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3. 広域マルチラテレーションの基礎実験結果 - ENRI

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電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 10 回 平 成 22 年 6 月 )<strong>3.</strong> 広 域 マルチラテレーションの 基 基 礎 礎 実 験 実 結 験 果 結 果宮 崎 裕 己 , 上 田 栄 輔 , 角 張 泰 之 , 二 瓶 子 朗 ( 通 信 ・ 航 法 ・ 監 視 領 域 )古 賀 禎 ( 機 上 等 技 術 領 域 )1. まえがき東 京 国 際 空 港 や 成 田 国 際 空 港 では, 滑 走 路 の増 設 や 延 伸 , 新 たな 誘 導 路 やターミナルビルの整 備 が 進 められており, 空 港 容 量 が 拡 張 される計 画 である。そして, 空 港 容 量 の 拡 張 により 交通 量 が 増 大 した 場 合 においても, 安 全 かつ 円 滑な 運 航 を 確 保 するために, 拡 張 後 に 対 応 した 管制 を 支 援 するシステムの 整 備 も 進 められている。このうち 空 港 面 監 視 に 関 しては,マルチラテレーション(MLAT: Multilateration) 装 置が 導 入 された。一 方 , 空 港 容 量 を 拡 張 するために 高 度 な 運 用方 式 も 導 入 される 計 画 であり, 離 発 着 のタイミングが 滑 走 路 間 で 依 存 し 合 う「 井 桁 運 用 」や,平 行 滑 走 路 の 同 時 進 入 ・ 出 発 等 が 実 施 される。これらの 運 用 方 式 を 実 現 するためには, 空 港面 のみならず 空 港 周 辺 を 飛 行 する 航 空 機 に 対しても 高 精 度 かつ 高 頻 度 で 監 視 することが 求められる。 現 在 , 空 港 周 辺 を 飛 行 する 航 空 機 に対 しては,ターミナルレーダー(ASR: AirportSurveillance Radar)を 利 用 して 監 視 が 行 われている。しかしながらASRは, 更 新 頻 度 が 低 いことや 空 港 近 傍 が 覆 域 の 対 象 外 であることなどの 課 題 を 持 つ。このため,ターミナルエリアやアプローチエリアを 監 視 対 象 とした 広 域 マル チ ラ テ レ ー シ ョ ン ( WAM: Wide AreaMultilateration) 技 術 の 開 発 ・ 評 価 が 国 際 的 に進 められている。 我 が 国 の 混 雑 空 港 周 辺 では 空域 や 飛 行 ルートに 制 限 が 多 く, 航 空 機 は 狭 く 限られた 経 路 を 航 行 している。この 状 況 において,前 述 した 高 度 な 運 用 方 式 の 導 入 と,これに 伴 う交 通 量 の 増 加 を 考 慮 すると,より 高 性 能 な 監 視装 置 が 必 要 になると 想 定 される。このような 背 景 から, 当 研 究 所 は 空 港 周 辺 の空 域 を 高 精 度 ・ 高 頻 度 で 監 視 できるWAM 技 術を 開 発 する 研 究 を 進 めている。 本 研 究 の 目 的 は,WAM 評 価 用 装 置 ( 以 下 , 評 価 用 装 置 とする)を 製 作 して, 高 性 能 化 を 重 点 に 機 能 および 性 能の 評 価 試 験 を 行 い, 我 が 国 におけるWAM 技 術を 確 立 することである。本 稿 では, 初 めにWAMの 測 位 原 理 や 性 能 について 述 べる。 次 に 評 価 用 装 置 の 構 成 や 各 装 置の 機 能 を 説 明 して, 東 京 国 際 空 港 周 辺 を 対 象 に実 施 した 基 礎 実 験 の 結 果 を 示 す。 基 礎 実 験 の 目的 は、 高 性 能 化 を 図 るために 適 用 した 技 術 の 事前 検 証 である。そして, 最 後 にまとめを 述 べる。2. WAMの 概 要2.1 測 位 原 理図 1に 測 位 原 理 の 概 念 図 を 示 す。WAMでは,航 空 機 に 搭 載 されたトランスポンダが 送 信 する航 空 機 衝 突 防 止 装 置 ( ACAS: AirborneCollision Avoidance System)のスキッタや 二次 監 視 レーダー(SSR: Secondary SurveillanceRadar)の 応 答 (1)を 複 数 の 受 信 局 で 検 出 して 到 達時 刻 を 測 定 する。 