用意している。<br />
「2000 年―2005 年第 2 次社会経済開発計画」において、カンボジア政府は外国直接投資<br />
FDI を経済開発への主要な原動力と規定している。カンボジアの FDI に関する法制度は基<br />
本的に投資を奨励するように設計されているといえる。投資法が規定しているように、FDI<br />
は土地所有を除き内国法人と差別なく扱われており、多くの分野で自由に投資することが<br />
許される。また「最終投資登録証明(Final registration certificates)」を入手した投資家に対<br />
して種々の優遇措置が与えられている。<br />
カンボジアのインセンティブは人的資源の労働賃金が安いことが一番で、政府もそれによ<br />
り軽工業・繊維産業を中心として加工業の育成を奨励し加工輸出を目的とした繊維産業分<br />
野への外国投資を受け入れて、これまで外国援助に依存したカンボジア経済の発展を目指<br />
してきた。<br />
しかし、シャム湾での石油・天然ガスの探査の開始など、今後は鉱業など他の分野でも外<br />
資導入と産業育成を図ろうとしている。<br />
なお、鉱業を始め以下の分野については、CDC は閣僚評議会(Council of Ministers)の<br />
認可をうけなければならない。<br />
・5000 万ドルを超える投資<br />
・政治影響を有する事項<br />
・鉱物資源・自然資源の探査と開発<br />
・環境に対する悪影響が懸念される場合<br />
・長期開発戦略<br />
・「建設・所有・譲渡(Build-Own-Transfer: BOT )、建設・所有・運営・譲渡<br />
(Build-Own-Operate-Transfer: BOOT)、建設・賃借・譲渡(Build-Lease-Transfer: BLT)」に<br />
- 241 -
基づくインフラ・プロジェクト<br />
**以上本項の記述に関しては、「カンボジアの投資ガイドブック」2006 年 12 月カンボジア<br />
開発評議会:日本 ASEAN センターおよび「カンボジアにおける鉱物資源開発分野の投資<br />
環境整備調査」2005 年 2 月 JMEC を参照した。<br />
5.2.3.1 鉱石の輸出禁止規定<br />
CDC は、金属資源分野でも採掘だけでなく国内で製錬等の加工を行い、より付加価値の<br />
高い輸出の義務化も目指している。下記は Hun Sen フンセン首相がサインしている“Sub-<br />
Degree on The Determination of Principles for Investment in Mineral resources”「鉱物資源投資<br />
に関する原則の規程」2005 年 1 月 31 日の第 2 項である。<br />
"All kind of mineral types are not permitted for export and shall be retained to supply local<br />
industries to manufacture final products. Only the final products are allowed for export"<br />
訳:すべての鉱物類は、輸出を許されず、国内産業が最終製品を作るように供給されなけ<br />
ればならない。最終製品のみが輸出可能である。<br />
これは、相前後して、ベトナム鉱物法や政令でも規定された鉱石の原則輸出禁止措置で<br />
あるが、鉱業の発展段階彩、鉱量等鉱山の経済性にも配慮した弾力的運用がなされないと、<br />
鉱物資源への投資に悪影響が懸念される。<br />
例えば銅鉱山の場合、SX-EW 法で電気銅が出来れば問題はないが、そういう事情で無い<br />
場合、選鉱工場で、精鉱を作って移送することになるが、この「精鉱」を「最終製品」で<br />
あると、経済合理性に照らして、緩めて読めれば問題は解消するが実際にはどういう運用<br />
となるか。今後進出する鉱業における取り扱いが注目されるゆえんである。<br />
なお上述の事項とは異なるが、同じ「鉱物資源投資に関する原則の規程」2005 年 1 月<br />
31 日の第 1 項に関しては、2005 年 9 月 29 日に下記の規程に改定して布告されている。少々<br />
長いが、参考に以下紹介しておく。<br />
“Any application for preliminary survey (pre-survey) of any scale shall be applied under the<br />
provisions of the Law on Mineral Management and Exploitation. For application for mineral<br />
exploitation, except for construction materials (such as stone, gravel, sand, laterite, soil, etc. )<br />
shall be submitted to the one stop service of the Council for the Development of Cambodia after<br />
the completion of preliminary survey (pre-survey) and mineral exploration with the<br />
recommendation from the Ministry of Industry, Mines and Energy.<br />
After the application for mineral exploitation is principally approved by the Council for the<br />
Development of Cambodia, the Ministry of Industry, Mines and Energy. Shall issue industrial<br />
mining license in accordance with the Law on Mineral Management and Exploitation”<br />
- 242 -
「どのような規模の事前調査(プレサーベイ)の申請は、鉱業法の規定に沿って行われな<br />
ければならない。建設材料(石、砂利、砂、ラテライト、土等)を除く、鉱物資源の開発<br />
の申請については、工鉱業・エネルギー省の勧告を受けて実施される事前調査(プレサー<br />
ベイ)や鉱物探査の完了を待って、カンボジア開発評議会CDCのワンストップサービス<br />
に提出されなければならない。<br />
カンボジア開発評議会CDCによって、 鉱物資源開発の申請が、主として(principally)<br />
了承されたのちに、工鉱業・エネルギー省は、鉱業法に則って、産業鉱山ライセンスを発<br />
給することとなる。」<br />
改正前の規定と比較すると、改正前には、探査・開発は、一律に工鉱業・エネルギー省<br />
の勧告付きで CDC へ提出することとなっていた。改正後は、事前調査にはその必要がな<br />
いことになった。また開発については、CDC マターとなるが、探査そのものも、明示的で<br />
はないが、CDC マターではない可能性がある。ただし事前調査課探査の線引きは実際の案<br />
件に即して考慮されるのかもしれない。<br />
5.2.3.2 カンボジアへの投資概況<br />
以下では、カンボジアの経済概要と、投資動向についての記事を、隣国ラオス在住の<br />
JETRO コレスポンデント(Mountain Field Consultant Co., Ltd)の山田健一郎氏がその<br />
サイトで紹介しているので参考引用紹介しておく。<br />
第Ⅴ-5 参考引用:カンボジアの現状:ラオスのビジネスを読む。-ブログ版-:2009 年<br />
12 月 03 日 http://laotimes.exblog.jp/11705879/<br />
カンボジアの現状<br />
・GDP<br />
実質 GDP 成長率は 2004 年から 2007 年まで 10%以上の成長、2008 年は経済危機の影響を<br />
大きく受け 6.0%となり、世銀の予想では 2009 年は停滞し-2.0%、2010 年に入りようやく回<br />
復し 4.0%と見込む。<br />
・縫製業<br />
GMAC(カンボジア縫製連盟) 311 社(台湾, 香港, 中国が大部分)<br />
http://www.gmac-cambodia.org<br />
GAP やユニクロが参入。<br />
カンボジアからの縫製品輸出は、多くがアメリカ市場向けで、2009 年上半期は 26%の落ち<br />
込み、<br />
アメリカ市場におけるシェアーは 3.2%から 2.8%に下落。<br />
18%の縫製工場が 2009 年上半期に閉鎖。<br />
・タイからカンボジアへの投資<br />
- 243 -
タイからカンボジアへの主な投資<br />
•Kampot Cement(Siam Cement Industry Co.,Ltd)への 500 万ドル投資。Kampot Power 完成後<br />
に電力を確保。http://www.poonthai.com/<br />
•250 病床を備える Angkor International Hospital 建設事業 Bangkok Hospital(49%)と Angkor<br />
Pisith co.,Ltd(51%との JV で 100 万ドル。<br />
•Crystal Agro Co.,Ltd によるサトウキビ、キャッサバ栽培、と加工工場建設(Oddarmeanchey<br />
州)100 万ドル<br />
•Real Geen Co.,Ltd.によるサトウキビ、キャッサバ栽培、と加工工場建設(Oddarmeanchey<br />
州)100 万ドル<br />
•Khon Kaen Sugar Industry Plc による製糖事業 500 万ドル(Koh Kong 州)<br />
www.dtn.go.th/vtl_upload_file//1208745946156/CP%20Interner%20Apr08.doc<br />
•Mitr Phol Sugar Group による製糖事業(延期?)<br />
http://khmernewsupdatetoday.blogspot.com/2008/12/thailand-mitr-phol-sugar-group-shelves.html<br />
•Charoen Pokphand Cambodia 畜産事業<br />
•Thailand's PTT Exploration and Production Plc (PTTEP).による原油天然ガス探索事業<br />
・中国からカンボジアへの投資<br />
2008 年の外国投資は中国がトップ 43 億ドル(全体の 40.24%)、(次に韓国で 12 億ドル<br />
(11.39%))<br />
特に Tong Min Group Engineering によるカンポット沿岸開発が 38 億ドルを占めている。<br />
2007 年ではマレーシア、中国、韓国の順。<br />
・日本からカンボジアへの投資<br />
まだ少ない。<br />
2008 年には投資承認案件として<br />
a.ヤマハ(オートバイ組立販売 PPSEZ)<br />
b. Tiger-‐Wing 社(ブランド靴の製造販売・PPSEZ)<br />
c.DKINC.(紳士服の製造販売・TS-‐SEZ)<br />
d.神戸物産(農産物栽培・加工販売・TRY-‐SEZ)<br />
e.マルハンジャパンバンク(銀行)<br />
f.プノンペンコマーシャルバンク(銀行。J/V)<br />
- 244 -<br />
by kenichiro_yamada<br />
5.2.4 環境省(MOE: Ministry of Environment)<br />
環境省は、下記のように環境保全と公害予防・除去に係る各種役割を担う。<br />
鉱業プロジェクトの許可については、外資の場合、CDC による事業許可の後、鉱業活動<br />
に関しては GDMR に探査・採掘の各許可を申請することとなるが、この過程で環境省によ<br />
る初期環境影響評価など環境保全の面からの審査が行われ、これらすべてがクリアされる
必要がある。<br />
環境保護に関しては、既に「環境保護法」や「環境影響評価手続に係る準法令」が発布され<br />
ていて、保全、管理業務が遂行されている。<br />
環境省の職務としては、カンボジアにおける持続可能な発展を保障することを目的とし<br />
て、そのための遂行項目として挙げられている。<br />
① 環境政策の実施と、国と地方の環境〔行動〕計画案の策定。<br />
② 環境に関連する法律文書の作成および実施。<br />
③ プロジェクトと活動に関する環境影響評価を審査し、勧告、評価作成と審査の手続提案。<br />
④ 天然資源の合理的・持続可能な保全、開発、管理と利用のために関係省庁へ指針の付与。<br />
⑤ 国の保護区域の政府機関と協力した管理と、新規保護区域の創設の勧告。<br />
⑥ 排出物リストの作成と、環境汚染の防止、削減と規制のための措置の提案。<br />
⑦ 汚染発生源の検査と違反通報のための手続提案、およびその検査、違反の通報。<br />
⑧ 環境データ収集、分析管理、報告書作成と環境情報の提供。環境保護管理について公衆の<br />
参加を促進すること。<br />
⑨ 環境教育プログラムの作成と実施。<br />
⑩ 環境保護に関する国際協定・条約・議定書参加への提案作成と、その責任遂行に必要な技<br />
術的作業の実行。<br />
⑪ 環境保護と天然資源保全への投資の促進と環境寄贈基金の創設と管理。<br />
⑫ 環境保護促進のための国内団体、国際団体、非政府組織、地域社会その他の国との協力。<br />
5.2.4.1 環境省今回訪問時面談内容<br />
日時:2009 年 12 月 23 日 水曜日 10:30-11:30<br />
場所:カンボジア国 環境省 会議室<br />
参加者:カンボジア国 環境省<br />
官房長(Deputy Director General)Mr. Long Rithirak,<br />
環境アセスメント局(Environmental Impact Assessment Department)次長<br />
Mr. Danh Serey<br />
環境汚染規制局(Department of Environment Pollution Control)局長<br />
Mr. Heng Nareth<br />
鉱物資源総局アドバイザー 末岡慎也 JICA 長期専門家<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山特別顧問より,本調査の概要・調査目的・進捗説明があった。<br />
(Mr. Long Rithirak)<br />
・ 環境省を代表して,日本政府及び JMEC 調査団に感謝したい。<br />
・ 環境省は,環境保全と持続的な天然資源の開発を方針としている。人材に関しては,<br />
エンジニアレベルの技術を持った人材は少ない。<br />
・ 人材は必要であるが,教育省とも今後の人材需要を考慮して,人材育成を進めていく。<br />
- 245 -
(横山特別顧問)具体的な方策は何かあるか?<br />
(Heng 局長)<br />
・ 水質と土壌汚染・風向・大気などについて人材育成を行っている。実験設備があるの<br />
で,そこに鉱物分野でのエンジニアが 2 名いる。環境に対する負荷を評価するような<br />
業務を行っている。鉱山近傍での水銀・シアン化合物の汚染があり,これらは,土壌・<br />
水質・家畜に影響が出ている。これらは,UNEP の支援を受けて,水質・土壌の分析<br />
をしようとしている。<br />
・ その他の鉄・アルミニウムでは,調査を実施していないので,不明である。人材育成<br />
では,2 名ほどエンジニアがいるが,環境をコントロールできる人材,リスクアセスメ<br />
ントができる人材がいないのが難点だ。この分野での人材育成を行って欲しい。<br />
・ 採掘段階でどのような影響があるか学んでいきたい。法律では環境影響調査を実施す<br />
るように義務付けられているが,その調査が判断が正しいかどうかできないのが問題<br />
である。<br />
・ 現職員にも鉱物関係を勉強した人間がいるので,その人材のレベルアップを図ってい<br />
きたい。いずれにしても,カンボジアでは,鉱物資源は探査段階であるが,その段階<br />
でも環境に影響があるので,人材を育成していくことが必要である。<br />
(横山特別顧問)シアン化合物関係は,金の採掘か?<br />
(Heng 局長)岩石を粉砕して,金を採掘している。<br />
(横山特別顧問)それらは,不法採掘か?<br />
(Heng 局長)企業として行ってるところもあるし,また個人で採掘している箇所もある。<br />
(横山特別顧問)鉱物関係の 2 名のエンジニアは,どこで教育を受けた人材か?<br />
(Heng 局長)旧ソ連に留学したものと国内で勉強したものである。<br />
(横山特別顧問)Environmental Impact Assesment(以下 EIA と省略)は,どのように行って<br />
いるか?<br />
(Heng 局長) Department of Environment Polluion Control で行っている。鉱物関係の技<br />
術者もその所属だ。いずれも 30 歳代以上である。<br />
(横山特別顧問)鉱業・環境関連技術者の採用はどのようにしているか?<br />
(Heng 局長)各局の要望を考慮して,20 名/年の採用を行っている。しかし,学生の興味が<br />
あまりなく,弁護士や会計士のような仕事に人材が取られてしまうのは残念だ。日本の<br />
JICA の奨学金制度を鉱業・環境関連につけてほしい。環境保全に関しては,法律はでき<br />
ているので,EIA において,レポートを吟味できる人材が必要である。<br />
(Mr. Long Rithirak)JICA などのセミナーで短期研修・奨学金により長期研修といった教<br />
育が必要である。奨学金の割り当てをお願いしたい。<br />
(田中調査員)Institute of Technology of Cambodia(カンボジア工科大学)からの採用は?<br />
(Heng 局長)カンボジア工科大学からの採用がないと思われるので,実情はわからない。<br />
5.2.5 労働職業訓練省 (MOLAVT: Ministry of Labor and Vocational Training)<br />
カンボジアにおける外資の事業ではカンボジア人の優先的雇用が原則であり、採用後の<br />
職能訓練や研修並びに労働衛生と保安の確保が要求されており、外国人の雇用は国内技術<br />
- 246 -
者の不在などやむを得ない場合に限り例外的・過渡的措置として申請の上で認めらる。これ<br />
ら外国人雇用についても、カンボジア人技術者の教育と養成を続け、順次代替を行ってい<br />
く必要がある。<br />
労働職業訓練省は、これら被雇用者の雇用・労働条件、福利厚生、年金基金積み立てなど<br />
での管理・監督を行うこととなる。<br />
5.2.6 経済財政省 (MOEAF: Ministry of Economy and Finance)<br />
経済財政省では、国税局が外資活動に対して徴税業務を実施する他、関税局、税務局な<br />
どが輸出入、徴税、土地・資産貸借などの業務で管理監督を行う。<br />
5.2.7 商務省 (MOC: Ministry of Commerce)<br />
商務省では、外国貿易局が輸出入に係る業務全般を管理・監督することとなる。なお、現<br />
在通関業務と二重の手続・徴税が行われていることが問題となっている。<br />
- 247 -
5.3 鉱山地質系教育機関:カンボジア工科大学(ITC: Institute of Technology of<br />
Cambodia)<br />
5.3.1 パンフレットから<br />
ITCは1964年にカンボジアと旧ソビエト連邦の協力により創立された。4000名以上が卒<br />
業してカンボジアの社会経済インフラ開発のために活躍している。<br />
1993年にカンボジアとフランス政府は、ITCを各般の面でリノベートすることに合意し<br />
た。<br />
ITCは国際的協力のネットワークに主体的に参加している。それらの一端は、下記。<br />
・French Cooperation<br />
・L’Agence Universitaire de la Francophnie (AUF)<br />
・La Communaute Francaise de Belgique (CUD)<br />
・AUN/SEED-Net/JICA<br />
・GMSARN<br />
ITCには、下記学部がある。<br />
-食品技術・化学科(GCAと略す)<br />
-土木工学科(GCI)<br />
-電気・エネルギー工学科(GEE)<br />
-情報コミュニケーション工学科(GIC)<br />
-産業・機械工学科(GIM)<br />
-ルーラル工学科(GRU)<br />
5.3.2 出張時面談内容<br />
日時:2009 年 12 月 23 日 水曜日 14:30-16:30<br />
場所:カンボジア国 Institute of Technology of Cambodia(以下,ITC 及びカンボジア工科大<br />
学と省略)<br />
参加者:カンボジア工科大学 学長 Dr. OM Romny、企画・プロジェクト開発担当副学長<br />
Phol Norith、協力・研究開発担当副学長 Dr. Chunhieng Thavarith、Rural Engineering 副学<br />
部長 Phat Bone、<br />
(学長)<br />
・ カンボジア工科大学を代表して,日本政府及び JMEC 調査団に感謝したい。<br />
・ 鉱物資源分野の教育は 1980 年代に始まっていた。鉱物学部という名称であった。また,<br />
当時は旧ソ連の教授陣で行っていた。<br />
・ 学生数は多かったが,内戦等でビジネスが成立しなかったので,その人材はあまり活<br />
かされなかった。鉱物関係の知識が活かせなかったので徐々に地質関係に移行してい<br />
った。GDMR(鉱物資源局)に就職することが多かったが,就職先が限られてきたので,<br />
学部を廃止して,Rural Engineering 学科(以下,地域開発工学科と省略)とした。<br />
・ 地域開発工学科には,水資源コースと地質工学(Geotechnical)コースがあり,いずれか<br />
- 248 -
を選択できる。地質工学コースで地質学等を教えている。<br />
・ 近年になり,政府から地質鉱物分野を復活させたいとの要望があり,今後の方策を検<br />
討しているところである。大学側としては,石油及び鉱物資源という体制を作ってい<br />
きたいと考える。<br />
・ しかしながら,学部化した段階では,実験設備や研究内容の充実,専門知識の向上を<br />
行っていかねばならないであろう。できるだけ早く実現させたいと思っているが,資<br />
金面を含めて現在検討中である。<br />
(横山特別顧問)カンボジア政府からの鉱物資源分野強化の指示はいつごろ出されたのか?<br />
(学長)フンセン首相自ら,政府の会議で発言し,教育省や当大学で検討中である。<br />
(横山特別顧問)地質工学コースはどのような頻度で学ぶのか?<br />
(学長)4 年生・5 年生で履修する。4・5 年生は全ての時間を専門に回すようにしている。<br />
(横山特別顧問)地質工学コースの教授陣はそのような人材がいるのか?<br />
(学長)現在,5 名の教員がいる。4 名が日本に AUN/SEED-net のスキームで日本の大学に留<br />
学している。2 名が北大,2 名が京大である。2012 年ごろまでにカンボジアに戻ってくる<br />
予定である。なお海外大学との連携という点では、フランス、ベルギーとの関係や、グレ<br />
ーターメコンのネットワークや、慶応大学も入った授業をリアルタイムで見れるイニシア<br />
ティブなどがある。<br />
(学長)鉱物資源分野を作りたいが,将来性があるかどうかが不安である。石油探鉱分野に<br />
は力を入れたいと思っている。また,学生の就職先があるかどうかも不安要因となるので,<br />
結論には至っていない。大学としては,学部を増設・廃止を頻繁に行いたくないので,決<br />
めかねている。<br />
(横山特別顧問)将来的には,GDMR などでは,経験のある技術者が減少していることを危<br />
惧している。環境省では,ITC の地域開発工学科地質工学コースについて知らなかった。<br />
したがって,学科増設というよりは,募集人員を増やしていくようなことも必要であろう<br />
と考える。<br />
(学長)インターンシップの充実も必要だ。インターンシップは 6 ヶ月程度行っている。環<br />
境省が人材を採用できないのは,先に民間企業に就職先が決まってしまうことが要因と考<br />
えられる。<br />
(横山特別顧問)GDMR でインターンシップはできないか?<br />
(学長)民間企業とは,インターンシップに関する MOU があって,6 ヶ月程度のインターン<br />
シップ研修を行い,そのインターンシップで行った業務に対して,大学のアドバイザーが<br />
評価するシステムである。当大学としては,教育の質を高めたいと考えている。したがっ<br />
て,学生数も限られるので,現在の学生数が限界と考えている。<br />
(横山特別顧問)地質工学コースの就職先は?<br />
(学長)現在,5 年生 16 名,4 年生 24 名であり,主な就職先は建設会社や一部セメント会社<br />
である。<br />
(横山特別顧問)AUN/SEED-net での日本への留学生はどのような分野か?<br />
(学長)北大へは,2 名であり,粘土鉱物学(土壌学)と岩盤力学である。京都大学へは,1 名<br />
が岩盤の安定性に関する研究,九大へは,鉱床学である。他 4 名は,2010 年 2 月から留学<br />
予定であり,京都大学 2 名でいずれも岩盤工学,東京大学では,岩盤力学の研究を行う。<br />
- 249 -
(横山特別顧問) AUN/SEED-net は,どのようなプロセスで行われるのか?<br />
(学長)ステアリング committee において申請を行い,奨学金枠を各国に分配する方式である。<br />
各分野で幹事大学があり,地質・鉱物分野では,インドネシアのガジャマダ大学である。<br />
ドクター・サンドウィッチ・プログラムはアセアンの大学で 2 年間研究したあとに日本の<br />
大学へ 1 年間留学する方式をとっている。学生だけでなく,教員の交換留学も行われてい<br />
る。<br />
(横山特別顧問)ITC と日本の大学の共同研究はあるか?<br />
(学長)金沢大学と遺跡保護の研究をしている。中国電力とは籾殻からの発電に関する研究,<br />
高知大学とは,水資源関連で脱砒素の研究を行っている。<br />
(横山特別顧問)地質工学コースのシラバス・カリキュラムはあるか?<br />
(学長)この会議室にはフランス語版のものがあるので差し上げます(英語版は翌日午前再<br />
度訪問の際に入手)。<br />
(横山特別顧問)日本への共同プロジェクトの要望はあるか?<br />
(学長)日本の科学技術のレベルの高さには敬意を表します。カンボジアで,現在欠けてい<br />
る分野で支援を頂ければ幸いです。<br />
(末岡専門家)採掘などの分野もこれから必要になってくるので,これらの分野を伸ばして<br />
いくことも重要である。<br />
(学長)GDMR・JICA・カンボジア工科大学のつながりを深めていくことが重要であろう。<br />
その点で,JICA 専門家が GDMR だけでなく、カンボジア工科大学で講義して頂ければ有<br />
難い。<br />
第Ⅴ-6 参考引用:AUN/SEED-Netアセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクトにつ いて:http://www.seed-net.org/01_index_jp.php<br />
アセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクトは、アセアン10ヶ国における工学系<br />
人材の育成と日本-アセアン各国のアカデミックネットワークを確立することを目的とし<br />
た JICA (独立行政法人国際協力機構)のプロジェクトです。<br />
1997 年のアジア通貨財政危機を機に、アセアンの長期的な持続的発展には産業界を活性化<br />
する人材の養成が重要であるとの観点から、 1997 年の日アセアン非公式首脳会議で当時<br />
の橋本龍太郎首相により「日・アセアン総合人材育成プログラム」において高等教育分野<br />
での専門的な人材の育成支援が提唱されました。<br />
その後 1999 年のアセアン・プラス 3 会議で、小渕恵三首相(当時)の唱えた高等工学<br />
教育分野の人材養成への支援計画、いわゆる「小渕プラン」へと発展し、協議を重ねた結<br />
果、高等工学教育分野の人材養成案件として、各国を代表する 19 大学と、 11 の日本の<br />
支援大学の支援協力の下に、「アセアン工学系高等教育開発ネットワーク (Southeast Asia<br />
Engineering Education Development Network 略称 AUN/SEED-Net) 」が 2001 年に形成さ<br />
れました。<br />
日本政府 /JICA はネットワーク立ち上げ時の専門家派遣などの協力に続いて 2003 年 3<br />
月から「メンバー大学の教育・研究能力の向上」を目的とした 5 年間の技術協力プロジェ<br />
クトを実施しました。その成果を踏まえ、 2008 年 3 月から第2フェーズの協力として、<br />
- 250 -
人材育成と研究活動を通じアセアン地域の社会・経済開発に貢献することを目指し 5 年間<br />
の協力を展開しています。<br />
5.3.3 ITCジオテクニカルのコースの内容<br />
カンボジア工科大 Rural Engineering 学科(地域開発工学科)の、4・5年次選択コースで<br />
ある地質工学(Geotechnical)のカリキュラムを入手したので以下に紹介する。<br />
4 年<br />
フランス語、英語、先端土壌力学、構造解析、強化コンクリート設計、インフラと地方道<br />
路建設、岩石学と鉱物学、鉱山開発、GIS、地下水開発、岩石力学、爆発による発破、水<br />
文地質学、構造地質学と一般テクトニクス、地質探査技術、地質学的技術(ドリリング)、<br />
地質鉱床、カンボジアの地質、インフラと橋梁建設<br />
5 年<br />
英語、経営と会計、情報技術、マーケッティング、砂利・砂・粘土の鉱床と開発、セメン<br />
トの開発、鉱山プロジェクトの研究(露天掘り)、作業保安、影響研究(?study impact)<br />
と廃棄物管理、基礎、傾斜安定、最終学年トレーニングプロジェクト(=インターン)<br />
5.3.4 ITC ジオテクニカル教授陣との面談<br />
日時:2009 年 12 月 24 日 水曜日 11:00-12:30<br />
場所:カンボジア国 Institute of Technology of Cambodia(以下,ITC 及びカンボジア工科大<br />
学と省略)<br />
参加者:カンボジア工科大学 地質工学コースの教授陣<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
(教授陣)ITC の教授陣には,岩盤工学・採鉱学・水文地質学・岩石学・鉱物学・構造地質<br />
学・GIS・環境工学などの教授陣がいる。<br />
(田中調査員)地質巡検のような学科はあるか?<br />
(教授陣)1 年に 2 回の巡検がある。お金の問題もあり,あまり多く実施できていない。イン<br />
ターンシップとしては,建設会社に派遣する場合もある。<br />
(田中調査員)日本の大学では,学生に 4km×4km のフィールドを割り当てて,地質調査を<br />
各人が行い,それを教授の前でプレゼンテーションして,合格しなければ,もう一年再度<br />
履修するというようなコースがあるが,そのような教育は行われているか?<br />
(教授陣)そのような授業は行われていない。以前はあった。フィールドの選定など難しい<br />
ことやお金の問題で実現していない。<br />
(横山特別顧問)授業は何時間か?<br />
(教授陣)55 分授業である。<br />
(田中調査員)構造地質学の授業では,褶曲軸を特定するような講義・実習は行われている<br />
か?<br />
(教授陣)あまり行われていない。<br />
(田中調査員)岩石学の授業はどのようなものか?<br />
- 251 -
(教授陣)顕微鏡観察のみ,外部から講師を招いている。<br />
(田中調査員)分析化学の授業はどのようなものか?<br />
(教授陣)分析化学は,プノンペン大学の化学科(食品化学)に出すときが多い。<br />
(田中調査員)採鉱学の授業はどのようなものか?ベンチカットの設計等を行っている授業<br />
はあるか?<br />
(教授陣)特にはないが,Kampot に石灰石鉱山にはインターンシップで派遣している。<br />
この後、同大学同コースの機器装置を視察。岩石力学関係の装備はある程度あったが、化<br />
学分析装置は無い状態。<br />
5.3.5 ITC アンケート回答<br />
カンボジア工科大学ITC<br />
この質問票記入責任者の氏名と職名:Dr. Om Romny Dirctor, General 学長<br />
1. あなたの職場(organization)の組織はどうなっていますか?小単位ごとの名称と機能<br />
はいかがですか?<br />
・ITCはカンボジアでの工学をリードする機関である。7つの学科がある。それぞれの学科<br />
はいくつかのオプション(選択コース)に分けられる。例示すると<br />
-食品技術・化学科(GCAと略す):食品技術、化学<br />
-土木工学科(GCI):ビル建設、建築<br />
-電気・エネルギー工学科(GEE):電気工学、エネルギー工学<br />
-情報コミュニケーション工学科(GIC)<br />
-産業・機械工学科:産業工学、機械工学(GIM)<br />
-ルーラル工学:地域開発・水資源管理、ジオテクニカル(GRU)<br />
-基礎年学科:数学・物理・化学、フランス語、英語(FY)<br />
2. 職場の歴史:かつて職場はどこに属していましたか?<br />
・ITCは公立の機関である。1964年にカンボジアと旧ソ連の協力によって創設された。<br />
・1993年にカンボジアとフランス政府は、人材開発を強化する観点からリノベートするこ<br />
とに合意した。<br />
・今日ITCは、東南アジア地域でフランス語英語を話す大学のいくらかのパートナーが出<br />
会うクロスロードにいる。<br />
3. 職場の就業人数は?<br />
・現在256人の職員が働いている。その中で123人の教員が異なる学科にいる。<br />
4-1. 職場における博士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・GCA:3phd、3 ドクターコース<br />
・GCI:4phd、9 ドクターコース<br />
- 252 -
・GEE:3phd、4 ドクターコース<br />
・GIC: 7 ドクターコース<br />
・GIM: 3 ドクターコース<br />
・GRU: 11 ドクターコース<br />
・FY: 2 ドクターコース<br />
・全体として、今後数年のうちに、49 人のスタッフが PhD を取る予定。<br />
4-2. 職場における修士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・59 人が修士号保持者。<br />
・現在 32 人のスタッフ(将来のスタッフを含む)が海外で修士課程中。<br />
4-3. 職場における学士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
・56 人が学士号保持者<br />
5. 職場における年齢構成/分布はどのような傾向と配置になっていますか<br />
・ITC は公立の機関で、学生に工学分野での高い教育を提供する。現在までの ITC の開発<br />
は、国の関係者の支援と世代から世代にわたる教官と学生の努力に負っている。<br />
・職員は政府から毎月基本給を得て、追加的給与は ITC が支払う。<br />
・年齢に関しては、一般に教官の退職年齢は 60 歳<br />
・教官の年齢構成は<br />
-<strong>21</strong>-30 歳 29%<br />
-31-40 歳 26%<br />
-41-50 歳 31%<br />
-51-60 歳 14%<br />
6. 最近と過去における職員の新規採用はどんな状況ですか?<br />
・通常 ITC は我々のプランよりほかに新規採用をしない。大学の 5 カ年開発計画に新規採<br />
用は計画される。<br />
・修士号/博士号保持者が ITC で働くことに招待される。<br />
7. 職場での定年退職年齢は?<br />
・教官は 60 歳、管理職員は 55 歳<br />
8. 政府に勤務していた人(あなたの職場で)が自発的に早期に退職した後、鉱山関係企業<br />
に就職する例はありますか?<br />
・なし<br />
9. 鉱山関係企業に勤務していた人が自発的に早期に退職した後、政府(あなたの職場に)<br />
に就職する例はありますか?<br />
- 253 -
・なし<br />
10. あなたの職場の予算規模と小項目ごとの配分や構造はどうなっていますか?予算は十<br />
分と言えますか?<br />
・マネジメントやビジネスの学校に比べる予算は少ないが、我々のスタッフの配置とマネ<br />
ジメントにとっては、アジャスタブルである。他のスキルに比べると、工学教育は高価で<br />
ある。教官と学生数の良い比率が必要である。このことは学校の運営費を困難にしている。<br />
11. 職員の技術スキルについてどう評価していますか?<br />
(a)すべての分野で十分<br />
(b) ある分野では十分、しかしある分野では不十分<br />
(c) ある分野で不十分<br />
(d)すべての分野で不十分<br />
・ITC の教官は海外で良く成し遂げておりその成果を講義に生かすことができる。<br />
・教官はその知識を向上するために、EU や他のパートナーでの教官の交換プログラムや、<br />
教官と会社のスタッフとの交換プログラムがある。<br />
・全体に a)すべての分野で十分であるが、GRU のオプションであるジオテクニカル<br />
(geotechnical)を除いてである。これは実験室の装置の不足、専門能力の不足、フィー<br />
ルド・アプリケーションの不足と雇用機会(job market)が限定されることに拠る。<br />
11-1. 職員が十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・食品技術、化学工学、土木、電気・エネルギー工学、情報工学、産業・機械工学、地域<br />
開発分野。<br />
11-2. 職員はその能力をどこでどのようにして身につけましたか?現在でもその方法は可<br />
能ですか?<br />
・教官はそのスキルを、フランス、ベルギー、カナダ、日本、ASEAN、そして以下のよ<br />
うな我々のネットワークを通じて得ている。それらは、AUF、フランス大使館、フランス<br />
コーポレーション、ベルギーの CUD、AUN/SEED-Net、GMSARN、SOI プロジェクト(慶<br />
応大学)、フィンランドの大学、その他の国際あるいは地域の関係機関や政府機関とのバイ<br />
ラテラルな MOU である。<br />
・現在の同様の方法が可能。<br />
11-3 職員が不十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
・石油、石油化学工学、環境工学は新分野。カンボジアはこの分野での人材が必要。<br />
・資源工学(鉱山工学)は ITC にずいぶん昔に創設された。しかし雇用機会が無かったこ<br />
とから、ITC はこの分野を、地域開発工学科の中に吸収し、現在オプション(選択コース)<br />
の「ジオテクニカル」となっている。<br />
・鉱山探査は政府が優先アクションプランに記載している天然資源である。<br />
・ITC は資源工学の人材を有しているが、経験が不足し、実験設備や図書が不足し、この<br />
- 254 -
ために不十分なスキルとなっている。<br />
・石油と石油化学は我々にとって新分野。カンボジアがこの資源から利益を上げることに<br />