次 に, 測 定 した 到 達 時 刻 から受 信 局 間 の 到 達 時 刻 差 を 求 めて, 航 空 機 と 各 受信 局 との 距 離 差 に 変 換 する。そして, 距 離 差 が一 定 との 条 件 からなる 楕 円 双 曲 面 同 士 の 交 点 を求 めることで 航 空 機 の 位 置 を 算 出 する。 空 港 面監 視 用 のMLATと 異 なり, 高 さも 含 めた3 次 元 で測 位 するためには, 最 低 4 局 の 受 信 局 で 信 号 を 検出 することが 必 要 である。受 信 局ABT B-T AT D-T A図 1 測 位 原 理 の 概 念 図T C-T ADC− 17 −


電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 10 回 平 成 22 年 6 月 )2.2 特 徴WAMの 主 な 特 徴 を 以 下 に 示 す。1 更 新 頻 度 が 高 いスキッタ 送 信 周 期 の1 秒 平 均 で 更 新 可 能2ASRのようなブラインドが 生 じない空 港 近 傍 やアンテナ 直 上 も 監 視 可 能3 覆 域 を 柔 軟 に 設 計 できる監 視 エリアに 合 わせて 受 信 局 を 配 置 可 能4 航 空 機 側 に 追 加 装 備 を 必 要 としない地 上 側 機 材 の 整 備 で 運 用 を 開 始 可 能2.3 高 い 性 能 を 得 るには測 位 精 度 は, 航 空 機 と 受 信 局 アンテナの 位 置関 係 で 決 まるDOP( Dilution Of Precision)と信 号 検 出 時 刻 の 測 定 精 度 に 依 存 する。DOPは, 図 2に 示 すように 受 信 局 アンテナが航 空 機 を 取 り 囲 む 配 置 となった 場 合 に 良 好 となる。このため, 広 い 覆 域 に 対 して 良 好 なDOP 値を 確 保 するには, 受 信 局 を 広 範 囲 に 配 置 することが 必 要 となる。信 号 検 出 時 刻 の 測 定 精 度 は, 時 刻 検 出 の 分 解能 と 受 信 局 間 の 時 刻 同 期 精 度 で 決 まる。 高 い 分解 能 を 達 成 するためには 信 号 検 出 のサンプリング 周 波 数 を 増 加 させることが 必 要 である。 時 刻同 期 の 概 要 については 次 項 で 説 明 する。一 方 , 性 能 低 下 の 主 な 要 因 として, 信 号 干 渉による 時 刻 検 出 誤 差 の 増 大 や 信 号 解 読 の 不 能 が挙 げられる。 覆 域 の 広 いWAMでは 遠 方 から 送 信される 微 弱 な 信 号 を 検 出 する 必 要 があるため,MTL(Minimum Triggering Level)を 低 く 設定 する。このため, 空 港 面 監 視 用 のMLATと 比較 して 信 号 重 畳 の 頻 度 が 高 いことから, 干 渉 に強 い 信 号 処 理 技 術 を 適 用 することが 重 要 となる。2.4 時 刻 同 期表 1に 主 な 時 刻 同 期 手 法 に 対 する 同 期 精 度 の目 安 を 示 す (2) 。 基 準 局 方 式 とは, 既 知 の 位 置 に設 置 した 基 準 局 が 送 信 するスキッタを 各 受 信 局が 検 出 して,MLAT 測 位 の 結 果 から 時 刻 同 期 を図 る 方 式 である。 本 方 式 は 簡 易 に 実 装 でき, 比較 的 良 好 な 同 期 精 度 が 得 られることから, 空 港面 用 MLATでは 広 く 採 用 されている。 一 方 , 基準 局 から 見 通 しが 得 られる 位 置 に 受 信 局 を 設 置する 必 要 があり,WAMへの 実 装 は 困 難 である。単 独 GPS 方 式 とは, 受 信 局 にGPS 受 信 機 を 搭載 して 時 刻 同 期 を 図 る 方 式 である。 本 方 式 も 容易 に 実 装 できるが, 同 期 精 度 が 劣 る 欠 点 を 持 つ。GPS Common View 方 式 (3)とは, 受 信 局 間 で同 時 に 同 一 のGPS 衛 星 からの 信 号 を 受 信 することにより, 衛 星 が 持 つ 時 計 の 誤 差 を 相 殺 して,高 精 度 な 時 刻 同 期 を 図 る 方 式 である。 各 受 信 局に 搭 載 されたGPS 受 信 機 から 衛 星 情 報 を 転 送 してCommon View 処 理 を 行 う 必 要 があり, 実 装は 容 易 ではないが, 高 い 同 期 精 度 を 達 成 できる利 点 を 持 つ。<strong>3.</strong> 評 価 用 装 置 の 概 要図 3に 評 価 用 装 置 の 構 成 を 示 す。 評 価 用 装 置 は4 局 の 受 信 局 , 送 信 局 ,および 処 理 装 置 から 構 成される。 各 装 置 間 はWAN(Wide Area Network)により 接 続 される。 以 下 に 各 装 置 の 機 能 を 説 明する。受 信 局AB図 2 DOPが 良 好 となる 位 置 関 係表 1 各 手 法 に 対 する 同 期 精 度 の 目 安基 準 局 方 式表 示 装 置統 合 装 置SSRモードS手 法単 独 GPS 方 式GPS Common View 方 式評 価 用 装 置処 理 装 置WAN図 3 評 価 用 装 置 の 構 成同 期 精 度受 信 局 1受 信 局 2受 信 局 3受 信 局 4送 信 局DC5~10ナノ 秒10~20ナノ 秒2~5ナノ 秒− 18 −


電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 10 回 平 成 22 年 6 月 )(1) 受 信 局図 4 に 受 信 局 の 機 能 構 成 を 示 す。 受 信 局 は,スキッタと SSR 応 答 を 受 信 して、 信 号 検 出 時 刻を 測 定 するとともに 信 号 内 容 をデコードする。これらの 情 報 をターゲットレポートにまとめて処 理 装 置 に 出 力 する。 高 性 能 化 を 考 慮 して, 信号 検 出 のサンプリング 周 波 数 を 500MHz としており, 高 い 分 解 能 (2 ナノ 秒 )が 期 待 できる。また, 時 刻 同 期 には GPS Common View 方 式 を採 用 した。 一 方 , 信 号 処 理 技 術 は SSR モード S地 上 局 と 同 じ 方 式 (4)を 採 用 している。 基 礎 実 験の 段 階 では, 耐 干 渉 性 の 強 化 は 考 慮 していない。(2) 送 信 局送 信 局 は, 測 位 や 位 置 算 出 を 補 完 するため,航 空 機 に 対 してSSR 質 問 を 送 信 する。 測 位 の 補完 では, 信 号 干 渉 等 によりスキッタを 検 出 できなかった 場 合 , 当 該 航 空 機 に 質 問 してSSR 応 答を 得 て, 測 位 を 実 行 する。 位 置 算 出 の 補 完 では,質 問 送 信 から 応 答 受 信 までの 時 間 を 当 該 航 空 機までの 距 離 に 変 換 して, 位 置 の 算 出 に 利 用 する。位 置 算 出 の 補 完 はDOPが 悪 いエリアにおいて特 に 有 効 である。ただし, 基 礎 実 験 においては航 空 機 への 質 問 を 行 っていない。(3) 処 理 装 置処 理 装 置 は, 各 受 信 局 が 出 力 したターゲットレポートを 相 関 処 理 してMLAT 測 位 , 追 尾 処 理 ,および 送 信 局 への 質 問 制 御 等 を 行 う。 測 位 誤 差の 低 減 を 図 るため、 測 位 解 に 対 して 追 尾 処 理 を行 い,その 平 滑 位 置 を 測 位 結 果 とする。ただし,基 礎 実 験 においては 追 尾 処 理 を 行 っていない。4. 基 礎 実 験4.1 実 験 方 法(1) 高 性 能 化 の 検 証信 号 検 出 時 刻 を 一 般 的 な 技 術 で 測 定 する 装 置( 以 下 , 既 存 装 置 とする)の 監 視 データも 同 一のアンテナ 配 置 で 取 得 して, 性 能 を 比 較 した。表 2に 時 刻 検 出 に 関 する 両 装 置 の 比 較 を 示 す。(2)WAM 有 効 性 の 検 証受 信 局 を 空 港 内 に 集 中 して 配 置 する 空 港 面 監視 用 のMLAT 装 置 ( 以 下 ,MLAT 装 置 とする)の 監 視 データも 取 得 して, 空 港 周 辺 空 域 の 監 視に 対 する 性 能 を 比 較 した。(3) 受 信 局 配 置 と 評 価 項 目図 5に 受 信 局 の 配 置 を 示 す。4 局 の 受 信 局 は,東 京 国 際 空 港 ( 羽 田 ), 蟹 ヶ 谷 , 海 ほたる,および 台 場 に 設 置 した。 図 6に 本 配 置 に 対 する 水 平方 向 DOP( 高 度 :1,000ft)の 分 布 を 示 す。このDOP 値 を 考 慮 して 対 象 覆 域 は10NMとした。