なる時期に、これらの技術をもった人材が十分にはいない。<br />
11-4. どのような手段で、またどのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれ<br />
ばよいとお考えですか?<br />
・これを改善するためには、まず雇用機会の調査をし、特定の技術のトレイナーを訓練し、<br />
雇用機会のニーズに合わせてカリキュラムを柔軟に調整し、政府と民間投資家を ITC と協<br />
力させるように確信させることにより、教官と学生はこの分野を実行する可能性がある。<br />
・技術アドバイザーが必要である。<br />
12. あなたの職場で職員の典型的な教育や職業のバックグラウンドやキャリア(政府に入<br />
る前/と入った後で)はどうなっていますか?<br />
・典型的な教育は以下に分類される。<br />
-ハイヤー・テクニシャン・デグリー(3 年)<br />
-エンジニヤ・プログラム(5 年)<br />
-工学修士(2 年)<br />
・元学生は、彼らのオフィスから要求があれば、ITC のどの教育プログラムにも参加でき<br />
る。<br />
13. 職場の職員に対する人材育成や教育の基本方針はどのようなものですか?<br />
・優秀な学生はより高度のプログラムを国内・海外で受ける権利がある。<br />
・優秀な学生は契約により ITC に就職することに招待される。<br />
・すべての若手教官はどのようなプロジェクトへの研究参加が許される。<br />
・優秀な学生は奨学金を 2 期応募できる。<br />
・コンファレンスに出席が許される<br />
・すべての短期トレーニングコースに参加できる。<br />
14. 職場内と外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースについてお尋ねします。<br />
-どれくらいの頻度で?<br />
-どのようなコースが(内部/外部)?<br />
-何人が参加可能ですか?<br />
・実際のコースを紹介すると、流体力学、ポンプ応用の基礎、地滑り・洪水緩和、簡易コ<br />
ンクリート試験、石油(Total 社による)、サステイナブルな生活と環境のための地質と地<br />
球資源教育、ジハザード・マネジメント、新エネルギーとリニューアブル・エネルギー、<br />
情報工学開発、食品技術、製造と需要ほか<br />
・どれくらいの頻度か言えないが、それぞれの技術に拠る。大学本部はトレーニングコー<br />
スの実施に関して、パートナーと協議し、準備する。<br />
14-2. 職場では、通常業務を離れての海外における訓練コースや教育機会を有しています<br />
- 255 -
か?<br />
・無いが、フランスなど海外大学への交換留学はある。<br />
15. 海外の技術専門家が職場に滞在して(過去の滞在した)、何かを教えたことがあります<br />
か?どの国からでしたか?どれくらいの期間?どのような分野でしたか?<br />
・ずいぶん以前は多数の技術専門家が一緒に仕事をした。現在では若手教官が代替した。<br />
これは技術移転というべき。<br />
16. 大学や教育機関や研究機関または鉱業企業と鉱山学や地質学の分野で協力関係を構築<br />
していますか?(この質問は国内と海外両方についてお答えください。)<br />
・われわれの国際協力は範囲が広いが、鉱山や石油に関しては限定される。<br />
・AUN/SEED-Net のプロジェクトにより、UGM(ガジャマダ大、インドネシア)、京都<br />
大学他は我々の教員をインターンシップや修士・博士コースに受け入れてくれている。<br />
・研究者は鉱山学よりは、ジオテクニカルの研究をする傾向がある。<br />
・(それらは)土質力学、地下水、建設材料、マイニング・シェルターの描写(?description)、<br />
石油などである。<br />
17. 鉱山学・地質学での貴国の大学や教育機関や研究機関について、どのように評価され<br />
ていますか?<br />
・1980 年から、ITC だけが、旧ソビエトからの専門家によって、鉱山学の講義をしてきた<br />
長い経験がある。その時期から ITC は鉱山学部を設置した。<br />
18. もしこの分野での大学、教育機関、研究機関が貴国にない場合には、そのようなコー<br />
ス(鉱山学や地質学)を設けることについての意見や希望をお聞かせください。<br />
あなたはそのようなことは必要とお考えですか?<br />
・設問のようになる場合、この分野を設置することにわれわれを助けるパートナーを最大<br />
限の努力で見つける。<br />
・新しい分野を設置することは少し大変であるが、これを持続させることはより大変であ<br />
る。<br />
・実験設備(lab facility)の整備は優先事項<br />
・質の高い卒業生が考慮されるべき、そうでないと悪い評判になってしまう。<br />
19. 鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
・鉱業ビジネスについて話し合いをした訪問者がいくらかいた。<br />
・ある訪問者は人材を求め、ある者はその教育について考えていたが、結局何も起こらな<br />
かった。<br />
・スキル/人材無くビジネスをすれば会社は失敗するだろう。<br />
20. 同じ質問ですが、特に日本に期待したいことについて<br />
・もし日本政府が我々を助けたいと願うのであれば大いに評価する。我々はこのイニシア<br />
- 256 -
チブを歓迎する。<br />
<strong>21</strong>. 貴国の鉱業活動についての評価<br />
-経済的に<br />
-地域的に<br />
-輸出の観点から<br />
・鉱物探査は国に必要と考える。それと輸出にとって。<br />
22. 鉱業関係産業について開発の目標がありますか?<br />
・政府は鉱業にターゲットしている。計画は工鉱業・エネルギー省 MIME の手にある。ITC<br />
は需要を満たすため質の高い人材を供給するというターゲット・プランのほんの一つのパ<br />
ーツにすぎない。<br />
以下の設問と答えは、直接鉱業所管省庁に対するものであるため省略する。<br />
- 257 -
5.4 その他訪問先<br />
5.4.1 教育省<br />
日時:2009 年 12 月 23 日 水曜日 8:30-10:00<br />
場所:カンボジア国 鉱工業・エネルギー省 鉱物資源総局(GDMR) 会議室<br />
参加者:カンボジア国 教育省 事務次官(Secretary of state)Ms.PHOERNG Sackona<br />
JICA 長期専門家 末岡慎也<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山特別顧問より,本調査の概要・調査目的・進捗説明があった。<br />
(事務次官)<br />
・カンボジアの教育システムは,この十年間で大きく変化している。<br />
・6 年・3 年・3 年の 12 年の初等・中等教育をしている。最後の 3 年が高校に相当する。<br />
・中学から地理を学び,その一部で地質的な部分を学習する。はじめはカンボジアの地理<br />
から入り,東南アジアから世界の地理を学ぶ。<br />
・高等教育では,地質学的分野は少ない。プノンペン大学では,地理学科があり,これは,<br />
旧師範学校の流れを汲んでいる。<br />
・工学部系では,ITC(カンボジア工科大学)がある。<br />
・ITC は,1979 年までは,ポルポト政権だったので,ロシアから教授陣を迎えていた。ITC<br />
の地質学科を作り,そこで地質学を教えていた。現在の MIME では,旧ソビエトとベトナ<br />
ムで学んだ人材が働いている。1980 年代に学んだ人が多いと思われる。当時は,珪砂の開<br />
発を念頭にした教育を行っていたが,ソビエトが撤退してからは,この分野は衰退してい<br />
った。<br />
・1993 年になってから,ITC には,フランスの支援が入ってきた。<br />
・フランスは,人的需要の多い分野を重点的に学科の設置を行った。それは,情報通信・<br />
機械・農業・建設・電気・地域開発(Rural Development)である。現在は,地質学の先生が<br />
いたので,Rural Development に地質関係を教えている。選択科目で水資源と地質工学が学<br />
べる。<br />
・地質工学の学科は,近年,その分野のビジネスが増えてきたことで学生を採用すること<br />
となった。最近では,20 名前後の卒業生がいる。<br />
・企業側からも ITC に問い合わせが来ている。石油関係を含めた教育の重要性を感じる。<br />
しかしながら,学科設置には,人材需要があるか,学生が集まるか,設備があるかどうか<br />
を考えていかねばならない。<br />
・教育省としては,2 つの方策があると考えている。一つ目は,今までの学科を強化する<br />
ため,企業と連携して行う方法である。地質分野では,仏 TOTAL 社の支援を受けて,現<br />
場実習を含めたセミナーを行っている。2 番目としては,新しい学科を作る方法である。<br />
しかしながら,鉱物資源がカンボジアにどのくらいあるか分からない状況では,新学科開<br />
設は難しい。鉱物資源に関するデータも教育省のほうには来ていない。<br />
・鉱業といっても,様々な分野が含まれ,教育省では学科設置を決めかねている。どれく<br />
らいの資源量があるのか分からないので,どれだけの人材が必要か見積もることすらでき<br />
ていない状況であるので,新学科設置に踏み込めないでいる。しかしながら,必要性は感<br />
- 258 -
じている。<br />
(横山特別顧問)中等教育は中学校だけか?<br />
(事務次官)中学・高校で一貫して学ぶ。<br />
(横山特別顧問)これは地理・環境を含めているか?<br />
(事務次官)地理学が主体である。地質学の深い領域までは踏み込んでいない。<br />
(横山特別顧問)大学への進学率はどのくらいか?<br />
(事務次官)30%くらいである。正確な統計はない。<br />
(横山特別顧問)事務次官はどのような経歴か?<br />
(事務次官)専攻は化学で,標準物質の規格化のような研究をしていた。食品化学である。<br />
MIME で働いていたこともあった。<br />
(横山特別顧問)ITC の Rural Engineering では,人員は増設しているか?<br />
(事務次官)1999 年に選択科目になった。<br />
(横山特別顧問)企業との連携はいかがか?<br />
(事務次官)大学側で就職支援をしている。私立大学でも地質を教えるところはない。教育<br />
省としては,まず地質関連の人材がどれだけカンボジアにいるかを把握したいのと,国内<br />
の人材でどれだけ出来るか調査したい。その後は,タイ・べトナムなどの近隣国と協力す<br />
ることを考えている。それでも対応できない場合は,日本やフランスに協力を要請する。<br />
(横山特別顧問)鉱業に関する技術マトリッックスを示すと,鉱業という分野は総合的な技<br />
術力が必要とされることが分かる。<br />
(事務次官)数年後の人材市場がどれだけあるかを知りたいと思っている。<br />
(横山特別顧問)ラオスでは,鉱山開発成功例があるが,カンボジアではどうなるか分から<br />
ない。探査が進んでいけば,ラオスに追いつくことができるかもしれない。<br />
(事務次官)将来携わっていける人材,教師を養成することが必要であろう。JICA などで<br />
Teacher’s training を行っていくことも必要であろう。<br />
(事務次官)人材の現状とそれにかかるマスタープランを作ってくれればありがたい。<br />
(田中)TOTAL のセミナーがあるようだが,具体的にはどのような方法か?<br />
(事務次官)座学は,集中講義の形式をとっている。現場実習としては,モンドルキリやラ<br />
タナキリに学生を連れていっているようだ。その場合も先生の人的コネクションを頼みに<br />
している<br />
(事務次官)教育省としては,初等教育が最重要とされている。また,高等教育では,研究<br />
の充実を図ることが重要と考えている。<br />
参考:事務次官から、のちに訪問したカンボジア工科大学 ITC 学長のアンケート回答を頂<br />
いた。相互に連絡していることがうかがえた。<br />
- 259 -
5.4.2 三井物産プノンペン事務所<br />
日時:2009 年 12 月 24 日 木曜日 14:30-15:30<br />
場所: 三井物産プノンペン事務所<br />
参加者:三井物産 プノンペン事務所長 中原 憲一<br />
JICA 末岡専門家<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山特別顧問より,本調査の概要・調査目的・訪問先での主要情報の<br />
説明があった。<br />
( 中原所長)JICA マスタープラン調査とかぶる部分がある。先般商工会の会合で、<br />
MINDECO から内容を報告してもらったことがある。でもマスタープランには人材<br />
育成が入っていなかったような、、。MIME の人の教育は必要。<br />
(中原所長)中国企業などは不法に探査している場合もあるらしい。また鉱区を取るとき署<br />
名ボーナスとして相当金額を取ることがあるらしい。利権の巣窟。こういう慣行を<br />
正していくことが必要。<br />
(中原所長)BHP-三菱商事のボーキサイト・プロジェクトでは、石油プロジェクトと同じ<br />
ように、ソクレン副首相が、フンセン首相と相談して認めた。<br />
(中原所長)日鉄鉱業の鉱区申請が時間かかっている背景には、パゴダの問題もあるようだ。<br />
こういうものが実行に移っていかないと次に続く日本企業もなめられてしまう。<br />
(横山)日本商工会の概要等をお聞きします。<br />
(中原所長) 今会員増えている。2008 年 4 月 36 社だったが、2010 年 3 月には 60 社ただし<br />
特別会員と準会員を除いた正味では、48 社。ASEAN で 8 位の規模。日本からの<br />
投資視察ミッションや官民合同会議への対応など。JETRO がいよいよ 3 月にオー<br />
プンする。<br />
それと、カンボジアの鉄資源について、ベトナム企業が関心を持っており、収益を上げる<br />
予定といるということが訪問当日の新聞(THE PHNOM PENH POST Dec. 24, 2009)に<br />
出ているということで、下記の新聞記事コピーを頂いた。参考に引用収録する。<br />
- 260 -
第Ⅴ-7 参考引用:カンボジア鉱石がベトナム企業の利益を上げる THE PHNOM PENH<br />
POST Dec. 24, 2009<br />
上記三井物産での話題に関連して、直接ここで紹介あったものではないが、カンボジア<br />
政府の鉱業利権構造について、NGO 団体から下記のような本が出ていることを、隣国ラ<br />
オス在住の JETRO コレスポンデント(Mountain Field Consultant Co., Ltd 代表)の山<br />
田健一郎氏がそのサイトで紹介しているので参考引用紹介しておく。<br />
第Ⅴ-8 参考引用:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global witness:ラオスのビジネスを読<br />
む。―ブログ版―http://laotimes.exblog.jp/9561529/ 2009 年 02 月 08 日<br />
カンボジアの鉱物セクターがいかに政府高官、軍部、一部の資本家と外国企業により<br />
開発が進められているのか NGO Global Witness によるレポートが発表されています。<br />
カンボジアの鉱物開発は多くが公表されておらず政府高官との深い癒着が指摘されていま<br />
す。<br />
- 261 -
例えば、シンガポールへの砂の輸出(彼の地は埋め立てによる国土拡大が行われている)<br />
の拠点として、カンボジア南部コッコンからの輸出が行われている。<br />
これを抑えているのも Ly Yong Phat 氏。<br />
ドナーへの提言も含め内容はかなり面白いのでご一読を。<br />
- 262 -<br />
by kenichiro_yamada<br />
上記引用で、述べられている Ly Yong Phat 氏についても、同じ出典のブログに記事が<br />
あるので、同国の情勢の一環として、紹介しておく。<br />
第Ⅴ-9 参考引用:Ly Yong Phat 氏:ラオスのビジネスを読む。―ブログ版<br />
2009 年 02 月 01 日 http://laotimes.exblog.jp/9519711/<br />
カンボジア南部を調べていて、Ly Yong Phat 氏の名前が至る所に登場する。<br />
少しまとめてみよう。<br />
Ly Yong Phat 氏(李永法:หลียงฟต)について<br />
タイパスポート名: Phat Suphapha<br />
写真:http://www.senate.gov.kh/index_ni2.php<br />
華人、Ly Yong Phat Company 社長、<br />
カンボジアのビジネスマンであり国民党上院議員、タイ国籍所有。<br />
3-10 億ドルの資産を持つと見られている。<br />
コッコン地域の開発へ多大な影響力を持つ。<br />
コッコンカジノ、コッコン経済特区、コッコン製糖事業、島嶼開発を手がけている。<br />
"King of Koh Kong"の異名を持つ。<br />
最近では国道 6 号線のトンレサップ湖架橋工事を受注。<br />
http://groups.google.com/group/camdisc/browse_thread/thread/01e70dbc400dd928<br />
国道 48 号線修復事業、4 架橋事業にも出資か?<br />
http://www.mfa.gov.cn/chn/wjb/zwjg/zwbd/t253110.htm<br />
http://www.cnv.org.kh/2008_releases/14may08_nr48_kohkong_thailand.htm<br />
シハヌークビル市の Say Hak 市長と親戚関係といわれる。<br />
タクシン・タイ元首相の経済的パートナーの一人。<br />
タイ経済界との結びつきが強い。<br />
*2008 年 6 月にはタクシンがコッコンにカジノを新たに建設すると報道あり。<br />
*2009 年 2 月上旬、タクシンがコッコンに滞在中であるとの報道あり(フンセンは否定)<br />
汚職、麻薬、土地接収問題等暗い噂が絶えないことでも有名。
良くも悪くもカンボジア沿岸部開発のリーダー。<br />
フンセンとの関係は微妙か。<br />
http://www.bangkokpost.com/140908_News/14Sep2008_news005.php<br />
by kenichiro_yamada<br />
引き続きこの本についてであるが、この本は、サイトからダウンロードできる。今回時<br />
間との関係で見れないが、いくつかの地図・目次・囲み記事を抜き出して紹介しておく。<br />
その信ぴょう性は、不明であるが、要素となる傾向にいくらかは事実も含まれているもの<br />
と推察される。<br />
- 263 -
第Ⅴ-10 参考引用:鉱業活動地図:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global witness から<br />
- 264 -
第Ⅴ-11 参考引用:目次:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global witness から<br />
- 265 -
第Ⅴ-12 参考引用:鉱業権はいくらかかるか?:COUNTRY FOR SALE (Cambodia)global<br />
witness から<br />
Box 4 How much do mining rights cost?<br />
Whilst exploratory mining concessions are being allocated in Cambodia at a<br />
Brisk pace, there is a lack of clear and transparent procedures for company<br />
payments to secure access to these mineral resources.<br />
Under Cambodia’s Law on the Management and Exploitation of Mineral<br />
Resources, companies are required to pay the Cambodian state fees for<br />
registration, application for suspension, renewal, transfer rights and annual land<br />
rental, but the finer details of these payments are not known. Global Witness<br />
interviewed a Ministry of Industry, Mines and Energy employee in late 2008, and<br />
was told that, while standard rates were in place for things such as royalties and<br />
tax on companies, these had not yet been approved or finalized by Parliament.<br />
Despite this opacity, income is clearly being generated from the sector. Based<br />
on monthly revenue reports provided by the Ministry of Economy and Finance,<br />
Global Witness has analyzed the contribution Cambodia’s mining sector has<br />
made to the national economy over the past six years. According to these figures,<br />
between 2002 and 2008, the sector has contributed US$3 million.<br />
This account is at odds with information given to Global Witness however. On<br />
the basis of those few companies from whom information is available, the amount<br />
of money entering state coffers should be far higher. Given the lack<br />
of transparency surrounding these deals it is difficult to accurately estimate the<br />
totals, but based on evidence gathered from a variety of sources, Global Witness<br />
estimates the total should be closer to US$7 million.<br />
An industry analyst interviewed by Global Witness claimed that mining<br />
companies wishing to operate in Cambodia pay a standard rate of US$50,000 for<br />
each mining licence.112 Other companies seem to pay more than this. As well as<br />
the claim that Kenertec has made a bonus payment of approximately US$1<br />
million, Australian mining giant, BHP Billiton,113 has been cited by the<br />
Cambodian government as making significant payments in return for exploration<br />
rights to a 100,000 ha of Mondulkiri Province in which to explore for bauxite.<br />
According to an article published in The Cambodia Daily on 24 May 2007,<br />
Cambodia’ s Minister for Water Resources, Lim Kean Hor, told the National<br />
Assembly that BHP Billiton had paid US$2.5 million to the government to secure<br />
- 266 -
a bauxite mining concession. In the same article, Lim Kean Hor is reported to<br />
have described this payment as ‘tea money’, a customary term for an unofficial<br />
payment in Cambodia.<br />
Global Witness wrote to BHP in October 2008 to ask it to confirm whether or not<br />
the Minister’s comments were accurate. The company’s response confirmed it<br />
has set up a social development fund of US$2.5 million for Cambodia,<br />
but stated: “BHP Billiton has never made a payment to a Cambodian Government<br />
official or representative and we reject any assertion that the payment under the<br />
minerals exploration agreement is, or the amounts contributed to the Social<br />
Development Projects Fund are, ‘tea money’”.<br />
According to the letter from BHP to Global Witness, the Social Development<br />
Programme is “designed to improve the general health, education, culture and<br />
welfare of the people of Cambodia … this money can only be spent on<br />
community programmes that benefit the people of Cambodia. BHP as<br />
representative for the joint venture partners must authorise any payments and<br />
we intend to exercise power of veto in the event that we have any concerns about<br />
a potential project.” BHP also confirmed that it had made an additional payment<br />
to the Cambodian government to secure access to the minerals concession,<br />
stating: “In accordance with the terms of a minerals exploration agreement with<br />
the Cambodian government which granted BHP Billiton and Mitsubishi the right to<br />
explore for bauxite an amount of US$1 million was formally paid to the<br />
Cambodian government in September 2006.”<br />
Global Witness has obtained a copy of the Ministry of Economy and Finance’s<br />
‘ Tableau des Operations Financieres de l ’ Etat ’ (TOFE), which provides<br />
information on annual income to the Cambodian state. According to this<br />
document, non-tax revenue from mining concessions in 2006 was US$443,866. If<br />
the money appears elsewhere in the TOFE, it is not clear where. This raises<br />
questions as to where BHP Billiton’s US$1 million payment made in September<br />
2006 has gone.<br />
- 267 -
5.4.3 JICA カンボジア事務所<br />
日時:2009 年 12 月 24 日 木曜日 16:00-17:00<br />
場所: JICA カンボジア事務所<br />
参加者:JICA カンボジア事務所 鈴木所長,篠田所員<br />
JICA 末岡専門家<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山特別顧問より,本調査の概要・調査目的・訪問先での主要情報の<br />
説明があった。<br />
(横山)地質を学んだ学生は、地質・鉱業分野だけでなく、環境部門・土木分野でも活かせ<br />
る。GDMR や ITC のどちらかに双方が利用可能な分析機器と地質学と地質図を作<br />
れるフィールドワークを教えられる教授陣を専門家として派遣するような JICA 技<br />
術協力プロジェクトが最も望ましい。<br />
(鈴木所長) JICA としての悩みは,日本の民間企業が進出してもらわなくては困るという<br />
ものがある。人材育成にしても中国や韓国に JICA が育成した人材を取られてしま<br />
うような気もして,その点を懸念している。METI では,人材育成で信頼関係がで<br />
きればそれでいいのかもしれないが,日本の民間企業が進出してもらわないと困る<br />
状況である。<br />
(横山)日本の民間企業アンケートを実施した結果,カンボジアの鉱物資源ポテンシャルは<br />
期待できるという回答もあった。<br />
(鈴木所長) 中国企業・韓国企業はあきらかに進出のスピードが違う。カンボジア東部では,<br />
中国はアクセス道路の整備を援助しながら,ボーキサイトの権益につなげようとし<br />
ている。<br />
(横山)たしかに育成した人材の全てが日本の企業プロジェクトに関係するということは不<br />
可能ですが、一国のこの分野でのレベルアップになることは確か。<br />
(鈴木所長) どれだけの人材育成を,どこまで日本が行うのかが難しい。日本国民が誰で<br />
もいいと思えるものであれば良いが,JICA で人材育成しても,日本の民間企業が<br />
続いて進出しないのでは,何故人材育成をするのかという疑問が残る。開発調査(経<br />
済産業省委託費の:MINDECO 受託実施中のマスタープランなど)は,カンボジ<br />
ア発展のためという名目がある。技術協力プロジェクト(外務省交付金の)は、分<br />
野ごとに優先順位をつけているので,鉱業分野は難しいと考えている。<br />
(篠田所員)METI が人材育成のロードマップのようなものを示してもらえると有難い。オ<br />
ールジャパンで行いたいと思う。<br />
(横山)GDMR 総局長が庁舎建設を日本から寄贈してほしいといった要望あったことと閣<br />
僚評議会ビルを中国が建設して援助した(結果的にフンセン首相の好みに合わずに<br />
再度建設中)が、大使館マターかもしれませんが日本の援助としてこういうことは<br />
可能ですか?<br />
(鈴木所長)中国はカンボジア政府を喜ばせるために内閣府や複数の政府庁舎をローンで作<br />
っているらしい。中国の一時代前の援助ビジネスの発想。日本の場合援助ドナー国<br />
の DAC 会議の基準等もあり、こういう分野は事実上できないのではないか。<br />
- 268 -
(鈴木所長) 現段階では,せいぜい日本へ送る JICA 研修員を増やす程度のことしか出来な<br />
いであろう。水力発電のマスタープランでも,選定した 9 候補地のうち,7 つが中<br />
国に,2 つが韓国に押さえられてしまっている。<br />
(横山)JICA 技術協力プロジェクトではどういう事例がありますか?<br />
(鈴木所長)水道がある。<br />
5.4.4 日本大使館<br />
日時:2009 年 12 月 25 日 木曜日 10:00-11:00<br />
場所: 在プノンペン日本大使館<br />
参加者:黒木雅文大使,横山博之一等書記官<br />
JMEC 横山特別顧問,田中調査員<br />
会議の冒頭,JMEC 横山特別顧問より,本調査の概要・調査目的・訪問先での話等を説明<br />
した。<br />
(大使)カンボジアには金属鉱山ありますか?<br />
(横山)カンボジアにはまだないがこれから加速される可能性がある。というのは、隣国ラ<br />
オスでは近年銅金鉱山の開発が進み、輸出額の半分が鉱産物というような状況であり、イ<br />
ンドシナ地域への探鉱意欲が高まってきている。<br />
(大使) 環境問題は大丈夫ですか?着任して、工鉱業エネルギー(MIME)大臣にも、会っ<br />
ているが、日鉄鉱業の探査権は何が問題点で進まないのか疑問である。<br />
(横山)昨日訪問した日本商工会会長中原氏の受け売りになってしまいますが、鉱区に古い<br />
パゴダがあることも問題ということのようですが。会社の方では問題を整理した上で、大<br />
使のお力も得ながら今後要請をして実現していかないといけないでしょうね。<br />
(横山)カンボジアにおけるこの分野の大学教育の充実も必要である。地質局 DOG の局長は、<br />
カンボジア工科大学 ITC で教えている。ITC の Rural Engineering 工学科では、<br />
4・5年次の選択科目として、水資源と地質工学(Geotechnical)を設置している。<br />
その上で学長は将来地質工学科独立も検討している。フンセン首相も言っていると<br />
のこと。また ITC における AUN/SEED-net 利用による日本への留学について進ん<br />
でいることに驚いた旨も説明。また GDMR 総局長が庁舎建設を寄贈してほしいと<br />
いった要望あったことと閣僚評議会ビルを中国が建設して援助した(結果的にフン<br />
セン首相の好みに合わずに再度建設中)も簡単に紹介。<br />
(大使) ITC では金沢大学の学長も訪問するといいうことだが、そういう意味での日本との<br />
かかわりもあったですか。<br />
理工系の人材育成が重要と考えている。鶏と卵のようになるが、鉱山が出来れば人<br />
手が足りなくなるし、人材も必要だが、そうでなければ人は余る。また人材育成に<br />
も時間がかかる。<br />
(横山)育成した人材が鉱山が発達していない時には、鉱物資源総局 GDMR に就職させるの<br />
も手である。<br />
日本からカンボジアへの ODA 支援はどういう規模でしょうか?<br />
(大使)無償資金 50 億円、技術協力プロジェクト 40 億円、有償資金 30 億円合計 120 億円。<br />
- 269 -
中国は、元首級が来て、数年規模だろうが元借款で 12 億ドルを約束した。先ほどの<br />
閣僚評議会ビルだけでなく、道路・橋・水力発電所などが含まれる。中国は動きが早い。<br />
日本がメコン川に当初作った橋の第 2 の橋を造ろうと第 2 メコン橋という名称で日本の<br />
ODA で検討しているものがあるが、中国が後から企画して建設を始めた第 3 の橋が先に<br />
出来てしまいそうで名称も変えないといけないようなこと。中国は役に立つことをしてい<br />
る。<br />
- 270 -
6.1 ベトナムへの支援の在り方<br />
Ⅵ 考察と提言<br />
6.1.1 ベトナム要望<br />
ベトナムの有望鉱種としては、現地関係者は、以下をあげていた:チタンージルコン、<br />
ボーキサイト、レアアース、鉄鉱石、銅。<br />
人材育成・鉱業活動促進・レアアースにつき、「人材の現状」、「不足する技術スキル」、<br />
「人材育成」、「教育システム」と「外国・日本に期待したいこと」は下記のとおりである。<br />
商工省 MOIT、地質鉱物総局 DGMV、ベトナム国営鉱物鉱山公社 VIMICO のアンケート回<br />
答と会談での発言は「」で表現した。<br />
-人材の現状<br />
・商工省(MOIT)重工業局(DHI)は金属鉱業と製錬産業を所管しており、その人数は<br />
19 人。関連する科学技術局(DST)は 37 人。博士号の保持者は DHI 1 人 鉱山分野、<br />
DST 8 人 鉱物、化学、電気、食料品(栄養)、繊維分野。修士号の保持者は DHI 1 人<br />
経営、DST 7 人 繊維、電気、化学、機械工学、鉱物分野。学士号の保持者は DHI 16<br />
人、DST 22 人である。なお省全体では 20 の局 700 人の規模。(MOIT)<br />
・DGMVは、ベトナム国土の地質鉱物に関する活動を管理し、15の小機関を有する。5つ<br />
のテーマごとの部局、4つの地方部局、1国際協力部局、3センター(地質に関する分析実<br />
験センター、地質情報とアーカイブセンター、地質技術センター)がある。就業人数は2,452<br />
人。職場における博士号の保持者は31人で地質と鉱物分野。修士号の保持者は74人で地質、<br />
鉱物と経済分野。学士号の保持者は876人で、地質、鉱物、建設、経済、ファイナンスと<br />
ヘルスケア分野。(DGMV)<br />
・VIMICOは、商工省所管の鉱業機関で、6つのホールディングカンパニーと多数の関係会<br />
社からなる。その就業人数は6438人で、博士号の保持者は無く、修士号の保持者は9名で<br />
鉱石処理(選鉱:dressing)、経営、経済分野。学士号の保持者は936人。(VIMICO)<br />
-不足する技術スキル<br />
・ほとんどの職員はよく訓練されており、資格があり、省に勤務する以前ほかの機関で数<br />
年以上その働いた経験を有している。このためプロフェッショナルである。しかし鉱山、<br />
タバコ、プラスチック、靴履物、皮革の分野で技術職員が不足している。(MOIT)<br />
・職員はあらゆる分野で普通の能力を有する。(DGMV)<br />
・マイニングや鉱物処理(mineral processing)の新技術へのアクセスや、外国語の問題<br />
(VIMICO)<br />
-人材育成について<br />
・職員は省に雇用される前に、ベトナム国内や海外の大学で、主として、鉱山、機械工学、<br />
冶金、経営、経済などについて、トレーニングされる。入省後は管理、経営、環境などに<br />
ついて短期のトレーニングを受ける。(MOIT)<br />
- 271 -
・職員は省に雇用される前に、ベトナム国内や海外の大学で、異なる専門領域についてト<br />
レーニングされる。入省後は管理、省エネルギー、環境保護、クリーンな製造などについ<br />
て短期のトレーニングを受ける。(MOIT)<br />
・局の職員の HRD/教育の基本方針は、省の方針に従っている。一般にそれは、資格(修<br />
士号や博士号をとったり)や外国語を向上することを、エンカレッジすることである。<br />
・数多くの短期トレーニング・コースが設営されている。毎年主として管理、環境、経営<br />
に関して 2-3 件。局からは 1-2 名参加。(MOIT)<br />
・毎年局職員のいくらかは、ベトナム国内または海外の、省エネルギー、環境保護、クリ<br />
ーナー製造といった分野の短期研修に参加する。(MOIT)<br />
・機械工業、冶金工業、鉱山製錬業の国家管理に関連することを含む日々の業務を実行す<br />
る中でのオン・ザ・ジョブ・トレーニング。より経験を増やし、知識を向上させるに好適<br />
であると考えられる仕事は、戦略の明確化を示すことや、ある分野のマスタープランを作<br />
ることや、局所管の産業分野の開発のための政策やメカニズムの提案を作ることなどであ<br />
る。(MOIT)<br />
・HRD の基本方針は、基礎的トレーニングを受けたものを採用して、採用後こういう職員<br />
を、その仕事がよりプロフェッショナルに出来るようレベルアップするために、集中的に<br />
訓練する。(DGMV)<br />
・職員の特定分野の知識を向上させる地質、ステート・マネジメント(国土管理)、コンピ<br />
ューターサイエンスのトレーニング・コースは毎年実施される。(DGMV)<br />
・地質や DGMV の仕事に関係する短期の OJT 訓練は、ときどき実施している。(DGMV)<br />
・職員を海外でトレーニングする機会を有しています。こうしたトレーニングの予算は、<br />
海外機関、海外企業、海外大学からくるか、またはベトナム政府の配分によるもの。<br />
(DGMV)<br />
・大学の訓練ソースから(学生が卒業後、Vimico は彼らの専門によって採用し、Vimico<br />
の開発オリエンテーション実施);Vimico で働いている間に、トレーニング・コースに送<br />
られる。トレーニングは二つの方向がある。すなわち子会社におけるオン・ザ・ジョブ訓<br />
練 OJT と、海外(Vinacomin と協力している国や先進鉱業技術を有する国)におけるオフ・<br />
ザ・ジョブ訓練 OFJT である。子会社で OJT 訓練を受けた沢山の従業員が、Vimico の本社<br />
事務所で働く。このほかに少数の人が他の機関から Vimico にリクルートされる。(VIMICO)<br />
・主として山岳地帯での操業が多いという Vimico の特殊なオペレーションによって、われ<br />
われの方針とメカニズムは、地域の労働者を採用することに特定のプライオリティがある。<br />
(VIMICO)<br />
・Vimico は、能力があり、技術スキルを持った若い従業員を優先していくことにより、職<br />
員の若返りに注力している。若い従業員はベトナムあるいは海外でトレーニングされる。<br />
(VIMICO)<br />
・親会社の Vinacomin は、人材育成のためのトレーニング・センターを有している。職業<br />
訓練や産業開発のためのトレーニング以外に、スペシャリスト・トレーニング(多くの専<br />
門分野、学問が含まれる)も提供される。(VIMICO)<br />
・「実際に教育を受けている人がいる。民間とオーストラリア政府から招へいされたことが<br />
ある。私の場合はインドで教育を受けたことがある。」(VIMICO)<br />
- 272 -
-教育システム<br />
・ベトナムにはハノイ鉱山地質大学をはじめ、鉱業に関するカレッジ(College of Mining<br />
Engineering: Quang Ninh)も存在する。<br />
・DGMV では、国内外の大学や研究機関と密接に協力している。地質・資源分野の大学や<br />
研究機関は、地質や鉱物資源分野の教育と研究に、多大の貢献をしています。(DGMV)<br />
・いくつかの大学とトレーニングやトレーニーの受け入れで協力している。それらは、ハ<br />
ノイ工科大学、ハノイ鉱山地質大学、昆明ポリテクニック・スクール(中国)へのトレー<br />
ニング派遣。(VIMICO)<br />
・ハノイ鉱山地質大学やいくつかの鉱物に関する研究機関例えば、鉱山冶金科学技術研究<br />
所(商工省)、鉱山科学技術研究所(Vinacomin)、地質鉱物研究所(天然資源環境省)は、<br />
古くから設置されている学校と研究所だが、地質・マイニング(採鉱)・鉱石処理の発展に<br />
多大の貢献をしてきている。(VIMICO)<br />
-外国に期待すること<br />
・省庁の鉱業関係の職員レベルの能力を増強する鉱物管理の研修を提供することについて、<br />
外国の支援を是非受けたいと思います。(MOIT)<br />
・もし可能なら職員を短期研修でトレーニングさせたい。(MOIT)<br />
・鉱業活動を促進するために、以下の分野の鉱業技術移転を受けたい。<br />
-Red River 堆積盆の石炭を開発する鉱業技術<br />
-ボーキサイトとチタンのダウンストリーム処理<br />
-省庁レベルの職員の管理能力の強化<br />
・ボーキサイトや石炭を採掘し処理するプロジェクトに投資される借款<br />
・鉱業分野での技術インフラを建設するために投資される借款(以上 DHI)<br />
・鉱業活動を促進するために、Red River 堆積盆の石炭を開発する鉱業技術や、レア・アー<br />
スやチタンなどの採掘とダウンストリーム処理を実施するための鉱業技術の技術移転を<br />
受けたい。(MOIT)<br />
・「紅河の下の石炭開発などアンケートに記載した通りだが、銅や亜鉛については従来から<br />
行ってきたし、生産量も小さいので特に要望はない。」(MOIT)<br />
・鉱物活動のキャパシティを強化する HRD のために、トレーニング・コース実施のため<br />
に投資がなされるべきであることは、極めて重要(本質的)なことでしょう。(DGMV)<br />
・マネジメント能力(managerial capability)増大のための支援(DGMV)<br />
・関係法制の組織化のための支援(DGMV)<br />
・環境保護のための支援(DGMV)<br />
・我々はいつも外国の組織が、ベトナムの鉱物活動(mineral activities)の分野で人材育成<br />
トレーニングをすることにより、我々を支援することを期待している。(VIMICO)<br />
・鉱業活動を向上させるため、我々は海外からの支援を必要としている。しかしながら、<br />
これら海外の国がどのような鉱業技術を開発しているかをスタディしなければならない。<br />
(VIMICO)<br />
- 273 -
-日本に期待すること<br />
・日本政府が JICA を通じて、坑内採掘の保安につて VINACOMIN 職員の研修を支援する<br />
ことを継続してもらいたい。また、環境管理と復旧、坑内採掘での保安、鉱業セクターの<br />
戦略やマスタープランづくりといった鉱業分野の管理能力の増強についても研修を継続<br />
してもらいたい。(MOIT)<br />
・JICA を通じて日本政府は、職員の能力強化の研修を支援して欲しい。(MOIT)<br />
・「JICA の支援で VINACOMIN のトレーニング(石炭採掘)を 5 年間行ってもらった。(団<br />
長:それは JCOL のプロジェクト)現在、首相の指示で新しい技術の開発、人材育成プロ<br />
グラムを検討しており、それには省及び鉱物関係会社(VINACOMIN?)も参加する予定で<br />
ある。まだ準備段階にあるがまず必要な人材育成項目を整理し 2010 年までに計画を提出す<br />
る。その後、講師としては大学の教授、海外にもお願いすることになると思う。(団長:JICA<br />
の専門家派遣制度を利用できる)。費用についてはベトナムの予算は限られているので、援<br />
助頂ければありがたい。」(MOIT)<br />
・VINACOMIN に対して、協力、投資、坑内採掘の保安の管理の研修の継続<br />
・商工省と天然資源環境省の管理職に対して、鉱物管理の能力を増進する研修コースを提<br />
供すること(MOIT)<br />
・鉱山地域での環境復旧と Quang Ninh 省炭鉱地域での技術インフラ建設のための ODA ロ<br />
ーン(円借款)の提供(MOIT)<br />
・ボーキサイト・プロジェクトに資するため Tay Nguyen 高原と、日本企業がベトナム側と<br />
開発するために協力しているレアアース・プロジェクトに資するため Lai Chau 省とにお<br />
いて、技術インフラを建設するために協力し、投資し、ローンを供与すること。(以上 DHI)<br />
・Red River 堆積盆の石炭を開発する鉱業技術や、レア・アースやチタンなどの採掘とダウ<br />
ンストリーム処理を実施するための鉱業技術の技術移転を受けたい。職員研修。(MOIT)<br />
・日本政府が、DGMV はとりわけ、ほかの組織機関は一般的にだが、調査(investigation)、<br />
アセスメント、探査、マイニング(採鉱)、鉱物活動の管理についての技術職員の能力を強<br />
化するトレーニングを支援することを強く要望する。(DGMV)<br />
・地質と鉱物資源分野の人材育成(DGMV)<br />
・マイニング技術の移転、とりわけレア・アースの精製(processing)技術(DGMV)<br />
・鉱山地域の環境汚染の管理・コントロール支援(DGMV)<br />
・我々は、ベトナムのような国が鉱物分野(採鉱、鉱物品位向上(mineral enrichment)、金<br />
属製錬)の人材開発をしていくために、日本の人材トレーニング政策をより理解したいと<br />
願っている。(VIMICO)<br />
・「実際に教育を受けている人がいる。民間とオーストラリア政府から招へいされたことが<br />
ある。私の場合はインドで教育を受けたことがある。日本でも教育の機会を作っていただ<br />
ければいいのだが。例えば外国語の習得、鉱業開発、探査、採掘の指導を期待したい。日<br />
本の研修についてはよく判らないので教えてほしい。JICA の集団研修があり持続的鉱業開<br />
発コースがある。鉱山の現場が少ないので日本の得意分野は製錬などの処理が中心にな<br />
る。」(VIMICO)<br />
・日本側はこの分野でのアドバンテージを紹介すべきである。(VIMICO)<br />
・「個人的な意見としてお互い競争することにより鉱業が発展、改善すると考える。外国の<br />
- 274 -
新しい技術の援助・導入が必要。日本の最新の技術の情報がないので逆に教えていただけ<br />
ればありがたい。先ほど申したように、日本では製錬技術が優れているので、レア・アー<br />
スの純度、金属の純度を高めるなどで援助できると思います。」(VIMICO)<br />
-レア・アースについて外国に期待すること<br />
・レア・アースの鉱業(mining)技術の移転(MOIT)<br />
・レア・アースの処理と市場に出すことについて外国企業と協力が必要。(MOIT)<br />
・レア・アースの鉱業技術がないので、中国からから輸入することが計画されている。<br />
(MOIT)<br />
・「レアアースの精製技術はないので、現在検討中ですが、中国はレアアースの生産が多い<br />
ので、中国からの技術移転がいいのではと考えている。技術移転を決める場合は、中国で<br />
も日本でもその会社の内容が重要である。」(MOIT)<br />
・処理(processing)技術の移転(DGMV)<br />
・レア・アースの処理について、外国の協力を期待している。ことにレア・アースの開発<br />
された処理産業(developed processing industry)を有する国に期待している。(VIMICO)<br />
-レア・アースについて特に日本に期待すること<br />
・日本の双日、豊田通商は、Lai Chau 省の Dong Pao レア・アース鉱山を採掘し、処理し、<br />
輸出することにベトナムのパートナーと協力している。このため、このレア・アースプロ<br />
ジェクトの助けとなるよう、ODA の資金プロジェクトを通じて、Lai Chau 省に技術イン<br />
フラを建設することを支援することを日本政府に強く要求する。(MOIT)<br />
・近い将来、日本政府はレア・アースの採掘と処理の可能性を評価することを助け、その<br />
上で、レア・アースの採掘と処理に財政的にまた技術的に投資することが可能なパートナ<br />
ーを探してくれることを期待する。(MOIT)<br />
・日本はレア・アースの処理(processing)技術にたいへん強い国。このためレア・アース<br />
の精製と効果的利用についての技術移転に対して、日本からの支援を強く必要とする。<br />
(DGMV)<br />
・「逆に日本政府は人材育成でどんな支援ができるか?中国がレア・アースの大供給国(14<br />
万 t 生産し、4 万 t 輸出。鉱種によっては 97-98%)なのにどうしてベトナムに興味がある<br />
のか?ベトナムに協力をしたいということなのか?」(DGMV)<br />
・日本側は、ベトナムを支援するために、レア・アース処理技術の現在の開発内容とキャ<br />
パシティを紹介すべきである。(VIMICO)<br />
・Vimico は鉱体 F3 のレア・アースを採鉱して処理するプロジェクトで、双日と豊田通商<br />
と協力している。(VIMICO)<br />
・「レア・アースは沢山あり、Lai Chau 省の Dong Pao、Nam Xe、Lao Cai 省の MungHum、<br />
Yen Bai 省には Yen Phu がある。調査は色々しているが開発段階はドンパオ Dong Pao(軽<br />
希土類)だけである。探鉱技術は持っていると思うし、開発にはいい時期だと考えている。<br />
ただ、生産技術はまだ十分でないので色々な技術を導入すべきである。特に分離・製錬技<br />
術はないので技術の導入を希望する。副産物とか放射性鉱物の取り扱いの規則はある<br />
- 275 -
(1996 年の安全管理法)。インターネットで閲覧できる。現在、日本からでは双日と豊田<br />
通商と協力して研究している。」(VIMICO)<br />
6.1.2 ベトナムへの支援の在り方<br />
・以上紹介したように、先方の要望は、日本が強く、貢献できる技術分野でお願いしたい<br />
ということ。具体的は、レアアースの製錬・精製、鉱山地域の環境対策、行政官向けの鉱<br />
業管理能力(環境管理と復旧、坑内採掘での保安、鉱業セクターの戦略やマスタープラン<br />
づくり等)の向上などである。また不十分な技術として、Vimico が鉱物処理(mineral<br />
processing)をあげている。<br />
・採鉱や探鉱は、ベトナム側で技術を保有している。<br />
・日本が何か支援するとすれば、上流分野では、衛星画像解析技術(ボツワナのような)。<br />
下流部門では、レアアースの製錬・精製、鉱山地域の環境対策。<br />
・レアアースの製錬・精製については、VIMICO は中国の技術を入れようかと考えている<br />
という発言もあり、これを超える精製(高純度とか)技術について、日本企業の協力が得<br />
られないと空振り。<br />
・人材育成支援は総論的に賛成・期待するが、個別の具体プロジェクトを提案して下さい<br />
というスタンス。DGMV も同じようなスタンスであるし、上部の MONRE の国際局は、さ<br />
らに厳しく、具体的プロジェクト提案なければ情報も出しませんというスタンス。<br />
・非鉄 8 社とか従来の鉱業企業ではないレアアース担当等の企業がノウハウ的に有する技<br />
術を民間ベースで出せないのを、公的に出すのはもっと困難。日本側でそうした会社(例<br />
えば、ベトナムへの進出を決めた合金鉄の昭和電工、中電レアアースやまだ決めてはいな<br />
いが、三徳、信越化学、TDK、日立金属等の磁石メーカーのうち進出や協力に意向を持つ<br />
企業から)が出来ることを決めないと支援・協力を提案出来ない。すなわち技術協力(JICA<br />
専門家を出すにしても)を提案していくための日本国内での仕込み・調整が肝心であると<br />
考える。<br />
・双日・豊田通商のドンパオのレアアース案件など個別具体玉がある案件で、その計画内<br />
容に沿った範囲での、技術・人材育成協力を考案する線が一つ:うまく大きく出来れば JICA<br />
技術協力プロジェクトに仕立てる等<br />
・あまり話題にならなかったが、以前の調査で要望があった衛星画像解析技術(PALSAR<br />
の画像解析など)について、衛星画像解析センター(アフリカ)的手法が一つ。ただし今<br />
回はそのようなことは話題にも、アンケートにもなかったので、先方要望にミートしない<br />
可能性が高い。<br />
・ベトナムには鉱山地質大学があり、鉱山・地質の一般的学問は、その実務経験も含めて<br />
高い。また DGMV が約 2500 名、VIMICO が約 6500 名という巨大組織で仕事をしている。<br />
・不足しているのは上述したようなベトナムが従来経験が少ない分野での技術である。<br />
- 276 -
6.2 ラオスへの支援の在り方<br />
6.2.1 ラオス要望<br />
ラオスの有望鉱種としては、現地関係者は、以下をあげていた:金、銅、ボーキサイト、<br />
鉄鉱石、錫、石炭。<br />
人材育成・鉱業活動促進につき、「人材の現状」、「不足する技術スキル」、「人材育成」、<br />
「教育システム」と「外国・日本に期待したいこと」は下記のとおりである。DGEO から<br />
のアンケート回答と、DGEO 及び DOM での会談での発言「」で表現した。特に断りがな<br />
い部分は DGEO 側のコメント。<br />
-人材の現状<br />
・地質局DGEOは、管理課(Division of Administration)、地質課(Geological Division)、<br />
鉱物分析課(Mineral Analysis Division)、地質情報課(Geo-information Division)と2<br />
つの地質調査ユニット(geological survey units)で構成され、それぞれの課ユニットは<br />
4-15名。全体で61人。職場における博士号の保持者はなし。修士号の保持者は、15人(地<br />
質学、選鉱鉱山、地球物理、石油ガス鉱山学、応用地化学、鉱物学、化学等)、学士号の保<br />
持者は15人<br />
・「鉱山局 DOM は 5 つの課に分かれている。局長が 1 名,副局長が 2 名である。管理課・<br />
鉱区課・技術課・法律課・環境/鉱山保安課(Environment and Mining Inspection Division)<br />
に分かれている。おもに DOM の役割としては,外国資本の投資の促進・投資企業の監督<br />
を行う。以前は,地質局と同じだったが,2007 年 4 月に分離された。鉱山局の職員は,<br />
34 名であり,博士号取得者は 2 名,修士号が 11 人程度,ほかは学士 7 名,残りは高等教<br />
育卒 19 名である。このうち 3 名は,学士号取得中である。おもな仕事としては,企業活<br />
動の監督・投資促進のための法整備等が多い。」<br />
・「鉱山局 DOM の幹部はロシア留学経験がある。副局長もロシア留学している。チェコや<br />
ベトナム留学者もいる。東欧諸国やロシアが多い。2 名は現在,タイで修士号を取得する<br />
予定である。日本などへは短期留学(研修?)を行うことが多い。若手は polytechnic college<br />
から採用している。ベテランは海外留学経験者が多い。以前は,中学校を卒業して,<br />
polytechnic college に入るケースが多かったが,現在は,ほとんどが高校を卒業して<br />
polytechnic college に入学する場合が多い。学生は多くは,ラオス国立大学に入りたかっ<br />
たが,入れなかったので,polytechnic college に入ってくる。」<br />
・シニアな職員は 2009 年までジオサイエンスで学位授与学校がなかったので海外留学し<br />
た。化学専門の者は国立ラオス大学を卒業している。<br />
-不足する技術スキル<br />
・「ラオスでは,今後 1/20 万地質図と 1/50 万地質図を自力で作成出来るような技術力が必<br />
要である。また,外国企業の調査結果をチェックできるようになることも必要である。」<br />
・地質図作成、鉱物調査と探査、鉱床評価(鉱量計算)、地化学探査、物理探査、リモート<br />
センシング、鉱物分析など。<br />
・「10 名程度の技術者がいるが,人材育成では,環境インパクトを評価出来る技術者が必<br />
- 277 -
要である。今まで他国で鉱山に関する環境問題で失敗した例があるので,その轍を踏まな<br />
いようにしたい。」(DOM)<br />
・どのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれば良いか?<br />
-ラオスには、2009 開始のジオサイエンス地球科学の学士コースしかない。<br />
-ジオサイエンス地球科学のトレーニングセンターや研究機関。<br />
―国際機関からのトレーニング支援。<br />
-ラオスに鉱業投資している民間企業は DGEO 職員の技術力の向上にとって大変力にな<br />
っている。<br />
-人材育成について<br />
・「ラオスでは,今後 1/20 万地質図と 1/50 万地質図を自力で作成出来るような技術力が必<br />
要である。また,外国企業の調査結果をチェックできるようになることも必要である。JICA<br />
のマスタープランでは,2 地区の 1/20 万地質図を作成したが,同じ内容では,申請されて<br />
も却下されてしまう。しかし,そのような調査の中で DGEO 職員の OJT にもなる。DGEO<br />
からの要望としては,地質データのデータベース化と分析機器の充実を図りたいのとそれ<br />
らを使いこなせる人材育成を行いたい。」<br />
・「(JMEC)DGEO 内でも 40 歳前後の職員の持っている技術を 20 歳代の若手に継承して<br />
いくことが最も重要と考えられるが,DGEO ではそのような機会があるか?また,どのよ<br />
うなスキームを用いて行っているか?」<br />
・「OJT によって行っている。Polytechnic college とも協同で調査を行っており,その際<br />
に OJT を行っている。以前は,毎週 DGEO 内部で技術移転のミーティングを行っていた<br />
が,最近は人数が集まらず,行っていないのが現状だ。技術を勉強するにも基礎知識をま<br />
ず固めておくことが重要であり,職員になってからは,教科書に載っていない事柄を経験<br />
していくようになる。まだシステムは固めてないので,大学卒の人間を OJT で教育するシ<br />
ステムがないような状況である。インターンシップなどの制度もあるが,十分でない。以<br />
前 JICA には,ラオス国立大学において鉱山学科新設のプロジェクト要請を提出したが,<br />
JICA 内でどのような進捗になっているかを知りたいし,ラオス政府としては,鉱山学科<br />
を作りたいと思っている。」<br />
・「職員の研修では,JICA の研修コースで行っている。」<br />
・人材育成や教育の基本方針は、DGEO の責務を実行し、鉱物資源開発、ひいては国の社<br />
会経済開発に貢献出するように、DGEO 職員のジオサイエンスの知識と経験を向上させる<br />
こと。<br />
・職場内外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースは:<br />
-ラオス-フィンランド・インスティチューション・キャパシティ・ビルディング・プロ<br />
ジェクト(2009-2011:組織能力開発プロジェクト)による:GIS コース<br />
-ラオス-ベトナムボーキサイト調査プロジェクト(2006-2009)による:鉱物調査・探<br />
査トレーニング<br />
・OJT 訓練としては、地質・鉱物図の作成、鉱物分析、GIS。<br />
-教育システム<br />
- 278 -
・「今までは人材育成の要望を毎年政府に上げていたが,受け入れられなかった。1986 年<br />
まではベトナムに,1996 年までは旧ソ連に留学生を送っていた。この場合,留学生費用は<br />
すべて,旧ソ連政府が支出していた。ベトナムへは,ラオスでの中等教育(高校卒業程度)<br />
の学生がベトナムに留学して,修士号を取得して戻ってきている。ラオス国内では,DGEO<br />
職員は,Polytechnic college の卒業に依存しているのが現状だ。ラオスでは鉱業が振興し,<br />
国家財政にも寄与しているが,鉱業関連の人材は少ないので,人材育成の重要性を認識し<br />
ている。Polytechnic college(同校については、翌日当方らが予定になかったが訪問して<br />
副学長から内容を聞けた。)の卒業生は 200-300 人程度いるが,今までは高等教育機関が<br />
なかったが,3 年前に出来た。」<br />
・「DOM の若手は polytechnic college から採用している。ベテランは海外留学経験者が多<br />
い。以前は,中学校を卒業して,polytechnic college に入るケースが多かったが,現在は,<br />
ほとんどが高校を卒業して polytechnic college に入学する場合が多い。学生は多くは,ラ<br />
オス国立大学に入りたかったが,入れなかったので,polytechnic college に入ってくる。」<br />
・「Polytechnic college に地質データなどを提供している。Polytechnic college では、従<br />
来の Diploma(高校卒で 2 年間)に加えて、社会の要望があって高度化したいということ<br />
で、3 年前から High Diploma(1.5 年間)が出来た。またさらに 2 年間プラスで大学卒<br />
業資格 Bachelor を取れるようにする計画で始まったところ。この Polytechnic college に<br />
は、DGEO として卒業生も多く、鉱山・地質分野での人材養成に歴史的に貢献してきてい<br />
る。」<br />
・「一方 NUOL 国立ラオス大学では、工学教育で鉱山地質分野しようとしているが、実績<br />
がない。しかし工学部で何かし始めているらしい。」<br />
・ジオサイエンティストが不足(公的にも民間でも高いニーズがある)しており、ジオサ<br />
イエンスの分野で学士号コースが、整備される必要がある。<br />
-外国に期待すること<br />
・エネルギー鉱山省 MEM は、現在世界銀行に、水力発電と鉱山分野についての、能力開<br />
発(Capacity Building)について、技術援助を要請している。<br />
・「まず DOM 職員のレベルアップを行いたいと思っている。今まで海外留学制度がなかっ<br />
たので,海外留学を経験させることが必要である。できれば,高校卒業程度で海外留学が<br />
できるとよい。また,奨学金制度の拡充なども考えられるであろう。技術レベル向上の観<br />
点からは,最新技術の導入も必要である。」(DOM)<br />
・「どうしてもラオス政府の人材だけでは限界があるので,トレーニングセンターの設置(職<br />
員だけでなく、民間も利用できるような)なども選択肢となる。」(DOM)<br />
-日本に期待すること<br />
・DGEO は能力開発に力点を置いた第 2 次地質図作成プロジェクト(注:第 1 次は JICA<br />
「ラオス国鉱業分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備計画調査」2006-2008 年と<br />
して、実施:三菱マテリアルテクノ・国際航業)を要望している。<br />
・「としては,日本を通じて,最新の情報を知りたいと思っている。日本の最新の技術には<br />
興味がある。とくに休廃止鉱山の管理などに興味がある。」(DOM)<br />
- 279 -
「まず DOM 職員のレベルアップを行いたいと思っている。今まで海外留学制度がなかっ<br />
たので,海外留学を経験させることが必要である。できれば,高校卒業程度で海外留学が<br />
できるとよい。また,奨学金制度の拡充なども考えられるであろう。技術レベル向上の観<br />
点からは,最新技術の導入も必要である。これらを実現するためには,日本での短期講習<br />
なども受けたい。具体的には,鉱区を管理するための技術(衛星画像を含む),GIS 関連技<br />
術で鉱区と水力発電との重複などをチェックする機能などが求められる。さらには,鉱山<br />
評価・F/S 評価できる能力や労働衛生管理能力が必要とされる。」(DOM)<br />
・「どうしてもラオス政府の人材だけでは限界があるので,トレーニングセンターの設置(職<br />
員だけでなく、民間も利用できるような)なども選択肢となる。」(DOM)<br />
1.3 ラオスへの支援の在り方<br />
以上紹介したように、先方が要望しているのは、<br />
・ラオスでは近年急速に外資系企業による探鉱が進み、鉱山開発が進んだ結果、鉱産物の<br />
輸出に占める割合が 50%以上を占め、鉱業企業の先行きが明るくまた給与水準が高いとい<br />
うことから、社会の鉱山に対する関心が高まっている。<br />
・鉱山の行政組織は、かつて工業手工芸省 MOIH(Ministry of Industry and Handicrafts)の中<br />
に、地質鉱山局 DGM が所属していたが、2006 年に、改組され、エネルギー鉱山省 MEM<br />
が出来、その中に、鉱山局 DOM と地質局 DGEO が置かれる体制に強化された。<br />
(鉱山局 DOM では)<br />
・また鉱業が発達しつつある同国で、鉱山による環境インパクトの評価、鉱山の後処理等<br />
について、経験が浅く、こうした分野について行政人材の育成支援について、ラオス側の<br />
意向が示された。とくに休廃止鉱山の管理などに興味があるとの発言があった。<br />
・このほか鉱山局行政側から期待があった点は、下記であり盛り沢山である。<br />
・鉱山局 DOM 職員のレベルアップを行いたいと思っている。今まで海外留学制度がなか<br />
ったので,海外留学を経験させることが必要である。できれば,高校卒業程度で海外留学<br />
ができるとよい。また,奨学金制度の拡充なども考えられるであろう。<br />
・技術レベル向上の観点からは,最新技術の導入も必要である。これらを実現するために<br />
は,日本での短期講習なども受けたい。<br />
・鉱区を管理するための技術(衛星画像を含む),<br />
・GIS 関連技術で鉱区と水力発電との重複などをチェックする機能などが求められる。<br />
・鉱山評価・F/S 評価できる能力や労働衛生管理能力が必要とされる。<br />
・どうしてもラオス政府の人材だけでは限界があるので,トレーニングセンターの設置(職<br />
員だけでなく、民間も利用できるような)なども選択肢となる。<br />
(地質局 DGEO では)<br />
・また地質局 DGEO では、下記を要望している。<br />
-JICA のマスタープランでは,2 地区の 1/20 万地質図を作成したが,同じ内容では,申<br />
請されても却下されてしまう。しかし,そのような調査の中で DGEO 職員の OJT にもな<br />
る。DGEO からの要望としては,地質データのデータベース化と分析機器の充実を図りた<br />
- 280 -
いのとそれらを使いこなせる人材育成を行いたい。<br />
-DGEO は能力開発に力点を置いた第 2 次地質図作成プロジェクト(注:第 1 次は JICA<br />
「ラオス国鉱業分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備計画調査」2006-2008 年と<br />
して、実施:三菱マテリアルテクノ・国際航業が実施)を要望している。<br />
・下記学校への支援の際に行政側のこうしたニーズに対してもこたえていく体制が必要と<br />
なるであろう。ことに将来的に、DOM が言っているようなトレーニングセンターの設置<br />
(職員だけでなく民間も利用できるような)への協力も面白いのではないかと考えられる。<br />
もっともこのセンター構想については、すでに進出している外資系の鉱業企業の活躍に期<br />
待するところが大きいだろう。<br />
(教育の面で)<br />
・社会の鉱山に対する関心の高まりから、資源地質関係の学校への生徒殺到、その関係の<br />
学科新設の方向などが顕著であるが、教師や、施設機材は不足している。<br />
・従来からこの分野での教育を担当してきた「ポリテクニック・カレッジ」(以下「ポリテ<br />
クニック」)では、調査探査コース、鉱山・鉱物処理コースが高校卒業生に 2 年教育で Diploma<br />
を出し、2003 年からは、プラス 1.5 年で、High Diploma を出す教育をしてきており、さ<br />
らにプラス 2 年で Bachelor を出すコースも 2009 年から始まっている。この学校自体は、<br />
ワーカーレベルの人材の供給源。DGEO や DOM の職員の多くもここの卒業生で、入省後<br />
にソ連東欧に留学して学位を取ったケースが多く、現在でもデータや古い機材を与えたり、<br />
その充実に政府当局としても協力している様子。このポリテクニックの在学生は 2700 人だ<br />
が、その中で 1000 人が地質鉱山コースにいるという。ことに 2009 年入学生は、40 人クラ<br />
スで 10 クラスあって、400 人の多数を擁しているとのことである。その一方で教員の能力<br />
や施設が不足している。<br />
・一方でラオスの最高学府である国立ラオス大学工学部(NUOL)での動きがある。土木<br />
工学科の中に、3 コースあって、土木、環境、鉱山コースがある。鉱山コースは 2 年前に<br />
設置し、現在 1・2 学年とも 130 人が在学。13 人の教授陣を擁しているが、そのうち 4 人<br />
は JICA の提唱で始まった AUN/SEED-net 機構を活用して海外留学(インドネシア 3、マ レ<br />
ーシア 1)中で今年帰国する。教官のリストも入手したが、資源工学が中心で、地質は兼<br />
務で学科長 1 名という状況で、地質分野の教授陣強化が不可欠のように考えられる。<br />
・両学校ともその拡充に熱心で、日本の支援への期待感が高い。有効な支援策の在り方に<br />
ついて、さらに検討が必要。どちらの学校または政府当局を支援する場合にも、他校や政<br />
府当局も利用可能な形で、制度設計することが必要。<br />
・こういう背景から「資源・地質人材育成支援」を、日本の資源外交の一環として、この<br />
国に、実施していくことが有効かつ必要。<br />
6.2.2 ラオスへの支援の在り方<br />
以上紹介したように、先方が要望しているのは、<br />
・ラオスでは近年急速に外資系企業による探鉱が進み、鉱山開発が進んだ結果、鉱産物の<br />
輸出に占める割合が 50%以上を占め、鉱業企業の先行きが明るくまた給与水準が高いとい<br />
- 281 -
うことから、社会の鉱山に対する関心が高まっている。<br />
・鉱山の行政組織は、かつて工業手工芸省 MOIH(Ministry of Industry and Handicrafts)の中<br />
に、地質鉱山局 DGM が所属していたが、2006 年に、改組され、エネルギー鉱山省 MEM<br />
が出来、その中に、鉱山局 DOM と地質局 DGEO が置かれる体制に強化された。<br />
(鉱山局では)<br />
・ラオスの探鉱中の鉱区は 150。まだまだポテンシャルは高い。鉱種としては、銅、ボー<br />
キサイト、鉄鉱石、錫、石炭など。<br />
・また鉱業が発達しつつある同国で、鉱山による環境インパクトの評価、鉱山の後処理等<br />
について、経験が浅く、こうした分野について行政人材の育成支援について、ラオス側の<br />
意向が示された。とくに休廃止鉱山の管理などに興味があるとの発言があった。<br />
・このほか鉱山局行政側から期待があった点は、下記であり盛りだくさんである。<br />
-鉱山局 DOM 職員のレベルアップを行いたいと思っている。今まで海外留学制度がなか<br />
ったので,海外留学を経験させることが必要である。できれば,高校卒業程度で海外留学<br />
ができるとよい。また,奨学金制度の拡充なども考えられるであろう。<br />
-技術レベル向上の観点からは,最新技術の導入も必要である。これらを実現するために<br />
は,日本での短期講習なども受けたい。<br />
-鉱区を管理するための技術(衛星画像を含む),<br />
-GIS 関連技術で鉱区と水力発電との重複などをチェックする機能などが求められる。<br />
-鉱山評価・F/S 評価できる能力や労働衛生管理能力が必要とされる。<br />
-どうしてもラオス政府の人材だけでは限界があるので,トレーニングセンターの設置(職<br />
員だけでなく、民間も利用できるような)なども選択肢となる。<br />
(DGEO では)<br />
また地質局 DGEO では、下記を要望している。<br />
-JICA のマスタープランでは,2 地区の 1/20 万地質図を作成したが,同じ内容では,申<br />
請されても却下されてしまう。しかし,そのような調査の中で DGEO 職員の OJT にもな<br />
る。DGEO からの要望としては,地質データのデータベース化と分析機器の充実を図りた<br />
いのとそれらを使いこなせる人材育成を行いたい。<br />
-DGEO は能力開発に力点を置いた第 2 次地質図作成プロジェクト(注:第 1 次は JICA<br />
「ラオス国鉱業分野投資促進のための地質・鉱物資源情報整備計画調査」2006-2008 年と<br />
して、実施:三菱マテリアルテクノ・国際航業)を要望している。<br />
・下記の学校教育への支援の際に、行政側(DOM、DGEO)のこうしたニーズに対しても<br />
応えていく体制が必要となるであろう。ことに将来的に、DOM が言っているようなトレ<br />
ーニングセンターの設置(職員だけでなく、民間も利用できるような)への協力も面白い<br />
のではないかと考えられる。<br />
(教育機関について)<br />
・社会の鉱山に対する関心の高まりから、資源地質関係の学校への生徒殺到、その関係の<br />
学科新設の方向などが顕著であるが、教師や、施設機材は不足している。<br />
・従来ラオスでの資源地質分野の教育の実情は知られておらず、ほとんどないという認識<br />
がであったが、今回調査で明らかになったことは、従来から、ポリテクニック・カレッジ<br />
- 282 -
(PCT と略す:以前の名称はラオスロシア友好ポリテクニック学校)で、調査探査コース、<br />
鉱山・鉱物加工コースが高校卒業生に 2 年教育で Diploma を出し、2003 年からは、プラス<br />
1.5 年で、High Diploma を出す教育をしてきており、さらにプラス 2 年で Bachelor を出す<br />
コースも 2009 年から始まっている。この学校自体は、ワーカーレベルの人材の供給源。<br />
DGEO や DOM の職員の多くもかつてこの卒業生で、入省後にソ連東欧に留学して学位を<br />
取ったケースが多く、現在でもデータや古い機材を与えたり協力しており、その充実に政<br />
府当局としても心情的に肩入れしている様子。<br />
・この PCT の在学生は 2700 人だが、その中で 1000 人が地質鉱山コースにいるということ<br />
に驚かされた。ことに 2009 年入学生は、40 人クラスで 10 クラスあって、400 人の多数を<br />
擁しているとのこと。<br />
・次にラオスの最高学府である国立ラオス大学工学部での動きがある。土木工学科の中に、<br />
3 コースあって、土木、環境、鉱山コースがある。鉱山コースは 2 年前に設置し、現在 1・<br />
2 学年とも 130 人が在学。13 人の教授陣を擁しているが、そのうち 4 人は AUN/SEED-net<br />
機構を活用して海外留学(インドネシア 3、マレーシア 1)中で今年帰国する。そのリスト<br />
も入手したが、資源工学が中心で、地質は兼務で学科長 1 名という状況で、地質分野の教<br />
授陣強化が不可欠のように思えた。<br />
・このことを話してみると、日本からの支援は大歓迎。過去において同大学では、IT 分野<br />
の支援と鉱山学部創設支援の 2 件を JICA プロジェクトとして提案したが、1 件に絞るとい<br />