実 験 の 評 価 項 目 として, 位 置 精 度 に 着 目 した。位 置 精 度 は 測 位 解 ( 生 データ)から 算 出 して,真 位 置 にはキネマティック 方 式 GPSを 利 用 した。誤 差 が1,000m 以 上 の 誤 検 出 解 は 除 外 した。 実 験は, 図 7に 示 す 飛 行 検 査 機 を 利 用 して 行 った。表 2 時 刻 検 出 に 関 する 両 装 置 の 比 較時 刻 同 期 手 法分 解 能評 価 用 装 置GPS Common View 方 式2ナノ 秒既 存 装 置基 準 局 方 式10ナノ 秒10NM台 場受 信 部SSR 空 中 線GPS 空 中 線GPS 受 信 機蟹 ヶ 谷羽 田デコード 部タイミング 部処 理 部インタフェース電 源 部各 部海 ほたるAC 入 力処 理 装 置図 4 受 信 局 の 機 能 構 成北 風 運 用 南 風 運 用図 5 受 信 局 の 配 置− 19 −


電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 10 回 平 成 22 年 6 月 )10NM台 場蟹 ヶ 谷羽 田海 ほたる高 度 :1,000ft10 20 30 40 50図 6 受 信 局 配 置 に 対 する 水 平 方 向 DOP図 7 実 験 で 利 用 した 飛 行 検 査 機4.2 実 験 結 果(1) 高 性 能 化 の 検 証表 3に 位 置 精 度 (95% 信 頼 度 )の 比 較 を 示 す。括 弧 内 の 数 字 は 測 位 した 回 数 である。 評 価 用 装置 の 位 置 精 度 は, 既 存 装 置 と 比 較 して 良 好 な 値が 得 られた。 図 8に 北 風 運 用 時 における 着 陸 航 跡の 比 較 を 示 す。 最 低 受 信 局 数 である4 局 で 測 位 しているため「 航 跡 抜 け」が 発 生 しているが、GPS航 跡 と 比 較 して 正 確 に 測 位 できていることが 分かる。「 航 跡 抜 け」は 受 信 局 の 追 加 により 改 善可 能 と 考 えられる。 実 験 の 結 果 , 評 価 用 装 置 に適 用 した 信 号 検 出 時 刻 を 正 確 に 測 定 する 技 術 は,有 効 に 機 能 していることが 確 認 できた。一 方 で, 評 価 用 装 置 の 測 位 回 数 は 既 存 装 置 と比 較 して 少 ないことが 分 かる。 収 集 データから,4 局 全 ての 受 信 局 で 信 号 を 検 出 しているが, 測 位解 を 算 出 できていないことが 判 明 した。この 原因 として, 信 号 干 渉 の 影 響 により 時 刻 検 出 誤 差が 増 大 して, 計 算 解 が 収 束 しないことが 考 えられる。このため, 干 渉 に 強 い 信 号 処 理 技 術 (5)を適 用 して, 時 刻 検 出 誤 差 を 改 善 することが 必 要である。表 3 位 置 精 度 の 既 存 装 置 との 比 較距 離10NM~5NM5NM~GND評 価 用 装 置83m (110)12m (88)既 存 装 置89m (143)20m (150)[ 評 価 用 装 置 ] [ 既 存 装 置 ]東 京 国 際 空 港東 京 国 際 空 港5NM5NM評 価 用 装 置 航 跡GPS 航 跡10NM図 8 既 存 装 置 との 航 跡 の 比 較既 存 装 置 航 跡GPS 航 跡10NM− 20 −


電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 10 回 平 成 22 年 6 月 )(2)WAM 有 効 性 の 検 証空 港 面 監 視 用 の MLAT 装 置 は, 東 京 国 際 空 港内 に 設 置 された 28 局 の 受 信 局 から 構 成 される。図 9 に MLAT 装 置 の 受 信 局 配 置 に 対 する 水 平 方向 DOP の 分 布 を 示 す。MLAT 装 置 の 配 置 では,5NM 以 遠 で DOP 値 が 急 激 に 悪 化 しており, 位置 精 度 の 低 下 が 予 想 される。表 4 に 位 置 精 度 の MLAT 装 置 との 比 較 を 示 す。評 価 用 装 置 の 位 置 精 度 は,MLAT 装 置 と 比 較 して 良 好 であり, 特 に 5NM 以 遠 において 大 きく 向上 している。 図 10 に 南 風 運 用 時 における 離 陸 航跡 の 比 較 を 示 す。GPS 航 跡 に 対 して,MLAT 装置 の 航 跡 は 8NM 付 近 から 大 きく 外 れているが,評 価 用 装 置 は 良 好 に 一 致 していることが 分 かる。