う中で、資源は落ちた経緯がある。IT 支援プロジェクトは 2013 年修了なので、この終了<br />
を待たず鉱山地質分野への支援プロジェクトを期待したい。とのこと。<br />
・中国の積極策(民間優良2鉱山の買収と親会社への資本参加、DGEO との鉱物調査分析<br />
センターの共同事業**次項にまとめて紹介)を考えるとき、同じ手法が資金等の面で使え<br />
ないと思料される。<br />
・上記のように学校教育における資源・地質教育に学生が殺到して、両学校側もその拡充<br />
に熱心な状況であり、日本からの支援への期待感も高い。今後の有効な支援策の在り方に<br />
ついて、さらに検討が必要である。どちらの学校または政府当局を支援する場合にも、他<br />
校や政府当局も利用可能な形で制度設計することが必要であろう。<br />
・こういう背景から「資源・地質人材育成支援」を、日本の資源外交の一環として、この<br />
国に、実施していくことが有効かつ必要。<br />
6.2.3 ラオスへの支援策のオプション<br />
・当面の目標を、「ラオス国立大学 NUOL 工学部資源工学科設立支援」JICA 技術協力プロ<br />
ジェクトの立ち上げに置く。これは、同大学で 13 名の教官(うち 4 名は留学中)を擁して<br />
2 学年生(各 130 人)を、土木工学科の中のコースとして発足させているが、2013 頃から<br />
の学科としての独立に向けた支援。<br />
・具体的には、資源 Mining に偏った教官配置となっており、地質学(特に鉱床地質学岩石・<br />
鉱物学等)の面からの教官を日本から専門家(大学教官・地質鉱山コンサルタント企業・<br />
鉱山企業から選抜:現役と OB を含む)派遣する。教官及び同予備軍やあわせて学生にも<br />
講義して地質学を授ける。<br />
・教える内容の中には、実際にフィールドに出て、地質図を作るような演習も行う。<br />
- 283 -
・CP の日本での研修も関係大学や、地質鉱山コンサルタント企業で行う。<br />
・地質学の履修や研究に必要な機材を供与する。<br />
・一番早ければ 2012 年(または 2013 年)から 5 年計画で実施。<br />
・このプロジェクトと立ち上げ推進にもつながるので、まず 2011 年頃から、JICA 個別長<br />
期専門家派遣を行う。この長期専門家は技術協力プロジェクト開始後にも延長してその要<br />
員(リーダーまたはそれに準ずる立場)となる。<br />
・なお従来ラオスにおいて、長年鉱山地質人材を輩出してきたポリテクニック・カレッジ<br />
の教官(一部の優秀な学生も)や政府の地質局 DGEO、鉱山局 DOM も要員に対しても、<br />
講義等希望があれば聴講参加を認めるスキームが必要。<br />
・上記スキームの確立は重要。従来鉱山地質分野を支えてきた DGEO、DOM では、人脈も<br />
面でもポリテクニックを応援したいとの気持ちが強く、ラオス国立大学 NUOL 何するもの<br />
ぞという感じであるが、中長期的にみれば、いずれ官であれ民間であれ、指導的立場に就<br />
職するのは、やはり同国の最高学府 NUOL 卒業生となるのであろう。このため鉱山・地質<br />
セクター全体に対する教育機能をこの「ラオス国立大学 NUOL 工学部資源工学科設立支援」<br />
JICA 技術協力プロジェクトは有するべきであり、そのような基盤環境醸成にも個別専門家<br />
は活動してもらう必要がある。この点は重要。なお機器設備を NUOL におけば、ポリテク<br />
ニックとは近い距離(同じ Sokpaluang 地区)であり、ポリテクニックの授業でも利用する<br />
ことは可能。<br />
・なお中国の鉱物調査・分析センターの内容はまだ不明であるが、大学における教育・研<br />
究機能の面で、最小限の分析機材・機器は必要不可欠である。<br />
・JICA 予算が厳しいことは理解できるが、鉱物のアジアの宝庫ともいえるラオスにおいて、<br />
日本からの知的貢献を設備の面でも、支える投入が不可欠。<br />
・また行政側(鉱山局 DOM)のニーズにあるように、休廃止鉱山対策や、鉱山の環境イ<br />
ンパクトの評価についての専門家(長期 and/or 短期)もこのプロジェクトにパッケージし<br />
ていくことが重要。<br />
・なお中長期的には、DOM が言っているようなトレーニングセンターの設置(職員だけ<br />
でなく、民間も利用できるような)への協力も面白いのではないかと考えられ、その機能・<br />
内容・サービス等について、検討を相互に深めていくことが、今後の別の課題である。も<br />
っともこのセンター構想については、すでに進出している外資系の鉱業企業の活躍に期待<br />
するところが大きいだろう。<br />
6.2.4 支援の具体的イメージ<br />
上述したラオス国立大学への支援を、もう少し付言展開すると、<br />
■JICA 技術協力プロジェクトとして立ち上げを目指す内容<br />
以下に記す①・②・③のアイデアを複合したプログラムを JICA 技術協力プロジェクト<br />
としての立ち上げを目指す。本プロジェクトの概念図を添付図に示す。<br />
① OJT<br />
・ 地質技術者の育成には,現場での調査経験が必要であり,日本企業が当該国に進<br />
- 284 -
出する場合にも,現地技術者の育成が急務である。野外地質調査能力は,優秀で<br />
経験のある地質技術者と帯同して,調査を行うことが最も重要である。<br />
・ JICA からの技術協力プロジェクトの業務委託契約等により,総括的な委託先とし<br />
て,JOGMEC・資源素材学会・資源地質学会等を想定する。その後,細分化され<br />
たコースを日本の資源系企業が受注する形式を想定する。<br />
・ 探査部門の研修では,調査地域の地質調査を日本の民間技術者とともに現地技術者<br />
(学生を含む)が共同して行い,地質・鉱床調査を行い,ルートマップの作成・地化<br />
学探査及び解析手法についての技術移転を行う。(場合によっては,衛星画像解析<br />
も含まれる)<br />
・ 最終的には,地質図・鉱床図等(数 km×数 km~20km×20km 程度)の作成を行う。<br />
・ 採鉱・選鉱・製錬・鉱山の環境インパクト評価・休廃止鉱山対策部門は,日本・当<br />
該国での鉱山研修により,OJT を行う。<br />
・ 対象者は,当該国の政府職員・民間技術者及び大学・大学院生。地質学科が当該国<br />
になければ,地理学や土木工学で地質学関連の基礎がある学生でも可。<br />
② 基礎教育<br />
・ 地質技術者の基礎的な探査・採鉱・選鉱・製錬・鉱山の環境インパクト評価・休<br />
廃止鉱山対策部門等の資源工学に関する技術レベルの向上を目指して,当該国で<br />
の研修(座学)を行う。(海外資源塾のような形式を想定)。<br />
・ JICA からの技術協力プロジェクトの業務委託契約等により,総括的な委託先とし<br />
て,JOGMEC・資源素材学会・資源地質学会等を想定する。その後,細分化され<br />
たコースを日本の資源系企業・大学等が受注する形式を想定する。<br />
③ JICA 長期・短期専門家によるフォローアップ<br />
・ 研修後に生じる実行上の問題は,JICA 長期・短期専門家により,フォローアップを<br />
行う。<br />
■ポイント<br />
・ OJT と基礎教育を同時期に関連させて実施することにより,習得した基礎知識を実際<br />
の現場作業に生かして,習得技術を当該国で現地適用が可能な人材を育成することは<br />
非常に教育的効果があると考える。<br />
・ 実際には,研修後に様々な疑問やさらに知識や経験を掘り下げたい場合も多々出てく<br />
ることが予想される。これらの問題は,JICA 長期専門家により,フォローアップを行<br />
うことで一時的な知識・経験の習得にのみならず,中長期的に研修の効果の定着が図<br />
れる。<br />
■参考 JICA 技術協力プロジェクトとしての立ち上げを図るために<br />
①技術協力プロジェクトの方式とは?<br />
技術協力プロジェクトは,JICA の専門家の派遣・研修の受入/実施・機材の供与という<br />
3 つの協力手段(協力ツール)を組み合わせ,一つのプロジェクトとして一定の期間に実施さ<br />
れる事業である。<br />
① 技術協力プロジェクトにおける人材育成<br />
- 285 -
国際協力機構国際協力総合研修所(2005)によれば,JICA がこれまで途上国を対<br />
象に実施してきた技術協力プロジェクト計 961 件のうち,「人材育成型」のプロジ<br />
ェクトは,278 件であり,全体の約 3 割を占める。産業人材育成という観点から<br />
は,ASEAN 諸国では,インドネシア 1 件,タイ 2 件,フィリピン 2 件,ベトナ<br />
ム 4 件,マレーシア 2 件,ラオス 1 件の合計 12 件であり,分野としては,人的資<br />
源分野 7 件,通信放送分野が 4 件,社会基盤分野が 1 件となっている。この中に<br />
は,タイのタマサート大学工学部拡充計画やラオス国立大学工学部情報化対応人<br />
材育成機能強化なども含まれており,大学等の学部拡充などのプロジェクトも含<br />
まれる。<br />
② 鉱業人材育成プロジェクトを立ち上げる際のポイント<br />
・ 今回提案したプロジェクトのアイデアでは,OJT(調査能力の向上・野外実習)を最<br />
重要視する。つまり即戦力としての教育内容を施す。この点が,鉱業マスタープラ<br />
ンと差別化を図る大きなポイントである。<br />
・ 地質学その他専門の基礎知識の不足は,講義形式の研修を事前に行うことにより,<br />
知識の補強を事前に行う。<br />
・ 業務委託のメリットとして,OJT による教育研修時に現地調査を行い,地質・鉱床<br />
データの取得ができるメリットがある。<br />
・ 政府の鉱業関連職員を研修目的で日本へ招聘し,日本の鉱山現場(石灰石等)を見<br />
学させることによって,日本における最新の環境保全のための操業・技術をアピー<br />
ルできるメリットがある。(資源権益取得の際に,日本企業が中国企業との環境に<br />
対する技術的差別化を図るために重要)<br />
・ また行政側(鉱山局 DOM)のニーズにあるように、休廃止鉱山対策や、鉱山の環<br />
境インパクトの評価についても専門家(長期 and/or 短期)もこのプロジェクトにパ<br />
ッケージしていく。<br />
- 286 -
6.3 カンボジアへの支援の在り方<br />
6.3.1 カンボジア要望<br />
カンボジアの有望鉱種としては、現地関係者は、以下をあげていた:金と金を伴うベー<br />
スメタル、ボーキサイト、鉄鉱石。<br />
人材育成・鉱業活動促進につき、「人材の現状」、「不足する技術スキル」、「人材育成」、<br />
「教育システム」と「外国・日本に期待したいこと」は下記のとおりである。鉱物資源総<br />
局 GDMR での会議の発言(「」で標記)とアンケート回答を以下いくつかの事項に整理し<br />
て紹介する。<br />
-人材の現状<br />
・「人材育成の重要性は認識している。鉱物資源総局には,4 つの局がある。地質局・鉱物<br />
資源局・鉱物資源開発局・建設材料資源局である。総局では,現在 102 名の人員を抱えて<br />
いる。博士号取得者は 1 名,修士号取得者は 6 人,学士 26 名,中等教育卒が 24 名,その<br />
ほか 42 名が学士(大卒)で総務・経理等を行っている。」<br />
・「鉱物資源総局では,250 名ほどの人員が必要と考えている。現在は,1 人で 2 人分の仕<br />
事を行わざるを得ない状況である。鉱区は,100 地区程度あり,民間企業が 60 社ほど参<br />
入している。<br />
-不足する技術スキル<br />
・「フィールドワークができる人材がいないので,人材の不足が顕著となる。」<br />
・地質学、鉱物探査、実験・鉱物ラボラトリ、鉱山工学、鉱物ビジネス、実地調査、法律<br />
・赤土ラテライト、GIS、GPS、商売のノウハウ、開かれた現場<br />
・どのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すればよいか?<br />
-期間を決めて、頻繁に補修研修を行う<br />
-トレーニングコース、第三国でのトレーニングコース<br />
-より多くのトレーニングを与え、フィールドでの仕事の機会を持たせる<br />
-専門技術の人材育成、鉱業の現場での OJT<br />
-大学の鉱物学部を再開すべき<br />
-補完研修<br />
・石油、石油化学工学、環境工学は新分野。カンボジアはこの分野での人材が必要。<br />
・鉱山探査は政府が優先アクションプランに記載している天然資源である。<br />
・石油と石油化学は我々にとって新分野。カンボジアがこの資源から利益を上げることに<br />
なる時期に、これらの技術をもった人材が十分にはいない。<br />
-人材育成について<br />
・「人材育成分野では,現職員は短期(1 か月~3 か月)研修などでの人材育成が必要である<br />
と考えている。」<br />
・「専門の大学がないので,知識を持っているベテラン職員から学ぶようになるが,ベテラ<br />
ン職員も忙しいので人材育成に割ける時間も限られる。高卒程度の年代から人材を集めて<br />
- 287 -
技術者を養成することも必要と考えている。」<br />
・「人材育成には,2 種類あると考える。一つは,現職員を短期研修に派遣する形のもの,<br />
もう一つは,高卒程度の年代の人材を大学教育により育成する形がある。しかしながら,<br />
短期研修は,現職がその仕事から外れるので,困難さを伴う。」<br />
・「短期研修は,言葉の問題もあり,教育的効果が難しいこともある。さらに若年層の教育<br />
には,英語教育と専門教育がなされる必要があると感じている。政府としても,様々な留<br />
学生制度などにもアクセスしている。」<br />
・人材育成/教育の実際のコースには、採石と露天掘り技術、GIS とマッピング、鉱物調<br />
査、環境保護、行政等がある。<br />
・OJT としては、下記がある。<br />
-企業の監督派遣、企業が派遣された職員の教育を行い、職員は新しい知識を得ることが<br />
できる。<br />
-マッピングと鉱物分析についておこなわれている。鉱業企業の探査や調査に参加するこ<br />
とは良い OJT である。<br />
-企業の協力により職員の研究や修学につなげている。<br />
-全国の建設資材(採石)現場、建設用砂採取現場、建設用の土と赤土<br />
-経験のある人と一緒に現場で<br />
・「鉱物資源総局では,人材の育成には数年かかることを考えると,今後徐々に経験のある<br />
職員が退職してしまってくるので,OJT すらできない状況が懸念される。」<br />
・「(OJT は,どのくらい行っているのか?)1 つの会社に 2 人入れて半月ごとに交代して<br />
いる。また,全国を 4 つに分けて 1 地区を 10 人で対応している。このことにより,探査・<br />
採掘の技術を学んでいるという状況であり,それにより技術者のレベルアップを図ってい<br />
る。」<br />
・「カンボジア工科大学では,Rural Engineering 学科がある。これは,工科大学(5 年制)<br />
の最後の 2 年間(4 年生・5 年生)で,水資源コースと鉱物資源コースがある。ここでは,地<br />
質学や地質学に関する工学的な教育を行っているが,地質学に関する基礎知識がないので,<br />
OJT は必要と感じている。」この部分で,学生教育を含めた日本政府の援助があればあり<br />
がたいと思う。鉱物資源総局では,技術者の絶対数が足りないので,学生の就職先として<br />
考えることができる。鉱物資源総局で採用して,OJT で教育していきたい。」<br />
-教育システム<br />
・「カンボジア工科大学では,Rural Engineering 学科がある。これは,工科大学(5 年制)<br />
の最後の 2 年間(4 年生・5 年生)で,水資源コースと鉱物資源コースがある。」<br />
・資源工学(鉱山工学)はカンボジア工科大学 ITC にずいぶん昔に創設された。しかし雇<br />
用機会が無かったことから、ITC はこの分野を、地域開発工学科の中に吸収し、現在オプ<br />
ション(選択コース)の「ジオテクニカル」となっている。<br />
・ITC は資源工学の人材を有しているが、経験が不足し、実験設備や図書が不足し、この<br />
ために不十分なスキルとなっている。<br />
・今十分でないことについて;<br />
・研修やコース開設がなければ、将来の鉱物分野を引き継ぐ人材が育たない。将来、この<br />
- 288 -
分野の主導権を外国が握ることになる。<br />
・われわれが欲するスピードで、大学に地質学部を再度開設することが、不可能ならば、<br />
職業訓練センターがベスト・チョイスかもしれない。<br />
・地質鉱山大学を創設する。また鉱物に関する短期コースのスカラシップを海外に要請す<br />
る。<br />
・この問題については、政府に大学でのコースを開くよう要請をしている。現職の職員が<br />
定年等で去ったときの次の世代の要請のために必要。<br />
・国外での人材育成を要請したい。また国内での人材育成も良いと思う。<br />
・大学や教育施設は、鉱物調査や開発にとって必須です。大学や教育機関の設置は政府の<br />
任務であると思う。<br />
(教育省などへの働き掛けはしているのか?)<br />
・「豪州政府・韓国政府には働き掛けをしている。しかし,鉱業は,実際に山に分け入るよ<br />
うな野外での作業が多く,希望する学生も少ない。さらにそのような仕事にお金を払って<br />
まで従事しようと思う学生が少ないのが現状である。プノンペンのような都会で育った人<br />
間が,野外での仕事に従事しようとすることは少なく,地方在住の若者のモチベーション<br />
を生かすようになるのではないか?地質関連の学科へは,奨学金によって入学する学生も<br />
多い。」<br />
-外国に期待すること<br />
鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
・何度も話を上げたが、韓国が人材育成に関する MOU をようやくサインしたばかり。<br />
・過去においてなされた。<br />
・実績はベトナム、日本、豪州。<br />
・総局から、これまでに何度か、人材育成について要請を行ってきた。<br />
・鉱物活動促進のために、これまでにも他国に要請をしてきた。<br />
・特別なトレーニング、修士号(post graduated)トレーニング、設備と機械装置、技術<br />
指導(technical assistance)<br />
・鉱山管理<br />
・鉱物分野の活動活性化のための外国からの支援が必要である。<br />
・外国からの支援、とくに投資を必要としています。とくに資金不足と専門家の不足によ<br />
り、この分野の開発が滞っています。<br />
-日本に期待すること<br />
・「日本政府には,カンボジアでの短期(1 か月程度)研修コースの拡充や,平日にフィール<br />
ド調査を行い,週末には,自宅に戻るというようなシステムの構築をお願いしたい。」<br />
・「技術面で新しいテクノロジーに関しての支援が必要である。リモートセンシングの技<br />
術者は現在 3 名いる。JICA では,リモートセンシングに関するサテライト講座は始まる。<br />
研修は,短期研修という形がよいと思う。対象者としては,政府職員を考えているが,短<br />
期研修のほかに長期的な視野に立った人材育成も必要となろう。」<br />
・「ITC では,地質学や地質学に関する工学的な教育を行っているが,地質学に関する基<br />
- 289 -
礎知識がないので,OJT は必要と感じている。この部分で,学生教育を含めた日本政府の<br />
援助があればありがたいと思う。鉱物資源総局では,技術者の絶対数が足りないので,学<br />
生の就職先として考えることができる。鉱物資源総局で採用して,OJT で教育していきた<br />
い。」<br />
・「日本政府による人材育成プロジェクトを是非実現させてほしい。実現するのであれば、<br />
鉱工業・エネルギー大臣やカンボジア工科大学と連携して雇用等を含めた体制作りを進め<br />
たい。人材不足が懸念される数年後を見通した教育を含め,日本政府の援助をお願いした<br />
い。」<br />
・日本がこの分野に対して協力をしてくれることを期待する。<br />
・日本の支援を歓迎&大いに期待。<br />
・日本政府が JICA 等を通じて鉱物分野の人材育成をしてくれることを期待している。<br />
・専門家、技術指導<br />
・日本からの技術援助を歓迎します。<br />
・26-2 に書いたとおり日本からの支援が必要です。<br />
6.3.2 カンボジアへの支援の在り方<br />
以上紹介したように、先方が要望しているのは、<br />
・カンボジアでは金属鉱業がまだ成立していない。そういう中でもラオスに代表される新<br />
規鉱業開発の成果が大きいということで探査活動が盛んになりつつある。<br />
・GDMR の地質局(DoG)には、顕微鏡なども、他の国際機関で使用した古い機器を個人<br />
的に譲ってもらったものがある程度であり、分析・調査機器の充実につき要望あった。<br />
・GDMR の職員の技術のレベルアップは、基本的に、OJT で企業探鉱や行政の調査監督<br />
に、同行等する中で、若いころに旧ソビエト等東側大学や、その協力でカンボジア国内に<br />
あった学校(現在は同様の形では無い。)等で地質鉱山学等を学んだ先輩職員から若手職員<br />
に移転させることをねらいとしている。年配職員の退職などを考えると、数年先を見越し<br />
た手を打つ必要があると切迫した危機感を持っている。<br />
・ITC(カンボジア工科大学)は、昔は地質資源学部あったが、卒業生が働くところがな<br />
いなどで90年代に消滅し、その後は Rural Engineering 学部の4・5年次(同国でもベ<br />
トナムと同様大学は5年制)に選択コースとして Geotechnical を設置。地質を含む資源工<br />
学を教えており、卒業生は建設会社。セメント会社などへ行っている。ここでも分析・調<br />
査機器は非力。岩石力学関係の試験装置はあった。<br />
・同大学の Geotechnical の学生4人が、AUN/SEED-Net プログラムで日本で留学中(博<br />
士コース:北大2、京大1、九大1)。同プログラムは当初 JICA が提案したもの(大使館<br />
も JICA も紹介しておいたが、このスキームで日本へ留学生行っていることはご存じなか<br />
った。)。同プログラムの有効性が現実的に証明されているように感じられた。日本国内で<br />
協力している大学には、今後カンボジアに限らずインドシナ鉱業支援に活躍いただける可<br />
能性があると期待される。<br />
- 290 -
・鉱物分析センターは、ラオスでは中国企業が支援して建設中(4億円:このほかに地質<br />
探査にも 20 億円かけるプロジェクト。中国の鉱業権益期待の先行投資といえよう。:ただ<br />
し政府機関や大学には無いので別途日本の支援は検討されるべきであるが。)ということだ<br />
が、この国ではまだない。これを GDMR に設置して、ITC 学生育成にも使用させる支援<br />
プロジェクトが考えられる(あるいは設置場所を ITC とする場合は、GDMR 職員も使用<br />
できるようにする。どちらがフィージブルかは、今後の更なる検討に委ねざるを得ない。)。<br />
・単に鉱物分析だけでなく、地質のフィールドを歩いて、地質図をかける能力を身につけ<br />
させる勉強(これに対応する専門家と機材)も必要。<br />
・資源国としては鉱山生産が始まっておらず、青田買いとなってしまうが、このような鉱<br />
物分析+地質図能力を育成支援する JICA 技術協力プロジェクトやそれに準ずる専門家派<br />
遣などが、検討される必要がある。<br />
・すでに鉱物資源分野では、2009 年夏から、JICA 専門家が、同国に派遣されており、今<br />
後のプロジェクト立ち上げにも有機的に活動してもらうことが考えられる。<br />
・また、GDMR そのものへの機能強化等の支援の面では、JICA「カンボジア国鉱業振興マ<br />
スタープラン調査」(2008-10 年度)を受託して、調査や支援を実施中の実施者の三井金属<br />
資源開発株式会社の調査完成が待たれるところである。この調査とも連携を取りながら、<br />
カンボジア国全体での、鉱業(資源)地質の面でのレベルアップと行政能力・サービスの<br />
向上が必要である。<br />
・カンボジアの鉱業関係の人材育成支援については、鉱物資源総局 GDMR の Sok Leng<br />
総局長はこういう発言をしていた。(前節の再掲)<br />
「専門の大学がないので,知識を持っているベテラン職員から学ぶようになるが,ベテラ<br />
ン職員も忙しいので人材育成に割ける時間も限られる。高卒程度の年代から人材を集めて<br />
技術者を養成することも必要と考えている。」<br />
「人材育成には,2 種類あると考える。一つは,現職員を短期研修に派遣する形のもの,<br />
もう一つは,高卒程度の年代の人材を大学教育により育成する形がある。しかしながら,<br />
短期研修は,現職がその仕事から外れるので,困難さを伴う。」<br />
「短期研修は,言葉の問題もあり,教育的効果が難しいこともある。さらに若年層の教育<br />
には,英語教育と専門教育がなされる必要があると感じている。政府としても,様々な留<br />
学生制度などにもアクセスしている。」<br />
「鉱物資源総局では,人材の育成には数年かかることを考えると,今後徐々に経験のある<br />
職員が退職してしまってくるので,OJT すらできない状況が懸念される。」<br />
「日本政府には,カンボジアでの短期(1 か月程度)研修コースの拡充や,平日にフィールド<br />
調査を行い,週末には,自宅に戻るというようなシステムの構築をお願いしたい。」<br />
「日本政府による人材育成プロジェクトを是非実現させてほしい。実現するのであ<br />
れば,鉱工業・エネルギー大臣やカンボジア工科大学と連携して雇用等を含めた体制作り<br />
を進めたい。<br />
人材不足が懸念される数年後を見通した教育を含め,日本政府の援助をお願いしたい。」<br />
- 291 -
6.4 全体として<br />
今回の 3 カ国の調査は短期間に多岐にわたる分野で調査を行った。現状調査に基づく人<br />
材育成の方向性という観点で、「<strong>インドシナ地域の</strong>鉱業人材の育成支援策」について、順不<br />
同であるが、下記にいくつかの要素に分けて複数の方向性として整理したものを提言する。<br />
1.国別アプローチの必要性<br />
インドシナ 3 カ国はそれぞれ、鉱業の発達度合い、鉱業関係の教育システムは、それぞ<br />
れ異なる。このため、その国にあった支援の仕方を考案し、その具体策を先方と協議しつ<br />
つ、効果的に進めることが必要である。<br />
2.技術協力主体にメリットが必要<br />
国の法制度や監督制度など一部の官の部分を除けば、技術・学識やそれを担う人材はほ<br />
とんどが、日本の民間企業や大学や公的研究機関に存在するわけであり、いろいろな形で<br />
技術協力をすることが、その企業あるいは大学等にとって、短期では困難であるとしても、<br />
中長期的に、メリットを招来するということが、技術協力事業への参加に不可欠である。<br />
何らかのメリット(例)<br />
■企業であれば:<br />
・探鉱や開発投資や稼行中鉱山への投資など様々な鉱業投資への地ならし<br />
・人脈の形成・維持・発展<br />
・権益取得のきっかけまたは促進等<br />
・シルバー人材の活躍の場<br />
・関係事業に従事することによる社内におけるベテランから若手への技術移転<br />
■大学であれば:<br />
・人的交流の増大による知識学術の向上<br />
・海外現地フィールド把握への学術的関心<br />
・海外拠点とのネットワーク形成による大学の能力の向上<br />
・日本人学生の研修先としての関係開拓等)<br />
鉱業政策当局は、この点に配慮した対策や政策立案が望まれる。要すれば、この技術協<br />
力に参加すればこういうメリットがありますよと、シナリオを語れることが必須である。<br />
3.HSE 面での協力の重要性<br />
ただし、各国とも共通に、日本のような環境・安全・衛生重視(HSE:Health, Safety and<br />
Environment)型の鉱業関連産業(上流-鉱山・選鉱場、中流-製錬、下流-金属精製・加<br />
工等)のオペレーションの経験から学びたいということがある。<br />
(ただし衛生面は、METI 所管以外の事項であるが、会社操業上は、重要な事項)<br />
- 292 -
4.HSE 専門技術研修の重要性<br />
また将来的には、HSE に絞ったその中のラインアイテム(鉱山操業の環境対策、休廃止<br />
鉱山対策、鉱山地域の環境復旧、製錬所の環境対策、坑内採掘の保安対策、石灰石露天採<br />
掘の安全効率操業技術等)の研修を、JICA 等の枠組みで、設営していくことも有効であろ<br />
う。これは日本で実施するコース。<br />
5.専門研修の出前サービスの有効性<br />
炭鉱技術に関する釧路コールマインでの現場を利用した坑内採掘の保安技術等の集団<br />
研修が、NEDO-JCOAL の枠組みで重視されており、今回訪れた参加国ベトナム側の評価が大<br />
変高い。が、金属鉱山においては、ほとんど日本国内で現場が無く(金鉱山の菱刈鉱山)、<br />
その規模等の面で、大規模集団研修の現場が無いという問題がある。<br />
こういう HSE 関連のテーマの場合あるいは、それ以外でも、相手国へ出向いての、「専<br />
門研修の出前サービス」が、研修を受ける側の参加の容易さ、費用の低廉さ等から、より<br />
有効であろう。当該国に現場がない場合は、第三国の現場を用いて研修を行うマネージメ<br />
ントも必要となる。<br />
またこの出前サービスは、HSE に限らず、「地質調査能力の向上」等中心を構成する技術<br />
についても有効である。<br />
もっとも休廃止鉱山対策は日本で現場が多くあるので日本での実施が有効である。<br />
国内企業アンケートの中でも、下記があった。<br />
-まずはラオスが要望しているように日本からの技術者を派遣し、講義中心(場合によっ<br />
ては巡検程度の実地訓練)を行うことが必要と考えます。<br />
6.JICA 集団研修の効率的活用<br />
JICA 集団研修「資源開発グループ研修」(Sustainable Mining Course)(財)国際資源<br />
大学校(MINETEC)は、開発途上資源保有国の若手政府職員に対し、「環境に配慮した効率<br />
的資源開発・利用」について研修を行い、経済発展の基盤たる資源開発に関する政策立案<br />
とその遂行能力の向上を図り、併せて我が国の資源の安定的確保に資することを目的とし<br />
ており、上記 HSE 型操業の技術移転の一つの形態としてこれからも有効である。<br />
実施期間につき、もう少し短期の 1 カ月程度のコースと、現在のように 2 ヶ月半程度のコ<br />
ースと、2 本立てとすることが、政府関係者の参加をより、促進する可能性がある。<br />
7.レアアース協力における日本企業の支援体制確立<br />
ベトナム側で要望の強かったハイテク分野としてのレアアースへの協力をどのように<br />
進めるかは、レアアースの製錬・精製については、VIMICO は中国の技術を入れようかと<br />
考えているという発言もあり、これを超える精製(高純度とか)技術について、日本企業<br />
の協力が得られるか否かが問題である。<br />
人材育成支援は総論的に賛成・期待するが、個別の具体プロジェクトを提案して下さい<br />
というスタンスであり、DGMV もつまるところそういうことであるし、上部の MONRE の<br />
- 293 -
国際局は、具体的プロジェクト提案なければ情報も出しませんというスタンスであった。<br />
非鉄 8 社とか従来の鉱業企業ではないレアアース担当等の企業がノウハウ的に有する技<br />
術を民間ベースで出せないのを、公的に出すのはもとより不可能であり、日本側でそうし<br />
た会社(例えば、ベトナムへの進出を決めた合金鉄の昭和電工、中電レアアースやまだ決<br />
めてはいないが、三徳、信越化学、TDK、日立金属等の磁石メーカーのうち進出や協力に<br />
意向を持つ企業から)が出来ることを決めないと、支援・協力を提案出来ない。すなわち<br />
技術協力(JICA 専門家を出すにしても)を提案していくための日本国内での仕込み・調整<br />
が肝心である。<br />
国内企業アンケート(商社)の中では、レアアース関係で下記があった。<br />
-レアアースの開発は、これまで日本の企業では実績がなく、技術面での蓄積がない。<br />
日本の政府機関には、技術面の研究に対する支援や資金供与に期待する。<br />
-技術面で言うと、選鉱、製錬関連の技術者の育成を望みます。鉱山関連科目を教える大<br />
学(Ha Noi 鉱山大学等)や国立の研究機関もあるようですが、活動が低調な気がします。<br />
日本も同様に技術者が育っていませんが、共同で技術者を育成する機関を設立できないで<br />
しょうか。<br />
8.鉱業関係教育機関の整備促進支援<br />
ラオス、カンボジアにおいては、標記が不十分で、充実に向けた取り組みは基本的には<br />
各国の自助努力が基本であるが、日本として、協力可能な技術・人材で、相手国の学生や<br />
政府機関関係者の教育・技術レベルの向上を図ることが有益である。中長期的に大きな力<br />
となりうるものである。この場合分析装置や地質フィールドワーク等の機材供与も必要と<br />
なる。JICA の「技術協力プロジェクト」、「専門家派遣」、「シニア・ボランティア」、「開発<br />
調査」等どの枠組みで、あるいはどれを組み合わせて、支援プロジェクトを形成実現して<br />
いくかについて、実現に向け、国内関係者及び、次の段階で相手国と相談し調整しつつ具<br />
体化を進めていく必要がある。<br />
国内企業アンケートの中でも、下記があった。<br />
-地質学、鉱床学の知識、技術を修めるための教育機関設立支援<br />
-2010年からラオス大学に地質・資源のコースが設置されると聞いているが、まず大<br />
学で技術者を養成することが必要である。<br />
9.地質図鉱床図の整備と作成基本能力の向上の重要性<br />
上記とも関連はするが、ことにラオス、カンボジアにおいて、自国の地質・資源の賦存<br />
を調査し、これを地質図・鉱床図にして作成し、外部に提供していくことが、鉱業活性化<br />
の基盤を形成する。このための経験、技術能力を高めるために、各国がこれまでも種々の<br />
支援スキーム・プロジェクトで支援してきているが、さらにそうした機会を与えて、地質<br />
当局が技術能力・レベルを、向上できるようにすることが、自国の資源を有効に活用して<br />
いく上で将来にわたって重要である。<br />
- 294 -
国内企業アンケートの中でも、下記があった。<br />
-全国の地質図に加えて、地化探図、重力図などの整備が必要<br />
10.人材育成重視型の現代版国際協力基礎調査の必要性<br />
JOGMEC は、かつて JICA-MMAJ 時代に、資源開発協力基礎調査(G-G 調査)を行っていた。<br />
この調査は、携わった相手国 C/P 政府機関の職員にとっては、現場に出ての生きた共同地<br />
質調査体験と分析解析体験等を通じての実践的な技術移転であった。この調査に協力した<br />
日本企業(鉱山会社とメタコン)にとっても、若手・中堅技術者が、ベテランの技術者と<br />
一緒に動きながら技術習得の良い機会であり、また相手国の人と同じ釜の飯を食いながら、<br />
また汗を書きながらの事業を通じ、海外体験を早くからすることにより、国際性が付いて<br />
きた面がある。とする声が、関係者からあった。<br />
人材育成・人脈形成(維持発展)に重点を置いた共同 G-G 探鉱調査をまとまった規模で行<br />
うことが、<br />
・相手国政府・政府関係機関の職員の技術力向上と地質図鉱床図等の具体的成果物<br />
・JOGMEC の政府・政府機関としての内外のプレゼンスの向上<br />
・これを実際に担う鉱山企業・メタコンの技術力・人的ネットワーク力向上<br />
につながり、ひいては我が国関係者の将来の権益確保等資源の安定供給につながると考<br />
えられる。政策当局におかれて、この点について配慮をお願いしたい。<br />
上述したように、昔の G-G 類似の制度を求める声が民間からも上がってきている。以下<br />
に、国内企業アンケート、ヒアリングで出たこの関係の声を再掲しておく。<br />
-かつての G―G 調査のようなスキームを復活させ、一定期間(2~3ヶ月)に亘って、<br />
日本側と相手国側が共同で、地質あるいは鉱床調査を行うなかで、技術移転・技術交流・<br />
人脈形成を図ってはどうかと思う。<br />
-民間企業への OJT 派遣<br />
「誤解されると困るが、敢えて言えば、昔のMMAJ・JICAとC/PとのG-G調査は、相手国<br />
のためにも、日本のためにも、海外で具体的な仕事をすることで、技術伝達の機会となり、<br />
C/Pと仲良くなり、いい関係を築けた。教育のツールとしては大変に良かった。<br />
実際一緒に調査し、人脈、技能が出来る。10年後そういう担当者が、局長・副局長とな<br />
って話が来る。し易い。他社でもつながっていればありがたいということがある。<br />
中国・韓国のように大きなお金でドンとくるようなことが、日本では出来ないのだから、<br />
個人の信頼関係、人脈を財産とする方式が必要ではないか。」<br />
「地質図を作る時でも実際に、チームで沢を歩き、見方・観察結果の判断を相互にチーム<br />
で調整検討しながら作っていく。こういう実地の共同作業が大切。」<br />
「(民間企業への OJT 派遣ということについて)考えたのは、民間コンサルタント企業の<br />
- 295 -
資源地質調査の中に、海外の人を受け入れて、教育も兼ねて一緒に仕事するということ。<br />
この要員に対して日本人のような給料は払えないが、JICA の制度などで、その受け入れ<br />
を優遇してみてくれるような制度に意味があろう。」<br />
11.日本国内における資源開発人材育成プログラムとの連携の重要性<br />
―鉱業関連技術知的ストック・クリアリング・センター構想―<br />
近年日本国内において、資源価格の高騰・資源ナショナリズムの高まり等により、資源<br />
の単純な買鉱だけでなく、資源開発の重要性が認識され、そのための人材育成の検討がな<br />
された。この結果、社会人や大学生に対して各種のプログラム((財)国際資源開発大学校<br />
MINETEC での「資源開発研修」、秋田大学他 5 大学共同による「資源塾」、JOGMEC/JCOAL に<br />
よる「座学研修」等)が、実施されてきている。<br />
こうした動きの中で、JOGMEC において、テキスト(「鉱床探査(レアメタル)」、「鉱床探<br />
査(ベースメタル)」、「鉱害防止」、「CSR」)を作成(英文のものも含まれる。)したり、海<br />
外テキストの翻訳(「採鉱技術」、「選鉱技術」、「冶金技術」、「資源開発概論」、「資源経済」、<br />
「坑内採掘法-ケーススタディ」)を進めてきているが、その和文と英文とも、今後海外で<br />
技術支援指導をしていく上で参考となる資料となろう。また「4」JICA 集団研修でのテキ<br />
ストも有効に活用できるのではないか。<br />
個別の専門家が、海外に行く場合等でも、鉱物資源開発や関連する HSE 分野での過去の<br />
こうした知的資産が、どこにどういうものがあるかを、全面的に把握することは容易でな<br />
く、個人(会社・大学を含む)の知的ストックや人脈の中で、限定された内容で対応する<br />
のが一般的であろう。これでは不十分な面がある。<br />
このため、将来の実際利用に供するために、どこかの公的機関において、鉱物資源開発<br />
関連の技術について、和文・英文でのテキスト、教材、論文等を、ハードコピーだけでな<br />
く、電子媒体でも収集し、技術分野毎に一元的に記載、データの整理、管理及び作成を行<br />
うことが、有効である。<br />
12.日本の大学との協力連携が必要<br />
資源開発人材の教育は、国内のいくつかの大学で行われている。地質教育を重視するも<br />
の、資源開発を重視するもの、すでに海外留学生を受け入れたり、海外への協力活動を始<br />
めている教官もおられる。また AUN/SEED-Netプログラムで、インドシナからの学生を博士 課程等に受け入れている大学もある。<br />
今回調査では時間的余裕等なく、国内のこうした内容を把握できなかったが、今後のイ<br />
ンドシナへの鉱業人材育成事業を展開推進していくうえで、国内の大学における取組、今<br />
後の可能性等について、調査していく必要がある。<br />
(「2」の項目とも関係するが別掲した。)<br />
13.持続可能な鉱業に係る人材育成計画の提唱<br />
上記3,4,5,6の項目とも関係するが、持続可能な鉱業に係る人材育成計画を提唱<br />
する。<br />
- 296 -
(1)各国から求められている持続的資源開発<br />
資源保有途上国では、鉱業を中心に産業を発展させるべく、資源開発を推進しているが、<br />
法律の不備、技術・知見・経験等が不足しており、保安・環境保全対策が不十分であるた<br />
め、違法な開発、無秩序な開発が行われ、鉱害問題を発生させるとともに、鉱山における<br />
労働者は不安全な状況にさらされている。これらは農業、漁業等他産業へ損害を与えると<br />
ともに地元住民との軋轢を生じさせ、各地で鉱業に対する地域住民の反対活動が生じ、円<br />
滑な鉱業活動が阻害される事例が発生していることから、資源保有途上国では、持続的資<br />
源開発に対するニーズが高まっている。<br />
我が国は、古くは足尾鉱毒事件(足尾銅山)、三大鉱害病の一つであるイタイイタイ病<br />
(神岡鉱山)等の鉱害問題を経験しており、環境保全対策等の豊富な経験・技術を有して<br />
いる。我が国は資源国が求めるこうしたニーズに適切に対応できる能力がある。<br />
一方、我が国は、鉱物資源のほとんどを開発途上国からの輸入に依存しており、金属資<br />
源は我が国産業、国民生活のあらゆる面で使用されており、我が国とって鉱物資源の安定<br />
供給確保は死活的な問題である。<br />
もって、途上国のニーズに合わせ我が国の知見・技術を元に持続的資源開発を実現する<br />
制度を途上国に構築し、もって鉱物資源の需給の安定化を図ることを実現する。<br />
<strong>平成</strong>20年3月、閣議了解された資源確保指針においても、ODA、出融資等の様々な<br />
ツールを活用し、資源開発を推進するとされている。<br />
(2)現状認識<br />
「<strong>平成</strong> <strong>21</strong> <strong>年度アジア産業基盤強化等事業</strong>(<strong>インドシナ地域の</strong>鉱業における人材育成に関<br />
する調査)」にて、ベトナム、ラオス、カンボジアのニーズ及び鉱業関係教育機関等の調査<br />
を実施したところ、各国の鉱業の発展度合いによって、探鉱、採鉱等の上流部分について<br />
のニーズは異なっている。一方、各国とも環境に配慮した持続可能な鉱業を指向している。<br />
結果は以下のとおり。<br />
①ベトナム<br />
・採鉱や探鉱は、ベトナム側で技術あり<br />
・選鉱は、レアアースの製錬・精製<br />
・環境では、環境配慮型の操業など<br />
②ラオス<br />
・鉱山ブームにより、鉱業関係の学生は豊富。教師が少ない<br />
・環境と開発を両立したい<br />
③カンボジア<br />
・鉱山なく、鉱業関係の教育弱い<br />
・環境保全と持続的な天然資源の開発を方針としている<br />
・環境コントロール、リスクアセスメントができる人材が不足<br />
(3)構築する制度に盛り込むべき要素の例<br />
持続的資源開発には以下の事項を盛り込むことが必要と思料される。<br />
①閉山・鉱害対策準備金・基金(日本の特定災害防止準備金制度、金属鉱業等鉱害防<br />
- 297 -
止準備金制度、金属鉱業等鉱害防止事業基金制度に相当)<br />
閉山時に必要な原状回復や鉱害防止措置に必要な資金を操業時から鉱山に積み立<br />
てさせる。<br />
②鉱山保安巡回<br />
保安、鉱害管理が適正になされているかを検査する。<br />
③鉱害防止管理者<br />
鉱山において、鉱山鉱害防止管理者を選任させ、操業に伴う日常の検査を行わす。<br />
④情報公開<br />
地元との信頼関係を醸成するため、一定の頻度で情報公開を行うことを義務づけ<br />
る。<br />
⑤安全・衛生教育<br />
鉱山から鉱員に対し安全・衛生教育を実施させる。<br />
(4)具体的なプロジェクト<br />
①持続可能なレアメタル鉱山開発支援プロジェクト(ベトナム)<br />
ベトナムは我が国企業参加による鉱山開発が進展しているところ。当該鉱山をモデル<br />
とし、日常の鉱山管理、レアアース選鉱・抽出残渣の処分等に係る管理制度を構築する。<br />
本プロジェクトの知見は同様の鉱山を有するインドネシア、マレーシア等に移転できる。<br />
②持続可能なベースメタル鉱山開発支援プロジェクト(ラオス)<br />
ラオスでは鉱山開発が緒についたばかりであり、今後、様々な問題が発生してくるお<br />
それがある。これら諸問題の発生を未然に防ぐため、日常の鉱山管理、鉱廃水処理等に<br />
係る管理制度を構築する。本プロジェクトの知見は標準的なであり、あらゆる国々へ移<br />
転できる。<br />
③持続可能な鉱山開発のための法制研究プロジェクト(カンボジア)<br />
国内に稼働鉱山がなく、鉱業法、鉱山保安法等の制度が未整備であるカンボジアに対<br />
し、我が国の制度をベースにカンボジアの国内事情を考慮した鉱山開発制度を構築する。<br />
本プロジェクトの知見は、これから鉱山開発を行うあらゆる国へ移転できる。<br />
(5)プロジェクト推進のためのスケジュール<br />
プロジェクトは5年程度を見込む。<br />
①1~2年目は、我が国の鉱山行政を元に、当該国において必要な制度、の抽出及び<br />
当該国に適合した制度改良に係る研究<br />
②3年目は必要とされる行政措置の研究<br />
③4年目は試行期間及び行政並びに鉱山に対するトレーニング<br />
④5年目は正式な制度導入開始<br />
必要なツールとしては、中短期専門家派遣、本邦及び海外における研修、セミナー、制<br />
度調査等が考えられる。<br />
- 298 -
参考資料<br />
1) JOGMEC:ベトナムの投資環境調査 2006 年<br />
2) JOGMEC:世界の鉱業の趨勢「ベトナム」 2008 年<br />
3) JOGMEC:金属資源レポート 2008.3「ベトナム鉱業投資環境調査」 ジャカルタ事務所<br />
池田肇<br />
4) JOGMEC:金属資源レポート 2009.3「資源保有国を対象とした鉱害防止に関する情報提<br />
供」 鉱害防止支援部 企画課 課長代理 高本宏介<br />
5) JOGMEC:金属資源レポート 2009.5「ベトナムの鉱物資源に関する処理技術および管理<br />
政策」 金属資源開発本部 企画調査部 企画担当調査役 鈴木徹<br />
6) JOGMEC:資源開発環境調査 ベトナム社会主義共和国<br />
7) (財)国際鉱物資源開発協力協会:ベトナムの鉱業活性化を目指した投資環境整備調査<br />
2008年2月<br />
8) 国際協力銀行:ベトナムの投資環境 2008 年 4 月<br />
9) (財)海外技術者研修協会:事業案内、同資料編、「研修」誌 2009 Summer<br />
10)ベトナム天然資源環境省(MONRE):パンフレット<br />
11)VINACOMIN-MINERALS HOLDING CORPORATION(VIMICO):パンフレット<br />
12)ハノイ鉱山地質大学(HUMG):パンフレット<br />
13)JOGMEC:世界の鉱業の趨勢「ラオス」 2008 年<br />
14)JOGMEC:カレント・トピックス 2008 年 10 月 23 日 ジャカルタ事務所 小岩孝二<br />
15)JOGMEC:金属資源レポート 2008.5 ラオスの投資環境調査 2007 年 金属資源開発<br />
本部 企画調査部 調査課 大久保聡<br />
16)鈴木基義:国際開発ジャーナル 2009.5 短期集中連載ラオスの開発ポテンシャル第 2<br />
回 「地下に眠る鉱物資源と無尽蔵の水力資源」 広島大学大学院 国際協力研究科<br />
教授<br />
17)(財)国際鉱物資源開発協力協会:ラオスにおける鉱業関連法制度整備支援調査 2004<br />
年2月<br />
18)(財)国際鉱物資源開発協力協会:<strong>平成</strong> 20 年度 JMEC ミッション報告書「タイ・ラオス<br />
のベースメタル産業の現状調査」 2009 年 3 月<br />
19)外務省:対ラオス国別援助計画 2006 年 9 月<br />
20)国際機関日本アセアンセンターラオス計画投資省:ラオス投資セミナー 2009 年 9 月<br />
15 日<br />
<strong>21</strong>) 鈴木基義 国際機関日本アセアンセンター発行:ラオス投資ガイド 2009 年版<br />
22)World Bank: MINDECO: Final Report, Sector plan for Sustainable Development of the<br />
Mining Sector in the Lao PDR 2006 年 11 月<br />
23)JICA:ラオス人民民主共和国人材育成支援無償(JDS)事業準備調査 ファイナルレポ<br />
ート 2009 年 7 月<br />
24)JICA:ラオス人民民主共和国高等教育プログラム形成調査報告書 2007 年 11 月<br />
- 299 -
25)JICA:JICA in Lao PDR<br />
26)NEDO:三菱マテリアル資源開発株式会社: 「ラオス人民民主共和国における石炭賦存・<br />
開発等可能性の調査」 2008 年 3 月<br />
27)JICA:三菱マテリアルテクノ・国際航業:ラオス国鉱業分野投資促進のための地質・鉱<br />
物資源情報整備計画調査ファイナルレポート 2008 年 10 月<br />
28)国際協力銀行:ラオスの投資環境 2007 年 3 月<br />
29)JOGMEC:資源開発環境調査 ラオス人民民主共和国<br />
30)国際環境 NGO FoE Japan 他:連続セミナー 人々の多様性 第一回 ラオスの森林と<br />
開発、そして生物多様性 2009 年 9 月 8 日<br />
31)National University of Laos (NUOL):パンフレット<br />
32)Faculty of Engineering(FE), National University of Laos (NUOL)のパンフレット<br />
33)同上の List of Lecturers in Mining Engineering Division, Department of Civil<br />
Engineering<br />
34)Bachelor of Engineering Program, National University Faculty of Engineering,<br />
Mining Engineering Department(案)<br />
35)Polytechnic College:パンフレット<br />
36) )Polytechnic College の二つの Division “Prospecting and Exploration Mineral”<br />
“Mining and Processing Mineral”に関するカリキュラム:“Plan of the year study for<br />
systematic high diploma”および”Plan of the year study for bachelor degree”<br />
37) Polytechnic College の強化策ドキュメント:strengthening of Polytechnic College<br />
Project, Year 2009<br />
38) “Mining Policy in Lao PDR” by Dr. Simone Phichith and Mr. Eravanh Boungnaphalom<br />
(Aug. 2008)<br />
39) DGEO・DOM 資料—2008 年 3 月カナダ PDAC 総会発表用パンフレット-“Mineral Development<br />
Opportunities in Lao PDR”: Department of Geology and Department of Mines, MEM<br />
40) JICA JICA 研究所 JICA 国際協力総合研修所 加藤千穂:東南アジア地域援助研究会<br />
報告書 ─地域統合と開発援助─各論 課題別分析資料 11.人材育成<br />
41)JOGMEC:資源開発環境調査 カンボジア王国<br />
42)JICA:三井金属資源開発:カンボジア国鉱業振興マスタープラン調査プログレスレポー<br />
ト 2009 年 3 月<br />
43)カンボジア開発評議会:カンボジア投資ガイドブック 2006 年 12 月<br />
44)国際協力銀行:カンボジアの投資環境 2008 年 10 月<br />
45)GDMR: The Organization Chart of the General Department of Mineral Resources<br />
46)Ministry of Education, Youth & Sports: 2005-09 Education Indicators<br />
47)Institute of Technology of Cambodia (ITC):パンフレット<br />
48)同上大学の Rural Engineering Department の Division of Geotechnical Engineering<br />
のカリキュラム<br />
49)Global witness: Country for Sale February 2009<br />
50)By John C. Wu USGS: THE MINERAL INDUSTRIES OF CAMBODIA AND LAOS 2003<br />
- 300 -
51)(財)国際鉱物資源開発協力協会:カンボジアにおける鉱物資源開発分野の投資環境整<br />
備調査 2005 年 2 月<br />
52) 実松建造、村上浩康、渡辺寧:「ラオス中南部における花崗岩風化殻の希土類資源ポテ<br />
ンシャル」:資源地質学会第 58 回講演会要旨 (2008)<br />
53) 田中隆之、崎元雄厚、石川信明:「カンボジア王国プノンペン市西方の花崗岩類の化学<br />
組成と鉱化作用」:資源地質学会第 58 回講演会要旨 (2008)<br />
54) By John C. Wu: USGS 2007 Minerals Yearbook: The Mineral Industry of Vietnam August<br />
2008<br />
55) By John C. Wu: USGS 2007 Minerals Yearbook: The Mineral Industry of Laos August<br />
2008<br />
56) By John C. Wu: USGS 2007 Minerals Yearbook: The Mineral Industry of Cambodia August<br />
2008<br />
57) <strong>経済産業省</strong>:レアメタル確保戦略 2009 年 7 月 28 日<br />
58) 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 山冨二郎:資源人材育成の再起=<br />
チャレンジ 2009 年 10 月 29 日 JOGMEC 資源経済シンポジウム 講演資料<br />
59) JOGMEC 企画調査部 坂田剛:産学人材育成パートナーシップ事業(鉱物資源分野にお<br />
ける国際人材育成プログラム事業)<strong>平成</strong> <strong>21</strong> 年度の進捗状況 2006 年 3 月<br />
- 301 -
巻末資料-1 ベトナム地質・鉱物資源図<br />
巻末資料-2 ラオス地質・鉱物資源図<br />
巻末資料-3 カンボジア地質図<br />
巻末資料<br />
巻末資料-4 国内企業アンケート(設問と回答)<br />
巻末資料-5 海外アンケート設問(和文・英文)<br />
巻末資料-6 環境配慮型資源開発基盤構築支援のアジア展開ロードマップ(和文・英文)<br />
巻末資料-7 鉱業発展と関連技術・スキル分野マトリックス(和文・英文)
巻末資料-1<br />
ベトナム地質・鉱物資源図
ベトナム北部鉱物資源図<br />
- 303 -
ベトナム南部鉱物資源図<br />
- 304 -
ベトナム鉱物資源図鉱物資源凡例<br />
- 305 -
ベトナム鉱物資源図地質凡例<br />
- 306 -
巻末資料-2<br />
ラオス地質・鉱物資源図
ラオス地質図<br />
- 307 -
ラオス地質図 凡例<br />
- 308 -
ラオス鉱物資源図<br />
- 309 -
ラオス鉱物資源図 凡例<br />
- 310 -
巻末資料-3<br />
カンボジア地質図
カンボジア地質図<br />
- 311 -
カンボジア鉱物資源図<br />
- 312 -
巻末資料-4<br />
国内企業アンケート(設問と回答)
国内企業アンケート設問<br />
インドシナ三カ国の鉱業投資環境と政府関係機関人材に関するアンケート<br />
Q1.鉱物資源ポテンシャルについて貴社はどうお考えですか?<br />
以下の選択肢から右回答欄に記入ください。その上で差し支えなければその理由をお聞か<br />
せください。<br />
A:大いにある<br />
B:ある<br />
C:多少ある<br />
D:ほとんどない<br />
E:よく判らない<br />
Q2.Q1 で A,B,C を選択された方へお聞きします。ポテンシャルがあるとご判断される鉱<br />
種としては何をお考えでしょうか。<br />
Q3.貴社では現在、右各国へ鉱業投資をされておられますか?<br />
A: はい<br />
B: 過去に投資したが現在は投資していない<br />
C: 投資していない<br />
D:今後、投資予定である<br />
Q3-1.Q3 で A,B を選択された現在か過去に投資経験がおありか、D を選択された今後投<br />
資予定の方へご質問致します。<br />
その鉱業投資は、次のいずれですか?<br />
a:探鉱投資<br />
b:開発投資<br />
c:稼行中の鉱山への投資<br />
また、その対象鉱種は何ですか? 併せてお差し支えなければ、同国の投資環境に対する<br />
評価、ご判断をお聞かせ下さい<br />
(メリット/ディメリット、その他)<br />
Q3-2.(人材)引き続き Q3 で A,B,D を選択された投資にご関心ある方へご質問致します。<br />
その鉱業投資検討・準備の際、鉱業関係政府機関の対応やサービス内容についていかなる<br />
感想を抱かれましたか?<br />
a:非常に満足<br />
- 313 -
:満足<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
この回答で、c:,d:と回答された方へ、どのような点に満足出来ませんでしたか?また、その<br />
ことについて、政府機関はどのような改善をすべきとお考えですか?<br />
Q3-3.(人材)上記 Q3-2 をご回答頂いた方にお訊ねします。政府機関の人材の技術レベル・<br />
鉱業や地質知識についてどのような感想を抱かれましたか?<br />
a:非常に満足 b:満足<br />
c:やや不満足 d:不満足<br />
a:,b:と回答された方へ、どのような点に満足しましたか?どの職階の方ですか?<br />
また、その相手方はどのような教育を受けた方かご存知ですか?<br />
Q3-3-2.(人材)政府機関の人材の技術レベル・鉱業や地質知識について引き続きお尋ねし<br />
ます。上記 Q3-3 で、c:,d:と回答された方へ、どのような点に満足出来ませんでしたか? ど<br />
の職階の方ですか?<br />
人材育成の見地からどのような改善策があり得るとお考えですか?<br />
Q3-4.Q3 で B又は C を選択された、現在は投資をされていない方へご質問致します。<br />
右各国への鉱業投資にご関心がおありですか?<br />
A: 関心があり、今後具体的投資予 定 がある<br />
B: 関心があり、条件次第で検討する<br />
C: 関心はあるが、投資までは考えていない<br />
D: 関心がない<br />
Q3-5-1. Q3-4 で A:,B:を選択された、投資予定や、投資の関心がおありの方へご質問致しま<br />
す。<br />
その鉱業投資は、次のいずれですか?<br />
①探鉱投資<br />
②開発投資<br />
③稼行中の鉱山への投資<br />
また、その対象鉱種は何ですか?<br />
Q3-5-2.Q3-4 で B:を選択された、条件次第で投資も可とお考えの方へご質問します。<br />
差し支えなければ鉱種や条件などをお聞かせ下さい<br />
- 314 -
Q3-5-3.Q3-4 で C:,D:を選択された、投資までは考えておられない方、関心がない方へご<br />
質問いたします。関心が投資に結び付かない理由やご関心がおありでない理由は何です<br />
か?<br />
①具体的な検討案件がない。<br />
②検討案件はあるが投資に至らない。<br />
③投資環境の問題がある。<br />
④その他(具体的に記載ください。)<br />
Q3-5-4.上記設問で③を選択された、投資環境の問題をお考えの方、あるいはそれ以外の<br />
Q3-2 の D の今後投資予定の方を含めて、本項目にご関心の方にご質問致します。投資環境<br />
の問題点は何でしょうか。(複数回答可)その他以外は、まず項目でお答えください。<br />
a:鉱業関連法制度(運用含む)<br />
b:環境規制その他の制度<br />
c:社会環境<br />
d:その他(具体的お書きください)<br />
Q3-5-5. 上記設問で a:鉱業関連法制度、あるいは b:環境規制その他の制度の問題を選択さ<br />
れた方へご質問致します。<br />
差し支えなければ、どのような問題かお聞かせ下さい。<br />
Q3-5-6. Q3-5-4 で c:社会環境、あるいは d:その他の問題を選択された方へご質問致します。<br />
投資阻害要因の中に、法制度以外に行政、治安、保安、現地コミュニティーとの関係など<br />
がありますか?<br />
①含まれている<br />
②含まれていない<br />
①を回答された場合<br />
差し支えなければ、阻害要因としてどのような問題を懸念されているかお聞かせ下さい。<br />
Q4.その他鉱業を中心に、投資環境、ODA に対するご要望などについて、ご自由にご意見<br />
をお聞かせ下さい<br />
Q5.(人材)インドシナ三カ国(ベトナム、ラオス、カンボジア)への日本政府及び関係機<br />
関からの鉱業支援として、どのような人材育成が適切とお考えですか?<br />
良いアイディアをお寄せください。共通でも各国個別でも結構です。<br />
- 315 -
Q6.(人材)また、具体的案件で投資等を進めていく場合に、将来会社側で「人材育成」に<br />
資する支援策を実施することは可能でしょうか?その場合に考えられる支援策の内容を例<br />
示して下さい。<br />
Q7.また、今回当協会が現地で鉱業関係分野の主として人材育成および投資環境調査を実<br />
施するにあたり、特に調査をご希望される項目、事項などおありでしたらお聞かせ下さい。<br />
- 316 -
国内企業アンケート回答 ベトナム -1-<br />
組織名<br />
Q1.鉱物資源ポテン<br />
シャルについて貴社は<br />
どうお考えですか?<br />
以下の選択肢から右<br />
回答欄に記入くださ<br />
い。その上で差し支え<br />
なければその理由をお<br />
聞かせください。<br />
A:大いにある<br />
B:ある<br />
C:多少ある<br />
D:ほとんどない<br />
E:よく判らない<br />
Q2.Q1で<br />
A,B,Cを選択<br />
された方へお<br />
聞きします。<br />
ポテンシャル<br />
があるとご判<br />
断される鉱種<br />
としては何を<br />
お考えでしょ<br />
うか。<br />
Q3.貴社<br />
では現<br />
在、右各<br />
国へ鉱業<br />
投資をさ<br />
れておら<br />
れます<br />
か?<br />
A: はい<br />
B: 過去<br />
に投資し<br />
たが現在<br />
は投資し<br />
ていない<br />
C: 投資し<br />
ていない<br />
D:今後、<br />
投資予定<br />
である<br />
Q3-1.Q3でA,Bを選<br />
択された現在か過去<br />
に投資経験がおあり<br />
か、Dを選択された今<br />
後投資予定の方へご<br />
質問致します。<br />
その鉱業投資は、次<br />
のいずれですか?<br />
a:探鉱投資<br />
b:開発投資<br />
c:稼行中の鉱山への<br />
投資<br />
また、その対象鉱種<br />
は何ですか? 併せ<br />
てお差し支えなけれ<br />
ば、同国の投資環境<br />
に対する評価、ご判<br />
断をお聞かせ下さい<br />
(メリット/ディメリット、<br />
その他)<br />
Q3-2.(人材)引き<br />
続きQ3でA,B,Dを<br />
選択された投資に<br />
ご関心ある方へご<br />
質問致します。<br />
その鉱業投資検討・<br />
準備の際、鉱業関<br />
係政府機関の対応<br />
やサービス内容に<br />
ついていかなる感<br />
想を抱かれました<br />
か?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
この回答で、c:,d:と<br />
回答された方へ、ど<br />
のような点に満足出<br />
来ませんでしたか?<br />
また、そのことにつ<br />
いて、政府機関はど<br />
のような改善をすべ<br />
きとお考えですか?<br />
Q3-3.(人材)<br />
上記Q3-2をご<br />
回答頂いた方<br />
にお訊ねしま<br />
す。政府機関<br />
の人材の技術<br />
レベル・鉱業や<br />
地質知識につ<br />
いてどのような<br />
感想を抱かれ<br />
ましたか?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
a:,b:と回答され<br />
た方へ、どのよ<br />
うな点に満足し<br />
ましたか?ど<br />
の職階の方で<br />
すか?<br />
また、その相手<br />
方はどのような<br />
教育を受けた<br />
方かご存知で<br />
すか?<br />
Q3-3-2.(人材)政府<br />
機関の人材の技術レ<br />
ベル・鉱業や地質知<br />
識について引き続き<br />
お尋ねします。上記<br />
Q3-3で、c:,d:と回答さ<br />
れた方へ、どのような<br />
点に満足出来ません<br />
でしたか? どの職階<br />
の方ですか?<br />
人材育成の見地から<br />
どのような改善策があ<br />
り得るとお考えです<br />
か?<br />
Q3-4.Q3で<br />
B又はCを選<br />
択された、現<br />
在は投資をさ<br />
れていない方<br />
へご質問致し<br />
ます。<br />
右各国への<br />
鉱業投資に<br />
ご関心がおあ<br />
りですか?<br />
A: 関心があ<br />
り、今後具体<br />
的投資予 定<br />
がある<br />
B: 関心があ<br />
り、条件次第<br />
で検討する<br />
C: 関心はあ<br />
るが、投資ま<br />
では考えてい<br />
ない<br />
D: 関心がな<br />
い<br />
Q3-5-1.<br />
Q3-4でA:,B:<br />
を選択され<br />
た、投資予<br />
定や、投資<br />
の関心がお<br />
ありの方へ<br />
ご質問致し<br />
ます。<br />
その鉱業投<br />
資は、次の<br />
いずれです<br />
か?<br />
①探鉱投資<br />
②開発投資<br />
③稼行中の<br />
鉱山への投<br />
資<br />
また、その<br />
対象鉱種は<br />
何ですか?<br />
Q3-5-2.Q3-4で<br />
B:を選択された、<br />
条件次第で投資<br />
も可とお考えの<br />
方へご質問しま<br />
す。<br />
差し支えなけれ<br />
ば鉱種や条件な<br />
どをお聞かせ下<br />
さい<br />
Q3-5-3.Q3-4でC:,D:を選択<br />
された、投資までは考えてお<br />
られない方、関心がない方<br />
へご質問いたします。関心<br />
が投資に結び付かない理由<br />
やご関心がおありでない理<br />
由は何ですか?<br />
①具体的な検討案件がな<br />
い。<br />
②検討案件はあるが投資に<br />
至らない。<br />
③投資環境の問題がある。<br />
④その他(具体的に記載くだ<br />
さい。)<br />
Q3-5-4.上記設<br />
問で③を選択され<br />
た、投資環境の問<br />
題をお考えの方、<br />
あるいはそれ以<br />
外のQ3-2のDの<br />
今後投資予定の<br />
方を含めて、本項<br />
目にご関心の方<br />
にご質問致しま<br />
す。投資環境の<br />
問題点は何でしょ<br />
うか。(複数回答<br />
可)その他以外<br />
は、まず項目でお<br />
答えください。<br />
a:鉱業関連法制<br />
度(運用含む)<br />
b:環境規制その<br />
他の制度<br />
c:社会環境<br />
d:その他(具体的<br />
お書きください)<br />
Q3-5-5. 上記設問<br />
でa:鉱業関連法制<br />
度、あるいはb:環境<br />
規制その他の制度<br />
の問題を選択された<br />
方へご質問致しま<br />
す。<br />
差し支えなければ、<br />
どのような問題かお<br />
聞かせ下さい。<br />
Q3-5-6. Q3-5-4で<br />
c:社会環境、あるい<br />
はd:その他の問題<br />
を選択された方へ<br />
ご質問致します。<br />
投資阻害要因の中<br />
に、法制度以外に<br />
行政、治安、保安、<br />
現地コミュニティー<br />
との関係などがあ<br />
りますか?<br />
①含まれている<br />
②含まれていない<br />
①を回答された場<br />
合<br />
差し支えなければ、<br />
阻害要因としてど<br />
のような問題を懸<br />
念されているかお<br />
聞かせ下さい。<br />
Q4.その他鉱業を<br />
中心に、投資環境、<br />
ODAに対するご要<br />
望などについて、ご<br />
自由にご意見をお<br />
聞かせ下さい<br />
Q5.(人材)インドシ<br />
ナ三カ国(ベトナ<br />
ム、ラオス、カンボ<br />
ジア)への日本政<br />
府及び関係機関か<br />
らの鉱業支援とし<br />
て、どのような人材<br />
育成が適切とお考<br />
えですか?<br />
良いアイディアをお<br />
寄せください。共通<br />
でも各国個別でも<br />
結構です。<br />
Q6.(人材)ま<br />
た、具体的案<br />
件で投資等を<br />
進めていく場<br />
合に、将来会<br />
社側で「人材<br />
育成」に資する<br />
支援策を実施<br />
することは可<br />
能でしょうか?<br />
その場合に考<br />
えられる支援<br />
策の内容を例<br />
示して下さい。<br />
Q7.また、<br />
今回当協<br />
会が現地<br />
で鉱業関<br />
係分野の<br />
主として人<br />
材育成お<br />
よび投資<br />
環境調査<br />
を実施す<br />
るにあた<br />
り、特に調<br />
査をご希<br />
望される<br />
項目、事<br />
項などお<br />
ありでした<br />
らお聞か<br />
せ下さい。<br />
鉱山1<br />
C<br />
対象地域の地質等に<br />
関する一般情報より。<br />
銅、金他 C D<br />
①<br />
③<br />
④(よりポテンシャルの大き<br />
い地域での探鉱に力を入れ<br />
ており、当地域に資源を投<br />
入する余裕がない)<br />
a.<br />
過去に探鉱を実施し<br />
ようとしたことがある<br />
が、鉱区認可に時<br />
間がかかり過ぎて、<br />
途中で断念した。<br />
①行政組織が複雑<br />
で、どこが担当官<br />
庁かがわかりにく<br />
いということがあっ<br />
た。<br />
鉱山2<br />
B:ある<br />
インフラ整備の遅れに<br />
より、非鉄金属資源ポ<br />
テンシャルは未知な部<br />
分が多い。<br />
既知として、非鉄資源<br />
の存在は確認されてい<br />
るので、今後期待でき<br />
る。<br />
銅・鉛・亜鉛を<br />
始めとする非<br />
鉄金属鉱を期<br />
待したい。<br />
C: 投資し<br />
ていない<br />
資源情報の開示・<br />
発信量<br />
鉱業法が施行され間<br />
もない、法律の解釈に<br />
長けている人物。<br />
鉱業情報の整備、海<br />
外投資促進。<br />
C: 関心はあ<br />
るが、投資ま<br />
では考えてい<br />
ない<br />
①具体的な検討案件がな<br />
い。<br />
鉱山3 D:ほとんどない<br />
C: 投資し<br />
ていない<br />
D: 関心がな<br />
い<br />
①具体的な検討案件がな<br />
い。<br />
鉱山4<br />
B:ある。<br />
レアアース資源につい<br />
て関心がある。<br />
レアアース・レ<br />
アメタル・鉄・<br />
白色石灰石<br />
銅・鉛・亜鉛<br />
C:投資し<br />
ていな<br />
い。<br />
B:関心があ<br />
り条件次第で<br />
検討する。<br />
①探鉱投資<br />
現在、レアアース<br />
について抽出基<br />
礎試験を実施中<br />
(JOGMEC受託<br />
業務)。<br />
探鉱権を申請した場合の実<br />
際の難易度が不明(日数・<br />
期間・必要要件・金額等)<br />
である。(申請しないと判らな<br />
いことかも知れないが、ケー<br />
ススタディがあれば参考にな<br />
ると考えている)<br />
かつてのG―G調査<br />
のようなスキームを<br />
復活させ、一定期<br />
間(2~3ヶ月)に<br />
亘って、日本側と相<br />
手国側が共同で、<br />
地質あるいは鉱床<br />
調査を行うなかで、<br />
技術移転・技術交<br />
流・人脈形成を図っ<br />
てはどうかと思う。<br />
・探鉱段階で<br />
の政府技術職<br />
員の受け入れ<br />
・開発段階で<br />
のOJT<br />
・開発段階で<br />
のスカラーシッ<br />
プ<br />
実際に鉱<br />
区を獲得<br />
している<br />
企業に対<br />
する鉱業<br />
権申請・<br />
取得の経<br />
過や難易<br />
度<br />
鉱山5 B<br />
レアアース、<br />
亜鉛、アル<br />
ミ、タングステ<br />
ン、スズ、金<br />
C B ① レアアース、亜鉛 a,c<br />
生産物の加工度<br />
輸出規制(亜鉛)<br />
①<br />
鉱山6 C 銅 C C ①<br />
鉱山7 E C D ①<br />
商社1<br />
A(鉄鉱石・イルミナイ<br />
ト) [理由]①需要市場<br />
(東アジア;中国、日<br />
本、韓国)に近い点 ②<br />
政治安定<br />
B(銅・石炭)<br />
E(非鉄金属;銅を除く)<br />
Q1参照<br />
A(石炭)<br />
C(銅を含<br />
む非鉄金<br />
属・鉄鉱<br />
石)<br />
c;但し、鉱山そのも<br />
のではなく、操業を行<br />
う会社の株式取得(2<br />
社、各1%) 対象は<br />
石炭<br />
d;対応のスピード、<br />
データの質<br />
c<br />
特別にどの職階という<br />
より、全般的にそう感<br />
じる。現在のようなNE<br />
DO殿等が支援されて<br />
いる形を継続するの<br />
が効果があると考え<br />
る。<br />
B;但し、あく<br />
まで案件次第<br />
②(銅・金を<br />
含む非鉄金<br />
属・鉄鉱石)<br />
鉄鉱石の<br />
場合は、採<br />
掘上の技術<br />
的な問題あ<br />
り<br />
③(銅・金)<br />
<br />
条件;・鉱量ポ<br />
テンシャルの確<br />
認<br />
・鉱業法制の整<br />
備<br />
・日本向けに適し<br />
た品質<br />
<br />
条件;・案件の<br />
経済性<br />
c<br />
資源外交の観点か<br />
らは、全方位ではな<br />
く、戦略をもって地<br />
域・国を選定し、集<br />
中的かつ持続的に<br />
実施するべきと感じ<br />
る。<br />
技術面に加え、プロ<br />
ジェクトマネジメント<br />
関連での広範な人<br />
材育成が適切と考<br />
える。<br />
また、反対派との調<br />
整や地元への還元<br />
といった持続的開<br />
発の観点に立って<br />
資源開発を考えら<br />
れるような人材の<br />
育成が望まれる。<br />
鉱山開発/操<br />
業を通じて必<br />
然的に労働者<br />
に対する人材<br />
育成を行うこと<br />
になるため、そ<br />
れ以上の支援<br />
策が必要とは<br />
感じられない。<br />
- 317~318 -
商社2 B ボーキサイト C<br />
商社3<br />
B ボーキサイトの良い<br />
資源が存在する可能<br />
性はあるのではないか アルミニウム C<br />
と思います。<br />
国内企業アンケート回答 ベトナム -2-<br />
B:関心があ<br />
り条件次第で<br />
検討する<br />
① ボーキサ<br />
イト、レア<br />
アース等<br />
・ベトナム国自身<br />
が鉄道等のイン<br />
フラを整備して欲<br />
しいこと。<br />
・Vinacomin他国<br />
内企業が<br />
majorityを取ると<br />
の方針では、な<br />
かなかうまく進ま<br />
ないであろう。<br />
商社4 A 石炭 C C ①<br />
商社5<br />
商社6-<br />
1<br />
商社6-<br />
2<br />
商社6-<br />
3<br />
A<br />
理由:ボーキサイトにつ<br />
いては世界有数の埋<br />
蔵量。ボーキサイト埋<br />
蔵量は一説には55億ト<br />
ンと言われており、そ<br />
のポテンシャルは高<br />
・ボーキサイト<br />
い。<br />
またレアアースについ<br />
ても地質的に注目して<br />
おり、JOGMEC主導の<br />
探査プロジェクトの動<br />
向について注視してい<br />
る。<br />
・レアアース D<br />
a 並びに b<br />
対象鉱種:ボーキサ<br />
イト、レアアース<br />
投資環境に対する評<br />
価(デメリット):ボー<br />
キサイト・アルミナ開<br />