実 験 の 結 果 , 受 信 局 を 柔 軟 に 配 置 できる WAM は,覆 域 に 対 して 良 好 な DOP を 確 保 できるため, 空港 周 辺 の 監 視 に 有 効 であることが 確 認 できた。一 方 , 評 価 用 装 置 の 測 位 回 数 は MLAT 装 置 の約 半 数 であるが, 前 述 した 測 位 解 の 算 出 不 能 の 他 ,受 信 局 数 の 差 も 理 由 として 考 えられる。10NM5NMMLAT 装 置( 全 28 局 )高 度 :1,000ft10 20 30 40 50図 9 MLAT 装 置 の 配 置 に 対 する 水 平 方 向 DOP表 4 位 置 精 度 の MLAT 装 置 との 比 較距 離評 価 用 装 置MLAT 装 置GND~5NM19m (118)70m (256)5NM~10NM53m (168)694m (333)※ 括 弧 内 の 数 字 は 測 位 した 回 数 を 示 す10NM台 場5NM蟹 ヶ 谷羽 田海 ほたる航 跡 の 外 れ評 価 用 装 置 航 跡MLAT 装 置 航 跡GPS 航 跡図 10 MLAT 装 置 との 航 跡 の 比 較− 21 −


電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会 ( 第 10 回 平 成 22 年 6 月 )5.まとめ本 稿 では, 当 研 究 所 で 開 発 を 進 めている 高 性 能化 を 目 指 した WAM 評 価 用 装 置 の 概 要 を 説 明 するとともに, 東 京 国 際 空 港 の 周 辺 に 設 置 して 実 施した 基 礎 実 験 の 結 果 を 示 した。実 験 の 結 果 , 良 好 な 位 置 精 度 が 得 られ, 高 性 能を 実 現 するために 適 用 した 技 術 が 有 効 に 機 能 することを 確 認 できた。また, 空 港 面 監 視 用 の MLAT 装 置 と 比 較 して,WAM は 受 信 局 を 柔 軟 に 配 置 できるとの 利 点 から, 空 港 周 辺 を 飛 行 する 航 空 機 の 監 視 に 有 効 であることも 確 認 できた。一 方 で, 測 位 解 を 算 出 できない 状 況 が 発 生 していることが 判 明 した。この 原 因 として, 信 号 干 渉の 影 響 による 時 刻 検 出 誤 差 の 増 大 が 考 えられる。今 後 は, 干 渉 に 強 い 信 号 処 理 技 術 を 適 用 して,測 位 解 を 算 出 できない 状 況 の 改 善 を 図 る 計 画 である。また, 監 視 覆 域 を 拡 大 した 場 合 においても高 い 性 能 が 安 定 して 得 られるように, 質 問 機 能 と追 尾 処 理 機 能 を 実 装 する 計 画 である。最 後 に, 基 礎 実 験 を 実 施 するにあたりご 協 力 をいただきました, 国 土 交 通 省 航 空 局 , 東 京 航 空 局 ,東 京 空 港 事 務 所 ,および 飛 行 検 査 官 室 の 関 係 各 位に 感 謝 の 意 を 表 します。[ 参 考 文 献 ][1]ICAO: “Aeronautical Telecommunications”,Annex 10 Volume IV, Fourth Edition, July2007.[2]W.H.L. Neven et al.: “Wide AreaMultilateration Report on EATMP TRS131/04”, Version 1.0, National AerospaceLaboratory NLR, Nov 2004.[3] 後 藤 他 :“GPSコモンビュー 法 ”, 通 信 総 合研 究 所 季 報 Vol. 49,2003 年[4]FAA: “Mode S Specification”, FAA-E-2716 &Amend. -2, 1992.[5]RTCA: “Minimum Operational PerformanceStandards for 1090 MHz Extended SquitterAutomatic Dependent surveillance –Broadcast (ADS-B) and Traffic InformationService – Broadcast (TIS-B)”,RTCA/DO-260A, 200<strong>3.</strong>− 22 −

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