発に関しては、ベトナ<br />
ム全体の80%以上<br />
の埋蔵量を誇る中央<br />
高原地帯の案件にお<br />
いては、外資企業に<br />
対し原則30%という<br />
厳しい出資規制が課<br />
せられている。<br />
また、二次加工義務<br />
の付加等の急速な政<br />
策変換への懸念や、<br />
鉱業権の付与が先<br />
入れ先出しの原則を<br />
必ずしも従っていな<br />
いと漏れ聞いており、<br />
安心して踏み込める<br />
環境は今後整備され<br />
ていくものと期待。<br />
c<br />
意見:対応は非常に<br />
好意的だが、ボーキ<br />
サイト探鉱・開発の<br />
経験がまだ浅い為、<br />
適切かつタイムリー<br />
なフィードバックが<br />
受けられない。政府<br />
機関においては、<br />
(既に石炭分野では<br />
実施されているが)<br />
非鉄分野に関しても<br />
技術移転の為の人<br />
的交流を活発化し<br />
て頂きたい。<br />
d<br />
不満点:現在ベトナム<br />
では国内初のアルミ<br />
ナ精製所を建設中の<br />
段階であり、ボーキサ<br />
イト開発並びにアルミ<br />
ナ精製分野に関して<br />
は試行錯誤の過程で<br />
あり、経験が不十分。<br />
職階は副社長から担<br />
当レベルまで全般。<br />
資源投資先の優先順位とし<br />
て他の地域が先に来るケー<br />
スが結果的に多くなっている<br />
ような気がします。<br />
a.<br />
b<br />
理由:外資企業出資<br />
比率の制限(ボーキ<br />
サイト開発の場合、<br />
原則上限30%)<br />
また、鉱業権付与の<br />
透明性。<br />
②<br />
ODA: 側面サポートと<br />
して引続き周辺インフ<br />
ラ(道路、鉄道、発電<br />
所、学校、病院<br />
等々)整備への無<br />
償・有償ODA支援を<br />
希望。<br />
資源大学へのINVI<br />
TATION<br />
探査費用について<br />
政府支援が得られ<br />
る等の施策は投資<br />
する側にとって有効<br />
な方策となりうる<br />
輸送インフラが未発<br />
達ゆえODAによるサ<br />
ポートを期待する。<br />
アルミナ(水酸化ア<br />
ルミ)リファイナリー<br />
は山元に建設する<br />
が、本日現在まだ専<br />
用の輸出港が存在<br />
しない。また、輸送<br />
用道路の整備が不<br />
十分。港と道路に対<br />
するODAを期待した<br />
い。<br />
引続き国際資源大<br />
学等での研修制度<br />
活用が望ましいと<br />
思う。<br />
非該当 非該当 非該当 非該当 非該当<br />
d<br />
非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当<br />
A<br />
レアアース、<br />
既に、複数の開発案件<br />
ボーキサイ<br />
を検討中。<br />
ト、黒鉛等<br />
D<br />
レアアース<br />
・資源管理政策が変<br />
更されるリスクがあ<br />
る。<br />
・権益取得や探鉱、<br />
開発、環境に関する<br />
ルールが未整備。<br />
B 珪石 CおよびD C:珪石の権益に対す<br />
る投資の検討<br />
- 319~320 -<br />
・鉱業関連の法律<br />
や規制に関して問<br />
い合わせを行った<br />
際、対応が遅い。ま<br />
た、原則としてベト<br />
ナム語の資料しか<br />
提示されず、<br />
翻訳は独自で行う<br />
か、法外な「翻訳<br />
料」を請求される。<br />
また、問い合わせに<br />
対して、外国人には<br />
開示できないという<br />
回答が多々あった。<br />
C:<br />
相手国の法規制、<br />
意思決定のメカニズ<br />
ム<br />
が不明瞭であり、属<br />
人的に物事が決め<br />
られていくようなリス<br />
クを感じております<br />
C:当部が関心<br />
を持っているの<br />
は珪石です<br />
が、珪石自体<br />
は地球上でほ<br />
ぼ無尽蔵と言<br />
われる程に大<br />
量に埋蔵して<br />
いるので、どの<br />
国であろうと珪<br />
石に関して十<br />
分な埋蔵量、<br />
品質などの調<br />
査データが無<br />
いのが実態で<br />
す。<br />
これはベトナム<br />
に限った話で<br />
はありません。<br />
技術レベル・鉱業や地<br />
質に関する知識に就<br />
いては、旧ソ連のもの<br />
がベース。知識レベル<br />
に就いては、当社で<br />
は量れないが、外国<br />
企業に対しては、情報<br />
の開示を積極的に行<br />
おうという姿勢がな<br />
い。<br />
DGMVの局長クラスか<br />
ら担当者まで。<br />
B ③珪石 珪石<br />
左記a,b,c,に加えて資源の輸<br />
出規制が導入されるリスク<br />
について。<br />
上記通り。<br />
当然様々な問題が<br />
潜在していることを<br />
想定しております<br />
が、具体的には特<br />
定出来る段階にあり<br />
ません。<br />
(化学品・機能素材<br />
部門で)推進してい<br />
る<br />
レアアースの開発<br />
は、これまで日本の<br />
企業では実績がな<br />
く、技術面での蓄積<br />
がない。<br />
日本の政府機関に<br />
は、技術面の研究<br />
に対する支援や資<br />
金供与に期待する。<br />
外国企業を含む民<br />
間企業に対して、積<br />
極的な情報開示を<br />
行い、技術面、政策<br />
面で率直な協議が<br />
できる知識、人脈を<br />
持った人材。<br />
当該国の鉱業開発<br />
に関する法律、規<br />
制等<br />
を熟知した人材。<br />
- 319~320 -<br />
具体策含め将<br />
来的に検討し<br />
て行きたい。<br />
日本側J/V<br />
パートナーの<br />
国内工場にお<br />
ける実務研修<br />
は可能。<br />
(化学品・機能<br />
素材部門は)<br />
上流資源の開<br />
発に関する実<br />
績・経験が乏し<br />
く、具体的な支<br />
援策を実施す<br />
るのは困難。<br />
個別に御<br />
相談した<br />
い。<br />
・ 輸送イ<br />
ンフラ整<br />
備方針<br />
・ 環境対<br />
策
国内企業アンケート回答 ベトナム -3-<br />
商社7 A<br />
レアメタル(レア<br />
アース)<br />
D<br />
a, 及びb.<br />
レアメタル(レアアース)<br />
鉱業関係政府機関へ<br />
の対応は現地パート<br />
ナー社が担当している<br />
ため、直接的な接触が<br />
ない状況ですので、判<br />
断がつきかねます。<br />
ベトナムプロジェクトの<br />
インフラ整備ではODA<br />
につなげて頂き感謝し<br />
ています。しかし、<br />
JICAの貧困対策プロ<br />
グラムの一環というこ<br />
とで予算額が限られて<br />
おり、地方政府の期待<br />
に応えかねています。<br />
今後資金面での充実<br />
を期待します。<br />
技術面で言うと、選<br />
鉱、製錬関連の技術<br />
者の育成を望みま<br />
す。鉱山関連科目を<br />
教える大学(Ha Noi鉱<br />
山大学等)や国立の<br />
研究機関もあるようで<br />
すが、活動が低調な<br />
気がします。日本も同<br />
様に技術者が育って<br />
いませんが、共同で<br />
技術者を育成する機<br />
関を設立できないで<br />
しょうか。<br />
上記の選鉱、製<br />
錬技術者育成セ<br />
ンターの設立。<br />
メタコン1<br />
B 鉱徴地が多く、探査余<br />
地が多く残されている。 銅、レアアー<br />
ス、レアメタル C C コンサルタント業であるため<br />
メタコン2<br />
B:<br />
鉱種は多いが未開発・中<br />
小規模の鉱床が多い。<br />
仏領時代に詳<br />
細調査が行わ<br />
れ主要鉱徴は<br />
全土に亘りほ<br />
ぼ確認済み。<br />
今後新規発見<br />
可能な有望ポ<br />
テンシャル鉱種<br />
としては潜頭<br />
性・ミシシッピバ<br />
レー型鉛・亜鉛<br />
鉱床(北部地<br />
域)。<br />
C<br />
D:コンサル会<br />
社であり、直接<br />
投資する立場<br />
にない。<br />
④:直接投資はしないが、日本<br />
に近い有望資源国であり、資源<br />
開発コンサル業務の重要フィー<br />
ルドとして捉えている。<br />
・資源開発が国家計画<br />
(5カ年計画)の中に組<br />
み込まれ硬直的、参入<br />
外資の探鉱・開発活動<br />
に自由度がなく閉鎖<br />
的。<br />
・中央政府vs地方政府<br />
(人民委員会)の対立、<br />
利権問題・ワイロの横<br />
行、鉱区許認可制度<br />
の不透明性等、西側<br />
鉱産国に比べ投資環<br />
境は劣る。<br />
・一昨年政令による<br />
「精鉱輸出禁止」措置<br />
によりベースメタル資<br />
源ソース国としての魅<br />
力低下。<br />
・資源ナショナリズムに<br />
はそれを支えるに見<br />
合った技術の内製化<br />
が必要だが、現状は政<br />
策ありきで技術は外<br />
資・中国に依存してい<br />
る。(1990年代南米の<br />
国営→民営化策が鉱<br />
業振興に及ぼしたメ<br />
リットを学習すべし)<br />
資源評価の切口に社<br />
会主義時代の名残強<br />
く(含有金属量ベース<br />
の評価、コスト意識の<br />
欠如、政策先行、<br />
etc.)、収益を加味した<br />
鉱山操業管理意識・ノ<br />
ウハウに欠ける。<br />
地質鉱床の基礎レベ<br />
ルはソ連時代の留学<br />
経験者中心にある程<br />
度維持。しかしGIS・鉱<br />
床評価ソフトの技術は<br />
まだ緒についた段階、<br />
応用展開能力は無<br />
い。<br />
若手地質屋のフィー<br />
ルド能力はおしなべて<br />
低い。<br />
操業段階におけ<br />
る現場(特に労<br />
務)管理は現地<br />
スタッフが行わ<br />
ざるを得ないた<br />
め、(机上の理<br />
論ではなく)現場<br />
の操業・運営管<br />
理に必要な技<br />
術、生産管理の<br />
考え方をOJTの<br />
中できちんと仕<br />
込む必要がある<br />
鉱業実務<br />
教育の現<br />
行制度と将<br />
来計画。<br />
鉱業活動<br />
自由化へ<br />
の見通し、<br />
基本姿勢。<br />
鉱石(精<br />
鉱)輸出規<br />
制の見直し<br />
の可能性。<br />
- 3<strong>21</strong>~322 -
国内企業アンケート回答 ラオス -1-<br />
組織名<br />
Q1.鉱物資源ポテンシャルに<br />
ついて貴社はどうお考えです<br />
か?<br />
以下の選択肢から右回答欄<br />
に記入ください。その上で差<br />
し支えなければその理由を<br />
お聞かせください。<br />
A:大いにある<br />
B:ある<br />
C:多少ある<br />
D:ほとんどない<br />
E:よく判らない<br />
Q2.Q1で<br />
A,B,Cを選択<br />
された方へ<br />
お聞きしま<br />
す。ポテン<br />
シャルがある<br />
とご判断され<br />
る鉱種として<br />
は何をお考<br />
えでしょう<br />
か。<br />
Q3.貴社で<br />
は現在、右<br />
各国へ鉱<br />
業投資をさ<br />
れておられ<br />
ますか?<br />
A: はい<br />
B: 過去に<br />
投資したが<br />
現在は投<br />
資していな<br />
い<br />
C: 投資し<br />
ていない<br />
D:今後、投<br />
資予定で<br />
ある<br />
Q3-1.Q3でA,Bを<br />
選択された現在<br />
か過去に投資経<br />
験がおありか、D<br />
を選択された今後<br />
投資予定の方へ<br />
ご質問致します。<br />
その鉱業投資は、<br />
次のいずれです<br />
か?<br />
a:探鉱投資<br />
b:開発投資<br />
c:稼行中の鉱山<br />
への投資<br />
また、その対象鉱<br />
種は何ですか?<br />
併せてお差し支え<br />
なければ、同国の<br />
投資環境に対す<br />
る評価、ご判断を<br />
お聞かせ下さい<br />
(メリット/ディメリッ<br />
ト、その他)<br />
Q3-2.(人材)引<br />
き続きQ3でA,B,<br />
Dを選択された投<br />
資にご関心ある<br />
方へご質問致し<br />
ます。<br />
その鉱業投資検<br />
討・準備の際、鉱<br />
業関係政府機関<br />
の対応やサービ<br />
ス内容について<br />
いかなる感想を<br />
抱かれました<br />
か?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
この回答で、c:,d:<br />
と回答された方<br />
へ、どのような点<br />
に満足出来ませ<br />
んでしたか?ま<br />
た、そのことにつ<br />
いて、政府機関<br />
はどのような改善<br />
をすべきとお考え<br />
ですか?<br />
Q3-3.(人材)上記<br />
Q3-2をご回答頂い<br />
た方にお訊ねしま<br />
す。政府機関の人<br />
材の技術レベル・<br />
鉱業や地質知識に<br />
ついてどのような感<br />
想を抱かれました<br />
か?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
a:,b:と回答された方<br />
へ、どのような点に<br />
満足しましたか?<br />
どの職階の方です<br />
か?<br />
また、その相手方<br />
はどのような教育<br />
を受けた方かご存<br />
知ですか?<br />
Q3-3-2.(人<br />
材)政府機<br />
関の人材の<br />
技術レベ<br />
ル・鉱業や<br />
地質知識に<br />
ついて引き<br />
続きお尋ね<br />
します。上<br />
記Q3-3で、<br />
c:,d:と回答さ<br />
れた方へ、<br />
どのような<br />
点に満足出<br />
来ませんで<br />
したか?<br />
どの職階の<br />
方ですか?<br />
人材育成の<br />
見地からど<br />
のような改<br />
善策があり<br />
得るとお考<br />
えですか?<br />
Q3-4.Q3<br />
で B又はC<br />
を選択され<br />
た、現在は<br />
投資をされ<br />
ていない方<br />
へご質問致<br />
します。<br />
右各国へ<br />
の鉱業投<br />
資にご関心<br />
がおありで<br />
すか?<br />
A: 関心が<br />
あり、今後<br />
具体的投<br />
資予 定 が<br />
ある<br />
B: 関心が<br />
あり、条件<br />
次第で検討<br />
する<br />
C: 関心は<br />
あるが、投<br />
資までは考<br />
えていない<br />
D: 関心が<br />
ない<br />
Q3-5-1. Q3-4<br />
でA:,B:を選択<br />
された、投資<br />
予定や、投資<br />
の関心がおあ<br />
りの方へご質<br />
問致します。<br />
その鉱業投資<br />
は、次のいず<br />
れですか?<br />
①探鉱投資<br />
②開発投資<br />
③稼行中の鉱<br />
山への投資<br />
また、その対<br />
象鉱種は何で<br />
すか?<br />
Q3-5-2.Q3-4<br />
でB:を選択され<br />
た、条件次第で<br />
投資も可とお考<br />
えの方へご質<br />
問します。<br />
差し支えなけれ<br />
ば鉱種や条件<br />
などをお聞かせ<br />
下さい<br />
Q3-5-3.Q3-4でC:,D:を<br />
選択された、投資まで<br />
は考えておられない<br />
方、関心がない方へご<br />
質問いたします。関心<br />
が投資に結び付かない<br />
理由やご関心がおあり<br />
でない理由は何です<br />
か?<br />
①具体的な検討案件が<br />
ない。<br />
②検討案件はあるが投<br />
資に至らない。<br />
③投資環境の問題があ<br />
る。<br />
④その他(具体的に記<br />
載ください。)<br />
Q3-5-4.上記<br />
設問で③を選<br />
択された、投資<br />
環境の問題を<br />
お考えの方、あ<br />
るいはそれ以<br />
外のQ3-2のD<br />
の今後投資予<br />
定の方を含め<br />
て、本項目にご<br />
関心の方にご<br />
質問致します。<br />
投資環境の問<br />
題点は何でしょ<br />
うか。(複数回<br />
答可)その他以<br />
外は、まず項目<br />
でお答えくださ<br />
い。<br />
a:鉱業関連法制<br />
度(運用含む)<br />
b:環境規制その<br />
他の制度<br />
c:社会環境<br />
d:その他(具体<br />
的お書きくださ<br />
い)<br />
Q3-5-5. 上<br />
記設問で<br />
a:鉱業関連<br />
法制度、あ<br />
るいは<br />
b:環境規制<br />
その他の<br />
制度の問<br />
題<br />
を選択され<br />
た方へご質<br />
問致しま<br />
す。<br />
差し支えな<br />
ければ、ど<br />
のような問<br />
題かお聞<br />
かせ下さ<br />
い。<br />
Q3-5-6. Q3-5-4でc:<br />
社会環境、あるいはd:<br />
その他の問題を選択<br />
された方へご質問致し<br />
ます。<br />
投資阻害要因の中<br />
に、法制度以外に行<br />
政、治安、保安、現地<br />
コミュニティーとの関係<br />
などがありますか?<br />
①含まれている<br />
②含まれていない<br />
①を回答された場合<br />
差し支えなければ、阻<br />
害要因としてどのよう<br />
な問題を懸念されてい<br />
るかお聞かせ下さい。<br />
Q4.その他鉱業を<br />
中心に、投資環境、<br />
ODAに対するご要<br />
望などについて、ご<br />
自由にご意見をお<br />
聞かせ下さい<br />
Q5.(人材)インドシナ三カ国<br />
(ベトナム、ラオス、カンボジ<br />
ア)への日本政府及び関係<br />
機関からの鉱業支援として、<br />
どのような人材育成が適切<br />
とお考えですか?<br />
良いアイディアをお寄せくだ<br />
さい。共通でも各国個別でも<br />
結構です。<br />
Q6.(人材)また、<br />
具体的案件で投<br />
資等を進めていく<br />
場合に、将来会<br />
社側で「人材育<br />
成」に資する支援<br />
策を実施すること<br />
は可能でしょう<br />
か?その場合に<br />
考えられる支援<br />
策の内容を例示<br />
して下さい。<br />
Q7.また、今回<br />
当協会が現地で<br />
鉱業関係分野<br />
の主として人材<br />
育成および投資<br />
環境調査を実施<br />
するにあたり、<br />
特に調査をご希<br />
望される項目、<br />
事項などおあり<br />
でしたらお聞か<br />
せ下さい。<br />
鉱山1<br />
C<br />
対象地域の地質等に関する<br />
一般情報より。<br />
銅、金他 C D<br />
①<br />
③<br />
④(よりポテンシャルの<br />
大きい地域での探鉱に<br />
力を入れており、当地<br />
域に資源を投入する余<br />
裕がない)<br />
d (正式な調査<br />
を行ったわけで<br />
なく、国民感情<br />
や民度等に関<br />
する一般的な<br />
印象)<br />
①<br />
鉱山2<br />
B:ある<br />
SeponやPhuKhamを代表と<br />
する非鉄資源の存在は確認<br />
されている。今後鉱業投資<br />
が加速されると期待してい<br />
る。<br />
銅・鉛・亜鉛<br />
を始めとする<br />
非鉄金属鉱<br />
を期待した<br />
い。<br />
C: 投資し<br />
ていない<br />
資源情報の開<br />
示・発信量<br />
鉱業情報の<br />
整備、海外<br />
投資促進。<br />
C: 関心は<br />
あるが、投<br />
資までは考<br />
えていない<br />
①具体的な検討案件が<br />
ない。<br />
鉱山3 B:ある 銅・金<br />
C: 投資し<br />
ていない<br />
B: 関心が<br />
あり、条件<br />
次第で検討<br />
する<br />
①探鉱投資 銅・金<br />
・国が保有する地<br />
質鉱床データ(地質<br />
図、鉱徴地分布図<br />
等)の公表が可能と<br />
なるデータベースの<br />
構築や公開制度創<br />
設への支援などは<br />
有効<br />
・地質学、鉱床学の知識、技<br />
術を修めるための教育機関<br />
設立支援<br />
・民間企業へのOJT派遣<br />
・投資等のステー<br />
ジに応じて、調<br />
査、開発、操業等<br />
の要員確保が必<br />
要であり、会社側<br />
ニーズに応じた<br />
現地での教育が<br />
必要と思われる<br />
・鉱業法改正や<br />
諸規則制定の<br />
状況(結果)<br />
鉱山4<br />
A:大いにある。<br />
・ タイ北部から連続する銅・<br />
金鉱徴地が多数分布する。<br />
・ 地質・鉱床学的に未知の<br />
部分が多く、未探鉱のエリア<br />
が広い。<br />
銅・金<br />
D:今後、投<br />
資予定で<br />
ある。<br />
a.探鉱投資 探鉱<br />
権を取得済みで、<br />
近々探鉱を開始<br />
する予定。<br />
b:満足<br />
探鉱権申請段階<br />
では、現地代表<br />
事務所の設置で<br />
可能(運用上)で<br />
あり、この点では<br />
探鉱権申請要件<br />
のハードルが低<br />
い。<br />
b:満足<br />
相手方は幹部(副<br />
局長~局長)レベ<br />
ルであり、海外留<br />
学経験もある。ま<br />
た、探鉱権申請段<br />
階では深い専門的<br />
な鉱業・地質知識<br />
は必要ないことか<br />
ら大きなレベル差<br />
を感じることはな<br />
い。<br />
人材層の厚さに懸<br />
念がある。<br />
・政情・治安の安定度<br />
・ベトナム戦争時の不<br />
発弾の存在<br />
・外貨送金の自由度<br />
・外国投資(税制優遇)<br />
制度<br />
かつてのG―G調査のような<br />
スキームを復活させ、一定<br />
期間(2~3ヶ月)に亘って、<br />
日本側と相手国側が共同<br />
で、地質あるいは鉱床調査<br />
を行うなかで、技術移転・技<br />
術交流・人脈形成を図って<br />
はどうかと思う。<br />
・探鉱段階での政<br />
府技術職員の受<br />
け入れ<br />
・開発段階での<br />
OJT<br />
・開発段階でのス<br />
カラーシップ<br />
・高専・大学で<br />
の基盤教育の<br />
有無<br />
・国立機関の基<br />
礎的インフラや<br />
設備(スタッフ<br />
数、調査道具、<br />
分析機器等)<br />
鉱山5 B<br />
金、銅、亜<br />
鉛、鉛、アル<br />
ミ<br />
C B ① 亜鉛 a,c<br />
①<br />
不発弾、地雷源<br />
資源ナショナリズム<br />
全国の地質図に加<br />
えて、地化探図、重<br />
力図などの整備が<br />
必要<br />
全国図の整備<br />
鉱業法規<br />
環境影響調査<br />
人材育成のため<br />
の人材は日本の<br />
会社でも乏しく難<br />
しい<br />
鉱徴・鉱床リスト<br />
などデーター<br />
ベースの存在の<br />
有無、公表の可<br />
否<br />
鉱山6 C 銅 C D ①<br />
鉱山7 E C D ①<br />
商社1<br />
B(銅)<br />
D&E(鉄鉱石)<br />
E(非鉄金属・石炭・鉄鉱石)<br />
Q1参照<br />
C<br />
(銅を含む<br />
非鉄金属・<br />
石炭・鉄鉱<br />
石)<br />
B<br />
なお、全く<br />
知識がなく<br />
判断できな<br />
いという意<br />
見もある。<br />
②(銅)<br />
③(銅・金)<br />
<br />
条件;・鉱量ポ<br />
テンシャルの確<br />
認<br />
・鉱業法制の整<br />
備<br />
・日本向けに適<br />
した品質<br />
①<br />
資源外交の観点か<br />
らは、全方位ではな<br />
く、戦略をもって地<br />
域・国を選定し、集<br />
中的かつ持続的に<br />
実施するべきと感じ<br />
る。<br />
技術面に加え、プロジェクト<br />
マネジメント関連での広範な<br />
人材育成が適切と考える。<br />
また、反対派との調整や地<br />
元への還元といった持続的<br />
開発の観点に立って資源開<br />
発を考えられるような人材の<br />
育成が望まれる。<br />
鉱山開発/操業<br />
を通じて必然的に<br />
労働者に対する<br />
人材育成を行うこ<br />
とになるため、そ<br />
れ以上の支援策<br />
が必要とは感じら<br />
れない。<br />
- 323~324 -
商社2<br />
B<br />
2008 年12 月、ラオス政府と<br />
の間でボーキサイトに関する ボーキサイト D<br />
Exploration Agreement 締<br />
結済み。<br />
a.<br />
・ボーキサイト探<br />
査実施の為の現<br />
地会社設立を予<br />
定している。<br />
・投資環境につい<br />
ては、日ラオス投<br />
資協定が発効し<br />
ており、且つ新<br />
Mining Lawの制<br />
定の動きもあり、<br />
改善しつつある。<br />
b<br />
b.<br />
・上は大臣・局長ク<br />
ラスから、下は担<br />
当者まで。<br />
・大臣・局長クラス<br />
は、旧ソ連東欧諸<br />
国や、西側諸国に<br />
留学した人が多く、<br />
英語も話し、特に<br />
問題はない。<br />
・担当者クラスは、<br />
英語を充分話せな<br />
い人が多く、<br />
communicationに<br />
やや困難が伴う。<br />
商社3 C 銅 C<br />
商社4 E C C<br />
商社5<br />
商社6<br />
C<br />
理由:既発見の鉱床はやや<br />
小規模であるが地質的に銅<br />
-金鉱床のポテンシャルは<br />
あると考えている。<br />
A<br />
ラオスには、金属鉱徴地を<br />
伴った構造帯が知られてお<br />
り、その構造体には既に開<br />
発されているSepon銅金鉱山<br />
やPhu Kham銅金鉱山があ<br />
る。また、ラオスでは探鉱が<br />
後れており、未だ見つかって<br />
いない鉱床がこれらの構造<br />
帯に存在する可能性は大い<br />
にあると考えられる。<br />
ベースメタル C C<br />
a<br />
全員ではな<br />
対象鉱種は銅で<br />
いが(その<br />
す。<br />
人の能力に<br />
ラオスは、積極的<br />
よると考え<br />
に海外からの投<br />
られます<br />
資を受け入れて<br />
c<br />
が)、案件の<br />
A おり、周辺諸国に<br />
ラオスにはNational 計画説明の<br />
今年の9月 比べて鉱業関係<br />
Polytechnic 際に地質学<br />
さまざまな鉱 15日にラオ への参入が難しく<br />
Institutionがありそ 的な基本的<br />
種について ス政府と探 ない。周囲に海が<br />
c<br />
こで教育を受けて な質問を問<br />
ポテンシャル 鉱協定書 ないこと(locked<br />
やや対応が遅く、 いるようである。ま われること<br />
があると考え を結び、日 country)がデメ<br />
時間がかかる。 た、幹部候補生 があった。<br />
ていますが、 鉄鉱業と協 リットではあった<br />
は、ロシア、中国、 ラオス側の<br />
特には銅お 同で探査を が東西回路が開<br />
ベトナムで研修を 要望として<br />
よび金です。 行っていま 通し、また鉄道も<br />
受けているようで は講師など<br />
す。 開通したことに<br />
す。<br />
を招いて全<br />
よってインフラも<br />
体に講義を<br />
整備されつつあ<br />
行ってほし<br />
る。ODAについて<br />
いとの話を<br />
は日本が一番多<br />
よく聞いて<br />
く、日本に対して<br />
います。<br />
は好意的である。<br />
商社7 C 銅 C B<br />
メタコン1<br />
メタコン2<br />
B 鉱徴地が多く、探査余地が<br />
多く残されている<br />
B+:<br />
セポン鉱山、プーカン鉱山周辺<br />
にはポジティブな探鉱・開発余<br />
地があり、また探査が不十分な<br />
中・小規模の鉱床が多い。<br />
- 325~326 -<br />
銅、金、アルミ C C<br />
既存鉱床と今<br />
までの探査結<br />
果から、斑岩<br />
銅・金鉱床、<br />
カーリン型金<br />
鉱床、スカル<br />
ン型銅・亜鉛<br />
鉱床、含金石<br />
英脈鉱床、ミ<br />
シシッピバ<br />
レー型鉛・亜<br />
鉛鉱床、錫石<br />
英脈鉱床。<br />
C<br />
D:コンサル会<br />
社であり、直<br />
接投資する<br />
立場にない<br />
国内企業アンケート回答 ラオス -2-<br />
①探鉱投資<br />
銅、レアメタル<br />
(レアアース)<br />
銅、レアメタル(レ<br />
アアース)<br />
資源投資先の優先順位<br />
として他の地域が先に<br />
来るケースが結果的に<br />
多くなっているような気<br />
がします。<br />
①<br />
当該市場に関する情<br />
報、知識の蓄積がない<br />
鉱種により①、②<br />
全般的に③<br />
コンサルタント業であるた<br />
め<br />
④:直接投資はしないが、<br />
日本に近い有望資源国で<br />
あり、資源開発コンサル業<br />
務の重要フィールドとして<br />
捉えている。<br />
d. 輸送インフラ<br />
が未整備。未開<br />
発地域での安<br />
全性リスク(地<br />
雷等)。<br />
ODA: 側面サポートと<br />
して引続き周辺インフ<br />
ラ(道路、鉄道、発電<br />
所、学校、病院<br />
等々)整備への無<br />
償・有償ODA支援を<br />
希望。<br />
引続き国際資源大学等での<br />
研修制度活用が望ましいと<br />
思う。<br />
② 資源大学へのINVITATION<br />
②<br />
探査費用について<br />
政府支援が得られ<br />
る等の施策は投資<br />
する側にとって有効<br />
な方策となりうる<br />
現在は探鉱活動が<br />
中心ではあるが、<br />
今後開発を行って<br />
いく中で、インフラ<br />
が整っているとはい<br />
えないためODAな<br />
どでカバーしてもら<br />
いたい。<br />
・豪州企業のみならず<br />
隣国の中国・ベオナ<br />
ム・タイ企業の探査・<br />
鉱山開発に開放的な<br />
鉱業政策。<br />
・鉱業権取得に透明<br />
性はやや劣るが、投<br />
資環境はインドシナ3<br />
国では比較的良く、地<br />
方への権益の分配が<br />
比較的スムーズ。<br />
具体策含め将来<br />
的に検討して行き<br />
たい。<br />
現在進めている<br />
まずはラオスが要望してい<br />
るように日本からの技術者<br />
を派遣し、講義中心(場合に<br />
よっては巡検程度の実地訓<br />
練)を行うことが必要と考え<br />
ます。<br />
地質局、鉱山局のどの部門に<br />
おいても人材が不足している。<br />
また技術レベルの向上も必要で<br />
ある。 2010年<br />
からラオス大学に地質・資源の<br />
コースが設置されると聞いてい<br />
るが、まず大学で技術者を養成<br />
することが必要である。<br />
3カ国の中で友好的な国民性で<br />
あり、3カ国共通の公共の分析<br />
(岩石、鉱石、土壌)センター、リ<br />
モートセンシングセンターの設<br />
置と、各専門家の育成。<br />
案件の中で人材<br />
育成についてもラ<br />
オス側からも求め<br />
られているので、<br />
探鉱を行っていく<br />
中で人材を育成<br />
していく予定。<br />
操業段階における<br />
現場(特に労務)管<br />
理は現地スタッフが<br />
行わざるを得ない<br />
ため、(机上の理論<br />
ではなく)現場の操<br />
業・運営管理に必<br />
要な技術、生産管<br />
理の考え方をOJT<br />
の中できちんと仕込<br />
む必要がある<br />
個別に御相談し<br />
たい。<br />
輸送インフラ整<br />
備方針<br />
・鉱業税制(ロイヤ<br />
リテイ、所得税等)<br />
の改革計画<br />
・地質・鉱業教育<br />
制度の計画と改<br />
革。<br />
・鉱区カダストラル<br />
システムの現状
国内企業アンケート回答 カンボジア -1-<br />
組織名<br />
Q1.鉱物資源ポテン<br />
シャルについて貴社<br />
はどうお考えです<br />
か?<br />
以下の選択肢から右<br />
回答欄に記入くださ<br />
い。その上で差し支<br />
えなければその理由<br />
をお聞かせください。<br />
A:大いにある<br />
B:ある<br />
C:多少ある<br />
D:ほとんどない<br />
E:よく判らない<br />
Q2.Q1で<br />
A,B,Cを選択<br />
された方へ<br />
お聞きしま<br />
す。ポテン<br />
シャルがあ<br />
るとご判断さ<br />
れる鉱種と<br />
しては何を<br />
お考えでしょ<br />
うか。<br />
Q3.貴社<br />
では現<br />
在、右各<br />
国へ鉱業<br />
投資をさ<br />
れておら<br />
れます<br />
か?<br />
A: はい<br />
B: 過去<br />
に投資し<br />
たが現在<br />
は投資し<br />
ていない<br />
C: 投資<br />
していな<br />
い<br />
D:今後、<br />
投資予定<br />
である<br />
Q3-1.Q3でA,Bを<br />
選択された現在<br />
か過去に投資経<br />
験がおありか、D<br />
を選択された今<br />
後投資予定の方<br />
へご質問致しま<br />
す。<br />
その鉱業投資<br />
は、次のいずれ<br />
ですか?<br />
a:探鉱投資<br />
b:開発投資<br />
c:稼行中の鉱山<br />
への投資<br />
また、その対象<br />
鉱種は何です<br />
か? 併せてお<br />
差し支えなけれ<br />
ば、同国の投資<br />
環境に対する評<br />
価、ご判断をお聞<br />
かせ下さい<br />
(メリット/ディメ<br />
リット、その他)<br />
Q3-2.(人材)引<br />
き続きQ3でA,B,<br />
Dを選択された<br />
投資にご関心あ<br />
る方へご質問致<br />
します。<br />
その鉱業投資検<br />
討・準備の際、<br />
鉱業関係政府機<br />
関の対応やサー<br />
ビス内容につい<br />
ていかなる感想<br />
を抱かれました<br />
か?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
この回答で、c:,d:<br />
と回答された方<br />
へ、どのような点<br />
に満足出来ませ<br />
んでしたか?ま<br />
た、そのことにつ<br />
いて、政府機関<br />
はどのような改<br />
善をすべきとお<br />
考えですか?<br />
Q3-3.(人材)上記<br />
Q3-2をご回答頂い<br />
た方にお訊ねしま<br />
す。政府機関の人<br />
材の技術レベル・<br />
鉱業や地質知識に<br />
ついてどのような感<br />
想を抱かれました<br />
か?<br />
a:非常に満足<br />
b:満足<br />
c:やや不満足<br />
d:不満足<br />
a:,b:と回答された方<br />
へ、どのような点に<br />
満足しましたか?ど<br />
の職階の方です<br />
か?<br />
また、その相手方<br />
はどのような教育を<br />
受けた方かご存知<br />
ですか?<br />
Q3-3-2.(人<br />
材)政府機関<br />
の人材の技術<br />
レベル・鉱業や<br />
地質知識につ<br />
いて引き続き<br />
お尋ねします。<br />
上記Q3-3で、<br />
c:,d:と回答され<br />
た方へ、どのよ<br />
うな点に満足<br />
出来ませんで<br />
したか? どの<br />
職階の方です<br />
か?<br />
人材育成の見<br />
地からどのよう<br />
な改善策があ<br />
り得るとお考え<br />
ですか?<br />
Q3-4.Q3<br />
で B又はC<br />
を選択され<br />
た、現在は<br />
投資をされ<br />
ていない方<br />
へご質問<br />
致します。<br />
右各国へ<br />
の鉱業投<br />
資にご関<br />
心がおあり<br />
ですか?<br />
A: 関心が<br />
あり、今後<br />
具体的投<br />
資予 定 が<br />
ある<br />
B: 関心が<br />
あり、条件<br />
次第で検<br />
討する<br />
C: 関心は<br />
あるが、投<br />
資までは考<br />
えていない<br />
D: 関心が<br />
ない<br />
Q3-5-1. Q3-4<br />
でA:,B:を選択さ<br />
れた、投資予<br />
定や、投資の<br />
関心がおあり<br />
の方へご質問<br />
致します。<br />
その鉱業投資<br />
は、次のいず<br />
れですか?<br />
①探鉱投資<br />
②開発投資<br />
③稼行中の鉱<br />
山への投資<br />
また、その対象<br />
鉱種は何です<br />
か?<br />
Q3-5-2.Q3-4でB:<br />
を選択された、条件<br />
次第で投資も可と<br />
お考えの方へご質<br />
問します。<br />
差し支えなければ<br />
鉱種や条件などを<br />
お聞かせ下さい<br />
Q3-5-3.Q3-4でC:,D:を選択され<br />
た、投資までは考えておられない<br />
方、関心がない方へご質問いた<br />
します。関心が投資に結び付か<br />
ない理由やご関心がおありでな<br />
い理由は何ですか?<br />
①具体的な検討案件がない。<br />
②検討案件はあるが投資に至ら<br />
ない。<br />
③投資環境の問題がある。<br />
④その他(具体的に記載くださ<br />
い。)<br />
Q3-5-4.上記設<br />
問で③を選択され<br />
た、投資環境の問<br />
題をお考えの方、<br />
あるいはそれ以<br />
外のQ3-2のDの<br />
今後投資予定の<br />
方を含めて、本項<br />
目にご関心の方<br />
にご質問致しま<br />
す。投資環境の<br />
問題点は何でしょ<br />
うか。(複数回答<br />
可)その他以外<br />
は、まず項目でお<br />
答えください。<br />
a:鉱業関連法制<br />
度(運用含む)<br />
b:環境規制その<br />
他の制度<br />
c:社会環境<br />
d:その他(具体的<br />
お書きください)<br />
Q3-5-5. 上<br />
記設問でa:<br />
鉱業関連<br />
法制度、あ<br />
るいはb:環<br />
境規制そ<br />
の他の制<br />
度の問題を<br />
選択された<br />
方へご質問<br />
致します。<br />
差し支えな<br />
ければ、ど<br />
のような問<br />
題かお聞<br />
かせ下さ<br />
い。<br />
Q3-5-6. Q3-5-4で<br />
c:社会環境、あるい<br />
はd:その他の問題<br />
を選択された方へ<br />
ご質問致します。<br />
投資阻害要因の中<br />
に、法制度以外に<br />
行政、治安、保安、<br />
現地コミュニティー<br />
との関係などがあ<br />
りますか?<br />
①含まれている<br />
②含まれていない<br />
①を回答された場<br />
合<br />
差し支えなければ、<br />
阻害要因としてど<br />
のような問題を懸<br />
念されているかお<br />
聞かせ下さい。<br />
Q4.その他鉱業を中<br />
心に、投資環境、<br />
ODAに対するご要望<br />
などについて、ご自<br />
由にご意見をお聞か<br />
せ下さい<br />
Q5.(人材)インドシナ三<br />
カ国(ベトナム、ラオス、<br />
カンボジア)への日本政<br />
府及び関係機関からの<br />
鉱業支援として、どのよ<br />
うな人材育成が適切とお<br />
考えですか?<br />
良いアイディアをお寄せ<br />
ください。共通でも各国<br />
個別でも結構です。<br />
Q6.(人材)ま<br />
た、具体的案件<br />
で投資等を進め<br />
ていく場合に、<br />
将来会社側で<br />
「人材育成」に<br />
資する支援策を<br />
実施することは<br />
可能でしょう<br />
か?その場合<br />
に考えられる支<br />
援策の内容を<br />
例示して下さ<br />
い。<br />
Q7.また、今回<br />
当協会が現地<br />
で鉱業関係分<br />
野の主として人<br />
材育成および<br />
投資環境調査<br />
を実施するにあ<br />
たり、特に調査<br />
をご希望される<br />
項目、事項など<br />
おありでしたら<br />
お聞かせ下さ<br />
い。<br />
鉱山1<br />
C<br />
対象地域の地質等に<br />
関する一般情報よ<br />
り。<br />
銅他 C D<br />
①<br />
③<br />
④(よりポテンシャルの大きい地<br />
域での探鉱に力を入れており、<br />
当地域に資源を投入する余裕が<br />
ない)<br />
d (正式な調査を<br />
行ったわけでな<br />
く、国民感情や民<br />
度等に関する一<br />
般的な印象)<br />
①<br />
鉱山2<br />
B:ある<br />
非鉄金属資源ポテン<br />
シャルは未知な部分<br />
が多い。<br />
銅・鉛・亜鉛<br />
を始めとす<br />
る非鉄金属<br />
鉱を期待し<br />
たい。<br />
C: 投資<br />
していな<br />
い<br />
資源情報の開<br />
示・発信量<br />
鉱業情報の整<br />
備、海外投資<br />
促進。<br />
C: 関心は<br />
あるが、投<br />
資までは考<br />
えていない<br />
①具体的な検討案件がない。<br />
鉱山3 D:ほとんどない<br />
C:投資し<br />
ていない<br />
D: 関心が<br />
ない<br />
①具体的な検討案件がない。<br />
鉱山4<br />
A:大いにある。<br />
・地質・鉱床学的に未<br />
知の部分が多く、未<br />
探鉱のエリアが広<br />
い。<br />
銅・金・鉄<br />
D:今後、<br />
投資予定<br />
である。<br />
a.100%子会社<br />
を設立し、探鉱権<br />
を申請中である。<br />
c.やや不満足<br />
探鉱権申請段階<br />
でも現地法人を<br />
設立し、それを<br />
維持しなければ<br />
なければならな<br />
いこと(現地代表<br />
事務所では不<br />
可)。<br />
b:満足<br />
相手方は幹部(局<br />
長~総局長)レベ<br />
ルであり、海外留学<br />
経験もある。また、<br />
探鉱権申請段階で<br />
は深い専門的な鉱<br />
業・地質知識は必<br />
要ないことから大き<br />
なレベル差を感じる<br />
ことはない。<br />
しかし、カンボジア<br />
には近代鉱山がな<br />
く議論が時として理<br />
想・理論先行となる<br />
場合もある。<br />
人材層の厚さに懸<br />
念がある。<br />
・政情・治安の安定<br />
度<br />
・内戦時の地雷の<br />
存在<br />
かつてのG―G調査のよ<br />
うなスキームを復活さ<br />
せ、一定期間(2~3ヶ<br />
月)に亘って、日本側と<br />
相手国側が共同で、地<br />
質あるいは鉱床調査を<br />
行うなかで、技術移転・<br />
技術交流・人脈形成を<br />
図ってはどうかと思う。<br />
・探鉱段階での<br />
政府技術職員<br />
の受け入れ<br />
・開発段階での<br />
OJT<br />
・開発段階での<br />
スカラーシップ<br />
・高専・大学で<br />
の基盤教育の<br />
有無<br />
・国立機関の基<br />
礎的インフラや<br />
設備(スタッフ<br />
数、調査道具、<br />
分析機器等)<br />
鉱山5 C<br />
銅、金、カリ<br />
ウム<br />
C C ① a,c<br />
①<br />
不発弾、地雷源<br />
全国の地質図に加え<br />
て、地化探図、重力<br />
図などの整備が必要<br />
全国図の整備<br />
鉱業法規<br />
環境影響調査<br />
人材育成のた<br />
めの人材は日<br />
本の会社でも乏<br />
しく難しい<br />
鉱徴・鉱床リス<br />
トなどデーター<br />
ベースの存在<br />
の有無、公表<br />
の可否<br />
鉱山6 C 銅 C C ①<br />
鉱山7 E C D ①<br />
商社1<br />
D&E(鉄鉱石)<br />
E(銅などの非鉄金<br />
属・石炭)<br />
Q1参照<br />
C(銅を<br />
含む非鉄<br />
金属・石<br />
炭・鉄鉱<br />
石)<br />
B<br />
なお、全く<br />
知識がなく<br />
判断できな<br />
いという意<br />
見もある。<br />
②&③ (銅・<br />
金)<br />
<br />
条件;・鉱量ポテ<br />
ンシャルの確認<br />
・鉱業法制の整備<br />
・日本向けに適した<br />
品質<br />
①<br />
- 327~328 -
国内企業アンケート回答 カンボジア -2-<br />
商社2 B ボーキサイト C B ①ボーキサイト ・ターゲットの良し<br />
悪し次第。<br />
商社3 C<br />
銅、アルミニ<br />
ウム<br />
商社4 E C C<br />
商社5<br />
C<br />
理由:既発見の鉱床<br />
はやや小規模である<br />
が地質的にベースメ<br />
タル、貴金属のポテ<br />
ンシャルはあると考<br />
えている。<br />
ベースメタル C C<br />
商社6 E C ①<br />
メタコン1 B<br />
メタコン2<br />
B-:<br />
金、ベースメタル、鉄の<br />
鉱徴地が多いが、充分<br />
な地質調査が実施され<br />
ていない。<br />
銅、アルミニ<br />
ウム<br />
- 329~330 -<br />
既存資料か<br />
ら、銅・モリブ<br />
デン鉱床、含<br />
金・鉛亜鉛鉱<br />
床。可能性の<br />
ある鉱床とし<br />
て、ポリメタル<br />
C<br />
鉱脈鉱床、ス<br />
カルン型銅・<br />
亜鉛鉱床、斑<br />
岩銅鉱床、ミ<br />
シシッピバ<br />
レー型鉛・亜<br />
鉛鉱床。<br />
C<br />
資源投資先の優先順位として他<br />
の地域が先に来るケースが結果<br />
的に多くなっているような気がし<br />
ます。<br />
①<br />
当該市場に関する情報、知識<br />
の蓄積がない<br />
鉱種により①、②<br />
全般的に③<br />
C C コンサルタント業であるため<br />
D:コンサル<br />
会社であり、<br />
直接投資す<br />
る立場にな<br />
い。<br />
④:直接投資はしないが、日本に近<br />
い有望資源国であり、資源開発コン<br />
サル業務の重要フィールドとして捉え<br />
ている。<br />
d. 未開発地域で<br />
の安全性リスク<br />
(地雷等)。<br />
②<br />
②<br />
ODA: 側面サポートとし<br />
て引続き周辺インフラ<br />
(道路、鉄道、発電<br />
所、学校、病院等々)<br />
整備への無償・有償<br />
ODA支援を希望。<br />
探査費用について政<br />
府支援が得られる等<br />
の施策は投資する側<br />
にとって有効な方策<br />
となりうる<br />
・鉱業政策はドラフト段<br />
階で、政府の中で承認<br />
されていない。<br />
・法律、関連法案が未<br />
整備。<br />
・鉱業法は不完全で、進<br />
出企業は政府と鉱業協<br />
定を個別に取り交わし、<br />
探鉱を実施。<br />
・鉱業権取得や権利保<br />
障に透明性がなく、ガバ<br />
ナンスが低い。<br />
・鉱物資源ポテンシャル<br />
地域や既存鉱区が地<br />
雷・不発弾の可能性の<br />
ある地区となっているこ<br />
とが多く、探査・開発活<br />
動に支障があり、それら<br />
の探知・除去にコストが<br />
掛かる。また、森林や農<br />
業のコンセッションと重<br />
複があるも、政府機関<br />
に調整能力なし。<br />
引続き国際資源大学等<br />
での研修制度活用が望<br />
ましいと思う。<br />
資源大学へのINVITATI<br />
ON<br />
具体策含め将<br />
個別に御相談<br />
来的に検討して<br />
したい。<br />
行きたい。<br />
人材が質・量ともに不足して<br />
いる。<br />
政府の鉱業管轄機関の職<br />
員は、資源開発に関する基 ・鉱業協定の中で<br />
本的知識、技術を十分に理 カンボジア人労働<br />
解していない。その背景に 者の教育訓練が<br />
は、国内の高等教育機関に 義務図けられてお<br />
は、地質や鉱業に関する学 り、外国企業はや<br />
部、学科がないためであ むなく政府職員を<br />
る。<br />
受け入れてOJT<br />
日本政府による、研修機関 実施。但し、日<br />
や高等教育施設の建設や、 当、滞在費、教育<br />
我が国や鉱業先進国から 費は全て企業負<br />
の講師の派遣によって、カ 担。<br />
ンボジア人の鉱業専門家を<br />
育成する姿が望ましい。<br />
輸送インフラ整<br />
備方針
巻末資料-5<br />
海外アンケート設問(和文・英文)
海外アンケート設問和文<br />
職員の技術スキルと人材育成ならびに鉱山活動と鉱業関係法スキームに関する質問<br />
1. あなたの職場(organization)の組織はどうなっていますか?小単位ごとの名称と機能は<br />
いかがですか?<br />
2. 職場の歴史:かつて職場はどこに属していましたか?<br />
3. 職場の就業人数は?<br />
4-1. 職場における博士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
4-2. 職場における修士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
4-3. 職場における学士号の保持者は?そしてそれはどの分野ですか?<br />
5. 職場における年齢構成/分布はどのような傾向と配置になっていますか<br />
6. 最近と過去における職員の新規採用はどんな状況ですか?<br />
8. 政府に勤務していた人(あなたの職場で)が自発的に早期に退職した後、鉱山関係企業<br />
に就職する例はありますか?<br />
9. 鉱山関係企業に勤務していた人が自発的に早期に退職した後、政府(あなたの職場に)<br />
に就職する例はありますか?<br />
10. あなたの職場の予算規模と小項目ごとの配分や構造はどうなっていますか?予算は十<br />
分と言えますか?<br />
11. 職員の技術スキルについてどう評価していますか?<br />
(a)すべての分野で十分<br />
(b) ある分野では十分、しかしある分野では不十分<br />
(c) ある分野で不十分<br />
(d)すべての分野で不十分<br />
11-1. 職員が十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
- 331 -
11-2. 職員はその能力をどこでどのようにして身につけましたか?現在でもその方法は可<br />
能ですか?<br />
11-3 職員が不十分な技術スキルを有している分野は何ですか?<br />
11-4. どのような手段で、またどのようにして、この不十分な技術スキル人材を改善すれば<br />
よいとお考えですか?<br />
12. あなたの職場で職員の典型的な教育や職業のバックグラウンドやキャリア(政府に入る<br />
前/と入った後で)はどうなっていますか?<br />
13. 職場の職員に対する人材育成や教育の基本方針はどのようなものですか?<br />
14. 職場内と外での職員に対する人材育成/教育の実際のコースについてお尋ねします。<br />
-どれくらいの頻度で?<br />
-どのようなコースが(内部/外部)?<br />
-何人が参加可能ですか?<br />
14-1. 日々の業務の中でどのような OJT 訓練が実施されていますか?あるいはどのような<br />
仕事が職員の技術能力の向上に良いですか?<br />
14-2. 職場では、通常業務を離れての海外における訓練コースや教育機会を有しています<br />
か?<br />
15. 海外の技術専門家が職場に滞在して(過去の滞在した)、何かを教えたことがあります<br />
か?どの国からでしたか?どれくらいの期間?どのような分野でしたか?<br />
16. 大学や教育機関や研究機関または鉱業企業と鉱山学や地質学の分野で協力関係を構築<br />
していますか?(この質問は国内と海外両方についてお答えください。)<br />
17. 鉱山学・地質学での貴国の大学や教育機関や研究機関について、どのように評価されて<br />
いますか?<br />
18. もしこの分野での大学、教育機関、研究機関が貴国にない場合には、そのようなコース<br />
(鉱山学や地質学)を設けることについての意見や希望をお聞かせください。<br />
- 332 -
あなたはそのようなことは必要とお考えですか?<br />
19. 鉱業活動促進のための人材育成について外国に期待したいことについて<br />
20. 同じ質問ですが、特に日本に期待したいことについて<br />
<strong>21</strong>. 貴国の鉱業活動についての評価<br />
-経済的に<br />
-地域的に<br />
-輸出の観点から<br />
22. 鉱業関係産業について開発の目標がありますか?<br />
23. 金属鉱山では貴国では将来どのような鉱種が繁栄するとお考えですか?ベスト3を上<br />
げてください<br />
24. 鉱業法や鉱業に関係する政府規則で何か欠点や、改善や改訂を要する事項をご存じでは<br />
ありませんか?<br />
24-2. こうした事項について、何か改善が進行しているということはご存じありませんか?<br />
25-1. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 探鉱や採鉱の権利を持たないで実施される小規模の鉱業活動<br />
25-2. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?<br />
- 環境問題を起こさないための対策の強化<br />
25-3. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか? (ベトナム/<br />
カンボジアにつき)<br />
鉱石の原則輸出禁止:この原則は継続されますか?どのような場合において例外措置があ<br />
りますか?<br />
25-4. 以下の事が、鉱業に対する外国からの直接投資を阻害していませんか?- (ラオスにつ<br />
き)<br />
MEPA (Mineral Exploration and Production Agreement)は秘密事項と理解していますが、<br />
この MEPA を鉱業法体系に規定して公開とすることは出来ませんか?<br />
- 333 -
26-1. 鉱業活動促進のための政策や改善措置<br />
-もし貴国の鉱業活動の促進するような措置やアイディアを思いつかれましたら、そのベス<br />
ト3を教えてください。<br />
26-2. 鉱業活動の促進のために外国に期待したい援助について<br />
26-3.同じ質問です、特に日本に期待したい援助について<br />
(以下レアアースに関する質問はベトナムに関してのみ実施)<br />
27.レア・アース資源についてお尋ねします。<br />
1)貴国のレアアースの資源ポテンシャルについてどう認識していますか?<br />
2)自らがレア・アースを探鉱した経験はありますか?<br />
3)レア・アースの探鉱技術についてどのように自己評価しますか?<br />
4)貴国でのレア・アースの開発状況はいかがですか?<br />
5)レア・アースの採掘技術についてどのように自己評価しますか?<br />
6)重希土(Y, Ho, Tm, Yb, Lu, Sc)・中希土(Sm, Eu, Gd, Tb, Dy)・軽希土(La, Pr, Nd)の<br />
中でどの鉱種に関心が高いですか?<br />
7)レア・アースの分離・精製技術についてどのように自己評価しますか?また技術移転<br />
の希望がありますか?<br />
8)副産物の放射性鉱物(モナザイト:トリウムを含む)の取り扱いについて、法規制は<br />
どうなっていますか?<br />
9)レアアース開発について、外国に期待することは?<br />
10)レアアース開発について、特に日本に期待することは?<br />
- 334 -
海外アンケート設問和文<br />
Questionnaire regarding Technical Skill of HR (Human Resources), HRD (Human Resources<br />
Development) and Mining Activity/ Mining Law Scheme<br />
1. What is the structure of your organization? Names/ Functions and size of smaller<br />
units<br />
2. History of the organization: Where your organization was belonging to formerly?<br />
3. How many employees are working in your organization?<br />
4-1. How many employees who have PhD. (doctor’s) Degree in your organization? And<br />
which fields?<br />
4-2. How many employees who have Master’s Degree in your organization? And which<br />
fields?<br />
4-3. How many employees who have Bachelor’s Degree (University/college graduate) in<br />
your organization?<br />
5. Tendency and allocation of employees’ age structure/ distribution in your<br />
organization<br />
6. How many new employees are assigned recently? ( formerly?)<br />
7. Retirement Age of your organization?<br />
8. Are there any examples former Government person (in your organization) voluntarily<br />
retired earlier to go to work at mining company?<br />
9. Are there any examples former mining company person voluntarily retired earlier to<br />
go to work at your Government organization?<br />
10. Budget of your organization size and allocation/ structure of each item Budget is<br />
enough?<br />
- 335 -
11. What do you think about technical skills of your organization staffs?<br />
(a) enough for all fields<br />
(b) enough for some fields, but insufficient for some fields<br />
(c) insufficient for some fields<br />
(d) insufficient for all fields<br />
11-1. What are the fields of which your employees have enough technical skills?<br />
11-2. Where and How did they get such technical skills?<br />
Nowadays still same method is available?<br />
11-3 What are the fields of which your employees have insufficient skills?<br />
11-4. What do you think about: By what measures and how to improve those insufficient<br />
technical skill persons?<br />
12. What is the typical educational and vocational (before / after getting into<br />
government) background / career of employees in your organization?<br />
13. What is the basic policy for the Human Resources Development (HRD) / education of<br />
your organization employees?<br />
14. What are the actual courses for HRD in / outside your organization for employees<br />
HRD / education?<br />
-How often?<br />
-What courses? (inside / outside)<br />
-How many can join?<br />
14-1. What type OJTs (On the Job Trainings) are conducting in your organization<br />
through everyday work?<br />
Or what works are good for technical experience up?<br />
14-2. Do you have off the job training courses/ educational opportunity in foreign<br />
countries?<br />
15. Any technical experts from overseas stay / stayed in your organization to teach<br />
some? What country? How long? What subjects?<br />
- 336 -
16. Any collaboration with universities / educational institutes / research institutes /<br />
mining companies in the field of mining and geology? (asking about domestic/ foreign<br />
both)<br />
17. What is your appreciation for mining and geology related universities / educational<br />
institutes / research institutes in your country?<br />
18. If there no such university / educational institute / research institute in this field,<br />
what is your hope or opinion to make such courses in the educational institutions in<br />
your country. Do you think does it need?<br />
19. Is there any asking to foreign countries regarding HRD for mining activity<br />
enhancement?<br />
20. Same question for especially for Japanese Government<br />
<strong>21</strong>. Evaluation of mining activity in your country<br />
-economically<br />
-regionally<br />
-for export<br />
22. Are there any development target / goal for mining related industry?<br />
23. What type metal mine will be prosperous in future in your country?<br />
Please regard best 3<br />
24. Do you know are there any defects or the points needed to revise / improve in your<br />
Mining Law or related governmental regulations?<br />
24-2. Do you know is there any procedure to improve these?<br />
25-1. Do you think that do they disturb FDI (Foreign Direct Investment) in Mining?<br />
- Small scale mining which does not have exploration or mining concession<br />
25-2. Do you think that do they disturb FDI in Mining?<br />
- 337 -
- Reinforcement of countermeasures for environmental problems<br />
25-3. Do you think that do they disturb FDI in Mining?<br />
(for Vietnam/ Cambodia) Ban for mineral ore export: is this principle lasting? At<br />
what cases are there any exemptions?<br />
25-4.Do you think that do they disturb FDI in Mining?<br />
- (for Lao) We understand the MEPA (Mineral Exploration and Production Agreement)<br />
is confidential. Can you stipulate this MEPA in the Mining Law and be open to public?<br />
26-1. Policy and Improvement Measures for Mining Activity Enhancement<br />
-If you imagine any measures or ideas which will enhance mining activity, Please let us<br />
know best 3<br />
26-2. Needs to get assistance from foreign countries for Mining Activity Enhancement<br />
26-3. Same question for especially for Japanese Government<br />
---The following questions regarding of Rare-Earth are used only for Vietnam---<br />
27.Question about Resources of Rare Earth in your country<br />
1)What do you think about Rare Earth potential in Vietnam?<br />
2)Do you have an experience to explore Rare Earth by yourselves?<br />
3)What is a self evaluation for your exploration technology of Rare Earth?<br />
4)What do you think about mining operation of Rare Earth?<br />
5)What is a self evaluation for your mining technology of Rare Earth?<br />
6)There are heavy Rare Earth (Y, Ho, Tm, Yb, Lu, Sc), Medium Rare Earth (Sm, Eu,<br />
Gd, Tb, Dy), Light Rare Earth (La, Pr, Nd). Among those which elements / minerals do<br />
you have a big concern?<br />
- 338 -
7)What is a self evaluation for your separation/refining technology of Rare Earth? Is<br />
there expectation for technology transfer of this technology?<br />
8)What does law stipulates about handling of Rare Earth byproducts such as<br />
radioactive minerals (Monazite: which contains Th )?<br />
9)Is there any expectation/asking to develop Rare Earth for foreign countries?<br />
10)Is there any expectation/asking to develop Rare Earth especially for Japan?<br />
- 339 -
巻末資料-6<br />
環境配慮型資源開発基盤構築支援のアジア展開<br />
ロードマップ(和文・英文)
- 341 -<br />
Aids of Building Basis for Environment Conscious Mineral Resources Development Roadmap to Asian Countries<br />
Building Basis for Environment<br />
Conscious Mineral Development<br />
(ex: Mine Safety Technology<br />
System )<br />
-exploration<br />
-mine development<br />
-environment protection<br />
-mine mine safety<br />
nations which are expected future<br />
development but lack of<br />
exploration/development technology<br />
-nations which need environment/<br />
safety y technology gy for miningg<br />
*HR:<br />
Human<br />
Resourc<br />
es<br />
For<br />
Governm<br />
ent *HR<br />
Both Gov.<br />
& Private<br />
For Private<br />
*HR<br />
Metal Recycle Technology<br />
nations where metal use is active and<br />
need technical cooperation p of metal<br />
recycle technology<br />
FY2009 FY2010 FY2011 FY2012 FY2013<br />
Human resources development / Constructing international human network in<br />
resource-field of Asia<br />
JICA Training<br />
JICA EExpert t Di Dispatch t h<br />
Multiplier Multiplier effect effect<br />
Support for Resource<br />
Development by Trainees<br />
JOGMEC Survey Mission, Training, Expert Dispatch, Seminar on Mine Environment<br />
Conservation<br />
Training<br />
Multiplier Multiplier effect effect<br />
Expert Dispatch<br />
Spread of Skill for Resources<br />
Development by Trainees<br />
ASEAN Senior Officials Meeting on Minerals (ASOMM) + 3 Consultations<br />
Though it was delay to develop the mining<br />
industry in Vietnam, Cambodia and Laos, it is<br />
Human resources development each<br />
recently going to be reexamined regarding<br />
countries/Enforcement of Model Bussinesses<br />
resources and make progress.<br />
result<br />
The Supports pp of the skill for “Exploration p and Survey for Strengthening of Asia<br />
Industrial Basis :HRD in the Grasping Needs<br />
Development” and “Preservation of Environment Industrial Basis :HRD in the Grasping Needs<br />
and Safety” will be realized in their countries. Mining/ Geology sector (Vietnam, Realizing ODA<br />
Laos, Cambodia)<br />
result<br />
(Technical Cooperation)<br />
Broadening Toward<br />
Asian Wide<br />
Vietanam<br />
Socialist Republic of Vietnam – Japan Coal and Mineral Policy Dialogue<br />
Joint Basic Exploration Scheme Project by<br />
JOGMEC-DGMV (mineral exploration and human<br />
resources ddevelopment) l )<br />
Cambodia<br />
Joint Exploration Scheme Project by JOGMEC JOGMEC-<br />
Southern Gold (mineral exploration and human<br />
resources development)<br />
JICA Expert for Improving Mineral Sector<br />
(2009.6~2011.5)<br />
JICA Development Study (Master Plan ) #1 # Environment provisions<br />
p<br />
#2 Environment Conscious<br />
Mine Development Plan WS<br />
Holding of Work Shop Shop by<br />
ASEAN (report of instance,<br />
applicable suggestion and<br />
Laos<br />
JICA Development Study (Master Plan )<br />
#1 Reorganization/Improvement Environment provisions<br />
#2 Making Environment Conscious Mine Development Plan<br />
argument, etc.)<br />
1. Spread of<br />
Mineral<br />
RResources<br />
Exploration &<br />
Development<br />
Technology<br />
2. Spread of<br />
Environment<br />
Conservation &<br />
Mine Safety<br />
Technology<br />
3. Building<br />
Metal Recycling<br />
System
- 342 -<br />
環境配慮型資源開発基盤構築支援(鉱山保安技術制度等)のアジア展開ロードマップ<br />
可 資源 資<br />
<strong>21</strong>年度 22年度 23年度 24年度 25年度<br />
(2009年) (2010年) (2011年) (2012年) (2013年) 能 源<br />
な 国<br />
人材育成/資源分野におけるアジアの国際的な人的ネットワークの構築 発 等<br />
展 の<br />
JICA研修<br />
研修生による民間資源開発への支援等<br />
政府人材<br />
の 自<br />
向け<br />
JICA専門家派遣<br />
基 立<br />
相乗効果 相乗効果<br />
盤 的<br />
官民双方 JOGMEC調査団派遣、研修、専門家派遣、環境保全セミナー開催<br />
構 ・<br />
相乗効果 相乗効果<br />
築 持<br />
研修 研修生による資源開発技術の普及等 続<br />
環境配慮型資源開発<br />
基盤構築<br />
(鉱山保安技術制度等)<br />
・探査開発技術 探査開発技術<br />
JICA専門家派遣<br />
・環境保全・保安技術<br />
等<br />
今後の資源開発が期待され、探査開<br />
発技術の協力が求められている国。<br />
また、資源開発に係る環境・保安技<br />
術 術の協力が求められている国。<br />
協力が求められている国<br />
金属リサイクル技術<br />
金属の利用が進み、リサ<br />
イクル技術の協力が求め<br />
られている国。<br />
民間人材<br />
向け<br />
内乱等のため鉱業の発展が遅れていたものの、近<br />
年、資源ポテンシャルの見直しが行われ資源開発<br />
が進みつつあるベトナム、カンボジア、ラオスの<br />
資源分野における「探査開発技術」「環境保全・<br />
資源分野における「探査開発技術」「環境保全<br />
保安技術」に関する支援を実施<br />
ベトナム<br />
カンボジア<br />
専門家派遣<br />
ASEAN+3(日中韓)鉱物高級事務レベル会合 with 鉱物大臣会合<br />
成果<br />
アジア産業基盤<br />
強化等事業(ベトナム、<br />
カンボジア、ラオス)<br />
JOGMEC共同調査(資源調査と人材育成)<br />
共同調査(資源調査 人材育成)<br />
ラオス<br />
JICA開発調査(マスタープラン調査)<br />
各国の人材育成/モデル事業の実施<br />
成果<br />
JOGMEC共同調査(資源調査と人材育成)<br />
JICA開発調査(マスタープラン調査)<br />
ニ ニーズ把握 ズ把握<br />
技術協力へ反映<br />
日越石炭・鉱物政策対話<br />
JICA鉱物資源専門家(H<strong>21</strong>.6~23.5)<br />
環境関連法規の整理・改善環<br />
境配慮型鉱山開発計画の策定<br />
環境関連法規の整理・改善<br />
環境配慮型鉱山開発計画の策定<br />
WS<br />
アジアレベルへの拡大<br />
ASEAN諸国等の参加による<br />
諸 等 参加<br />
ワークショップ開催(事例の紹<br />
介、他国への適用可能性の提<br />
言・議論等)<br />
③ ② ①<br />
リ 環 資<br />
サ 境 源<br />
イ 保 探<br />
ク 全 査<br />
ル ・ 開<br />
・ 保<br />
シ<br />
発<br />
安<br />
ス<br />
技<br />
技<br />
テ 術<br />
ム<br />
術 の<br />
の の 普<br />
構 普 及<br />
築 及
巻末資料-7<br />
鉱業発展と関連技術・スキル分野マトリックス(和文・英文)
鉱業発展と関連技術・スキル分野マトリックス:鉱業発展と循環型社会システム構築のための鉱物資源関連技術<br />
地球にやさしく持続的な鉱物資源利用(鉱業)を行うために、鉱山(=新生資源)とリサイクル(=再生資源)との資源供給の調和を目指した技術について (財)国際鉱物資源開発協力協会JMEC<br />
大分類 中分類 小分類 項目 ①→③鉱業の発展による変化<br />
① ② ③<br />
Ⅰ法制度・行政<br />
Ⅰ-1鉱業振興<br />
1.鉱業振興政策 国家鉱業政策の策定 法令整備(権利・義務の明確化、諸規則・規程 政府アクションプログラム策定<br />
の整合性)、法令遵守の教育、指導<br />
2.鉱業関連法規 鉱業法 国際化・近代化(世銀ガイドラインなど)<br />
投資法、外資法 国際化・近代化(適正利潤の保証など)<br />
税法・税制、関税 早期償還優遇税、建設資機材輸入関税優遇 過剰利益特別税(減免)、製品輸出関税優遇 環境対策特別税(減免)、減耗控除制度<br />
鉱業ロイヤルティーの明確、適正規模の賦課<br />
3.行政能力 行政組織整備 許認可窓口、検査・監督者の役割明確化 窓口の一元化<br />
鉱業関連手続き 許認可システムの合理化、効率化、透明性向上 審査・評価技術力(公明性、迅速性)向上<br />
施業管理 検査・監督者の役割明確化、<br />
分析精度の確立、情報・基準の国際化・電子化<br />
検査・管理技術力向上<br />
情報整備・開示 情報のデータベース化 情報の公開(閲覧開示、インターネット)<br />
国際標準化導入<br />
情報利用の機能化(ダウンロード)<br />
Iー2リサイクル推進<br />
(リサイクル・システム) 1.利用促進法整備 資源有効利用促進法等 製造者―消費者の役割把握 製造者―消費者への指導・助言<br />
Ⅰ-3環境保護・保全<br />
2.リサイクル事業推進 廃棄物処理・リサイクルガイドライン等事業者の自主的取り組みの指導・ルール化 効率的・経済的取り組みへの指導・助言<br />
3.3Rシステム 事業者・消費者・行政の連携確立 マテリアルフローの把握 アクションプログラム策定、バーゼル条約遵守 指導・助言体制、技術助成体制確立<br />
1.環境政策 国家環境基本政策の確立 国際標準の環境基準、環境法令の整備 自然汚染等実施困難要件への政府助成<br />
法令遵守の教育、指導<br />
2.環境関連法規 環境法、環境関連法規の整備 世銀ガイドライン等国際基準導入<br />
(水質、大気、土壌汚染、廃棄物、<br />
公園、文化財等)<br />
保安法 保安基準、検査・監督基準の明確化<br />
閉山法 作業義務、経費の明確化 環境、地元対策における規模・仕様の明確化<br />
3.行政能力 行政組織整備 業務権限、責任の所在、担当の役割明確化<br />
鉱山保安監督、鉱害防止 保安、検査・監督者の役割明確化 保安計画の遵守<br />
保安技術職員制度の確立 技術力(許認可、公明性、迅速性)向上 技術力向上(指導・教育レベル)<br />
環境保全・保安 環境影響アセスメント(EIA)法規の整備 EIA評価実施機関の確立、評価技術力の向上 EIA評価の公明性、高レベル化<br />
Ⅱ鉱業関連技術<br />
Ⅱ-1資源(鉱山)開発<br />
1.鉱業技術 鉱業技術(別添細分類) 探査・探鉱、開発評価 採鉱、選鉱、鉱山保安、鉱害防止、 環境・社会保全・保護<br />
製錬、加工<br />
技術習熟度 大学や専門学校等基礎教育 現場構成員 ③現場リーダー<br />
④プロジェクト企画、教育指導<br />
2.環境対策 環境対策対象 探鉱作業に係る環境対象 鉱山操業中の環境対象 閉山後、恒久化環境対策<br />
環境対策技術 道路、ボーリングサイトの復元 廃さい処理、坑排水処理 原形復旧、復元、植栽<br />
3.地域社会対策 地域社会への貢献 地元作業員の雇用 雇用創出、技能向上、税金等地域経済貢献 生活環境の向上と地域経済の発展<br />
地域住民との調和 地元コミュニティーの鉱業への理解取得 鉱山建設、インフラ等への住民の意向考慮 閉山後の地域社会維持、雇用者対策<br />
4.インフラストラクチャー 公共性 企業生産基盤 社会的生産基盤 社会的生活基盤<br />
広域性 鉱山サイト中心 周辺鉱山開発、周辺産業開発 県、州レベル地域開発<br />
5.金融 資金対象 探鉱資金、バンカブルFS評価 開発資金調達、償還・機器更新資金 再投資、環境対策費<br />
調達の場、プレイヤーの進化 振興のための金融条件緩和 金融専門家の成長 金融機関、資金調達市場の発達<br />
6.マーケッティング 販売交渉力 初期建設資金とリンクした販売契約 調達資金償還後の自由販売 付加価値の付いた製品の販売<br />
販売品の高付加化 鉱石 地金 加工品、合金<br />
- 343~344 -
Ⅱ-2リサイクル<br />
7.マネージメント 鉱山ライフの中での対象進化 探鉱用地借上、探鉱コントラクター 建設インフラ、操業コントラクター 閉山対応、環境保全恒久化対応<br />
対応処理者の進化 現地パートナー委託 弁護士など代理人 職員など構成員<br />
1.収集システム 処理システム 収集・運搬・中間処理・最終処分等設置基準策定廃棄物などの特性に応じたシステムの確立 経済性向上の効率化技術<br />
エコ収集 マニュフェスト、運用マニュアルの整備 地域社会との融合システムの確立 環境対応のシステム(マニュアル)化<br />
2.回収技術 選択的分離・分解技術 基礎化学、基礎技術の取得 技術研究、研究協力 技術のシステム(マニュアル)化、省エネ化<br />
最適抽出・回収技術 基礎化学、基礎技術の取得 技術研究、研究協力 技術のシステム(マニュアル)化、省エネ化<br />
関連技術(従来、他分野)の応用 応用可能技術の情報収集、適応試験 研究協力、効率化テスト 技術のシステム(マニュアル)化、省エネ化<br />
鉱業技術項目細分類 ・探査・探鉱技術 ・採鉱技術 ・ 環境・社会保全技術<br />
GIS 採掘(露天採掘) 環境影響調査(EIA):開発段階毎及び恒久<br />
リモートセンシング 採掘(坑内採掘) 環境ベースライン調査<br />
地質調査 採掘(水力、ドレッジ) (動植物生態系調査)<br />
物理探査 さく孔、発破 (水文・気象調査)<br />
地化学探査 積込、運搬 (文化遺産調査)<br />
ボーリング 支保、充填、岩盤制御 環境管理システム(モニタリング)<br />
化学成分分析 保安、衛生<br />
鉱量計算 通気、排水 地元コミュニティーの能力開発<br />
鉱物資源情報処理 照明、給電<br />
廃さい・ズリ処理<br />
・開発評価技術 機械化・自動化・無人化<br />
環境影響評価(EIA):開発 通信・情報化<br />
FS(注:探鉱から金融にわたる全分野の総合技<br />
・選鉱技術<br />
鉱石制御(運搬、貯鉱、品位管理)<br />
破砕<br />
磨鉱(粉砕)<br />
篩分・分級<br />
浮遊選鉱<br />
比重(重液、重力)選鉱<br />
磁力・磁気選鉱<br />
尾鉱処理(堆積場)<br />
リーチング(湿式製錬とリンク)<br />
(バイオリーチング)<br />
売鉱条件管理<br />
- 345~346 -<br />
・鉱山保安技術<br />
鉱山操業安全確保<br />
鉱山保安技術(坑内、坑外、機械、電気、鉱害<br />
防止、火薬、発破、溶接)<br />
操業環境対策技術(騒音、排水、排気等)<br />
災害対応<br />
鉱害防止対策(下記鉱害防止技術)<br />
・鉱害防止技術<br />
発生源対策技術<br />
坑道閉塞技術<br />
採掘跡対策技術(整形・副ど・植栽など)<br />
堆積場対策技術(同上)<br />
坑廃水処理技術<br />
排煙・煙灰無害化技術<br />
・製錬(冶金)技術<br />
乾式製錬<br />
湿式製錬<br />
電解製錬<br />
・ 加工技術<br />
高純度化技術<br />
中間製品、高機能材料製造技術
Development of Mining and Matrix of Related Technologies and Skill Fields<br />
Development of Mining and Mineral Resource-Related Technologies to Build Recycle-Oriented Social Systems JMEC<br />
Technologies seeking harmony in supplying resources from mining (=new resources) and recycling (=recycled resources) for the purpose of sustainable and earth-friendly utilization of mineral resources (mining)<br />
Major classification Medium classification Minor classification Item ①→③ Changes during development and evolution of mining industry<br />
① ② ③<br />
I Legal systems and<br />
government<br />
I-1 Mining promotion<br />
1. Mining promotion<br />
policy<br />
2. Mining related<br />
regulations and rules<br />
3. Government<br />
administrative capability<br />
I-2 Promoting<br />
(recycle system) 1. Arranging regulations<br />
to promote recycling<br />
I-3 Environmental<br />
protection and<br />
preservation<br />
2. Promoting recycling<br />
projects<br />
3. 3R system (reduce,<br />
reuse, recycle)<br />
Formulating national mining policies Arranging laws and regulations (defining Formulating action programs of the<br />
rights and obligations, making consistency government for mining industry<br />
among regulations and rules), educating and promotion<br />
guiding personnel on legal compliance<br />
Mining Law Internationalization and modernization<br />
(World Bank Guidelines, etc.)<br />
Investment Law, Law concerning Internationalization and modernization<br />
Foreign Investment<br />
(Guaranteeing appropriate profit, etc.)<br />
Taxation Law, taxation system, Tax incentives for early redemption, tax Special tax on excess profit (reduction and<br />
custom duties<br />
benefit for construction material import duties exemption), tax incentives for product<br />
Defining mining royalties, levying appropriate<br />
taxes<br />
Improvement in government Defining roles of licensing liaisons, the<br />
administrative organizations inspector and the supervisor<br />
Mining related procedures Streamlining the licensing systems and<br />
making them more efficient and transparent<br />
Control of project<br />
implementation<br />
Organizing and disclosing<br />
information<br />
Law for the Promotion of<br />
Effective Utilities of Resources,<br />
Waste treatment and recycling<br />
guidelines, etc.<br />
Forming cooperation among<br />
businesses, consumers, and<br />
government administration<br />
Unifying liaisons<br />
Improving capabilities of examination and<br />
assessment techniques (fairness, swiftness)<br />
Defining the roles of the inspector and the Improving capabilities of inspection and<br />
supervisor<br />
control techniques<br />
Improving analysis accuracy,<br />
internationalizing and computerizing<br />
Compiling an information database Publicizing information (disclosure for<br />
browsing on the internet)<br />
Introducing standards for<br />
Grasping the roles of the<br />
manufacturer/consumer<br />
Guiding businesses for self-initiative and<br />
making rules<br />
1. Environmental policy Establishing national environmental master<br />
policies<br />
Guiding and advising<br />
manufacturers/consumers<br />
Guiding and advising for efficient and<br />
economical approach<br />
Grasping material flows Preparing action programs and complying<br />
with the Basel Convention<br />
Arranging environmental standards for<br />
international standards and environmental<br />
Educating and guiding on legal compliance<br />
Environmental control special tax<br />
(reduction and exemption), depletion<br />
Functioning information utilization<br />
(download)<br />
Forming a guidance and advice system<br />
and a technical subsidy system<br />
Governmental subsidy to difficult<br />
projects to implement, including natural<br />
- 347~348 -
II Mining Related<br />
Technologies<br />
II-1 Resource (mine)<br />
development<br />
- 349~350 -<br />
2. Environment related<br />
regulations and rules<br />
3. Government<br />
administrative capability<br />
Improvement in the<br />
Introducing the World Bank Guidelines and<br />
Environmental Law and<br />
(Water quality, air pollution, soil<br />
contamination, waste, parks,<br />
other international standards<br />
cultural assets, etc.)<br />
Mine Safety Act Defining safety standards, and inspection and<br />
supervision standards<br />
Mine Closure Act Defining work obligations and expenses Defining scales and specifications for<br />
environmental measures and measures for<br />
Improvement in government<br />
administrative organizations<br />
Mine safety and inspection,<br />
mining pollution prevention<br />
Environmental preservation and<br />
safety<br />
1. Mining technologies Mining technologies (subclassifications<br />
attached)<br />
2. Environmental<br />
measures<br />
3. Measures for local<br />
society<br />
Defining operational powers, whereabouts of<br />
responsibilities, and roles of personnel in<br />
Defining the roles of the safety supervisor, the Complying with safety plans<br />
inspector and the supervisor<br />
Establishing a safety engineer employee Enhancing technical capabilities (licenses,<br />
system<br />
fairness, swiftness)<br />
Improving environmental impact assessment Establishing an EIA assessment<br />
(EIA) regulations and rules<br />
implementation organ, enhancing<br />
capabilities of assessment techniques<br />
Exploration and prospecting, feasibility study<br />
(FS)<br />
Technical proficiencies Basic education at universities and technical<br />
collages, etc.<br />
Enhancing technical capabilities<br />
(guidance and education levels)<br />
Making fairness of EIA examination and<br />
enhancing the level<br />
Mining, mineral concentration, mine safety, Preservation and protection of<br />
mine pollution control<br />
environment<br />
Smelting, processing<br />
On-site personnel ③ On-site leader<br />
④ Planning projects and education and<br />
guidance<br />
Targets of environmental Environmental targets relating to prospecting Environmental targets during mine Lasting environmental control measures<br />
measures<br />
operation<br />
after mine closure<br />
Environmental control techniques Restoration of roads and drilling sites Tailing disposal, mine waste water Original shape recovery, restoration,<br />
Contributing to local community Employing local workers Contributing to local economy by<br />
employment creation, upskilling, tax<br />
Harmonizing with local residents Winning the understanding of mining from Considering local people's wishes in mine<br />
local communities<br />
construction and infrastructure, etc.<br />
Improving living environments and<br />
developing local economies<br />
Maintaining local society after mine<br />
closure and employment measures<br />
4. Infrastructure Publicness Corporate production infrastructure Social production infrastructure Social living infrastructure<br />
Areal wideness Centering on mine sites Developing mines and industry in Regional development on prefecture and<br />
5. Finance Targets to finance Funds for prospecting, bankable FS<br />
assessment<br />
Raising development funds, redemption and<br />
equipment update funds<br />
Reinvestment, environmental<br />
expenditure
II-2 Recycle<br />
Mining technology<br />
sub-item<br />
Organizations to offer funds,<br />
advancement in players<br />
Easing financing conditions for promotion Growth of financial experts Development in financial institutions and<br />
fundraising market<br />
6. Marketing Sales negotiation capability Sales contracts linked to initial construction Free sales after redeeming raised funds Selling value-added products<br />
High-value addition to sales Concentrate Ingot Processed products, alloys<br />
7. Management Advancement in targets in mine<br />
life<br />
Advancement in personnel who<br />
engage in processing<br />
1. Collection system Processing systems Formulating installation standards for<br />
collection, transportation, intermediate<br />
Rending prospecting sites, prospect contractor Construction infrastructure, operation Supporting mine closure and measures<br />
contractor<br />
for lasting environmental preservation<br />
Commissioning to local partners Agents such as attorneys Employed personnel including office<br />
workers<br />
processing and final dispossal sites<br />
Building a system that meets properties of<br />
waste, etc.<br />
Ecological collection Arranging manifestos and operation manuals Building a system that integrate with local<br />
community<br />
2. Recovery techniques Selective separation and Acquiring knowledge of basic chemistry and<br />
decomposition techniques basic techniques<br />
Optimal extraction and recovery Acquiring knowledge of basic chemistry and<br />
techniques<br />
basic techniques<br />
Application of related techniques Gathering information on applicable<br />
(existing and in other fields) techniques and conducting adaptation tests<br />
Efficiency techniques to improve<br />
economical efficiency<br />
Systematizing (manualizing) techniques<br />
supporting the environment<br />
Technical research and research cooperation Systematizing (manualizing) techniques<br />
and making them more energy-saving<br />
Technical research and research cooperation Systematizing (manualizing) techniques<br />
and making them more energy-saving<br />
Research cooperation and efficiency test Systematizing (manualizing) techniques<br />
and making them more energy-saving<br />
・Exploration and prospecting technologies ・Mining technologies ・Environmental and social preservation<br />
technologies<br />
GIS Mining (open-pit mining) EIA ( Environmental Inpact Assesment):<br />
Every development stage and lasting<br />
Remote sensing Mining (underground mining) Environmental baseline survey<br />
Geological survey Hydraulic mining (dredge) (Survey on ecosystem of plants and<br />
Geophysical exploration Drilling, blasting (Hydrological-Meteorological survey)<br />
Geochemical exploration Loading, transportation (Cultural heritage survey)<br />
Boring / Drilling Support, filling, rock control Environmental control system<br />
Chemical composition assay Safety, sanitation<br />
Calculation of ore reserves Ventilation, drainage Developing capabilities of local<br />
Mineral resource data processing Lighting, power supply<br />
Tailing and refuse disposal<br />
・Development assessment techniques Mechanization, automation, Remote<br />
Environmental impact assessment (EIA):<br />
FS (Note: comprehensive techniques ranging<br />
all fields from prospecting to financing)<br />
Telecommunication and informatization<br />
・Concentration technologies<br />
Ore control (transport, storage, grade<br />
Crushing<br />
Grinding (comminution)<br />
Screening and classification<br />
Flotation<br />
Gravity (heavy media) concentration<br />
Magnetic concentration<br />
Tailing disposal (dumping site)<br />
- 351~352 -
- 353~354 -<br />
Leaching (linked to hydrometallurgy)<br />
(Bio-leaching)<br />
Controlling ore selling conditions<br />
・Mine safety technologies<br />
Ensuring mining safety<br />
Mine safety technologies (underground,<br />
surface, machine, electricity, mine pollution<br />
control, explosive, blasting, welding)<br />
Technologies for mining environmental<br />
measures (noise, drainage, emission, etc.)<br />
Supporting disaster prevention<br />
Mine pollution control measures<br />
(undermentioned mine pollution control<br />
・Mine pollution control technologies<br />
Source control technologies<br />
Tunnel plugging technologies<br />
Goaf control technologies (reshaping, soil<br />
covering, vegetation, etc.)<br />
Dumping site control technologies (same as<br />
Mine waste water treatment technologies<br />
Flue gas, soot and dust detoxification<br />
・Smelting (metallurgy) technologies<br />
Dry smelting (pyrometallurgy)<br />
Wet smelting (hydrometallurgy)<br />
Electrolytic smelting<br />
・ Processing technologies<br />
Purification technologies<br />
Semi-finished product and high-function<br />
material manufacturing technologies